特許第6355249号(P6355249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355249
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】住宅の小屋裏換気構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   E04B1/70 D
   E04B1/70 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-153248(P2014-153248)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-30940(P2016-30940A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】397025107
【氏名又は名称】日本住環境株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝久
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−058234(JP,A)
【文献】 特開平11−140998(JP,A)
【文献】 特開平11−107395(JP,A)
【文献】 実開昭57−120608(JP,U)
【文献】 特開平11−036468(JP,A)
【文献】 特開2001−323619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 − 1/99
E04B 7/18
E04D 1/00 − 3/40
E04D 13/00 −15/07
F24F 7/00 − 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2階の一部をバルコニーとした住宅の1階の小屋裏又はパラペット屋根の住宅における小屋裏の換気を可能にするための住宅の小屋裏換気構造であって、
多数の通気路を縦横に連設して一端面から他端面に通気可能にした通気ブロックを一対、適宜間隔の離隔部を保持し且つ通気方向を同じにして一枚のカバー材で包囲して構成した通気材を、サイディングとその内側の壁体を貫いて前記小屋裏に通じるように設置して成り、その設置状態において前記通気ブロック間の離隔部が、前記壁体とサイディングとの間の通気層部分に位置し、
前記カバー材は前記通気ブロックの上面、外側面及び下面を被覆するものとされて前記外側面被覆部に通気開口が形成され、前記カバー材の前記通気ブロックの下面被覆部における前記離隔部対応部に多数の排水孔が透設され、あるいは、前記離隔部対応部が切除されることにより、その部分から前記通気層内に排水可能であることを特徴とする小屋裏換気構造。
【請求項2】
前記離隔部対応部が切除される場合において、その切除部の端部が上方に折曲されて水切りが形成される、請求項に記載の小屋裏換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の小屋裏換気構造に関するものであり、より詳細には、最近増えてきている、2階の一部をバルコニーとした住宅の1階の小屋裏の換気、あるいは、パラペット屋根の場合の小屋裏換気を行うための、住宅の小屋裏換気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近は、2階の一部をバルコニーとしたタイプの住宅が増えてきている。即ち、バルコニーを従来のように2階から突出するように設けるのではなく、1階の天井の真上に設け、バルコニーの手摺りから外壁の下端まで、一連にしてサイディングを張るタイプの住宅である(図1参照)。
【0003】
このような住宅の場合、夏場には、日射を受けてバルコニーはかなり高温となり、バルコニーの下側に存する1階の小屋裏内の温度もかなり高温となる。従って、特に夏場において、室内の快適な温熱環境を維持して涼しさを確保するためには、室内だけでなく、小屋裏の換気を行う必要があるが、1階の小屋裏は密閉状態となっていて、換気を行うことができない。また、屋上にパラペットを配した住宅の場合にも同様のことが言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−127340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、2階にバルコニーを設けるタイプの住宅の場合、日射を受けてバルコニーはかなり高温となり、バルコニーの下側に存する1階の小屋裏内の温度もかなり高温となるが、1階の小屋裏は密閉状態となっていて換気を行うことができないため、特に夏場において、室内の快適な温熱環境を維持して涼しさを確保するための支障となっていた。また、パラペット屋根の場合にも同様の問題がある。
【0006】
そこで本発明は、2階の一部をバルコニーとするタイプの住宅の1階の小屋裏内の自然換気を可能にし、また、パラペット屋根の場合における小屋裏内の自然換気を可能にし、以て、特に夏場において、室内の快適な温熱環境を維持して涼しさを確保すると共に、建物の耐久性の向上を図ることができる住宅の小屋裏換気構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、2階の一部をバルコニーとした住宅の1階の小屋裏又はパラペット屋根の住宅における小屋裏の換気を可能にするための住宅の小屋裏換気構造であって、多数の通気路を縦横に連設して一端面から他端面に通気可能にした通気ブロックを一対、適宜間隔の離隔部を保持し且つ通気方向を同じにして一枚のカバー材で包囲して構成した通気材を、サイディングとその内側の壁体を貫いて前記小屋裏に通じるように設置して成り、その設置状態において前記通気ブロック間の離隔部が、前記壁体とサイディングとの間の通気層部分に位置し、前記カバー材は前記通気ブロックの上面、外側面及び下面を被覆するものとされて前記外側面被覆部に通気開口が形成され、前記カバー材の前記通気ブロックの下面被覆部における前記離隔部対応部に多数の排水孔が透設され、あるいは、前記離隔部対応部が切除されることにより、その部分から前記通気層内に排水可能であることを特徴とする小屋裏換気構造である。
【0008】
一実施形態においては、前記離隔部対応部が切除される場合において、その切除部の端部が上方に折曲されて水切りが形成されることがある。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記のとおりであって、本発明に係る小屋裏換気構造においては、通気材がサイディングと壁体を貫通して小屋裏に通じるように設置されるため、通気材を介して常時小屋裏内の自然換気が行われ、以て、小屋裏内にこもった高温の空気によって室内の温熱環境が乱されることが防止される効果がある。また、通気材は、その通気ブロック間の離隔部が、壁体とサイディングとの間の通気層部分に位置するため、大気に面することになる通気材の開口面から雨雪が進入することがあっても、その離隔部から通気層内に落ちて排水され、小屋裏内への進入が阻止される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る住宅の小屋裏換気構造の施工対象となる住宅の例を示す概略図である。
図2】本発明に係る住宅の小屋裏換気構造の構成を示す概略縦断面図である。
図3】本発明に係る住宅の小屋裏換気構造に用いる通気材の構成例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る住宅の小屋裏換気構造に用いる通気材の他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための好ましい形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る小屋裏換気構造は、図1に示すような、2階の一部がバルコニーとなっているタイプの住宅の1階の小屋裏の換気、あるいは、パラペット屋根の住宅における2階又は3階の小屋裏の換気を可能にするためのものである。なお、以下の説明は、本発明に係る小屋裏換気構造を、図1に示すような、2階の一部がバルコニーとなっているタイプの住宅の1階の小屋裏の換気に適用した場合のものであるが、パラペット屋根の住宅における2階又は3階の小屋裏の換気の場合もこれと同様に実施する。
【0012】
本発明に係る小屋裏換気構造においては、1階の小屋裏11部分の壁体12とその外側のサイディング13とを貫いて設置されて、小屋裏11と大気とを直線的に連通させる通気材1が用いられる。
【0013】
通気材1は、多数の通気路3を縦横に配して一面から他面に通気可能にした通気ブロック2を一対設け、その一対の通気ブロック2、2を通気方向を同じにして、壁体12とサイディング13との間に形成される通気層14の幅間隔に対応する間隔の離隔部5を保持して一枚のカバー材4で包囲して形成される(図3、4参照)。各通気ブロック2、2の側面形状(図面上正面側に表れている。)は任意であり、例えば、図示した例のような台形状に形成されるが、これに限られる訳ではない。
【0014】
通例、カバー材4は板金製で、各通気ブロック2、2の上面、外側面及び下面を包み込むように被覆する形状に折曲され、各通気ブロック2、2の通気開口面である外側面に対向する側面に、通気口7、7aが形成される。通気口7、7aは、長コ字形状の切り込みを複数段入れ、それぞれ水平方向に折曲する切り起こし方法により形成することができる。
【0015】
また、通気材1は、設置時において離隔部5が通気層14部分に位置し、且つ、離隔部5から通気層14部分に通水可能となるようにされる。そのために、例えば、カバー材4の通気ブロック2、2の下面被覆部における離隔部5対応部に多数の排水孔8が透設され(図3参照)、あるいは、カバー材4の離隔部5対応部が切除される。後者の場合、その切除部の端部が上方に折曲されて水切り6を形成することもある。
【0016】
サイディング13は、図示せぬ通気胴縁を介して壁体12に固定されることにより、当該通気胴縁の幅に対応する幅の通気層14が形成される。この通気層14は、手摺り18の上端部まで延び、通気層14内に進入した湿気をその上端部に設けられる排気路19から排出し、構造躯体を乾燥させて住宅の耐久性を高める役割、壁体から侵入した雨水の排出経路としての役割、並びに、夏季に、太陽照射により熱せられた壁体材からの伝導熱を防ぎ、更に室内の温熱環境を良好に保つ役割を果たす。
【0017】
なお、小屋裏11の換気を通気層14を通して行うことも考えられるが、その場合は小屋裏11内の湿った温かい空気によってサイディング13に悪影響が及ぶとの考えが強いため、実際には行われていない。
【0018】
上記構成の通気材1が、サイディング13と壁体12とを貫いて、1階の小屋裏11に連通するように、適宜間隔置きに横並びに設置されるが(図1参照)、そのためにサイディング13に嵌装孔15が穿設される。壁体12については、通例、その上端部と桁16との間に、通気材1を嵌装するための間隙を保持することとする。通気材1の設置は、通例、天井材17を張る前に室内側から行うが、後にサイディング13に嵌装孔15を穿設し、室外側から嵌装することとしてもよい。いずれにしても、通気材1は、その嵌装時において通気ブロック2、2間の離隔部5が、壁体12とサイディング13間の通気層14部分に位置するようにされる。
【0019】
かくして、通気材1を介し、小屋裏11から壁体12とサイディング13を抜けて外気に通じる直線的な通気路が形成され、小屋裏内の空気は、随時通気材1を介してスムーズに自然換気される。それにより、高温になった空気が小屋裏11内にこもることによって室内の温熱環境が乱されることが防止される。また、外気に直面することになる通気材1の通気口7から雨雪が進入することがあっても、通気ブロック2、2間に離隔部5が存することにより、外側の通気ブロック2から内側の通気ブロック2へ渡り移ることができずに通気層14内に落下し、排水される。水切り6を設ける場合は、雨雪はそれによってより確実に進入を遮止されることになる。
【0020】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。従って、この発明は、添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0021】
1 通気材
2 通気ブロック
3 通気路
4 カバー材
5 離隔部
6 水切り
7 通気口
8 排水孔
11 小屋裏
12 壁体
13 サイディング
14 通気層
15 嵌装孔
16 桁
17 天井材
18 手摺り
19 排気路
図1
図2
図3
図4