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特許6355151オファーリングシステム、オファーリング方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355151
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】オファーリングシステム、オファーリング方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20180702BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20180702BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   G06Q30/02 380
   G06F17/30 340A
   G06F13/00 540P
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-23629(P2014-23629)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-152963(P2015-152963A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
(72)【発明者】
【氏名】川地 章夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 尚弥
【審査官】 岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/096597(WO,A1)
【文献】 特開2010−044735(JP,A)
【文献】 特開2002−358455(JP,A)
【文献】 特開2009−111871(JP,A)
【文献】 特開2009−087154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 13/00
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに向けたオファーを配信するオファーエンジンと、
複数の前記オファー夫々に対し、優先度を紐付けて管理する優先度管理部と、
複数の前記オファー夫々に対し、前記オファーの配信手段を紐付けて保持するオファー記憶部と、
前記オファーの配信手段ごとに、前記オファーに対する前記ユーザの反応と、前記優先度の変更ルールと、を紐付けて保持するスコアリングルール記憶部と、
前記優先度を変更するスコアリングエンジンと、を有し、
前記オファーエンジンは、複数の前記オファーから、前記優先度に基づいて、前記ユーザに配信すべき前記オファーを選択し、該選択したオファーを、前記配信手段が定める態様により配信し、
前記スコアリングエンジンは、前記ユーザに配信されたオファーの配信手段、及び配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に基づいて前記変更ルールを選択し、該選択した変更ルールに基づいて、前記オファーの前記優先度を変更する、
オファーリングシステム。
【請求項2】
前記オファー記憶部は、複数の前記オファー夫々に対し、前記オファーの配信条件を紐付けて保持し、
前記オファーエンジンは、前記配信条件に基づいて、前記ユーザに適合するオファーを選択する
請求項記載のオファーリングシステム。
【請求項3】
オファーリング対象サービスと通信可能に接続され、
前記オファーエンジンは、前記オファーリング対象サービスからの要求に応じ、前記オファーを配信する
請求項1又は2に記載のオファーリングシステム。
【請求項4】
オファーリング対象サービスと通信可能に接続され、
前記オファーエンジンは、前記オファーリング対象サービスから、前記ユーザに係る条件を受信し、
前記ユーザに係る条件と、前記配信条件と、に基づいて、前記ユーザに適合するオファーを選択する
請求項記載のオファーリングシステム。
【請求項5】
ユーザに向けたオファーを配信するオファーステップと、
前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングステップと、を有し、
前記オファーステップでは、複数の前記オファー夫々に対して優先度を紐付けて管理する優先度管理部が管理する複数の前記オファーから、前記優先度に基づいて、前記ユーザに配信すべき前記オファーを選択し、該選択したオファーを、複数の前記オファー夫々に対して前記オファーの配信手段を紐付けて保持するオファー記憶部において紐付けられている配信手段が定める態様により配信し、
前記スコアリングステップでは、前記ユーザに配信されたオファーの配信手段、及び配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に基づいて、前記オファーの配信手段ごとに、前記オファーに対する前記ユーザの反応と、前記優先度の変更ルールと、を紐付けて保持するスコアリングルール記憶部から前記変更ルールを選択し、該選択した変更ルールに基づいて、前記オファーの前記優先度を変更する、
オファーリング方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ユーザに向けたオファーを配信するオファーステップと、
前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングステップと、を実行させる
プログラムであって、
前記オファーステップでは、前記コンピュータに、複数の前記オファー夫々に対して優先度を紐付けて管理する優先度管理部が管理する複数の前記オファーから、前記優先度に基づいて、前記ユーザに配信すべき前記オファーを選択させ、該選択されたオファーを、複数の前記オファー夫々に対して前記オファーの配信手段を紐付けて保持するオファー記憶部において紐付けられている配信手段が定める態様により配信させ、
前記スコアリングステップでは、前記コンピュータに、前記ユーザに配信されたオファーの配信手段、及び配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に基づいて、前記オファーの配信手段ごとに、前記オファーに対する前記ユーザの反応と、前記優先度の変更ルールと、を紐付けて保持するスコアリングルール記憶部から前記変更ルールを選択させ、該選択された変更ルールに基づいて、前記オファーの前記優先度を変更させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオファーリングシステム、オファーリング方法及びプログラムに関し、例えば特別な知見やデータ等の事前準備を要せずに適正なオファーリングを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オファーリング又はレコメンド(以下、単にオファーリングという)と呼ばれる情報サービスが広く実施されている。オファーリングとは、情報提供対象を分析し、その分析結果に基づいて、情報提供対象にマッチする情報を提供するサービスをいう。典型的なオファーリングサービスとしては、あるウェブサイトにおけるユーザの行動履歴を分析し、当該ユーザの好みを推測し、その好みにマッチする商品やサービス等(以下、商材という)を内容とする広告を、当該ウェブサイト上に表示させることにより、当該ユーザに対し商材のオファーリングを行うものがある。より具体的には、例えば、サービス事業者の知見に基づいて特定の属性を有するユーザと商材とをマッチングする例がある。また、ユーザの購買履歴データと、同時に売れることの多い商材のデータと、を分析することによりユーザと商材とをマッチングする例もある。
【0003】
また、特許文献1のように、オファーに対するユーザの反応に応じて、オファーすべき商材を動的に変更する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−087154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような典型的なレコメンド技術においては、ユーザと商材とをマッチングするための特別な知見や、ユーザの購買履歴等のデータを、事前に持ち合わせている必要があった。また、これらのデータの分析を行うためには、分析ツールやアナリストが必要であり、相応のコストや時間を要していた。そのため、特別な知見やデータ等の事前準備等を必要としない、より簡易なオファーリング方法が求められている。
【0006】
また、従来のレコメンドエンジンにおいては、オファーする商品をユーザに伝える媒体(例えばウェブサイト上の表示など)が限られたものであることが多かった。換言すれば、レコメンドエンジンによるオファーの出力媒体に多様性がなかった。そのため、様々な媒体(例えばウェブサイト上での広告配信、メールによる広告配信など)でユーザにオファーすることが困難であるだけでなく、どの媒体でオファーするとユーザの評価が良いかなど、実績に応じて適切な媒体を選択することができていなかった。
【0007】
また、特許文献1は、オファーの態様(例えば商材画像の大小、情報量の大小)にかかわらず、あらゆるオファーに対するユーザの反応を同じスコアリングルールを適用して評価するため、ユーザと商材との関連性の評価方法としては公平性に欠けるという課題が存在する。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、特別な知見やデータ等の事前準備を要せずに適正なオファーリングを行うことができるオファーリングシステム、オファーリング方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0009】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るオファーリングシステムは、ユーザに向けたオファーを配信するオファーエンジンと、前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングエンジンと、を有するものである。
【0011】
本発明に係るオファーリング方法は、ユーザに向けたオファーを配信するオファーステップと、前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングステップと、を有するものである。
【0012】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザに向けたオファーを配信するオファーステップと、前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングステップと、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、特別な知見やデータ等の事前準備を要せずに適正なオファーリングを行うことができるオファーリングシステム、オファーリング方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかるオファーリングシステム100の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態にかかるオファーリングシステム100の動作を示す図である。
図3】本発明の実施の形態にかかるオファー記憶部5の例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる優先度記憶部3の例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態にかかるスコアリングルール記憶部7の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1のブロック図を用いて、本発明の実施の形態にかかるオファーリングシステム100の構成について説明する。
【0016】
オファーリングシステム100は、オファーリング対象サービスに対し、オファーを配信するコンピュータシステムである。典型的にはオファー配信事業者がオファーリングシステム100を運営する。あるいは、オファーリング対象サービスの運営者が自らオファーリングシステム100も運営することも考え得る。
【0017】
オファーリングシステム100は、優先度管理部2、オファー優先度記憶部3、オファーエンジン4、オファー記憶部5、スコアリングエンジン6、スコアリングルール記憶部7を含む。なお、システム管理部1をさらに含んでも良い。
【0018】
優先度管理部2は、オファーの優先度を管理する処理部である。
【0019】
優先度記憶部3は、オファー毎に優先度を格納している記憶部である。典型的には、データベース又はファイルである。優先度記憶部3が格納するデータは、優先度管理部2によって利用される。
【0020】
図4に、優先度記憶部3の例を示す。優先度記憶部3は、オファーIDと優先度とを対応付けて記憶している。ここで、優先度は数字で表されており、値が大きいほど優先度が高いことを意味している。
【0021】
オファーエンジン4は、オファーリング対象サービス8又は9からのリクエストに応じてオファーを配信する処理部である。オファーエンジン4は、リクエストがあると、オファー記憶部5からオファーを、優先度管理部2から当該オファーの優先度を、それぞれ取得する。その後、オファーエンジン4は、優先度に応じた順序でオファーを配信する。
【0022】
オファー記憶部5は、オファーを格納している記憶部である。典型的には、データベース又はファイルである。オファー記憶部5が格納するデータは、オファーエンジン4によって利用される。
【0023】
図3に、オファー記憶部5の例を示す。本実施の形態において、オファーは、条件とアクションとから定義される。また、条件とアクションとの組それぞれに対し一意のオファーIDが付与される。条件部は1又は複数の条件(条件1、条件2・・)を保持し得る。そのため、1つの条件、又は複数の条件の論理演算結果に対し、1つのアクションを紐付けることが可能である。本実施の形態では、条件部に複数の条件が入力された場合、これらの条件の論理積に対しアクションが紐付けられるものとする。アクション部は手段とユーザに推薦する商品とを保持する。手段とは、オファーの媒体(例えば特定のサイズのウェブバナーの表示、メールの送信、ユーザの端末へのプッシュ通知等)を示す。商品とは、オファーの客体となる商材を宣伝するためのコンテンツを示す。
【0024】
スコアリングエンジン6は、オファーエンジン4が配信したオファーに対するユーザの反応を、オファーエンジン4を経由して受け取る。そして、スコアリングエンジン6は、スコアリングルール記憶部7に格納されているスコアリングルールを参照し、当該反応に基づいて、当該オファーの優先度を算出する。その後、オファーエンジン4は、算出した優先度を優先度管理部2に通知する。
【0025】
スコアリングルール記憶部7は、スコアリングルールを格納している記憶部である。典型的には、データベース又はファイルである。スコアリングルール記憶部7が格納するデータは、スコアリングエンジン6によって利用される。
【0026】
図5に、スコアリングルール記憶部7の例を示す。本実施の形態において、スコアリングルールは、手段と反応と重み付けとから定義される。また、手段と反応と重み付けとの組について一意のスコアリングIDが付与される。1つのスコアリングIDに対して、1つの手段と、1以上の反応及び重み付けを定義し得る。手段とは、オファーの媒体(例えば特定のサイズのウェブバナー広告、メール広告等)を示す。反応とは、当該媒体により配信されたオファーに対するユーザの反応(例えばクリック、閲覧等)を示す。重み付けとは、ユーザの反応に応じて優先度を変動させる方法を定義するものである。重み付けとしては、四則演算等からなる計算式を記載できる。
【0027】
システム管理部1は、オファーリングシステム100の運営者が、オファー、優先度又はスコアリングルールを、優先度記憶部3、オファー記憶部5又はスコアリングルール記憶部7に登録、閲覧、編集又は削除する際に使用する処理部である。例えば、システム管理部1は、上記機能を実現するための管理画面を提供する。
【0028】
また、オファーリングシステム100は、オファーリング対象サービス8、9と通信可能に接続される。本実施の形態では、オファーリング対象サービス8、9はオファーリングシステム100に含まれない。
【0029】
オファーリング対象サービス8、9は、オファーリングシステム100から配信されたオファーを、ユーザに対して提示するサービスである。例えば、ユーザに対し広告を表示可能なEC(Electronic Commerce、電子商取引)サイトや、広告を含むメールの配信サービス等である。オファーリングシステム100は、単一又は複数のオファーリング対象サービスに対してオファーを配信することが可能である。
【0030】
つづいて、図2のフローチャートを用いて、本発明の実施の形態にかかるオファーリングシステム100の動作について説明する。
【0031】
S1:オファー、優先度、スコアリングルール登録
オファーリングシステム100が動作するための前提条件として、オファー記憶部5、優先度記憶部3及びスコアリングルール記憶部7に、オファー、優先度、スコアリングルールがそれぞれ登録されている必要がある。典型的には、オファーリングシステム100の運営者が、システム管理部1の管理画面を利用してこれらの情報を登録する。例えば、予め優先的にユーザに提示すべきオファーが決まっている場合は、優先度記憶部3において、当該オファーにかかる優先度を他のオファーよりも高く設定しておくことができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、オファーリングを実施するために、上記以外の情報、例えばユーザの行動履歴等の情報の蓄積は必要としない。
【0033】
S2:オファーリング対象サービスからの問合せ
オファーエンジン4は、オファーリング対象サービス8又は9からの、オファー配信問合せ(リクエスト)を待機する。オファー配信問合せには、ユーザを特徴づけ分類する条件が含まれる。この問合せの受信を契機として、オファーエンジン4は、S3以降の動作を開始する。
【0034】
例えば、オファーリング対象サービス8又は9であるECサイトにユーザがアクセスすると、ECサイトが当該ユーザの属性情報(例えば年齢、性別等)を取得し、当該属性情報等をオファー配信問合せに含め、オファーエンジン4に送信する。オファー配信問合せには、ユーザ属性情報のほか、ユーザのアクセス時間、アクセス場所、アクセス先ウェブページ又はコンテンツ情報等、ユーザを特徴づけ分類するために用いることのできる任意の条件を含め得る。ここでは、一例として、属性情報である「年齢:25歳」が条件として送信された場合について説明する。
【0035】
S3:オファー、優先度の取得
オファーエンジン4は、オファー記憶部5を参照して、受信した問合せに含まれる条件に該当するオファーを抽出する。例えば、受信した条件が「年齢:25歳」である場合、オファーエンジン4は、図3に示すオファー記憶部5を参照し、条件がマッチするオファーID「001」及び「002」を抽出する。
【0036】
つぎに、オファーエンジン4は、抽出したオファーIDの優先度を取得するため、優先度管理部2にオファーIDを通知する。優先度管理部2は、優先度記憶部3を参照して、通知されたオファーIDに対応する優先度を取得する。優先度管理部2は、取得した優先度をオファーエンジン4に通知する。例えば、オファーエンジン4が抽出したオファーIDが「001」「002」である場合、優先度管理部2は、図4に示す優先度記憶部3を参照し、オファーID「001」の優先度「2」、オファーID「002」の優先度「1」をそれぞれ取得して、オファーエンジン4に通知する。
【0037】
つづいて、オファーエンジン4は、取得した優先度のうち、最も高い優先度を有するオファーを、配信すべきオファーとして決定する。例えば、オファーID「001」の優先度「2」の方が、オファーID「002」の優先度「1」より高いため、オファーエンジン4は、オファーID「001」を配信すべきものと決定する。
【0038】
S4:オファーの配信
オファーエンジン4は、問合せを発行したオファーリング対象サービス8又は9に対し、オファーを配信する。この際、オファーエンジン4は、オファー記憶部5を参照し、配信すべきオファーIDに紐付けられたアクション(手段、商品)によりオファー配信を実行する。例えば、オファーID「001」には、アクションとして、手段「メール」、商品「商品A」が定義されている。したがって、オファーエンジン4は、オファーリング対象サービス8又は9に対し、商品Aにかかる広告を内容とするメールを配信すべき旨を通知する。この際、オファーエンジン4は、商品Aにかかる広告内容を、当該通知に含めることとしても良い。例えば、メールに記載すべき文章や画像等を当該通知に含めることができる。
【0039】
オファーリング対象サービス8又は9、オファーエンジン4からの通知に応じ、ユーザにオファーを提示する。例えば、商品Aにかかる広告を内容とするメールをユーザに対して配信する。
【0040】
S5:オファーの配信に対するユーザの反応の取得
オファーエンジン4は、オファーリング対象サービス8又は9から、ユーザの反応を受領する。ここでいうユーザの反応とは、S4で配信したオファーに対し、ユーザが示した行動等を示す情報をいう。例えば、S4において、商品Aにかかる広告を内容とするメールをオファーとして配信した場合、オファーリング対象サービス8又は9は、ユーザが当該メールを「閲覧した」又は「閲覧してない」ことを示す情報を、ユーザから取得する。なお、メールの閲覧確認は、既知の種々の手法により実現し得る。オファーリング対象サービス8又は9は、この「閲覧した」又は「閲覧してない」旨の情報を、オファーIDとともに、ユーザの反応を示す情報として、オファーエンジン4に送信する。
【0041】
S6:オファー優先度の最適化
オファーエンジン4は、S5で受信したユーザの反応を、スコアリングエンジン6に引き渡す。スコアリングエンジン6は、ユーザの反応を受信すると、オファーの優先度を最適化する処理を実行する。スコアリングエンジン6は、スコアリングルール記憶部7を参照し、ユーザの反応が得られたオファーIDに紐付けられたスコアリングルールを取得する。例えば、オファーID「001」のメール配信に対し、ユーザから「閲覧した」という反応が得られた場合、スコアリングエンジン6は、図5のスコアリングルール記憶部7を参照し、オファーID「001」及び反応「閲覧」に対応する重み付け「+1.0」を取得する。
【0042】
スコアリングエンジン6は、取得した重み付けが示すルールに従って、オファーの優先度を変更する。すなわち、スコアリングエンジン6は、優先度記憶部3における、ユーザの反応が得られたオファーIDに紐付けられた優先度を、上記重み付けに従って変更する。例えば、オファーID「001」に対する重み付け「+1.0」が取得されている場合、スコアリングエンジン6は、図4の優先度記憶部3においてオファーID「001」に紐付けられている優先度「2」を「3」に変更する。すなわち、優先度「2」に対し、「+1.0」の重み付けを行う。これにより、オファーに対するユーザの反応に基づき、オファーの優先度がリアルタイムに変動し、よりユーザに適したオファーが行われるようになる。
【0043】
本実施の形態によれば、オファーリングシステム100は、ユーザの反応とスコアリングルールに基づいて、オファーの優先度をリアルタイムに最適化することができる。これにより、従来、オファーリングサービス事業運営者に必要であった特別な知見や、ユーザの購買履歴等のデータの蓄積がなくとも、サービス開始後すぐにオファーを実施し、早期にオファーを最適化することが可能となる。また、分析ツールやアナリストにかかるコストや時間を抑制することが可能である。
【0044】
また、本実施の形態によれば、オファーリングシステム100は、条件とアクションとにより定義されるオファーを複数登録できる。これにより、例えばウェブサイト上での表示、メールの送信、端末へのプッシュ通知等、複数のオファーリング媒体を用いたユーザへのオファーを行うことが可能である。また、ユーザの反応に基づき、個々のオファーリング媒体を正しくスコア(評価)することが可能となる。これにより、複数のオファーリング媒体のうち、ユーザの反応の良い、より効果的な媒体を用いたオファーリングを行うことができる。
【0045】
<その他の実施の形態>
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態では、本発明を主にハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0046】
本発明は、例えば以下のように表現し得る。
(付記1)
ユーザに向けたオファーを配信するオファーエンジンと、
前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングエンジンと、を有する
オファーリングシステム。
(付記2)
複数の前記オファー夫々に対し、優先度を紐付けて管理する優先度管理部をさらに有し、
前記オファーエンジンは、複数の前記オファーから、前記優先度に基づいて、前記ユーザに配信すべき前記オファーを選択し、
前記スコアリングエンジンは、配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの前記優先度を変更する
付記1記載のオファーリングシステム。
(付記3)
前記ユーザの反応と、前記優先度の変更ルールと、を紐付けて保持するスコアリングルール記憶部をさらに有し、
前記スコアリングエンジンは、配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に基づいて、前記変更ルールを選択し、
前記変更ルールに基づいて、前記オファーの前記優先度を変更する
付記2記載のオファーリングシステム。
(付記4)
複数の前記オファー夫々に対し、前記オファーの配信手段と、を紐付けて保持するオファー記憶部をさらに有し、
前記オファーエンジンは、前記配信手段が定める態様により、前記オファーを配信する
付記1乃至3いずれか1項記載のオファーリングシステム。
(付記5)
前記オファー記憶部は、複数の前記オファー夫々に対し、前記オファーの配信条件を紐付けて保持し、
前記オファーエンジンは、前記配信条件に基づいて、前記ユーザに適合するオファーを選択する
付記4記載のオファーリングシステム。
(付記6)
オファーリング対象サービスと通信可能に接続され、
前記オファーエンジンは、前記オファーリング対象サービスからの要求に応じ、前記オファーを配信する
付記1乃至5いずれか1項記載のオファーリングシステム。
(付記7)
オファーリング対象サービスと通信可能に接続され、
前記オファーエンジンは、前記オファーリング対象サービスから、前記ユーザに係る条件を受信し、
前記ユーザに係る条件と、前記配信条件と、に基づいて、前記ユーザに適合するオファーを選択する
付記5記載のオファーリングシステム。
(付記8)
ユーザに向けたオファーを配信するオファーステップと、
前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングステップと、を有する
オファーリング方法。
(付記9)
前記オファーステップでは、優先度管理部が管理する複数の前記オファーから、前記オファー夫々に紐付けられている優先度に基づいて、前記ユーザに配信すべき前記オファーを選択し、
前記スコアリングステップでは、配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの前記優先度を変更する
付記8記載のオファーリング方法。
(付記10)
前記スコアリングステップでは、配信した前記オファーに対する前記ユーザの反応に基づいて、スコアリングルール記憶部が前記ユーザの反応に紐付けて保持している前記優先度の変更ルールを選択し、
前記変更ルールに基づいて、前記オファーの前記優先度を変更する
付記9記載のオファーリング方法。
(付記11)
前記オファーステップでは、オファー記憶部が複数の前記オファー夫々に紐付けて保持している配信手段が定める態様により、前記オファーを配信する
付記8乃至10いずれか1項記載のオファーリング方法。
(付記12)
前記オファーステップでは、前記オファー記憶部が複数の前記オファー夫々に紐付けて保持している配信条件に基づいて、前記ユーザに適合するオファーを選択する
付記11記載のオファーリング方法。
(付記13)
前記オファーステップでは、オファーリング対象サービスからの要求に応じ、前記オファーを配信する
付記8乃至12いずれか1項記載のオファーリング方法。
(付記14)
前記オファーステップでは、オファーリング対象サービスから、前記ユーザに係る条件を受信し、
前記ユーザに係る条件と、前記配信条件と、に基づいて、前記ユーザに適合するオファーを選択する
付記12記載のオファーリング方法。
(付記15)
コンピュータに、
ユーザに向けたオファーを配信するオファーステップと、
前記オファーに対する前記ユーザの反応に応じて、前記オファーの配信ルールを変更するスコアリングステップと、を実行させる
プログラム。
【符号の説明】
【0047】
100 オファーリングシステム
1 システム管理部
2 優先度管理部
3 優先度記憶部
4 オファーエンジン
5 オファー記憶部
6 スコアリングエンジン
7 スコアリングルール記憶部
8 オファーリング対象サービス
9 オファーリング対象サービス
図1
図2
図3
図4
図5