特許第6355110号(P6355110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6355110分散アンテナアレイシステムによる通信方法、アレイシステムおよびコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355110
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】分散アンテナアレイシステムによる通信方法、アレイシステムおよびコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/022 20170101AFI20180702BHJP
   H04B 7/0408 20170101ALI20180702BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20180702BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20180702BHJP
【FI】
   H04B7/022
   H04B7/0408
   H04B7/06 150
   H04W16/28
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-535948(P2015-535948)
(86)(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公表番号】特表2015-537424(P2015-537424A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】CN2012082720
(87)【国際公開番号】WO2014056162
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2015年5月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マ、ニ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ、ジャンピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、タオ
【審査官】 原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102545989(CN,A)
【文献】 特開2012−029181(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/055749(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/100856(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナユニットと、
無線周波数リソースプールと、
ベースバンドリソースプールと、
コントローラと
を備え、
前記複数のアンテナユニットは前記無線周波数リソースプールに接続され、
前記無線周波数リソースプールはさらに、前記ベースバンドリソースプールに接続され、
前記ベースバンドリソースプールはさらに、前記コントローラに接続され、
前記複数のアンテナユニットは、
マクロセルアンテナと、
複数の補助アンテナと
を有し、
前記マクロセルアンテナはマクロセルに配置され、前記マクロセル全体のサービスエリアをカバーし、
前記複数の補助アンテナは、前記マクロセルの前記サービスエリアのうちいくつかのエリアをカバーするよう複数の位置に分散させられ、前記複数の補助アンテナのそれぞれが、前記マクロセルのカバレッジエリア内の前記複数の補助アンテナのうちの他の1以上の補助アンテナ及び前記マクロセルアンテナとの協調送信を実行することが可能であり、
前記コントローラは、
前記マクロセルの前記カバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、前記ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられる第1のアンテナユニットを、前記複数のアンテナユニットから決定し、
前記ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、前記複数のアンテナユニットのうち前記決定された第1のアンテナユニット及び前記複数のアンテナユニットのうち前記ユーザ機器のために前記サービスを提供するために前記第1のアンテナユニットと前記協調送信を実行するための第2のアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットの前記協調送信を実行すること、及び、前記ユーザ機器のための前記協調送信の送信モードを決定し、
前記ユーザ機器のために構成されたアンテナリソースについての情報を前記ベースバンドリソースプールへ送信することにより、前記ベースバンドリソースプールおよび前記無線周波数リソースプールが、構成された前記アンテナリソースを制御して、前記ユーザ機器のために通信サービスを提供し、
前記ベースバンドリソースプールおよび前記無線周波数リソースプールは、前記コントローラにより送信された、前記構成されたアンテナリソースについての前記情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、前記ユーザ機器のために通信サービスを提供
前記ユーザ機器の前記受信性能および送信性能が、前記ユーザ機器が前記複数のアンテナユニットにより送信された信号を受信することができるアンテナユニットの数を含む、
分散アンテナアレイシステム。
【請求項2】
前記ユーザ機器の前記信号状態は、前記ユーザ機器から、前記ユーザ機器をカバーするアンテナユニットへの伝搬損失であり、
または、前記ユーザ機器の前記信号状態は、前記ユーザ機器のダウンリンク受信電力であり、
または、前記ユーザ機器の前記信号状態は、前記ユーザ機器により送信されたアップリンク信号を受信する前記アンテナユニットの受信電力である、請求項1に記載の分散アンテナアレイシステム。
【請求項3】
前記複数の補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである、請求項1又は2に記載の分散アンテナアレイシステム。
【請求項4】
前記複数の補助アンテナは、単一、デュアル、またはマルチ偏波アンテナである、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散アンテナアレイシステム。
【請求項5】
前記無線周波数リソースプールは、低電力無線周波数リソースプールと高電力無線周波数リソースプールとを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の分散アンテナアレイシステム。
【請求項6】
前記複数の補助アンテナは、前記マクロセルの周囲100メートル以内に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の分散アンテナアレイシステム。
【請求項7】
コントローラにより、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、前記ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられる第1のアンテナユニットを、複数のアンテナユニットから決定する段階であって、前記複数のアンテナユニットが、マクロセルアンテナと、複数の補助アンテナとを有し、前記マクロセルアンテナが前記マクロセルに配置され、前記マクロセル全体のサービスエリアをカバーし、前記複数の補助アンテナが、前記マクロセルの前記サービスエリアのうちいくつかのエリアをカバーするよう複数の位置に分散させられ、前記複数の補助アンテナのそれぞれが、前記マクロセルのカバレッジエリア内の前記複数の補助アンテナのうちの他の1以上の補助アンテナ及び前記マクロセルアンテナとの協調送信を実行することが可能である、段階と、
前記コントローラにより、前記ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、前記複数のアンテナユニットのうち前記決定された第1のアンテナユニット及び前記複数のアンテナユニットのうち前記ユーザ機器のために前記サービスを提供するために前記第1のアンテナユニットと前記協調送信を実行するための第2のアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットの前記協調送信と前記協調送信の送信モードとを前記ユーザ機器が要求することを決定する段階と、
前記コントローラにより、前記ユーザ機器のためのアンテナリソースを構成し、構成された前記アンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信する段階と、
前記ベースバンドリソースプールにより、前記構成されたアンテナリソースに応じた対応する無線周波数リソースプールの物理ポートへ、前記構成されたアンテナリソースをマッピングする段階と、
前記無線周波数リソースプールにより、マッピングされた前記物理ポートに応じて、前記物理ポートに対応するアンテナユニットを制御して、前記ユーザ機器のために通信サービスを提供する段階と
を備え、
前記ユーザ機器の前記受信性能および送信性能が、前記ユーザ機器が前記複数のアンテナユニットにより送信された信号を受信することができるアンテナユニットの数を含む、
分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法。
【請求項8】
前記ユーザ機器の前記信号状態は、前記ユーザ機器から、前記ユーザ機器をカバーするアンテナユニットへの伝搬損失であり、
または、前記ユーザ機器の前記信号状態は、前記ユーザ機器のダウンリンク受信電力であり、
または、前記ユーザ機器の前記信号状態は、前記ユーザ機器により送信されたアップリンク信号を受信する前記アンテナユニットの受信電力である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の補助アンテナは、単一、デュアル、またはマルチ偏波アンテナである、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記無線周波数リソースプールは、低電力無線周波数リソースプールと高電力無線周波数リソースプールとを有する、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コントローラであって、
マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、前記ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられる第1のアンテナユニットを、マクロセルアンテナ及び複数の補助アンテナを有する複数のアンテナユニットから決定し、
前記ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、前記複数のアンテナユニットのうち前記決定された第1のアンテナユニット及び前記複数のアンテナユニットのうち前記ユーザ機器のために前記サービスを提供するために前記第1のアンテナユニットと協調送信を実行するための第2のアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットの協調送信を実行すること、及び、前記ユーザ機器のための前記協調送信の送信モードを決定し、
前記ユーザ機器のために構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信し、
前記複数のアンテナユニットが、無線周波数リソースプールに接続され、
前記無線周波数リソースプールがさらに、前記ベースバンドリソースプールに接続され、
前記コントローラにより送信された、前記構成されたアンテナリソースについての前記情報に応じて、対応するアンテナユニットが、前記ベースバンドリソースプールおよび前記無線周波数リソースプールにより制御されて、前記ユーザ機器のために通信サービスが提供され、
前記マクロセルアンテナが前記マクロセルに配置され、前記マクロセル全体のサービスエリアをカバーし、
前記複数の補助アンテナが、前記マクロセルの前記サービスエリアのうちいくつかのエリアをカバーするよう複数の位置に分散させられ、前記複数の補助アンテナのそれぞれが、前記マクロセルのカバレッジエリア内の前記複数の補助アンテナのうちの他の1以上の補助アンテナ及び前記マクロセルアンテナとの前記協調送信を実行することが可能であ
前記ユーザ機器の前記受信性能および送信性能は、前記ユーザ機器が前記複数のアンテナユニットにより送信された信号を受信することができるアンテナユニットの数を含む、
コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、無線通信の分野に関し、特に、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法およびアレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術および関連するサービスの急速な開発と共に、人々の、信頼性が高く、継続性のある高速無線ブロードバンドサービスに対する要求はより高くなっている。既存の予測に基づくと、10年先の将来には、人々の、無線能力に対する要求は、今日と比較して数十倍、またはさらには数百倍に増すかもしれない。
【0003】
そのような課題に対応すべく、無線ネットワークの能力およびカバレッジを著しく向上させることを目的として、一連の新たなアーキテクチャが提唱されている。現在、異種ネットワーク、分散アンテナシステム、および上位セル分割など最も広く用いられている技術は、無線ネットワークの能力およびカバレッジを著しく向上させてきた。
【0004】
異種ネットワーク技術においては、無線ネットワークの能力およびカバレッジを向上させるべく、いくつかのスモールセルがマクロセルのカバレッジエリア内に配置される。上位セル分割技術においては、カバレッジおよび能力を向上させるべく、元のセルのアンテナが分割される。分散アンテナシステム技術は、屋内の無線カバレッジを提供するために用いられ、建物内で分散させられる複数のアンテナから形成されるネットワークであり、サブアンテナユニットが中央局の遠隔の端部において配置される必要があり、光ファイバーを通じて接続される。
【0005】
しかし、従来技術の異種ネットワーク技術と分散アンテナシステム技術とのうち両方において、スモールセルまたはサブアンテナユニットの配置は、計画の間に選択される必要があり、このことは、工学的実装を困難なものとする。また、スモールセルとマクロセルとの間の光ファイバー接続が大規模で要求され得、中央局と各サブアンテナユニットとの間の光ファイバー接続も大規模で要求され、このことにより工学的な費用が高くなる。
【0006】
従来技術の上位セル分割技術においては、能力の向上は分割され得るセルの数によるので、理論的に、より多くのセルが分割され得るときに能力はより高くなり、しかし、セルの分割は、分割されたセルの間の干渉をもたらし、このことは、無線ネットワークの能力の著しい向上を妨げることとなる。
【発明の概要】
【0007】
本願発明の複数の実施形態は、分散させられた複数のアンテナの配置コストを低減し得、同時に、信号品質を向上させ、干渉を低減し得、さらにユーザエクスペリエンスを改善し、ネットワーク能力を向上させ得る、分散アンテナアレイシステムと、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法とを提供する。
【0008】
上述した目的を達成すべく、本願発明の複数の実施形態は、以下の複数の技術的解決法を採用する。
【0009】
第1態様において、本願発明の実施形態は、分散アンテナアレイシステムを提供する。アンテナアレイシステムは、複数のアンテナユニットと、無線周波数リソースプール12と、ベースバンドリソースプール13と、コントローラ14とを含む。複数のアンテナユニットは、無線周波数リソースプール12に接続される。無線周波数リソースプール12はさらに、ベースバンドリソースプール13に接続される。ベースバンドリソースプール13はさらに、コントローラ14に接続される。複数のアンテナユニットは、マクロセルアンテナ111と複数の補助アンテナとを含む。マクロセルアンテナ111はマクロセルに配置され、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に分散させられる。
【0010】
コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し、ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、複数のアンテナの協調送信を実行するか否か、および、ユーザ機器のための送信モードを決定し、ユーザ機器のために構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプール13へ送信することにより、ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12が、構成されたアンテナリソースを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供するよう構成される。
【0011】
ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12は、コントローラ14により送信された、構成されたアンテナリソースについての情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供するよう構成される。
【0012】
第1態様に係る第1の可能な実施例において、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器から、ユーザ機器をカバーするアンテナユニットへの伝搬損失であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器のダウンリンク受信電力であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器により送信されたアップリンク信号を受信するアンテナユニットの受信電力である。
【0013】
第1の可能な実施例に係る第2の可能な実施例において、補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである。
【0014】
第1の可能な実施例に係る第3の可能な実施例において、補助アンテナは、単一またはデュアル偏波アンテナである。
【0015】
第1態様または第1の可能な実施例から第3の可能な実施例に係る第4の可能な実施例において、無線周波数リソースプール12は、低電力無線周波数リソースプール121と高電力無線周波数リソースプール122とを有する。
【0016】
第4の可能な実施例に係る第5の可能な実施例において、複数の補助アンテナは、マクロセルの周囲100メートル以内に配置される。
【0017】
第2態様において、本願発明の実施形態はさらに、
コントローラにより、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定する段階と、
コントローラにより、ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、複数のアンテナの協調送信と協調送信の送信モードとをユーザ機器が要求するかを決定する段階と、
コントローラにより、ユーザ機器のためのアンテナリソースを構成し、構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信する段階と、
ベースバンドリソースプールにより、構成されたアンテナリソースに応じた対応する無線周波数リソースプールの物理ポートへ、構成されたアンテナリソースをマッピングする段階と、
無線周波数リソースプールにより、マッピングされた物理ポートに応じて、物理ポートに対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供する段階と
を備える、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法を提供する。
【0018】
第2態様に係る第1の可能な実施例において、アンテナユニットは、マクロセルアンテナと、複数の補助アンテナとを有する。複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に分散させられる。
【0019】
第2態様または第1の可能な実施例に係る第2の可能な実施例において、
ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器から、ユーザ機器をカバーするアンテナユニットへの伝搬損失であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器のダウンリンク受信電力であり、
または、ユーザ機器の信号状態は、ユーザ機器により送信されたアップリンク信号を受信するアンテナユニットの受信電力である。
【0020】
第2の可能な実施例に係る第3の可能な実施例において、補助アンテナは、ロープロファイルアンテナまたは近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである。
【0021】
第2の可能な実施例に係る第4の可能な実施例において、補助アンテナは、単一またはデュアル偏波アンテナである。
【0022】
第2態様または第1の可能な実施例から第4の可能な実施例に係る第5の可能な実施例において、無線周波数リソースプールは、低電力無線周波数リソースプールと高電力無線周波数リソースプールとを有する。
【0023】
上述した分散アンテナアレイシステムにおいて、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に配置されるので、複数の補助アンテナはマクロセルに近く、大規模の光ファイバー接続が要求されず、それにより、分散アンテナアレイシステムの配置コストが低減される。同時に、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナが配置されるので、マクロセルの範囲内のユーザ機器は、複数のアンテナの協調送信サービスを得ることが出来、それにより、信号品質が向上し、干渉が低減され、さらにユーザエクスペリエンスが改善され、ネットワーク能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本願発明の複数の実施形態、または、従来技術の複数の技術的解決法をより明確に説明するべく、以下において簡単に、複数の実施形態または従来技術を説明するために必要である添付の複数の図面を紹介する。明らかに、以下の説明において添付の複数の図面は単に本願発明のいくつかの実施形態を示し、当業者はさらに、創造努力を用いることなくこれらの添付の複数の図面から他の複数の図面を導き出し得る。
【0025】
図1】本願発明の実施形態において提供される分散アンテナアレイシステムの概略図である。
【0026】
図2】本願発明の実施形態により提供される他の分散アンテナシステムの概略構造図である。
【0027】
図3】本願発明の実施形態により提供される分散アンテナシステムのカバレッジエリアの概略図である。
【0028】
図4】本願発明の実施形態により提供される分散アンテナシステムの他のカバレッジエリアの概略図である。
【0029】
図5】本願発明の実施形態により提供される分散アンテナシステムのさらに他のカバレッジエリアの概略図である。
【0030】
図6】本願発明の実施形態により提供される分散アンテナシステムを通じた通信のための方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下において、本願発明の複数の実施形態における添付の複数の図面を参照し、本願発明の複数の実施形態における複数の技術的解決法を明確に、かつ完全に説明する。明らかに、説明される複数の実施形態は、本願発明の複数の実施形態のうち全てではなく単に一部である。本願発明の複数の実施形態に基づいて、当業者によって創造努力を用いずとも得られる他の全ての複数の実施形態は、本願発明の権利保護範囲に含まれる。
【0032】
第1実施形態
本願発明の実施形態は、分散アンテナアレイシステムを提供する。図1に示されるように、アンテナアレイシステムは、複数のアンテナユニットと、無線周波数リソースプール12と、ベースバンドリソースプール13と、コントローラ14とを含む。複数のアンテナユニットはそれぞれ無線周波数リソースプール12に接続される。無線周波数リソースプール12はさらに、ベースバンドリソースプール13に接続される。ベースバンドリソースプール13はさらに、コントローラ14に接続される。複数のアンテナユニットは111、112A、112B、および112Cであり、そのうち、アンテナユニット111はマクロセルアンテナであり、アンテナユニット112A、112Bおよび112Cは、補助アンテナである。
【0033】
複数のアンテナユニットはそれぞれ、給電線を採用することにより無線周波数リソースプール12へ接続され得る。具体的には、補助アンテナは、具体的にはロープロファイルアンテナを採用し得る。詳細に関しては、図1に示されるアンテナ112Bおよび112Cが参照され得る。確かに、補助アンテナは具体的には、単一、デュアル、またはマルチ偏波アンテナでもあり得る。詳細に関しては、図1に示されるアンテナ112Aが参照され得る。
【0034】
本願発明の実施形態において採用される補助アンテナはロープロファイルアンテナ、例えば、112Bおよび112Cであり得、アンテナの厚さは40mmより薄くてもよい。この場合、アンテナユニット112Bおよび112Cのプロファイルの厚さ、体積、および重さは著しく減少させられ得、これにより、壁取り付けおよび隠された設置が促され、アンテナ位置の計画時において位置選択が容易となる。複数のアンテナユニットは、実際の要求に応じて建物に直接固定され得、これにより追加のスペースは要求されず、工学的実装が容易となる。
【0035】
さらに、複数の補助アンテナはさらに、近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備える複数のアンテナであり得、鉛直方向の次元におけるカバレッジを保証するよう構成され、マクロセルアンテナの近隣のサイトエリアのために協調を実施するよう構成される不均等な間隔で配列された複数のアレイ要素であり得る。
【0036】
マクロセルアンテナ111はマクロセルに配置され、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とするよう複数の位置に分散させられる。
【0037】
複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とするよう複数の位置に分散させられ、マクロセルのカバレッジエリア内の特定のエリアが強化されたカバレッジを要求する場合、複数の補助アンテナとマクロセルアンテナ111との間で協調送信が実行される必要がある。マクロセルアンテナ111が補助アンテナから遠い場合、マクロセルアンテナ111の受信機がユーザ機器の信号を受信する時間は、補助アンテナの受信機がユーザ機器の信号を受信する時間とは明らかに一致しない。この時間差により、遅延させられたアンテナ信号が、周波数領域において、各キャリア上で異なる位相回転を有するといったことが引き起こされる。具体的には、位相回転量がキャリア位置と共に変化する。位相回転量が多き過ぎる場合、ユーザ機器のチャネル推定に明らかな誤りが生じ、2つのアンテナユニットが、協調送信を通常通り実行することを失敗するといったことが引き起こされる。
【0038】
確かに、協調送信は、2つの補助アンテナ間でも実行され得る。マクロセルアンテナ111は通常、マクロセルの中心に位置付けられるので、全ての補助アンテナが協調送信をマクロセルアンテナ111と実行し得ることが保証されている場合、任意の2つの補助アンテナ間の距離も、協調送信の要求を満たす。
【0039】
具体的には、複数の補助アンテナは具体的には、マクロセルの周囲100メートル以内に、またはより遠くの複数の位置に分散させられ得る。
【0040】
コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し、ユーザ機器の受信性能および送信性能に応じて、ユーザ機器が、複数のアンテナの協調送信と協調送信の送信モードとを要求するかを決定し、ユーザ機器のために構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信することにより、ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12が、構成されたアンテナリソースを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供するよう構成される。
【0041】
ベースバンドリソースプール13および無線周波数リソースプール12は、コントローラにより送信された、構成されたアンテナリソース14についての情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供する。
【0042】
コントローラ14がユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するとは具体的には、アンテナユニットの物理ポートまたは論理ポートを決定することである。アンテナユニットの物理ポートと論理ポートとは異なり得る。特定のマッピングルールに応じて、コントローラは、複数の物理アンテナポートを、1または複数の論理送信ポートにマッピングし得、処理は端末にとってトランスペアレントである。このように、コントローラ14により送信された構成されたアンテナリソースについての情報を無線周波数リソースプール12が受信した後に、構成されてアンテナリソースについての情報は、ユーザ機器のためのサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットおよび送信モードについての情報を含み、無線周波数リソースプール12は、構成されたアンテナリソースについての情報に応じて、対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のためにサービスを提供する。
【0043】
具体的には、図1に示されるように、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナがそれぞれ配置されるので、コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器UE1の信号状態をモニタリングする。線形領域において、UE1に対応する基地局は4アンテナ送信の最大信号処理性能を有しており、アンテナユニット111およびアンテナユニット112Aから112Cのそれぞれは、デュアル偏波アンテナのペアを形成すると仮定される。UE1からアンテナユニットへの伝搬損失の昇順は、112B、112C、112Aおよび111であると仮定される。この場合、UE1からアンテナユニット112Bへの伝搬損失の逆数と、UE1からアンテナユニット112A、112Cおよび111への伝搬損失の逆数の和との間の差が第1のプリセット閾値を超えた場合、アンテナユニット112BがサービスをUE1へ提供すると決定される。UE1は、4アンテナ送信の信号処理性能を有するので、したがってコントローラ14は、アンテナユニット112CもUE1にサーブするアンテナユニットとしてサーブし得るか引き続き決定する。アンテナユニット112CがUE1にサーブするアンテナユニットであるとコントローラ14が決定した場合、コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cの協調送信を実行することを決定し、同時に、協調送信の送信モードを決定する。コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cのアンテナリソースを構成し、構成された複数のアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプール13へ送信する。構成されたアンテナリソースについての情報は、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数のアンテナポート、またはアンテナユニット112Bおよび112Cの複数の論理ポート、並びに送信モードなどの情報を含む。ベースバンドリソースプール13は、構成された複数のアンテナリソースについての情報に応じて、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数の論理ポートをアンテナユニット112Bおよび112Cの複数の物理ポートへマッピングし、つまり、複数の論理ポートを、無線周波数リソースプール12のアンテナユニット112Bおよび112Cに対応する複数の物理ポートへマッピングする。無線周波数リソースプールは、対応する複数のポートを通じてアンテナ112Bおよび112Cを制御して、協調サービスをユーザ機器へ提供する。
【0044】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器により送信される信号を受信するアンテナユニットの受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットの受信電力は降順でランク付けされる。アンテナユニットの後方の他の複数のアンテナユニットの受信電力の和に対する、アンテナユニットの受信電力の比が第2のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0045】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器のダウンリンク受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力が降順でランク付けされ、他の複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器の受信電力の和に対する、アンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力の比が第3のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0046】
確かに、非線形領域において、コントローラ14はまた、ユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得、本願発明の実施形態において詳細は繰り返して説明されない。
【0047】
オプションで、図2に示されるように、無線周波数リソースプール12は、低電力無線周波数リソースプール121と高電力無線周波数リソースプール122とを含み得る。低電力無線周波数リソースプール121の一端および高電力無線周波数リソースプール122の一端はそれぞれ、ベースバンドリソースプール13へ接続され、それらの他端は、対応するアンテナユニットに接続され、ベースバンドリソースプール13とコントローラ14とが接続される。低電力無線周波数リソースプール121は低電力無線周波数モジュールを含み、高電力無線周波数リソースプール122は高電力無線周波数モジュールを含む。高電力無線周波数モジュールは、マクロセルの全範囲をカバーするよう構成され、低電力無線周波数モジュールは複数のキーエリアをカバーするよう構成される。概して、低電力無線周波数モジュールの電力は5Wより小さく、高電力無線周波数モジュールの電力は5Wより大きい。
【0048】
上述したアンテナアレイシステムに基づいて、複数の補助アンテナはセグメント化された複数のビームを送信し、複数の補助アンテナが分散させられた複数の位置に応じて、マクロセル全体のカバレッジ効果は異なり得る。処理の詳細は、具体的には以下のとおりである。
【0049】
図3に示されるように、マクロセルアンテナ111は、マクロセル全体のサービス範囲をカバーする。複数の補助アンテナは、マクロセルのサービスエリアのうちいくつかのエリアをカバーするようマクロセルの周囲に分散させられる。複数の補助アンテナは、複数のキーエリアのための強化されたカバレッジの目的を達成するよう隣接するアンテナと協調を行い得る。
【0050】
図4に示されるように、マクロセルアンテナ111は、マクロセル全体のサービス範囲をカバーし、複数の補助アンテナは大きな電気的ダウンチルトを備えるアンテナである。ネットワーク能力が向上するように、補助アンテナのダウンチルトは、20度〜30度の間に設定されて、マクロセルアンテナ111の近隣のサイトエリアにおいて鉛直方向の強化されたカバレッジを提供する。対称的に、図3の補助アンテナは通常、小さなダウンチルト(<20度)を有しており、マクロセルの近隣のサイトエリアおよび遠隔のサイトエリアをカバーし得る。図4においては、近隣のサイトエリアにおける鉛直のカバレッジのための大きな電気的ダウンチルトのアンテナが採用されており、それにより、鉛直方向の次元のカバレッジが保証されている。
【0051】
図5に示されるように、マクロセルアンテナ111は、マクロセル全体のサービス範囲をカバーする。若しかすると、強化されたカバレッジを要求するエリアがマクロセルから遠いので、比較的遠い距離にあるキーエリアのための遠隔のカバレッジを実現するよう、補助アンテナは光ファイバー接続を通じて遠隔で設置され得る。この場合、コントローラ14は、マクロセルアンテナ111および補助アンテナに対して集中化した制御を実行し得、マクロセルアンテナとの協調を可能とする複数の位置以外の位置に配置された補助アンテナの干渉を制御し得、それにより、ネットワーク性能を促し得る。
【0052】
上述した分散アンテナアレイシステムにおいて、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に配置されるので、複数の補助アンテナはマクロセルに近く、大規模の光ファイバー接続が要求されず、それにより、分散アンテナアレイシステムの配置コストが低減される。同時に、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナが配置されるので、マクロセルの範囲内のユーザ機器は、複数のアンテナの協調送信サービスを得ることが出来、それにより、信号品質が向上し、干渉が低減され、さらにユーザエクスペリエンスが改善され、ネットワーク能力が向上する。
【0053】
第2実施形態
本願発明の実施形態は、分散アンテナアレイシステムを通じた通信のための方法を提供する。方法は、第1実施形態において提供された分散アンテナアレイシステムに基づく。具体的には、図1に示されるように、アンテナアレイシステムは、複数のアンテナユニットと、無線周波数リソースプール12と、ベースバンドリソースプール13と、コントローラ14とを含む。複数のアンテナユニットは無線周波数リソースプール12に接続される。無線周波数リソースプール12はさらに、ベースバンドリソースプール13に接続される。ベースバンドリソースプール13はさらに、コントローラ14に接続される。複数のアンテナユニットは111、112A、112B、および112Cであり、そのうち、アンテナユニット111はマクロセルアンテナ111であり、アンテナユニット112A、112Bおよび112Cは、補助アンテナである。
【0054】
複数のアンテナユニットはそれぞれ、給電線を採用することにより無線周波数リソースプール12へ接続され得る。具体的には、補助アンテナは、具体的にはロープロファイルアンテナを採用し得る。詳細に関しては、図1に示されるアンテナ112Bおよび112Cが参照され得る。確かに、補助アンテナは具体的には、単一、デュアル、またはマルチ偏波アンテナでもあり得る。詳細に関しては、図1に示されるアンテナ112Aが参照され得る。
【0055】
本願発明の実施形態において採用される補助アンテナはロープロファイルアンテナ、例えば、112Bおよび112Cであり得、アンテナの厚さは40mmより薄くてもよい。この場合、アンテナユニット112Bおよび112Cのプロファイルの厚さ、体積、および重さは著しく減少させられ得、これにより、壁取り付けおよび隠された設置が促され、アンテナ位置の計画時において位置選択が容易となる。複数のアンテナユニットは、実際の要求に応じて建物に直接固定され得、これにより追加のスペースは要求されず、工学的実装が容易となる。
【0056】
さらに、複数の補助アンテナはさらに、近隣のサイトエリアにおける大きな電気的ダウンチルトを備える複数のアンテナであり得、鉛直方向の次元におけるカバレッジを保証するよう構成され、マクロセルアンテナの近隣のサイトエリアのために協調を実施するよう構成される不均等な間隔で配列された複数のアレイ要素であり得る。
【0057】
マクロセルアンテナ111はマクロセルに配置され、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とするよう複数の位置に分散させられる。
【0058】
複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とするよう複数の位置に分散させられ、マクロセルのカバレッジエリア内の特定のエリアが強化されたカバレッジを要求する場合、複数の補助アンテナとマクロセルアンテナ111との間で協調送信が実行される必要がある。マクロセルアンテナ111が補助アンテナから遠い場合、マクロセルアンテナ111の受信機がユーザ機器の信号を受信する時間は、補助アンテナの受信機がユーザ機器の信号を受信する時間とは明らかに一致しない。この時間差により、遅延させられたアンテナ信号が、周波数領域において、各キャリア上で異なる位相回転を有するといったことが引き起こされる。具体的には、位相回転量がキャリア位置と共に変化する。位相回転量が多き過ぎる場合、ユーザ機器のチャネル推定に明らかな誤りが生じ、2つのアンテナユニットが、協調送信を通常通り実行することを失敗するといったことが引き起こされる。
【0059】
確かに、協調送信は、2つの補助アンテナ間でも実行され得る。マクロセルアンテナ111は通常、マクロセルの中心に位置付けられるので、全ての補助アンテナが協調送信をマクロセルアンテナ111と実行し得ることが保証されている場合、任意の2つの補助アンテナ間の距離も、協調送信の要求を満たす。
【0060】
具体的には、複数の補助アンテナは具体的には、マクロセルの周囲100メートル以内に、またはより遠くの複数の位置に分散させられ得る。
【0061】
具体的には、図6に示されるように、方法は以下を含む。
【0062】
601。コントローラが、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定する。
【0063】
コントローラ14がユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するとは具体的には、アンテナユニットの物理ポートまたは論理ポートを決定することである。アンテナユニットの物理ポートと論理ポートとは異なり得る。特定のマッピングルールに応じて、コントローラは、複数の物理アンテナポートを、1または複数の論理送信ポートにマッピングし得、処理は端末にとってトランスペアレントである。
【0064】
具体的には、図1に示されるように、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナがそれぞれ配置されるので、コントローラ14は、マクロセルのカバレッジエリア内のユーザ機器UE1の信号状態をモニタリングする。線形領域において、UE1に対応する基地局は4アンテナ送信の最大信号処理性能を有しており、アンテナユニット111およびアンテナユニット112Aから112Cのそれぞれは、デュアル偏波アンテナのペアを形成すると仮定される。UE1からアンテナユニットへの伝搬損失の昇順は、112B、112C、112Aおよび111であると仮定される。この場合、UE1からアンテナユニット112Bへの伝搬損失の逆数と、UE1からアンテナユニット112A、112Cおよび111への伝搬損失の逆数の和との間の差が第1のプリセット閾値を超えた場合、アンテナユニット112BがサービスをUE1へ提供すると決定される。UE1は、4アンテナ送信の信号処理性能を有するので、したがってコントローラ14は、アンテナユニット112CもUE1にサーブするアンテナユニットとしてサーブし得るか引き続き決定する。アンテナユニット112CがUE1にサーブするアンテナユニットであるとコントローラ14が決定した場合、コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cの協調送信を実行することを決定し、同時に、協調送信の送信モードを決定する。
【0065】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器により送信される信号を受信するアンテナユニットの受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットの受信電力は降順でランク付けされる。アンテナユニットの後方の他の複数のアンテナユニットの受信電力の和に対する、アンテナユニットの受信電力の比が第2のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0066】
オプションで、線形領域において、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定するときに、コントローラ14はさらに、ユーザ機器のダウンリンク受信電力に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得る。現在のUEの受信処理性能の最大範囲内で、複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力が降順でランク付けされ、他の複数のアンテナユニットから受信するユーザ機器の受信電力の和に対する、アンテナユニットから受信するユーザ機器のダウンリンク受信電力の比が第3のプリセット閾値を超えた場合、コントローラ14は、アンテナユニットが、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットであると決定する。
【0067】
確かに、非線形領域において、コントローラ14はまた、ユーザ機器の信号状態に応じて、ユーザ機器のためにサービスを提供するのに用いられるアンテナユニットを決定し得、本願発明の実施形態において詳細は繰り返して説明されない。
【0068】
602。コントローラが、ユーザ機器のアンテナ性能に応じて、複数のアンテナの協調送信をユーザ機器が要求するかを決定する。
【0069】
UE1は、2つの補助アンテナにより送信された複数の信号を受信する性能を有するので、コントローラ14は、UE1のために112Bおよび112Cの協調送信を実行することを決定し、同時に、協調送信の送信モードを決定する。
【0070】
603。コントローラが、ユーザ機器のためのアンテナリソースを構成し、構成されたアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプールへ送信する。
【0071】
UE1が協調送信を要求すると決定された場合、コントローラ14は、UE1のためにアンテナユニット112Bおよび112Cのアンテナリソースを構成し、構成された複数のアンテナリソースについての情報をベースバンドリソースプール13へ送信する。構成されたアンテナリソースについての情報は、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数の物理ポート、または112Bおよび112Cの複数の論理ポート、並びに送信モードなどの情報を含む。
【0072】
604。ベースバンドリソースプールが、構成されたアンテナリソースに応じた対応する無線周波数リソースプールの物理ポートへ、構成されたアンテナリソースをマッピングする。
【0073】
ベースバンドリソースプール13は、構成された複数のアンテナリソースについての情報に応じて、アンテナユニット112Bおよび112Cの複数の論理ポートをアンテナユニット112Bおよび112Cの複数の物理ポートへマッピングし、つまり、複数の論理ポートを、無線周波数リソースプール12のアンテナユニット112Bおよび112Cに対応する複数の物理ポートへマッピングする。
【0074】
605。無線周波数リソースプールが、マッピングされた物理ポートに応じて、物理ポートに対応するアンテナユニットを制御して、ユーザ機器のために通信サービスを提供する。
【0075】
オプションで、図2に示されるように、無線周波数リソースプール12は、低電力無線周波数リソースプール121と高電力無線周波数リソースプール122とを含み得る。低電力無線周波数リソースプール121の一端および高電力無線周波数リソースプール122の一端はそれぞれ、ベースバンドリソースプール13へ接続され、それらの他端は、対応するアンテナユニットに接続され、ベースバンドリソースプール13とコントローラ14とが接続される。低電力無線周波数リソースプール121は低電力無線周波数モジュールを含み、高電力無線周波数リソースプール122は高電力無線周波数モジュールを含む。高電力無線周波数モジュールは、マクロセルの全範囲をカバーするよう構成され、低電力無線周波数モジュールは複数のキーエリアをカバーするよう構成される。概して、低電力無線周波数モジュールの電力は5Wより小さく、高電力無線周波数モジュールの電力は5Wより大きい。
【0076】
上述した分散アンテナアレイシステムにおいて、複数の補助アンテナは、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に配置されるので、複数の補助アンテナはマクロセルに近く、大規模の光ファイバー接続が要求されず、それにより、分散アンテナアレイシステムの配置コストが低減される。同時に、マクロセルのカバレッジエリア内のアンテナユニットとの協調を可能とする複数の位置に複数の補助アンテナが配置されるので、マクロセルの範囲内のユーザ機器は、複数のアンテナの協調送信サービスを得ることが出来、それにより、信号品質が向上し、干渉が低減され、さらにユーザエクスペリエンスが改善され、ネットワーク能力が向上する。
【0077】
当業者は、上述した方法の複数の実施形態の複数の段階の全てまたは一部が、関連するハードウェアに指示を出すプログラムにより実施され得ることを理解されよう。上述した複数のプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。プログラムが実行された場合、上述した方法の複数の実施形態の複数の段階が実行される。上述した記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクなど、プログラムコードを格納可能な様々な媒体を含む。
【0078】
上述した説明は単に、本願発明の特定の実施例であり、本願発明の保護範囲を限定することを意図されていない。本願発明において開示される技術範囲内で当業者により容易に理解される変更または置き換えは、本願発明の保護範囲に含まれる。したがって、本願発明の保護範囲は、請求項の保護範囲を前提としている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6