(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0014】
図1は本発明の一実施形態によるコイル電子部品のコイルとリード、柱状コア及び外部端子が表されるように図示した概略斜視図であり、
図2は、
図1に示す素子構造をI−I'線に沿って切って見た場合の断面図である。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル電子部品は、リード21を有する巻線型コイル部20が内部に配置された本体10と、上記リード21を介して上記巻線型コイル部20と接続され、本体10の外側に配置される外部端子31、32と、を含む。
【0016】
上記本体10は、実装面として提供される下面とこれに対応する上面、長さ方向における両端面、及び幅方向における両端面を備えることができる。
【0017】
上記本体10の形状は、特に制限されない。例えば、六面体形状であってもよく、この際、上記六面体の方向は、
図1に表されているXが長さ方向、Yが幅方向、Zが厚さ方向を示すことができる。
【0018】
本体10は、内部に柱状コア部60を含むことができる。上記柱状コア部60は、上記巻線型コイル部20の内側に挿入された構造であってもよい。
【0019】
上記柱状コア部60は、磁性金属からなる柱状であってもよく、円形或いは楕円形の断面を有する柱状であってもよい。
【0020】
上記柱状コア部60は、磁性金属粉末を高い圧力で加圧して形成されることができる。
【0021】
一般的なコイル電子部品において、コア部は、貫通孔を有するコイル部上に複数の磁性体シートを積層及び加圧して形成することから、磁性体を貫通孔内に充填して形成するため、磁性金属及び高分子樹脂などを含む。
【0022】
すなわち、従来のコイル電子部品のコア部は、磁性金属及び高分子樹脂並びに硬化剤を含む磁性体シートを加圧して形成されるため、磁性金属の密度が低く、コイル電子部品の透磁率を高めるには限界があった。
【0023】
本発明の一実施形態によると、上記柱状コア部60は、磁性金属のみからなり、高圧で成形されることから、密度及び透磁率が高く、少ない巻線ターン数でも高いインダクタンスを得ることができる。
【0024】
また、少ない巻線ターン数でも高いインダクタンスを得ることができることから、直流抵抗(Rdc)も低減することができる。
【0025】
一方、本発明の一実施形態によると、巻線型構造を有する巻線型コイル部20と磁性金属及び樹脂を含む本体10と、磁性金属のみからなる柱状コア部60と、を含むコイル電子部品を提供する。
【0026】
上記柱状コア部60は、上記巻線型コイル部20の外側部(すなわち、上記本体10内においてコイル部20の外側に配置された領域)に比べて透磁率が高い。
【0027】
また、上記柱状コア部60は、磁性金属のみからなり、且つ高分子樹脂及び硬化剤を含まない一方で、上記本体10内において上記コイル部20の外側に配置された領域が磁性金属及び樹脂を含むことから、上記コイル部20の外側部に比べて磁性金属密度が高い。
【0028】
つまり、上記柱状コア部60は、上記巻線型コイル部20の外側部に比べて磁性金属密度が高いことから、上記巻線型コイル部20の外側部に比べて透磁率が高い。
【0029】
また、上記柱状コア部60の上端及び下端は、上記本体10内において磁性金属密度が低い領域と接することができる。
【0030】
上記本体10内において、上記巻線型コイル部20の内側には柱状コア部60が挿入されており、上記巻線型コイル部20と柱状コア部60の上面及び下面には、磁性体シートが積層された磁性体領域が配置される。
【0031】
上記巻線型コイル部20と柱状コア部60の上面及び下面には、磁性金属及び樹脂を含む磁性体シートが積層されて磁性体領域が形成される。
【0032】
それにより、磁性金属のみからなる上記柱状コア部60の上端及び下端は、上記本体10内において磁性金属及び樹脂を含む磁性体領域と接するようになる。
【0033】
つまり、上記柱状コア部60の上端及び下端は、上記本体10内において磁性金属密度が低い領域と接するようになる。
【0034】
また、上記柱状コア部60は、上記本体10内において上記柱状コア部60の上端及び下端と接する領域に比べて透磁率が高い。
【0035】
すなわち、上記柱状コア部60は、磁性金属のみからなり、且つ高分子樹脂及び硬化剤を含まない一方で、上記本体10内において上記柱状コア部60の上端及び下端と接する領域が磁性金属及び樹脂を含むことから、上記柱状コア部60の上端及び下端と接する領域に比べて磁性金属密度が高い。
【0036】
上記柱状コア部60の磁性金属密度が、上記本体10内において上記柱状コア部60の上端及び下端と接する領域の磁性金属密度に比べて高いことから、上記柱状コア部60の上端及び下端と接する領域に比べて透磁率も高い。
【0037】
上記巻線型コイル部20の外側部の磁性金属密度は、上記柱状コア部60の磁性金属密度に対して70%以下であってもよい。
【0038】
上記巻線型コイル部20の外側部の磁性金属密度が、上記柱状コア部60の磁性金属密度に対して70%以下になるように調節することで、上記柱状コア部60の透磁率が上記巻線型コイル部20の外側部より高くなり、少ない巻線ターン数でも高いインダクタンスを得ることができる。
【0039】
また、少ない巻線ターン数でも高いインダクタンスを得ることができることから、直流抵抗(Rdc)も低減することができる。
【0040】
上記巻線型コイル部20の外側部の磁性金属密度が上記柱状コア部60の磁性金属密度に対して70%を超える場合には、上記柱状コア部60の磁性金属密度と、上記巻線型コイル部20の外側部の磁性金属密度との間に差がないためインダクタンスの上昇効果が少なく、直流抵抗(Rdc)の低減効果も少ない。
【0041】
一方、上記巻線型コイル部20に電流が印加されると、上記柱状コア部60に巻線型コイル部20から誘導される磁束が通過する経路(磁路、magnetic path)を形成することができる。
【0042】
上記本体10は、磁性金属粒子、及び上記磁性金属粒子との間に含まれる絶縁材料からなることができる。この際、上記磁性金属粒子は、電気抵抗が高く、磁力損失が少なく、組成の変化によりインピーダンスが変わりやすいFe−Cr−Si合金又はFe−Si−Al合金などの粒子であってもよい。また、熱硬化性絶縁材料としては、エポキシ樹脂や、フェノール樹脂、ポリエステルなどを用いることができる。
【0043】
上記巻線型コイル部20は、所定の巻線数で巻線される螺旋部と、リード21と、を有する。上記リード21は、上記巻線型コイル部20の両端から引き出され、上記本体10の一面に露出し、露出した露出部を有する。
【0044】
より具体的に、上記リード21は、上記本体10の幅方向の側面に露出し、露出した露出部は、後の折り曲げ工程により外部端子31、32となる。
【0045】
上記巻線型コイル部20は、銅(Cu)又は銀(Ag)などからなる金属線からなることができる。
【0046】
上記巻線型コイル部20は、平角線エッジワイズ(Edge−wise)の形態であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0047】
また、上記巻線型コイル部20は、単線に限定されず、連線や2個以上の線からなるコイルを備えてもよい。また、上記巻線型コイル部20の金属線は、円形の断面形状を有するものに限定されず、四角形の断面形状を有してもよい。
【0048】
一実施例としては、フラットワイヤーコイル(flat wire coil)の形態が挙げられ、α巻きで巻線されることができる。
【0049】
図2を参照すると、上記本体10内において巻線型コイル部20の周りの領域は磁性材料で満たされ、巻線型コイル部20の両終端のそれぞれは外部端子31、32と接続される。
【0050】
図2に図示されているように、上記巻線型コイル部20は、上記本体10の中央に位置してもよく、設計上又は製造工程上の必要に応じて、上記本体10の上端又は下端に位置してもよい。
【0051】
上記外部端子31、32は、上記本体10の幅方向の側面から本体10の下面方向に折り曲げられた側面部31a、32aと、下面方向に折り曲げられた下面部31b、32bと、を有する。
【0052】
上記外部端子31、32は、上記下面方向に折り曲げられた下面部31b、32bから本体10の幅方向の他側面に延在して形成されることができる。
【0053】
上記外部端子31、32は、Ag、Ag−Pd、Ni、Cuなどの金属を含むことができ、上記外部端子31、32の表面には、選択的に、Niめっき層及びSnめっき層が形成されてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態によると、上記巻線型コイル部20は、上記本体10の下面に、水平に巻線されることができる。
【0055】
図3a〜
図3jは本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の製造工程図である。
【0056】
図3a〜
図3jを参照すると、本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の製造方法は、複数の磁性体シートを層別に打ち抜き、打ち抜かれた磁性体シートを積層して、溝が形成されている複数のブロックを製造する段階と、巻線型コイルを設ける段階と、磁性金属で柱状コアを製造する段階と、上記複数のブロックのうち第1ブロックに形成された溝に上記柱状コアを挿入する段階と、上記複数のブロックのうち貫通孔が形成された第2ブロックを上記第1ブロック上に積層し、且つ上記柱状コアが上記貫通孔を貫通して配置されるようにする段階と、上記柱状コアに上記巻線型コイルを載置する段階と、上記巻線型コイルが載置された第2ブロック上に、上記複数のブロックのうち第3ブロックの溝に上記柱状コアが位置するように第3ブロックを積層して積層体を製造する段階と、を含む。
【0057】
以下では、本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0058】
1.複数の磁性体シートを層別に打ち抜く段階
図3aを参照すると、複数の磁性体シート11を積層する前に、各磁性体シート11を層別に打ち抜く(punching)。
【0059】
上記複数の磁性体シート11は、金属磁性粉末と、熱硬化性樹脂、バインダー及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法でキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布した後、乾燥し、シート(sheet)状に製造することができる。
【0060】
上記磁性体シート11は、上記金属磁性粉末が、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散した形態に製造される。
【0061】
上記金属磁性粉末は、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されるいずれか一つ以上を含む金属又は合金からなることができ、結晶質又は非晶質金属であってもよい。
【0062】
例えば、上記金属磁性粉末は、Fe−Si−Cr系非晶質金属であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0063】
各磁性体シート11を層別に打ち抜く工程は、後続する工程において用いられる溝を形成するために行われる工程であり、具体的には、柱状コアを挿入するための溝と、巻線型コイルを載置(loading)し、巻線型コイルのリードを本体10の外側に露出させるための溝と、が形成される。
【0064】
2.打ち抜かれた磁性体シートを積層して、溝が形成されている複数のブロックを製造する段階
図3bを参照すると、打ち抜かれた磁性体シートを積層して、溝が形成されている複数のブロックB1、B2、B3を製造する。
【0065】
複数のブロックのうち第1ブロックB1は、磁性体シート11のうち下部磁性体シート11を積層して製作し、後述する柱状コアが挿入される溝が形成されている。
【0066】
複数のブロックのうち第2ブロックB2は、磁性体シート11のうち中間磁性体シート11を積層して製作し、上記第1ブロックB1の溝に柱状コアを挿入した後、その上部に積層されるブロックである。上記第2ブロックB2には、厚さ方向の中央部にメタルフレーム41が挿入されることができる。
【0067】
複数のブロックのうち第3ブロックB3は、磁性体シート11のうち上部磁性体シート11を積層して製作し、上記第2ブロックB2の上部に積層されるブロックである。
【0068】
本段階は、低圧状態で積層して複数のブロックを製作する段階であり、上記複数のブロックは仮積層状態である。
【0069】
3.巻線型コイルを設ける段階
図3cを参照すると、巻線型コイル部20を設ける段階が行われる。
【0070】
上記巻線型コイル部20は、巻線工法で形成された巻線コイル(winding coil)であってもよい。
【0071】
上記巻線型コイル部20は、銅(Cu)又は銀(Ag)などからなる金属線からなることができる。
【0072】
上記巻線型コイル部20は、平角線エッジワイズ(Edge−wise)の形態であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0073】
また、上記巻線型コイル部20は、単線に限定されず、連線や2個以上の線からなってもよい。また、上記巻線型コイル部20の金属線は、円形の断面形状を有するものに限定されず、四角形の断面形状を有してもよい。
【0074】
4.磁性金属で柱状コアを製造する段階
図3dを参照すると、磁性金属で柱状コア部60を製造する段階が行われる。
【0075】
上記柱状コア部60は、磁性金属からなる柱状であってもよく、円形或いは楕円形の断面を有する柱状であってもよい。
【0076】
上記柱状コア部60は、磁性金属粉末を高い圧力で加圧して形成されることができる。
【0077】
一般的なコイル電子部品において、コア部は、貫通孔を有するコイル部上に磁性体シートを積層及び加圧することから、磁性体を貫通孔内に充填して形成するため、磁性金属及び高分子樹脂などを含む。
【0078】
すなわち、従来のコイル電子部品のコア部は、磁性金属及び高分子樹脂並びに硬化剤を含む磁性体シートを複数積層した上で加圧して形成されるため、磁性金属の密度が低く、コイル電子部品の透磁率を高めるには限界があった。
【0079】
本発明の一実施形態によると、上記柱状コア部60は、磁性金属のみからなり、高圧で成形されることから、密度及び透磁率が高く、少ない巻線ターン数でも高いインダクタンスを得ることができる。
【0080】
また、少ない巻線ターン数でも高いインダクタンスを得ることができるため、直流抵抗(Rdc)も低減することができる。
【0081】
5.上記複数のブロックのうち第1ブロックに形成された溝に上記柱状コアを挿入する段階
図3eを参照すると、複数のブロックのうち第1ブロックB1は、磁性体シート11のうち下部磁性体シート11を積層して製作し、柱状コア部60が挿入される溝が形成されている。
【0082】
上記複数のブロックのうち第1ブロックB1に形成された溝に柱状コア部60を挿入する。
【0083】
6.上記複数のブロックのうち貫通孔が形成された第2ブロックを上記第1ブロック上に積層し、且つ上記柱状コアが上記貫通孔を貫通して配置されるようにする段階
図3fを参照すると、複数のブロックのうち第2ブロックB2は、磁性体シート11のうち中間磁性体シート11を積層して製作する。上記第2ブロックB2は、貫通孔が形成された構造であり、厚さ方向の中央部にメタルフレーム41が挿入されている。
【0084】
上記第2ブロックB2を上記柱状コア部60が挿入された第1ブロックB1上に積層し、且つ上記柱状コア部60が上記貫通孔を貫通して配置されるようにする。
【0085】
7.上記柱状コアに上記巻線型コイルを載置する段階
図3gを参照すると、上記柱状コア部60に上記巻線型コイル部20を載置する。
【0086】
上記巻線型コイル部20は、上記第2ブロックB2の貫通孔の位置に載置され、コイルのリードは、第1ブロックB1に形成された貫通孔を介して外部に露出する。
【0087】
8.上記巻線型コイルが載置された第2ブロック上に、上記複数のブロックのうち第3ブロックの溝に上記柱状コアが位置するように第3ブロックを積層して積層体を製造する段階
【0088】
図3hを参照すると、上記巻線型コイル部20が載置された第2ブロックB2上に、上記複数のブロックのうち第3ブロックB3の溝に上記柱状コア部60が位置するように第3ブロックB3を積層して積層体を製造する。
【0089】
複数のブロックのうち第3ブロックB3は、磁性体シート11のうち上部磁性体シート11を積層して製作する。
【0090】
9.上記積層体を加圧して本体を形成する段階
図3iを参照すると、上記積層体を加圧して本体10を形成する。
【0091】
上記積層体を加圧する工程は、上記積層体の上部と下部に鉄板50を配置して行われる。
【0092】
10.上記本体の外側に外部端子を形成する段階
図3jを参照すると、上記鉄板50を除去し、180℃の温度で1時間ほど硬化して、硬化された本体10を製作する。
【0093】
上記本体10の幅方向の側面には巻線型コイル部20のリードに該当する部分が露出し、上記露出した部分を折り曲げて、本体10の外側に外部端子を形成する。
【0094】
上記巻線型コイル部20はリードを有し、上記リードは、上記コイルの両端から上記積層体の一面に露出し、露出した露出部を含む。
【0095】
上記外部端子は、上記本体10の幅方向の側面から本体10の下面方向に折り曲げられた側面部と、下面方向に折り曲げられた下面部と、を有する。
【0096】
上記外部端子は、上記下面方向に折り曲げられた下面部から本体10の幅方向の他側面に延在して形成されることができる。
【0097】
すなわち、巻線型コイル部20のリードのうち露出した部分を上記本体10の幅方向の側面から下面方向に折り曲げ、下面方向に折り曲げて外部端子を形成する。
【0098】
上記本体10の下面は、基板に実装するときに基板の実装面となり得る。
【0099】
最後に、測定工程とテーピング(Taping)工程がさらに行われてもよい。
【0100】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。