(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
1.ワインを顧客に提供するための新しいサービス
出願人は、ワインを顧客に提供するための新しいサービスを創出することを提案する。この新しいサービスは、卸業者がワインを販売者の店舗に預け置き、かつ、その預け置かれたワインが顧客に提供されるときに卸業者がそのワインの代金を販売者に課すことにより、販売者の店舗(例えば、飲食店)においてワインを適正価格(“フェアバリュー”)で顧客に提供することを可能にするものである。
【0025】
また、この新しいサービスは、ワインは適切に保管しさえすれば時間の経過につれてその価値が下がるどころかむしろその価値が上がるというワインに特有の性質を利用したものである。一般に、未開封のワインには賞味期限は設定されていない。これは、ワインは、適切な環境下で保管されることを条件として時間の経過につれて熟成が進むからである。
【0026】
ワインを顧客に提供するための新しいサービスは、「販売者の店舗向けサービス」と「消費者向けサービス」と「ネットワーク上のサービス」とを含む。以下、これらの新しいサービスを詳細に説明する。
【0027】
図1Aは、「販売者の店舗向けサービス」として提供される新しいサービスのフローの一例を示す。
【0028】
ステップS101:卸業者は、卸業者が所有するワインを販売者の店舗(例えば、レストランなどの飲食店、小売店など)のワイン保管設備に預け置く。
【0029】
ステップS102:販売者は、ワイン保管設備に保管されているワインを顧客に提供する。
【0030】
このように、卸業者が、自分自身が所有するワインを販売者の店舗のワイン保管設備に預け置き、販売者が、ワイン保管設備に保管されているワインを顧客に提供することによって、ワインを顧客に提供することが可能である。
【0031】
本明細書では、「預け置く」とは、請求をしていない状態で置くという意味である。これは、「預け置く」ワインの所有権が卸業者から販売者に移転しているか移転していないかを問わない。例えば、ワインの所有権を卸業者が有する場合において、そのワインを販売者の店舗のワイン保管設備に置くことは、「ワインをワイン保管設備に預け置く」ことの一例である。あるいは、ワインの所有権が卸業者から販売者に移転した場合において、卸業者が販売者に対して請求を猶予している状態で、そのワインを販売者の店舗のワイン保管設備に置くこともまた、「ワインをワイン保管設備に預け置く」ことの一例である。ワインの所有権が卸業者から販売者に移転した一例では、ワインの代金の請求猶予は、ワインが顧客に提供された時点(例えば、販売者の店舗においてワインが抜栓された時点)で解除される。卸業者がワインをワイン保管設備に預け置いた時点では、ワインの代金の請求はなされない。ワイン保管設備に預け置かれたワインは、実質的に「卸業者の在庫」としてワイン保管設備に保管されることになる。なぜなら、後述するように、ワインが顧客に提供されない限り、ワインの代金の請求は発生しないからである。
【0032】
なお、ワイン保管設備にワインを預け置くために必要な業務(例えば、ワインの選定・発注・仕入れ、お客様提供価格の決定などの業務)はすべて卸業者の責任で卸業者によって行われる。これにより、販売者は、ワインの選定・発注・仕入れ、お客様提供価格の決定などの業務から解放される。販売者の店舗においてワインが販売された場合には、その販売者の取り分として販売手数料が入る。販売手数料は、例えば、ワイン一本あたりいくらの定額制であってもよいし変動制であってもよい。販売手数料は、例えば、卸業者と販売者との交渉によって決定されるがこれに限定されない。
【0033】
さらに、ワイン保管設備に預け置かれているワインは、「販売者の在庫」としてではなく、「卸業者の在庫」として取り扱われる。従って、販売者は、ワイン保管設備の管理を適切に行っている限り、ワインの在庫リスクを負うことはない。ここで、ワイン保管設備の管理とは、例えば、ワイン保管設備内の温度または湿度を所定の範囲内に保つことをいうがこれに限定されない。
【0034】
卸業者は、ワイン保管設備に預け置かれているワインを回収することが可能である。例えば、卸業者は、預け置きの時点から所定の期間が経過しているにもかかわらず依然としてワイン保管設備に預け置かれているワインがある場合には、そのワインを回収するようにしてもよい。販売者は、ワイン保管設備の管理を適切に行っている限り、ワインの在庫リスクを負うことはない。さらに、ワインの回収時にはワインはまだ販売されていないため、卸業者は、販売者に手間を取らせることなく、ワインを回収することが可能である。
【0035】
卸業者がワイン保管設備に預け置かれているワインを回収したとしても、販売店がワイン保管設備の管理を適切に行っている限り、卸業者がワインの回収で損失を被ることはない。なぜなら、卸業者は、ワインの回収後、そのワインをさらに熟成させることによってそのワインの価値を高めることが可能であるし、これまでワインが預け置かれていた店舗のワイン保管設備とは異なる他の店舗のワイン保管設備に回収されたワインを移動させることによって、そのワインの販売チャンスを増大させることが可能であるからである。従って、卸業者は、ワインを顧客に提供する際の価格(お客様提供価格)を従来のように高く設定する必要がない。むしろ、卸業者は、傘下の販売者の店舗の数を増大させることにより、ワインを顧客に提供する際の価格(お客様提供価格)を高く設定することなく、利益を増大させることが可能である。
【0036】
また、ワイン保管設備内のワインの在庫を管理するためのサービスが、「販売者の店舗向けサービス」の1つとして、インターネットなどのネットワークまたはアプリケーションプログラムを介して、販売者に提供されてもよい。ワイン保管設備内のワインの在庫を管理するためのサービスが、例えば、スマートフォンなどのユーザ装置にインストールされたアプリケーションプログラムによって提供される場合、販売者は、ユーザ装置を用いてそのアプリケーションプログラムを起動すると、ワインの現在の在庫状況やワインの販売価格を確認することができる。例えば、ワインが顧客に提供されたり、ワインが回収されたり、ワインが補充されたりすると、ワインの現在の在庫状況が更新され、例えば、所定の期間が経過すると、ワインの販売価格が更新される。
【0037】
ステップS103:販売者は、ステップS102において顧客に提供されたワインに関する情報を卸業者に提供する。ワインに関する情報を卸業者に提供するタイミングは、ワインが顧客に提供された直後であることが好ましいがこれに限定されない。ワインに関する情報を卸業者に提供するタイミングは、例えば、所定の時刻を経過したときであってもよいし、その日の業務が終了した直後であってもよい。ワインに関する情報は、いくつかまとめて卸業者に提供されることが好ましい。
【0038】
卸業者は、ステップS103において販売者によって提供されたワインに関する情報に基づいて、ワインの代金を販売者に課す。本明細書では、「ワインの代金を販売者に課す」とは、ワインの代金を販売者に請求するために請求の準備をすることを含み、必ずしも、ワインの代金を販売者に請求する請求書を発行することを必要としない。
【0039】
ステップS104:卸業者は、ワインの代金を販売者に請求する。ワインの代金を販売者に請求するタイミングは、例えば、毎月末、毎週末などの所定のタイミングであるがこれに限定されない。ワインの代金を販売者に請求するタイミングは、任意のタイミングでよい。例えば、ワインの代金を販売者に請求するタイミングは、ワインに関する情報が卸業者に提供された直後であってもよい。このような請求タイミングは、例えば、ワインの代金が高額である場合などに有用である。
【0040】
なお、本明細書では、「ワインが顧客に提供されるとき」とは、ワインが顧客に将来的に提供されるときに加えて、ワインが顧客に既に提供されたときも含むものと定義する。例えば、「ワインが顧客に提供されるとき」は、「ワインが注文されたとき」、「ワインがワイン保管設備から取り出されたとき」、「ワインが抜栓されたとき」、「ワインの会計がされたとき」を含む。
【0041】
図1Bは、「消費者向けサービス」として提供される新しいサービスの一例として、販売者の店舗において顧客に提供されるワインリスト110の一例を示す。なお、ワインリスト110に掲載されるワイン情報は、ワイン保管設備内に保管されているワインに基づく。
【0042】
ワインリスト110は、ワインの銘柄が記載される銘柄領域111と、ワインの提供価格が記載される提供価格領域112と、ワインの参考価格が記載される参考価格領域113とを含む。ワインリスト110に記載されたワインの特記事項(例えば、現在が飲み頃であること、現在リーズナブルな価格で提供されていること、現在が飲み頃でありかつ現在リーズナブルな価格で提供されていること)を説明する記号114がワインリスト110にさらに記載されていてもよい。
図1Bに示される例では、ワインリスト110には、スパークリングワインAの提供価格「〇〇円」、スパークリングワインAの参考価格「●●円」、赤ワインBの提供価格「△△円」、赤ワインBの参考価格「▲▲円」、白ワインCの提供価格「□□円」、白ワインCの参考価格「■■円」、白ワインDの提供価格「◇◇円」、白ワインDの参考価格「◆◆円」がそれぞれ記載されている。ここで、〇、●、△、▲、□、■、◇、◆には、数字が当てはまる。
図1Bに示されるように、ワインの提供価格と、ワインの参考価格とが併記されていてもよい。提供価格領域112に記載されるワインの提供価格は、上述したように、卸業者によって決定される。参考価格領域113に記載されるワインの参考価格は、例えば、インターネット上に掲載されている複数の価格のうちの1つ、インターネット上に掲載されている複数の価格の最大値、インターネット上に掲載されている複数の価格の最小値、インターネット上に掲載されている複数の価格の平均値であるが、これらに限定されない。
【0043】
ワインリスト110は、卸業者が販売者に提供するものであり、販売者の店舗において顧客に提示される。ワインリスト110は、例えば、ステップ101において卸業者が販売者にワインを預け置くと同時に、卸業者から販売者に提供される。卸業者が、
図1Aに示されるサービスにおいて、預け置かれるワインの銘柄を決定し、そのワインを品揃え、そのワインの提供価格を決定し、そのワインを販売者に預けるからこそ、卸業者は、このようなワインリスト110を販売者、ひいては顧客に提供することが可能である。また、ワインリスト110の提示の態様は、任意である。紙に印刷されたワインリスト110を顧客に提示してもよいし、店舗が所有する装置(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末)にワインリスト110を表示させてもよいし、顧客が所有するユーザ装置(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末)にワインリスト110を表示させてもよい。
【0044】
図1Cは、「ネットワーク上のサービス」として提供される新しいサービスのフローの一例を示す。
【0045】
ステップS121:卸業者は、ワインに関する情報(例えば、ワインの銘柄、お客様提供価格、参考価格、特記事項)と、そのワインを提供することが可能な店舗の情報(例えば、店舗の店名、住所、営業日(休業日)・営業時間、アクセス方法)とをウェブサイトに掲載する。例えば、ウェブサイトに掲載される参考価格は、1つの価格検索サイトに掲載された同じ銘柄のワインの価格と同一の価格、複数の価格検索サイトに掲載された同じ銘柄のワインの価格のうちの最大価格、複数の価格検索サイトに掲載された同じ銘柄のワインの価格のうちの最小価格、複数の価格検索サイトに掲載された同じ銘柄のワインの価格のうちの平均価格であるが、これらに限定されない。顧客のワイン選びを支援するためにヴィンテージチャート、生産者の格付け情報、ワインの飲み頃の考察情報などをウェブサイトにさらに掲載するようにしてもよい。このウェブサイトは、(例えば、ワインの銘柄を入力することによって)顧客が所望するワインを検索することが可能なように構成されている。このウェブサイトに掲載されているワイン情報は、卸業者によって販売者の店舗のワイン保管設備(例えば、ワインセラー)に預け置かれているワインに基づく。
【0046】
ステップS122:顧客は、ユーザ装置を用いて、ウェブサイトに掲載されているワインに関する情報および店舗に関する情報にアクセスする。なお、このウェブサイトに入るためにユーザIDおよびパスワードを予め登録することを必要とし、ユーザIDおよびパスワードを用いてワインに関する情報および店舗に関する情報にアクセスすることを許可するようにしてもよい。顧客は、ワインに関する情報および店舗に関する情報にアクセスすることによって、自分が飲みたいワインが提供されている店舗を特定することが可能である。
【0047】
ステップS123:顧客は、特定された店舗を実際に訪問する。
【0048】
ワインを顧客に提供するための新しいサービスは、「ネットワーク上のサービス」として、
図1Cに示されるサービスの他に、手持ちのワインを販売したいユーザAと、ワインを購入したいユーザBとをマッチングするサービスを含んでいてもよい。このマッチングサービスは、手持ちのワインを販売したいユーザAがマーケットにワインを出品し、ワインを購入したいユーザBがその出品されたワインを落札(購入)するという仕組みを有する。ユーザAがワインを出品する際には、ワインの査定(ランク付け)がワインに付与される。ユーザBは、このワインの査定(ランク付け)を参考にしてワインを落札(購入)することが可能である。
【0049】
上述した新しいサービスによれば、ワインを卸す「卸業者」、ワインを販売する「販売者」、ワインを販売される「顧客」の三者に利益をもたらすことが可能である。具体的には、卸業者にとっては、販売者のワイン保管設備にワインを預け置くことができるからワインの保管コストがゼロであり、適切に保管すればワインの価値は上がるからワインの在庫リスクもほとんど存在しない。販売者にとっては、ワインが実際に顧客に提供されるときまで課金が発生しないからワインの在庫リスクがほとんど存在しないし、ワインの品揃えなどの労力も存在しない。このように卸業者および販売者のリスクが小さいから、販売者の店舗においてワインを低価格で顧客に提供することが可能である。従って、上述した新しいサービスは、「卸業者」、「販売者」、「顧客」の三者に利益をもたらすものであるといえる。
【0050】
上述した新しいサービスにより「卸業者」、「販売者」、「顧客」の三者に利益がもたらされ、その結果、「販売者」の評判および認知度が向上し、「販売者」の集客力が向上し、「卸業者」と提携している「販売者」の数が増大し、「卸業者」が取り扱うワインの量が増大する。「生産業者」および「輸入業者」にとって、取り扱うワインの量が多い「卸業者」を確保することはメリットである。「生産業者」が生産し「輸入業者」が輸入したワインの販売先を確保することが可能であり、ワインの販売先の確保は「生産業者」自身、「輸入業者」自身の利益の確保に繋がるからである。従って、上述した新しいサービスは、直接的にまたは間接的に、「生産業者」、「輸入業者」、「卸業者」、「販売者」、「顧客」の五者に利益をもたらすものであるといえる。
【0051】
2.ワインを顧客に提供するためのシステムの構成
図2は、ワインを顧客に提供するためのシステム200の構成の一例を示す。このシステム200は、ワインを顧客に提供するための新しいサービスを創出するために用いられる。
【0052】
システム200は、卸業者のための処理を実行するサーバ装置210と、ワインを販売する販売者の店舗のための処理を実行する少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nと、卸業者によって品揃えされたワインが保管のために預け置かれているワイン保管設備230と、ワイン保管設備230に保管されたワインがワイン保管設備230から取り出されたことを検出する検出装置240と、顧客によって使用される少なくとも1つのユーザ装置250
1〜250
mと、サーバ装置210に接続されているデータベース部260とを備えている。少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nおよび少なくとも1つのユーザ装置250
1〜250
mは、インターネット270を介してサーバ装置210と通信することが可能なように構成されている。ここで、n、mは、1以上の任意の整数である。
【0053】
サーバ装置210は、ワインを顧客に提供するためのシステムを統括する卸業者が運営・管理する情報処理装置である。サーバ装置210は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータであって、サーバとしての一般的なハードウェア構成を有している。
図2に示される例では、サーバ装置210は、インターフェース部211と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部212と、メモリ部213とを含む。サーバ装置210のハードウェア構成はその機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0054】
インターフェース部211は、少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nとの間の通信、および、ユーザ装置250
1〜250
mとの間の通信を制御する。
【0055】
メモリ部213には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。メモリ部213には、例えば、
図4、
図5に示される処理を実行するためのプログラムが格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部213に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部213にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット220などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部213にインストールされるようにしてもよい。
【0056】
プロセッサ部212は、サーバ装置210全体の動作を制御する。プロセッサ部212は、メモリ部213に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、サーバ装置210は、所望のステップを実行する装置として機能すること、および、ウェブサイトを提供するウェブサーバとして機能することが可能である。
【0057】
サーバ装置210に接続されているデータベース部260は、ワインデータベース部261と、店舗データベース部262と、在庫データベース部263とを含む。
【0058】
少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nのそれぞれは、インターネット270を介してサーバ装置210と通信することが可能なように構成されている。例えば、少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nは、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよいし、店舗に備え付けられたPOSレジスタ等のPOSシステムであってもよい。
【0059】
ワイン保管設備230は、ワインを適切に保管することが可能なように構成されている。例えば、ワイン保管設備230は、ワイン保管設備230内の温度および/または湿度を所定の範囲内に保つことが可能なように構成されている。ワイン保管設備230の一例は、ワインセラーであるがこれに限定されない。ワイン保管設備230は、人工的な設備であってもよいし、天然の設備であってもよい。例えば、ワイン保管設備230は、ワインに適切な環境が天然に整っている空間(例えば、地下空間)であってもよい。
【0060】
検出装置240は、少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nとネットワーク(図示せず)を介して通信することが可能なように構成されている。検出装置240は、ワイン保管設備230に保管されたワインがワイン保管設備230から取り出されたことを検出すると、ワイン保管設備230から取り出されたワインを識別するための情報(例えば、ワインID)をネットワークを介してクライアント装置220
1に送信するように構成されている。検出装置240の一例は、ワインに取り付けられたRFタグから発信される電波を検出する装置であるがこれに限定されない。代替的には、検出装置240は、ワインに貼付されたバーコード(例えば、1次元バーコード、2次元バーコード)を読み取る装置であってもよい。
【0061】
少なくとも1つのユーザ装置250
1〜250
mのそれぞれは、インターネット270を介してサーバ装置210と通信することが可能なように構成されている。例えば、少なくとも1つのユーザ装置250
1〜250
mのそれぞれは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末等の携帯無線端末であってもよいし、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0062】
なお、
図2に示される実施形態では、1つの店舗が破線で示されており、1つのクライアント装置220
1と1つのワイン保管設備230
1と1つの検出装置240
1とがその1つの店舗の中に存在するように示されているが、本発明はこれに限定されない。1つの店舗の中には、複数のクライアント装置220
1が設置されていてもよいし、複数のワイン保管設備230
1が設置されていてもよいし、複数の検出装置240
1が設置されていてもよい。また、ワイン保管設備230
1および検出装置240
1が店舗の中に存在するように示されているが、本発明はこれに限定されない。ワイン保管設備230から取り出されたワインを識別するための情報(例えば、ワインID)を検出装置240
1がネットワークを介してクライアント装置220
1に送信することが可能である限り、ワイン保管設備230
1および/または検出装置240
1は、店舗の外に存在していてもよい。
【0063】
また、
図2に示される実施形態では、少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nおよび少なくとも1つのユーザ装置250
1〜250
mがインターネット270を介してサーバ装置210と通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット270の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。なお、インターネット270およびその代わりの任意のネットワークを介することなく、少なくとも1つのクライアント装置220
1〜220
nおよび少なくとも1つのユーザ装置250
1〜250
mをサーバ装置210に電気的に結合した構成もまた本発明の範囲内である。さらに、クライアント装置220
1およびユーザ装置250
1の機能ならびにサーバ装置210の機能の両方を一体的に組み込んだシステム(すなわち、スタンドアロン型のシステム)をサーバ装置210として構築してもよい。このようなスタンドアロン型のサーバ装置210もまた本発明の範囲内である。
【0064】
また、
図2に示される実施形態では、データベース部260は、サーバ装置210の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部260をサーバ装置210の内部に設けることも可能である。データベース部260の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部260は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部260は、サーバ装置210の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。さらに、ワインデータベース部261、店舗データベース部262、在庫データベース部263のそれぞれの構成もまた特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、ワインデータベース部261、店舗データベース部262、在庫データベース部263のそれぞれもまた、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0065】
図3Aは、ワインデータベース部261に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0066】
ワインデータベース部261には、ワインに関する情報が格納されている。ワインに関する情報は、ワインを識別するための情報(例えば、ワインID)によって識別されることが可能である。ワインデータベース部261には、例えば、ワインの銘柄、ブドウの種類、ブドウ畑の場所、ヴィンテージ、生産者の氏名などがさらに格納されている。
【0067】
図3Bは、店舗データベース部262に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0068】
店舗データベース部262には、店舗に関する情報が格納されている。店舗に関する情報は、店舗を識別するための情報(例えば、店舗ID)によって識別されることが可能である。店舗データベース部262には、店舗の店名、住所、業種、営業日(休業日)・営業時間、顧客の特性、過去に提供されたワインの情報などがさらに格納されている。顧客の特性は、例えば、利用頻度の高い顧客の年代層、顧客の属性(例えば、男性、女性、カップル、ファミリー、外国人など)を含む。
【0069】
図3Cは、在庫データベース部263に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0070】
在庫データベース部263には、各店舗の在庫に関する情報が格納されている。各店舗の在庫に関する情報は、ワインを識別するための情報(例えば、ワインID)と、店舗を識別するための情報(例えば、店舗ID)とに関連付けられている。各店舗の在庫に関する情報は、ワイン保管設備230に保管されているワインの品揃えを示す。各店舗の在庫に関する情報は、例えば、ワインの預け置き開始時期、提供価格、参考価格などを含むが、これらに限定されない。
【0071】
3.システムの処理
図4は、ワインを顧客に提供するためのシステム200において実行される処理のフローの一例を示す。以下、
図4に示される各ステップを詳しく説明する。
【0072】
ステップS401:検出装置240
1は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたことを検出する。これにより、ワイン保管設備230
1に保管されたワインが顧客に提供されるものとみなされる。
【0073】
ステップS402:検出装置240
1は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたことを検出したことに応答して、ワイン保管設備230
1から取り出されたワイン(すなわち、顧客に提供されるワイン)を識別するための情報(例えば、ワインID)をインターネット270を介してクライアント装置220
1に送信する。
【0074】
ステップS403:クライアント装置220
1は、ワイン保管設備230
1から取り出されたワインを識別するための情報(例えば、ワインID)を検出装置240
1からインターネット270を介して受信したことに応答して、クライアント装置220
1に関連付けられている店舗のワインに関連する情報(例えば、ワインID、店舗ID)をインターネット270を介してサーバ装置210に送信する。
【0075】
ステップS404:サーバ装置210は、クライアント装置220
1に関連付けられている店舗のワインに関連する情報(例えば、ワインID、店舗ID)をクライアント装置220
1からインターネット270を介して受信したことに応答して、そのワインに関連する情報(ワインID、店舗ID)に基づいて、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新する。このように、サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたときに、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新する。
【0076】
ステップS405:サーバ装置210は、クライアント装置220
1に関連付けられている店舗のワインに関連する情報(例えば、ワインID、店舗ID)に基づいて、顧客に提供されたワインの代金を販売者に課す処理を実行する。この処理において、サーバ装置210は、必ずしも、顧客に提供されたワインの代金を請求するための請求書を発行する処理を実行することを必要としない。サーバ装置210は、後日、顧客に提供されたワインの代金を請求するための請求書を発行する処理を実行するようにしてもよい。このように、サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたことを検出装置240
1が検出したことに応答して、そのワインの代金を販売者に課す処理を実行する。
【0077】
なお、上述した実施形態では、検出装置240
1が、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたことを検出する検出装置であると説明されたが、本発明はこれに限定されない。検出装置240
1は、例えば、ワインが注文されたことを検出する検出装置であってもよいし、ワインが抜栓されたことを検出する検出装置であってもよいし、顧客がワインの会計をしたことを検出する装置であってもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたことを検出したことに応答してそのワインの代金を販売者に課す処理を実行すると説明したが、本発明はこれに限定されない。サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインが顧客に提供されるときに、そのワインの代金を販売者に課す処理を実行する。例えば、サーバ装置210は、ワインが注文されたことを検出装置が検出したことに応答してそのワインの代金を販売者に課す処理を実行してもよいし、ワインが抜栓されたことを検出装置が検出したことに応答してそのワインの代金を販売者に課す処理を実行してもよいし、顧客がワインの会計をしたことを検出装置が検出したことに応答してそのワインの代金を販売者に課す処理を実行してもよい。
【0079】
また、上述した実施形態において、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から一度取り出された後にそのワインがそのままワイン保管設備230
1に戻される場合、(例えば、手動で)そのワインの代金を販売者に課す処理をキャンセルするための入力がクライアント装置220
1からインターネット270を介してサーバ装置210に送信されることにより、そのワインの代金を販売者に課す処理をキャンセルすることが可能であってもよい。
【0080】
また、上述した実施形態において、サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインがワイン保管設備230
1から取り出されたときに加えて、ワイン保管設備230
1にワインが預け置かれたときに、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態において、サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインの価格を上げるように、任意のタイミングで、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新してもよい。例えば、サーバ装置210は、ワイン保管設備230
1に保管されたワインの価格を高くすることを示す入力を(例えば、ユーザ装置250
1から)受信したことに応答して、そのワインの価格を上げるように、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新してもよい。あるいは、サーバ装置210は、所定の期間経過後に自動的に、ワイン保管設備230
1に保管されたワインの価格を上げるように、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新してもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、ステップS405がステップS404の後に実行されるように示されているが、本発明はこれに限定されない。ステップS405は、ステップS403より後の任意のタイミングで実行されることが可能である。
【0083】
図5は、サーバ装置210において実行される処理のフローの一例を示す。この処理は、例えば、サーバ装置210に含まれるプロセッサ部212によって実行される。以下、
図5に示される各ステップを詳しく説明する。
【0084】
ステップS501:ワイン保管設備230に保管されたワインを販売者の店舗から回収すべきか否かが判定される。この判定結果が「Yes」である場合には、処理はステップS502に進み、この判定結果が「No」である場合には、処理はステップS501に戻る。一例として、ワイン保管設備230に保管されたワインが預け置き開始から所定の期間経過すると、ワイン保管設備230に保管されたワインは販売者の店舗から回収されるべきであると判定される。他の一例として、ワイン保管設備230に保管されたワインがそのワインの製造年から所定の期間経過すると、ワイン保管設備230に保管されたワインは販売者の店舗から回収されるべきであると判定される。
【0085】
ステップS502:回収されるべきワインを他の店舗に移動させるべきか否かが判定される。この判定結果が「Yes」である場合には、処理はステップS503に進み、この判定結果が「No」である場合には、処理はステップS505に進む。
【0086】
ステップS503:回収されるべきワインの移動先である他の店舗が特定される。例えば、店舗に関する情報に基づいて、そのワインがそれまで保管されていたワイン保管設備を有する店舗から最も近い他の店舗が移動先として特定されてもよいし、回収されるべきワインと同じ銘柄のワインが最近販売された他の店舗が移動先として特定されてもよいし、ワインの販売数が多い他の店舗が移動先として特定されてもよいし、高価格帯の他の店舗が移動先として特定されてもよいし、利益率の高い他の店舗が移動先として特定されてもよい。あるいは、顧客の特性(例えば、ファミリー向け、若い女性向け、カップル向け)に基づいて、他の店舗が特定されてもよい。あるいは、ワインに関する情報に基づいて、ワインのヴィンテージに応じて他の店舗が特定されてもよい。あるいは、回収されるべきワインの移動先である他の店舗の候補を(例えば、各店舗の在庫に関する情報に基づいて)サーバ装置210が(より具体的には、サーバ装置210のプロセッサ部212が)自動的に提案し、卸業者からの入力に応じて移動先の他の店舗を特定してもよい。
【0087】
ステップS504:特定された他の店舗にワインを移動させるための処理が実行される。特定された他の店舗にワインを移動させるための処理の一例は、特定された他の店舗へのワインの配送の手配する処理であるがこれに限定されない。
【0088】
ステップS505:ワインを回収するための処理が実行される。ワインを回収するための処理の一例は、ワインを保管する卸業者の倉庫へのワインの配送の手配する処理であるがこれに限定されない。
【0089】
なお、ステップS501において、例えば、サーバ装置210が、各店舗の在庫に関する情報に基づいて販売者の店舗と他の店舗とを比較し、販売者の店舗よりも他の店舗の方が特定の銘柄のワインの販売数が多いと判定すると、その特定の銘柄のワインを回収すべきと判定してもよい。このような場合、ステップS502およびステップS503は不要である。
【0090】
また、サーバ装置210は、(例えば、時間の経過につれてその価値が上がるというワインに特有の性質を利用して)移動後の店舗における提供価格が移動前の店舗における提供価格よりも高くなるように、ステップS502〜S504の任意のタイミングで、在庫データベース部263に格納されている各店舗の在庫に関する情報を更新してもよい。これにより、ワインは、移動後の店舗において、時間の経過につれてその価値が上がっていることに対応した価格で販売されることが可能になる。
【0091】
また、上述した実施形態では、サーバ装置210に含まれるプロセッサ部212が
図4、
図5の各ステップに示される処理を実行すると説明したが、本発明はこれに限定されない。サーバ装置210が、
図4、
図5の各ステップに示される処理を実行する手段を機能として備えているものである限り、プロセッサ部212以外の構成要素が
図4、
図5の各ステップに示される処理を実行してもよい。あるいは、システム200が、
図4、
図5の各ステップに示される処理を実行する手段を備えているものである限り、サーバ装置210以外の構成要素が
図4、
図5の各ステップに示される処理を実行してもよい。
【0092】
なお、上述した実施形態では、
図1Aが「販売者の店舗向けサービス」として提供される新しいサービスのフローの一例を示すものとして説明したが、これは、
図1Aに示されるワイン保管設備が販売者の店舗に設置される場合を例にとり説明したものであり、当業者であれば、
図1Aに示されるワイン保管設備が販売者の店舗以外に設置される場合もまた本発明の範囲内であることを容易に理解することが可能である。なぜなら、
図1Aに示されるフローの本質は、ステップS101において、ワインがワイン保管設備に預け置かれること、ステップS102において、ワイン保管設備に保管されているワインが顧客に提供されることにあることは明らかであり、ワイン保管設備が販売者の店舗以外の場所に設置される場合でも、
図1Aに示されるフローに変わりはないことは明らかであるからである。すなわち、ワイン保管設備は、販売者の店舗を含む任意の場所に設置されることが可能である。
【0093】
また、上述した実施形態では、
図1Aが「販売者の店舗向けサービス」として提供される新しいサービスのフローの一例を示すものとして説明したが、これは、ワイン保管設備が販売者の店舗に設置されることに関連して、ワインの代金を請求される者が販売者である場合を例にとり説明したものであり、当業者であれば、ワイン保管設備が販売者の店舗以外の場所に設置されることに関連して、ワインの代金を請求される者が販売者以外の者である場合もまた本発明の範囲内であることを容易に理解することが可能である。
【0094】
具体的には、ワイン保管設備が設置される場所の一例は、一戸建て住宅の一区画(例えば、一戸建て住宅内の特定の部屋)である。このワイン保管設備は、一戸建て住宅の居住者が従前から所有しているものであってもよいし、一戸建て住宅の居住者が購入したもの(例えば、卸業者から購入したもの)であってもよいし、一戸建て住宅の居住者がレンタルしたもの(例えば、卸業者からレンタルしたもの)であってもよい。
【0095】
卸業者は、一戸建て住宅の一区画に設置されているワイン保管設備にワインを預け置く。このステップは、
図1AのステップS101と同様である。
【0096】
ワイン保管設備に保管されているワインは、一戸建て住宅の居住者に提供される。なぜなら、一戸建て住宅の居住者が顧客であるからである。このステップは、
図1AのステップS102と同様である。ワイン保管設備に保管されているワインを一戸建て住宅の居住者に提供することは、例えば、一戸建て住宅の居住者がワイン保管設備からワインを取り出すことによって達成される。例えば、ワイン保管設備に設置されている検出装置がワイン保管設備からワインが取り出されたことを検出すると、ワイン保管設備に保管されているワインが一戸建て住宅の居住者に提供されたと判定される。
【0097】
ワイン保管設備に保管されているワインが一戸建て住宅の居住者に提供されると、提供されたワインに関する情報が卸業者に提供される。このステップは、
図1AのステップS103と同様である。卸業者は、提供されたワインに関する情報に基づいて、ワインの代金を一戸建て住宅の居住者に課す。なぜなら、ワインの代金を請求される者が一戸建て住宅の居住者であるからである。
【0098】
卸業者は、ワインの代金を一戸建て住宅の居住者に請求する。このステップは、ワインの代金を請求される者が一戸建て住宅の居住者であることを除いて、
図1AのステップS104と同様である。これは、ワイン保管設備が一戸建て住宅の一区画に設置されることに関連して、ワインの代金を請求される者が一戸建て住宅の居住者であるからである。
【0099】
ワインの代金を請求された一戸建て住宅の居住者は、ワインの代金を卸業者に支払う。ワインの代金の支払いの態様は問わない。例えば、一戸建て住宅の居住者は、現金、銀行振り込み、カード決済、アプリ決済などの任意の決済方法でワインの代金を卸業者に支払うことが可能である。
【0100】
なお、卸業者の代わりに販売者が、一戸建て住宅の一区画に設置されているワイン保管設備にワインを預け置くようにしてもよい。この場合には、提供されたワインに関する情報は販売者に提供される。販売者は、提供されたワインに関する情報に基づいて、ワインの代金を一戸建て住宅の居住者に課す。その後、販売者は、ワインの代金を一戸建て住宅の居住者に請求する。この場合、ワインの代金を請求された一戸建て住宅の居住者は、ワインの代金を販売者に支払う。あるいは、卸業者が販売者を兼務するようにしてもよい。
【0101】
このように、一戸建て住宅の一区画に設置されているワイン保管設備にワインを預け置き、ワイン保管設備に保管されているワインが一戸建て住宅の居住者に提供されるときにそのワインの代金を一戸建て住宅の居住者に課すことにより、ワインを顧客に提供するための新しいサービスを創出することが可能である。この新しいサービスによれば、ワイン保管設備が自宅にあるため、一戸建て住宅の居住者は、好きなタイミングで好きなワインを飲んで楽しむことが可能である。
【0102】
なお、上述した実施形態では、ワイン保管設備が一戸建て住宅の一区画に設置される場合を例にとり説明したが、ワイン保管設備がマンションの居住者が専有する部屋(すなわち、マンションの専有部分)に設置される場合にも、上述した説明と同様の説明があてはまる。この場合、ワインの代金を請求される者はマンションの居住者である。
【0103】
ワイン保管設備が設置される場所の他の一例は、マンションの共用部分(例えば、マンションのコンシェルジュが常駐するスペース、マンションの受付部分)である。このワイン保管設備は、マンションの管理者(例えば、マンションが分譲マンションである場合にはマンションの管理組合、マンションが賃貸マンションである場合にはマンションオーナー)が従前から所有しているものであってもよいし、マンションの管理者が購入したもの(例えば、卸業者から購入したもの)であってもよいし、マンションの管理者がレンタルしたもの(例えば、卸業者からレンタルしたもの)であってもよい。
【0104】
卸業者は、マンションの共用部分に設置されているワイン保管設備にワインを預け置く。このステップは、
図1AのステップS101と同様である。
【0105】
ワイン保管設備に保管されているワインは、マンションの居住者に提供される。なぜなら、マンションの居住者が顧客であるからである。このステップは、
図1AのステップS102と同様である。ワイン保管設備に保管されているワインをマンションの居住者に提供することは、例えば、マンションのコンシェルジュがワイン保管設備からワインを取り出し、取り出したワインをマンションの居住者に届けることによって達成される。あるいは、ワイン保管設備に保管されているワインをマンションの居住者に提供することは、マンションの居住者自らがワイン保管設備からワインを取り出すことによって達成される。例えば、ワイン保管設備に設置されている検出装置がワイン保管設備からワインが取り出されたことを検出すると、ワイン保管設備に保管されているワインがマンションの居住者に提供されたと判定される。
【0106】
ワイン保管設備に保管されているワインがマンションの居住者に提供されると、提供されたワインに関する情報が卸業者に提供される。このステップは、
図1AのステップS103と同様である。卸業者は、提供されたワインに関する情報に基づいて、ワインの代金をマンションの管理者(例えば、マンションが分譲マンションである場合にはマンションの管理組合、マンションが賃貸マンションである場合にはマンションオーナー)に課す。なぜなら、ワインの代金を請求される者がマンションの管理者であるからである。
【0107】
卸業者は、ワインの代金をマンションの管理者に請求する。このステップは、ワインの代金を請求される者がマンションの管理者であることを除いて、
図1AのステップS104と同様である。これは、ワイン保管設備がマンションの共用部分に設置されることに関連して、ワインの代金を請求される者がマンションの管理者であるからである。
【0108】
ワインの代金を請求されたマンションの管理者は、ワインの代金を卸業者に支払う。ワインの代金の支払いのタイミングは問わない。また、ワインの代金の支払いの態様も問わない。例えば、マンションの管理者は、現金、銀行振り込み、カード決済、アプリ決済などの任意の決済方法でワインの代金を卸業者に支払うことが可能である。
【0109】
マンションの管理者は、ワインが提供されたマンションの居住者からワインの代金を回収する。ワインの代金の回収のタイミングは問わない。また、ワインの代金の回収の態様も問わない。例えば、マンションの管理者は、現金、銀行振り込み、カード決済、アプリ決済などの任意の決済方法でワインの代金の支払いをマンションの居住者に求めることが可能である。マンションが賃貸マンションである場合には、マンションの管理者は、家賃の支払いと一緒にワインの代金の支払いをマンションの居住者に求めるようにしてもよい。あるいは、マンションの管理者は、ワインが提供されたマンションの居住者からワインの代金(例えば、マンションからマンションの居住者の誕生日に贈られる誕生日プレゼントとしてのワインの代金)を回収しないようにしてもよい。これにより、「誕生日にワインが贈られるマンション」としてマンションの評判を向上させることが可能である。
【0110】
なお、卸業者の代わりに販売者が、マンションの共用部分に設置されているワイン保管設備にワインを預け置くようにしてもよい。この場合には、提供されたワインに関する情報は販売者に提供される。販売者は、提供されたワインに関する情報に基づいて、ワインの代金をマンションの管理者に課す。その後、販売者は、ワインの代金をマンションの管理者に請求する。この場合、ワインの代金を請求されたマンションの管理者は、ワインの代金を販売者に支払う。あるいは、卸業者が販売者を兼務するようにしてもよい。
【0111】
このように、マンションの共用部分に設置されているワイン保管設備にワインを預け置き、ワイン保管設備に保管されているワインがマンションの居住者に提供されるときにそのワインの代金をマンションの管理者に課すことにより、ワインを顧客に提供するための新しいサービスを創出することが可能である。この新しいサービスは、従来のコンシェルジュサービスに追加されるものであってもよい。この新しいサービスによれば、ワイン保管設備が自宅のすぐ近くにあるため、マンションの居住者は、好きなタイミングで好きなワインを飲んで楽しむことが可能である。特に、マンションの共用部分にワインを飲むことができるスペースが併設されている場合には、マンションの居住者は、自宅でワインを飲んで楽しむことに加えて、マンションの共用部分でもワインを飲んで楽しむことが可能である。このことは、マンションの居住者間の親睦を高めることに役立つ。このことは、マンションの居住者にとって有意義であるといえる。また、この新しいサービスによれば、同様のサービスを提供することができない他のマンションとの差別化を図ることが可能である。このことは、マンションの価値を高めることに役立つ。このことは、マンションの管理者にとって有意義であるといえる。
【0112】
なお、
図1Aを参照して上述した「ワイン保管設備内のワインの在庫を管理するためのサービス」をマンションの管理者またはマンションの居住者または一戸建て住宅の居住者に提供するようにしてもよい。すなわち、マンションの管理者またはマンションの居住者または一戸建て住宅の居住者が、ユーザ装置を用いて、「ワイン保管設備内のワインの在庫を管理するためのサービス」を実現するためのアプリケーションプログラムなどを利用することができるようにしてもよい。
【0113】
また、
図1Bを参照して上述した「消費者向けサービス」のワインリストをマンションの居住者または一戸建て住宅の居住者に提供するようにしてもよい。これにより、マンションの居住者または一戸建て住宅の居住者は、ワインの価格(ワインの提供価格、ワインの参考価格(例えば、インターネット上の最高価格、インターネット上の最低価格、インターネット上の平均価格))についての情報を取得することが可能である。
【0114】
なお、ワイン保管設備には、ワインの専門家によって選定されたコストパフォーマンスの高いワイン、市場では入手し難い熟成が進んだワイン、インターネット上での最安値に近い価格帯のワインなどを預け置くことが可能である。このようなワインをワイン保管設備に預け置くことによって、マンションの居住者または一戸建て住宅の居住者は、ワインのコストパフォーマンス、ワインの希少性、ワインの価格などの点でメリットを享受することが可能である。
【0115】
また、ワイン保管設備には、マンションの居住者または一戸建て住宅の居住者が個人で注文し購入したワインを保管できるようにしてもよい。マンションの居住者または一戸建て住宅の居住者は、例えば、イベント(例えば、誕生日)用のワイン、欲しいワイン、お気に入りのワインをネットワーク経由で注文し購入し、その購入したワインをワイン保管設備に保管するようにしてもよい。ただし、この場合、その購入したワインは既に決済済みであるため、その購入したワインが個人に提供されるときに課金が発生することはない。
【0116】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【課題】ワインを顧客に提供するための新しいサービスを創出することを可能にするシステムおよび方法、そのシステムにおいて用いられるサーバ装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】卸業者は、卸業者が所有するワインを販売者の店舗(例えば、レストランなどの飲食店、小売店など)のワイン保管設備に預け置く。販売者は、ワイン保管設備に保管されているワインを顧客に提供する。卸業者は、販売者によって提供されたワインに関する情報に基づいて、ワインの代金を販売者に課す。卸業者は、ワインの代金を販売者に請求する。