特許第6355099号(P6355099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355099
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】コンデンサーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/236 20060101AFI20180702BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20180702BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   H01G4/236
   H01G4/228 S
   H01G2/02 101E
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-114354(P2014-114354)
(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-228462(P2015-228462A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591040373
【氏名又は名称】ルビコン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000190091
【氏名又は名称】ルビコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】野口 和也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 高久
【審査官】 馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−169322(JP,A)
【文献】 特開2013−161864(JP,A)
【文献】 特開2007−324311(JP,A)
【文献】 特開2013−33845(JP,A)
【文献】 特開2013−84787(JP,A)
【文献】 特開2008−288242(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0263845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/236
H01G 2/02
H01G 4/228
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサー素子を収納するケースと、当該ケースの外部に突出して設けられ、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に接続するための板状の陽極側外部接続端子部及び板状の陰極側外部接続端子部を有するコンデンサーモジュールであって、
前記陽極側外部接続端子部は、n(nは2以上の整数)個の陽極側外部接続凸片と、当該n個の陽極側外部接続凸片の根元部を相互に連結する陽極側連結部とを有し、
前記陰極側外部接続端子部は、n個の陰極側外部接続凸片と、当該n個の陰極側外部接続凸片の根元部を相互に連結する陰極側連結部とを有し、
前記n個の陽極側外部接続凸片及び前記n個の陰極側外部接続凸片は、前記n個の陽極側外部接続凸片と前記n個の陰極側外部接続凸片とがそれぞれ対をなしてn組の外部接続凸片が形成され、
各前記陽極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陽極側端子部に接続される陽極側外部接続領域と、前記n個の陰極側外部接続凸片のうちの少なくとも1個の陰極側外部接続凸片の一部に重なり合う陽極側重なり領域とを有し、
各前記陰極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陰極側端子部に接続される陰極側外部接続領域と、前記n個の陽極側外部接続凸片のうちの少なくとも1個の陽極側外部接続凸片の前記陽極側重なり領域に重なり合う陰極側重なり領域とを有し、
前記n組の各組に属する陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片は、同じ組に属する各前記陽極側重なり領域と各前記陰極側重なり領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置されているとともに、各前記陽極側外部接続凸片及び各前記陰極側外部接続凸片の並び方向において互いに隣り合う一方の組に属する前記陽極側外部接続凸片の前記陽極側重なり領域と他方の組に属する前記陰極側外部接続凸片の前記陰極側重なり領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置され、かつ、前記陽極側連結部及び前記陰極側連結部は、絶縁部材を介してほぼ全面に重なりを有して配置されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のコンデンサーモジュールにおいて、
前記n個の陽極側外部接続凸片のうち、前記隣り合う組に属する前記陰極側外部接続凸片とにおいても重なりを有して配置されている前記陽極側外部接続凸片は、前記同じ組に属する陰極側外部接続凸片とのみに重なりを有して配置されている前記陽極側外部接続凸片よりも並び方向の幅が広く形成されており、
前記n個の陰極側外部接続凸片のうち、前記隣り合う組に属する前記陽極側外部接続凸片とにおいても重なりを有して配置されている前記陰極側外部接続凸片は、前記同じ組に属する陽極側外部接続凸片とのみに重なりを有して配置されている前記陰極側外部接続凸片よりも並び方向の幅が広く形成されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンデンサーモジュールにおいて、
前記n個の陽極側外部接続凸片の並び方向において一端側に位置する陽極側外部接続凸片における前記陽極側重なり領域の根元部には前記連結部の延長となる陽極側延長領域が当該陽極側重なり領域から外方に延出形成されており、
前記n個の陰極側外部接続凸片の並び方向において前記一端側とは反対側の他端側に位置する陰極側外部接続凸片における前記陰極側重なり領域の根元部には前記連結部の延長となる陰極側延長領域が当該陰極側重なり領域から外方に延出形成されており、
前記陽極側延長領域と前記一端側に位置する前記陰極側外部接続領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置され、前記陰極側延長領域と前記他端側に位置する陽極側外部接続領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサーモジュールにおいて、
前記絶縁部材には、当該絶縁部材の内部に前記陽極側外部接続凸片及び前記陰極側外部接続凸片に対して電気的に非接続となっている導電性部材が設けられていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサーモジュールにおいて、
各々の前記陽極側外部接続領域及び各々の前記陰極側外部接続領域は、
各々の前記陽極側外部接続領域の前記外部モジュールの陽極側端子部に接触する接続面と、各々の前記陰極側外部接続領域の前記外部モジュールの陰極側端子部に接触する接続面とがほぼ同一平面上に存在可能とするように、当該陽極側外部接続領域及び前記陰極側外部接続領域のうちの少なくとも一方が、折り曲げ加工されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサーモジュールにおいて、
各々の前記陽極側外部接続領域及び各々の前記陰極側外部接続領域は、
各々の前記陽極側外部接続領域の前記外部モジュールの陽極側端子部に接触する接続面と、各々の前記陰極側外部接続領域の前記外部モジュールの陰極側端子部に接触する接続面とがほぼ同一平面上に存在可能で、かつ、各々の前記陽極側重なり領域及び各々の前記陰極側重なり領域のうち前記外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域が、前記外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に対して離隔するように当該陽極側外部接続領域及び前記陰極側外部接続領域が折り曲げ加工されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のコンデンサーモジュールにおいて、
各々の前記陽極側重なり領域及び各々の前記陰極側重なり領域には、当該陽極側重なり領域と当該陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くするための絶縁性の沿面距離延長部材が設けられていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のコンデンサーモジュールにおいて、
前記沿面距離延長部材は、各々の前記陽極側重なり領域の側端部及び先端部と、当該陽極側重なり領域の側端部及び先端部から連続した当該陽極側重なり領域の外側表面の少なくとも一部と、各々の前記陰極側重なり領域の側端部及び先端部と、当該陰極側重なり領域の側端部及び先端部から連続した当該陰極側重なり領域の外側表面の少なくとも一部とを覆うとともに、当該陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間に介在されるように設けられていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載のコンデンサーモジュールにおいて、
前記沿面距離延長部材は、合成樹脂材によってキャップ状に形成されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【請求項10】
請求項8に記載のコンデンサーモジュールにおいて、
前記沿面距離延長部材は、折り曲げ自在の絶縁部材で形成されていることを特徴とするコンデンサーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサー素子を収納するケースの外部に外部接続端子部が設けられているコンデンサーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
大電力用回路に用いられる平滑用のコンデンサー素子として、例えば、フィルムコンデンサー素子が広く用いられている。フィルムコンデンサー素子は、個々のフルムコンデンサー素子の容量が電解コンデンサー素子などに比べて比較的小さいため、大容量が必要となった場合には、複数個のフィルムコンデンサー素子を並列接続して必要な容量を得ることが一般的に行われている。
【0003】
また、大電力に適用可能とするために、複数個のフィルムコンデンサー素子を並列接続する際には、バスバーと呼ばれる2枚の電極板を用いて、一方の電極板(陽極側電極板とする。)によって複数のコンデンサー素子の各陽極を接続し、他方の電極板(陰極側電極板とする。)によって複数のコンデンサー素子の各陰極を接続する。
【0004】
そして、複数個のフィルムコンデンサー素子、陽極側電極板及び陰極側電極板は、合成樹脂などからなるケース内に収納され、当該ケース内には樹脂が充填されている。また、ケースの外部には、コンデンサー素子を外部モジュールに電気的に接続するための外部接続端子(陽極側外部接続端子部と陰極側外部接続端子部とからなる。)が突出している。陽極側外部接続端子部は陽極側電極板に一体形成されており、陰極側外部接続端子部は陰極側電極板に一体形成されている。
【0005】
なお、本明細書においては、複数個のフィルムコンデンサー素子、陽極側電極板及び陰極側電極板、ケース、ケース内に充填されている樹脂、ケースの外部に突出している陽極側外部接続端子部及び陰極側外部接続端子部を含めて「コンデンサーモジュール」と呼ぶことにする。
【0006】
このように構成されているコンデンサーモジュールにおいて、配線によるインダクタンスを低減する構造(インダクタンス低減構造という。)を採用したコンデンサーモジュールが従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
図12は、特許文献1に記載されたコンデンサーモジュールにおいて採用されているインダクタンス低減構造を説明するために示す図である。なお、特許文献1においては、コンデンサーモジュールを「ケース入りコンデンサー」としている。
【0008】
特許文献1に記載されたコンデンサーモジュール(ケース入りコンデンサー)において採用されているインダクタンス低減構造(以下、従来のインダクタンス低減構造という。)は、図12に示すように、一方の電極板(陽極側電極板910とする。)に一体的に形成されている陽極側外部接続端子としての陽極側外部接続凸片920と、他方の電極板(陰極側電極板とする。)930に一体的に形成されている陰極側外部接続端子としての陰極側外部接続凸片940とが、絶縁部材950を介して一部(図12においてハッチングを施した領域S)が重なりを有して配置されている。なお、陽極側外部接続凸片920と陰極側外部接続凸片940とは対をなしており、外部モジュール(図示せず。)の陽極側端子部及び陰極側端子部に接続される。
【0009】
一方、陽極側電極板910はケース(図示せず。)内において複数のコンデンサー素子(図示せず。)の陽極に接続されており、陰極側電極板930はケース(図示せず。)内において複数のコンデンサー素子(図示せず。)の各陰極に接続されている。そして、これら陽極側電極板910及び陰極側電極板930は絶縁部材950を介して殆どの領域が重なりを有して配置されている。
【0010】
従来のインダクタンス低減構造によれば、陽極側電極板910と陰極側電極板930との殆どの領域が重なりを有するように配置されていることにより、当該陽極側電極板910及び陰極側電極板930において発生するインダクタンスを低減できる。また、陽極側外部接続凸片920及び陰極側外部接続凸片940も一部が重なりを有するように配置されていることから、当該陽極側外部接続凸片920及び陰極側外部接続凸片940において発生するインダクタンスを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−324311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示されているコンデンサーモジュール(ケース入りコンデンサー)においては、対をなす陽極側外部接続凸片920及び陰極側外部接続凸片940は一組のみである場合が示されている。
【0013】
従って、仮に、特許文献1に開示されているコンデンサーモジュールの接続対象となる外部モジュールが複数組(例えば2組とする。)の陽極側端側子部及び陰極側端子部を有し、これら複数組(2組)の陽極側端側子部及び陰極側端子部にそれぞれ特許文献1に開示されているコンデンサーモジュールを接続する場合には、当該特許文献1に開示されているコンデンサーモジュールを複数個(2個)必要とする。これを1つのコンデンサーモジュールで可能とするには、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片が複数組(2組)設けられているコンデンサーモジュールを構成する必要がある。
【0014】
このように、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片が複数組設けられているコンデンサーモジュールを構成した場合、当該コンデンサーモジュールにおいて、複数組の陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片で発生するインダクタンスを低減させるには、特許文献1に記載されているインダクタンス低減構造にさらなる工夫を加えることが必要となる。
【0015】
そこで、本発明は、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片が複数組設けられているコンデンサーモジュールにおいて、各組の陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片において発生するインダクタンスの低減効果をより高めることができるコンデンサーモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[1]本発明のコンデンサーモジュールは、コンデンサー素子を収納するケースと、当該ケースの外部に突出して設けられ、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に接続するための板状の陽極側外部接続端子部及び板状の陰極側外部接続端子部を有するコンデンサーモジュールであって、前記陽極側外部接続端子部は、n(nは2以上の整数)個の陽極側外部接続凸片と、当該n個の陽極側外部接続凸片の根元部を相互に連結する陽極側連結部とを有し、前記陰極側外部接続端子部は、n個の陰極側外部接続凸片と、当該n個の陰極側外部接続凸片の根元部を相互に連結する陰極側連結部とを有し、前記n個の陽極側外部接続凸片及び前記n個の陰極側外部接続凸片は、前記n個の陽極側外部接続凸片と前記n個の陰極側外部接続凸片とがそれぞれ対をなしてn組の外部接続凸片が形成され、各前記陽極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陽極側端子部に接続される陽極側外部接続領域と、前記n個の陰極側外部接続凸片のうちの少なくとも1個の陰極側外部接続凸片の一部に重なり合う陽極側重なり領域とを有し、各前記陰極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陰極側端子部に接続される陰極側外部接続領域と、前記n個の陽極側外部接続凸片のうちの少なくとも1個の陽極側外部接続凸片の前記陽極側重なり領域に重なり合う陰極側重なり領域とを有し、前記n組の各組に属する陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片は、同じ組に属する各前記陽極側重なり領域と各前記陰極側重なり領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置されているとともに、各前記陽極側外部接続凸片及び各前記陰極側外部接続凸片の並び方向において互いに隣り合う一方の組に属する前記陽極側外部接続凸片の前記陽極側重なり領域と他方の組に属する前記陰極側外部接続凸片の前記陰極側重なり領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置され、かつ、前記陽極側連結部及び前記陰極側連結部は、絶縁部材を介してほぼ全面に重なりを有して配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明のコンデンサーモジュールは、n(nは2以上の整数)個の陽極側外部接続凸片とn個の陰極側外部接続凸片とが個々に対をなしてn組の外部接続凸片が形成されているコンデンサーモジュールであって、このようなコンデンサーモジュールにおいて、陽極側外部接続凸片及び陽極側外部接続凸片は、同じ組に属する陽極側外部接続凸片の陽極側重なり領域と陰極側外部接続凸片の陰極側重なり領域とが重なりを有して配置されているとともに、各陽極側外部接続凸片及び各陰極側外部接続凸片の並び方向において互いに隣り合う一方の組に属する陽極側外部接続凸片の陽極側重なり領域と他方の組に属する陰極側外部接続凸片の陰極側重なり領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置され、かつ、陽極側連結部及び陰極側連結部は、絶縁部材を介してほぼ全面に重なり有して配置されている。このため、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片がn組(複数組)設けられているコンデンサーモジュールにおいて、各組の陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片において発生するインダクタンスの低減効果をより高めることができる。
【0018】
また、各陽極側外部接続凸片及び各陰極側外部接続凸片は、上記したように、それぞれにおいて重なり領域を有しているため、それぞれの並び方向の幅(横幅という。)が広くなっている。このように、各陽極側外部接続凸片及び各陰極側外部接続凸片の横幅が広くなっているということは、これら各陽極側外部接続凸片及び前記各陰極側外部接続凸片において電流を流すことができる面積(表面積及び断面積)が大きくなるということにつながる。これにより、大電流を流す場合であっても電流が流れやすくなるため、各陽極側外部接続凸片と各陰極側外部接続凸片の発熱を抑制することができるという効果が得られる。さらに、各陽極側外部接続凸片及び前記各陰極側外部接続凸片の表面積が広くなることから放熱性にも優れるという効果が得られる。さらに、各陽極側外部接続凸片及び前記各陰極側外部接続凸片の面積が広くなることから機械的強度も高めることができるといった効果も得られる。
【0019】
ここで、外部モジュールの陽極側端子部と陰極側端子部との間隔(対をなす陽極側端子部と陰極側端子部との間隔)は、外部モジュールの種類などによって、それぞれの種類ごとに所定の間隔が設定されている場合が多いため、各陽極側外部接続凸片の陽極側外部接続領域と各陰極側外部接続凸片の陰極側外部接続領域との間隔(ピッチ)が決められているといった制約がある。しかし、このような制約があっても、各陽極側外部接続凸片及び各陰極側外部接続凸片それぞれに重なり領域を形成することにより、インダクタンの低減効果をより高め、発熱を抑制し、機械的強度も高めつつ、ピッチを維持することが可能となる。
【0020】
[2]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記n個の陽極側外部接続凸片のうち、前記隣り合う組に属する前記陰極側外部接続凸片とにおいても重なりを有して配置されている前記陽極側外部接続凸片は、前記同じ組に属する陰極側外部接続凸片とのみに重なりを有して配置されている前記陽極側外部接続凸片よりも並び方向の幅が広く形成されており、前記n個の陰極側外部接続凸片のうち、前記隣り合う組に属する前記陽極側外部接続凸片とにおいても重なりを有して配置されている前記陰極側外部接続凸片は、前記同じ組に属する陽極側外部接続凸片とのみに重なりを有して配置されている前記陰極側外部接続凸片よりも並び方向の幅が広く形成されている。
【0021】
このような構成とすることにより、隣り合う組に属する陰極側外部接続凸片とにおいても重なりを有して配置されている陽極側外部接続凸片及び隣り合う組に属する陽極側外部接続凸片とにおいても重なりを有して配置されている陰極側外部接続凸片は、面積(表面積及び断面積)をより大きくすることができる。このため、陽極側外部接続凸片と陰極側外部接続凸片の発熱を抑制することができる効果、放熱性に優れるという効果、さらに、機械的強度も高めることができるという効果をそれぞれより大きくすることができる。
【0022】
[3]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記n個の陽極側外部接続凸片の並び方向において一端側に位置する陽極側外部接続凸片における前記陽極側重なり領域の根元部には前記連結部の延長となる陽極側延長領域が当該陽極側重なり領域から外方に延出形成されており、前記n個の陰極側外部接続凸片の並び方向において前記一端側とは反対側の他端側に位置する陰極側外部接続凸片における前記陰極側重なり領域の根元部には前記連結部の延長となる陰極側延長領域が当該陰極側重なり領域から外方に延出形成されており、前記陽極側延長領域と前記一端側に位置する前記陰極側外部接続領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置され、前記陰極側延長領域と前記他端側に位置する陽極側外部接続領域とが絶縁部材を介して重なりを有して配置されていることが好ましい。
【0023】
このように、陽極側延長領域及び陰極側延長領域がそれぞれ延出形成され、陽極側延長領域は一端側に位置する陰極側外部接続領域に重なりを有して配置されているとともに、陰極側延長領域は他端側に位置する陽極側外部接続領域に重なりを有して配置されている。このため、重なり領域をより広くすることができ、それによって、インダクタンスの低減効果をより高めることができ、これによっても、上記[1]で述べた効果のうち、「各陽極側外部接続凸片と各陰極側外部接続凸片の発熱を抑制することができ、放熱性にも優れ、さらに、機械的強度も高めることができる」といった効果をより大きくすることができる。
【0024】
[4]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記絶縁部材には、当該絶縁部材の内部に前記陽極側外部接続凸片及び前記陰極側外部接続凸片に対して電気的に非接続となっている導電性部材が設けられていることが好ましい。
【0025】
このように、陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片に対して電気的に非接続となっている導電性部材を絶縁性部材の内部に設けることにより、インダクタンスの低減効果がより高められることが実験により確かめられている。
【0026】
[5]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記各陽極側外部接続凸片における各々の前記陽極側外部接続領域及び前記各陰極側外部接続凸片における各々の前記陰極側外部接続領域は、前記陽極側外部接続領域の前記外部モジュールの陽極側端子部に接触する接続面と、前記陰極側外部接続領域の前記外部モジュールの陰極側端子部に接触する接続面とがほぼ同一平面上に存在可能とするように、当該陽極側外部接続領域及び前記陰極側外部接続領域のうちの少なくとも一方が、折り曲げ加工されていることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることにより、外部モジュールの陽極側端子部と陰極側端子部とが同一平面に存在するような場合、陽極側外部接続領域の接続面と陰極側外部接続領域の接続面とを外部モジュールの陽極側端子部と陰極側接続端子の存在する平面にスペーサーなどを用いることなく接触させることができる。これにより、本発明のコンデンサーモジュールを外部モジュールに接続する際の接続作業を容易なものとすることができる。
【0028】
[6]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記各陽極側外部接続凸片における各々の前記陽極側外部接続領域及び前記各陰極側外部接続凸片における各々の前記陰極側外部接続領域は、前記陽極側外部接続領域の前記外部モジュールの陽極側端子部に接触する接続面と、前記陰極側外部接続領域の前記外部モジュールの陰極側端子部に接触する接続面とがほぼ同一平面上に存在可能で、かつ、前記陽極側重なり領域及び前記陰極側重なり領域のうち前記外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域が、前記外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に対して離隔するように当該陽極側外部接続領域及び前記陰極側外部接続領域が折り曲げ加工されていることが好ましい。
【0029】
このような構成とすることによっても、外部モジュールの陽極側端子部と陰極側端子部とが同一平面に存在するような場合、陽極側外部接続領域の接続面及び陰極側外部接続領域の接続面を外部モジュールの陽極側端子部と陰極側接続端子の存在する平面にスペーサーなどを用いることなく接触させることができる。これにより、本発明のコンデンサーモジュールを外部モジュールに接続する際の接続作業を容易なものとすることができる。
【0030】
また、陽極側重なり領域及び陰極側重なり領域のうち外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域が、外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に対して離隔するように当該陽極側外部接続領域及び陰極側外部接続領域が折り曲げ加工されているため、陽極側外部接続領域の接続面と陰極側外部接続領域の接続面とを外部モジュールの陽極側端子部と陰極側接続端子に接触させたときに、外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域と外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部との間に隙間が形成される。
【0031】
このため、例えば、仮に、外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域と、当該外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部との間に何らかの部材(例えば、沿面距離を長くするための部材など)が介在される場合であっても、沿面距離を長くするための部材(沿面距離延長部材という。)を上記隙間に収めることができる。それにより、陽極側外部接続領域の接続面及び陰極側外部接続領域の接続面を外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に接触させる際に、沿面距離延長部材の存在が邪魔になることを防止することができる。
【0032】
[7]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記陽極側重なり領域及び前記陰極側重なり領域には、当該陽極側重なり領域と当該陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くするための絶縁性の沿面距離延長部材が設けられていることが好ましい。
【0033】
このような構成とすることにより、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。それにより、沿面距離が短いことによって生じる課題、すなわち、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。
【0034】
[8]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記沿面距離延長部材は、前記陽極側重なり領域の側端部及び先端部と、当該陽極側重なり領域の側端部及び上端部から連続した当該陽極側重なり領域の外側表面の少なくとも一部と、前記陰極側重なり領域の側端部及び上端部と、当該陰極側重なり領域の側端部及び上端部から連続した当該陰極側重なり領域の外側表面の少なくとも一部とを覆うとともに、当該陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間に介在されるように設けられていることが好ましい。
【0035】
このような構成とすることにより、各陽極側重なり領域と各陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。
【0036】
[9]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記絶縁部材は、合成樹脂材によってキャップ状に形成されていることが好ましい。
【0037】
沿面距離延長部材がこのように形成されたものであることにより、各陽極側重なり領域と各陰極側重なり領域との間の沿面距離を確実に長くすることができる。
【0038】
[10]本発明のコンデンサーモジュールにおいては、前記絶縁部材は、折り曲げ自在の絶縁部材で形成されていることも好ましい。
【0039】
沿面距離延長部材がこのように形成されたものであることによっても、各陽極側重なり領域と各陰極側重なり領域との間の沿面距離を確実に長くすることができる。
【0040】
[11]本発明のコンデンサーモジュールは、コンデンサーを収納するケースと、当該ケースの外部に突出して設けられ、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に接続するための板状の陽極側外部接続端子部と板状の陰極側外部接続端子部とを有するコンデンサーモジュールであって、前記陽極側外部接続端子部は、陽極側外部接続凸片を有し、前記陰極側外部接続端子部は、陰極側外部接続凸片を有し、前記陽極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陽極側端子部に接続される陽極側外部接続領域と、前記陰極側外部接続凸片の一部に絶縁部材を介して重なり合う陽極側重なり領域とを有し、前記陰極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陰極側端子部に接続される陰極側外部接続領域と、前記陽極側外部接続凸片の前記陽極側重なり領域に絶縁部材を介して重なり合う陰極側重なり領域とを有し、前記陽極側外部接続凸片及び陽極側外部接続凸片は、前記陽極側重なり領域と前記陰極側重なり領域とが重なりを有して配置されているとともに、前記陽極側重なり領域及び前記陰極側重なり領域には、当該陽極側重なり領域と当該陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くするための絶縁性の沿面距離延長部材が設けられていることを特徴とする。
【0041】
これは、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸の組数に関係なく、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域に沿面距離延長部材を設けることにより、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることを可能とするものである。それにより、沿面距離が短いことによって生じる課題、すなわち、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。なお、[11]に記載の本発明のコンデンサーモジュールにおいても、[1]〜[10]に記載の特徴を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】実施形態1に係るコンデンサーモジュール10の外観を外部端子部300(陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとを有する。)の側から見た図である。
図2図1に示すコンデンサーモジュールにおける陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとをそれぞれ個別に示す模式図である。
図3図1に示す外部接続端子部300における陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとの配置を示す模式図である。
図4】陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとの重なり領域に介在される絶縁部材500を示す図である。
図5】実施形態2に係るコンデンサーモジュール20における陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとの配置を示す模式図である。
図6】実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の第1変形例を示す図である。
図7】実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の第2変形例を示す図である。
図8】実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第1態様を説明するために示す図である。
図9】実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第2態様を説明するために示す図である。
図10】実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第3態様を説明するために示す図である。
図11】絶縁部材500の内部に、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bに対して電気的に非接続となっている導電性部材を設けた場合を説明するために示す図である。
図12】特許文献1に記載されたコンデンサーモジュールにおいて採用されているインダクタンス低減構造を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0044】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10の外観を外部接続端子部300(陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとを有する。)の側から見た図である。
図2は、図1に示すコンデンサーモジュールにおける外部接続端子部300陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとをそれぞれ個別に示す模式図である。図2(a)は陽極側外部接続端子部300Aを示す図であり、図2(b)は陰極側外部接続端子部300Bを示す図である。
【0045】
図3は、図1に示す外部接続端子部300における陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとの配置を模式的に示す模式図である。なお、図3図1におけるa−a矢視拡大断面図である。但し、図3においては、コンデンサーモジュール10のケース200は図示が省略されている。また、図3は拡大図で、かつ、模式図であるため、図1における各部とは寸法が一致しない。
図4は、陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとの重なり領域に介在される絶縁部材500を示す図である。なお、重なり領域については後述する。
【0046】
以下、図1図4を参照して実施形態1に係るコンデンサーモジュール10を説明する。
実施形態1に係るコンデンサーモジュール10は、複数のフィルムコンデンサー(図示せず。)を収納するケース200と、当該ケース200の外部に突出して設けられ、外部モジュール(図示せず。)に接続するための外部接続端子部300、複数のコンデンサーに所定の電力を供給する陽極側入力端子400A及び陰極側入力端子400Bとを備えている。なお、外部接続端子部300は、板状の陽極側外部接続端子部300Aと板状の陰極側外部接続端子部300Bとを有している。
【0047】
陽極側外部接続端子部300Aは、n個(2個とする。)の陽極側外部接続凸片310A,320Aと、当該2個の陽極側外部接続凸片310A,320Aの根元部を相互に連結する陽極側連結部330Aとを有している。
陰極側外部接続端子部300Bも同様に、n個(2個とする。)の陰極側外部接続凸片310B,320Bと、当該2個の陰極側外部接続凸片310B,320Bの根元部を相互に連結する陰極側連結部330Bとを有している。
【0048】
また、各陽極側外部接続凸片310A,320Aの並び方向において一端側(図2においては右端側とする。)に位置する陽極側外部接続凸片320A(図2(a)参照。)における陽極側重なり領域322Aの根元部には連結部(陽極側連結部330A)の延長となる陽極側延長領域340Aが当該陽極側重なり領域322Aから外方(図2においては右側の外方)に延出形成されている。また、各陰極側外部接続凸片310B,320Bの並び方向において他端側(図2においては左端側とする。)に位置する陰極側外部接続凸片310B(図2(b)参照。)における陰極側重なり領域312Bの根元部には連結部(陰極側連結部330B)の延長となる陰極側延長領域340Bが当該陰極側重なり領域312Bから外方(図2においては左側の外方)に延出形成されている。
【0049】
そして、これら陽極側延長領域340Aと一端側(図2においては右端側)に位置する陰極側外部接続領域321Bの根元部とが絶縁部材500(図2においては図示せず。)を介して重なりを有して配置され、陰極側延長領域340Bと他端側(図2においては左端側)に位置する陽極側外部接続領域311Aの根元部とが絶縁部材500(図2においては図示せず。)を介して重なりを有して配置されている。
【0050】
ところで、上記2個の陽極側外部接続凸片310A,320A及び2個の陰極側外部接続凸片310B,320Bは、陽極側外部接続凸片310Aと陰極側外部接続凸片310Bとが対をなし、陽極側外部接続凸片320Aと陰極側外部接続凸片320Bとが対をなしている。
【0051】
このように、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10においては、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片が2組設けられている。そして、同じ組に属する陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片は、当該陽極側外部接続凸片と陰極側外部接続凸片とにおける隣り合う端部付近の一部に重なり領域を有した配置となっている。
【0052】
すなわち、2組のうちの一方の組(第1組という。)に属する陽極側外部接続凸片310Aと陰極側外部接続凸片310Bは、当該第1組に属する陽極側外部接続凸片310Aと陰極側外部接続凸片310Bとにおける隣り合う端部付近の一部に重なり領域S1を有した配置となっている。具体的には、陽極側外部接続凸片310Aの図示右端部側の所定領域と陰極側外部接続凸片310Bの図示左端部側の所定領域とに重なり領域S1が形成されている。
【0053】
また、他方の組(第2組という。)に属する陽極側外部接続凸片320Aと陰極側外部接続凸片320Bは、当該第2組に属する陽極側外部接続凸片320Aと陰極側外部接続凸片320Bとにおける隣り合う端部付近の一部に重なり領域S2を有した配置となっている。具体的には、陽極側外部接続凸片320Aの図示右端部側の所定領域と陰極側外部接続凸片320Bの図示左端部側の所定領域とに重なり領域S2が形成されている。
【0054】
また、同じ組に属する陽極側外部接続凸片と陰極側外部接続凸片とにおける隣り合う端部付近の一部に重なり領域S1,S2を有した配置となっていることに加えて、互いに隣り合う組(この場合、第1組と第2組)同士においても、当該隣り合う一方の組に属する陽極側外部接続凸片と他方の組に属する陰極側外部接続凸片とにおける隣り合う端部付近の一部に重なり領域を有して配置されている。この場合、一方の組を第2組とし、他方の組を第1組とすれば、第2組に属する陽極側外部接続凸片320Aと第1組に属する陰極側外部接続凸片310Bとにおける隣り合う端部付近の一部に重なり領域S3を有した配置となっている。具体的には、陽極側外部接続凸片320Aの図示左側の所定領域と陰極側外部接続凸片310Bの図示右側の所定領域とに重なり領域S3が形成されている。
【0055】
一方、陽極側連結部330Aと陰極側連結部330Bは、それぞれがほぼ全面が対面配置されているため、図2に示すように、ほぼ全面に重なり領域を有している。また、陽極側延長領域340Aと陰極側外部接続領域321Bは、上記したように、当該陰極側外部接続領域321Bの根元部において重なり領域を有している(図2参照。)。また、陰極側延長領域340Bと陽極側外部接続領域311Aは、上記したように、当該陽極側外部接続領域311Aの根元部において重なり領域を有している(図2参照。)。これら陽極側連結部330Aと陰極側連結部330Bとの重なり領域、陽極側延長領域340Aと陰極側外部接続領域321B及び陰極側延長領域340Bと陽極側外部接続領域311Aとのそれぞれの重なり領域を「重なり領域S4」(図2参照。)とする。なお、図1及び図2においては、これら各重なり領域S1,S2,S3,S4には、それぞれハッチングが施されている。
【0056】
また、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bに設けられている重なり領域S1,S2,S3と、陽極側連結部330A及び陰極側連結部330Bに設けられている重なり領域S4には絶縁部材500(図4参照。)が介在されている。
【0057】
ところで、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bにおいて、両者が重なっている重なり領域S1,S2,S3以外の領域は、外部モジュール(図示せず。)の陽極側端子部及び陰極側端子部に接続するための外部接続領域である。すなわち、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bは、それぞれにおいて、外部接続領域と重なり領域とを有している。
【0058】
ここで、陽極側外部接続凸片310Aにおいては、当該陽極側外部接続凸片310Aにおける外部接続領域を「陽極側外部接続領域311A」とし、陽極側外部接続凸片320Aにおいては、当該陽極側外部接続凸片310Aにおける外部接続領域を「陽極側外部接続領域321A」とし、陰極側外部接続凸片310Bにおいては、当該陰極側外部接続凸片310Bにおける外部接続領域を「陰極側外部接続領域311B」とし、陰極側外部接続凸片320Bにおいては、当該陰極側外部接続凸片320Bにおける外部接続領域を「陰極側外部接続領域321B」とする。
【0059】
なお、各重なり領域S1,S2,S3を、陽極側外部接続凸片310A,320Aにおける重なり領域と、陰極側外部接続凸片310B.320Bにおける重なり領域とに分けて説明する必要がある場合には、重なり領域S1については、陽極側外部接続凸片310Aにおける重なり領域を「陽極側重なり領域312A」とし、陰極側外部接続凸片310Bにおけるに重なり領域を「陰極側重なり領域312B」とする。
【0060】
また、重なり領域S2については、陽極側外部接続凸片320Aにおける重なり領域を「陽極側重なり領域322A」とし、陰極側外部接続凸片320Bにおけるに重なり領域を「陰極側重なり領域322B」とし、重なり領域S3については、陽極側外部接続凸片320Aにおける重なり領域を「陽極側重なり領域323A」とし、陰極側外部接続凸片310Bにおけるに重なり領域を「陰極側重なり領域313B」として説明する。
【0061】
ここで、陽極側外部接続凸片310A,320Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bとの配置を、陽極側重なり領域312A,322A,323Aと陰極側重なり領域312B,313B,322Bとを用いて説明すれば、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bは、第1組に属する陽極側外部接続凸片310Aにおける陽極側重なり領域312Aと陰極側外部接続凸片310Bにおける陰極側重なり領域312Bとが重なりを有して配置されているとともに、第2組に属する陽極側外部接続凸片320Aにおける陽極側重なり領域322Aと陰極側外部接続凸片320Bにおける陰極側重なり領域322Bとが重なりを有して配置されている。また、互いに隣り合う組同士においても、隣り合う一方の組(第2組とする。)に属する陽極側外部接続凸片320Aにおける陽極側重なり領域323Aと他方の組(第1組とする。)に属する陰極側外部接続凸片310Bにおける陰極側重なり領域313Bとが重なり有して配置されている。
【0062】
このように、各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bは、それぞれにおいて重なり領域を有しているため、それぞれの並び方向の幅(横幅)が広くなっている。このように、各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bの横幅が広くなっているということは、これら各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bの面積(表面積及び断面積)が大きくなるということにつながる。これにより、大電流を流す場合であっても、各陽極側外部接続凸片310A,320Aと各陰極側外部接続凸片310B,320Bの発熱を抑制することができるという効果が得られる。さらに、各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bの面積が広くなることから放熱性にも優れるという効果が得られる。さらに、各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bの面積が広くなることから機械的強度も高めることができるといった効果も得られる。
【0063】
なお、各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bの横幅が広くなっていることの理由としては、外部モジュールの陽極側端子部と陰極側端子部との間隔(対をなす陽極側端子部と陰極側端子部との間隔)は、外部モジュールの種類などによって、それぞれの種類ごとに所定の間隔が設定されている場合が多く、各陽極側外部接続凸片310A,320Aの陽極側外部接続領域と各陰極側外部接続凸片310B,320Bの陰極側外部接続領域との間隔(ピッチ)が決められているといった制約があるからである。
【0064】
例えば、当該実施形態1に係るコンデンサーモジュール10の接続対象となる外部モジュールにおいては、外部モジュールの対をなす陽極側端子部と陰極側端子部が2組設けられていて、各組において対をなす陽極側端子部と陰極側端子部との間隔がそれぞれD1であったとすると、当該実施形態1に係るコンデンサーモジュール10における陽極側外部接続領域311A及び陰極側外部接続領域311Bそれぞれに設けられている接続孔hの間隔も「D1」に設定され(図3参照。)、また、陽極側外部接続領域321A及び陰極側外部接続領域321Bそれぞれに設けられている接続孔hの間隔も同様に「D1」に設定されている(図3参照。)。また、隣り合う組同士における陽極側外部接続凸片320Aにおける陽極側外部接続領域321Aと、陰極側外部接続凸片310Bにおける陰極側外部接続領域311Bそれぞれ設けられている接続孔hの間隔も、外部モジュールに合わせて、例えば「D2」に設定されている(図3参照。)。
【0065】
このような制約があっても、各陽極側外部接続凸片310A,320A及び各陰極側外部接続凸片310B,320Bそれぞれに重なり領域を形成することにより、インダクタンスの低減効果をより高め、発熱を抑制し、機械的強度も高めつつ、ピッチを維持することが可能となる。
【0066】
また、2個の陽極側外部接続凸片310A,320Aのうち、隣り合う組に属する陰極側外部接続凸片310Bとにおいても重なりを有して配置されている陽極側外部接続凸片320Aは、同じ組に属する陰極側外部接続凸片310Bとのみに重なりを有して配置されている陽極側外部接続凸片310Aよりも並び方向の幅が広く形成されている。同様に、2個の陰極側外部接続凸片310B,320Bのうち、隣り合う組に属する陽極側外部接続凸片320Aとにおいても重なりを有して配置されている陰極側外部接続凸片310Bは、同じ組に属する陽極側外部接続凸片320Aとのみに重なりを有して配置されている陰極側外部接続凸片320Bよりも並び方向の幅が広く形成されている。
【0067】
このように、隣り合う組に属する陰極側外部接続凸片310Bとにおいても重なりを有して配置されている陽極側外部接続凸片320A及び隣り合う組に属する陽極側外部接続凸片320Aとにおいても重なりを有して配置されている陰極側外部接続凸片310Bは、面積(表面積及び断面積)をより大きくすることができる。このため、陽極側外部接続凸片と陰極側外部接続凸片の発熱を抑制することができる効果、放熱性に優れるという効果、さらに、機械的強度も高めることができるという効果をそれぞれより大きくすることができる。
【0068】
上記のように構成されている陽極側外部接続端子部300Aは、ケース200内に設けられている陽極側バスバー(陽極側電極板ともいう。)350A(図2参照。)と一体形成されており、陰極側外部接続端子部300Bも同様に、ケース200内に設けられている陰極側バスバー(陰極側電極板ともいう。)350B(図2参照。)と一体形成されている。
【0069】
具体的には、陽極側外部接続端子部300Aは、陽極側電極板350Aをケース200の外部に延出させた延出部が陽極側連結部330Aとなる。そして、当該陽極側連結部330Aに2つの陽極側外部接続凸片310A,320Aが形成されている。
【0070】
陰極側外部接続端子部300Bも同様に、陰極側電極板350Bをケース200の外部に延出させた延出部が陰極側連結部330Bとなる。そして、当該陰極側連結部330Bに2つの陰極側外部接続凸片310B,320Bが形成されている。
【0071】
なお、陽極側電極板350A及び陰極側電極板350Bは、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10においては、ケース200内において、図2における一点鎖線部α1において90度折り曲げられた状態で配設されているが、図2においては、折り曲げられていない状態が示されている。
【0072】
このように構成されている陽極側電極板350A及び陰極側電極板350Bも、ケース200内において、絶縁部材500(図4参照。)が介在された状態で対面配置されている。絶縁部材500は、絶縁紙又は合成樹脂製の絶縁フィルムなどからなり、図4に示すように、陽極側外部接続凸片310A,320Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bとの重なり領域S1,S2,S3に対応する領域510と、陽極側連結部330Aと陰極側連結部330Bとの重なり領域S4に対応する領域520と、陽極側電極板350Aと陰極側電極板350Bとの間の重なり領域に介在される領域530とを有している。
【0073】
このような絶縁部材500における各重なり領域に対応する領域510,520,530は、それぞれ対応する重なり領域よりもやや大きなサイズとすることが好ましい。例えば、陽極側外部接続凸片310A,320Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bとの重なり領域に対応する領域510は、図1に示すように、重なり領域S1,S2,S3の上端部と側端部とからややはみ出る程度のサイズとなっている。また、陽極側連結部330Aと陰極側連結部330Bとの重なり領域に介在される領域520は、当該陽極側連結部330Aと陰極側連結部330Bとの重なり領域の上端部からやや上方にはみ出る程度のサイズとなっている。このようにすることにより、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を少しでも長くすることができ、それによって、耐圧性の向上を図ることができる。
【0074】
すなわち、沿面距離が短すぎると、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題が残る場合もある。例えば、図3における陽極側外部接続凸片310Aと陰極側外部接続凸片310Bとの重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)と例にとって説明すると、仮に、絶縁部材500が陽極側外部接続凸片310Aと陰極側外部接続凸片310Bと同じサイズであるとすると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、絶縁部材500の厚みにほぼ相当するものとなる。
【0075】
このため、陽極側外部接続凸片310Aと陰極側外部接続凸片310Bとの沿面距離はせいぜい1mm〜3mm程度となってしまい、上記したような課題が残るおそれがある。これに対して、絶縁部材500における各重なり領域に介在される領域510,520,530のサイズを、それぞれ対応する重なり領域よりもやや大きなサイズとすることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を少しでも長くすることができる。
【0076】
なお、絶縁部材500は、陽極側電極板350A及び陰極側電極板350Bと同様に、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10においては、ケース200内において、図2における一点鎖線部α1において90度折り曲げられた状態で配設されているが、図2においては、折り曲げられていない状態が示されている。
【0077】
また、陽極側電極板350Aは、ケース200内において複数のフィルムコンデンサー素子(図示せず。)の陽極側に接続され、陰極側電極板350Bも、当該複数のフィルムコンデンサー素子(図示せず。)の陰極側に接続されている。なお、ケース200内には、樹脂が充填されており、複数のフィルムコンデンサー素子、陽極側電極板350A及び陰極側電極板350Bなどは樹脂モールドされている。
【0078】
一方、陽極側外部接続凸片310Aにおける陽極側外部接続領域311A及び陰極側外部接続凸片310Bにおける陰極側外部接続領域311Bは、外部モジュール(図示せず。)の対応する陽極側端子部及び陰極側端子部に接続されている。また、陽極側外部接続凸片320Aにおける陽極側外部接続領域321A及び陰極側外部接続凸片320Bにおける陰極側外部接続領域321Bも、外部モジュール(図示せず。)における対応する陽極側端子部及び陰極側端子部に接続される。具体的には、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bには、それぞれに接続孔hが形成されており、当該接続孔hによって外部モジュールの対応する接陽極側子部及び陰極側端子部の突起などに係合させたのちにネジなどによって接続する。
【0079】
なお、図3においては、図示の下方の位置に外部モジュールの陽極側端子部及び陰極端子部が存在しているものとする。なお、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極端子部は、図3におけるx軸とz軸によって形成される平面(xz平面)に平行な面(これを「外部モジュール端子面」とする。)上に存在しているものとする。
【0080】
一方、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10においては、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bは、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bの図示下側の面を、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極端子部に対する接続面としたとき、陽極側外部接続領域311A,321Aにおける接続面及び陰極側外部接続領域311B,321Bにおける接続面は、それぞれ異なった平面(段違いの平面)に存在する。
【0081】
すなわち、陽極側外部接続領域311A,321Aにおける接続面が第1平面L1に存在するとすれば、陰極側外部接続領域311B,321Bにおける接続面は、第1平面L1と段違いの第2平面L2に存在する。
【0082】
このため、例えば、陽極側外部接続領域311A,321Aを外部モジュールの陽極側端子部に面接触させると、陰極側外部接続領域311B,321Bは、外部モジュールの陰極側端子部に対して、陽極側外部接続凸片310A,320Aの厚みに絶縁部材500の厚みを加えた厚みt1だけ離隔することとなる。これに対処するためには、厚みt1に相当する導電性のスペーサー(図示せず。)を陰極側外部接続領域311B,321Bと外部モジュールの陰極側端子部との間に介在させた状態でネジ止めを行えばよい。なお、スペーサーは始めから離隔する側の外部接続領域(この場合、陰極側外部接続領域311B,321B)に貼り付けておくようにしてもよい。
【0083】
以上説明したように、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10においては、陽極側外部接続端子部300A及び陰極側外部接続端子部300Bは陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bと、各陽極側外部接続凸片310A,320Aの根元部を相互に連結する板状の陽極側連結部330Aと、各陰極側外部接続凸片310B,320Bの根元部を相互に連結する板状の陰極側連結部330Bとを有している。
【0084】
そして、一方の組(第1組)に属する陽極側外部接続凸片310Aにおける陽極側重なり領域312Aと陰極側外部接続凸片310Bにおける陰極側重なり領域312Bとが重なりを有して配置されているとともに、他方の組(第2組)に属する陽極側外部接続凸片320Aにおける陽極側重なり領域322Aと陰極側外部接続凸片320Bにおける陰極側重なり領域322Bとが重なりを有して配置されている。また、互いに隣り合う組同士においても、隣り合う一方の組(第2組とする。)に属する陽極側外部接続凸片320Aにおける陽極側重なり領域323Aと他方の組(第1組とする。)に属する陰極側外部接続凸片310Bにおける陰極側重なり領域313Bとが重なり有して配置されている。
【0085】
また、陽極側連結部330A及び陰極側連結部330Bはほぼ全面に重なり有して配置されている。さらに、陽極側重なり領域322Aの根元部には陽極側延長領域340Aが延出形成されて、陰極側重なり領域312Bの根元部には陰極側延長領域340Bが延出形成されている。そして、これら陽極側延長領域340Aと陰極側外部接続領域321Bとが重なりを有して配置され、陰極側延長領域340Bと陽極側外部接続領域311Aとが重なりを有して配置されている。
【0086】
陽極側外部接続端子部300A及び陰極側外部接続端子部300Bがこのような構造となっていることにより、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10によれば、陽極側外部接続端子部300A及び陰極側外部接続端子部300Bの広い領域が重なり領域を有して配置されることとなるため、陽極側外部接続端子部300A及び陰極側外部接続端子部300Bにおいて発生するインダクタンスの低減効果をより大きくすることができる。
【0087】
また、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10においては、陽極側外部接続端子部300A及び陰極側外部接続端子部300B全体が広い面積となっているため、大電流を流す場合であっても、陽極側外部接続凸片310A,310Bと陰極側外部接続凸片310B,320Bの発熱を抑制することができ、また、面積が大きくなることにより、放熱性にも優れ、さらに、機械的強度も高めることができるといった効果も得られる。
【0088】
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20における陽極側外部接続端子部300Aと陰極側外部接続端子部300Bとの配置を示す模式図である。図5図3に対応する図であり、図3と同一部分には同一符号が付されている。なお、図5においても、図示の下方の位置に外部モジュールの陽極側端子部及び陰極端子部が存在しているものとする。
【0089】
実施形態2に係るコンデンサーモジュール20は、図5に示すように、各陽極側外部接続凸片310A,320Aにおける各々の陽極側外部接続領域311A,321Aの接続面と各陰極側外部接続凸片310B,320Bにおける各々の陰極側外部接続領域311B,321Bの接続面とが、ほぼ同一平面L3上に存在するような配列となっている。このような構成とするためには、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bを折り曲げ加工する必要があるが、このような加工は、例えば、プレス加工装置により容易に実現可能である。
【0090】
なお、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の場合、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bが折り曲げ加工されていることにより、当該陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bの平面L3を基準とした場合、重なり領域S1,S2,S3が、平面L3よりも図示の上下方向(y軸に沿った方向)に出っ張った状態となる。
【0091】
このため、外部モジュールにおける陽極側端子部及び陰極側端子部が1枚の平板状の板体に存在する場合には、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B、321Bを外部モジュールにおける陽極側端子部及び陰極側端子部に接触させようとしたときに、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bが外部モジュールにおける陽極側端子部及び陰極側端子部から離隔してしまうこととなる。
【0092】
このような場合においては、重なり領域S1,S2,S3が陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B、321Bに対して出っ張っている分に対応する厚みt2(図5参照。)を有する導電性のスペーサー(図示せず。)を、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bと外部モジュールにおける陽極側端子部及び陰極側端子部との間に介在させてネジ止めすればよい。
【0093】
なお、外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部との間に空間が存在する場合には、各重なり領域S1,S2,S3が、外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部との間の空間に位置させるようにすれば、スペーサーなどを用いることなく陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bを外部モジュールにおける陽極側端子部及び陰極側端子部に接続することができる。
【0094】
[実施形態2の変形例]
図6は、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の第1変形例を示す図である。
図7は、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の第2変形例を示す図である。
なお、図6及び図7においても、図示の下方の位置に外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部が存在しているものとする。また、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の第1変形例をコンデンサーモジュール21とし、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20の第2変形例をコンデンサーモジュール22として説明する。
【0095】
実施形態2の第1変形例としてのコンデンサーモジュール21及び第2変形例としてのコンデンサーモジュール22も上記実施形態に係るコンデンサーモジュール20と同様、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bは、ほぼ同一平面L3上に存在する配列となっている。
【0096】
まず、実施形態2の第1変形例としてのコンデンサーモジュール21について説明する。実施形態3の第1変形例としてのコンデンサーモジュール21は、図6に示すように、一方の外部接続端子(陽極側外部接続凸片310A,320Aとする。)は、折り曲げ加工がなされてなく、陽極側外部接続領域311A、陽極側重なり領域312A、陽極側外部接続領域321A、陽極側重なり領域322A,323Aがほぼ同一平面L3上に存在している。一方、他方の外部接続端子(陰極側外部接続凸片310B,320Bとする。)は、陰極側外部接続領域311B,321Bが陽極側外部接続領域311A,321Aと同一平面L3上に存在するように折り曲げ加工されている。
【0097】
実施形態2の第1変形例としてのコンデンサーモジュール21によれば、図6に示すように、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bは、外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部に対面する側の面がほぼ同一平面L3上に存在する。すなわち、図6の左側から順に、陽極側外部接続領域311A、陽極側重なり領域312A、陰極側外部接続領域311B、陽極側重なり領域323A、陽極側外部接続領域321A、陽極側重なり領域322A、陰極側外部接続領域321Bがほぼ同一平面L3上に存在することとなる。このため、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bを外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部にスペーサーなどを必要とすることなくそのまま接続することができる。
【0098】
次に、実施形態2の第2変形例としてのコンデンサーモジュール22について説明する。実施形態3の第2変形例としてのコンデンサーモジュール22は、図7に示すように、陽極側外部接続凸片310A,310Bにおける各々の陽極側外部接続領域311A,321Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bにおける各々の陰極側外部接続領域311B,321Bとが、ほぼ同一平面L3上に存在し、かつ、各重なり領域S1,S2,S3が、外部回路モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に対して離隔するように当該陽極側外部接続領域311A,321A及び前記陰極側外部接続領域311B,321Bが折り曲げ加工されている。
【0099】
このような構成とすることによって、図7に示すように、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bは、外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部に対面する側の面がほぼ同一平面L3上に存在する。すなわち、図7の左側から順に、陽極側外部接続領域311A、陰極側外部接続領域311B、陽極側外部接続領域321A、陰極側外部接続領域321Bがほぼ同一平面L3上に存在することとなる。このため、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bを外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部にスペーサーなどを必要とすることなくそのまま接続することができる。
【0100】
また、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域(陽極側重なり領域312A,323A,322A)が、外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に対して離隔しているため、陽極側外部接続領域311A,321A及び陰極側外部接続領域311B,321Bを外部モジュールにおける陽極側端子部と陰極側端子部に接続させたときに、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域と外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部との間に隙間t3が形成される。
【0101】
このため、例えば、仮に、外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部に直接的に対面する重なり領域と外部モジュールの陽極側端子部又は陰極側端子部との間に何らかの部材(例えば、沿面距離を長くするための部材など)が介在される場合であっても、当該沿面距離を長くするための部材(沿面距離延長部材という。)を上記隙間に収めることができる。それにより、陽極側外部接続領域311A,321Aの接続面及び陰極側外部接続領域311B,321Bの接続面を外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に接触させる際に、沿面距離延長部材の存在が邪魔になることを防止することができる。
【0102】
[実施形態3]
実施形態3に係るコンデンサーモジュールは、陽極側外部接続凸片310A,320Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bとの重なり領域S1,S2,S3における耐圧性の向上を、より積極的に実現するものである。
【0103】
以下、実施形態3に係るコンデンサーモジュールについて説明する。なお、実施形態3に係るコンデンサーモジュールは、陽極側外部接続凸片310A,320Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bとの重なり領域S1,S2,S3に、沿面距離をより長くするための沿面距離延長部材を設けた点が、上記各実施形態と異なる。
【0104】
なお、陽極側外部接続凸片310A,320Aと陰極側外部接続凸片310B,320Bとの重なり領域S1,S2,S3に、沿面距離延長部材を設けることは、上記各実施形態のすべてにおいて適用可能であるが、ここでは、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20及び実施形態2に係るコンデンサーモジュールにおける第2変形例(コンデンサーモジュール22)に適用した場合について説明する。
【0105】
沿面距離延長部材は、例えば、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bを例にとれば、陽極側重なり領域312Aの側端部及び上端部と、当該陽極側重なり領域312Aの側端部及び上端部から連続した当該陽極側重なり領域312Aの外側表面の少なくとも一部と、陰極側重なり領域312Bの側端部及び上端部と、当該陰極側重なり領域312Bの側端部及び上端部から連続した当該陰極側重なり領域312Bの外側表面の少なくとも一部とを覆うとともに、当該陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間に介在されるように設けられている。
【0106】
以下、具体例を実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第1態様、第2態様及び第3態様として説明する。
【0107】
図8は、実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第1態様を説明するために示す図である。実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第1態様を「第1態様のコンデンサーモジュール31」又は単に「コンデンサーモジュール31」として説明する。
【0108】
第1態様のコンデンサーモジュール31の基本的な構成は、実施形態1に係るコンデンサーモジュール10と同じであるため、外観構成などは図示を省略する。なお、図8図3に対応する図であり、図3と同一部分には同一符号が付されている。
【0109】
また、実施形態3においては、沿面距離延長部材が合成樹脂によってキャップ状に形成されている場合と、沿面距離延長部材が絶縁紙などの折り曲げ自在な絶縁板で形成されている場合とを説明する。ここで、キャップ状に形成されている沿面距離延長部材を「第1沿面距離延長部材610」とし、折り曲げ自在な絶縁板で形成されている沿面距離延長部材を「第2沿面距離延長部材620」として説明する。これは、後に説明する実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第2態様及び実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第3態様においても同様である。
【0110】
図8(a)はキャップ状の第1沿面距離延長部材610が重なり領域S1,S2,S3に設けられている場合を示している。これを、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を例にとって説明する。
【0111】
重なり領域S1にキャップ状の第1沿面距離延長部材610を形成するには、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を樹脂モールドする方法を採用することができる。このよう第1沿面距離延長部材610は重なり領域S2,S3においても同様に設けることができる。
【0112】
また、重なり領域S1,S2,S3を個々に覆うことができるような絶縁キャップを予め複数個製造しておき、コンデンサーモジュール31を外部モジュールに接続する際に、それぞれの絶縁キャップで各重なり領域S1,S2,S3を個々に覆うようにしてもよい。
【0113】
なお、図8(a)は図3と同様、断面図(図1のa−a矢視断面図)であるため、重なり領域の先端部が示されていないが、第1沿面距離延長部材610は、個々の重なり領域S1,S2,S3の各上端部を含めて重なり領域S1,S2,S3全体を個々に覆うようにすることが好ましい。
【0114】
重なり領域S1,S2,S3に図8(a)に示すような第1沿面距離延長部材610を設けることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。例えば、陽極側外部接続凸片310A及び陰極側外部接続凸片310Bの重なり領域S1を例にとると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間における沿面距離は、図8(a)における破線C1で示すように、第1沿面距離延長部材610の外周に沿った距離となる。
【0115】
このため、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、第1沿面距離延長部材610が存在しない場合に比べて大幅に長くすることができる。それによって、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。このことは、他の重なり領域S2,S3においても同様である。
【0116】
図8(b)は折り曲げ自在な絶縁紙などの絶縁部材により形成されている第2沿面距離延長部材620が重なり領域S1,S2,S3に設けられている場合を示している。これを、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を例にとって説明する。このような絶縁紙などの絶縁部材により形成されている第2沿面距離延長部材620は、図4において示した絶縁部材500において、重なり領域S1,S2,S3に対応する領域510と一体的に形成することができる。
【0117】
図8(b)に示すように、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間に第2沿面距離延長部材620としての絶縁板を挟み込んで、陽極側重なり領域312Aの側端部及び陰極側重なり領域S1Bの側端部を覆ったのちにほぼ180度に折り返して、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bのそれぞれ外側表面に沿わせるようにする。このとき、第2沿面距離延長部材620としての絶縁板と陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bのそれぞれ外側表面との間は密着していてもよく、また、図8(b)に示すように、多少の隙間が存在していてもよい。このような第2沿面距離延長部材620は重なり領域S2,S3においても同様に設けることができる。
【0118】
なお、図8(b)も図3と同様、断面図(図1のa−a矢視断面図)であるため、重なり領域S1,S2,S3の先端部が示されていないが、第2沿面距離延長部材620は、重なり領域の先端部からさらに所定量だけ上方に突出させて上端部を覆うように設けることが好ましい。
【0119】
各重なり領域S1,S2,S3に図8(b)に示すような第2沿面距離延長部材620を設けることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。例えば、陽極側外部接続凸片310A及び陰極側外部接続凸片310Bの重なり領域S1を例にとると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間における沿面距離は、図8(b)における破線C2で示すように、第2沿面距離延長部材620の外周に沿った距離となる。
【0120】
このため、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、第2沿面距離延長部材620が存在しない場合に比べて大幅に長くすることができる。それによって、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。このことは、他の重なり領域S2,S3においても同様である。
【0121】
図9は、実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第2態様を説明するために示す図である。実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第2態様を「第2態様のコンデンサーユニット32」又は単に「コンデンサーモジュール32」として説明する。
【0122】
第2態様のコンデンサーモジュール32の基本的な構成は、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20と同じであるため、外観構成などは図示を省略する。なお、図9図5に対応する図であり、図5と同一部分には同一符号が付されている。
【0123】
図9(a)は図8(a)と同様にキャップ状の第1沿面距離延長部材610が重なり領域S1,S2,S3に設けられている場合を示している。これを、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を例にとって説明する。
【0124】
重なり領域S1にキャップ状の第1沿面距離延長部材610を形成するには、第2態様のコンデンサーモジュール32と同様に、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を樹脂モールドする方法を採用することができる。このような第1沿面距離延長部材610は重なり領域S2,S3においても同様に設けることができる。
【0125】
また、重なり領域S1,S2,S3を個々に覆うことができるような絶縁キャップを予め複数個製造しておき、第2態様のコンデンサーモジュール32を外部モジュールに接続する際に、それぞれの絶縁キャップで各重なり領域S1,S2,S3を個々に覆うようにしてもよい。
【0126】
なお、図9(a)は図5と同様、断面図(図1のa−a矢視断面図)であるため、重なり領域の先端部が示されていないが、第1沿面距離延長部材610は、個々の重なり領域S1,S2,S3の各上端部を含めて重なり領域S1,S2,S3全体を個々に覆うようにすることが好ましい。
【0127】
重なり領域S1,S2,S3に図9(a)に示すような第1沿面距離延長部材610を設けることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。例えば、陽極側外部接続凸片310A及び陰極側外部接続凸片310Bの重なり領域S1を例にとると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間における沿面距離は、図9(a)における破線C1で示すように、第1沿面距離延長部材610の外周に沿った距離となる。
【0128】
このため、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、第1沿面距離延長部材610が存在しない場合に比べて大幅に長くすることができる。それによって、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。このことは、他の重なり領域S2,S3においても同様である。
【0129】
図9(b)は折り曲げ自在な絶縁板により形成されている第2沿面距離延長部材620が重なり領域S1,S2,S3に設けられている場合を示している。これを、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を例にとって説明する。
【0130】
図9(b)に示すように、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間に第2沿面距離延長部材620としての絶縁板を挟み込んで、陽極側重なり領域312Aの側端部及び陰極側重なり領域S1Bの側端部を覆ったのちにほぼ180度に折り返して、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bのそれぞれ外側表面に沿わせるようにする。このとき、第2沿面距離延長部材620としての絶縁板と陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bのそれぞれ外側表面との間は密着していてもよく、また、図8(b)に示すように、多少の隙間が存在していてもよい。このような第2沿面距離延長部材620は重なり領域S2,S3においても同様に設けることができる。
【0131】
なお、図9(b)も図5と同様、断面図(図1のa−a矢視断面図)であるため、重なり領域S1,S2,S3の先端部が示されていないが、第2沿面距離延長部材620は、重なり領域の先端部からさらに所定量だけ上方に突出させて上端部を覆うように設けることが好ましい。
【0132】
各重なり領域S1,S2,S3に図9(b)に示すような第2沿面距離延長部材620を設けることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。例えば、陽極側外部接続凸片310A及び陰極側外部接続凸片310Bの重なり領域S1を例にとると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間における沿面距離は、図9(b)における破線C2で示すように第2沿面距離延長部材620の外周に沿った距離となる。
【0133】
このため、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、第2沿面距離延長部材620が存在しない場合に比べて大幅に長くすることができる。それによって、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。このことは、他の重なり領域S2,S3においても同様である。
【0134】
図10は、実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第3態様を説明するために示す図である。実施形態3に係るコンデンサーモジュールの第3態様を「第3態様のコンデンサーユニット33」又は単に「コンデンサーモジュール33」として説明する。
【0135】
実施形態3に係る第3態様のコンデンサーモジュール33の基本的な構成は、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20と同じであるため、外観構成などは図示を省略する。なお、図10図7に対応する図であり、図7と同一部分には同一符号が付されている。
【0136】
図10(a)は図8(a)と同様にキャップ状の第1沿面距離延長部材610が重なり領域S1,S2,S3に設けられている場合を示している。これを、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を例にとって説明する。
【0137】
重なり領域S1にキャップ状の第1沿面距離延長部材610を形成するには、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を樹脂モールドする方法を採用することができる。このような第1沿面距離延長部材610は重なり領域S2,S3においても同様に設けることができる。
【0138】
また、重なり領域S1,S2,S3を個々に覆うことができるような絶縁キャップを予め複数個製造しておき、コンデンサーモジュール31を外部モジュールに接続する際に、それぞれの絶縁キャップで各重なり領域S1,S2,S3を個々に覆うようにしてもよい。
【0139】
なお、図10(a)は図7と同様、断面図(図1のa−a矢視断面図)であるため、重なり領域の先端部が示されていないが、第1沿面距離延長部材610は、個々の重なり領域S1,S2,S3の各上端部を含めて重なり領域S1,S2,S3全体を個々に覆うようにすることが好ましい。
【0140】
重なり領域S1,S2,S3に図10(a)に示すような第1沿面距離延長部材610を設けることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。例えば、陽極側外部接続凸片310A及び陰極側外部接続凸片310Bの重なり領域S1を例にとると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間における沿面距離は、図10(a)における破線C1で示すように、第1沿面距離延長部材610の外周に沿った距離となる。
【0141】
このため、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、第1沿面距離延長部材610が存在しない場合に比べて大幅に長くすることができる。それによって、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。このことは、他の重なり領域S2,S3においても同様である。
【0142】
図10(b)は折り曲げ自在な絶縁板により形成されている第2沿面距離延長部材620が重なり領域S1,S2,S3に設けられている場合を示している。これを、重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)を例にとって説明する。
【0143】
図10(b)に示すように、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間に第2沿面距離延長部材620としての絶縁板を挟み込んで、陽極側重なり領域312Aの側端部及び陰極側重なり領域S1Bの側端部を覆ったのちにほぼ180度に折り返して、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bのそれぞれ外側表面に沿わせるようにする。このとき、第2沿面距離延長部材620としての絶縁板と陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bのそれぞれ外側表面との間は密着していてもよく、また、図10(b)に示すように、多少の隙間が存在していてもよい。このような第2沿面距離延長部材620は重なり領域S2,S3においても同様に設けることができる。
【0144】
なお、図10(b)も図7と同様、断面図(図1のa−a矢視断面図)であるため、重なり領域S1,S2,S3の先端部が示されていないが、第2沿面距離延長部材620は、重なり領域の先端部からさらに所定量だけ上方に突出させて上端部を覆うように設けることが好ましい。
【0145】
各重なり領域S1,S2,S3に図10(b)に示すような第2沿面距離延長部材620を設けることによって、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くすることができる。例えば、陽極側外部接続凸片310A及び陰極側外部接続凸片310Bの重なり領域S1を例にとると、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間における沿面距離は、図10(b)における破線C2で示すように、第2沿面距離延長部材620の外周に沿った距離となる。
【0146】
このため、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間の沿面距離は、第2沿面距離延長部材620が存在しない場合に比べて大幅に長くすることができる。それによって、結露、埃、塩分、振動などの要因によって耐圧性が劣るといった課題を解決することができる。このことは、他の重なり領域S2,S3においても同様である。
【0147】
なお、第3態様のコンデンサーモジュール33は、上記した効果が得られるだけでなく、当該コンデンサーモジュール33の基本的な構成が、実施形態2に係るコンデンサーモジュール20と同じであるため、当該コンデンサーモジュール33を外部モジュールの陽極側接続端子及び陰極側接続端子に接続する際に、第1沿面距離延長部材610又は第2沿面距離延長部材620の存在が邪魔になることを防止することができるといった効果が得られる。
【0148】
すなわち、当該コンデンサーモジュール33を外部モジュールの陽極側接続端子及び陰極側接続端子に接続したときに、陽極側重なり領域312A,322A,323Aと、外部モジュールの陽極側接続端子との間には隙間t3(図7参照。)が生じる。このため、第1沿面距離延長部材610又は第2沿面距離延長部材620の厚みを当該隙間t3以内となるように設定することにより、第1沿面距離延長部材610又は第2沿面距離延長部材620が陽極側重なり領域312A,322A,323Aよりも出っ張ることがなくなり、それによって、当該コンデンサーモジュール33を外部モジュールの陽極側接続端子及び陰極側接続端子に接続する際に、第1沿面距離延長部材610又は第2沿面距離延長部材620が邪魔になることがなくなる。
【0149】
なお、本発明は上記した各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0150】
(1)上記各実施形態においては、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸が2組設けられているコンデンサーモジュールを例示したが、これに限られるものではなく、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸が3組以上設けられているコンデンサーモジュールにおいても適用できる。
【0151】
(2)上記実施形態3においては、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸が複数組設けられているコンデンサーモジュールにおいて、個々の重なり領域(陽極側重なり領域及び陰極側重なり領域)に第1沿面距離延長部材610又は第2沿面距離延長部材620を設ける場合を例示したが、これに限られるものではなく、対をなす陽極側外部接続凸片及び陰極側外部接続凸片が1組のみのコンデンサーモジュールにおいても適用できる。
【0152】
すなわち、コンデンサー素子を収納するケースと、当該ケースの外部に突出して設けられ、外部モジュールの陽極側端子部及び陰極側端子部に接続するための板状の陽極側外部接続端子部と板状の陰極側外部接続端子部とを有するコンデンサーモジュールであって、前記陽極側外部接続端子部は、陽極側外部接続凸片を有し、前記陰極側外部接続端子部は、陰極側外部接続凸片を有し、前記陽極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陽極側端子部に接続される陽極側外部接続領域と、前記陰極側外部接続凸片の一部に絶縁部材を介して重なり合う陽極側重なり領域とを有し、前記陰極側外部接続凸片は、前記外部モジュールの前記陰極側端子部に接続される陰極側外部接続領域と、前記陽極側外部接続凸片の前記陽極側重なり領域に絶縁部材を介して重なり合う陰極側重なり領域とを有し、前記陽極側外部接続凸片及び陽極側外部接続凸片は、前記陽極側重なり領域と前記陰極側重なり領域とが重なりを有して配置されているとともに、前記陽極側重なり領域及び前記陰極側重なり領域には、当該陽極側重なり領域と当該陰極側重なり領域との間の沿面距離を長くするための絶縁性の沿面距離延長部材が設けられているといった構成を有するコンデンサーモジュールであってもよい。
【0153】
(3)上記実施形態3においては、第1沿面距離延長部材610及び第2沿面距離延長部材620は、陽極側重なり領域及び陰極側重なり領域の外表面全面を覆うようにしたが、陽極側重なり領域及び陰極側重なり領域の外表面全面ではなく、一部であってもよい。ただし、一部を覆う場合においても陽極側重なり領域及び陰極側重なり領域の側端部から連続して覆うようにする。
【0154】
(4)上記各実施形態においては、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間及び陽極側連結部と陰極側連結部との間には、それぞれ絶縁部材を介在させているが、当該絶縁部材は、当該絶縁部材の内部に、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bに対して電気的に非接続となっている導電性部材を設けるようにしてもよい。
【0155】
図11は、絶縁部材の内部に、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bに対して電気的に非接続となっている導電性部材550を設けた場合を説明するために示す図である。なお、図11図3における重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)の部分を拡大して示す図である。
【0156】
図11に示すように、陽極側重なり領域312Aと陰極側重なり領域312Bとの間に介在されている絶縁部材500の内部には、陽極側外部接続凸片310A,320A及び陰極側外部接続凸片310B,320Bに対して電気的に非接続となっている導電性部材550が設けられている。
【0157】
絶縁部材500の内部にこのような導電性部材550を設けることにより、インダクタンスの低減効果がより高められることが実験により確かめられている。これにより、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間隔をある程度大きくとっても、インダクタンスの低減効果が得られる。このため、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間隔をある程度大きく(例えば、数mm〜十数mm程度)設定しても、インダクタンスの低減効果が得られる。このように、インダクタンスの低減効果が得られる上に、陽極側重なり領域と陰極側重なり領域との間隔をある程度大きく設定可能であると、陽極側外部接続凸片と陰極側外部接続凸片との間の絶縁性などの面において有利なものとなる。
【0158】
なお、図11においては、図3における重なり領域S1(陽極側重なり領域312A及び陰極側重なり領域312B)の部分について説明したが、他の重なり領域においても同様の構成とすることができる。
【0159】
(5)上記各実施形態においては、コンデンサー素子はフィルムコンデンサー素子として説明したが、フィルムコンデンサー素子に限られるものではなく、他のコンデンサー素子の場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0160】
10・・・実施形態1に係るコンデンサーモジュール、11・・・実施形態1に係るコンデンサーモジュールの変形例、20・・・実施形態1に係るコンデンサーモジュール、21・・・実施形態2の第1変形例としてのコンデンサーモジュール、22・・・実施形態2の第2変形例としてのコンデンサーモジュール、31・・・実施形態3に係る第1態様のコンデンサーモジュール、32・・・実施形態3に係る第2態様のコンデンサーモジュール、33・・・実施形態3に係る第3態様のコンデンサーモジュール、300・・・外部接続端子部、300A・・・陽極側外部接続端子部、300B…陰極側外部接続端子部、310A,320A・・・陽極側外部接続凸片、310B,320B・・・陰極側外部接続凸片、311A,321A・・・陽極側外部接続領域、311B,321B・・・陰極側外部接続領域、330A・・・陽極側連結部、330B…陰極側連結部、340A・・・陽極側延長領域、340B・・・陰極側連結領域、350A・・・陽極側電極板(陽極側バスバー)、350B・・・陰極側電極板(陰極側バスバー)、400A・・・陽極側入力端子、400B・・・陰極側入力端子、500・・・絶縁部材、h・・・接続孔、S1,S2,S3・・・重なり領域、312A,322A,S323A・・・陽極側重なり領域、312B,322B,323B・・・陰極側重なり領域、500・・・絶縁部材、550・・・絶縁部材の内部に設けられている導電性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12