(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355104
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】スケートボード
(51)【国際特許分類】
A63C 17/01 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
A63C17/01
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-200057(P2014-200057)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-67596(P2016-67596A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】505429832
【氏名又は名称】株式会社 ビタミンアイファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 未来雄
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/096624(WO,A1)
【文献】
特表2005−537820(JP,A)
【文献】
実開昭53−062477(JP,U)
【文献】
実開昭53−097073(JP,U)
【文献】
米国特許第04060253(US,A)
【文献】
米国特許第07837204(US,B1)
【文献】
実公昭50−7983(JP,Y1)
【文献】
特開平05−246204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 17/00−17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前のボードと後のボードとを連結させる連結部材が備えられ、
前記前のボードの底面および前記後のボードの底面にキャスターが取り付けられ、このキャスターに、回転軸を有するローラーが備えられ、このローラーの回転軸のそれぞれが、回動軸まわりに回動するように構成され、この回動軸のそれぞれが、側面視で鉛直軸に対して斜め前方に傾斜し、
前記回動軸と直交する面における摩擦によって前記回動を制御する制御部材が前記回動軸の片方または両方に備えられ、
前記前後のボードから捩じれ力を受けた際に捩じれ、且つこの捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する弾性部材が、前記連結部材に備えられた、
ことを特徴とするスケートボード。
【請求項2】
前のボードと後のボードとを連結させる連結部材が備えられ、
前記前のボードの底面および前記後のボードの底面にキャスターが取り付けられ、このキャスターに、回転軸を有するローラーが備えられ、このローラーの回転軸のそれぞれが、回動軸まわりに回動するように構成され、この回動軸のそれぞれが、側面視で鉛直軸に対して斜め前方に傾斜し、
前記前のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の斜め前方への傾斜角度が、前記後のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の斜め前方への傾斜角度よりも大きく形成され、
前記前後のボードから捩じれ力を受けた際に捩じれ、且つこの捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する弾性部材が、前記連結部材に備えられた、
ことを特徴とするスケートボード。
【請求項3】
前のボードと後のボードとを連結させる連結部材が備えられ、
前記前のボードの底面および前記後のボードの底面にキャスターが取り付けられ、このキャスターに、回転軸を有するローラーが備えられ、このローラーの回転軸のそれぞれが、回動軸まわりに回動するように構成され、この回動軸のそれぞれが、側面視で鉛直軸に対して斜め前方に傾斜し、
前記前のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の斜め前方への傾斜角度が、前記後のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の斜め前方への傾斜角度よりも大きく形成され、
前記回動軸と直交する面における摩擦によって前記回動を制御する制御部材が前記回動軸の片方または両方に備えられ、
前記前後のボードから捩じれ力を受けた際に捩じれ、且つこの捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する弾性部材が、前記連結部材に備えられた、
ことを特徴とするスケートボード。
【請求項4】
前記前のボードに重心が置かれた、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたスケートボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の底面に車輪が備えられたスケートボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スケートボードは、板状部材の底面の前方および後方に車輪が取り付けられて形成されている。このようなスケートボードとして、例えば下記特許文献1に記載されたスケートボードは、それぞれにキャスターが取り付けられた前のボードと後のボードとが、捩じれパイプによって連結されたものである。このスケートボードは、利用者が身体を捩じって体重を移動させることで捩じれパイプが捩じれ、前のボードおよび後のボードが地面に対して傾きながら蛇行して滑走する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4411200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたスケートボードは規格が定まっていることから性能に上限があるため、例えば滑走時の安定性や旋回特性などの性能と、利用者の技量や嗜好とが合致しない場合、利用者の満足を得ることができない場合がある。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、定まった規格から発揮される性能の度合いを変化させることができ、または異なる性能を発揮することができるスケートボードの提供を目的とする。
【0006】
なお、本発明において、「回動軸」とは地面と交差する軸であり、「回動」とは、回動軸を軸として回転することをいう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るスケートボードは、前のボードと後のボードとを連結させる連結部材が備えられ、前記前のボードの底面および前記後のボードの底面にキャスターが取り付けられ、このキャスターに、回転軸を有するローラーが備えられ、このローラーの回転軸のそれぞれが、回動軸まわりに回動するように構成され、この回動軸のそれぞれが、側面視で鉛直軸に対して斜め前方に傾斜し、前記回動を制御する制御部材が前記回動軸の片方および/または両方に備えられ、前記前後のボードから捩じれ力を受けた際に捩じれ、且つこの捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する弾性部材が、前記連結部材に備えられた、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るスケートボードは、前のボードと後のボードとを連結させる連結部材が備えられ、前記前のボードの底面および前記後のボードの底面にキャスターが取り付けられ、このキャスターに、回転軸を有するローラーが備えられ、このローラーの回転軸のそれぞれが、回動軸まわりに回動するように構成され、この回動軸のそれぞれが、側面視で鉛直軸に対して斜め前方に傾斜し、前記前のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の角度が、前記後のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の角度よりも大きく形成され、前記前後のボードから捩じれ力を受けた際に捩じれ、且つこの捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する弾性部材が、前記連結部材に備えられた、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るスケートボードは、前のボードと後のボードとを連結させる連結部材が備えられ、前記前のボードの底面および前記後のボードの底面にキャスターが取り付けられ、このキャスターに、回転軸を有するローラーが備えられ、このローラーの回転軸のそれぞれが、回動軸まわりに回動するように構成され、この回動軸のそれぞれが、側面視で鉛直軸に対して斜め前方に傾斜し、前記前のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の角度が、前記後のボードにおける鉛直軸に対する前記回動軸の角度よりも大きく形成され、前記回動を制御する制御部材が前記回動軸の片方および/または両方に備えられ、前記前後のボードから捩じれ力を受けた際に捩じれ、且つこの捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する弾性部材が、前記連結部材に備えられた、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るスケートボードは、前記前のボードに重心が置かれた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスケートボードは上記した構成である。この構成により、制御部材との摩擦力によって、回動軸まわりにおけるローラーの回動が制御される。したがって、定まった規格から発揮される性能の度合いを変化させることができ、または異なる性能を発揮することができる。
【0012】
本発明に係るスケートボードは、前のボードにおける鉛直軸に対する回動軸の角度が、後のボードにおける鉛直軸に対する回動軸の角度よりも大きく形成されている。したがって、定まった規格から発揮される性能の度合いを変化させることができ、または異なる性能を発揮することができる。
【0013】
本発明に係るスケートボードは上記した構成である。したがって、定まった規格から発揮される性能の度合いを変化させることができ、または異なる性能を発揮することができる。
【0014】
本発明に係るスケートボードは、前のボードに重心が置かれている。この構成によりしたがって、定まった規格から発揮される性能の度合いを変化させることができ、または異なる性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るスケートボードの底面斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスケートボードのキャスターの側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るスケートボードの連結部材の断面構造図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るスケートボードの連結部材の外観斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るスケートボードを滑走させる際の動きが示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態に係るスケートボードを図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスケートボード1を底面側から斜視したものが示されている。
【0017】
図1に示されているとおり、本実施形態に係るスケートボード1は、前のボード10と、後のボード20と、前後の各ボード10,20が離隔した状態で連結された連結部材としての捩じれパイプ40とで構成されている。さらに、前後の各ボード10,20は、プレート11,21と、各プレート11,21の底面に取り付けられた傾斜式偏心キャスター13,23と、錘70とで構成されている。
【0018】
錘70は、スケートボード1の重心を前のボード10側に置くためのものである。すなわち、
図1に示されているとおり、錘70は、前のボード10の先端縁で平面側と底面側とを挟む形状に形成され、前のボード10底面の縁に取りつけられている。なお、スケートボード1の重心を前のボード10側に置くためのものであれば、材質、形状、取り付け位置、個数は任意である。
【0019】
次に、傾斜式偏心キャスター13を図面に基づいて説明する。
図2は、前のボード10に取り付けられた傾斜式偏心キャスター13の側面が示されている。なお、各傾斜式偏心キャスター13,23は同じ構成であるため、後のボード20に取り付けられた傾斜式偏心キャスター23が省略されている。
【0020】
図2に示されているとおり、傾斜式偏心キャスター13は、プレート11の底面に形成されたローラー支持部34と、回動軸5を介してローラー支持部34に支持されると共に、ローラー支持部34と相対的に、回動軸5周りに回動が可能なローラーアーム35と、このローラーアーム35の回動を制御する制御部材71と、ローラーアーム35の腕の中心部に軸で支持されたローラー36とで構成されている。ローラー支持部34は、後方側よりも前方側が厚く形成されたことでクサビ型に形成され、後方側から前方側に向けて地面側に傾斜する傾斜面37が形成されている。プレート11に対する傾斜面37の角度(ローラー支持部34とプレート11との連接面と、傾斜面37とのなす角)は、鋭角θである。ローラーアーム36は、回動軸5が傾斜面37に対して直角に取り付けられているため、側面視して回動軸5が鉛直軸に対して斜め前方に傾斜している。鉛直軸に対する回動軸5の傾斜角度は、鋭角θと同じである。
【0021】
ここで、前のボード10における鉛直軸に対する回動軸の角度は、後のボード20における鉛直軸に対する回動軸の角度よりも大きく形成されている。詳説すれば、前のボード10における鋭角θが約10度であり、後のボード20における鋭角θが約7度である。なお、鋭角θは任意である。
【0022】
制御部材71は、例えばナイロン製やゴム製などのシートであり、傾斜面37とローラーアーム35との間に配置されて回動軸5に取り付けられる。制御部材71は、ローラーアーム35に接触し、回動軸まわりにおけるローラーアーム35が回動する際、制御部材71とローラーアーム35との間に摩擦力を生じさせる。なお、ローラーアーム35の回動を制御することができれば、材質、形状、取り付け位置は任意である。また、制御部材71は、前のボード10における回動軸5、または後ろのボード20における回動軸5のいずれか、または両方に取り付けられる。
【0023】
次に、捩じれパイプ40を図面に基づいて説明する。
図3は、捩じれパイプ40の断面構造が示され、また、
図4は、捩じれパイプの外観を斜視したものが示されている。
【0024】
図3に示されているとおり、捩じれパイプ40は、前後二つのパイプ41,50と、後のパイプ50の内側に取り付けられた内側パイプ52と、この内側パイプ52の先端に形成されて前のパイプ41に連結された掛け金スプリング53,54と、後のパイプ50の内側に配置された弾性部材としての板スプリング55とで構成されている。
【0025】
後のパイプ50と内側パイプ52とは、対面する互いの側面に環状の溝が形成され、この溝に配置されたベアリング51を介して連結されている。すなわち、後のパイプ50と内側パイプ52とは、ベアリング51を介して同軸上で互いに回転が可能であると共に、軸方向に互いに分離することが規制されている。
【0026】
掛け金スプリング53は、板バネであり、くの字状に折り曲げられて圧縮させられた状態で内側パイプ52の内側に取り付けられている。また、掛け金スプリング54は、板バネの先端の側面に突出して形成され、圧縮された板バネの復元力によって、内側パイプ52の側面および前のパイプ41の側面のそれぞれに形成された孔から突出している。この構成により、掛け金スプリング53の復元力により前のパイプ41と内側パイプ52とが掛け金スプリング53を介して連結され、一方、掛け金スプリング53が圧縮されることで前のパイプ41と内側パイプ52とが分離する。すなわち、掛け金スプリング53,54により、前のパイプ41と内側パイプ52とは、同軸上で互いに回転することが規制されると共に、軸方向に互いに着脱が可能である。前のパイプ41と内側パイプ52とを分離させて前後の各ボード10,20を分離させた場合、嵩を減らすことができ、保管および携帯が便利である。
【0027】
図4に示されているとおり、板スプリング55は、後のパイプ50の内側に配置され、先端が内側のパイプ52に連結され、後端がホルダー56に連結されている。板スプリング55は、前後の各パイプ41,50(
図3参照)の相対的な捩じれ運動によって捩じれ力を受けた際に弾性変形し、捩じれ力が解除された際に元の状態に復元する。この作用により、捩じれパイプ40が捩じれたり元の状態に戻ったりする。
【0028】
以上のとおり、本実施形態に係るスケートボード1が構成されている。なお、制御部材71および錘70は、着脱可能であり、鋭角θは変更かのうである。
【0029】
次に、本実施形態に係るスケートボード1の推進における作用を図面に基づいて説明する。
図5は、スケートボード1が滑走および旋回する際の動きが示されている。
【0030】
図5(a)に示されているとおり、傾斜式偏心キャスター13,23が取り付けられたスケートボード1は、前後の各ボード10,20のそれぞれに片方ずつ足を乗せた利用者が、前のボード10側の足2を進行方向4の右側に傾けることで、前のボード10の傾斜式偏心キャスター13のローラーアーム35が右に回動し(足2を傾けた方向の反対方向である左側に振れ)、ローラー36が右側に向けて転がる。すなわち、前のボード10が後のボード20に対して右側に回転するため、スケートボード1は右側に旋回する。
【0031】
一方、
図5(b)に示されているとおり、利用者が後のボード20側の足3を進行方向4の右側に傾けることで、後のボード20の傾斜式偏心キャスター23のローラーアーム25が右に回動し(足3を傾けた方向の反対方向である左側に振れ)、ローラー26が右側に向けて転がる。すなわち、後のボード20が前のボード10に対して左側に回転するため、スケートボード1は左側に旋回する。
【0032】
さらに、
図5(c)に示されているとおり、前のボード10が進行方向4の右側に傾き、後のボード20が進行方向4の左側に傾くことで、スケートボード1は、スケートボード1の全長を直径とする小さな円軌道上を右側に回転する。また、スケートボード1は、滑走中に前後の各ボード10,20が両方とも同じ方向に傾くことで、その傾いた方向に平行移動する。
【0033】
次に、スケートボード1が滑走する際に必要な推進力の発生メカニズムを図面に基づいて説明する。
図5(d)は、利用者が進行方向4の左側に身体を捩じる運動をした場合のスケートボード1に作用する力の状態が示されている。
図5(d)に示されているとおり、スケートボード1は、利用者が進行方向4の左側に身体を捩じる運動をすることによって、前のボード10はy軸の正の方向に力が作用し、一方、後のボード20はy軸の負の方向に力が作用する。このような力の大きさに相応して、各傾斜式偏心キャスター13,23(各ローラーアーム25,35)の向きが変化し、各傾斜式偏心キャスター13,23(各ローラーアーム25,35)の向きとx軸(進行方向4)とのなす角が、一定の角α、βとなる。
【0034】
各傾斜式偏心キャスター13,23の各ローラー支持部24,34のクサビ型形状によって、利用者が身体を捩じる力に起因し、各傾斜式偏心キャスター13,23(各ローラーアーム25,35)が向く方向に、分力F1,F2が生じる。この各分力F1,F2の水平(x軸)成分(F1cosα,F2cosβ)が、スケートボード1を進行方向4に前進させる推進力になる。このことにより、滑走中に利用者が足で地面を蹴ってスケートボード1の推進力を得る必要はなく、前後の各ボード10,20の上で利用者が進行方向4に対して身体を左右側に捩じることでスケートボード1が前進する。各分力F1,F2の垂直(y軸)成分(F1sinα,F2sinβ)は、スケートボード1の重量中心を中心とし回転運動を発生させるモーメントの役目をする。
【0036】
本実施形態に係るスケートボード1は、ローラーアーム35の回動を制御する制御部材71が取り付けられている。制御部材71は、例えばナイロン製やゴム製などのシートであり、傾斜面37とローラーアーム35との間に配置されて回動軸5に取り付けられる。制御部材71は、ローラーアーム35に接触し、回動軸まわりにおけるローラーアーム35が回動する際、制御部材71とローラーアーム35との間に摩擦力を生じさせる。したがって、滑走時の安定性や旋回特性などの性能の度合いを変化させることができる。これにより、利用者は、滑走時の安定性や旋回特性などの性能を、自己の技量に応じて選択することができ、満足を得ることができる。
【0037】
本実施形態に係るスケートボード1は、前のボード10における鋭角θが約10度であり、後のボード20における鋭角θが約7度である。したがって、滑走時の安定性や旋回特性などの性能の度合いを変化させることができる。
【0038】
本実施形態に係るスケートボード1は、スケートボード1の重心を前のボード10側に置くための錘70が取り付けられている。すなわち、錘70は、前のボード10の先端縁で平面側と底面側とを挟む形状に形成され、前のボード10底面の縁に取りつけられている。したがって、滑走時の安定性や旋回特性などの性能の度合いを変化させることができる。
【0039】
本実施形態に係るスケートボード1は、滑走の際、小さな半径で回転することが可能である。また、滑走中に利用者が足で地面を蹴ってスケートボード1の推進力を得る必要がなく、前後の各ボード10,20の上で利用者が進行方向4に対して身体を左右側に捩じることでスケートボード1を前進させることができる。
【0040】
本実施形態に係るスケートボード1は、捩じれパイプ40が取り付けられている。この構成によって、スケートボード1の滑走中の方向を転換させ、または推進力を発生させるために、前後の各ボード10,20を進行方向に対して左右に傾けた際、板スプリング55の復元力が作用して利用者の均衡が維持され、滑走の安全を図ることができる。
【0041】
次に、本発明に係る他の実施形態を説明する。
【0042】
スケートボード1は、前後の各ボード10,20の底面に取り付けられた傾斜式偏心キャスター13,23が、二つ以上のインライン(in−line)形態、または横軸に並んで配置されていてもよい。これらの場合、回転半径が僅かに大きくなる反面、安定性を増加させることができる。
【0043】
スケートボード1は、前のボード10に傾斜式偏心キャスター13が取り付けられ、後のボード20に非回動軸心式タイヤが一つ以上取り付けられていてもよい。この場合、回転は前のボード10でのみ可能であり、乳児または小児が安全に利用することができる。
【0044】
スケートボード1は、弾性ゴムなどのような弾性体を、捩じれパイプ40の両側に、これと平行に配置して前後の各ボード10,20が連結されていてもよい。捩じれなどの場合に対して弾性復元力を得ることもできる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 スケートボード
2 前のボード側の足
3 後のボード側の足
4 進行方向
5 回動軸
10 前のボード
11,21 プレート
13,23 傾斜式偏心キャスター(キャスター)
20 後のボード
24,34 ローラー支持部
25,35 ローラーアーム
26,36 ローラー
27,37 傾斜面
40 捩じれパイプ(連結部材)
41 前のパイプ
50 後のパイプ
51 ベアリング
52 内側パイプ
53,54 掛け金スプリング
55 板スプリング(弾性部材)
56 ホルダー
70 錘
71 制御部材
F1,F2 分力
θ 鋭角
α,β 角