(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示されたクランプ装置は、一対のクランプアームの把持面が互いに平行となるクランプ位置におけるこれら把持面の離間間隔(以下、クランプ間隔と称する。)が一定である。そのため、クランプ間隔とワークの幅寸法(ワークのうち各クランプアームの把持面に接触する部位の間隔)とが異なる場合、幅寸法の異なる複数種類のワークに対して均等なクランプ力を作用させることが容易ではないため、このような複数種類のワークを確実にクランプすることができないことがある。
【0006】
そのため、幅寸法の異なる複数種類のワークを自動組立ラインに搬送する場合には、ワークの種類に応じてクランプ間隔の異なる複数種類のクランプ装置を用意する必要がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示された技術では、幅寸法の異なる複数種類のワークを1つのクランプ装置でクランプすることができるが、ワークの種類に応じた組数のクランプアームを設ける必要があるため、クランプ装置が複雑化すると共に大型化してしまう。
【0008】
また、ピンを中心に一対のクランプアームを回動させる場合、一対のクランプアームの他端部(把持面)の最大開き角度は、一対のクランプアームの一端部が互いに干渉しない程度の大きさに制限されてしまう。すなわち、アンクランプ状態での一対の把持面の間隔が比較的狭くなる。この場合、ワークとクランプアームとの接触を避ける必要があるため、クランプ装置に対するワークの供給方向及び排出方向が制限されるおそれがある。さらに、特許文献3に開示された技術では、一対のクランプアームを平行移動させるだけであるため、クランプ装置に対するワークの供給方向及び排出方向の自由度が大幅に制限されることになる。
【0009】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、簡易な構成で装置の大型化を抑制しつつ幅寸法の異なる複数種類のワークを確実且つ安定的にクランプすることができると共に、ワークの供給方向及び排出方向の自由度を高めることができるクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るクランプ装置は、複数のクランプアームの間でワークをクランプするクランプ装置であって、クランプボディと、前記クランプボディに対して移動可能に支持された複数のクランプアームと、直線往復運動する変位体を有して前記クランプボディに設けられた駆動部と、前記駆動部の駆動力を各前記クランプアームに伝達する駆動力伝達機構と、を備え、前記駆動力伝達機構は、前記変位体の直線運動を、複数の前記クランプアームが互いに近接離間する方向に移動しながら回動する第1動作と、各前記クランプアームのうち前記ワークに接触する把持面が互いに平行な状態で複数の前記クランプアームが互いに近接離間する方向に平行移動する第2動作とに変換する
ものであり、前記変位体に設けられて第1カム孔が形成された可動部と、前記クランプボディに設けられて第2カム孔が形成された固定部と、各前記クランプアームに設けられた第1軸及び第2軸と、前記第1軸に回転自在に設けられて前記第1カム孔内を移動する第1ローラと、前記第1軸に回転自在に設けられて前記第2カム孔内を移動する第2ローラと、前記第2軸に回転自在に設けられて前記第2カム孔内を移動する第3ローラと、を有し、前記可動部及び前記固定部は、平面視で前記第1カム孔及び前記第2カム孔の少なくとも一部が互いに重なるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、クランプ間隔を変化させることができるので、簡易な構成でクランプ装置の大型化を抑制しつつ幅寸法の異なる複数種類のワークを確実且つ安定的にクランプすることができる。また、クランプアームが回転運動する分、アンクランプ状態での把持面の間隔を比較的広くすることができるので、ワークの供給方向及び排出方向の自由度を高めることができる。
また、変位体の直線運動に伴いクランプボディに対して可動部が直線的に移動することにより、第1ローラが第1カム孔内を移動すると共に第2及び第3ローラが第2カム孔内を移動するため、簡易な構成で、変位体の直線運動を第1動作及び第2動作に変換することができる。
【0014】
上記のクランプ装置において、複数の前記クランプアームは、一対設けられており、前記第1カム孔が左右略対称に一対設けられると共に前記第2カム孔が左右略対称に一対設けられ、各前記第1カム孔は、一対の前記第1カム孔の
第1対称軸が位置す
る方向に向かって前記可動部の移動方向の一方の側に傾斜するように延在した第1孔部と、前記第1孔部から前記可動部の移動方向の一方の側に向かって前記
第1対称軸が位置する方向に傾斜するように延在した第2孔部と、を有し、各前記第2カム孔は、
一対の前記第2カム孔の第2対称軸が位置する方向に向かって前記可動部の移動方向の一方の側に傾斜するように延在した第3孔部と、前記第3孔部から前記
第2対称軸が位置する方向に沿って延在した第4孔部と、を有していてもよい。
【0015】
このような構成によれば、第1ローラが第1孔部内を移動することで各クランプアームを第1動作させ、第1ローラが第2孔部内を移動することで各クランプアームを第2動作させることができる。また、第2孔部が可動部の移動方向に対して
第1対称軸が位置する方向に傾斜しているため、第1ローラが第2孔部内を可動部の移動方向の一方の側に移動するにつれて傾斜面角度(θ)におけるくさび作用下によりワークに対するクランプ力を増大させることができる。
【0016】
上記のクランプ装置において、前記第1軸及び前記第2軸は、各前記クランプアームのうち前記把持面が位置する側とは反対側の端部に設けられていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、アンクランプ状態で各クランプアームのうち把持面が位置する側とは反対側の端部が互いに干渉することを抑制することができるので、クランプアームの最大開き角度を比較的大きく設定することができる。これにより、ワークの供給方向及び排出方向の自由度をさらに高めることができる。
【0018】
上記のクランプ装置において、前記可動部、前記固定部、前記第1ローラ、前記第2ローラ、及び前記第3ローラは、前記クランプアームの両側に一対配設されていてもよい。
【0019】
このような構成によれば、一対のクランプアームの第1動作及び第2動作を円滑且つ安定的に行うことができる。
【0020】
上記のクランプ装置において、前記可動部にはスライド部が設けられ、前記クランプボディには、前記スライド部を前記変位体の移動方向に沿って案内するガイド部が設けられていてもよい。
【0021】
このような構成によれば、可動部を円滑に直線運動させることができるので、一対のクランプアームの第1動作及び第2動作をより円滑且つ安定的に行うことができる。
【0022】
本発明に係るクランプ装置
は、
複数のクランプアームの間でワークをクランプするクランプ装置であって、クランプボディと、前記クランプボディに対して移動可能に支持された複数のクランプアームと、直線往復運動する変位体を有して前記クランプボディに設けられた駆動部と、前記駆動部の駆動力を各前記クランプアームに伝達する駆動力伝達機構と、前記ワークが配置されるワーク配置部
と、を備え、
前記駆動力伝達機構は、前記変位体の直線運動を、複数の前記クランプアームが互いに近接離間する方向に移動しながら回動する第1動作と、各前記クランプアームのうち前記ワークに接触する把持面が互いに平行な状態で複数の前記クランプアームが互いに近接離間する方向に平行移動する第2動作とに変換し、各前記クランプアームは、アンクランプ状態で前記ワーク配置部のワーク配置面よりも前記ワークが位置する側に突出しないように配設されてい
ることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、ワークとクランプアームの干渉を効果的に抑制することができるので、ワークの供給方向及び排出方向の自由度を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡易な構成で装置の大型化を抑制しつつ幅寸法の異なる複数種類のワークを確実且つ安定的にクランプすることができると共に、ワークの供給方向及び排出方向の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るクランプ装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0027】
本実施形態に係るクランプ装置10は、一対(複数)のクランプアーム16a、16bの間にワークW1、W2をクランプするものであって、例えば、機械産業等の自動組立ラインの溶接工程等に適用される。
【0028】
図1〜
図3に示すように、クランプ装置10は、クランプボディ12と、クランプボディ12に設けられた駆動部14と、クランプボディ12に対して移動可能に設けられた左右一対のクランプアーム16a、16bと、駆動部14の駆動力を各クランプアーム16a、16bに伝達する駆動力伝達機構18とを備えている。
【0029】
以下の説明では、クランプ装置10の幅方向(クランプアーム16a、16bの並び方向)をX方向とし、X方向に垂直な方向であってクランプ装置10の長手方向をY方向とし、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向とする。また、Y方向のうち、
図1の下方向をY1方向とし、
図1の上方向をY2方向とする。
【0030】
クランプボディ12は、互いに所定間隔離間した状態で略平行に配置された一対のT字状のプレート体20、22と、各プレート体20、22の幅狭の一端部同士を連結するベース部24と、各プレート体20、22の側部同士を連結する左右一対の連結部26a、26bと、各プレート体20、22の幅広の他端部同士を連結するワーク配置部28とを備える。
【0031】
プレート体20、22の幅方向(X方向)の略中央には、長手方向(Y方向)に沿って長孔(ガイド部)30、32が形成されている。ベース部24は、平板状に形成されており、その一方の側面がプレート体20の幅狭部34の幅方向略中央にねじ36により締結され、その他方の側面がプレート体22の幅狭部38の幅方向略中央にねじ40により締結されている。また、ベース部24は、例えば、図示しないボルト等によって床面等に固定される。
【0032】
各連結部26a、26bは、その一方の側面がプレート体20の幅広部42におけるY方向略中央にねじ44により締結され、その他方の側面がプレート体22の幅広部46のY方向略中央にねじ48により締結されている。すなわち、連結部26a及び連結部26bは、X方向に互いに対向している。
【0033】
連結部26aの内面(連結部26bに対向する面)のうち一対のプレート体20、22の並び方向(Z方向)の略中央には、Y方向の全長に亘って突出部50aが形成されている。突出部50aの先端面のうちY2方向の端部には、Y2方向に向かって連結部26aの外面側に傾斜する傾斜面52aが形成されている。
【0034】
連結部26bは、連結部26aと同様に構成されており、突出部50b及び傾斜面52bが形成されている(
図3参照)。ワーク配置部28は、ワークW1が配置される平板状部材であって、各幅広部42、46のX方向略中央にねじ54により締結されている。
【0035】
駆動部14は、流体圧シリンダ(アクチュエータ)として構成されている。
図5に示すように、駆動部14は、シリンダチューブ56と、シリンダチューブ56の一端側(Y1方向)の開口を閉塞するエンドブロック58と、シリンダチューブ56内に軸線方向に沿って変位可能に配設されたピストン60と、ピストン60に連結されたピストンロッド(変位体)62と、ピストンロッド62を変位自在に支持してシリンダチューブ56の他端側(Y2方向)の開口を閉塞するロッドカバー64とを有している。なお、駆動部14の構成は、特に限定されるものではなく、変位体を直線的に変位可能な種々の機構を適用してよい。例えば、駆動部として、ボールねじアクチュエータ等を含むリニア電動アクチュエータを採用し得る。
【0036】
シリンダチューブ56は、一対のプレート体20、22の幅狭部34、38の間に配置されている。シリンダチューブ56には、圧縮流体(駆動流体)を供給・排出するための図示しない第1ポート及び第2ポートが形成されている。
【0037】
一対のクランプアーム16a、16bは、
図1及び
図2に示すように、一対の連結部26a、26bの間に位置すると共にX方向に沿って互いに所定間隔離間して配置されている。クランプアーム16aは、四角柱状に形成されており、その一端部はX方向両側に膨出している。クランプアーム16aの他端部には、ワークW1、W2に接触する把持面66aが形成されている。クランプアーム16bは、クランプアーム16aと同様に構成されており、その他端部には把持面66bが形成されている。
【0038】
駆動力伝達機構18は、Z方向に互いに離間して配設された一対の可動板(可動部)68、70と、ピストンロッド62に連結された状態で一対の可動板68、70のY1方向の端部同士を連結する第1接続部72と、一対の可動板68、70のY2方向の端部同士を連結する第2接続部74と、一対の可動板68、70の内側にZ方向に互いに離間して配設された一対の固定板(固定部)76、78とを有している。
【0039】
可動板68及び固定板76は、一対のクランプアーム16a、16bと幅広部42との間に配設され、可動板70及び固定板78は、一対のクランプアーム16a、16bと幅広部46との間に配設されている。また、可動板68、70及び固定板76、78は、幅広部42、46に対して平行な状態でX方向に沿って延在している。可動板68は可動板70と同様に構成され、固定板76は固定板78と同様に構成されている。そのため、以下では、可動板68及び固定板76の構成について説明し、可動板70及び固定板78の構成の説明を省略する。
【0040】
可動板68のX方向略中央には、第1接続部72が配置される凹状の第1配置部80と、第2接続部74が配置される凹状の第2配置部82とが形成されている。可動板68のうち幅広部42に対向する面には、Y方向に沿って延在したスライド部84がねじ86によって締結されている。スライド部84は、プレート体20の長孔30にY方向に沿って摺動可能に配設されている。これにより、可動板68は、プレート体20の長孔30の案内作用下に
Y方向に沿って円滑にスライド可能となる。
【0041】
図4Aに示すように、可動板68には、そのX方向の中心線(
第1対称軸)CL1に対して左右略対称に形成された一対の第1カム孔88a、88bが形成されている。第1カム孔88aは、可動板68のY1方向の外側角部の近傍に端部91aを有し、この端部91aからX方向内側(中心線CL1側)に向かってY2方向に傾斜するように延在した第1孔部90aと、第1孔部90aにおける最もX方向内側の位置からY2方向に向かってX方向内側に傾斜するように延在した第2孔部92aとを有している。第1孔部90aは、第2孔部92aよりも短く形成されている。第2孔部92aの外側の内面93aは、Y方向の仮想線ILに対し所定の傾斜面角度θで傾き、後記の第1ローラ116aをガイドするくさび作用面として機能する。第1カム孔88bは、第1カム孔88aと同様に構成され、端部91bを有する第1孔部90b、及び内面93bを有する第2孔部92bを有している。
【0042】
図2に戻り、第1接続部72は、Z方向に延在した平板状部材であって、そのZ方向略中央にピストンロッド62がねじ94によって締結されている。第1接続部72の両端部は、その中央部よりも幅狭に形成されており、各可動板68、70の第1配置部80に配置された状態でねじ96により締結される。
【0043】
第2接続部74は、Z方向に沿って延在した平板状部材である。第2接続部74の両端部は、その中央部よりも幅狭に形成されており、各可動板68、70の第2配置部82に配置された状態でねじ98により締結される。
【0044】
固定板76、78は、そのX方向の両端部が突出部50a、50bに対してねじ100によって締結されることによりクランプボディ12に固定されている。固定板76、78のX方向略中央には、第1接続部72が挿入可能な第1凹部102と、第2接続部74が挿入可能な第2凹部104とが形成されている。これにより、可動板68、70が固定板76、78に対してY方向に変位した際に、第1接続部72及び第2接続部74が固定板76、78に干渉することを回避することができる。
【0045】
図4Bに示すように、固定板76には、X方向の中心線(
第2対称軸)CL2に対して左右略対称に形成された一対の第2カム孔106a、106bが形成されている。第2カム孔106aは、その一部がZ方向からの平面視(正面視)で第1カム孔88aの一部と重なるように形成されている(
図5〜
図7参照)。第2カム孔106bについても同様である。
【0046】
第2カム孔106aは、固定板76のY1方向の外側角部の近傍からX方向内側(中心線CL2側)に向かってY2方向に傾斜するように延在した第3孔部108aと、第3孔部108aにおける最もX方向内側の位置からX方向に沿って延在した第4孔部110aとを有している。第3孔部108aは、第4孔部110aと略同一の長さに設定されている。第2カム孔106bは、第2カム孔106aと同様に構成され、第3孔部108b及び第4孔部110bを有している。
【0047】
また、
図2に示すように、駆動力伝達機構18は、クランプアーム16aの一端部にZ方向に貫通するように設けられた(固定された)第1軸112a及び第2軸114aと、第1軸112aに回転自在に設けられて可動板68、70の第1カム孔88
a内を移動する第1ローラ116aと、第1軸112aに回転自在に設けられて固定板76、78の第2カム孔106a内を移動する第2ローラ118aと、第2軸114aに回転自在に設けられて固定板76、78の第2カム孔106a内を移動する第3ローラ120aとを有している。
【0048】
第1軸112aは、第2軸114aよりもX方向内側(クランプアーム16bが位置する側)に位置すると共に第2軸114aよりも長く延在している。第1軸112aは、クランプアーム16aの一端部に設けられた状態でZ方向の両側に延出しており、その両側の延出した部位のそれぞれに第1ローラ116a及び第2ローラ118aが設けられている。第2軸114aは、クランプアーム16
aの一端部に設けられた状態でZ方向の両側に延出しており、その両側に延出した部位のそれぞれに第3ローラ120aが設けられている。第1軸112a及び第2軸114aには、第1〜第3ローラ116a、118a、120aの軸方向の位置を保持するための保持部材122a(
図3参照)が設けられている。
【0049】
さらに、駆動力伝達機構18は、クランプアーム16bの一端部にZ方向に貫通するように設けられた(固定された)第1軸112b及び第2軸114bと、第1軸112bに回転自在に設けられて可動板68、70の第1カム孔88b内を移動する第1ローラ116bと、第1軸112bに回転自在に設けられて固定板76、78の第2カム孔106b内を移動する第2ローラ118bと、第2軸114bに回転自在に設けられて固定板76、78の第2カム孔106b内を移動する第3ローラ120bとを有している。
【0050】
第1軸112b、第2軸114b、第1〜第3ローラ116b、118b、120bは、クランプアーム16a側に設けられたものと同様の構成であるためその説明を省略する。なお、第1軸112b及び第2軸114bには、保持部材122bが設けられている。
【0051】
本実施形態に係るクランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作及び作用効果について説明する。なお、以下の説明においては、
図5に示す一対のクランプアーム16a、16bの把持面66a、66bが互いに最大に離間したアンクランプ状態を初期位置として説明する。
【0052】
この初期状態では、第1ローラ116a、116bが第1孔部90a、90bにおけるX方向の最も外側に位置し、第2ローラ118a、118bが第3孔部108a、108b及び第4孔部110a、110bの境界部に位置し、第3ローラ120a、120bが第4孔部110a、110bに位置している。
【0053】
ここで、上述したクランプ装置10によってクランプされるワークW1について簡単に説明する。このワークW1は、断面U字状の第1フレーム200と、第1フレーム200に組み合わされる断面U字状の第2フレーム202とからなる。第1フレーム200は、Y2方向に開口し、その両側壁204がY2方向に向かってX方向外側に徐々に拡幅するように傾斜している。一方、第2フレーム202は、Y1方向に開口した状態で第1フレーム200の開口内に配置される。
【0054】
このようなワークW1は、自動組立ラインの搬送装置等によってクランプ装置10のワーク配置部28に供給(搬送)される。このとき、クランプアーム16aの把持面66aとクランプアーム16bの把持面66bとの間隔がワーク配置部28の幅寸法よりも相当大きく、且つ、各クランプアーム16a、16bがワーク配置部28のワーク配置面よりもY1方向に位置している。換言すれば、各クランプアーム16a、16bは、ワーク配置部28のワーク配置面よりもY2方向に突出していない。そのため、ワークW1をクランプアーム16a、16bに干渉することなくワーク配置部28に円滑に供給することができる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、クランプ装置10のアンクランプ状態でZ方向(
図5の紙面と直交する方向)及びY2方向のみならず、X方向からもワークW1を供給及び排出することができるようになっている。そのため、ワークW1の供給方向及び排出方向の自由度を高めることができる。
【0056】
ワーク配置部28にワークW1がセットされると、圧縮流体の作用下にピストン60をエンドブロック58側に変位させる。そうすると、ピストンロッド62がY1方向に変位するため、各可動板68、70に設けられたスライド部84が長孔30、32に案内されながら可動板68、70がY1方向に変位する。このとき、第1ローラ116aが第1孔部90aを構成する壁面を第2孔部92aに向かって転動(走行)し、第2ローラ118aが第4孔部110aを構成する壁面をX方向内側に向かって転動すると共に第3ローラ120aが第3孔部108aを構成する壁面を第4孔部110aに向かって転動する。
【0057】
基本的に、可動板68、70の移動に伴う第1〜第3ローラ116a、118a、120aの動作と第1〜第3ローラ116b、118b、120bの動作は同様である。そのため、ここでは、第1〜第3ローラ116a、118a、120aの動作を主に説明し、第1〜第3ローラ116b、118b、120bの動作の説明を省略する。
【0058】
これにより、一対のクランプアーム16a、16bがX方向内側(互いに近接する方向)に移動しながら把持面66a、66bがY方向に対して平行になるように回動する(
図6参照)。すなわち、
図5及び
図6の例では、クランプアーム16aは、クランプアーム16bが位置する側に移動しながら反時計回りに回動し、クランプアーム16bは、クランプアーム16aが位置する側に移動しながら時計回りに回動する。
【0059】
そして、把持面66aと把持面66bとが互いに平行になった時に、第1ローラ116aは第1孔部90aと第2孔部92aとの境界部に位置し、第2ローラ118aは第4孔部110aのX方向中央よりやや内側寄りに位置し、第3ローラ120aは第3孔部108aと第4孔部110aの境界部に位置する。なお、
図6の例では、この状態で各把持面66a、66bは第1フレーム200の側壁204に接触する。
【0060】
そして、圧縮流体の作用下にピストン60をエンドブロック58側にさらに変位させると、ピストンロッド62及び可動板68、70がY1方向にさらに変位し、第1ローラ116aが第2孔部92aを構成する壁面をY2方向に向かって転動し、第2ローラ118a及び第3ローラ120aが第4孔部110aを構成する壁面をX方向内側に向かって転動する。
【0061】
これにより、一対のクランプアーム16a、16bが第1フレーム200の側壁204を押圧しながらX方向内側に平行移動する。すなわち、把持面66a及び把持面66bの平行状態を保持したまま把持面66a及び把持面66bの間隔(クランプ間隔)が狭くなる。また、このとき、第2孔部92a、92bの外側の内面93a、93bが傾斜面角度θ(
図4A参照)で傾斜しているため、第1ローラ116a、116bが第2孔部92a、92bをY2方向に沿って移動するにつれてくさび作用によりクランプアーム16a、16bのワークW1に対するクランプ力(把持力)が増大する。これにより、ワークW1を把持する際に、第1フレーム200の両側壁204の変形に伴う復元力がクランプアーム16a、16bに作用する場合であっても、ワークW1を確実且つ安定的にクランプすることができる。
【0062】
そして、第1フレーム200の両側壁204が第2フレーム202に接触することにより、ワークW1のクランプが完了する(
図7参照)。この状態でワークW1の溶接等の作業が営まれることとなる。
【0063】
このようなクランプ装置10では、把持面66a及び把持面66bの平行状態を保持したままクランプ間隔を所定範囲内で変化させることができるようになっている。そのため、例えば、
図7に示すワークW1の幅寸法L1よりも大きい幅寸法L2を有するワークW2をクランプする場合であっても、把持面66a、66bがワークW2に対して片当たりすることなく確実且つ安定的にクランプすることができる(
図8参照)。特に、第1ローラ116a、116bが第2孔部92a、92bの外側の内面93a、93bに押圧されることで、クランプアーム16a、16bは、相互に近接する方向に平行移動するくさび作用により、ワークW2を押圧して把持することができる。
【0064】
一方、ワークW1のクランプを解除(アンクランプ)する場合には、圧縮流体の作用下にピストン60をロッドカバー64側に変位させる。そうすると、ピストンロッド62及び可動板68、70がY2方向に変位するため、一対のクランプアーム16a、16bが平行状態を保持したまま互いに離間する方向(X方向外側)に平行移動する(
図6参照)。そして、ピストン60のロッドカバー64側へのさらなる変位によって、一対のクランプアーム16a、16bは、X方向外側に移動しながら把持面66a、66bが互いに離間するように回動する(
図5参照)。
【0065】
そして、クランプアーム16aが傾斜面52aに接触すると共にクランプアーム16bが傾斜面52bに接触することにより、これらクランプアーム16a、16bの回動動作が停止する。なお、各クランプアーム16a、16bの回動動作は、例えば、傾斜面52a、52bに接触していない状態で、第1ローラ116a、116bが第1カム孔88a、88bを構成する壁面(第1孔部90a、90bの端部91a、91b)に接触することにより停止してもよい。
【0066】
本実施形態では、駆動力伝達機構18が、ピストン60及びピストンロッド62の直線運動を、一対のクランプアーム16a、16bが互いに近接離間する方向に移動しながら回動する第1動作と、一対の把持面66a、66bが互いに平行な状態で一対のクランプアーム16a、16bが互いに近接離間する方向に平行移動する第2動作とに変換している。
【0067】
これにより、クランプ間隔を変化させることができるので、簡易な構成でクランプ装置10の大型化を抑えつつ幅寸法の異なる複数種類のワークW1、W2を確実且つ安定的にクランプすることができる。また、各クランプアーム16a、16bが回転運動する分、アンクランプ状態での把持面66a、66bの間隔を比較的広くすることができるので、ワークW1の供給方向の自由度を高めることができる。
【0068】
本実施形態によれば、クランプアーム16aの一端部に第1軸112a及び第2軸114aを設けると共にクランプアーム16bの一端部に第1軸112b及び第2軸114を設けている。そのため、アンクランプ状態でこれらクランプアーム16a、16bの一端部が互いに干渉することを抑制することができる。これにより、クランプアーム16a、16bの最大開き角度を比較的大きく設定することができるので、ワークW1、W2の供給方向及び排出方向の自由度をさらに高めることができる。
【0069】
また、本実施形態では、クランプアーム16a、16bのZ方向の両側に可動板68(可動板70)、固定板76(固定板78)、第1ローラ116a、116b、第2ローラ118a、118b、第3ローラ120a、120bを一対配設しているので、クランプアーム16a、16bの第1動作及び第2動作を円滑且つ安定的に行うことができる。
【0070】
さらに、スライド部84がプレート体20、22に形成された長孔30、32によって案内されることにより各可動板68、70を円滑に直線運動させることができるので、一対のクランプアーム16a、16bの第1動作及び第2動作をより円滑且つ安定的に行うことができる。
【0071】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、クランプ装置10は、クランプするワークの形状等に応じてクランプアーム16a、16bを複数有していてもよい。この場合、クランプアーム16aとクランプアーム16bの数は同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0072】
また、駆動力伝達機構18は、クランプアーム16a、16bとプレート体22の間に配設された可動板70、固定板78、第1ローラ116a、116b、第2ローラ118a、118b、及び第3ローラ120a、120bを省略してもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0073】
10…クランプ装置 12…クランプボディ
14…駆動部 16a、16b…クランプアーム
18…駆動力伝達機構 28…ワーク配置部
30、32…長孔(ガイド部) 66a、66b…把持面
68、70…可動板(可動部) 76、78…固定板(固定部)
84…スライド部 88a、88b…第1カム孔
90a、90b…第1孔部 92a、92b…第2孔部
106a、106b…第2カム孔 108a、108b…第3孔部
110a、110b…第4孔部 112a、112b…第1軸
114a、114b…第2軸 116a、116b…第1ローラ
118a、118b…第2ローラ 120a、120b…第3ローラ
CL1、CL2…中心線(対称軸) W1、W2…ワーク