特許第6355258号(P6355258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000002
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000003
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000004
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000005
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000006
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000007
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000008
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000009
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000010
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000011
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000012
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000013
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000014
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000015
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000016
  • 特許6355258-フック付バケットリンク装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355258
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】フック付バケットリンク装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20180702BHJP
   B66C 1/68 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   E02F3/36 Z
   B66C1/68 A
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-242742(P2014-242742)
(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-104929(P2016-104929A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081569
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 勝一
(74)【代理人】
【識別番号】100156018
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 充史
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】津村 浩志
(72)【発明者】
【氏名】高野 賢一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慧
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−181532(JP,A)
【文献】 特許第4271819(JP,B2)
【文献】 実開昭62−200688(JP,U)
【文献】 特開2004−218228(JP,A)
【文献】 特開2007−161397(JP,A)
【文献】 特開2011−021440(JP,A)
【文献】 特開2007−161357(JP,A)
【文献】 特開2013−136899(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/015912(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/36
B66C 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットとバケットシリンダとの間に、一端部をバケットシリンダに第1の連結ピンにより連結しており、他端部をバケットに第2の連結ピンにより連結しているバケットリンク
前記第2の連結ピンに回動可能に連結される連結部、および前記連結部に取付けられたフック本体を有するフック装置と、
前記フック装置の出し入れ用の開口部を片面に有する前記バケットリンクに設けられ、前記フック装置を格納可能な格納スペースと、
前記格納スペース内で前記フック本体を左右両側から対でガイドするように前記格納スペース内に設けられる第1のガイド部材および第2のガイド部材と、
前記第1のガイド部材に設けられた枢着軸を中心として、前記フック装置の出し入れ方向に対して交差する方向に回動可能に設けられ、前記フック装置が前記格納スペース内から抜け出すことを防止するラッチ部材と、
前記フック本体が前記格納スペース内に格納された状態前記ラッチ部材をフック本体側に突出させて前記フック本体を係止する方向に付勢するように前記第1のガイド部材と前記ラッチ部材との間に設けられたばねとを備え、
前記ラッチ部材は、前記ばねにより、前記ラッチ部材に設けた係止部を前記フック本体の弧状部に当接させて前記弧状部を前記第2のガイド部材側に押圧することにより、前記ラッチ部材の前記係止部と前記第2のガイド部材との間で前記弧状部を挟持して前記フック装置を抜け止めする構造を有するフック付バケットリンク装置において、
前記バケットリンクにおける前記格納スペースの開口部の反対側の奥面を形成する底板部側にあって、前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材より前記第2の連結ピン側の位置には前記底板部側から前記フック本体の前記弧状部の基端部側外周面に向かって突出する止め部を設けており、
前記止め部には前記フック本体の前記弧状部における基端部側外周面が当接する傾斜面が設けられており、この傾斜面に前記フック本体の前記弧状部における基端部側外周面を当接させることにより、前記フック装置が前記第2の連結ピンとの連結部側にずれることを防止できるように構成していることを特徴とするフック付バケットリンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルのバケットシリンダとバケットとの間に取付けられるバケットリンクに係り、より詳しくは、吊荷作業を行なうフックを格納したフック付バケットリンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルにおいて、比較的軽量な荷物の吊荷作業を行なうため、バケットシリンダとバケットの間を連結するバケットリンクに、吊荷用のフックを設けたものが従来より知られている。このようなフック付バケットリンク装置において、土砂等の掘削作業を行なう際は、バケットリンク内に形成された格納スペースにフックを格納しておき、吊荷作業を行なう際には、フックを格納スペースから取出し、このフックに荷物を掛けて吊荷作業を行なう。
【0003】
従来のフック付バケットリンク装置は、格納スペースにフックを格納した際に、ボルト等の固定具を用いてフックを固定する構成を有していた。しかしながら、固定具を用いてフックをバケットリンク内に固定する構造では、フックの着脱に手間がかかる。そこで、このような手間を省く従来のフック付バケットリンク装置として、特許文献1に記載のものがある。
【0004】
この特許文献1に記載のフック付バケットリンク装置は、格納スペース内に、フックの出入り方向に対して交差する方向に進退可能としたラッチ部材を設け、ラッチ部材はフックを係止する側にばねによって常時付勢された構造を有する。そしてフックを格納スペース内に格納する際には、フックの弧状部のうち、先行する基端部側の弧状部がラッチ部材を押しのけ、フックの弧状部がラッチ部材を超えると、ラッチ部材がばねの力により原位置に復帰し、ラッチ部材がフックの弧状部の内側に挿入されてフックを抜け止めするように構成されている。
【0005】
特許文献1に開示された構成のリンク装置は、リンク内の格納スペース内にフックを格納する作業だけでフックを抜け止めすることができ、格納スペースからフックを取出す際には、ばねの力に抗してラッチ部材をフックの格納位置から退避させることにより、フックを取出すことができる。このため、特殊の固定具を用いることなく、フックの格納、取出しを行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4271819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された構成のリンク装置は、ラッチ部材によってフックの抜け出しを防止するために、フックの弧状部内にラッチ部材を挿入する構造としているので、フックをバケットリンク内に格納した状態においてフックにガタつきが生じ、作業によってバケットリンクに作用する振動により、フック装置が損傷しやすくなるというおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、バケットリンク内にフック装置を格納した状態でのフック装置のガタつきが防止される構成のフック付バケットリンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフック付バケットリンク装置は、
バケットとバケットシリンダとの間に、一端部をバケットシリンダに第1の連結ピンにより連結しており、他端部をバケットに第2の連結ピンにより連結しているバケットリンク
前記第2の連結ピンに回動可能に連結される連結部、および前記連結部に取付けられたフック本体を有するフック装置と、
前記フック装置の出し入れ用の開口部を片面に有する前記バケットリンクに設けられ、前記フック装置を格納可能な格納スペースと、
前記格納スペース内で前記フック本体を左右両側から対でガイドするように前記格納スペース内に設けられる第1のガイド部材および第2のガイド部材と、
前記第1のガイド部材に設けられた枢着軸を中心として、前記フック装置の出し入れ方向に対して交差する方向に回動可能に設けられ、前記フック装置が前記格納スペース内から抜け出すことを防止するラッチ部材と、
前記フック本体が前記格納スペース内に格納された状態前記ラッチ部材をフック本体側に突出させて前記フック本体を係止する方向に付勢するように前記第1のガイド部材と前記ラッチ部材との間に設けられたばねとを備え、
前記ラッチ部材は、前記ばねにより、前記ラッチ部材に設けた係止部を前記フック本体の弧状部に当接させて前記弧状部を前記第2のガイド部材側に押圧することにより、前記ラッチ部材の前記係止部と前記第2のガイド部材との間で前記弧状部を挟持して前記フック装置を抜け止めする構造を有するフック付バケットリンク装置において、
前記バケットリンクにおける前記格納スペースの開口部の反対側の奥面を形成する底板部側にあって、前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材より前記第2の連結ピン側の位置には前記底板部側から前記フック本体の前記弧状部の基端部側外周面に向かって突出する止め部を設けており、
前記止め部には前記フック本体の前記弧状部における基端部側外周面が当接する傾斜面が設けられており、この傾斜面に前記フック本体の前記弧状部における基端部側外周面を当接させることにより、前記フック装置が前記第2の連結ピンとの連結部側にずれることを防止できるように構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフック付バケットリンク装置は、バケットリンクの格納スペースに、バケット本体を間に挿入する第1のガイド部材と第2のガイド部材を設け、第1のガイド部材にラッチ部材を設け、ラッチ部材に設けた係止部を、ばねによりフック本体の弧状部に当接させてフック本体を第2のガイド部材側に押圧することにより、ラッチ部材の係止部と第2のガイド部材との間でフック本体を加圧状態で挟持してフック装置を抜け止めする構造としたので、バケットリンク内にフック装置を格納した状態において、フック装置のガタつきが防止され、油圧ショベルの作業中におけるフック装置の振動による損傷を防止することができる。
【0011】
また、本発明のフック付バケットリンク装置は、前記フック装置が前記第2の連結ピンとの連結部側にずれることを防止する止め部を、底板部側から突出させて設けたので、バケットリンクの下端のボスおよびフック装置のボスのピン孔の位置をバケットのボスのピン孔の位置に合わせてピンを挿着する場合、バケットリンクの下端のボスおよびフック装置のボスのピン孔の位置を容易に合わせることができ、バケットリンクとバケットとのピンによる連結が容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のフック付バケットリンク装置を適用する油圧ショベルの一例を示す側面図である。
図2】本発明のフック付バケットリンク装置の一実施の形態を示す図1のD拡大矢視図である。
図3】(A)は図2のE−E拡大断面図、(B)は(A)のF−F断面図である。
図4】(A)は本実施の形態のフック付バケットリンク装置において、格納スペース内にフック装置を格納した状態を開口部側から見た図、(B)は(A)のG−G断面図である。
図5】(A)は図4(A)のH−H拡大断面図、(B)はその部分拡大断面図である。
図6図4(B)の部分拡大断面図である。
図7】本実施の形態において、バケットリンクとバケットとの連結作業状態を示す側面図である。
図8】本発明のフック付バケットリンク装置の他の実施の形態を示す図4(A)相当断面図である。
図9】(A)は図7の実施の形態において、フック本体の弧状部の外れ止め側を格納スペースに先行して格納した状態を示す断面図、(B)はそのI−I断面図である。
図10】(A)は図7の実施の形態のフック付バケットリンク装置において、格納スペース内にフック本体の弧状部の基端側を先行させて格納した状態を示す断面図、(B)はその部分拡大断面図である。
図11】(A)は図9のJ−J拡大断面図、(B)は(A)の部分拡大断面図である。
図12図9(B)の部分拡大断面図である。
図13】(A)は本発明のフック付バケットリンク装置の他の実施の形態を示す図1のD拡大矢視図、(B)は(A)のK−K断面図である。
図14】(A)は図13の実施の形態のフック固定装置を格納スペースの開口部側から見た図、(B)は(A)のM矢視図である。
図15】(A)は図14(A)のP矢視図、(B)は図14(A)のN−N断面図である。
図16】(A)は図13(A)のL−L拡大断面図、(B)は図13の実施の形態において、弧状部の外れ止め側を格納スペースに先行して格納した状態を示す(A)相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明によるフック付バケットリンク装置を適用する油圧ショベルの一例を示す側面図である。図1において、1は下部走行体、2は下部走行体1上に旋回装置3を介して設置した上部旋回体である。この上部旋回体2は旋回フレーム4上に油圧源装置5や運転室6を搭載し、かつ旋回フレーム4に作業装置7を取付けたものである。作業装置7は、旋回フレーム4にブームシリンダ8により起伏可能に取付けたブーム9と、ブーム9にアームシリンダ10により回動可能に取付けたアーム11と、アーム11にピン12により回動可能に取付けたバケット13と、バケット13をアームリンク14およびバケットリンク15を介して回動させるバケットシリンダ16とを備える。
【0014】
アームリンク14は、一端部をアーム11にピン17により連結し、他端部をバケットシリンダ16のピストンロッド16aとバケットリンク15の一端部にピン(第1の連結ピン)18により連結する。バケットリンク15の他端部は、バケット13に設けたブラケット19にピン(第2の連結ピン)20により連結する。21はピン20に回動可能に取付けられたフック装置である。
【0015】
図2は本発明のバケットリンク装置の一実施の形態を示す図1のD拡大矢視図、図3(A)は図2のE−E断面図、図3(B)は図3(A)のF−F断面図である。また、図4(A)は本実施の形態のフック付バケットリンク装置において、格納スペース内にフック装置を格納した状態をバケットリンク15の開口部側から見た図、図4(B)は図4(A)のG−G断面図である。また、図5(A)は本実施の形態におけるフック本体の係止状態を示す断面図、図5(B)はその部分拡大断面図である。
【0016】
図2に示すように、バケットリンク15はそのバケットシリンダ16側に、バケットシリンダ16のピストンロッド16aとアームリンク14にピン18により連結する左右一対のボス24a,24aを有し、これらのボス24a,24aによりバケットシリンダ16のピストンロッド16aおよびアームリンク14との連結部24が構成される。バケットリンク15のバケット13側には、バケット13のブラケット19に設けたボス19a,19aにピン20により連結する左右一対のボス25a,25aからなる連結部25を有する。
【0017】
図4(A),(B)に示すように、フック装置21は連結部26とフック本体27とにより構成される。連結部26は、バケットリンク15のバケット側連結部25のボス25a、およびバケット13のブラケット19に設けたボス19aに挿着されるピン20に連結する。フック本体27は、連結部26に対し、枢着軸28を中心として、矢印53で示す方向、すなわち、フック装置21のピン20を中心とする回動方向に対して直角をなす方向に回動可能に取付けられる。このフック本体27は、枢着軸28により連結部26に連結される円筒状をなす基端部27aと、この基端部27aに対して軸受29を介して回動可能に結合される弧状部27bとからなる。すなわち弧状部27bは、基端部27aの円筒部の軸線30を中心として回動可能である。32は弧状部27bの先端側に取付けた外れ止めであり、吊荷を支持するワイヤ等の支持部材が弧状部27bから外れることを防止するものである。
【0018】
バケットリンク15にはフック装置21を格納可能な格納スペース33が形成される。この格納スペース33は、バケットリンク15の左右の側板部15a,15aと、これらの側板部15a,15aの片側、すなわちアーム11側の部分間に溶接されて格納スペース33の奥面を形成する底板部15bと、バケットシリンダ16のピストンロッド16aとの連結部24側において、側板部15a,15a間および底板部15bに溶接された補強兼保護板部15cとにより構成される。格納スペース33においては、その片面、すなわち底板部15bの反対側の面がフック装置21を出し入れする開口部33aとなる。
【0019】
35はフック装置21を格納スペース33内に格納した状態において、フック装置21を格納スペース33内に固定しておく固定装置である。この固定装置35は、図2および図4(A),(B)に示すように、底板部15bに取付ける取付け板37と、この取付け板37に溶接された第1のガイド部材38および第2のガイド部材39と、第1のガイド部材38に取付けられたラッチ部材40と、止め部41とを備える。
【0020】
取付け板37は略矩形をなし、図3(A),(B)に示すようにその4隅近傍に設けたボルト挿通孔37aにボルト42を挿通し、底板部15bに設けたねじ孔43に螺合し締結することにより、底板部15bに取付ける。
【0021】
第1のガイド部材38は、互いに平行をなすように取付け板37に溶接された板材38a,38aと、これらの板材38a,38a間および取付け板37に溶接された板材38bとからなる。第2のガイド部材39は、フック装置21の出し入れの際にフック本体27を第1のガイド部材38との間で左右両側からガイドするように、フック装置21の出し入れ方向に対して交差する方向に第1のガイド部材38と対向するように、取付け板37に溶接して固定される。
【0022】
ラッチ部材40は、第1のガイド部材38の板材38a,38a間に位置し、これらの板材38a,38aに挿着して設けた枢着軸44を中心として、フック装置21の出し入れ方向に対して交差する方向に回動可能に取付ける。40aはラッチ部材40の操作部、40bはフック本体27の弧状部27bに当接させて係止する係止部であり、この例の係止部40bは、略くの字形の凹状に形成している。
【0023】
45はラッチ部材40を第2のガイド部材39側に突出させてフック本体27の弧状部27bを押圧するために、第1のガイド部材38とラッチ部材40との間に設けたばねであり、図3(A)の矢印46に示す回動方向にラッチ部材40を付勢するものである。本例ではこのばね45が枢着軸44に巻装したコイルばねであるものについて示す。ラッチ部材40の操作部40aはフック装置21が格納スペース33から取り出されている状態においては、ばね45の弾力により、第1のガイド部材38の板材38bの端部に当接する。この操作部40aが板材38bの端部に当接した状態においては、操作部40aを含めラッチ部材40の開口部33a側の面は、第1のガイド部材38の開口部33a側の面より底板部15b側、すなわち格納スペース33の内側に位置する。
【0024】
止め部41は、フック装置21を格納した状態でバケット13にバケットリンク15をピン20により連結する際に、フック装置21のずれを防止し位置決めするためのものである。この止め部41は、第1のガイド部材38および第2のガイド部材39よりもバケット側連結部25寄りに、取付け板37から突出するように溶接して固定する。この止め部41は、バケット側連結部25側が高くなるようにした傾斜面(弧状面でもよい)41aと、取付け板37に対して略直角をなす縦面41bとを有する。
【0025】
この構成において、図1に示すように、フック装置21がピン20により垂下された状態からバケットリンク15内に格納する際には、図5(A)に矢印48に示すように、フック本体27の弧状部27bのうち、外れ止め32(図4(A),(B)参照)側の部分27b2の反対側の部分27b1側をバケットリンク15側に向けてバケットリンク15内に入れる。この際、第1のガイド部材38と第2のガイド部材39との間に弧状部27bを案内させてばね45の弾力に抗してフック装置21を押し込む。これにより、ラッチ部材40は枢着軸44を中心として矢印49に示すように回動する。そして、弧状部27bが取付け板37に到達すると、ラッチ部材40がばね45の弾力で矢印49の反対方向に回動し、ラッチ部材40の係止部40bが弧状部27bの反外れ止め側の部分27b1の内側に当接し、弧状部27bは、ばね45の弾力により、第2のガイド部材39側に押し付けられる。
【0026】
図5(B)に示すように、ばね45の弾力によってラッチ部材40を第2のガイド部材39に押し付けた状態において、ラッチ部材40の第2のガイド部材39側の端部40cは、弧状部27bの反外れ止め側部分27b1の第1のガイド部材38側の側面50から第2のガイド部材39側に幅Wにわたって突出する。同時に、ラッチ部材40の取付け板37側の面40dは、弧状部27bの反外れ止め側部分27b1の内面(すなわち取付け板37の反対側の面)51より、取付け板37側にhに示す幅だけ突出する。
【0027】
そして、この弧状部27b、すなわちフック本体27を係止した状態においては、係止部40bが取付け板37(すなわちバケットリンク15の底板部15b)に対してなす角度θ1は鋭角をなす。これにより、弧状部27bの反外れ止め側部分27b1は、ラッチ部材40によってばね45の弾力により矢印F1で示すように、第2のガイド部材39側に押圧される力を受けると共に、矢印F2で示すように、取付け板37側、すなわち底板部15b側に押圧される力を受ける。このため、フック本体27を格納スペース33内に格納した状態において、フック本体27の弧状部27bはラッチ部材40の係止部4bと第2のガイド部材39との間で加圧され挟持された状態で保持されるから、バケットリンク15内にフック装置21を格納した状態において、バケットシリンダ16の動きによってフック装置21がガタつくことが防止される。このため、油圧ショベルの掘削作業中におけるフック装置21の損傷が防止される。
【0028】
また、本実施の形態においては、図6に示すように、取付け板37上に設けた止め部41の傾斜面41aに弧状部27bのうち、反外れ止め側部分27b1の連結部26側、すなわち基端部27a側の外周面27b3が当接し、フック装置21が図4(A)の矢印52に示す方向にずれることが防止される。このため、図7に示すように、アーム11にピン12によりバケット13を取付けてアーム11から垂下した後、バケットリンク15の下端のボス25aおよびフック装置21のボス26aのピン孔の位置をバケット13のボス19aのピン孔の位置に合わせてピン20を挿着する場合、バケットリンク15の下端のボス25aおよびフック装置21のボス26aのピン孔の位置を容易に合わせることができ、バケットリンク15とバケット13とのピン20による連結が容易に行なえる。
【0029】
また、図3(A),(B)に示すように、フック装置21が格納スペース33から抜け出した状態において、ラッチ部材40は第1のガイド部材38から開口部33a側に突出しない構造であるため、アーム11やバケット13等の急激な動きによってフック装置21が急激に動いても、フック装置21の動きは比較的強度の高い第1のガイド部材38により受けられ、ラッチ部材40への衝突が回避されるので、フック装置21がラッチ部材40に衝突してラッチ部材40を損傷することが防止される。
【0030】
図8は本発明の他の実施の形態を示す図3(A)相当断面図であり、ラッチ部材40の係止部として、図5(A),(B)に示したように、弧状部27bの外れ止め側の反対側の部分27b1を先行して格納スペース33内に格納する場合に係止する係止部(第1の係止部)40bのみならず、図9(A),(B)に示すように、弧状部27bの外れ止め側の部分27b2を先行させて格納スペース33内に格納する場合にもこの部分27b2を係止する係止部(第2の係止部)40eを設けたものである。
【0031】
図10(A),(B)は図4(A),(B)に示したように、弧状部27bのうち、外れ止め32の反対側の部分27b1を先行させて格納スペース33に挿入してその部分27b1をラッチ部材40の第1の係止部40bにより係止する場合の係止状態を示すもので、この場合のラッチ部材40による係止構造は、図5(A),(B)について説明した通りである。このため、重複する説明を省く。
【0032】
図11(A)は図9(A),(B)に示したように、弧状部27bのうち、外れ止め32側の部分27b2を先行させて格納スペース33に挿入してその部分27b2をラッチ部材40の第2の係止部40eにより係止する場合の係止状態を示し、図11(B)はその部分拡大断面図である。この図11(A),(B)に示す係止状態においては、第2の係止部40eが取付け板37(すなわち底板部15b)に対して鋭角θ2で当接することにより、第1の係止部40bによる方向と同様の方向の2方向の力F1,F2で弧状部27bの外れ止め32側の部分27b2を第2のガイド部材39側に押圧するため、このように反転した格納姿勢でもガタつきなくバケットリンク15内に格納することができる。
【0033】
このように、図8図11に示した実施の形態においては、フック装置21のフック本体27の弧状部27bの向きを考慮することなく、フック装置21を格納スペース33内に格納することができるため、格納作業が容易となる。
【0034】
また、図12に示すように、フック装置21を格納スペース33内に格納した状態においては、弧状部27bの先端部27b4が止め部41の縦面41bに当接するため、図7に示したようにバケット13とバケットリンク15とのピン20による連結を行なう場合に、フック装置21のボス26aのピン孔を、バケットリンク15のボス25aおよびバケット13のボス19aのピン孔に容易に合わせることができ、ピン付け作業が容易となる。
【0035】
図13(A)は本発明のフック付バケットリンク装置の他の実施の形態を、バケットリンク15の開口部側から見た図、図13(B)は図13(A)のK−K断面図である。また、図14(A)はこの実施の形態のフック装置の固定装置を、格納スペースの開口部側から見た図、図14(B)は図14(A)のM矢視図
図15(A)は図14(A)のP矢視図、図15(B)は図14(A)のN−N断面図である。また、図16(A)は図13(A)のL−L拡大断面図、図16(B)はこの実施の形態において、弧状部27bの外れ止め側の部分27b2を格納スペースに先行して格納した状態を示す図16(A)相当断面図である。
【0036】
図13図16の実施の形態は、取付け板37に溶接により固定する第1のガイド部材38Aを門型に構成し、この第1のガイド部材38Aの内部に、枢着軸44を中心としてラッチ部材40Aを回動可能に取付けたものである。40Xはラッチ部材40Aのロッド状をなす操作部であり、図15(A),(B)に示すように、フック装置21が格納スペース33から取り出された状態において、この操作部40Xが15(B)の矢印に示すばね45の弾力によって第1のガイド部材38Aの端面38Xに当接することにより、ラッチ部材40Aの姿勢を規制し、操作部40X自体が第1のガイド部材38A内に没入することを防止して、操作性を確保するものである。
【0037】
40fは図16(A)に示すように、弧状部27bの外れ止め32の反対側部分27b1を先行させて弧状部27bを格納スペース33内に格納する際に、外れ止め32の反対側部分27b1を係止するための係止部(第1の係止部)であり、側面視が略くの字形をなすように形成されている。40gはこの係止部40fに連続して設けられた係止部(第2の係合部)であり、図16(B)に示すように、弧状部27bの外れ止め32側の部分27b2を先行させて格納スペース33内に格納する際に、外れ止め32側の部分27b2に当接させて係止するものである。この第2の係止部40gは図8に示す実施の形態と異なり、平面状に形成されている。
【0038】
なお、図14(A)に示すように、取付け板37をバケットリンク15の底板部15bに取付けるための取付け孔37aは、バケットリンク15の長手方向に長い長孔とすることにより、このフック装置の固定装置35Aはバケットリンク15の長手方向に位置調整可能に取付けられる構造としている。
【0039】
この実施の形態のように、第1のガイド部材38Aを門型に構成すれば、第1のガイド部材38Aの強度を高めることができると共に、ラッチ部材40Aが第1のガイド部材38A内に取付けられるため、フック装置21が格納スペース33から取り出された状態において、アーム11やバケット13等の急激な動きによってフック装置21が急激に動いても、フック装置21の動きは強度の高い第1のガイド部材38により受けられ、ラッチ部材40への衝突が回避されるので、フック装置21がラッチ部材40に衝突してラッチ部材40を損傷することが防止される。
【0040】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明を実施する場合、その要旨を変更しない範囲で、具体的な構造においては、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0041】
13 バケット
15 バケットリンク
16 バケットシリンダ
18 第1の連結ピン
20 第2の連結ピン
21 フック装置
24,25 連結部
26 連結部
27 フック本体
27a 基端部
27b 弧状部
27b1 反外れ止め側部分
27b2 外れ止め側部分
32 外れ止め
33 格納スペース
33a 開口部
38,38A 第1のガイド部材
39 第2のガイド部材
40 ラッチ部材
40b,40e,40g 係止部
41 止め部
44 枢着軸
45 ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16