(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
埋め込み型刺激装置は、様々な生物学的疾患を治療するための電気刺激を生成して体内神経及び組織に送出する装置であり、心不整脈を治療するペースメーカ、心細動を治療する除細動器、難聴を治療する蝸牛刺激器、盲目を治療する網膜刺激器、協調四肢運動を引き起こす筋肉刺激器、慢性疼痛を治療する脊髄刺激器、運動障害及び精神障害を治療する脳皮質及び脳深部刺激器などがある。以下の説明では、一般に米国特許第6,516,227号に開示されているような脊髄刺激(SCS)システムにおける本発明の使用に焦点を当てている。しかしながら、本発明は、あらゆる埋め込み型刺激器において応用することができる。
【0004】
図1A及び
図1Bに示すように、通常、SCSシステムは、例えばチタンなどの導電材料又は非導電性セラミックで形成された生体適合性の装置ケース30を備えた埋め込み型パルス発生器(IPG)100を含む。通常、ケース30は、IPGが機能するのに必要な回路及びバッテリ26を保持するが、バッテリを使用せずに外部RFエネルギーを通じてIPGに給電することもできる。IPG100は、各々が複数の電極106を含む1つ又はそれ以上の電極アレイ(2つのこのようなアレイ102及び104を図示)を含む。電極106は可撓体108上に存在し、この可撓体108は、各電極に結合された個々の信号線112及び114も収容する。図示の実施形態では、リード102上にE1〜E8で表記する8つの電極が存在し、リード104上にE9〜E16で表記する8つの電極が存在するが、リード及び電極の数は用途固有のものであり、従って異なる場合もある。アレイ102、104は、例えばエポキシを含むことができる非導電性ヘッダ材料36内に固定されたリードコネクタ38a及び38bを用いてIPG100に結合する。
【0005】
図2A及び
図2Bに、様々な電極間に治療電流Iout=Iinを分配するためのIPG100内の回路を示す。通常、この電流はパルスとして供給される。図には、単一の定電流ソース60及び単一の定電流シンク60'を示している。電流ソース60はPチャネルトランジスタにより形成され、そのアナログ出力電流Ioutはデジタル信号(Amp<1:M>)により設定されているので、電流ソース60は、Pデジタル−アナログ変換器、又は「PDAC」60と呼ばれる。同様に、電流シンク60'はNチャネルトランジスタにより形成され、そのアナログ入力電流Iinはデジタル信号(Amp<1:M>')により設定されているので、電流シンク60'は、Nデジタル−アナログ変換器、又は「NDAC」60'と呼ばれる。(なお、シンク回路についてはプライム符号を使用している。)
【0006】
上述したように、PDAC60からの出力電流及びNDAC60'への入力電流は、それぞれデジタル振幅信号Amp及びAmp'により設定される。このようなデジタル信号のうち、最終的にIPG100内のマイクロコントローラなどの何らかのタイプの制御回路160から送出されるものはM個存在することができる。通常、PDAC60及びNDAC60'は、Amp及びAmp'によって同じ電流量をやりとりするようにプログラムされる(すなわち、Iout=Iin)。このように、1つの電極から患者の組織R(
図2B)内に注入された電流はIPG100内に引き戻され、従って余剰電荷が患者内に蓄積することはない。
【0007】
周知のように、また引用により全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2007/0038250号においてさらに説明されているように、PDAC60及びNDAC60'は、デジタル信号Amp及びAmp'に基づき基準電流Irefを増幅して所望のソース電流Iout及びシンク電流Iinを生じるカレントミラーを備える。各信号Amp<x>及びAmp<x>'は、2
x-1カレントミラートランジスタ62及び62'を並列に配置して電流に寄与するようにスイッチ61を制御する。これにより、生成される電流Iout及びIinが基準電流のスカラーkとして生成されるように、すなわちIout=Iin=kIrefになる。例えば、11Irefの出力電流Ioutを生成するには、Ampを<00001011>に設定し、これにより1+2+8=11個のカレントミラートランジスタ62を並列に配置することができる。しかしながら、この出力電流及び入力電流をデジタル設定する手段はほんの一例にすぎず、'250号公開に開示されているような、これらの電流を設定する他の手段を使用することもできる。最終的に、PDAC60に結合されたコンプライアンス電圧(V+)、及びNDAC60'に結合された基準電位(接地GND)により、PDAC60、組織R及びNDAC60'を通じて電流が流れる。
【0008】
スイッチマトリックス50及び50'は、PDAC60によって供給されNDAC60'によって受け取られる電流が電極E1〜ENのいずれかに分配されるようにする。例えば、
図2Bでは、ソース電流Ioutを受け取るために電極E1が選択され、シンク電流Iinを受け取るために電極E2が選択されており、従ってこれらの2つの電極間で電流が組織R内を流れることができる。電極の選択は、スイッチマトリックス50及び50において行われ、この例では、N個の電極E1〜ENの各々に電流を分配できるように、各マトリックス50及び50'内にN個のスイッチS1〜SN及びS1'〜SN'が存在する。スイッチの選択は、やはり制御回路160が送出できるスイッチ制御信号Switch<1:N>及びSwitch'<1:N>に従って行われる。従って、
図2Bに示すように電極E1及びE2を選択するには、スイッチ制御信号Switch<1>によってスイッチS1をオンにし、スイッチ制御信号Switch<2>'によってスイッチS2'をオンにする。どちらの電極を選択するか、並びにこれらの電極におけるパルスの振幅、周波数及び持続時間については、通常、例えば患者の痛み又はその他の症状を軽減するのにどの設定が最も効果的であるかに関する実験に基づいて患者又は臨床医が指示を行う。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】先行技術による、埋め込み型パルス発生器(IPG)、及びこのIPGに結合された電極アレイを示す図である。
【
図1B】先行技術による、埋め込み型パルス発生器(IPG)、及びこのIPGに結合された電極アレイを示す図である。
【
図2A】先行技術による、スイッチマトリックスを用いて
図1A及び
図1BのIPG内の電極間に治療電流を分配するための回路を示す図である。
【
図2B】先行技術による、スイッチマトリックスを用いて
図1A及び
図1BのIPG内の電極間に治療電流を分配するための回路を示す図である。
【
図5A】スイッチマトリックスで使用されるスイッチの電圧降下をモニタすることによってIPG内の不具合状態を判定するために使用される改善されたモニタリング回路の実施形態を示す図である。
【
図5B】スイッチマトリックスで使用されるスイッチの電圧降下をモニタすることによってIPG内の不具合状態を判定するために使用される改善されたモニタリング回路の実施形態を示す図である。
【
図6A】スイッチマトリックスで使用されるスイッチの電圧降下をモニタすることによってIPG内の不具合状態を判定するために使用される改善されたモニタリング回路の実施形態を示す図である。
【
図6B】スイッチマトリックスで使用されるスイッチの電圧降下をモニタすることによってIPG内の不具合状態を判定するために使用される改善されたモニタリング回路の実施形態を示す図である。
【
図7】スイッチの測定のさらなる詳細を示す図である。
【
図8】電圧降下測定に従って不具合モードを判定するために使用されるエラーチェックアルゴリズムの実施形態を示す図である。
【
図9A】電圧降下測定に従って不具合モードを判定するために使用されるエラーチェックアルゴリズムの実施形態を示す図である。
【
図9B】電圧降下測定に従って不具合モードを判定するために使用されるエラーチェックアルゴリズムの実施形態を示す図である。
【
図10A】モニタリング回路に従って行う測定例、及びエラーチェックアルゴリズムがいかにして異なる不具合状態の不具合を判定するかを示す図である。
【
図10B】モニタリング回路に従って行う測定例、及びエラーチェックアルゴリズムがいかにして異なる不具合状態の不具合を判定するかを示す図である。
【
図10C】モニタリング回路に従って行う測定例、及びエラーチェックアルゴリズムがいかにして異なる不具合状態の不具合を判定するかを示す図である。
【
図11A】モニタリング回路に従って行う測定例、及びエラーチェックアルゴリズムがいかにして異なる不具合状態の不具合を判定するかを示す図である。
【
図11B】モニタリング回路に従って行う測定例、及びエラーチェックアルゴリズムがいかにして異なる不具合状態の不具合を判定するかを示す図である。
【
図11C】モニタリング回路に従って行う測定例、及びエラーチェックアルゴリズムがいかにして異なる不具合状態の不具合を判定するかを示す図である。
【
図12A】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図12B】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図12C】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図13A】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図13B】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図13C】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図14】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【
図15】モニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムと共に使用可能な電流分配回路の変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
埋め込み型刺激装置のためのモニタリング回路を開示する。スイッチマトリックスが、電流ソースからの電流を複数の電極のいずれかに分配する。スイッチマトリックス内の作動中のスイッチの電圧降下をモニタし、電流の振幅及びスイッチの既知のオン抵抗に基づく予想電圧と比較する。モニタした電圧と予想電圧が著しく異なる場合には不具合状態を推測することができ、刺激を停止すること、アラームを設定すること、不具合をメモリに記録すること、及び患者の外部にある装置に不具合状態を遠隔通信することのうちの1つ又はそれ以上などの適切な対策をとることができる。このようにスイッチマトリックス内で既存のスイッチを使用すると、複雑性を高め、望まない抵抗を加え、或いは周期的な又は散発的な治療出力の変化を引き起こす可能性のある追加構造を治療電流路内に設けることなく電極内の電流をモニタできるので有利である。
【0018】
図5Aに、上述したIPG100などのIPGのための改善されたモニタリング回路200の第1の例を示す。図には、各々がスイッチマトリックス50及び50'内のスイッチS1〜SN及びS1'〜SN'の1つにかかる又は横切る電圧降下を測定するための複数の差動増幅器(diff amps)D1〜DN65及びD1'〜DN'65'を示している。差動増幅器D1〜DN65の出力はマルチプレクサ70に結合され、このマルチプレクサ70は、これらの出力の1つを選択してアナログ−デジタル変換器(A/D)80に与えることができる。同様に、差動増幅器D1'〜DN'65'の出力はマルチプレクサ70'に結合され、このマルチプレクサ70'は、これらの出力の1つを選択してアナログ−デジタル変換器(A/D)80'に与えることができる。デジタル出力Vdsp及びVdsnが制御回路160に報告され、ここでこれらの出力を再検討し、エラーチェックアルゴリズム170と連動して適切な対策をとることができるが、これについては後でさらに詳細に説明する。
【0019】
1つの実施形態では、改善されたモニタリング回路200が、作動中の(閉じている)、従って組織R内での電流路の形成に関与しているスイッチのみの電圧をモニタする。この点に関し、制御回路160は、どのスイッチが関与しているかをスイッチ制御信号Switch<1:N>及びSwitch<1:N>'によって知っており、マルチプレクサ70及び70'にマルチプレクサ制御信号Mux<1:X>及びMux<1:X>'を送出することができる。これにより、各マルチプレクサは、Vdsn及びVdspの測定値をA/D変換器80及び80'に、そして最終的には制御回路160に受け渡すことができるようになる。
【0020】
制御回路160は、イネーブル信号D_en<1:N>及びD_en<1:N>'を送出して、作動中のスイッチに結合された差動増幅器65及び65'のみを有効にする。この結果、関心のある差動増幅器のみを作動させることによって電力が節約されるとともに、実際にパルスが発せられている時などの特定の時点にVdsp及びVdsnの測定を行う能力がさらに提供される。さらに、作動中のスイッチ上ではVdsp及びVdsnをパルス毎に測定しなくてもよく、従ってD_en及びD_en'もパルス毎に送出しなくてよく、代わりにこれらの測定値を約100パルス毎に取得して、IPG100の正しい動作を時折確認する。A/D変換器80及び80'も選択的に有効にすることができるが、このための制御信号は図示していない。
【0021】
図5Bにモニタリング回路200の修正形態を示しており、この図では、マルチプレクサ70及び70'が、スイッチS1〜SN及びS1'〜SN'と単一の差動増幅器D1及びD1'との間に位置する。この修正形態では、マルチプレクサ70及び70'が、選択されたスイッチからの信号を、マルチプレクサを通じて差動増幅器に受け渡して電圧降下を測定する。この修正形態は、差動増幅器の数を減らすので単純になってはいるが、測定信号がマルチプレクサを通過する際に損失が生じやすくなる可能性もある。
【0022】
図4A〜
図4Cに関連して上述したように、PDAC60又はNDAC60'に1つよりも多くの電極を同時に結合してソース電流又はシンク電流を共有することができる。この場合、スイッチS1〜SN又はS1'〜SN'のうちの1つよりも多くにおける電圧降下を同時にモニタすることが望ましい場合がある。
図6Aに、この目的に有用な別のモニタリング回路200'の例を示す。図示のように、差動増幅器の各バンクは、その出力を2つのマルチプレクサに送信し、差動増幅器65は、その出力をマルチプレクサ70a及び70bに送信し、差動増幅器65'は、その出力をマルチプレクサ70a'及び70b'に送信する。これにより、2つのVdsp測定値(Vdspa及びVdspb)及び2つのVdsn測定値(Vdsna及びVdsnb)を同時に取得してデジタル化することができる。各差動増幅器バンク当たりのマルチプレクサの数を増やすと、さらなる同時測定が可能になる。上述のように、差動増幅器65又は65'は選択的に有効にすることができるが、単純化のためにイネーブル制御信号は示していない。図示してはいないが、マルチプレクサ制御信号は、増加した数のマルチプレクサに対応するように必要に応じて修正されると理解されたい。
【0023】
図6Bには、マルチプレクサを使用しないモニタリング回路200''の別の実施形態を示す。ここでは、各差動増幅器65又は65'が専用のA/D変換器80又は80'に結合され、N個のVdsp測定値及びN個のVdsn測定値を潜在的に同時に生じる。このことは、スイッチS1〜SN及びS1'〜SN'全ての電圧降下を、さらに以下で説明する対象である閉じたスイッチさえもモニタするために有用となり得る。
【0024】
図6A及び
図6Bのモニタリング回路200'及び200''は、ソース電流又はシンク電流を共有するスイッチの電圧降下を同時に測定するのに特に有用であり、一方、このような測定値を同時に取得することはできないものの
図5A又は
図5Bのモニタリング回路200を使用することもできる。例えば、
図4Aのようにソース電流を共有するために電極E1及びE2の両方が同時に選択された場合、マルチプレクサ70は、例えば、第1のパルス中には(D1を介して)スイッチS1をモニタすることを選択し、その後第2のパルス中には(D2を介して)スイッチS2をモニタすることを選択することなどができる。これによって不具合状態を即座に検出することはできないかもしれないが、比較的高い周波数(50〜200Hzなど)でパルスが生じるので、あらゆる不具合が短時間で拾い上げられる。
【0025】
図7に、選択された電極E1及びE2、及びその関連するスイッチS1及びS2'並びに差動増幅器D1及びD2'を通る治療電流路のさらなる詳細を示す。
図7では、通常見られるように、電流路内のスイッチS1及びS2'がMOSFETトランジスタを含むと仮定する。各差動増幅器D1及びD2'は、一方がスイッチのドレインに、他方がソースに接続されるようにスイッチS1及びS2'の各々にそれぞれ接続されたタップ66を入力として受け取る。これらのスイッチがバイポーラトランジスタを含む場合、これらのタップは、同様にスイッチのエミッタ及びコレクタに接続される。このように構成された各差動増幅器65は、各スイッチのドレインソース間電圧(Vds)を、或いは(S1などの)PチャネルスイッチのVdsp及び(S2'などの)NチャネルスイッチのVdsnを提示されてこれを測定する。(スイッチマトリックス50及び50'の各々におけるスイッチがこれらの極性を有することは、スイッチに加わる相対的電圧を考えると論理的ではあるが必要ではない。なお、PチャネルスイッチS1〜SNはアクティブローになり、NチャネルスイッチS1'〜SN'はアクティブハイになる。すなわち、スイッチ制御信号Switch1は、スイッチS1をオンにするために論理「0」になり、Switch2'は、スイッチS2'をオンにするためにアクティブハイになる。)オームの法則によれば、Vdsp及びVdsnは、スイッチを通る電流(Iout=Iin)と、スイッチのオン抵抗(Rdsp(on)及びRdsn(on))との積に等しくなる。
【0026】
図7の右側のグラフに示すように、スイッチのオン抵抗Rdsは、スイッチを流れる電流(Ids、又はIout=Iin)の振幅と共に、さらには温度と共にわずかに変化する。それでも、Rdsp及びRdsn、Rdsp(exp)及びRdsn(exp)の予想値又は予想範囲は、特にIout=Iin及び温度の典型的な範囲が分かっている時にはかなり確実に知ることができる。
図7のグラフは、一般に電流及び温度の特定の中間値(5mA及び約40℃)を想定したRds(exp)の特定を示すものである。Rds(on)は、たとえいずれかの特定の時点において正確に分かっていないとしても、スイッチのオフ抵抗より何桁も小さい。1つの例では、スイッチマトリックス50及び50'内のスイッチのRdsp(exp)及びRdsn(exp)が約10オームである。必要であれば、設計中に、オン抵抗Rdsn(on)及びRdsp(on)を、差動増幅器65及び65'、並びにA/D変換器80及び80'によって分解できるほど十分に大きなVdsp及びVdsnを提供するように意図的に設定することができる。一般的には、Rds(on)を意図的に上昇させることは熱生成及び電力消費の点で望ましくないが、Rds(on)が分解可能なVdsの値を生じるのに適した値は依然として小さく、それほど重要ではない。
【0027】
図8に、(作動中のスイッチS1〜SNのうちの1つにかかる)1つのVdsp測定値、及び(作動中のスイッチS1'〜SN'のうちの1つにかかる)1つのVdsn測定値の単純な例のためのエラーチェックアルゴリズム170を示す。上述したように、エラーチェックアルゴリズム170は制御回路160内で実行することができ、ファームウェアで、又はソフトウェア又はハードウェアなどの他のいずれかの周知の手段で実装することができる。図示のように、エラーチェックアルゴリズム170は、ブロック180及び180'において、スイッチで測定したVdsp及びVdsnを、予想値、すなわちVdsp(exp)及びVdsn(exp)とそれぞれ比較する。Vdsp(exp)は、PDAC60が供給するようにプログラムされた電流Ioutに、上述のように求めることができる既知のスイッチの予想オン抵抗Rdsp(exp)を乗じたものに等しい。同様に、Vdsn(exp)は、NDAC60'が受け取るようにプログラムされた電流Iin(Ioutに等しいはずである)に、やはり上記で求められたスイッチの予想オン抵抗Rdsn(exp)を乗じたものに等しい。
【0028】
また、各比較ブロック180及び180'には、Vdsp及びVdsnの測定値が容認可能と見なされてIPG100の不具合状態が示されない範囲(range_p;range_n)を何らかの形で示すための比較入力が与えられる。このような範囲は、予想値Vdsp(exp)及びVdsn(exp)の何らかの関数を含み、複数の異なる形をとることができる。例えば、スイッチを通る電流が非常に低くないか、又は事実上ゼロでないかを知ることのみが関心対象の場合がある。この場合、Vdsp及びVdsnは必然的に非常に小さくなる。この状態を検出するには、閾値、すなわちVdsp>c*Vdsp(exp)(cは0と1の間である)に対して例えばrange_pを設定すればよい。スカラーcを用いて閾値を定めることは、システムの変動性、特に、上述したように必ずしもスイッチのオン抵抗を完全に反映するとは限らない場合があるRdsp(exp)を考えれば理にかなっている。従って、比較ブロック180は、例えばVdsp>0.7*Vdsp(exp)であるかどうかを、この閾値よりも低い値は予想される変動性に起因するものではなく、スイッチを通る電流の引き込み(Iout)が異常に低いことに起因するものに違いなく、不具合を示す可能性があるという概念に基づいて評価することができる。Range_nも、同様にVdsnp>0.7*Vdsnp(exp)に設定することができる。
【0029】
別の例では、これらの範囲によってVdsn及びVdspの上限を決定することができる。例えば、range_pが0.7<Vdsp(exp)<1.3を含み、Range_nが0.7<Vdsn(exp)<1.3を含むことができる。上限は、スイッチに過度の電流が流れているような異なる不具合状態を検出するのに有用である。
【0030】
Vdsp又はVdsnのいずれかが範囲外にある場合、比較ブロック180及び180'は、対策ブロック190にエラー信号Err及びErr'を送出することができる。対策ブロック190は、エラー信号の一方又は両方が示されているかどうかに依存して様々な対策をとることができる。例えば、対策ブロック190は、刺激を停止すること(205)、存在する場合にはIPG100内の可聴トランスデューサなどを通じてアラーム状態を発すること(210)、後でインプラントの外部にある装置に遠隔通信できるようにIPG100のメモリに不具合を記録すること(220)、或いは可視又は可聴アラームが発せられた場合には直ちに不具合状態を外部装置に遠隔通信すること(230)、を引き起こすことができる。対策ブロック190は、さらに他の対策をとることもでき、これらはほんのいくつかの例にすぎない。
【0031】
図9Aに、
図4A〜
図4Cで行ったように1つよりも多くの電極がPDAC60に結合され、従ってソース電流Ioutを共有している時のエラーチェックアルゴリズム170のさらに複雑な例を示す。(エラーチェックアルゴリズム170は、スイッチマトリックス50'内のスイッチ間で共有されるシンク電流Iinにも同様に対応するが、これについては便宜上図示していない。)この状況では、スイッチマトリックス50内の作動中のスイッチ(例えば、S1及びS2)において取得された2つのVdsp測定値(Vdsp1及びVdsp2)が存在する。共有する電流の何パーセントが各スイッチを流れるかは正確に分からない場合もあり、これは患者の組織の抵抗回路網R、及び作動中の電極の相対位置に依存する。しかしながら、各スイッチは、ソース電流の2分の1、すなわち1/2Ioutを流すと概算することが妥当である。この結果、スイッチにかかる予想電圧降下Vdsp(exp)は、各々が1/2Iout*Rdsp(exp)に等しくなる。
【0032】
この均等な電流分割についての仮定は正確でない場合もあるので、比較ブロック180が好適な動作を決定するために使用する範囲を適宜に緩和させることができる。例えば、range_pは、この状況ではVdsp>0.4*Vdsp(exp)の閾値を定めることができる。この例における緩和されたスカラー(0.4)は、Rdsp(exp)がスイッチを正確にモデル化していない可能性があるということだけでなく、スイッチによって引き込まれる電流の量が予想よりも小さい(すなわち、1/2Ioutよりも小さい)可能性があるということもさらに評価したものである。従って、range_pには、より広い範囲の許容値ではあるが、電流が低い状態と基本的に電流がない状態とを依然として容易に区別できる許容値が用いられる。
【0033】
或いは、各スイッチがソース電流を均等に共有すると仮定する代わりに、
図9Bに示すように、影響を受ける電極間の抵抗を測定し、これを用いて各電極が流すIoutの比率を導出することもできる。IPGにおいて電極間の抵抗を測定することは周知であり(米国特許第7,684,869号を参照)、従ってこれを行うための回路及び方法については説明しない。ソース電極E1とシンク電極E3の間の抵抗(R(1−3))、及びソース電極E2とE3の間の抵抗(R(2−3))を測定すると、Ioutの何割がソース電極の各々を通って流れるかを記述する比率q(=R(2−3)/(R(1−3)+R(2−3)))を計算することができ、すなわち、
図9Bの右下に示すように、E1はq*Ioutを流し、E2は(q−1)*Ioutを流すようになる。従って、比較ブロック180の各々には、(例えば、制御回路160から)q(又はその成分R(1−3)及びR(2−3))を報告することができ、次にこれらの比較ブロック180において、このqを用いてS1及びS2の予想電圧降下(Vdsp1(exp)及びVdsp2(exp))を推定することができる。
図9Bでは、スイッチを通る予想電流を推定する精度が高くなっているので、比較ブロック180が好適な動作を判定するために使用する範囲は、
図9Aほど緩和させる必要はない。例えば、この状況では、range_pは、スイッチを通る予想電流が分かっていた
図8で使用した閾値に類似するVdsp>0.7*Vdsp(exp)の閾値を定める。
【0034】
図10A〜
図10Cは、電極E1からE2に電流が流れる
図3A〜
図3Cの状態を再検討するものであり、開示するモニタリング回路200の、IPGの不具合を判定する能力を示している。提示する値は、Rdsp(exp)及びRdsn(exp)の両方が10オームに等しく、Vdsp(exp)及びVdsn(exp)の両方は、0.7*Iout=Iin*Rdsp(exp)=Rdsn(exp)、すなわち0.35mVよりも大きい場合に好適と見なされるものと仮定する。また、単純化のために、スイッチの実際のオン抵抗は10オームの予想値に等しいと仮定する。
【0035】
図10Aでは、Vdsp1及びVdsn2の両方が=50mV、すなわち5mA*10オームである。これらの値はいずれも35mVを上回っているので、正しい動作が推測される。
図10B及び
図10Cでは、それぞれ開回路63及び短絡64が示されており、上述したようには電流が流れていない。この結果、Vdsp1及びVdsn2はいずれも基本的にゼロであり、35mVを超えていない。モニタリング回路は、このことから不具合が発生したと仮定し、上述したいずれかの方法で適切な対策をとる。
【0036】
図11A〜
図11Cは、電極E1〜E2によってソース電流が共有され、電極E3によって受け取られる
図4A〜
図4Cの状態を再検討するものであり、開示するモニタリング回路200の、IPGの不具合を判定する能力を示している。ここでも、提示する値は、Rdsp(exp)及びRdsn(exp)の両方が10オームに等しいと仮定する。Vdsn(exp)は、0.7*Iin*Rdsn、すなわち0.35mVよりも大きい場合に好適と見なされる。
図9Aに関連して説明したように、Vdsp(exp)は、0.4*1/2*Iout*Rdsp(exp)、すなわち0.10mVよりも大きい場合に好適と見なされる。ここでもまた、スイッチの実際のオン抵抗は10オームの予想値に等しく、電極E1及びE2の各々を通って流れる電流は均等に分割されていると仮定する。
【0037】
図11Aでは、Vdsp1及びVdsp2の両方が=25mV、すなわち1/2*5mA*10オームである。これらの値はいずれも10mVの緩和された閾値を上回っているので、正しい動作が推測される。Vdsn3=50mV、すなわち5mA*10オームであり、35mVを上回っているので、これも正しい動作が推測される。それぞれ開回路63及び短絡64を示す
図11B及び
図11Cでは、電流がアンバランスになっており、全てのソース電流がスイッチS1を通って流れ、S2には流れていない。この結果、Vdsp1は、Vdsn3と同様に50mVに等しく、10mVを上回っているので正しい動作が推測される。(しかしながら、range_pがVdsp1の上限を定めている場合、50mVはこの上限を超えてしまい、従って不具合状態と見なされることに注意されたい。)対照的に、Vdsp2は基本的にゼロであり、10mVの緩和された閾値さえも超えていない。この結果、モニタリング回路は、不具合が発生したと仮定し、上述したいずれかの方法で適切な対策をとる。
【0038】
ここまで、治療電流は、PDAC60及びNDAC60'などの定電流ソース及びシンクを用いて患者の組織内を通過すると仮定していた。しかしながら、開示するモニタリング回路200の用途はこのようなソースの使用に限定されるわけではなく、定電圧ソースを使用することもできる。
図12A〜
図12Cでは、定電圧ソース300及び300'を用いて、これらの出力に図示のようなVout1=5V及びVout2=0Vなどの既知の電圧を設定している。定電圧を使用する時には、スイッチを通る電流を、スイッチのオン抵抗(Rds(exp))及び患者の組織Rの抵抗を含む、存在する抵抗に基づいて推定しなければならない。Rは、過去の経験に基づいて推定することも、或いは
図9Bに関連して上述したように測定することもできる。スイッチRdsp(exp)及びRdsn(exp)及び組織Rの一連の抵抗は分圧器を構築し、各スイッチの予想電圧降下は、Vdsp(exp)=(Vout1−Vout2)*(Rdsp(exp)/(Rdsp(exp)+Rdsn(exp)+R))、及びVdsn(exp)=(Vout1−Vout2)*(Rdsp(exp)/(Rdsp(exp)+Rdsn(exp)+R))に等しくなる。従って、Vdsp(exp)及びVdsn(exp)の値は、一般に2つの定電圧ソース300及び300'間の電位差の関数として求めることができる。従って、恐らくは上述したようにrange_p及びRange_nによって緩和されたこのような値を用いて、スイッチを通る電流の相対的レベルを識別することができ、従って、このような値をエラーチェックアルゴリズム170が使用して不具合状態を判定することができる。本明細書で使用する「電流ソース」は、定電流ソース又はシンクと定電圧ソース又はシンクの両方、又はこれらの一定でない形態を含むと理解されたい。
【0039】
また、2つの電流又は電圧ソースを使用することも必須ではない。例えば、
図13A〜
図13Cに、定電流PDAC60のみを用いて電流を供給し、対応する作動中のシンクが存在せず、代わりにソース電流が基準電位として受動的に接地に移動する例を示す。図示してはいないが、この単一のソースは、
図12A〜
図12Cを参照して説明したようなPDAC300などの定電圧ソースを含むこともできる。さらに、やはり図示してはいないが、この単一のソースが電流の帰還側に存在してもよい。従って、例えば、コンプライアンス電圧V+がソース電流に対する受動的基準電位として機能する状態で能動的に電流を供給するために使用される単一のNDAC60が存在してもよい。従って、電流分配回路の特定の構成に関わらず、引き続きエラーチェックアルゴリズム170を使用してスイッチの電圧降下をモニタし、不具合状態が存在するかどうかを判定することができる。
【0040】
同様に、
図14に示すように、エラーチェックアルゴリズム170を単一のスイッチマトリックス50と共に使用することもできる。この例では、対応するスイッチマトリックス50'が存在せず(
図2Aと比較)、代わりにソース電流は、選択された(1又は複数の)電極を通じ、組織Rを経由し、参照電極Erefを通って装置に戻る。Erefは、例えばIPG100の導電性ケース30を含むことができる(
図1A)。前述の実施形態と同様に、引き続きエラーチェックアルゴリズム170を使用してスイッチの電圧降下をモニタし、不具合状態が存在するかどうかを判定することができる。
【0041】
たとえ2つのスイッチマトリックス50及び50'を使用する場合でも、IPG100のどこで不具合が発生している可能性があるかについての全体像を把握することは好ましいが、これらの両マトリックス内の作動中のスイッチを測定することは必須ではない。さらに、両マトリックス50及び50'内の作動中のスイッチを同時に測定することも必須ではない。例えば、スイッチマトリックス50内のスイッチは、偶数パルスの送出中に測定することができ、スイッチマトリックス50'内のスイッチは、奇数パルスの送出中に測定することができる。この種の修正形態を使用する場合、
図5A又は
図5Bのモニタリング回路200を、単一のマルチプレクサ70とA/D変換器80を使用するように修正することができる。
【0042】
開示するモニタリング回路を使用する際には、電極間で電流ソースを共有することは必須ではない。例えば、
図15に示すように、各電極(Ex)には、各々が調整可能な振幅の電流(Ioutx及びIinx、振幅調整信号は図示せず)を生じるようにプログラム可能な専用の定電流ソース(PDAC60−x)及び定電流シンク(NDAC60−x')が設けられる。この場合も、開示したようなモニタリング回路及びエラーチェックアルゴリズムを用いてスイッチの電圧降下をモニタし、不具合状態が存在するかどうかを判定することができる。なお、
図15の方式を使用する場合、スイッチを通る予想電流を、その関連する電流ソース又はシンク(例えば、Vdsp1(exp)=Iout1*Rdsp(exp))によって求めることができるので、Vdsp(exp)及びVdsn(exp)を求めることはさらに容易である。ソース電流又はシンク電流が、共通のPDAC60又はNDAC60'から共有されないので、各スイッチを流れる電流の相対的予想量を推定又は測定する必要がない。
【0043】
ここまで、モニタリング回路は、作動中のスイッチのみの電圧を測定して不具合状態を推定すると仮定していたが、これは厳密には必須でない。例えば、
図6Bのモニタリング回路200''は、治療電流を送るために現在作動中であるかどうかに関わらず全てのスイッチの電圧降下を測定することができる。作動していない(オフの)スイッチをモニタすることは、他の種類の不具合状態を推定するために有用な場合がある。例えば、オフのスイッチには電流が流れないはずなので、このスイッチの電圧降下はゼロ(又はごくわずか)のはずである。それにもかかわらず、著しい電圧降下が検出された場合、スイッチが漏れを生じ、治療電流を流すべきでない時に少なくとも何らかの量の治療電流を流していることを示している。本明細書で説明した他の不具合状態の場合と同様に、対策ブロック190は、この結果を評価して適切な対策をとることができる。
【0044】
開示したモニタリング回路の利点は、正しいIPGの機能を、実際の治療電流(パルス)の送出中に原位置で判定できる点である。しかしながら、この利点はこれに限定されるものではない。これとは別に、又はこれに加えて、実際の治療刺激を開始する前などの、IPGが非作動の期間中にモニタリング回路を使用することもできる。このようにして、患者に治療を行うためのものではない、恐らくは患者が気付く可能性の低い、Iout=Iin=0.5mAなどの比較的小さな振幅の試験電流を用いて電極の各々をテストすることができる。電極の各々を循環し、その関連するスイッチの電圧降下をモニタして、実際の刺激を開始する前に不具合の評価を行うことができる。実際の刺激中に使用する予定の電極のみをこのようにしてテストすることも、たとえ直ぐに使用する予定はなくても全ての電極をテストすることもできる。また、この種の試験パルスを実際の刺激パルスと交互に送出することもできる。従って、実際の刺激パルスを周波数fで送出し、低振幅の試験パルスを同じ周波数で、ただし実際の刺激パルスと180度位相をずらして送出することができる。
【0045】
当業者であれば、本明細書で開示したあらゆる修正を他の開示した修正と組み合わせて使用することもできると理解するであろう。
【0046】
本発明の特定の実施形態を図示し説明したが、上記の説明は本発明をこれらの実施形態に限定するものではないと理解されたい。当業者には、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行えることが明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲に定める本発明の思想及び範囲に含まれ得る代替物、修正物及び同等物も対象とすることが意図されている。
【0047】
以下に本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)埋め込み型刺激装置であって、複数の電極と、少なくとも1つの電流を生じるように構成された少なくとも1つの電流ソースと、前記少なくとも1つの電流を1つ又はそれ以上の電極に、又は前記1つ又はそれ以上の電極から分配するように選択可能な複数のスイッチと、前記スイッチの少なくとも1つにかかる電圧を測定して不具合状態が発生しているかどうかを判定するように構成されたモニタリング回路と、を備えることを特徴とする埋め込み型刺激装置。
(実施態様2)前記モニタリング回路は、前記スイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を予想範囲と比較することによって不具合状態が発生しているかどうかを判定する、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様3)前記予想範囲は、前記スイッチのオン抵抗に基づく、ことを特徴とする実施態様2に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様4)前記予想範囲は、単一の閾値によって定められる、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様5)前記予想範囲は、下限及び上限によって定められる、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様6)N個の電極に対応するN個のスイッチが存在する、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様7)前記少なくとも1つの電流ソースは、少なくとも1つの定電流ソースを含み、前記少なくとも1つの電流は、少なくとも1つの定電流を含む、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様8)前記少なくとも1つの定電流ソースにおいて、前記少なくとも1つの定電流の振幅が調整可能である、ことを特徴とする実施態様7に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様9)前記少なくとも1つの定電流ソースは、前記1つ又はそれ以上の電極に少なくとも1つの電流を供給し、或いは前記1つ又はそれ以上の電極から少なくとも1つの電流を受け取る、ことを特徴とする実施態様7に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様10)前記少なくとも1つの電流ソースは、少なくとも1つの定電圧を生じて前記少なくとも1つの電流を生じるための少なくとも1つの定電圧ソースを含む、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様11)前記少なくとも1つの定電圧ソースにおいて、前記少なくとも1つの定電圧の振幅が調整可能である、ことを特徴とする実施態様10に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様12)前記モニタリング回路は、前記少なくとも1つの電流を前記1つ又はそれ以上の電極に、又は前記1つ又はそれ以上の電極から分配するように選択された前記スイッチにかかる前記電圧のみを測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様13)前記モニタリング回路は、前記少なくとも1つの電流を前記1つ又はそれ以上の電極に、又は前記1つ又はそれ以上の電極から分配するように選択されていない前記スイッチにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様14)前記モニタリング回路は、全ての前記スイッチにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様15)前記少なくとも1つの電流は、患者の組織を刺激するための治療電流を含み、前記モニタリング回路は、前記患者の組織への前記治療電流の供給中に前記スイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様16)前記少なくとも1つの電流は、患者の治療を目的としない試験電流を含み、前記モニタリング回路は、前記試験電流の供給中に前記スイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様17)前記モニタリング回路は、前記スイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を測定するための少なくとも1つの増幅器を含む、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様18)前記不具合状態は、前記電極の1つの開回路又は短絡を含む、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様19)前記モニタリング回路は、制御回路をさらに含み、該制御回路に前記不具合状態が報告されて対策が可能にされる、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様20)前記対策は、前記電流を停止すること、警告を発すること、前記不具合状態を前記埋め込み型刺激装置のメモリに記録すること、又は前記埋め込み型刺激装置の外部の装置に前記不具合状態を遠隔通信することのうちの1つ又はそれ以上を含む、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様21)前記少なくとも1つの電流を2つの電極に分配するために2つのスイッチが選択され、前記モニタリング回路は、2つの選択されたスイッチにかかる電圧を測定して不具合状態が発生しているかどうかを判定するように構成される、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様22)前記2つの選択されたスイッチにかかる前記電圧は同時に測定される、ことを特徴とする実施態様21に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様23)前記2つの選択されたスイッチにかかる前記電圧は同時に測定されない、ことを特徴とする実施態様21に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様24)1つの電流を生じるように構成された電流ソースが1つだけ存在する、ことを特徴とする実施態様1に記載の埋め込み型刺激装置。
【0048】
(実施態様25)埋め込み型刺激装置であって、複数の電極と、少なくとも1つの電流を生じるように構成された少なくとも1つの第1の電流ソースと、前記少なくとも1つの第1の電流ソースに結合され、前記少なくとも1つの電流を1つ又はそれ以上の電極に分配するように選択可能な複数の第1のスイッチと、前記少なくとも1つの電流を1つ又はそれ以上の電極から分配するように選択可能な複数の第2のスイッチと、前記複数の第1のスイッチの少なくとも1つ及び前記複数の第2のスイッチの少なくとも1つにかかる電圧を測定して不具合状態が発生しているかどうかを判定するように構成されたモニタリング回路と、を備えることを特徴とする埋め込み型刺激装置。
(実施態様26)前記モニタリング回路は、前記第1又は第2のスイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を予想範囲と比較することによって不具合状態が発生しているかどうかを判定する、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様27)前記予想範囲は、前記第1又は第2のスイッチのオン抵抗に基づく、ことを特徴とする実施態様26に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様28)N個の電極に対応するN個の第1のスイッチ及びN個の第2のスイッチが存在する、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様29)前記モニタリング回路は、前記少なくとも1つの電流を前記1つ又はそれ以上の電極に、及び前記1つ又はそれ以上の電極から分配するように選択された前記第1及び第2のスイッチにかかる前記電圧のみを測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様30)前記モニタリング回路は、前記少なくとも1つの電流を前記1つ又はそれ以上の電極に、及び前記1つ又はそれ以上の電極から分配するように選択されていない前記第1及び第2のスイッチにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様31)前記モニタリング回路は、全ての前記第1及び第2のスイッチにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様32)前記少なくとも1つの電流は、患者の組織を刺激するための治療電流を含み、前記モニタリング回路は、前記患者の組織への前記治療電流の供給中に前記複数の第1のスイッチの少なくとも1つ及び前記複数の第2のスイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様33)前記少なくとも1つの電流は、患者の治療を目的としない試験電流を含み、前記モニタリング回路は、前記試験電流の供給中に前記複数の第1のスイッチの少なくとも1つ及び前記複数の第2のスイッチの少なくとも1つにかかる前記電圧を測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様34)前記不具合状態は、前記電極の1つの開回路又は短絡を含む、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様35)前記モニタリング回路は制御回路をさらに含み、該制御回路に前記不具合状態が報告されて対策が可能にされる、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様36)前記対策は、前記電流を停止すること、警告を発すること、前記不具合状態を前記埋め込み型刺激装置のメモリに記録すること、又は前記埋め込み型刺激装置の外部の装置に前記不具合状態を遠隔通信することのうちの1つ又はそれ以上を含む、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様37)前記モニタリング回路は、前記複数の第1のスイッチの少なくとも1つ及び前記複数の第2のスイッチの少なくとも1つにかかる電圧を同時に測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様38)前記モニタリング回路は、前記複数の第1のスイッチの少なくとも1つにかかる電圧を第1の時点で測定し、前記複数の第2のスイッチの少なくとも1つにかかる電圧を第2の時点で測定するように構成される、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様39)前記少なくとも1つの電流を受け取り又は供給するように構成された、前記第2のスイッチに結合された少なくとも1つの第2の電流ソースをさらに備える、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様40)1つの電流を生じるように構成された第1の電流ソースが1つだけ存在し、前記電流を受け取り又は供給するための第2の電流ソースが1つだけ存在する、ことを特徴とする実施態様39に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様41)前記少なくとも1つの電流を受け取り又は供給するため前記第2のスイッチに結合された基準電位をさらに含む、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。
(実施態様42)1つの電流を生じるように構成された第1の電流ソースが1つだけ存在する、ことを特徴とする実施態様25に記載の埋め込み型刺激装置。