(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エアシリンダにより仮押しする場合、充填部に供給された粉末材料を充分に仮押しすることができない場合がる。
特に、充填部の平面視した面積が大きい場合や、複数の充填部がある場合には、確実な仮押しをすることは容易ではない。
また、確実な仮押しができない場合には、成形された粉末成形品に密度のばらつきが発生する場合があり、粉末成形品の品質が低下する場合がある。
【0008】
そこで、二層成形の粉末成形品をはじめとする仮押しをともなう粉末成形品を製造する場合に、充填部に供給された粉末材料を確実に仮押しすることができ、粉末成形品のばらつきを抑制することにより品質を向上することが可能な粉末材料の仮押し技術及び粉末成形品の製造技術が要請されている。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、粉末材料の仮押しをともなう粉末成形品を製造する場合に、粉末材料を確実に仮押しすることが可能な仮押し装置、粉末成形装置、粉末材料の仮押し方法、及び粉末成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、粉末材料が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して昇降可能に構成された上ラムと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、前記ダイが配置されたダイプレート上を前記充填部に対して進退可能とされて前記充填部に粉末材料を供給する給粉装置と、を備えた粉末成形装置に適用されて、前記充填部に供給された粉末材料を仮押しする仮押し装置であって、前記ダイプレート上を前記充填部に対して直線的に進退可能とされ、記充填部に向かって下降可能とされた仮押しパンチと、前記仮押しパンチの動作を制御する仮押し制御部と、を備え、前記仮押し制御部は、前記充填部に粉末材料が供給された後に、前記仮押しパンチを前記充填部に向かって移動して、前記仮押しパンチが前記充填部の上に到達したときに停止させ、前記上ラムを下降させて前記仮押しパンチを押圧して、前記仮押しパンチを前記充填部に向かって下降させて前記充填部内の粉末材料を仮押しし、前記上ラムを上昇させて前記仮押しパンチによる仮押しを解除して、前記仮押しパンチを上昇させるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、粉末成形装置であって、請求項1又は2に記載の仮押し装置を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、粉末材料が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して昇降可能に構成された上ラムと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、前記ダイが配置されたダイプレート上を前記充填部に対して直線的に進退可能とされて前記充填部に粉末材料を供給する給粉装置と、を備えた粉末成形装置における、前記充填部に供給された粉末材料を仮押しする粉末材料の仮押し方法であって、前記充填部に粉末材料が供給された後に、前記仮押しパンチを前記充填部に向かって移動して、前記仮押しパンチが前記充填部の上に到達したときに停止させ、前記上ラムを下降させて前記仮押しパンチを押圧して、前記仮押しパンチを前記充填部に向かって下降させて前記充填部内の粉末材料を仮押しし、前記上ラムを上昇させて前記仮押しパンチによる仮押しを解除して、前記仮押しパンチを上昇させることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る仮押し装置、粉末成形装置及び粉末材料の仮押し方法によれば、充填部に供給された粉末材料を、上ラムが下降、押圧することで仮押しパンチを下降させて、充填部内の粉末材料を仮押しする。
このように、上ラムによって仮押しパンチを下降させるので、粉末材料を大きな力で確実に仮押しすることができる。
また、仮押しにおいて、仮押しパンチを正確に下降させることにより、仮押しにより発生するばらつきを抑制することができる。
その結果、仮押しをともなう粉末成形品の品質を向上することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の仮押し装置であって、前記仮押しパンチは、前記充填部から上方に向かって付勢する付勢部材によって支持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の粉末材料の仮押し方法であって、前記仮押しパンチを、前記充填部から上方に向かって付勢する付勢部材により上昇されることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る仮押し装置及び粉末材料の仮押し方法によれば、仮押しパンチが、付勢部材によって充填部から上方に向かって付勢されているので、上ラムにより仮押しパンチを押圧するのが解除されると、仮押しパンチは、動力を与えられなくても上昇して、充填部から抜き出されるので、小さなスペースにおいて、仮押しパンチを効率的に上昇させることが可能となる。
その結果、粉末材料を効率的に仮押しすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の仮押し装置であって、前記仮押しパンチは、着脱可能とされたアタッチメントに配置されていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る仮押し装置によれば、仮押しパンチが、着脱可能とされたアタッチメントに配置されているので、成形対象の粉末成形品を変更する際に、仮押しパンチを容易かつ効率的に交換することができる。
その結果、複数種類の粉末成形品を製造する場合に、段取り替えの生産性を向上することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、粉末成形品の製造方法であって、粉末材料が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、前記ダイが配置されたダイプレート上を直線状に移動して前記充填部に粉末材料を供給する給粉装置と、を備えた粉末成形装置による粉末成形品の製造方法であって、前記給粉装置により前記充填部に粉末材料を供給し、前記充填部に対して進退可能とされた仮押しパンチを前記充填部に向かって移動させ、前記仮押しパンチが前記充填部の上に到達したときに前記仮押しパンチを停止させ、前記上ラムを下降させて前記仮押しパンチを押圧して、前記仮押しパンチを前記充填部に向かって下降することにより前記充填部内の粉末材料を仮押しし、前記上ラムを後退させて前記仮押しパンチによる仮押しを解除して、前記仮押しパンチを上昇させ、前記充填部にさらに粉末材料を供給し、前記上パンチを下降させて前記充填部内の粉末材料を圧粉して粉末成形品を成形することを特徴とする。
【0020】
この発明に係る粉末成形品の製造方法によれば、充填部に供給された粉末材料を、上ラムが下降、押圧することで仮押しパンチを下降させて、充填部内の粉末材料を仮押しする。
このように、上ラムによって仮押しパンチを下降させるので、粉末材料を大きな力で確実に仮押しすることができる。
また、仮押しにおいて、仮押しパンチを正確に下降させることにより、仮押しにより発生するばらつきを抑制することができる。
その結果、仮押しをともなう粉末成形品の品質を向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る仮押し装置、粉末成形装置、粉末材料の仮押し方法によれば、仮押しをともなう粉末成形品を製造する場合に、粉末材料を大きな力により確実に仮押しすることができる。その結果、粉末成形品にばらつきが発生するのを抑制して品質を向上することができる。
また、この発明に係る粉末成形品の製造方法によれば、充填部に供給された粉末材料を確実に圧粉、成形することにより、粉末成形品にばらつきが発生するのを抑制して品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置及び仮押し装置の概略構成を説明する図であり、正面図を示している。
【
図2】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置及び仮押し装置の概略構成を説明する図であり、平面図を示している。
【
図3】本発明の一実施形態に係る仮押し装置のアタッチメントを説明する図であり、正面図を示している。
【
図4】本発明の一実施形態に係る仮押し装置のアタッチメントを説明する図であり、平面図を示している。
【
図5】本発明の一実施形態に係る仮押し装置のアタッチメントの概略構成を説明する
図1における矢視Vで示す側面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、第1シューボックスにより充填部に第1粉末材料を供給する動作を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、第1粉末材料が供給されたダイを上昇させて充填部にキャビティを形成する動作を示す図である。
【
図6C】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、第1粉末材料が供給された充填部の上に仮押しパンチを移動、停止させた動作を示す図である。
【
図6D】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、第1粉末材料が供給された充填部を上ラムが下降して仮押しする動作を示す図である。
【
図6E】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、仮押しパンチにより第1粉末材料を仮押しして上ラムが上昇するとともに仮押しパンチが上昇する動作を示す図である。
【
図6F】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、第2シューボックスにより充填部に第2粉末材料を供給する動作を示す図である。
【
図6G】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、充填部に積層された第1粉末材料及び第2粉末材料を上パンチにより圧粉して粉末成形品を成形する動作を示す図である。
【
図6H】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図であり、成形された粉末成形品を充填部から抜き出す動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る粉末成形装置及び仮押し装置の概略構成を説明する。
図1〜
図5において、符号1は粉末成形装置を、符号2は仮押し装置を示している。また、符号3は、仮押し装置2を構成するアタッチメントを示している。
【0024】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る粉末成形装置及び仮押し装置の概略構成を説明する。
図1〜
図5において、符号1は粉末成形装置を、符号2は仮押し装置を示している。また、符号3は、仮押し装置2を構成するアタッチメントを示している。
また、符号P1は第1金属粉末を、符号P2は第2金属粉末を示している。
【0025】
粉末成形装置1は、
図1に示すように、例えば、金属粉末が充填される充填部Aが形成されたダイ11と、ダイ11の上方に配置されダイ11に対して昇降可能に構成された上ラム12と、上ラム12に取り付けられた上パンチ12Pと、ダイ11の下方に配置されてダイ11とともに充填部Aを画成する下パンチ13と、ダイ11が配置されたダイプレート11P上を充填部Aに対して進退可能とされるとともに充填部Aに金属粉末を供給する給粉装置15と、充填部Aに供給された金属粉末を仮押しする仮押し装置2とを備えている。
【0026】
また、粉末成形装置1は、この実施形態において、例えば、粉末成形の圧粉方向に第1金属粉末P1と第2金属粉末P2が積層された二層成形により形成されたリング状の粉末成形品を成形するようになっている。
【0027】
ダイ11は、この実施形態において、例えば、二つの円筒状の孔が並んで形成されていて、この孔にそれぞれ下パンチ13が挿通されて、この下パンチ13が挿通されることによって充填部Aが画成されるようになっている。この実施形態では、二つの充填部Aが形成されるようになっている。
【0028】
上ラム12は、ダイ11の上方に配置されて図示しない駆動源に連結されていて、例えば、CNC制御によって昇降可能とされ、上ラム12に取り付けられた上パンチ12Pが充填部Aに挿入可能とされている。
そして、上パンチ12Pが、充填部Aに供給された金属粉末を圧粉することにより、粉末成形品が成形されるようになっている。
【0029】
下パンチ13は、充填部Aと対応して、二つ配置されている。
また、下パンチ13は、内方に中空部を有する円筒状に形成された外側下パンチ13Aと、外側下パンチ13Aと同時に形成され外側下パンチ13Aの中空部に挿入される内側下パンチ13Bとを備えていて、外側下パンチ13Aと内側下パンチ13Bとは、軸線方向に相対移動可能とされている。
【0030】
そして、下パンチ13は、充填部Aに供給された金属粉末を下側から押圧して、粉末成形品を成形するようになっており、外側下パンチ13Aは粉末成形品の下面を成形し、内側下パンチ13Bは粉末成形品の内周面を成形するようになっている。
【0031】
給粉装置15は、この実施形態において、第1金属粉末P1を供給する第1フィーダー15Aと、第2金属粉末P2を供給する第2フィーダー15Bとを備えており、第1フィーダー15Aと第2フィーダー15Bは、例えば、平面視して直交する位置に配置されている。
そして、第1フィーダー15A、第2フィーダー15Bは、それぞれダイプレート11P上を充填部Aに対して進退可能とされていて、第1フィーダー15Aが充填部Aに第1金属粉末P1を供給した後に、第2フィーダー15Bが充填部Aに第2金属粉末P2を供給するようになっている。
【0032】
仮押し装置2は、駆動部20と、従動部30と、アタッチメント5と、図示しない仮押し制御部とを備え、仮押し制御部は、例えば、粉末成形装置1の制御盤内に粉末成形工程制御部の一部として構成されている。また、アタッチメント5は、粉末成形品の種類に応じて着脱可能とされている。
【0033】
駆動部20は、例えば、パルス制御によって制御されたサーボモータ21と、サーボモータ21の回転を直線状の移動に変換するボールねじ22と、ボールねじ22によって進退(
図1における左右方向に移動)する台座23と、駆動部側エアシリンダ24とを備えている。
【0034】
そして、サーボモータ21によってボールねじ22が駆動されることによって、台座23及び駆動部側エアシリンダ24が進退するようになっている。また、駆動部側エアシリンダ24には、従動部30が接続されている。
【0035】
従動部30は、例えば、台車31と、ガイドレール35と、接続ロッド37とを備えていて、駆動部20により移動するようになっている。
【0036】
台車31は、車台32と、この車台32に取付けられた車輪33、及び位置決部材34とを備えている。
また、車輪33はガイドレール35に配置されていて、台車31は、ガイドレール35に案内されて、充填部Aに対して直線状に進退可能とされている。
【0037】
また、この台車31は、駆動部側エアシリンダ24及び接続ロッド37を介して駆動部20の台座23と連結されていて、台座23が進退されることによって進退するようになっている。
【0038】
また、台車31には、位置決め部材34が取り付けられており、粉末成形装置1のダイプレート11Pに設けられた被当接部11Sに当接することによって、台車31の前進方向の移動が停止されるとともに位置決めされるようになっている。
そして、位置決め部材34と被当接部11Sとが当接する状態にあるときに、仮押し装置2による仮押しが行われるようになっている。
【0039】
接続ロッド37は、駆動部側エアシリンダ24と台車31とを連結するための連結部材である。
駆動部側エアシリンダ24は、位置決め部材34が被当接部11Sに当接した際に生じる衝撃を吸収するための緩衝材として機能するようになっている。本実施形態においては、駆動部20のオーバーシュートを検知するためのセンサ(不図示)が駆動部側エアシリンダ24に取り付けられている。
【0040】
アタッチメント5は、この実施形態において、例えば、仮押しパンチユニット50と、仮押し治具60とを備えている。
【0041】
仮押しパンチユニット50は、ダイ11の充填部Aに供給された第1金属粉末P1を仮押しする仮押しパンチ51と、仮押しパンチ51が固定されたフレーム55と、仮押しパンチ51の周囲に配置される圧縮スプリング(付勢部材)57とを備えている。
【0042】
仮押しパンチ51は、例えば、外周が上パンチ12Pの外周と対応するとともに下面が第1金属粉末P1を仮押しした仮押し成形品の上面と対応するように形成されていて、仮押しパンチ51の上部には、外周側に延在するフランジ51Fが形成されている。
【0043】
また、仮押しパンチ51は、上側に仮押しする際に上パンチ12Pを退避させるための凹部51Aが形成されている。
また、仮押しパンチ51は、下側に仮押しする際に下パンチ13を退避させるための凹部51Bが形成されている。
また、仮押しパンチ51は、位置決め部材34が被当接部11Sに当接したときに、充填部Aの直上に位置するようになっている。
【0044】
フレーム55は、例えば、略平板上に形成されていて、仮押しパンチ51を挿入する二つの孔が形成されていて、ガイドブッシュ55Nを介して仮押しパンチ51が挿入されている。
【0045】
また、フレーム55は、例えば、台車31に対してボルト56により連結されていて、容易に着脱することができるようになっている。
そして、この二つの孔に挿入された仮押しパンチ51は、上パンチ12Pと同軸に上下方向に進退可能とされている。
【0046】
また、フレーム55上には、二つの圧縮スプリング57が配置されていて、圧縮スプリング57の下側はフレーム55に支持され、圧縮スプリング57の上側は、仮押しパンチ51のフランジ51Fを支持して、仮押しパンチ51を上方に向かって付勢して、外力が付与されていない状態で仮押しパンチ51の下面がダイ11の上面より上側に位置するようになっている。
【0047】
仮押し治具60は、例えば、仮押しパンチ51のフランジ51Fと対応する円筒からなり、上パンチ12Pの周囲に配置されるとともに、クランプ等により上パンチ12Pと同じプレートにワンタッチで着脱可能とされている。
【0048】
次に、
図6A〜
図6Hを参照して、一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法について説明する。
図6A〜
図6Hは、本発明の一実施形態に係る粉末成形装置による粉末成形品の製造方法の概略を説明する図である。
【0049】
(1)まず、
図6Aに示すように、第1シューボックス15Aによって、充填部Aに第1金属粉末P1を供給する(下層充填)。
(2)次に、
図6Bに示すように、第1金属粉末P1が供給されたダイ11を上昇させて充填部Aにキャビティを形成する。
(3)次いで、
図6Cに示すように、第1金属粉末P1が供給された充填部Aの上に仮押しパンチ51を移動させて、所定位置で停止させる。このとき、位置決め部材34が被当接部11Sに当接されることで、仮押しパンチ51を充填部Aの直上に正確に位置させることができる。
(4)次に、
図6Dに示すように、上ラム12が下降して、仮押し治具60がフランジ51Fを押圧することで仮押しパンチ51が下降して、充填部Aに供給された第1金属粉末P1を仮押しする。
(5)次に、
図6Eに示すように、仮押しパンチ51により第1金属粉末P1を仮押しして上ラム12が上昇すると、仮押し治具60によるフランジ51Fの押圧が解除される。その結果、仮押しパンチが上昇する。
(6)次に、
図6Fに示すように、第2シューボックス15Bが前進して、充填部Aに第2金属粉末P2を供給する。
(7)次に、
図6Gに示すように、上ラム12が下降して、上パンチ12Pによって充填部Aに積層された第1金属粉末P1及び第2金属粉末P2が圧粉されて、粉末成形品を成形する。
(8)次に、
図6Hに示すように、ダイ11が下降することにより成形された粉末成形品Wを充填部Aから抜き出す。
このようにして、本実施形態に係る粉末成形機1を用いた粉末成形品Wの製造が完了する。
【0050】
また、一実施の形態に係る粉末成形品の製造方法によれば、上ラム12によって仮押しパンチ51を下降させて仮押しパンチ51を下降させるので、仮押しパンチ51を正確に下降させることができる。
【0051】
また、一実施形態に係る粉末成形装置1、仮押し装置2によれば、上ラム12の大きな力により仮押しパンチ51を下降させて充填部Aに供給された金属粉末P1、P2を仮押しするので、仮押しを確実に行うことができる。
その結果、粉末成形品Wにばらつきが発生するのを抑制して、粉末成形品の品質を向上することができる。
【0052】
一実施形態に係る仮押し装置2によれば、仮押しパンチ51が、圧縮スプリング57によって充填部Aから上方に向かって付勢されているので、上ラム12により仮押しパンチ51を押圧するのが解除されると、仮押しパンチ51は、動力を与えられなくても上昇して、充填部Aから抜き出されるので、小さなスペースにおいて、仮押しパンチ51を効率的に上昇させることができる。
【0053】
また、仮押し装置2によれば、仮押しパンチ51が、着脱可能とされたアタッチメント5に配置され、仮押し治具60が上パンチ12Pが設けられたプレートに着脱自在とされているので、部材成形対象の粉末成形品を変更する際に、仮押しパンチ51を容易かつ効率的に交換することができる。
その結果、複数種類の粉末成形品を製造する場合に、段取り替えの生産性を向上することができる。
【0054】
さらに、駆動部側エアシリンダ24を用いて従動部30に発生する衝撃を緩衝することにより、従動部30の移動を高速にすることができる。
【0055】
また、位置決め部材34を備えているので、駆動部20の動作速度を速めることができ、上ラム12を用いた仮押しをする粉末成形における所要時間を短くでき、粉末成形における生産性が向上することができる。
【0056】
以上、この発明の一実施形態に係る粉末成形装置1について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態においては、上ラムがCNC制御により下降される場合について説明したが、上ラムが所定タイミングで仮押し動作と対応する位置まで下降可能である場合には、上ラムの下降はCNC制御に限定されることなく、任意に設定することが可能である。
【0058】
また、上記実施の形態においては、仮押しパンチ51がアタッチメント5に設けられる場合について説明したが、仮押しパンチ51を仮押し装置2に直接設ける構成としてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、上パンチに設けられた仮押し治具60が、仮押しパンチ51のフランジ51Fを押圧する場合について説明したが、仮押し治具60が仮押しパンチ51の周縁部より内方の位置を押圧するように形成されてもよい。
また、仮押し治具60を設けずに、上パンチ12Pの一部によって仮押しパンチ51を押圧するように構成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態においては、仮押しパンチ51が圧縮スプリング57によって上方に移動する場合について説明したが、圧縮スプリング57以外のバネやエアクッション等、圧縮スプリング以外の付勢部材を用いてもよい。
また、付勢部材に代えて、例えば、エアシリンダ等のアクチュエータを用いてもよいことはいうまでもない。
【0061】
また、上記実施の形態においては、材料粉末が金属粉末である場合について説明したが、例えば、セラミックス等、金属粉末以外の材料粉末に適用してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態においては、第1金属粉末、第2金属粉末P2を供給して、二層の粉末成形品を成形する場合について説明したが、三層成形以上の粉末成形品に適用してもよい。
【0063】
また、仮押し装置2が給粉装置15と別々に設けられている場合について説明したが、給粉装置15に設けてもよい。
また、上記実施の形態においては、仮押し装置2が、駆動部側エアシリンダ24、センサ、位置決め部材34を備える場合について説明したが、これらを設けるかどうかは任意に設定することができる。
【0064】
また、駆動部20として、位置情報検出機能を備えたステッピングモータ(パルスモータ)、インバータ制御の誘導モータなどを用いてもよい。