(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355273
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】手動式ホットメルト糊付機
(51)【国際特許分類】
B29C 65/40 20060101AFI20180702BHJP
B05C 17/025 20060101ALI20180702BHJP
B05C 1/02 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
B29C65/40
B05C17/025
B05C1/02 102
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-145856(P2016-145856)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-15922(P2018-15922A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年6月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2016年4月6日〜9日開催の国際アパレル機器&繊維産業見本市
(73)【特許権者】
【識別番号】516223997
【氏名又は名称】青田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞
(74)【代理人】
【識別番号】100161252
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】青田 崇
【審査官】
関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−266975(JP,A)
【文献】
特開昭57−094369(JP,A)
【文献】
実開昭57−156168(JP,U)
【文献】
実開昭49−039863(JP,U)
【文献】
特開2011−251241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82
B05C 1/00− 1/16
B05C 3/00− 3/20
B05C 7/00− 7/08
B05C 9/00− 9/14
B05C 11/00−11/11
B05C 17/00−17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融したホットメルト糊を手動でローラ塗付する手持ち型糊付機であって、ホットメルト糊を加熱溶融して貯える金属製糊タンクと、該糊タンク内のホットメルト糊を所定温度に溶融加熱する電熱ヒータ及び加熱温度調節用サーモスタットと、該糊タンクの底面端部の流出口に繋がる塗付用ローラと、を備え、該電気ヒータと該サーモスタットを5〜20mmの距離に近接した状態で該糊タンク底部に外付けして設置したことを特徴とする手動式ホットメルト糊付機。
【請求項2】
前記塗付用ローラが、前記糊タンクの底面端部に直付けされたローラアタッチメントに軸支されると共に、該ローラアタッチメントに該塗付用ローラ面の糊付け厚みを調整する糊排出側と糊戻し側との前後二箇所にスクレーパを設けたことを特徴とする請求項1に記載の手動式ホットメルト糊付機。
【請求項3】
前記塗付用ローラが、ローラの全表面に亘り綾目又は枡目又は穴型ローレットを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の手動式ホットメルト糊付機。
【請求項4】
前記金属製糊タンクを離隔して内包する糊タンク部と、該糊タンク部から離れた位置に把手部と、を有する樹脂製外装フレームを設け、また該外装フレームの底面をテーブル面に載置した場合、前記塗付用ローラがテーブル面から離隔されるように該外装フレームの底面を形成していることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の手動式ホットメルト糊付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式ホットメルト糊付機に関し、詳しくは、合成ゴム系等の熱可塑性樹脂をホットメルト糊として接着のために加熱溶融して、被接着材に塗付して糊付けするハンディータイプのホットメルト糊付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、水や溶剤を全く含まない熱可塑性樹脂を主成分とした常温で固体の接着剤で、熱(80〜100℃)を掛けて融かして接合させるもので、エチレン酢酸ビニル(EVA)のような熱可塑性樹脂が使われる。ホットメルト接着剤は、主としてスチック状のもの、ペレット状のものがあり、スチック状のものはグルーガンで使われるが、工業的にはペレット状のホットメルト接着剤をアプリケータと呼ばれる加熱溶融塗付装置により溶融し、液状にてガンにより被接着体に塗付し、圧着、冷却させて接着が行われる。接着する時間は、冷却固化に要する時間だけでよく数秒から数分で接着が完了する。
【0003】
先行技術として、小型のアプリケータであって、原料のホットメルトペレットをシリンダ内で加熱溶融して、スクリュー式押出機によりガンでホットメルトを吐出し塗付する技術が開示されている。(文献1)
【0004】
この先行技術は、押出機のシリンダのペレット供給部を冷却する冷却手段を有すると共に、下流部を加熱する加熱手段を有しているので、原料ペレットの供給部での詰まりを防止し、下流部でペレットが速やかに溶融され、短時間で効率よく被塗装体にホットメルトを塗付する点で優れ、また、小型化が容易である点では優れたアプリケータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−251241公報(〔0008〜0009〕、〔
図2〜6〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記先行技術は、靴、カバン等の小物の接着作業で使われる、より小型で、小回りの効く手動式糊付機としては適用し難い問題があった。本発明者等は、従来、
図5に示す小型、軽量の手動式ホットメルト糊付機を製作、販売、使用し、靴、カバン等の業界において、ミシン加工前の仮付け作業が、両面テープに比べて、簡易に、安価で行えるようにした。しかし、この手動式ホットメルト糊付機は、ホットメルトペレットを加熱溶融する糊タンクにおいて、加熱ヒータと温度調節用サーモスタットの位置関係が不適切で、糊タンク内壁面の温度分布に不具合があり、ホットメルトの接着力の低下、焦げ、変色などの問題が生じていた。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決したものであって、糊タンクでホットメルト樹脂を適温に溶融保持できると共に、糊を適切に被接着物にローラ塗付できる手動式ホットメルト糊付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る手動式ホットメルト糊付機は、溶融したホットメルト糊を手動でローラ塗付する手持ち型糊付機であって、ホットメルト糊を加熱溶融して貯える金属製糊タンクと、該糊タンク内のホットメルト糊を所定温度に溶融加熱する電熱ヒータ及び加熱温度調節用サーモスタットと、該糊タンクの底面端部の流出口に繋がる塗付用ローラと、を備え、該電気ヒータと該サーモスタットを
5〜20mmの距離に近接した状態で該糊タンク底部に
外付けして設置したことを特徴とする。
【0009】
この構成により、近接したサーモスタットで行う電熱ヒータのオンオフ制御がタイムラグが少ない状態で実施できるから、設定温度を中心にオーバーシュートが小さくなり糊タンク全体に亘って過大な温度部分が無く設定温度に保持し易い。また、糊タンク底面に電熱ヒータがあるので、貯める糊量の多少に拘わらず糊の加熱が適切に行え、例え糊量が少なくなっても過熱されることがない。また、糊タンク内で設定温度で安定した温度で糊を溶融して貯めることができ、しかも設定温度を超える場所が無いから、糊漏れ、糊の焦げ付き、異臭、変色、炭化、接着力の低下等を防止することができる。
【0010】
請求項2に係る手動式ホットメルト糊付機は、請求項1に記載の手動式ホットメルト糊付機において、前記塗付用ローラが、前記糊タンクの底面端部に直付けされたローラアタッチメントに軸支されると共に、該ローラアタッチメントに該塗付用ローラ面の糊付け厚みを調整する糊排出側と糊戻し側の前後二箇所にスクレーパを設けたことを特徴とする。
【0011】
この構成により、糊タンクから塗付用ローラ面へ供給される糊液通路が短くて、流れ易くなっており、糊液のローラ面への供給が円滑に行われる。また、塗付用ローラの糊付け厚みを二箇所のスクレーパにより、一様な厚みに保つことができ、また厚み調整も容易であり、糊付け量の安定化と糊漏れ防止に貢献する。
【0012】
請求項3に係る手動式ホットメルト糊付機は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の手動式ホットメルト糊付機において、前記塗付用ローラが、ローラの全表面に亘り綾目又は枡目又は穴型ローレットを有することを特徴とする。
【0013】
該塗付用ローラがローラアタッチメントに軸支されているので、ローラ交換作業が容易にできる。また、塗付用ローラを選択することにより、被接着物への糊付け形状パターンを一様にしながら変えることが簡易であり、ひいては、被接着物への接着時間や接着強さなどの調節が適正に行え、かつ容易となる。
【0014】
請求項4に係る手動式ホットメルト糊付機は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の手動式ホットメルト糊付機において、前記金属製糊タンクを離隔して内包する糊タンク部と、該糊タンク部から離れた位置に把手部を有する樹脂製外装フレームを設け、また、該外装フレームの底面をテーブル面に載置した場合、前記塗付用ローラがテーブル面から離隔されるように該外装フレームの底面を形成していることを特徴とする。
【0015】
この構成をとることにより、本発明の手動式ホットメルト糊付機は、軽量で、糊液温度が外装フレームに直接伝達しないので、作業者の手元が熱くならないから糊付け作業を容易に行なえる。また、糊付機をテーブル面に載せた場合、塗付用ローラがテーブル面より離れた位置になるので、糊液がテーブルや被接着物に付着する恐れがないから、余分な注意を払わなくても、接着作業を円滑に実施し易い。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1,2,3に記載の手動式ホットメルト糊付機によれば、安定した温度でホットメルト糊を溶融することができ、ホットメルト糊の変色、糊焦げ等を防止して安定した糊付け作業ができる。また、糊タンク内部の場所による温度差が僅少になり、糊の種類に合った低い温度設定で、糊を安定して溶融し、糊の糸引きもなく、塗付ローラで安定して塗付作業ができる。また、ローレットの入った塗付ローラ及びスクレーパとの協同作用で、最適な塗付量の糊付けができ、糊液の漏れを防止できる。また、請求項4に記載の手動式ホットメルト糊付機によれば、糊タンク本体と塗付ローラ部以外は、樹脂製材料で外装フレームを形成しているので、糊付機の軽量化が図られると共に、糊タンクから遮熱されているので、本糊付機を用いた長時間の糊付け手作業が可能となった。また、使用後、本糊付機をテーブル面に載置した場合、塗付ローラがテーブル面より離隔し、また、糊タンクが糊の出難い方向に傾き、ローラ部よりの糊漏れを無くしている。
【0017】
本発明の手動式ホットメルト糊付機によれば、糊付機は軽量で、前述したように構造的に優れた特長があり、長時間手作業で糊付け作業をしても、肉体的、精神的に疲労をもたらさないので、糊付け作業を的確に、効率良く行うことができる。また、糊付機の構造が単純で、特徴があるので、製作が容易であり、製作コストも高価でなく、皮革業界のみならず梱包業界の分野で、糊付作業の合理化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施するための形態に係る手動式ホットメルト糊付機であって、載置状態にある糊付機の模式的縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のB−B矢視の塗付用ローラの表面形状を示す外形図であって、(a)は綾目ローレット、(b)は枡目ローレット、(c)は穴型ローレットである。
【
図4】
図4は、本発明の実施するための形態に係る手動式ホットメルト糊付機であって、使用状態を示す図である。
【
図5】
図5は、従来の手動式ホットメルト糊付機であって、模式的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係わる手動式ホットメルト糊付機を実施するための形態について
図1、2、3、4を用いて説明する。
図1は、本発明の実施するための形態に係る手動式ホットメルト糊付機1であって、載置状態にある模式的縦断面図である。また、
図2は、
図1の手動式ホットメルト糊付機1のA−A矢視の模式的断面図である。
図3は、
図1手動式ホットメルト糊付機1のB−B矢視の塗付用ローラ3のローレット面3−1の表面形状を示す外形図である。
図4は、本発明の手動式ホットメルト糊付機1を用いて、塗付用ローラ3で被接着材7にホットメルト糊6を糊付けしている使用状態を示す図である。
【0020】
図1、4に示すように、手動式ホットメルト糊付機1は、溶融したホットメルト糊6を手動で塗付用ローラ3で被接着材7に糊付けする手持ち型糊付機1であって、ホットメルト糊6を加熱溶融して貯える金属製糊タンク2と、糊タンク2内のホットメルト糊6を所定温度に溶融加熱する電熱ヒータ4及び加熱温度調節用サーモスタット4−1と、糊タンク2の底面端部の流出口2−2に繋がる塗付用ローラ3とローラアタッチメント3−3から主に構成されており、さらに金属製糊タンク2を内蔵する糊タンク部5−aと、糊タンク部5−aから離れた位置に把手部5−bを有する樹脂製外装フレーム5を設けている。
【0021】
糊タンク2は、アルミニウム合金、亜鉛合金等の軽金属で製作されるのが、軽量の点で望ましく、形状は、全体として内部空間を有する六面体であり、
図1に示すように、その縦断面は、歪な平行四辺形であり、その側壁とタンク底面2−1はホットメルト糊液6が貯液が少なくなっても流出口2−2に向かって流れ易いように緩い傾斜を付けている。また、
図2の横断面に示すように、側壁は垂直方向に平行である。糊タンク2は、本体と蓋からなり、本体の底面2−1には、電熱ヒータ4と近接するサーモスタット4−1を挿嵌して内蔵するヒータ取付部2−4を一体成型している。また、蓋は、糊タンク2の本体に螺着されると共に、中央にホットメルト糊6のペレットを装入する穴を設け、さらに、タンク2内を透視可能な樹脂製のタンク蓋2−3を設けて、密閉可能にしている。
【0022】
糊タンク2に溶融して貯糊するホットメルト糊は、EVA(エチレン酢酸ビニル)系糊、PO(ポリオレフィン)系糊、SR(合成ゴム)系糊などが使用でき、設定温度80〜150℃にサーモスタット4−1を設定し、電熱ヒータ4により設定温度に加熱する。本発明の糊タンク2の電熱ヒータ4とサーモスタット4−1の距離は5〜20mmと短いので、温度制御が的確に行えており、
図1の例に示すように、電熱ヒータ4に直近の糊タンク底面温度イが142℃、ヒータ収納外壁温度ロが123℃、糊タンク側壁温度ハが115℃を実測しており、温度差が20℃と溶融温度が安定した。因みに、本出願人の従来品である
図5の手動式ホットメルト糊付機1では、電熱ヒータ4とサーモスタット4−1の位置が離れている関係もあって、糊タンク2内に設置されている電熱ヒータ4の収納外壁温度イが242℃、糊タンク底面温度ロが153℃、サーモスタット4−1の近くの糊タンク側壁温度ハが119℃と温度レベルが高い所があり、温度差も100℃近く、溶融温度が不安定であった。よって、本願発明の手動式ホットメルト糊付機1では、糊タンク2全体を安定して加熱しているため、軟化点+20〜40℃の低い温度設定で、糊の糸引きなく糊が溶融し、塗付ローラ3にて安定して糊付けできる。なお、サーモスタット4−1は、設定温度調節機能付きサーモスタットを取付けて設定温度調整ができることも可能で、また、使用するホットメルト糊に適したサーモスタット4−1に取り替えることも可能である。
【0023】
図1、3に示すように、塗付用ローラ3は、糊タンク2の底面の端部近くに直付けされたローラアタッチメント3−3に、心棒3−2によって回転可能に軸支されている。また、糊タンク2からローラアタッチメント3−3を通って塗付用ローラ3へ供給される糊液通路2−2が短くて、流れ易い構成となっており、糊液6の塗付用ローラ3面への供給が円滑に行うことができる。さらに、ローラアタッチメント3−3と塗付用ローラ3との隙間が0.015〜0.05mmあるので、ホットメルト糊液6が適温を超えると、糊液6の粘度が変わり糊液漏れの原因となっていた。そこで、本発明では、塗付用ローラ3のローラ面の糊付け厚みを調整する糊排出側と糊戻し側の二箇所にスクレーパ3−5,3−6を設けて、糊付け厚みを一様な厚みに保つことができ、また厚みの調整も容易となり、糊付け量の安定化と糊漏れ防止に貢献する。
【0024】
また、塗付用ローラ3の表面がローレット面3−1となっており、ローレット面3−1として、綾目(a)、枡目(b)、穴型(c)の3種類のローレットから選択できる。これらのローレット面3−1を有する塗付用ローラ3を選択することにより、
図4に示すように、被接着物7への糊付け作業において、糊の形状やパターンを一様に実現でき、しかも塗付用ローラ3を交換することにより糊付けパターンが簡易に変更できる。これにより、被接着物7への接着時間や接着強さなどの調節が適正に行え、かつ容易となる。なお、ローレット面3−1を変更する塗布用ローラ3の交換は、塗布用ローラ3、心棒3−2を組み込んだローラアタッチメント3−3のセット毎の交換が性能的によい。
【0025】
また、
図4に示すように、本発明の手動式ホットメルト糊付機1では、後述の外装フレーム5の糊タンク部5−aの上部から塗付用ローラ3までの距離が60〜90mmであり、
図5の従来品と比べ約1/2の距離となって、糊付機1本体の上面から塗付用ローラ3の先端部がより近くなって、塗付用ローラ3と被接着材7との接触点を確認し易くなり、糊付けしたい位置にホットメルト糊液6を的確に塗付できる。
【0026】
図1、4に示すように、金属製糊タンク2から離隔して内包し、放熱窓5−cを有する糊タンク部5−aと、糊タンク2から離れた位置に把手部5−bからなる樹脂製外装フレーム5を設けている。樹脂製外装フレーム5として、軽量で、強度もあり、断熱性を有する樹脂を用いて成型加工で製造される。このように、糊タンク2の薄肉厚化、小容量化と合わせて、外装フレーム5の軽量化を図り、
図5の従来品の約700grから本発明品では約400grと軽量化できた。また、樹脂製外装フレーム5を用いた手動式ホットメルト糊付機1は、軽量で、糊液温度が外装フレームに直接伝達しない構造であるので、例えば、糊液6の設定温度120℃で、把手部5−bは50℃を達成し、作業者の手元が熱くならないから糊付け作業を容易に行なうことができる。
【0027】
また、
図1に示すように、本発明の手動式ホットメルト糊付機1は、外装フレーム5の糊タンク部5−aの上面に対し塗付用ローラ3の方向に約7.5°傾けており、糊液6を被接着物7に塗付し易い構造にしている。また、糊付け作業中に、手動式ホットメルト糊付機1をテーブル面8に載せた場合に、塗付用ローラ3がテーブル面8から離隔されるように外装フレーム5の底面5−dの位置、形状を決めている。このように手動式ホットメルト糊付機1をテーブル面8に載せた場合、塗付用ローラ3がテーブル面8より離れた位置になるので、糊液6がテーブル面8や被接着物7に徒に付着する恐れがないから、糊付機1を仮置きスタンドに置く必要も無く、余分な注意を払わなくても、接着作業を円滑に実施できる。
【0028】
本願発明の手動式ホットメルト糊付機1は、初めに糊タンク2内にホットメルト糊のペレットを装入し、タンク蓋2−3で閉じて密閉し、把手部5−bにある電源の手元スイッチ4−3をオンにして、電熱ヒータ4により該ペレットを溶融してホットメルト糊液6を作製する。次いで、ホットメルト糊液6が所定温度に達したならば、糊排出側スクレーパ3−5、糊戻し側スクレーパ3−6を調整して塗付用ローラ3のローレット面3−1にホットメルト糊液6を供給し、被接着物7の接着面に塗付用ローラ3により糊付けして塗付作業を実施する。糊タンク2内のホットメルト糊液6が少なくなれば、再度ホットメルト糊のペレットを溶融して糊付け作業を続行することができる。このように、本願発明の手動式ホットメルト糊付機1によれば、糊付機1は軽量で、前述したように構造的に優れた特長があり、長時間手作業で糊付け作業をしても、肉体的、精神的に疲労をもたらさないので、糊付け作業を的確に、効率良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
皮革製品、生地、織物製品の接着用に広く適用されるのみならず、紙、段ボール等の梱包業界の接着用途にも利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1:手動式ホットメルト糊付機
2:糊タンク 2−1:タンク底面 2−2:流出口
2−3:タンク蓋 2−4:ヒータ取付部
3:塗付用ローラ 3−1:ローレット面 3−2:心棒 3−3:ローラアタッチメント 3−4:糊流出路
3−5:糊排出側スクレーパ 3−6:糊戻し側スクレーパ
4:電熱ヒータ 4−1:サーモスタット 4−2:電気コード
4−3:手元スイッチ 4−4:電源コード
5:外装フレーム 5−a:糊タンク部 5−b:把手部
5−c:放熱窓 5−d:底面
6:ホットメルト糊液 7:被接着材 8:テーブル面
イ:糊タンク底面温度 ロ:ヒータ収納外壁温度 ハ:糊タンク側壁温度