(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである、請求項1又は2に記載の分散アンテナアレイシステム。
前記無線周波数リソースプールは、低電力無線周波数リソースプールと高電力無線周波数リソースプールとを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の分散アンテナアレイシステム。
前記複数の補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである、請求項7又は8に記載の方法。
【発明の概要】
【0007】
本願発明の複数の実施形態は、分散させられた複数のアンテナの配置コストを低減し得、同時に、信号品質を向上させ、干渉を低減し得、さらにユーザエクスペリエンスを改善し、ネットワーク能力を向上させ得る、分散アンテナアレイシステムと、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法とを提供する。
【0008】
上述した目的を達成すべく、本願発明の複数の実施形態は、以下の複数の技術的解決法を採用する。
【0009】
第1態様において、本願発明の実施形態は、分散アンテナアレイシステムを提供する。アンテナアレイシステムは、複数のアンテナユニットと、無線周波数リソースプール12と、ベースバンドリソースプール13と、コントローラ14とを含む。複数のアンテナユニットは、無線周波数リソースプール12に接続される。無線周波数リソースプール12はさらに、ベースバンドリソースプール13に接続される。ベースバンドリソースプール13はさらに、コントローラ14に接続される。複数のアンテナユニットは、マクロセルアンテナ111と複数の補助アンテナとを含む。マクロセルアンテナ111はマクロセルに配置され、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に分散させられる。
【0010】
コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し、ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、複数のアンテナの
協調送信を実行するか
否か、および、ユーザ機器のための送信モードを決定し、ユーザ機器のために構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプール13へ送信することにより、ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12が、構成されたアンテナリソースを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供するよう構成される。
【0011】
ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12は、コントローラ14により送信された、構成されたアンテナリソースについての情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供するよう構成される。
【0012】
第1態様に係る第1の可能な実施例において、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器から、ユーザ機器をカバーするアンテナユニットへの伝搬損失であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器のダウンリンク受信電力であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器により送信されたアップリンク信号を受信するアンテナユニットの受信電力である。
【0013】
第1の可能な実施例に係る第2の可能な実施例において、補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである。
【0014】
第1の可能な実施例に係る第3の可能な実施例において、補助アンテナは、単一またはデュアル偏波アンテナである。
【0015】
第1態様または第1の可能な実施例から第3の可能な実施例に係る第4の可能な実施例において、無線周波数リソースプール12は、低電力無線周波数リソースプール121と高電力無線周波数リソースプール122とを有する。
【0016】
第4の可能な実施例に係る第5の可能な実施例において、複数の補助アンテナは、マクロセルの周囲100メートル以内に配置される。
【0017】
第2態様において、本願発明の実施形態はさらに、
コントローラにより、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定する段階と、
コントローラにより、ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、複数のアンテナの
協調送信
と協調送信の送信モードとをユーザ機器が要求するかを決定する段階と、
コントローラにより、ユーザ機器のためのアンテナリソースを構成し、構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信する段階と、
ベースバンドリソースプールにより、構成されたアンテナリソースに応じた対応する無線周波数リソースプールの物理ポートへ、構成されたアンテナリソースをマッピングする段階と、
無線周波数リソースプールにより、マッピングされた物理ポートに応じて、物理ポートに対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供する段階と
を備える、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法を提供する。
【0018】
第2態様に係る第1の可能な実施例において、アンテナユニットは、マクロセルアンテナと、複数の補助アンテナとを有する。複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に分散させられる。
【0019】
第2態様または第1の可能な実施例に係る第2の可能な実施例において、
ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器から、ユーザ機器をカバーするアンテナユニットへの伝搬損失であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器のダウンリンク受信電力であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器により送信されたアップリンク信号を受信するアンテナユニットの受信電力である。
【0020】
第2の可能な実施例に係る第3の可能な実施例において、補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである。
【0021】
第2の可能な実施例に係る第4の可能な実施例において、補助アンテナは、単一またはデュアル偏波アンテナである。
【0022】
第2態様または第1の可能な実施例から第4の可能な実施例に係る第5の可能な実施例において、無線周波数リソースプールは、低電力無線周波数リソースプールと高電力無線周波数リソースプールとを有する。
【0023】
上述した分散アンテナアレイシステムにおいて、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に配置されるので、複数の補助アンテナはマクロセルに近く、大規模の光ファイバー接続が要求されず、それにより、分散アンテナアレイシステムの配置コストが低減される。同時に、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナが配置されるので、マクロセルの範囲内のユーザ機器は、複数のアンテナの
協調送信サービスを得ることが出来、それにより、信号品質が向上し、干渉が低減され、さらにユーザエクスペリエンスが改善され、ネットワーク能力が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下において、本願発明の複数の実施形態における添付の複数の図面を参照し、本願発明の複数の実施形態における複数の技術的解決法を明確に、かつ完全に説明する。明らかに、説明される複数の実施形態は、本願発明の複数の実施形態のうち全てではなく単に一部である。本願発明の複数の実施形態に基づいて、当業者によって創造努力を用いずとも得られる他の全ての複数の実施形態は、本願発明の権利保護範囲に含まれる。
【0032】
第1実施形態
本願発明の実施形態は、分散アンテナアレイシステムを提供する。
図1に示されるように、アンテナアレイシステムは、複数のアンテナユニットと、無線周波数リソースプール12と、ベースバンドリソースプール13と、コントローラ14とを含む。複数のアンテナユニットはそれぞれ無線周波数リソースプール12に接続される。無線周波数リソースプール12はさらに、ベースバンドリソースプール13に接続される。ベースバンドリソースプール13はさらに、コントローラ14に接続される。複数のアンテナユニットは111、112A、112B、および112Cであり、そのうち、アンテナユニット111はマクロセルアンテナであり、アンテナユニット112A、112Bおよび112Cは、補助アンテナである。
【0033】
複数のアンテナユニットはそれぞれ、給電線を採用することにより無線周波数リソースプール12へ接続され得る。具体的には、補助アンテナは、具体的にはロープロファイルアンテナを採用し得る。詳細に関しては、
図1に示されるアンテナ112Bおよび112Cが参照され得る。確かに、補助アンテナは具体的には、単一、デュアル、またはマルチ偏波アンテナでもあり得る。詳細に関しては、
図1に示されるアンテナ112Aが参照され得る。
【0034】
本願発明の実施形態において採用される補助アンテナはロープロファイルアンテナ、例えば、112Bおよび112Cであり得、アンテナの厚さは40mmより薄くてもよい。この場合、アンテナユニット112Bおよび112Cのプロファイルの厚さ、体積、および重さは著しく減少させられ得、これにより、壁取り付けおよび隠された設置が促され、アンテナ位置の計画時において位置選択が容易となる。複数のアンテナユニットは、実際の要求に応じて建物に直接固定され得、これにより追加のスペースは要求されず、工学的実装が容易となる。
【0035】
さらに、複数の補助アンテナはさらに、近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備える複数のアンテナであり得、鉛直方向の次元におけるカバレッジを保証するよう構成され、マクロセルアンテナの近隣のサイトエリアのために
協調を実施するよう構成される不均等な間隔で配列された複数のアレイ要素であり得る。
【0036】
マクロセルアンテナ111はマクロセルに配置され、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とするよう複数の位置に分散させられる。
【0037】
複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とするよう複数の位置に分散させられ、マクロセルのカバレッジエリア内の特定のエリアが強化されたカバレッジを要求する場合、複数の補助アンテナとマクロセルアンテナ111との間で
協調送信が実行される必要がある。マクロセルアンテナ111が補助アンテナから遠い場合、マクロセルアンテナ111の受信機がユーザ機器の信号を受信する時間は、補助アンテナの受信機がユーザ機器の信号を受信する時間とは明らかに一致しない。この時間差により、遅延させられたアンテナ信号が、周波数領域において、各キャリア上で異なる位相回転を有するといったことが引き起こされる。具体的には、位相回転量がキャリア位置と共に変化する。位相回転量が多き過ぎる場合、ユーザ機器のチャネル推定に明らかな誤りが生じ、2つのアンテナユニットが、
協調送信を通常通り実行することを失敗するといったことが引き起こされる。
【0038】
確かに、
協調送信は、2つの補助アンテナ間でも実行され得る。マクロセルアンテナ111は通常、マクロセルの中心に位置付けられるので、全ての補助アンテナが
協調送信をマクロセルアンテナ111と実行し得ることが保証されている場合、任意の2つの補助アンテナ間の距離も、
協調送信の要求を満たす。
【0039】
具体的には、複数の補助アンテナは具体的には、マクロセルの周囲100メートル以内に、またはより遠くの複数の位置に分散させられ得る。
【0040】
コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し、ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、ユーザ機器が、複数のアンテナの
協調送信と
協調送信の送信モードとを要求するかを決定し、ユーザ機器のために構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信することにより、ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12が、構成されたアンテナリソースを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供するよう構成される。
【0041】
ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12は、コントローラにより送信された、構成されたアンテナリソース14についての情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供する。
【0042】
コントローラ14がユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するとは具体的には、アンテナユニットの物理ポートまたは論理ポートを決定することである。アンテナユニットの物理ポートと論理ポートとは異なり得る。特定のマッピングルールに応じて、コントローラは、複数の物理アンテナポートを、1または複数の論理送信ポートにマッピングし得、処理は端末にとってトランスペアレントである。このように、コントローラ14により送信された構成されたアンテナリソースについての情報を無線周波数リソースプール12が受信した後に、構成されてアンテナリソースについての情報は、ユーザ機器のためのサービスを提供するのに用いられるアンテナユニット
および送信モードについての情報を含み、無線周波数リソースプール12は、構成されたアンテナリソースについての情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のためにサービスを提供する。
【0043】
具体的には、
図1に示されるように、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナがそれぞれ配置されるので、コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器UE1の信号状態をモニタリングする。線形領域において、UE1に対応する基地局は4アンテナ送信の最大信号処理性能を有しており、アンテナユニット111およびアンテナユニット112Aから112Cのそれぞれは、デュアル偏波アンテナのペアを形成すると仮定される。UE1からアンテナユニットへの伝搬損失の昇順は、112B、112C、112Aおよび111であると仮定される。この場合、UE1からアンテナユニット112Bへの伝搬損失の逆数と、UE1からアンテナユニット112A、112Cおよび111への伝搬損失の逆数の和との間の差が第1のプリセット閾値を超えた場合、アンテナユニット112BがサービスをUE1へ提供すると決定される。UE1は、4アンテナ送信の信号処理性能を有するので、したがってコントローラ14は、アンテナユニット112CもUE1にサーブするアンテナユニットとしてサーブし得るか引き続き決定する。アンテナユニット112CがUE1にサーブするアンテナユニットであるとコントローラ14が決定した場合、コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cの
協調送信を実行することを決定し、同時に、
協調送信の送信モードを決定する。コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cのアンテナリソースを構成し、構成された複数のアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプール13へ送信する。構成されたアンテナリソースについての情報は、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数のアンテナポート、またはアンテナユニット112Bおよび112Cの複数の論理ポート、並びに送信モードなどの情報を含む。ベースバンドリソースプール13は、構成された複数のアンテナリソースについての情報に応じて、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数の論理ポートをアンテナユニット112Bおよび112Cの複数の物理ポートへマッピングし、つまり、複数の論理ポートを、無線周波数リソースプール12のアンテナユニット112Bおよび112Cに対応する複数の物理ポートへマッピングする。無線周波数リソースプールは、対応する複数のポートを通じてアンテナ112Bおよび112Cを制御して、
協調サービスをユーザ機器へ提供する。
【0044】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器により送信される信号を受信するアンテナユニットの受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットの受信電力は降順でランク付けされる。アンテナユニットの後方の他の複数のアンテナユニットの受信電力の和に対する、アンテナユニットの受信電力の比が第2のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0045】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器のダウンリンク受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力が降順でランク付けされ、他の複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器の受信電力の和に対する、アンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力の比が第3のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0046】
確かに、非線形領域において、コントローラ14はまた、ユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得、本願発明の実施形態において詳細は繰り返して説明されない。
【0047】
オプションで、
図2に示されるように、無線周波数リソースプール12は、低電力無線周波数リソースプール121と高電力無線周波数リソースプール122とを含み得る。低電力無線周波数リソースプール121の一端および高電力無線周波数リソースプール122の一端はそれぞれ、ベースバンドリソースプール13へ接続され、それらの他端は、対応するアンテナユニットに接続され、ベースバンドリソースプール13とコントローラ14とが接続される。低電力無線周波数リソースプール121は低電力無線周波数モジュールを含み、高電力無線周波数リソースプール122は高電力無線周波数モジュールを含む。高電力無線周波数モジュールは、マクロセルの全範囲をカバーするよう構成され、低電力無線周波数モジュールは複数のキーエリアをカバーするよう構成される。概して、低電力無線周波数モジュールの電力は5Wより小さく、高電力無線周波数モジュールの電力は5Wより大きい。
【0048】
上述したアンテナアレイシステムに基づいて、複数の補助アンテナはセグメント化された複数のビームを送信し、複数の補助アンテナが分散させられた複数の位置に応じて、マクロセル全体のカバレッジ効果は異なり得る。処理の詳細は、具体的には以下のとおりである。
【0049】
図3に示されるように、マクロセルアンテナ111は、マクロセル全体のサービス範囲をカバーする。複数の補助アンテナは、マクロセルのサービスエリアのうちいくつかのエリアをカバーするようマクロセルの周囲に分散させられる。複数の補助アンテナは、複数のキーエリアのための強化されたカバレッジの目的を達成するよう隣接するアンテナと
協調を行い得る。
【0050】
図4に示されるように、マクロセルアンテナ111は、マクロセル全体のサービス範囲をカバーし、複数の補助アンテナは大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである。ネットワーク能力が向上するように、補助アンテナのダウンチルトは、20度〜30度の間に設定されて、マクロセルアンテナ111の近隣のサイトエリアにおいて鉛直方向の強化されたカバレッジを提供する。対称的に、
図3の補助アンテナは通常、小さなダウンチルト(<20度)を有しており、マクロセルの近隣のサイトエリアおよび遠隔のサイトエリアをカバーし得る。
図4においては、近隣のサイトエリアにおける鉛直のカバレッジのための大きな電気的ダウンチルトのアンテナが採用されており、それにより、鉛直方向の次元のカバレッジが保証されている。
【0051】
図5に示されるように、マクロセルアンテナ111は、マクロセル全体のサービス範囲をカバーする。若しかすると、強化されたカバレッジを要求するエリアがマクロセルから遠いので、比較的遠い距離にあるキーエリアのための遠隔のカバレッジを実現するよう、補助アンテナは光ファイバー接続を通じて遠隔で設置され得る。この場合、コントローラ14は、マクロセルアンテナ111および補助アンテナに対して集中化した制御を実行し得、マクロセルアンテナとの
協調を可能とする複数の位置以外の位置に配置された補助アンテナの干渉を制御し得、それにより、ネットワーク性能を促し得る。
【0052】
上述した分散アンテナアレイシステムにおいて、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に配置されるので、複数の補助アンテナはマクロセルに近く、大規模の光ファイバー接続が要求されず、それにより、分散アンテナアレイシステムの配置コストが低減される。同時に、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナが配置されるので、マクロセルの範囲内のユーザ機器は、複数のアンテナの
協調送信サービスを得ることが出来、それにより、信号品質が向上し、干渉が低減され、さらにユーザエクスペリエンスが改善され、ネットワーク能力が向上する。
【0053】
第2実施形態
本願発明の実施形態は、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法を提供する。方法は、第1実施形態において提供された分散アンテナアレイシステムに基づく。具体的には、
図1に示されるように、アンテナアレイシステムは、複数のアンテナユニットと、無線周波数リソースプール12と、ベースバンドリソースプール13と、コントローラ14とを含む。複数のアンテナユニットは無線周波数リソースプール12に接続される。無線周波数リソースプール12はさらに、ベースバンドリソースプール13に接続される。ベースバンドリソースプール13はさらに、コントローラ14に接続される。複数のアンテナユニットは111、112A、112B、および112Cであり、そのうち、アンテナユニット111はマクロセルアンテナ111であり、アンテナユニット112A、112Bおよび112Cは、補助アンテナである。
【0054】
複数のアンテナユニットはそれぞれ、給電線を採用することにより無線周波数リソースプール12へ接続され得る。具体的には、補助アンテナは、具体的にはロープロファイルアンテナを採用し得る。詳細に関しては、
図1に示されるアンテナ112Bおよび112Cが参照され得る。確かに、補助アンテナは具体的には、単一、デュアル、またはマルチ偏波アンテナでもあり得る。詳細に関しては、
図1に示されるアンテナ112Aが参照され得る。
【0055】
本願発明の実施形態において採用される補助アンテナはロープロファイルアンテナ、例えば、112Bおよび112Cであり得、アンテナの厚さは40mmより薄くてもよい。この場合、アンテナユニット112Bおよび112Cのプロファイルの厚さ、体積、および重さは著しく減少させられ得、これにより、壁取り付けおよび隠された設置が促され、アンテナ位置の計画時において位置選択が容易となる。複数のアンテナユニットは、実際の要求に応じて建物に直接固定され得、これにより追加のスペースは要求されず、工学的実装が容易となる。
【0056】
さらに、複数の補助アンテナはさらに、近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備える複数のアンテナであり得、鉛直方向の次元におけるカバレッジを保証するよう構成され、マクロセルアンテナの近隣のサイトエリアのために
協調を実施するよう構成される不均等な間隔で配列された複数のアレイ要素であり得る。
【0057】
マクロセルアンテナ111はマクロセルに配置され、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とするよう複数の位置に分散させられる。
【0058】
複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とするよう複数の位置に分散させられ、マクロセルのカバレッジエリア内の特定のエリアが強化されたカバレッジを要求する場合、複数の補助アンテナとマクロセルアンテナ111との間で
協調送信が実行される必要がある。マクロセルアンテナ111が補助アンテナから遠い場合、マクロセルアンテナ111の受信機がユーザ機器の信号を受信する時間は、補助アンテナの受信機がユーザ機器の信号を受信する時間とは明らかに一致しない。この時間差により、遅延させられたアンテナ信号が、周波数領域において、各キャリア上で異なる位相回転を有するといったことが引き起こされる。具体的には、位相回転量がキャリア位置と共に変化する。位相回転量が多き過ぎる場合、ユーザ機器のチャネル推定に明らかな誤りが生じ、2つのアンテナユニットが、
協調送信を通常通り実行することを失敗するといったことが引き起こされる。
【0059】
確かに、
協調送信は、2つの補助アンテナ間でも実行され得る。マクロセルアンテナ111は通常、マクロセルの中心に位置付けられるので、全ての補助アンテナが
協調送信をマクロセルアンテナ111と実行し得ることが保証されている場合、任意の2つの補助アンテナ間の距離も、
協調送信の要求を満たす。
【0060】
具体的には、複数の補助アンテナは具体的には、マクロセルの周囲100メートル以内に、またはより遠くの複数の位置に分散させられ得る。
【0061】
具体的には、
図6に示されるように、方法は以下を含む。
【0062】
601。コントローラが、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定する。
【0063】
コントローラ14がユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するとは具体的には、アンテナユニットの物理ポートまたは論理ポートを決定することである。アンテナユニットの物理ポートと論理ポートとは異なり得る。特定のマッピングルールに応じて、コントローラは、複数の物理アンテナポートを、1または複数の論理送信ポートにマッピングし得、処理は端末にとってトランスペアレントである。
【0064】
具体的には、
図1に示されるように、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナがそれぞれ配置されるので、コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器UE1の信号状態をモニタリングする。線形領域において、UE1に対応する基地局は4アンテナ送信の最大信号処理性能を有しており、アンテナユニット111およびアンテナユニット112Aから112Cのそれぞれは、デュアル偏波アンテナのペアを形成すると仮定される。UE1からアンテナユニットへの伝搬損失の昇順は、112B、112C、112Aおよび111であると仮定される。この場合、UE1からアンテナユニット112Bへの伝搬損失の逆数と、UE1からアンテナユニット112A、112Cおよび111への伝搬損失の逆数の和との間の差が第1のプリセット閾値を超えた場合、アンテナユニット112BがサービスをUE1へ提供すると決定される。UE1は、4アンテナ送信の信号処理性能を有するので、したがってコントローラ14は、アンテナユニット112CもUE1にサーブするアンテナユニットとしてサーブし得るか引き続き決定する。アンテナユニット112CがUE1にサーブするアンテナユニットであるとコントローラ14が決定した場合、コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cの
協調送信を実行することを決定し、同時に、
協調送信の送信モードを決定する。
【0065】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器により送信される信号を受信するアンテナユニットの受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットの受信電力は降順でランク付けされる。アンテナユニットの後方の他の複数のアンテナユニットの受信電力の和に対する、アンテナユニットの受信電力の比が第2のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0066】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器のダウンリンク受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力が降順でランク付けされ、他の複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器の受信電力の和に対する、アンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力の比が第3のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0067】
確かに、非線形領域において、コントローラ14はまた、ユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得、本願発明の実施形態において詳細は繰り返して説明されない。
【0068】
602。コントローラが、ユーザ機器のアンテナ性能に応じて、複数のアンテナの
協調送信をユーザ機器が要求するかを決定する。
【0069】
UE1は、2つの補助アンテナにより送信された複数の信号を受信する性能を有するので、コントローラ14は、UE1のために112Bおよび112Cの
協調送信を実行することを決定し、同時に、
協調送信の送信モードを決定する。
【0070】
603。コントローラが、ユーザ機器のためのアンテナリソースを構成し、構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信する。
【0071】
UE1が
協調送信を要求すると決定された場合、コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cのアンテナリソースを構成し、構成された複数のアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプール13へ送信する。構成されたアンテナリソースについての情報は、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数の物理ポート、または112Bおよび112Cの複数の論理ポート、並びに送信モードなどの情報を含む。
【0072】
604。ベースバンドリソースプールが、構成されたアンテナリソースに応じた対応する無線周波数リソースプールの物理ポートへ、構成されたアンテナリソースをマッピングする。
【0073】
ベースバンドリソースプール13は、構成された複数のアンテナリソースについての情報に応じて、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数の論理ポートをアンテナユニット112Bおよび112Cの複数の物理ポートへマッピングし、つまり、複数の論理ポートを、無線周波数リソースプール12のアンテナユニット112Bおよび112Cに対応する複数の物理ポートへマッピングする。
【0074】
605。無線周波数リソースプールが、マッピングされた物理ポートに応じて、物理ポートに対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供する。
【0075】
オプションで、
図2に示されるように、無線周波数リソースプール12は、低電力無線周波数リソースプール121と高電力無線周波数リソースプール122とを含み得る。低電力無線周波数リソースプール121の一端および高電力無線周波数リソースプール122の一端はそれぞれ、ベースバンドリソースプール13へ接続され、それらの他端は、対応するアンテナユニットに接続され、ベースバンドリソースプール13とコントローラ14とが接続される。低電力無線周波数リソースプール121は低電力無線周波数モジュールを含み、高電力無線周波数リソースプール122は高電力無線周波数モジュールを含む。高電力無線周波数モジュールは、マクロセルの全範囲をカバーするよう構成され、低電力無線周波数モジュールは複数のキーエリアをカバーするよう構成される。概して、低電力無線周波数モジュールの電力は5Wより小さく、高電力無線周波数モジュールの電力は5Wより大きい。
【0076】
上述した分散アンテナアレイシステムにおいて、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に配置されるので、複数の補助アンテナはマクロセルに近く、大規模の光ファイバー接続が要求されず、それにより、分散アンテナアレイシステムの配置コストが低減される。同時に、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの
協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナが配置されるので、マクロセルの範囲内のユーザ機器は、複数のアンテナの
協調送信サービスを得ることが出来、それにより、信号品質が向上し、干渉が低減され、さらにユーザエクスペリエンスが改善され、ネットワーク能力が向上する。
【0077】
当業者は、上述した方法の複数の実施形態の複数の段階の全てまたは一部が、関連するハードウェアに指示を出すプログラムにより実施され得ることを理解されよう。上述した複数のプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。プログラムが実行された場合、上述した方法の複数の実施形態の複数の段階が実行される。上述した記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクなど、プログラムコードを格納可能な様々な媒体を含む。
【0078】
上述した説明は単に、本願発明の特定の実施例であり、本願発明の保護範囲を限定することを意図されていない。本願発明において開示される技術範囲内で当業者により容易に理解される変更または置き換えは、本願発明の保護範囲に含まれる。したがって、本願発明の保護範囲は、請求項の保護範囲を前提としている。