特許第6355191号(P6355191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355191
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】車両用縦置き型内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/14 20100101AFI20180702BHJP
   F01N 13/10 20100101ALI20180702BHJP
   F02B 77/11 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   F01N13/14
   F01N13/10
   F02B77/11 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-70385(P2014-70385)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-190443(P2015-190443A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】茂内 晋
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏充
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−177564(JP,A)
【文献】 実開平02−078718(JP,U)
【文献】 特開平10−331632(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/021306(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00−13/20
F02B 77/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気マニホールドを固定した長手一側面が車両の前後方向に長手となるように配置されたシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドの長手一側面に固定されて前記排気マニホールドを外側から覆う遮熱カバーと、前記排気マニホールドの後ろ下方に配置された触媒ケースとを備えており、
前記排気マニホールドは前後方向に長い集合管を備えており、前記集合管の後端が前記触媒ケースに接続されている構成であって、
前記遮熱カバーは、前記排気マニホールドの集合管を外側から覆うように上面部と側面部と下面部とを有して正面視で外向き突状に膨らんだ形状であり、前記遮熱カバーで覆われた空間の後端は前記触媒ケースの上部に向けて開口しており、かつ、前記遮熱カバーの下面部は、後ろに行くほど下がって延長線が前記触媒ケースに向かうように傾斜している、
車両用縦置き型内燃機関。
【請求項2】
前記遮熱カバーの上面部は、側面視で上向き凸状でかつ前端よりも後端が低くなるように緩く湾曲している、
請求項1に記載した車両用縦置き型内燃機関。
【請求項3】
前記上面部と側面部とを繋ぐ上側連接部は略全長に亙って緩く湾曲している一方、前記下面部と側面部とを繋ぐ下側連接部のうち少なくとも一部が、前記上側連接部よりも急激に曲がっている、
請求項1又は2に記載した車両用縦置き型内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両に搭載される縦置き型内燃機関に関し、特に、排気マニホールドを覆う遮熱カバー(インシュレータ)に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気マニホールドは排気ガスによって高い温度になるため、他の部材の保護等のために金属板製の遮熱カバーで覆うことが行われている。他方、内燃機関を車両のエンジンルームに搭載する場合、クランク軸が車両の前後方向に向くように配置する縦置きと、クランク軸が車両の左右方向に向くように配置する横置きとがあり、縦置き式の内燃機関における排気マニホールド用遮熱カバーとして特許文献1には、遮熱カバーを側面視で水平姿勢に配置して、走行風を前面から外面に導く構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−36427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、車両用内燃機関の搭載位置はエンジンルームの広さや内燃機関の大きさ等によってまちまちであり、機関本体をエンジンルームの後部に配置せねばならない場合もある。すると、機関本体がエンジンルームと車内とを仕切る隔壁に近づくため、排気マニホールドの熱が隔壁を介して車内に伝わって、車内が熱害を受けやすくなることがある。
【0005】
特に、縦置き型の内燃機関では走行風によって熱気が隔壁に送られるため、熱害の問題が顕著に現れる。しかるに、特許文献1の場合は、走行風を単に遮熱カバーに当てるに過ぎず、遮熱カバーによって受熱した走行風はそのまま隔壁に衝突するため、車内の熱害防止にはなんら貢献していないと云える。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は車両用縦置き型内燃機関に関し、この内燃機関は、
排気マニホールドを固定した長手一側面が車両の前後方向に長手となるように配置されたシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドの長手一側面に固定されて前記排気マニホールドを外側から覆う遮熱カバーと、前記排気マニホールドの後ろ下方に配置された触媒ケースとを備えており、
前記排気マニホールドは前後方向に長い集合管を備えており、前記集合管の後端が前記触媒ケースに接続されている」
という基本構成である。
【0008】
そして、請求項1の発明では、上記基本構成において、前記遮熱カバーは、前記排気マニホールドの集合管を外側から覆うように上面部と側面部と下面部とを有して正面視で外向き突状に膨らんだ形状であり、前記遮熱カバーで覆われた空間の後端は前記触媒ケースの上部に向けて開口しており、かつ、前記遮熱カバーの下面部は、後ろに行くほど下がって延長線が前記触媒ケースに向かうように傾斜している。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記遮熱カバーの上面部は、側面視で上向き凸状でかつ前端よりも後端が低くなるように緩く湾曲している。
【0010】
請求項3の発明に係る遮熱カバーは、請求項1又は2において、前記上面部と側面部とを繋ぐ上側連接部は略全長に亙って緩く湾曲している一方、前記下面部と側面部とを繋ぐ下側連接部のうち少なくとも一部が、前記上側連接部よりも急激に曲がっている。
【0011】
熱カバーの前部は、平面視でシリンダヘッドからの距離が後ろに行くに従って徐々に大きくなるように傾斜又は湾曲させることが可能であり、これにより、走行風が遮熱カバーの外面部に当たる割合を大きくできる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、機関本体を隔壁に近付けて配置していても、遮熱カバーの下面部が傾斜していることにより、走行風を斜め下向きにガイドして、エンジンルームの床下に速やかに逃がすことができる。これにより、下面部で受熱した走行風が車両の隔壁に直接に衝突することを抑制して、車内の熱害を抑制できる。また、下面部が傾斜していることで、下面部に当てる風量を増大できるため、下面部の冷却効果も向上できる。
また、遮熱カバーによって下向きにガイドされた走行風は、触媒ケースを舐めるようにして下方に向かって車外に放出されるため、触媒ケースの冷却性も向上できる。その結果、車内が触媒ケースの熱害を受けることも抑制できる。
【0013】
更に、遮熱カバーの下面部に多くの走行風が当たることで、下面部の下方において走行風の流速が速くなるため、遮熱カバーの後ろ側では負圧気味となって下向きに引かれる傾向を呈することになり、その結果、遮熱カバーの上を流れてきた走行風を下向きに引き込んで車外に逃がすことができる。この面からも、遮熱カバーの熱が走行風を介して隔壁に伝わることを抑制して、車内に熱害が及ぶことを抑制できる。
【0014】
請求項の構成では、上面部と側面部とを繋ぐ上側連接部は略全長に亙って緩く湾曲していることにより、上面部を流れる走行風は外面部を舐めるような状態で下向きに風向を変えていく傾向を呈するため、側面部の冷却性も向上できる。
【0015】
更に、請求項2の構成では、上面部は前端部よりも後端部が低くなっているが、走行風が外面部に沿って下向きに流れる傾向を呈することから、上面部を流れる走行風は遮熱カバーの後端に至っても下向きに引かれる作用を受けるため、上面部を流れる走行風の風向を下向きに変えて床下に逃がすことをスムースに行える。
【0016】
従って、遮熱カバーの冷却性を向上できるのみならず、遮熱カバーで受熱した走行風を下向きにスムースに逃がすことができるため、機関本体を隔壁に近付けて配置していても、車内に熱害が及ぶことを抑制できる。
【0017】
請求項3の構成を採用すると、遮熱カバーの下面部を流れる走行風が上に逃げることを防止できるため、走行風が全体として下向きに流れることを確実化できる。その結果、走行風を下向きに誘導してエンジンルームの外に排出することが、より確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)は実施形態の概略側面図、(B)は機関本体の概略正面図である。
図2】排気マニホールド及び触媒ケースと遮熱カバーとの分離側面図である。
図3】(A)は排気マニホールド及び触媒ケースと遮熱カバーとの分離平面図、(B)は遮熱カバーの断面図である。
図4】(A)は図1の要部拡大図、(B)は遮熱カバーの正面図である。
図5】(A)は図4(A)の VA-VA視断面図、(B)は遮熱カバーのみを表示した図4(A)の VB-VB視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1).概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1,2に基づいて概要を説明する。図1(A)では車両において隔壁1で仕切られた室内2とエンジンルーム3とを表示しており、エンジンルーム3に機関本体4が配置されている。
【0020】
機関本体4は、シリンダブロック5とその上面に固定されたシリンダヘッド6とを有しており、シリンダヘッド6の上面にはシリンダヘッドカバー7が固定されて、シリンダブロック5の下面にはオイルパン8が固定されている。シリンダブロック5は、その下部に設けたマウント装置9を介して車体フレーム10に支持されている。なお、マウント装置9は防振ゴムを備えている。
【0021】
本実施形態の機関本体4は、クランク軸線11が車両の前後方向を向いた縦置き姿勢で配置しており、かつ、シリンダボア軸線12を鉛直線13に対して若干の角度θだけ傾斜させている。すなわち、機関本体4はスラント型になっている。従って、シリンダヘッド6は、その長手一側面6aが下側に傾いて、長手他側面6bが上側に傾いている。
【0022】
そして、シリンダヘッド6の両長手側面6a,6bのうち下向きの長手一側面6aに、排気ポート(図示せず)を開口させると共に排気マニホールド14を固定しており、シリンダヘッド6の長手他側面6bには、吸気ポートが開口して吸気マニホールド(図示せず)が固定されている。なお、排気マニホールド14の下方にマウント装置9が配置されている。
【0023】
本実施形態の内燃機関は4気筒タイプであり、そこで、図2に示すように、排気マニホールド14は、4つの枝管14aとこれらが集まった集合管14bとを有しており、集合管14bの終端には触媒ケース15が接続されている。従って、触媒ケース15は、集合管14bの後ろ下方に配置されている。触媒ケース15の下端には排気管16が接続されており、排気管16は車両の床下を通って後ろに延びている。
【0024】
車内1のうちその前端部でかつ床に近い部位には、アクセルペダル17を配置している。本実施形態の車両は左ハンドルタイプであり、このため、機関本体4の後ろのあたりにアクセルペダル17が位置しており、かつ、機関本体4は隔壁1にかなり近付けて配置されている。そして、排気マニホールド14は、遮熱カバー20で外側から覆われている。この点を、図3以下の図面も参照して説明する。
【0025】
(2).遮熱カバーの詳細
遮熱カバー20は前後方向に長い形態であり、排気マニホールド14を外側から覆うように上面部21と側面部22と下面部23とを有しており、正面視で外向き突状に膨らんだ形状になっている。また、遮熱カバー20は、上面部21と側面部22と下面部23とに連続した前面部24も有しているが、後端は、触媒ケース15の上部に向けて後ろ向きに開口している。
【0026】
また、上面部21と下面部23とにはシリンダヘッド6の長手一側面6aと略平行なフランジ25が一体に繋がっており、図5(A)に示すように、排気マニホールド14から外向きに立ち上げた張り出し部26にフランジ25がボルト27及びナット28で締結されている。
【0027】
遮熱カバー20は、前部よりも後部の上下幅が大きくなるように、大まかには後ろに行くに従って上下幅寸法が大きくなっている。そして、上面部21は、側面視で若干の上向き凸状に緩い湾曲しており、後端は前端よりも低くなっている。上面部21の後部21aは前端よりも低くて緩く後傾しており、後部21aを除いた部分はかなり水平に近い程度で湾曲している。
【0028】
側面部22は正面視で外向き凸状にごく緩く湾曲しており、上面部21と側面部22とが繋がっている上側連接部29は、図5(A)(B)に示すように、略全長にわたって緩く湾曲している。換言すると、上面部21と側面部22とは、大きなカーブで滑らかに連続している。
【0029】
遮熱カバー20の上面部21と下面部23とは、側面部22に近づくに従って間隔が僅かに狭くなるように設定されており、下面部23と側面部22とが繋がっている下側連接部30は、図5(B)に示すように、上側連接部29よりも小さい曲がりになっている。すなわち、上側連接部29は大きく湾曲した形状であるのに対して、下側連接部30は屈曲に近い曲がり形状になっている。更に換言すると、上側連接部29及び下側連接部30を円弧と過程すると、下側連接部30の曲率半径が上側連接部29の曲率半径よりもかなり小さくなっている。
【0030】
本実施形態の機関本体4は排気側の長手一側面6aが下向きとなるように傾斜しているので、図5に示すように、遮熱カバー20の上面部21及び下面部23とも、シリンダヘッド6から離れるほど下がるように水平面に対して傾斜している。図5(A)のとおり、外面部22のうち前部は正断面視で円弧状に近い形態になっている。
【0031】
遮熱カバー20には、前部に位置した3条のフロントガイドリブ31と、後部に位置した2条のリアガイドリブ32とを外向きに突設している。両ガイドリブ31,32は前後方向に長手であり、フロントガイドリブ31は側面視においておおよそ水平姿勢で、リアガイドリブ32は側面視において水平に対して後傾している。リアガイドリブ32は、側面視で下面部23と略平行になっている。
【0032】
外面部22のうちやや前寄りの部位には、空気流入穴33を空けている。空気流入穴33は外面部22の上下中間部に設けており、シリンダヘッド6と略平行な段部34に空けている。従って、走行風が過度に流入することはない。
【0033】
遮熱カバー20の後端は、略過半部が手前に逃げるようにカットされているが、これは、触媒ケース15との干渉を回避するためである。触媒ケース15も、略半周程度が外側からケースカバー35で覆われている。図3に示すように、遮熱カバー20の外面部22は、先端から後端に向けて外向き高さが高くなるように平面視で曲がっており、かつ、前部において大きく曲がっている。
【0034】
(3).まとめ
以上の構成において、車両の走行によって遮熱カバー20には走行風が当たるが、遮熱カバー20の下面部23が後傾しているため、走行風を斜め下向きに向かわせるようにガイドして、走行風をエンジンルームの下方(車外)に速やかに逃がすことができる。これにより、遮熱カバー20の下面部23で受熱した走行風が車両の隔壁1に強く当たることを抑制して、車内1が熱害を受けることを抑制できる。
【0035】
そして、遮熱カバー20の後ろに触媒ケース15を配置しているため、遮熱カバー20によって下向きにガイドされた走行風は、触媒ケース15及びケースカバー35を舐めるようにして下方に向かって車外に放出される。従って、触媒ケース15の冷却性も向上できる。その結果、車内1が触媒ケース15の熱害を受けることも抑制できる。
【0036】
また、下面部23が傾斜していることで、下面部23に当たる走行風量を増大して遮熱カバー20の冷却性を向上できるのみならず、下面部23の終端部において走行風が集まることで下方や触媒ケース15に向かう走行風の流速は速くなっている。このため、触媒ケース15の冷却性を一層向上できる。
【0037】
また、上側連連接部29は緩く湾曲しているため、上面部21に沿って流れる走行風図4(A)に矢印で示すように下向きに流れるようにガイドされる。このため、側面部22の冷却性をアップできるのみならず、側面部22に沿って下向きに流れる走行風が下面部23によって下向きに導かれた走行風と合流することで、下向きに流れる走行風の勢いは一層強くなり、触媒ケース15の冷却性を向上できると共に、受熱した走行風の抜け性も向上する。
【0038】
更に、上面部21に沿って流れる走行風が下向きにガイドされることにより、上面部21の後部に至った走行風も、外面部22に沿って下向きに流れる走行風と一緒に下方に向かうことになり、このため、上面部21に沿って流れる走行風はその全体がごくスムースに下向きに方向変換する。
【0039】
本実施形態のように機関本体4が隔壁1に近接しているると、遮熱カバー20の後ろの後部空間36(図4で網かけ表示した空間)は、隔壁1とボンネット(図示せず)とで囲われた袋小路になっており、後部空間36に空気が入り込みにくい一方、エンジンルーム3の下面に大きな空間が空いていると共に、遮熱カバー20の下面部23によってガイドされた走行風が下向きに向かっているため、遮熱カバー20の後ろの部位は負圧状態になっており、このため、遮熱カバー20の上面部21を流れてきた走行風は、後部空間36に向かうことなく下方に向かうようにガイドされる。これにより、受熱した走行風を車外に逃がすことが確実化される。
【0040】
また、遮熱カバー20の下側連接部30は屈曲に近い曲がりであるため、下面部23に沿って流れた走行風が上向きに方向変換することはなくて、下向きの風向を確実に保持できると共に、側面部22に沿って下向きに流れる走行風の流れと一体化して、強い下向きの流れを作ることができる。
【0041】
本実施形態のように、排気マニホールド14を設けた長手一側面6aが下向きになるように機関本体4を傾斜させると、図5のとおり、遮熱カバー20の側面部22は下に行くほどシリンダヘッド6に近づくように傾斜していると共に、前端から後端に向けて高さが高くなっているため、走行風は側面部22によっても下向きにガイドされる。このため、走行風の下向きガイド機能が一層向上する。
【0042】
また、下面部23はシリンダヘッド6から遠ざかるに従って下になるように水平に対して傾斜しているため、下面部23に沿って流れてきた走行風が上向きに向かうことを確実に阻止して、下向きの強い流れを形成できる。本実施形態のように、ガイドリブ31,32を設けると、走行風を下向きにガイドする機能を向上できるのみならず、遮熱カバー20の表面積を増大して遮熱カバー20の冷却性能も向上できる。
【0043】
更に、本実施形態のように空気流入穴33を設けると、遮熱カバー20と排気マニホールド14との間の換気もできるため、排気マニホールド14の冷却性も向上できる。この場合、遮熱カバー20で囲われた空間の縦断面積が後ろに行くほど大きくなっているので、空気流入穴32に流入した走行風は、内部で淀むことなく速やかに排出される。
【0044】
本願発明の実施形態の一例を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、排気マニホールドを覆う遮熱カバー触媒ケースを覆うケースカバーとを一体化してもよい。スラント式でないシリンダボアを鉛直姿勢にした内燃機関にも適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明は、実際に内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 隔壁
2 車内
3 エンジンルーム
4 機関本体
6 シリンダヘッド
6a 長手一側面(排気側面)
11 クランク軸線
12 シリンダボア軸線
14 排気マニホールド
15 触媒ケース
17 アクセルペダル
20 遮熱カバー
21 上面部
21a 上面部の後部
22 側面部
23 下面部
24 前面部
29 上側連接部
30 下側連接部
図1
図2
図3
図4
図5