特許第6355160号(P6355160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355160
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20180702BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20180702BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   !H01M10/0585
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-135708(P2014-135708)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-15212(P2016-15212A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】310010081
【氏名又は名称】NECエナジーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】喜志 真佑子
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/146562(WO,A1)
【文献】 特開2014−007103(JP,A)
【文献】 特開2010−080324(JP,A)
【文献】 特開2014−011115(JP,A)
【文献】 特開2005−123186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0585
H01G 9/00
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とがセパレータを介して交互に積層された積層体と、前記積層体を固定するテープと、を含み、
前記テープは、両端部に設けられて前記積層体の両最外層にそれぞれ貼り付けられる1対の平面貼り付け部と、前記1対の平面貼り付け部の間に位置し、前記積層体の各層の側端縁に貼り付けられる中間部と、を有し、
前記平面貼り付け部は、先端が鋭角である先細形状を有しており、前記先端に向かって連続的に幅が細くなっている、二次電池。
【請求項2】
前記平面貼り付け部は前記中間部よりも小面積である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記テープの全体の平面形状は、台形、菱形、三角形、または六角形である、請求項1または2に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、エネルギー密度が高く、かつメモリー効果が無いため、小型でも高容量であり、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器用の電源として用いられている。また、二次電池は環境保全の面からも注目を集めており、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電源としても用いられている。これらの電源においては、更なる小型化が要求され、それに伴い二次電池の小型化および薄膜化が要求されている。
近年では、図6に示すように、シート状の正極1と負極2がセパレータ4を介して交互に積層された積層体(電池素子)3をテープ5で固定した上で外装容器内に収容した構成の積層型二次電池が使用されている。特許文献1に記載されている二次電池の積層体固定用のテープ5は、幅が一定の細長い帯状である。テープ5の両端部、すなわち積層体3の最外層の平面に貼り付けられる平面貼り付け部5aは矩形状である。それに対し、特許文献2では、積層体固定用のテープの両端の平面貼り付け部が、矩形の一部が切り欠かれた非矩形状である。これは、正極の活物質層と負極の活物質層が対向している対向領域に局所的な荷重が加わるのを抑制するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−048054号公報
【特許文献2】特開2014−007103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように幅が一定の細長い帯状のテープ5が用いられ、その両端の平面貼り付け部5aが積層体3の最外層に貼り付けられる場合、テープ5に皺や歪みが生じるおそれがあった。図7に示すように、テープ5に皺や歪みが生じると、テープ5の中間部5bと積層体3の各層の側端縁との間に隙間(遊び)が生じて、積層体3の安定した固定が困難になるおそれがある。その場合、例えば正極1と負極2が適切な位置関係で重なり合わず、所望の積層状態が確保できない可能性がある。また、テープ5が歪んで接着面同士が互いに接着して、テープ5に強固で修復困難な皺が生じる可能性がある。そして、特許文献2に記載された発明では、テープの両端部に切り欠き部を設けるためにテープの製造や加工が煩雑になるとともに、切り欠き部を起点としてテープの皺や歪みが生じ易くなる。
テープ5の皺や遊びが生じると、図7に示すように、ラミネートフィルム8によって積層体3を挟み込んで外装容器を構成する際に、テープ5の一部がラミネートフィルム8同士の間に挟まれて、ラミネートフィルム8同士の接合面積が小さくなって接合強度が低くなる。その結果、外装容器の封止が不十分になるおそれがある。
このように、積層体3がテープ5によって安定して固定されず所望の積層状態が確保できなかったり、外装容器の封止が不十分であったりすると、二次電池の性能が悪くなる。
そこで、本発明の目的は、前述した課題を解決して、積層体を固定するためのテープに皺や歪みが生じにくい二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の二次電池は、正極と負極とがセパレータを介して交互に積層された積層体と、積層体を固定するテープと、を含む。テープは、両端部に設けられて積層体の両最外層にそれぞれ貼り付けられる1対の平面貼り付け部と、1対の平面貼り付け部の間に位置し、積層体の各層の側端縁に貼り付けられる中間部と、を有する。平面貼り付け部は、先端が鋭角である先細形状を有しており、先端に向かって連続的に幅が細くなっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、積層体を固定するためのテープに皺や歪みが生じにくい二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の二次電池の一実施形態の積層体およびテープの斜視図である。
図2図1に示す積層体の分解斜視図である。
図3図1に示すテープの平面形状を示す平面図である。
図4図1に示す積層体およびテープを含む二次電池の要部を示す断面図である。
図5】本発明の二次電池に含まれるテープの種々の変形例を示す平面図である。
図6】関連技術の二次電池の積層体およびテープの斜視図である。
図7図6に示す積層体およびテープを含む二次電池の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の二次電池の一実施形態の積層体(電池素子)3およびテープ5の斜視図である。図2は、この積層体3の分解斜視図である。二次電池は、正極1と負極2がセパレータ4を介して交互に積層された積層体3が、積層体固定用のテープ5によって固定された状態で、図示しない電解液とともに外装容器内に収容された構成である。正極1から延びている正極タブ7と、負極2から延びている負極タブ6は、外装容器の外側に突出している。
正極1と負極2とセパレータ4の積層体3は、積層体固定用のテープ5によって固定されている。本実施形態では、4つのテープ5が設けられている。テープ5は、積層体3の両最外層3aにそれぞれ貼り付けられる1対の平面貼り付け部5aと、1対の平面貼り付け部5aの間に位置する中間部5bを有する。中間部5bは、積層体3の各層の側端縁3bに貼り付けられる。
【0009】
図3に示すように、本実施形態のテープ5は平行四辺形の平面形状を有している。具体的には、矩形状の中間部(側端縁貼り付け部)5bの両側に、三角形状の平面貼り付け部5aがそれぞれ設けられている。両端部に位置する平面貼り付け部5aは、中間部5bよりも小面積である。そして、平面貼り付け部5aは、先端が鋭角である先細形状をそれぞれ有している。この構成によると、平面貼り付け部5aが小面積であるため、貼り付け作業が容易かつ短時間で行える。しかも、先端が鋭角な先細形状であるため、皺や歪みが生じにくい。その結果、図4に示すように、テープ5の中間部5bと積層体3の側端縁3との間に隙間(遊び)が生じず、積層体3を安定して固定でき、正極1と負極2が適切な位置関係で重なり合った所望の積層状態が確保できる。また、テープ5の接着面同士が互いに接着する危険性が小さい。そして、平面貼り付け部5aに小さな切り欠きが設けられているわけではないので、テープ5の製造や加工は簡単で、テープ5の皺や歪みの起点となる部分が存在しない。従って、ラミネートフィルム8によって積層体3を覆って外装容器を構成する際に、テープ5の一部がラミネートフィルム8同士の間に挟まれるおそれが小さく、外装容器を十分強固に封止できる。このように、本実施形態では、テープ5の皺や歪み等により二次電池の性能が悪くなることが抑えられる。
テープ5は、積層体3が外装容器内に収納されるまでの間しっかりと固定することを主な目的として設けられているため、必ずしも、積層体3が外装容器内に収容された後も永続的に強い固定力を発揮する必要はない。従って、テープ5は、積層体3を一時的に固定できる最低限の接着強度があればよい。そのため、平面貼り付け部5aの面積が小さくても問題は生じない。
【0010】
本実施形態のテープ5のより具体的な例(実施例1)について説明すると、このテープ5の平面形状は、互いに対向する長辺Lがそれぞれ17.35mmであって、長辺Lに直交する高さHが10mmの平行四辺形である。このテープ5の一方の平面貼り付け部5aを、積層体3の一方の最外層(最上面)3aに貼り付け、中間部5bを積層体3の各層の側端縁3bに貼り付け、他方の平面貼り付け部5aを、積層体3の他方の最外層(最下面)3aに貼り付けた。
図3に示すテープ5を積層体3に貼り付ける作業を8回行って、貼り付け作業に要する時間の平均と、電池を完成させるまでに不良が発生した数を求め、テープ5の総面積とともに表1に示している。
【0011】
【表1】
【0012】
図5には、本発明の二次電池のテープ5の種々の変形例を示している。
図5(a)に示す例(実施例2)では、テープ5の平面形状は、上底が10mm、下底(全長)が27mmであって、上底および下底に直交する高さが10mmの台形である。このテープ5を実施例1と同様に積層体3に貼り付ける作業を8回行って、貼り付け作業に要する時間の平均と、電池を完成させるまでに不良が発生した数と、テープ5の総面積を表1に示している。
図5(b)に示す例(実施例3)では、テープ5の平面形状は、1辺が10mmで、長い方の対角線(全長)が27mmの菱形である。このテープ5を実施例1と同様に積層体3に貼り付ける作業を8回行って、貼り付け作業に要する時間の平均と、電池を完成させるまでに不良が発生した数と、テープ5の総面積を表1に示している。
図5(c)に示す例(実施例4)では、テープ5の平面形状は、両端部に位置する平面貼り付け部5aがそれぞれ底辺10mmで高さ10mmの二等辺三角形であって、2つの平面貼り付け部5aとそれらの間に位置する矩形状の中間部5bとを合わせた全長が27mmの六角形である。このテープ5を実施例1と同様に積層体3に貼り付ける作業を8回行って、貼り付け作業に要する時間の平均と、電池を完成させるまでに不良が発生した数と、テープ5の総面積を表1に示している。
図5(d)に示す例(実施例5)では、テープ5の平面形状は、底辺(全長)27mmで高さ10mmの二等辺三角形である。このテープ5を実施例1と同様に積層体3に貼り付ける作業を8回行って、貼り付け作業に要する時間の平均と、電池を完成させるまでに不良が発生した数と、テープ5の総面積を表1に示している。
【0013】
以上説明した実施例1〜5と対比するための比較例として、図6に示すテープと実質的に同じである、幅10mmで全長27mmの細長い帯状のテープ5を実施例1と同様に積層体3に貼り付ける作業を8回行って、貼り付け作業に要する時間の平均と、電池を完成させるまでに不良が発生した数と、テープ5の総面積を表1に示している。
【0014】
これらの実施例1〜5と比較例の結果を示す表1を見ると、実施例1〜5のテープ5は、比較例と比べて面積が小さく、貼り付け作業に要する時間が短い。これは、比較例のテープ5では、積層体3の最外層に貼り付けられる平面貼り付け部5aの面積が大きいため、テープ5に遊びが生じて貼り付けにくいのに対し、実施例1〜5では、平面貼り付け部5aの面積が小さく、テープ5に遊びが生じにくいためであると考えられる。そして、実施例1〜5では、比較例に比べてテープ5の総面積が約25〜50%小さいにもかかわらず、剥離等の不良が発生することなく十分に安定的に積層体3を固定できることがわかる。
【0015】
このように、本発明によると、積層体3を一時的に固定するために必要な接着強度を保ちながら、テープ5に皺や歪みが生じにくくすることができる。それにより、テープ5の貼り付け不良や、外装容器を構成するラミネートフィルム8の接合部にテープ5が挟み込まれることで生じる接合強度低下による不良の発生を防ぐことができる。また、テープ5の面積が小さく効率的な形状にすることで製造や加工のコストの低減と生産性向上を図ることができる。さらに、テープ5が小面積で積層体3に貼り付け易いため、積層体3への貼り付け作業に要する時間が短縮できる。
【符号の説明】
【0016】
1 正極
2 負極
3 電池素子(積層体)
3a 最外層
3b 側端縁
4 セパレータ
5 テープ
5a 平面貼り付け部
5b 中間部(側端縁貼り付け部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7