特許第6355126号(P6355126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355126
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】多室包装袋用包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/46 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   B65B43/46 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-139234(P2014-139234)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-16875(P2016-16875A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】原田 史紀
(72)【発明者】
【氏名】檀上 豊
【審査官】 谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−225802(JP,A)
【文献】 特開2004−182330(JP,A)
【文献】 特開2007−246150(JP,A)
【文献】 特開2007−112482(JP,A)
【文献】 特開平05−124751(JP,A)
【文献】 特開平06−008914(JP,A)
【文献】 特開平07−291230(JP,A)
【文献】 特開2004−010062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00 − 43/62
B65B 51/00 − 51/32
B65B 57/00 − 57/20
B65D 30/00 − 33/38
B65D 67/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に袋口があり、複数の被包装物を包装する包装袋に適用でき、前記包装袋を把持する一対のクランプを複数組み備え、包装袋を上流から下流に向かって移送しながら複数のセクションで包装作業を行う多室包装袋用包装装置であって、前記セクションは、
包装袋供給装置から前記一対のクランプに前記包装袋を受け渡す給袋セクションと、
前記包装袋の一方の袋口の表裏面に、一対の袋口開口装置の吸着盤がそれぞれ吸着し、前記包装袋の一方の袋口を開口する第1開口セクションと、
前記第1開口セクションで開口した一方の袋口に開袋ガイド装置の一対の袋ガイドが挿入され、一方の袋口が開口した状態を維持し、前記包装袋の上方から第1充填装置が前記一方の袋口に挿入され、前記一方の室内に被包装物が充填される第1充填セクションと、
前記第1充填セクションで被包装物が充填された包装袋の一方の袋口をシール装置でシールする第1シールセクションと、
前記包装袋の移動する軌道の外側に備えられた上下回転装置が前記包装袋を保持し、前記クランプが前記包装袋を開放した後、前記上下回転装置が前記包装袋を回転し、上下が反転した前記包装袋を前記クランプが把持し、前記上下回転装置が前記包装袋を開放する上下回転セクションと、
前記包装袋の他方の袋口の表裏面に、一対の袋口開口装置の吸着盤がそれぞれ吸着し、前記包装袋の他方の袋口を開口する第2開口セクションと、
前記第2開口セクションで開口した他方の袋口に開袋ガイド装置の一対の袋ガイドが挿入され、前記他方の袋口が開口した状態を維持し、前記包装袋の上方から第2充填装置が前記他方の袋口に挿入され、前記他方の室内に被包装物が充填される第2充填セクションと、
前記第2充填セクションで被包装物が充填された包装袋の他方の袋口をシール装置でシールする第2シールセクションと、
第2シールセクションでシールした前記包装袋を前記クランプが開放し、機外に搬出する搬出セクションと、
を備えたことを特徴とする多室包装袋用包装装置。
【請求項2】
前記上下回転装置は、機台に立設するベース板に、伸縮と回動とが可能な出力軸を備えた駆動体を備え、前記駆動体の前記出力軸の先端に回動板が備えられ、前記回動板に包装袋の四隅をそれぞれ保持可能な把持具、又は包装袋の幅方向に横長な形状の把持部を備えた把持具が備えられた、ことを特徴とする請求項1に記載の多室包装袋用包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多室包装袋のそれぞれの室内に被包装物を収納して包装する多室包装袋用包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来の一般的な多室包装袋用包装装置を示し、この従来の多室包装袋用包装装置11は、平袋型の包装袋を、包装工程で2室に形成し、それぞれの室内に被包装物を収納して包装している。前記多室包装袋用包装装置11は、間欠駆動装置12で間欠回転する充填テーブル13の外周縁部に、包装袋14を把持する一対のクランプ15を複数組備える。
【0003】
給袋セクション(A1)では、包装袋供給装置16から前記クランプ15に平袋型の包装袋14が受け渡されて吊り下げられ、前記充填テーブル13の回転により前記包装袋14が下流に移送される。前記包装袋14が開口セクション(C1)に移動すると、前記包装袋14の袋口の表裏面に、一対の袋口開口装置22の吸着盤がそれぞれ吸着し、かかる状態で一対の前記袋口開口装置22が離間し、前記包装袋14の袋口が開口される。
【0004】
図6図7に示すように、前記包装袋14が第1充填セクション(D1)に移動すると(図7A)、前記包装袋14の上方から第1充填装置17が前記包装袋14に挿入され、前記包装袋14内に被包装物を充填する(図7B)。前記包装袋14が中間シールセクション(E1)に移動すると、中間シール装置18は包装袋の長さ方向の略中間部の幅方向を中間シールして前記被包装物を前記包装袋14の下半分に密封する(図7C)。
【0005】
前記包装袋14が第2充填セクション(F1)に移動すると、前記包装袋14の上方から第2充填装置19が前記包装袋14に挿入され、前記中間シールより上の部分に被包装物を充填する(図7D)。前記包装袋14がシールセクション(H1)に移動すると、シール装置20は前記包装袋14の袋口をシールして前記被包装物を密封する(図7E)。冷却・搬出セクション(J1)では、シールされた袋口を冷却装置21により冷却したあと、前記クランプ15が前記包装袋14を開放し、多室包装袋用包装装置11の機外に前記包装袋14を搬出し、包装製品が製造される。
【0006】
なお、前記開口セクション(C1)と前記第1充填セクション(D1)との間に、図8に示すように、前記クランプ15に把持された前記包装袋14の袋口の開口を維持する開袋ガイド装置24が備えられている。そして、前記開口セクション(C1)で、前記クランプ15に吊り下げられた前記包装袋14の開口した袋口に、前記開袋ガイド装置24の一対の袋ガイド24Aが挿入され、前記包装袋14の袋口は開口した状態を維持される。
【0007】
さらに、前記包装袋14の袋口に挿入された前記袋ガイド24Aと前記包装袋14とが前記開口セクション(C1)から前記第1充填セクション(D1)に移送する際、前記袋ガイド24Aを備える前記開袋ガイド装置24を駆動する図示しない往復動機構の回動速度と前記包装袋14を吊り下げた前記クランプ15を備える前記充填テーブル13を駆動する前記間欠駆動装置12の回転速度とが同調するので、前記袋ガイド24Aと前記包装袋14とが同調移送する。
【0008】
さらに、前記第1充填セクション(D1)では、前記袋ガイド24Aによって袋口の開口を維持されたままの状態の前記包装袋14に前記第1充填装置17が挿入され、前記第1充填装置17から被包装物が前記包装袋14に充填されると共に、前記袋ガイド24Aは前記包装袋14から抜去され、次の新たな包装袋14の袋口の開口を維持するために、前記往復動機構により、前記袋ガイド24Aは前記開口セクション(C1)の位置に復帰する。
【0009】
ところで、前記従来の多室包装袋用包装装置は、平袋型の包装袋を、包装工程で2室に形成して被包装物を充填したが、あらかじめ2室に形成された包装袋を用いる包装方法もある。
【0010】
図9Aは、前記包装方法に用いるH型の包装袋の一例を示し、このH型の包装袋は、横断面がH字状で、表裏面2枚のシートの左右両サイドを重ねてシールし、上下方向の略中間の幅方向に仕切りのシールを施し、上下端を袋口にし、上下に2室を形成している。なお、図9では、袋口を矢印で示してある。
【0011】
図10は、前記H型の包装袋を応用したパウチを示し、このパウチは、特許文献3の従来の技術に記載されたものであって、易剥離性の仕切り部で仕切った多室プラスチックパウチの両端を開放し、一端から第1の貯蔵室に内容物を充填した後に充填口をシールし(図10A)、パウチを反転させてパウチの他端から第2の貯蔵室に内容物を充填後(図10B)、充填口をシールする(図10C)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−225802号公報
【特許文献2】特開平06−8914号公報
【特許文献3】特開2004−182330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前者の多室包装袋用包装装置では、第1充填セクションでの被包装物の充填時に、中間シール予定箇所に被包装物が接触し、中間シール予定箇所を被包装物で汚す可能性がある。この汚れはシール不良を引き起こすという問題点がある。
【0014】
また、前者の多室包装袋用包装装置では、中間シールセクションで包装袋を中間シールした後に、袋口を開口する袋口開口装置や袋口の開口を維持する開袋ガイド装置を備えていないので、袋口が閉じるおそれがあり、第2充填セクションで被包装物を充填するときに、充填ミスを引き起こすという問題点がある。
【0015】
なお、後者の特許文献3の前記パウチに関しては、パウチを反転させるための大掛りな機構が必要となる、との記載はあるが、当該構成の開示は無い。
【0016】
本発明は、かかる問題点に鑑み、包装袋を上下回転する構造が簡単な上下回転装置を備え、充填ミスの少ない、多室包装袋用包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の多室包装袋用包装装置は、上下に袋口があり、複数の被包装物を包装する包装袋に適用でき、前記包装袋を把持する一対のクランプを複数組み備え、包装袋を上流から下流に向かって移送しながら複数のセクションで包装作業を行う多室包装袋用包装装置であって、前記セクションは、包装袋供給装置から前記一対のクランプに前記包装袋を受け渡す給袋セクションと、前記包装袋の一方の袋口の表裏面に、一対の袋口開口装置の吸着盤がそれぞれ吸着し、前記包装袋の一方の袋口を開口する第1開口セクションと、前記第1開口セクションで開口した一方の袋口に開袋ガイド装置の一対の袋ガイドが挿入され、一方の袋口が開口した状態を維持し、前記包装袋の上方から第1充填装置が前記一方の袋口に挿入され、前記一方の室内に被包装物が充填される第1充填セクションと、前記第1充填セクションで被包装物が充填された包装袋の一方の袋口をシール装置でシールする第1シールセクションと、前記包装袋の移動する軌道の外側に備えられた上下回転装置が前記包装袋を保持し、前記クランプが前記包装袋を開放した後、前記上下回転装置が前記包装袋を回転し、上下が反転した前記包装袋を前記クランプが把持し、前記上下回転装置が前記包装袋を開放する上下回転セクションと、前記包装袋の他方の袋口の表裏面に、一対の袋口開口装置の吸着盤がそれぞれ吸着し、前記包装袋の他方の袋口を開口する第2開口セクションと、前記第2開口セクションで開口した他方の袋口に開袋ガイド装置の一対の袋ガイドが挿入され、前記他方の袋口が開口した状態を維持し、前記包装袋の上方から第2充填装置が前記他方の袋口に挿入され、前記他方の室内に被包装物が充填される第2充填セクションと、前記第2充填セクションで被包装物が充填された包装袋の他方の袋口をシール装置でシールする第2シールセクションと、第2シールセクションでシールした前記包装袋を前記クランプが開放し、機外に搬出する搬出セクションと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、前記構成の上下回転装置を用いて、上下に袋口がある包装袋に、複数の被包装物を充填、包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】多室包装袋用包装装置の平面図
図2】上下回転装置の正面図と側面図
図3】上下回転装置の別な構成の正面図と側面図
図4】上下回転装置のさらに別な構成の正面図と側面図
図5】上下回転装置の作動説明図
図6】従来の多室包装袋用包装装置の平面図
図7】従来の多室包装袋の包装方法の説明図
図8】従来の袋口ガイド装置の平面図
図9】多室包装袋の模式図
図10】従来の多室包装袋の包装方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の多室包装袋用包装装置を示している。この多室包装袋用包装装置11は、平袋型の包装袋ではなく、図9Aに示す多室型の包装袋を用いて複数の被包装物を包装するロータリー式包装機である。基本構成は前記背景技術で述べたものと同一であるため、同一の構成については、図面の符号を同じくして説明する。なお、本発明はロータリー式包装機に限らず、例えば直進式の包装機にも適用できる。
【0021】
まず、全体の概略を説明すると、前記間欠駆動装置12で間欠回転する前記充填テーブル13の外周縁部に、包装袋14を把持する一対の前記クランプ15を複数組備える。
【0022】
給袋セクション(A2)では、前記包装袋供給装置16から前記クランプ15に多室型の前記包装袋14が受け渡され、一方の袋口を上に、他方の袋口を下にして吊り下げられ、前記充填テーブル13の回転により前記包装袋14が下流に移送される。前記包装袋14が第1開口セクション(B2)に移動すると、前記包装袋14の一方の袋口の表裏面に、一対の前記袋口開口装置22の吸着盤がそれぞれ吸着し、かかる状態で一対の前記袋口開口装置22が離間し、前記包装袋14の一方の袋口が開口される。
【0023】
また、前記包装袋14の開口した一方の袋口に、前記開袋ガイド装置24の一対の前記袋ガイド24Aが挿入され、前記包装袋14の一方の袋口は開口した状態を維持される。かかる状態で、前記包装袋14の一方の袋口に挿入された前記袋ガイド24Aと前記包装袋14とが前記第1開口セクション(B2)から第1充填セクション(C2)に同調移送する。
【0024】
前記包装袋14が前記袋ガイド24Aによって一方の袋口の開口を維持されたままの状態で前記第1充填セクション(C2)に移動すると、前記包装袋14の上方から前記第1充填装置17が前記包装袋14の一方の袋口に挿入され、前記包装袋14の一方の室内に被包装物が充填されると共に、前記袋ガイド24Aは前記包装袋14から抜去され、次の新たな包装袋14の一方の袋口の開口を維持するために、前記往復動機構により、前記袋ガイド24Aは前記第1開口セクション(B2)の位置に復帰する。
【0025】
前記包装袋14が第1シールセクション(D2)に移動すると、前記シール装置20が前記包装袋14の一方の袋口をシールし、前記包装袋14の一方の室に前記被包装物を密封する。前記包装袋14が第1冷却セクション(E2)に移動すると、シールされた一方の袋口を前記冷却装置21が冷却する。
【0026】
前記包装袋14が上下回転セクション(F2)に移動すると、前記包装袋14の移動する軌道の外側に備えられた後述する上下回転装置23が前記包装袋14を保持し、前記クランプ15が前記包装袋14を開放した後、前記上下回転装置23が前記包装袋14を180度回転する。上下を反転させた前記包装袋14を前記クランプ15が把持し、前記上下回転装置23が前記包装袋14を開放する。
【0027】
前記包装袋14が第2開口セクション(G2)に移動すると、前記包装袋14の他方の袋口の表裏面に、一対の前記袋口開口装置22の吸着盤がそれぞれ吸着し、かかる状態で一対の前記袋口開口装置22が離間し、前記包装袋14の他方の袋口が開口される。
【0028】
また、前記包装袋14の開口した他方の袋口に、前記開袋ガイド装置24の一対の前記袋ガイド24Aが挿入され、前記包装袋14の他方の袋口は開口した状態を維持される。かかる状態で、前記包装袋14の他方の袋口に挿入された前記袋ガイド24Aと前記包装袋14とが前記第2開口セクション(G2)から第2充填セクション(H2)に同調移送する。
【0029】
前記包装袋14が前記袋ガイド24Aによって他方の袋口の開口を維持されたままの状態で前記第2充填セクション(H2)に移動すると、前記包装袋14の上方から前記第2充填装置19が前記包装袋14に挿入され、前記包装袋14の他方の室内に被包装物が充填される。前記袋ガイド24Aは前記包装袋14から抜去され、次の新たな包装袋14の他方の袋口の開口を維持するために、前記往復動機構により、前記第2開口セクション(G2)の位置に復帰する。
【0030】
前記包装袋14が第2シールセクション(I2)に移動すると、前記シール装置20が前記包装袋14の他方の袋口をシールし、前記包装袋14の他方の室に前記被包装物を密封する。前記包装袋14が冷却・搬出セクション(J2)に移動すると、シールされた他方の袋口を前記冷却装置21が冷却したあと、前記クランプ15が前記包装袋14を開放し、多室包装袋用包装装置11の機外に前記包装袋14を搬出し、包装製品が製造される。
【0031】
次に、前記上下回転セクション(F2)に設置された前記上下回転装置23を説明する。
図2に示すように、機台に立設するベース板23Aに、伸縮と回動とが可能な出力軸23Bを備えた駆動体23Cが備えられる。前記駆動体23Cは、スイングシリンダやロータリシリンダを用いる。これらのシリンダは、直線運動と回動運動の機能を一体化したシリンダで、このような複合的な動きを得るには別々のユニットが必要であったが、それを一体化したものであり、市販のものを用いた。また、前記駆動体23Cは前記包装袋14の長さに応じて前記ベース板23Aに対して上下方向に位置調整可能になっており、固定レバーによって位置固定されている。
【0032】
前記駆動体23Cの前記出力軸23Bの先端に、長方形状の回動板23Dが備えられる。前記回動板23Dの上下左右端の4箇所に、前記包装袋14の四隅をそれぞれ保持可能な保持具の一例の把持具23Eが備えられる。前記把持具23Eは、前記包装袋14を把持可能な従来の構成でもよく、例えば、多室包装袋用包装装置11の前記クランプ15と同様な構成のものを用いてもよいし、エアーシリンダで把持部分が駆動するクランプを用いてもよい。なお、前記把持具23Eは前記包装袋14のサイズに応じて位置調整可能になっており、固定レバーによって位置固定されている。
【0033】
また、図3は、前記保持具の他の実施例を示し、この実施例は、前記把持具23Eの把持部を前記包装袋14の幅方向に横長な形状にし、それを前記回動板23Dの上下端の2箇所に備えている。この場合、前記包装袋14の幅サイズに応じた位置調整が不要になる。
【0034】
また、図4は、前記保持具のさらに他の実施例を示し、この実施例は、前記駆動体23Cの前記出力軸23Bの先端に、前記包装袋14の表面を吸着する吸着具23Fを備える。要するに、前記クランプ15が前記包装袋14を開放した後に、前記上下回転装置23が前記包装袋14を、前記把持具23Eや前記吸着具23Fなどの保持具で保持可能であればよい。
【0035】
次に、本発明の多室包装袋用包装装置11の作動について説明する。
図1に示すように、前記給袋セクション(A2)の前記包装袋14は、各セクションでの作業を経て前記上下回転セクション(F2)に移動する。
【0036】
前記包装袋14が上下回転セクション(F2)に到達すると、図5(1)に示すように、前記上下回転装置23の前記駆動体23Cの前記出力軸23Bが伸長し、前記回動板23Dが前進する。前記回動板23Dに備えられた前記把持具23Eは、前記クランプ15の把持した前記包装袋14の上下端を把持する。
【0037】
続いて、図5(2)に示すように、前記クランプ15が前記包装袋14を開放した後、前記出力軸23Bが縮小し、前記クランプ15から前記上下回転装置23に前記包装袋14が受け渡される。続いて、図5(3)に示すように、前記出力軸23Bが180度回動する。これにより、一方の袋口は下になり、他方の袋口は上になる。
【0038】
続いて、図5(4)に示すように、前記出力軸23Bが伸長し、前記クランプ15が前記包装袋14を把持し、前記上下回転装置23から前記クランプ15に前記包装袋14を受け渡す。このあと、前記把持具23Eは、前記包装袋14を開放し、前記出力軸23Bが再び縮小し、前記包装袋14の上下回転を完了する。
【0039】
図1に示すように、上下回転した前記包装袋14は、残りの各セクションでの作業を経て機外に前記包装袋14を搬出し、包装製品が製造される。
【0040】
他の実施の形態として、第1冷却セクション(E2)で行なう袋口の冷却と上下回転セクション(F2)で行なう上下回転とを同時に行い、第1冷却セクション(E2)を省略することができる。この場合、図3に示す前記上下回転装置23の前記把持具23Eの把持部分に、前記冷却装置21の前記冷却バーを備える。包装袋14の一方の袋口を前記冷却バーで把持し、冷却しながら包装袋14を上下回転できる。
【0041】
ここまで、図9Aに示すH型の包装袋を用いて本発明を説明したが、本発明はH型の包装袋に限らず、上下に袋口があり、複数の被包装物を包装することができる包装袋に適用できる。そのような形態の包装袋には、以下のようなものがある。
【0042】
図9Bに示すように、Z型の包装袋は、横断面がZ字状で、表裏面2枚のシート間に仕切りシートを配置し、合計3枚のシートの左右両サイドを重ねてシールし、一方のシートの上端縁と仕切りシートの上端縁とをシールし、他方のシートの下端縁と仕切りシートの下端縁とをシールし、上下端を袋口にし、2室を形成している。
【0043】
図9Cに示すように、小室付の包装袋は、前記Z型の包装袋の仕切りシートの上下方向の寸法を小さくし、他方のシートの上下方向の略中間の幅方向と仕切りシートの下端縁とをシールして小室を形成し、上下端を袋口にし、2室を形成している。
図9Dに示すように、4室型の包装袋は、前記H型の包装袋の左右部を中央で仕切る上下方向のシールを施し、上下端を袋口にし、4室を形成している。
これらの包装袋は一例を示したのであって、図示のものに限定するものではない。これらの包装袋の共通点は、上下に袋口があり、複数の被包装物を包装することができる点であり、本発明を適用できる。
【0044】
また、図9Dのように幅方向に複数の袋口がある包装袋の場合は、特許第5094423号のような、それぞれの袋口に個別のノズルを挿入して被包装物を充填する包装装置に、本発明を適用することで包装製品の製造ができる。
【0045】
また、図9Eに示すように、上と下方横とに袋口がある包装袋の場合は、上下回転装置23の回動を180度ではなく、90度にすることで包装製品の製造ができる。
【0046】
また、図9Fに示すように、上と下方両横との3箇所に袋口がある包装袋の場合は、前記図9Eの場合と同様に、上下回転装置23の回動を90度にし、さらに、下流のセクションに設けた別の上下回転装置23で包装袋を180度回転することで包装製品の製造ができる。
同様に、上下左右の4箇所に袋口がある包装袋や放射状の8箇所に袋口がある包装袋なども、上下回転装置23の回動角度と上下回転装置23の設置数を適宜組み合わせることで包装製品の製造ができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、それぞれの室内に被包装物を収納する多室包装袋を包装する多室包装袋用包装装置に有用である。
【符号の説明】
【0048】
11・・多室包装袋用包装装置
14・・包装袋
15・・クランプ
17・・第1充填装置
19・・第2充填装置
20・・シール装置
22・・袋口開口装置
23・・上下回転装置
23B・・出力軸
23C・・駆動体
23D・・回動板
23E・・把持具
24・・開袋ガイド装置
(B2)・・第1開口セクション
(C2)・・第1充填セクション
(D2)・・第1シールセクション
(F2)・・上下回転セクション
(G2)・・第2開口セクション
(H2)・・第2充填セクション
(I2)・・第2シールセクション
(J2)・・冷却・搬出セクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10