特許第6355213号(P6355213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355213
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20180702BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20180702BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20180702BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   H01L31/04 260
   H01L31/06 300
   H01L21/28 301R
   H01B1/22 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-546559(P2015-546559)
(86)(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公表番号】特表2016-508286(P2016-508286A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】US2013072904
(87)【国際公開番号】WO2014089103
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】13/706,728
(32)【優先日】2012年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クジノヴィッチ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ジャンボ
(72)【発明者】
【氏名】チュー、サイ
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/115076(WO,A1)
【文献】 特表2011−512661(JP,A)
【文献】 特開2009−087957(JP,A)
【文献】 特開2012−212542(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/074283(WO,A1)
【文献】 特開2007−208049(JP,A)
【文献】 特開2013−143499(JP,A)
【文献】 特開2012−129487(JP,A)
【文献】 特開昭59−084477(JP,A)
【文献】 特開平03−250671(JP,A)
【文献】 特表2002−539625(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/122403(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0145232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0224
H01B 1/22
H01L 21/28
H01L 31/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
基板と、
前記基板の上方に配置されるエミッタ領域と、
前記エミッタ領域上に配置され、前記エミッタ領域と接触する導電層を含む、導電性コンタクトであって、前記導電層は、15%超のSiと残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子を含む、導電性コンタクトと、
を備え、
前記導電層は100マイクロメートル超の厚さを有し、前記導電性コンタクトは前記導電層から本質的に成る前記太陽電池のバックコンタクトである、太陽電池。
【請求項2】
太陽電池であって、
基板であって、前記基板の表面に又は前記表面の付近に拡散領域を有する基板と、
前記拡散領域の上方に配置され、前記基板と接触する導電層を含む、導電性コンタクトであって、前記導電層は15%超のSiと、残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子を含む、導電性コンタクトと、
を備え、
前記導電層は100マイクロメートル超の厚さを有し、前記導電性コンタクトは前記導電層から本質的に成る前記太陽電池のバックコンタクトである、太陽電池。
【請求項3】
前記複数のAl/Si粒子は、25%未満のSiと残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する、請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記複数のAl/Si粒子の結晶性は、550〜580℃の範囲の温度で行われるアニールにより生じる、請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記複数のAl/Si粒子は微結晶性である、請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記導電層は、10〜30%の結合剤及びフリットと、残りの部分の前記複数のAl/Si粒子から本質的に成る組成を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記結合剤は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、又は両方を含み、前記フリットは複数のガラス粒子を含む、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記導電層は2〜10マイクロメートルの厚さを有し、前記導電性コンタクトは、前記導電層、前記導電層上に配置された無電解めっきニッケル(Ni)層、及び前記Ni層上に配置された電気めっき銅(Cu)層を含む、前記太陽電池のバックコンタクトである、請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記基板はバルク結晶シリコン基板であり、前記導電層は前記基板の表面の上方に配置された絶縁層のトレンチ内に配置され、前記導電層が前記バルク結晶シリコン基板と接触する前記バルク結晶シリコン基板にはピットの形成が殆ど、又は全く認められない、請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、再生可能エネルギーの分野、特に、太陽電池導電性コンタクトのシード層、及び太陽電池導電性コンタクトのシード層の形成方法の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般的に太陽電池として知られる光電池は、太陽放射を電気エネルギーへと直接変換するための既知の装置である。一般的に、太陽電池は、基板の表面付近にp−n接合を形成する半導体処理技術を使用して、半導体ウエファ又は基板上に製造される。太陽放射が基板の表面に衝突し、基板の中に入ると、基板のバルク内に電子及び正孔の対が生成する。電子及び正孔の対が基板のpドープ及びnドープ領域に移動することにより、ドープ領域間における電圧差が生じる。ドープ領域は、太陽電池の導電性領域に接続され、電流を太陽電池からそれと連結された外部回路へと方向付ける。
【0003】
効率は、太陽電池の発電能力に直接関係するので、太陽電池の重要な特性である。同様に、太陽電池を生産する上での効率は、このような太陽電池の費用効果に直接関係する。したがって、太陽電池の効率を向上させるための技術、又は太陽電池の製造における効率を向上させるための技術が、一般的に望ましい。本発明の幾つかの実施形態は、太陽電池構造体を製造するための新規なプロセスを提供することによって、太陽電池の製造効率の向上を可能にする。本発明の幾つかの実施形態は、新規な太陽電池構造体を提供することによって、太陽電池の効率向上を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の実施形態による、ペースト状添加物内における標的シリコン(Si)含有量の関数としての、フォトルミネッセンス(PL)中央点(mid-point)(焼成後)のプロットである。
【0005】
図2A】本発明の実施形態による、内部のアルミニウムに対し、15%のシリコンを有するシードペーストの焼成の後のシリコン基板の、走査型電子顕徽鏡(SEM)画像である。
【0006】
図2B】本発明の実施形態による、内部のアルミニウムに対し25%のシリコンを有するシードペーストの焼成の後の、シリコン基板のSEM画像である。
【0007】
図3A】本発明の実施形態による、基板の上方に形成された複数のエミッタ領域上に形成された、複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の一部の断面図を例示する。
【0008】
図3B】本発明の実施形態による、基板内に形成された複数のエミッタ領域上に形成された複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の一部の断面図を例示する。
【0009】
図4A】本発明の実施形態による、複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の作製方法における様々な処理動作の断面図を例示する。
図4B】本発明の実施形態による、複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の作製方法における様々な処理動作の断面図を例示する。
図4C】本発明の実施形態による、複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の作製方法における様々な処理動作の断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
太陽電池導電性コンタクトのシード層、及び太陽電池導電性コンタクトのシード層の形成方法が本明細書において記載される。以下の記載において、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために、具体的なプロセスフロー作業など、多くの具体的詳細が説明される。本発明の実施形態が、これらの具体的な詳細に捕われずに実施され得ることが、当業者には明らかとなる。他の場合には、本発明の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、リソグラフィ及びパターニング技術などの、周知の製造技術は詳細に説明されない。更に、図中に示される様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解される。
【0011】
複数の導電性コンタクトを有する太陽電池が本明細書において開示される。一実施形態において、太陽電池は基板を含む。基板上にエミッタ領域が配置される。導電性コンタクトはエミッタ領域上に配置され、エミッタ領域と接触する導電層を含む。導電層は、およそ15%超のSiとその残りのAl、という組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る。別の実施形態において、太陽電池は、基板の表面、又は表面の付近に、拡散領域を有する基板を含む。導電性コンタクトは拡散領域の上方に配置され、基板と接触する導電層を含む。導電層は、およそ15%超のSiとその残りのAl、という組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る。更に他の(別の)実施形態において、部分的に製造された太陽電池が基板を含む。エミッタ領域は、基板内、又は基板の上方に配置される。導電性コンタクトは、エミッタ領域のシリコン領域上に配置され、シリコン領域と接触する導電層を含む。導電層は、導電層のアニール中に導電層がシリコン領域の有意な部分を消耗することがないように、十分な量のSiを備える組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る。組成の残りの部分はAlである。
【0012】
本明細書において記載される1つ以上の実施形態は、複数の印刷される導電性シード粒子内にシリコンを含めることにより、シリコンベースのエミッタ領域内のフォトルミネッセンス(PL)の劣化を制御することを対象としている。より具体的に、最初に形成される導電性印刷シード層から、導電性コンタクトを形成するときに、複数のアルミニウム−シリコン合金粒子から成るペーストが印刷され得る。ペーストは、装置に電気コンタクトを形成するため(及び、例えば、溶媒を熱してペーストから除去するため)に焼成又はアニールされる。装置基板、又は他のシリコン層のシリコンは、焼成中、アルミニウムに急速に溶解し得る。基板からのシリコンが溶解すると、これにより基板中に複数のピットが生じる場合がある。これらのピットはひいては、装置の表面において高度な再結合を生じる場合があり、PL信号の減少、及び装置の効率性の低減を生じる。1つ以上の実施形態において、このように基板からのシリコンの溶解を防ぐために、ペースト自体の中に十分なシリコンも含むようにして、アルミニウムが堆積される。
【0013】
シリコンによるピットの形成は、堆積されるアルミニウム膜にいくらかのシリコンを含める(例えば、約1%のシリコンが有効であり得る)ことにより、軽減又は排除することができる。追加のシリコンが高温においてアルミニウムに溶解することにより、基板から溶解するシリコンが殆ど又は全くなくなる。一実施例において、我々独自の試験が、およそ550℃で焼成したスパッタリングしたアルミニウム膜において、ピット形成を防ぐのにおよそ2%のシリコンしか必要とされないことを示した。更に、577℃という、アルミニウム−シリコン共晶を超える焼成温度において、必要とされるシリコンの量は位相図に従うものと予測される。しかしながら、およそ5マイクロメートルの直径であり、およそ580℃で焼成された複数のアルミニウムの粒子から作製されたアルミニウム膜で発明者らが行った試験では、12%のシリコンが含まれている場合にピット形成が生じた。Al/Si共晶の位相図に基づけば、12%のシリコンが含まれていれば、ピット形成を低減し、PLを改善するのに十分なはずであった。実際には、使用される複数の粒子内のシリコンが15%未満であると、PLの劣化を防ぐためには不十分であることが見出された。したがって、アルミニウム/シリコン共晶点、又はこれを超える温度でアルミニウムペーストを焼成するためには、一実施形態において、位相図により元来示されるものよりも多くのシリコンがペーストに含まれる。しかしながら、一実施形態において、ペーストが効果的な導電性ペーストでなくならないためには、限られた量のシリコンのみが含まれ得る。一実施例として、図1は、本発明の実施形態による、ペースト状添加物内の標的シリコン(Si)含有量の関数としての、フォトルミネッセンス(PL)中央点(焼成後)のプロット100である。プロット100において看取されるように、PLの劣化と、シリコン含有量との間には関係性がある。
【0014】
一実施形態において、アルミニウムベースの導電性シードペーストにおいて、アルミニウムに対して15%超のシリコンが含まれる。1つのこのような実施形態において、25%ものシリコンが使用される。25%近い使用量は、その上にペーストが堆積されたシリコン領域におけるピット形成を低減することができる。例えば、本発明の実施形態により、図2Aは、内部のアルミニウムに対して15%のシリコンを有するシードペーストを焼成した後のシリコン基板の走査型電子顕徽鏡(SEM)画像200Aであり、一方で、図2Bは、内部のアルミニウムに対して25%のシリコンを有するシードペーストの焼成後のシリコン基板のSEM画像200Bである。画像200A及び200Bの比較において看取され得るように、25%の相対シリコン量に対し、15%の相対シリコン量においてより多くのピット形成が生じた。
【0015】
第1の態様において、複数のAl/Si粒子を有するシード層は、太陽電池の基板の上方に形成される複数のエミッタ領域を有する太陽電池のための、複数の裏面コンタクトなどの複数のコンタクトを製造するために、使用され得る。例えば、本発明の実施形態により、図3Aは、基板の上方に形成される複数のエミッタ領域上に形成される複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の一部の断面図を例示する。
【0016】
図3Aを参照し、太陽電池300Aの一部は、複数のn型ドープポリシリコン領域420、複数のp型ドープポリシリコン領域422、及び複数のトレンチ416により露出される基板400のオン部分の上方に配置されたパターン付き誘電層424を含む。複数の導電性コンタクト428は、誘電層424内に配置された複数のコンタクト開口部内に配置され、複数のn型ドープポリシリコン領域420、及び複数のp型ドープポリシリコン領域422に連結される。パターン付き誘電層、複数のn型ドープポリシリコン領域420、複数のp型ドープのポリシリコン領域422、基板400、及び複数のトレンチ416の材料、及び製造方法は、図4A〜4Cに関連して以下に記載され得る。更に、複数のn型ドープポリシリコン領域420、及び複数のp型ドープポリシリコン領域422は、一実施形態において、太陽電池300Aのエミッタ領域をもたらし得る。このように、一実施形態において、複数の導電性コンタクト428は、複数のエミッタ領域上に配置される。一実施形態において、複数の導電性コンタクト428は、バックコンタクト型太陽電池のための複数のバックコンタクトであり、太陽電池300Aの受光表面(図3Aに401として示される方向)と反対側の太陽電池表面上に位置する。更に、一実施形態において、複数のエミッタ領域は、薄い又はトンネル誘電層402(図4Aと関連して更に詳細に記載される)上に形成される。
【0017】
一実施形態において、図3Aを再び参照し、複数の導電性コンタクト428のそれぞれは、太陽電池300Aの複数のエミッタ領域と接触する、導電層330を含む。1つのこのような実施形態において、導電層330は、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成り、複数の粒子は、およそ15%超のSiと、残りの部分のAlという組成を有する。特定のこのような実施形態において、複数のAl/Si粒子はおよそ25%未満のSiと、残りの部分のAlという組成を有する。一実施形態において、複数のAl/Si粒子は微結晶性である。1つのこのような実施形態において、複数のAl/Si粒子の結晶性は、およそ550〜580℃の範囲の温度で行われるアニール(例えば、レーザー焼成が挙げられるがこれに限定されない)により生じる。しかしながら、別の実施形態において、複数のAl/Si粒子は相分離している。
【0018】
一実施形態において、導電層330は、およそ10〜30%の結合剤及びフリットと、残りの部分の複数のAl/Si粒子を含む、全組成物を有する。1つのこのような実施形態において、結合剤は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、又は両方から成り、フリットは複数のガラス粒子から成る。最初に適用されるとき、シード層(例えば、適用される際の層330)は更に、溶媒を含む。しかしながら、上記のように、シード層をアニールして、溶媒が除去され、最終的な構成において、本質的に結合剤、フリット、及び複数のAl/Si粒子が残される。
【0019】
一実施形態において、導電層330は、およそ100マイクロメートルよりも大きな厚さを有し、そこから製造される導電性コンタクト428は、本質的に導電層330のみからなる太陽電池のバックコンタクトである。しかしながら、別の実施形態において、導電層330は、およそ2〜10マイクロメートルの厚さを有する。この実施形態において、図3Aに示されるように、導電性コンタクト428は、太陽電池のバックコンタクトであり、導電層330、導電層330上に配置された無電解めっきニッケル(Ni)層332、及びNi層上に配置された電気めっき銅(Cu)層334から成る。
【0020】
第2の態様において、複数のAl/Si粒子を有するシード層は、太陽電池の基板内に形成された複数のエミッタ領域を有する太陽電池のための、複数の裏面コンタクトなどの複数のコンタクトを製造するために使用され得る。例えば図3Bは、本発明の実施形態による、基板内に形成された複数のエミッタ領域上に形成された複数の導電性コンタクトを有する太陽電池の一部の断面図を例示する。
【0021】
図3Bを参照し、太陽電池300Bの一部は、複数のn型ドープ拡散領域320、複数のp型ドープ拡散領域322、及びバルク結晶シリコン基板などの基板300のオン部分の上方に配置されたパターン付き誘電層324を含む。複数の導電性コンタクト328は、誘電層324内に配置される複数のコンタクト開口部内に配置され、複数のn型ドープ拡散領域320、及び複数のp型ドープ拡散領域322に連結されている。一実施形態において、拡散領域320及び322は、複数のn型ドーパント及び複数のp型ドーパントをそれぞれ備えるシリコン基板の複数のドープ領域により形成される。更に、複数のn型ドープ拡散領域320、及び複数のp型ドープ拡散領域322は一実施形態において、太陽電池300Bの複数のエミッタ領域をもたらす。一実施形態において、複数の導電性コンタクト328は、複数のエミッタ領域上に配置される。一実施形態において、図3Bに示されるように、導電性コンタクト328は、バックコンタクト型太陽電池のバックコンタクトであり、反対側の粗面化受光表面301など、受光表面と反対側の太陽電池の表面上に位置する。
【0022】
一実施形態において、図3Bを再び参照し、複数の導電性コンタクト328のそれぞれは、太陽電池300Bの複数のエミッタ領域と接触する、導電層330を含む。1つのこのような実施形態において、導電層330は、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成り、複数の粒子は、およそ15%超のSiと、残りの部分のAlという組成を有する。特定のこのような実施形態において、複数のAl/Si粒子はおよそ25%未満のSiと、残りの部分のAlという組成を有する。一実施形態において、複数のAl/Si粒子は微結晶性である。1つのこのような実施形態において、複数のAl/Si粒子の結晶性は、およそ550〜580℃の範囲の温度で行われるアニール(例えば、レーザー焼成が挙げられるがこれに限定されない)により生じる。しかしながら、別の実施形態において、複数のAl/Si粒子は相分離している。
【0023】
一実施形態において、導電層330は、およそ10〜30%の結合剤及びフリットと、残りの部分の複数のAl/Si粒子を含む、全組成物を有する。1つのこのような実施形態において、結合剤は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、又は両方から成り、フリットは複数のガラス粒子から成る。最初に適用されるとき、シード層(例えば、適用される際の層330)は更に、溶媒を含む。しかしながら、上記のように、シード層をアニールして、溶媒が除去され、最終的な構成において、本質的に結合剤、フリット、及び複数のAl/Si粒子が残される。
【0024】
一実施形態において、導電層330は、およそ100マイクロメートルよりも大きな厚さを有し、そこから製造される複数の導電性コンタクト328は、本質的に導電層330のみからなる太陽電池のバックコンタクトである。しかしながら、別の実施形態において、導電層330は、およそ2〜10マイクロメートルの厚さを有する。この実施形態において、図3Bに示されるように、導電性コンタクト328は、太陽電池のバックコンタクトであり、導電層330、導電層330上に配置された無電解めっきニッケル(Ni)層332、及びNi層上に配置された電気めっき銅(Cu)層334から成る。
【0025】
図1及び図2Bを再び参照し、かつ図3A及び3Bに関連して、一実施形態において、部分的に製造された太陽電池は、基板、基板内又はその上方に配置されるエミッタ領域、及びエミッタ領域のシリコン領域上に配置された(例えば、ポリシリコン層、又はシリコン基板上に配置された)導電性コンタクトを含む。1つのこのような実施形態において、導電性コンタクトは、シリコン領域と接触している導電層を含む。導電層は、導電層が導電層のアニール(例えば、レーザー焼成)中に、シリコン領域の有意な部分を消耗させることがないように、十分な量のSiを含む組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る。特定の実施形態において、Al/Si組成物の残りの部分はAlである。ある実施形態において、複数のAl/Si粒子は、およそ15%超、およそ25%未満のSiと、残りの部分のAlを備える組成を有する。
【0026】
導電層が、アニール中にシリコン領域の有意な部分を消耗することがないように、十分な量のSiを備える組成を有する複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る導電層の使用は、シリコン基板、又は基板の上方に形成されるポリシリコン層から形成されるエミッタ領域を有する構造に使用され得る。例えば、第1実施形態において、参照として図3Aを参照し、太陽電池は、基板上に配置されたトンネリング誘電層上に配置された多結晶シリコン領域から成るエミッタ領域を含む。導電層は、エミッタ領域の上方に配置された絶縁層のトレンチ内に配置され、多結晶シリコン領域と接触している。1つのこのような実施形態において、導電層が多結晶シリコン領域と接触する、多結晶シリコン領域にピット形成が殆ど又は全く存在しない。別の例において、第2実施形態において、参照として図3Bを参照し、太陽電池はバルク結晶シリコン基板から製造され、導電層は、基板表面の上方に配置された絶縁層のトレンチ内に配置される。1つのこのような実施形態において、導電層がバルク結晶シリコン基板と接触するバルク結晶シリコン基板にピット形成が殆ど又は全く存在しない。
【0027】
いくつかの材料が上記で具体的に記載されているが、いくつかの材料は、他のもので容易に代替することができ、他のこのような実施形態も、依然として本発明の実施形態の趣旨及び範囲の範囲内である。例えば、一実施形態において、III〜V族の材料基板など、異なる材料基板が、シリコン基板の代わりに使用されてもよい。別の実施形態において、複数の銀(Ag)粒子などが、複数のAl粒子の代わりに、又はこれに加えてシードペースト内に使用されてもよい。別の実施形態において、めっきした、又は同様に堆積させたコバルト(Co)、又はタングステン(W)が、上記のメッキしたNiの代わりに、又はこれに加えて使用され得る。
【0028】
更に、形成される複数のコンタクトは、図3Bに記載されたようにバルク基板上に直接形成される必要はない。例えば、一実施形態において、図3Aに記載されたように、上記に記載されるもののような複数の導電性コンタクトが、バルク基板の上方(例えば、裏面に)に形成された半導体領域上に形成される。一実施例として、図4A〜4Cは、本発明の実施形態により、複数の導電性コンタクトを有する太陽電池を作製する方法における様々な処理操作の断面図を例示する。
【0029】
図4Aを参照し、バックコンタクト型太陽電池のコンタクトの形成方法は、基板400上に薄い誘電層402を形成することを含む。
【0030】
一実施形態において、薄い誘電層402は、二酸化ケイ素から成り、およそ5〜50オングストロームの範囲の厚さを有する。一実施形態において、この薄い誘電層402は、トンネリング酸化膜として機能する。一実施形態において、基板400は、n型ドープ単結晶シリコン基板など、バルク単結晶基板である。しかしながら、別の実施形態において、基板400は、太陽電池基板全体の上に配置された多結晶シリコン層を含む。
【0031】
再び図4Aを参照し、n型ドープポリシリコン領域420と、p型ドープポリシリコン領域422との間にトレンチ416が形成される。また図4Aに示されるように、トレンチ416の一部が、粗面化特徴部418を有するように粗面化されてもよい。
【0032】
再び図4Aを参照し、誘電層424は、複数のn型ドープポリシリコン領域420、複数のp型ドープポリシリコン領域422、及びトレンチ416により露出した基板400の一部の上方に形成される。一実施形態において、誘電層424の下面は、複数のn型ドープしたポリシリコン領域420、複数のp型ドープポリシリコン領域422、及び基板400の露出部分と共形となるように形成され、一方で誘電層424の上面は、図4Aに示されるように実質的に平坦である。特定の実施形態では、誘電層424は、反射防止膜(ARC)層である。
【0033】
図4Bを参照し、複数のコンタクト開口部426が、誘電層424内に形成される。複数のコンタクト開口部426は、複数のn型ドープポリシリコン領域420、及び複数のp型ドープポリシリコン領域422への露出をもたらす。一実施形態において、複数のコンタクト開口部426がレーザーアブレーションによって形成される。一実施形態において、図4Bに示されるように、n型ドープポリシリコン領域420に達するコンタクト開口部426は、p型ドープポリシリコン領域422に達するコンタクト開口部と実質的に同じ高さを有する。
【0034】
図4Cを参照し、バックコンタクト型太陽電池のコンタクトの形成方法は更に、複数のコンタクト開口部426内にあり、複数のn型ドープポリシリコン領域420に連結され、複数のp型ドープポリシリコン領域422に連結された、導電性コンタクト428を形成することを含む。一実施形態において、複数の導電性コンタクト428は、金属から成り、堆積(この堆積は以下でより詳細に記載される)、リソグラフ、及びエッチ手法によって形成される。
【0035】
したがって、一実施形態において、複数の導電性コンタクト428は、バルクN型シリコン基板400の受光表面401と反対側の、バルクN型シリコン基板400の表面上、又は表面の上方に形成される。図4Cに示されるように、特定の実施形態において、複数の導電性コンタクトは、基板400の表面の上方の領域(422/420)上に形成される。形成することには、導電層のアニール中に導電層がシリコン領域の有意な部分を消耗させないように、十分な量のSiを備える組成を有する複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子からなる導電層を形成することを含み得る。特定の実施形態において、Al/Si組成物の残りの部分はAlである。ある実施形態において、複数のAl/Si粒子は、およそ15%超、およそ25%未満のSiと、残りの部分のAlを備える組成を有する。複数の導電性コンタクトを形成することは更に、導電層上に無電解めっきニッケル(Ni)層を形成することを含み得る。加えて、銅(Cu)層は、Ni層上に電気めっきにより形成され得る。
【0036】
一実施形態において、導電層を形成することは、バルクN型シリコン基板、又はそのような基板の上方に形成されたポリシリコン層にペーストを印刷することを含む。ペーストは、溶媒、及び複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)合金粒子から成る場合がある。印刷することは、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷が挙げられるがこれらに限定されない技術を使用することを含む。加えて、本明細書において記載される1つ以上の実施形態は、無電解めっきNiを内部に組み込むことにより、シリコン基板上に形成された印刷したAlシードの接触抵抗を低減するためのアプローチ、及びそれにより生じる構造を対象としている。より具体的に1つ以上の実施形態が、Alペーストシード層から始まる接触形成を対象としている。ペーストのAlと、その下のシリコン基板との間に接触を形成するために、シード印刷の後にアニールが行われる。次に、Alペーストの上に無電解めっきを行うことにより、Niが堆積される。ペーストは多孔性構造であるため、Niは、複数のAl粒子の上方だけではなく、その外側上にも形成され、少なくとも空隙の一部を満たす。Niは、より多くのNiがAlの上部に形成することができる(Siから離れる)という意味で、等級分けすることができる。それでも、複数のAl粒子の外側の上のNiは、最終的にそこに形成される接触部の接触抵抗を低減するために使用することができる。特に、Alペーストの厚さが全体的に減少すると、Alとシリコンの境界面においてより多くのNiを堆積させることができる。シード印刷の後ではなく、Ni無電解めっきの後にアニールが行われるとき、Ni−Si境界面において、NiSi接触部が形成され得る。更に、複数のAl粒子の空隙、又は孔の中に存在するNiを有することにより、Al−Si境界面にAl−Si接触部が形成され得る。従来の手法と比較して、形成される複数の接触部は、コンタクト構造形成における所与の領域内で、実際の金属のシリコンに対する接触部のより大きな表面積を有し得る。結果として、接触抵抗は、従来のコンタクトと比較してより低くなる場合がある。
【0037】
したがって、太陽電池導電性コンタクトのシード層、及び太陽電池導電性コンタクトのシード層の形成方法が開示された。本発明の実施形態により、太陽電池は基板を含む。基板上にエミッタ領域が配置される。導電性コンタクトはエミッタ領域上に配置され、エミッタ領域と接触する導電層を含む。導電層は、およそ15%超のSiとその残りのAl、という組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る。一実施形態において、複数のAl/Si粒子は、およそ25%未満のSiと、残りの部分のAlという組成を有する。本発明の別の実施形態により、太陽電池は、基板の表面、又は表面の付近に拡散領域を有する基板を含む。導電性コンタクトは拡散領域の上方に配置され、基板と接触する導電層を含む。導電層は、およそ15%超のSiとその残りのAl、という組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子から成る。一実施形態において、複数のAl/Si粒子は、およそ25%未満のSiと、残りの部分のAlという組成を有する。
[項目1]
太陽電池であって、
基板と、
前記基板の上方に配置されるエミッタ領域と、
前記エミッタ領域上に配置され、前記エミッタ領域と接触する導電層を含む、導電性コンタクトであって、前記導電層は、およそ15%超のSiと残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子を含む、導電性コンタクトと、
を備える、太陽電池。
[項目2]
前記複数のAl/Si粒子は、およそ25%未満のSiと残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する、項目1に記載の太陽電池。
[項目3]
前記複数のAl/Si粒子は微結晶性である、項目1に記載の太陽電池。
[項目4]
前記導電層は、およそ10〜30%の結合剤及びフリットと、残りの部分の前記複数のAl/Si粒子から本質的に成る組成を有する、項目1に記載の太陽電池。
[項目5]
前記結合剤は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、又は両方を含み、前記フリットは複数のガラス粒子を含む、項目4に記載の太陽電池。
[項目6]
前記導電層は、およそ100マイクロメートル超の厚さを有し、前記導電性コンタクトは、前記導電層から本質的に成る前記太陽電池のバックコンタクトである、項目1に記載の太陽電池。
[項目7]
前記導電層はおよそ2〜10マイクロメートルの厚さを有し、前記導電性コンタクトは、前記導電層、前記導電層上に配置された無電解めっきニッケル(Ni)層、及び前記Ni層上に配置された電気めっき銅(Cu)層を含む、前記太陽電池のバックコンタクトである、項目1に記載の太陽電池。
[項目8]
前記複数のAl/Si粒子の前記結晶性は、およそ550〜580℃の範囲の温度で行われるアニールにより生じる、項目3に記載の太陽電池。
[項目9]
前記エミッタ領域は、前記基板上に配置されたトンネリング誘電層上に配置された多結晶シリコン領域を含み、前記導電層は、前記エミッタ領域の上方に配置された絶縁層のトレンチ内に配置され、かつ前記多結晶シリコン領域と接触しており、前記導電層が前記多結晶シリコン領域と接触する前記多結晶シリコン領域にはピットの形成が殆ど、又は全く認められない、項目1に記載の太陽電池。
[項目10]
太陽電池であって、
基板であって、前記基板の表面に又は前記表面の付近に拡散領域を有する基板と、
前記拡散領域の上方に配置され、前記基板と接触する導電層を含む、導電性コンタクトであって、前記導電層はおよそ15%超のSiと、残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子を含む、導電性コンタクトと、
を備える、太陽電池。
[項目11]
前記複数のAl/Si粒子は、およそ25%未満のSiと残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する、項目10に記載の太陽電池。
[項目12]
前記複数のAl/Si粒子は微結晶性である、項目10に記載の太陽電池。
[項目13]
前記導電層は、およそ10〜30%の結合剤及びフリットと、残りの部分の前記複数のAl/Si粒子から本質的に成る組成を有する、項目10に記載の太陽電池。
[項目14]
前記結合剤は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、又は両方を含み、前記フリットは複数のガラス粒子を含む、項目13に記載の太陽電池。
[項目15]
前記導電層は、およそ100マイクロメートル超の厚さを有し、前記導電性コンタクトは、前記導電層から本質的に成る前記太陽電池のバックコンタクトである、項目10に記載の太陽電池。
[項目16]
前記導電層はおよそ2〜10マイクロメートルの厚さを有し、前記導電性コンタクトは、前記導電層、前記導電層上に配置された無電解めっきニッケル(Ni)層、及び前記Ni層上に配置された電気めっき銅(Cu)層を含む、前記太陽電池のバックコンタクトである、項目10に記載の太陽電池。
[項目17]
前記複数のAl/Si粒子の前記結晶性は、およそ550〜580℃の範囲の温度で行われるアニールから生じる、項目12に記載の太陽電池。
[項目18]
前記基板はバルク結晶シリコン基板であり、前記導電層は前記基板の前記表面の上方に配置された絶縁層のトレンチ内に配置され、前記導電層が前記バルク結晶シリコン基板と接触する前記バルク結晶シリコン基板にはピットの形成が殆ど、又は全く認められない、項目10に記載の太陽電池。
[項目19]
部分的に製造された太陽電池であって、
基板と、
前記基板内、又は前記基板の上方に配置されたエミッタ領域と、
前記エミッタ領域のシリコン領域上に配置され、前記シリコン領域と接触する導電層を含む導電性コンタクトであって、前記導電層は、前記導電層が前記導電層のアニール中に前記シリコン領域の有意な部分を消耗することがないように、十分な量のSiと、残りの部分のAlから成る組成を有する、複数のアルミニウム/シリコン(Al/Si)粒子を含む、導電性コンタクトと、
を含む、部分的に作製された太陽電池。
[項目20]
前記複数のAl/Si粒子は、およそ15%超、およそ25%未満のSiと、残りの部分のAlから本質的に成る組成を有する、項目19に記載の太陽電池。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C