【実施例】
【0053】
以下に本発明にかかるアルカリ電池用セパレータ及び該セパレータを使用したアルカリ電池の具体的な実施例を説明する。なお、本願発明はこれら実施例の記載内容に限定されるものではない。
【0054】
(溶解パルプのガス発生量試験)
まず、具体的な実施例に先立ち、アルカリ電池用セパレータに用いられる溶解パルプのペントサン含有率とガス発生量の関係について、従来から使用されているマーセル化パルプ等と比較して説明する。
表1に実施例及び比較例において使用される溶解パルプ、マーセル化パルプ等の木材化学パルプに関して、パルプ材種とα−セルロース含有率、ペントサン含有率、結晶構造、面積収縮率及びガス発生量の測定結果を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
なお、表1に記載されたパルプA〜Kの各測定値は、次の方法で測定した。
(1)α−セルロース含有率
TAPPI(Technical Association of the Pulp and Paper Industry)標準法T203に規定の「パルプ中のα,βとγ−セルロース」の測定方法によって、α−セルロースの含有率を測定した。
【0057】
(2)ペントサン含有率
JIS P 8101溶解パルプ試験方法に規定の「5.11ペントサン」の方法によって測定した。
【0058】
(3)結晶構造
X線回折装置の試料ホルダーにパルプシートを固定して、CuターゲットのX線管球を使用してX線回折パターンを測定した。測定したX線回折パターンから、セルロースI又はセルロースIIに帰属する回折ピークを確認して、パルプの結晶構造をセルロースI、セルロースII、又は、これらの混合物(I+II)を判定した。
【0059】
(4)面積収縮率
パルプの面積収縮率の測定は、試料に質量比で10%の易溶解性ポリビニルアルコール繊維(溶解温度70℃)を配合し、坪量30g/m
2の手漉きシートを作製した。このシートを定寸(100mm×100mm)に切り取り、面積を測定した。次に70℃の40%KOH水溶液中に8時間浸漬して、浸漬後の試験片の面積をKOH水溶液に濡れた状態で測定し、下記式により面積収縮率を求めた。
面積収縮率(%)={(A1−A2)/A1}×100
A1=浸漬前の面積
A2=浸漬後の面積
【0060】
(5)水素ガス発生量
市販されているアルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)を添加したアルカリマンガン電池負極用の亜鉛合金粉末にパルプ及びKOH電解液(酸化亜鉛を溶解)を加え、70℃で10日間放置して発生する水素ガス量(亜鉛1gに対する発生した水素ガスの容積μl)を測定した。なお、各パルプの測定にあたり、亜鉛合金粉末:パルプ:KOH電解液は質量比で1:0.05:1の一定量を取り、特開2008-171767号公報で開示された
図2に類似した装置を使用してガス発生量を測定した。
【0061】
表1において、パルプA〜パルプFは市販の溶解パルプである。パルプG及びパルプHは針葉樹の溶解パルプであるパルプAを12質量%、17.5質量%のNaOH水溶液で処理したパルプである。同様にパルプIは広葉樹の溶解パルプであるパルプFを、17.5質量%の濃度のNaOH水溶液で処理したパルプである。
なお、パルプA、B、C、Dはサザンパイン、ラジアータパイン、スラッシュパインから得られた針葉樹の溶解パルプ(DKP)であり、パルプEはラジアータパインから得られた酸性サルファイト法による針葉樹の溶解パルプ(DSP)である。パルプFはユーカリから得られた広葉樹の溶解パルプ(DKP)である。また、パルプJは米国Rayonier Inc.社のポロサニア(Porosanier)パルプで、サザンパインの針葉樹パルプをマーセル化したパルプである。さらに、パルプKはスプルースを主体とする製紙用の針葉樹パルプ(NBKP)である。
【0062】
表1より、製紙用パルプであるパルプKは、α−セルロース含有率が88.1%と低く、ペントサン含有率も4.2%と大きく、ガス発生量も300μl/gと大きいことが分かる。また、市販のマーセル化パルプであるパルプJは、α−セルロース含有率が97.5%と高いが、ペントサン含有率は2.5%であり、ガス発生量も190μl/gと大きいことが分かる。
【0063】
一方、溶解パルプであるパルプA〜Fでは、パルプAのペントサン含有率が0.8%と最も低く、パルプEのペントサン含有率が2.0%と最も高い。これらの溶解パルプのガス発生量は、ペントサン含有率が最も低いパルプAで118μl/gである。そして、ペントサン含有率が最も高いパルプEで145μl/gである。この結果から、ペントサン含有率の増加にともない、ガス発生量が増加することがわかる。
【0064】
パルプG及びパルプHは、針葉樹の溶解パルプであるパルプAを、それぞれ12質量%、17.5質量%のNaOH水溶液で処理したパルプである。パルプAの面積収縮率が、12.3%であるのに対して、パルプGが3.2%、パルプHが2.8%と減少している。
また、パルプIは、広葉樹の溶解パルプであるパルプFを17.5質量%のNaOH水溶液で処理したパルプであるが、この処理によって面積収縮率は13.0%(パルプF)から2.8%(パルプI)に減少している。
この結果から、溶解パルプをNaOH水溶液で処理することにより、アルカリ電解液中での収縮が減少することが分かる。
【0065】
また、パルプA、パルプG及びパルプHのX線回折パターン測定をした。処理前のパルプAは、セルロースIの回折パターンであった。これに対し、12質量%のNaOH水溶液で処理されたパルプGは、セルロースIとセルロースIIの混合した回折パターンであった。また、パルプHは、ほぼセルロースIIのみのX線回折パターンを示した。
従って、セルロースIの結晶構造の溶解パルプをNaOH水溶液等のアルカリ水溶液で処理することにより、セルロースIIの結晶構造に変化することがわかる。そして、パルプの面積収縮率の減少は、パルプがNaOH水溶液で処理されて、セルロースIの結晶構造がセルロースIIに変化したことによると考えられる。
【0066】
また、溶解パルプをアルカリ処理することによって、溶解パルプのペントサン含有率もさらに減少する。このため、ガス発生量もさらに減少させることができる。例えば、パルプAのペントサン含有率が0.8%であるのに対し、パルプGのペントサン含有率が0.6%、パルプHが0.4%と減少している。同様に、パルプAのガス発生量が118μl/gであるのに対して、パルプGのガス発生量が114μl/g、パルプHのガス発生量が112μl/gと減少している。この様に、セルロースIIの結晶構造を有する溶解パルプをセパレータに配合すると、セパレータの電解液中での寸法収縮を低減できるだけでなく、ガス発生量を更に低減させることができる。
【0067】
なお、上述の木材化学パルプ以外に、ヘミセルロース物質であるアラビノキシランとグルコマンナンについても同様に水素ガス発生量を測定した。これらのヘミセルロース物質では、水素ガス発生量が上記の溶解パルプA〜Fの50倍以上になり、水素ガス発生量が大きすぎて測定困難であった。この結果からも、パルプに含まれるヘミセルロースが亜鉛合金粉末の腐食を増大させていると考えられる。
【0068】
(セパレータの物性及びガス発生量試験)
次に、アルカリ電池セパレータに配合するセルロース繊維として、表1に記載のパルプA〜Jを使用して、以下に示す実施例及び比較例のアルカリ電池セパレータを製作した。なお、パルプKは普通の製紙用パルプであり、耐アルカリ性が著しく劣り、パルプのガス発生量も異常に大きいため、アルカリ電池用セパレータには適さない。このため、パルプKを使用したセパレータは製作しなかった。
【0069】
(実施例1)
表1に記載のパルプH(針葉樹の溶解パルプAをアルカリ処理したパルプ、ペントサン含有率0.4%)50質量%を、CSF値で350mlに叩解処理した。この叩解したパルプにビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のFFN繊維)40質量%と、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のSML繊維)10質量%とを混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機で抄紙して、厚さ96.5μm、坪量33.4g/m
2、密度0.346g/cm
3の実施例1のセパレータを得た。
【0070】
(実施例2)
パルプHをパルプG(針葉樹の溶解パルプAをアルカリ処理したパルプ、ペントサン含有率0.6%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ95.3μm、坪量32.9g/m
2、密度0.345g/cm
3の実施例2のセパレータを得た。
【0071】
(実施例3)
パルプHをパルプB(針葉樹の溶解パルプ、ペントサン含有率1.0%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ91.3μm、坪量32.7g/m
2、密度0.358g/cm
3の実施例3のセパレータを得た。
【0072】
(実施例4)
パルプHをパルプC(針葉樹の溶解パルプ、ペントサン含有率1.5%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ90.5μm、坪量33.0g/m
2、密度0.365g/cm
3の実施例4のセパレータを得た。
【0073】
(実施例5)
パルプHをパルプD(針葉樹の溶解パルプ、ペントサン含有率1.8%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ90.1μm、坪量33.2g/m
2、密度0.368g/cm
3の実施例5のセパレータを得た。
【0074】
(実施例6)
パルプHをパルプE(針葉樹の溶解パルプ、ペントサン含有率2.0%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ89.8μm、坪量33.1g/m
2、密度0.369g/cm
3の実施例6のセパレータを得た。
【0075】
(比較例1)
パルプHをパルプJ(市販の針葉樹のマーセル化パルプ、ペントサン含有率2.5%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ87.3μm、坪量32.9g/m
2、密度0.377g/cm
3の比較例1のセパレータを得た。
【0076】
(実施例7)
パルプF(広葉樹の溶解パルプ、ペントサン含有率0.8%)20質量%をCSF値で500mlに叩解処理した。この叩解したパルプに、ビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のFFN繊維)70質量%と、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のSML繊維)10質量%とを混合した。この混合原料を円網抄紙機で抄紙して、厚さ100.7μm、坪量33.1g/m
2、密度0.329g/cm
3の実施例7のセパレータを得た。
【0077】
(実施例8)
パルプFを70質量%とし、ビニロン繊維を20質量%とした以外は、実施例7と同様にして、厚さ93.2μm、坪量33.2g/m
2、密度0.356g/cm
3の実施例8のセパレータを得た。
【0078】
(実施例9)
パルプI(広葉樹の溶解パルプFをアルカリ処理したパルプ、ペントサン含有率0.5%)90質量%をCSF値で500mlに叩解処理し、ビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のFFN繊維)5質量%と、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のSML繊維)5質量%とを混合した。この混合原料を円網抄紙機で抄紙して、厚さ84.6μm、坪量32.5g/m
2、密度0.384g/cm
3の実施例9のセパレータを得た。
【0079】
(比較例2)
パルプFを15質量%とし、ビニロン繊維を75質量%とした以外は、実施例7と同様にして、厚さ111.4μm、坪量33.4g/m
2、密度0.300g/cm
3の比較例2のセパレータを得た。
【0080】
(比較例3)
パルプI97質量%をCSF値で500mlに叩解処理し、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のSML繊維)3質量%を混合した。この混合原料を円網抄紙機で抄紙して、厚さ82.5μm、坪量32.8g/m
2、密度0.398g/cm
3の比較例3のセパレータを得た。
【0081】
(実施例10)
パルプA(針葉樹の溶解パルプ、ペントサン含有率0.8%)10質量%と、リヨセル繊維(繊度1.7dtex.繊維長3mm:Lenzing Fibers Limited社のTENCEL繊維)10質量%とを混合した後、CSF値で350mlに叩解処理した。この叩解した原料に、ビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のFFN繊維)70質量%と、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のSML繊維)10質量%とを混合した。この混合原料を円網抄紙機で抄紙して、厚さ105.4μm、坪量33.6g/m
2、密度0.319g/cm
3の実施例10のセパレータを得た。
【0082】
(実施例11)
パルプAを30質量%とし、リヨセル繊維を20質量%とし、ビニロン繊維を40質量%とした以外は、実施例10と同様にして、厚さ100.2μm、坪量32.9g/m
2、密度0.328g/cm
3の実施例11のセパレータを得た。
【0083】
(実施例12)
パルプAを30質量%とし、リヨセル繊維を40質量%とし、ビニロン繊維を20質量%とした以外は、実施例10と同様にして、厚さ99.8μm、坪量33.0g/m
2、密度0.331g/cm
3の実施例12のセパレータを得た。
【0084】
(比較例4)
パルプAをパルプJに変更した以外は、実施例11と同様にして、厚さ93.6μm、坪量33.2g/m
2、密度0.355g/cm
3の比較例4のセパレータを得た。
【0085】
(実施例13)
パルプF30質量%、レーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長4mm)30質量%、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維(繊度2.2dtex.繊維長5mm:ダイワボウポリテック社製NBF(H)繊維)10質量%、ビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のFGN繊維)20質量%、及び、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm:ユニチカ株式会社製のSMM繊維)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機で抄紙して、厚さ321.0μm、坪量71.5g/m
2、密度0.223g/cm
3の実施例13のセパレータを得た。パルプFは未叩解で使用したが、そのCSF値は730mlであった。
なお、実施例13のセパレータは厚くて坪量も大きいセパレータのため、単1及び単2サイズの大型のアルカリマンガン電池に適したセパレータである。
【0086】
(実施例14)
パルプG75質量%を、CSF値で0mlに叩解処理した。この叩解原料に、ポリエチレン合成パルプ(三井化学株式会社製のSWP EST−8)5質量%と、ポリビニルアルコール繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm:ユニチカ株式会社製のAH繊維)20質量%とを混合した。この混合原料を長網抄紙機で抄紙して、厚さ55.2μm、坪量32.2g/m
2、密度0.583g/cm
3の実施例14のセパレータを得た。
【0087】
上記実施例1〜実施例14及び比較例1〜比較例4にかかるセパレータの各種測定データを表2に示す。
上記各実施例及び比較例にかかるセパレータの各測定値は次の方法で測定した。
(1)CSF(カナダ標準形濾水度、Canadian Standard Freeness)JIS P 8121に規定のカナダ標準形の方法で測定した。
【0088】
(2)厚さ
セパレータを2枚重ねにしてダイアルシックネスゲージを用いて均等な間隔で厚さを測定し、その1/2をもって1枚当たりの厚さを求め、更に測定個所の平均値をセパレータの厚さとした。
【0089】
(3)坪量
セパレータの面積と質量を測定し、セパレータ(m
2)当たりの質量(g)を求めた。
【0090】
(4)湿潤強度
セパレータから幅15mmの試験片を縦方向に取って、試験片を40%KOH水溶液に浸漬した後、試験片に付着した過剰の40%KOH水溶液をろ紙で吸い取った。この40%KOH水溶液で濡れた試験片の引張強度をJIS P 8113に規定の方法に準じて測定して、セパレータの湿潤強度とした。
【0091】
(5)保液率
セパレータを50mm×50mmの正方形に切り取り、乾燥後の質量を測定した後、40%KOH水溶液に10分間浸漬した。この試験片を45度の角度に傾斜させたガラス板にそのまま貼り付けて3分間固定し、過剰の40%KOH水溶液を流下させて取り除き、そのまま保液した試験片の質量を測定し、次式により保液率を算出した。
保液率(%)=(W2−W1)/W1×100
W1=浸漬前の質量
W2=浸漬後の質量
【0092】
(6)寸法変化率と面積収縮率
セパレータを縦(MD)、横(CD)方向に合わせて100mm×100mmの正方形に正確に切り取り、縦と横の長さを正確に測定した後、40%KOH水溶液中に30分間浸漬した。浸漬後、セパレータの縦と横の長さを正確に測定して、次式によってセパレータの縦及び横方向の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(A1−A2)/A1}×100
A1=浸漬前の長さ
A2=浸漬後の長さ
なお、寸法変化率の測定値がプラスの場合は、セパレータの収縮率を表す。また、セパレータの面積収縮率は縦と横の寸法収縮率の和の値である。
【0093】
(7)気密度
JIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)のB型測定器の試験片取り付け部分に、直径6mmの孔径の絞りを取り付け、セパレータの直径6mmの面積(28.26mm
2)の部分を、100mlの空気が通過するのに要する時間(秒/100ml)を測定した。
【0094】
(8)電気抵抗
40%KOH水溶液に浸漬された、約2mmの間隔で平行する白金電極(白金黒付けした直径20mmの円板形状の電極)の間にセパレータを挿入し、この挿入に伴う電極間の電気抵抗の増加をセパレータの電気抵抗とした。なお、電極間の電気抵抗は1000Hzの周波数でLCRメータを用いて測定した。本測定方法は電気抵抗の呼称としたが、電解液(40%KOH水溶液)中でのセパレータのイオン抵抗を測定する方法である。
【0095】
(9)水素ガス発生量
市販されているアルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)を添加したアルカリマンガン電池負極用の亜鉛合金粉末に、セパレータ及びKOH電解液(酸化亜鉛を溶解)を加え、70℃で10日間放置して発生する水素ガス量(亜鉛1gに対する発生した水素ガスの容積μl)を測定した。なお、各パルプの測定にあたり、亜鉛合金粉末:セパレータ:KOH電解液は質量比で1:0.05:1の一定量を取り、特開2008-171767号公報で開示された
図2に類似した装置を使用してガス発生量を測定した。
【0096】
(10)セパレータのペントサン含有率
JIS P 8101(溶解パルプ試験方法)に規定の「5.11ペントサン」の方法に準じて、セパレータのペントサン含有率を測定した。
【0097】
【表2】
【0098】
次に、上記実施例及び比較例のセパレータについて検討する。
(ペントサン含有率とガス発生量との関係)
表2に示すように、実施例1〜6と比較例1は、セパレータのセルロース繊維を針葉樹パルプのみによって構成し、また、セパレータ中のセルロース繊維の含有率を50%とし、得られたセパレータの物性を比較したものである。
【0099】
ペントサン含有率0.4%のパルプHを使用した実施例1のセパレータは、ガス発生量が82μl/gであった。これに対して、ペントサン含有率1.0%のパルプBを使用した実施例3のセパレータは、ガス発生量が90μl/gであり、ペントサン含有率1.5%のパルプCを使用した実施例4のセパレータは、ガス発生量が95μl/gであり、ペントサン含有率2.0%のパルプEを使用した実施例6のセパレータは、ガス発生量が110μl/gであった。
一方、ペントサン含有率2.5%の市販のマーセル化パルプであるパルプJを使用した比較例1のセパレータは、ガス発生量が140μl/gであった。
【0100】
この結果から、セパレータに使用するパルプのペントサン含有率が2.0%を越えると、セパレータのガス発生量が著しく増加することが分かる。従って、セパレータに含有する溶解パルプは、ペントサン含有率2.0%以下のパルプが適していることが分かる。
【0101】
(セルロースの結晶構造と面積収縮率との関係)
実施例3〜6は、セルロースIの結晶構造を有した針葉樹の溶解パルプを使用したセパレータであり、これらのセパレータの面積収縮率は1.7%〜2.1%であった。一方、パルプAを17.5%NaOHでアルカリ処理して、結晶構造をセルロースIIにしたパルプHを使用した実施例1のセパレータは、面積収縮率が0.5%であった。
また、パルプAを12%NaOHでアルカリ処理して、結晶構造をセルロースIとセルロースIIとの混合状態としたパルプGを使用した実施例2のセパレータは、面積収縮率が0.7%であった。
【0102】
この結果から、セパレータに使用される溶解パルプが、セルロースIIの結晶構造を一部でも有していることにより、電解液中でのセパレータの寸法収縮が小さくなることがわかる。
【0103】
(パルプの配合率と湿潤強度及び面積収縮率の関係)
実施例7〜9と比較例2〜3は、セパレータに広葉樹の溶解パルプを使用して、パルプの配合率を変化させたセパレータの物性値を示している。
実施例7は、溶解パルプであるパルプFを20%配合したセパレータである。実施例8は、パルプFを70質量%配合したセパレータである。また、比較例2は、同じパルプFを15%配合したセパレータである。
【0104】
比較例2のセパレータは、パルプの配合率が15%と少ないため湿潤強度が21.3N/15mmと大きく、保液率は360%と少ない。つまり、セルロース繊維の含有率が少ないため、抄紙時に溶解した易溶解性ポリビニルアルコール繊維により、セパレータを主に構成するビニロン繊維が強固に接着されていることが分かる。
また、比較例2のセパレータは、気密度が1.0秒と小さく、セパレータの遮蔽性が劣ることが分かる。
【0105】
これに対し、パルプFの配合率を20質量%にした実施例7は、セパレータの湿潤強度が17.6N/15mmに低下した。そして、保液率及び気密度は、420%及び3.0秒/100mlと増加している。
パルプFの配合率を70%にした実施例8では、湿潤強度が10.5N/15mmに低下した。そして、保液率及び気密度は450%及び7.2秒/100mlと増加している。
一方、実施例8のセパレータの面積収縮率は2.5%となり、比較例2のセパレータの0.3%、実施例7の0.5%に比べて著しく大きくなった。この結果から、結晶構造がセルロースIのパルプFを70質量%配合したセパレータは、電解液中での寸法収縮が大きいことが分かる。
【0106】
また、実施例9はセルロースIIの結晶構造のパルプIを90質量%配合したセパレータである。セルロースIの結晶構造のパルプIを70%配合した実施例8のセパレータの面積収縮率2.5%に対して、実施例9の面積収縮率は2.3%であった。実施例9は、パルプの配合率が90質量%と大きいにも関わらず、実施例8よりもセパレータの面積収縮率がわずかに減少している。
【0107】
このことから、セパレータに配合する溶解パルプがセルロースIの結晶構造を有する場合は、溶解パルプの配合量を70質量%以下に留めることが好ましいことが分かる。また、70質量%を超えて配合する場合には、セルロースIIの結晶構造を有したパルプを用いることが好ましい。比較例3は、パルプIを97質量%配合したセパレータであるが、このセパレータの湿潤強度は4.0N/15mmと低く、また、面積収縮率は3.7%と大きくなった。このため、電池に輸送時や落下時の衝撃が加わった場合、セパレータが破損することが予想される。
【0108】
(リヨセル)
実施例10〜12は、セパレータのセルロース繊維として、溶解パルプと再生セルロース繊維であるリヨセル繊維とを混合使用した例である。
実施例10は、溶解パルプ10質量%と、リヨセル繊維10質量%とを配合し、セルロース繊維の合計が20質量%のセパレータである。実施例11は、溶解パルプ30質量%と、リヨセル繊維20質量%とを配合し、セルロース繊維の合計が50質量%のセパレータである。
【0109】
実施例10と、セルロース繊維配合率が同じ20質量%の実施例7とを比較すると、実施例7のセパレータの保液率が420%であったのに対し、リヨセル繊維を配合した実施例10のセパレータの保液率は440%であった。
また、実施例11と、セルロース繊維配合率が同じ50質量%の実施例1〜6を比較すると、実施例1〜6のセパレータの保液率が410〜430%であったのに対し、実施例11のセパレータの保液率は500%であった。
【0110】
この結果から、リヨセル繊維の配合によってセパレータの保液率が増加することが分かる。さらに、実施例7のセパレータの電気抵抗が12.5mΩであったのに対し、実施例10のセパレータの電気抵抗は10.6mΩであった。また、実施例1〜6のセパレータの電気抵抗が13.4mΩ〜15.5mΩ%であったのに対し、実施例11のセパレータの電気抵抗は11.8mΩであった。つまり、リヨセル繊維の配合によって、セパレータの電気抵抗が減少することが分かる。
【0111】
また、実施例12は溶解パルプ30質量%と、リヨセル繊維40質量%とを配合し、セルロース繊維の合計が70質量%のセパレータである。セパレータに使用するセルロース繊維として、溶解パルプと再生セルロース繊維とを使用する場合には、電解液の保液率が大きいセパレータが得られる。しかし、セパレータの電解液保液率が大きくなれば、必然的にセパレータが電解液中で膨潤して厚さが増加することになる。
特に、再生セルロース繊維がセパレータの60質量%を超えて含有されると、セパレータの保液率が大きくなり過ぎて、セパレータが電解液で膨潤して、電池内部に占めるセパレータの容積が大きくなる。このため、単3又は単4サイズ等の小型電池では活物質量を減少させることが必要になり、電池性能の向上が難しくなる。従って、セパレータ質量に対して溶解パルプを10質重量%〜50質量%の範囲とし、再生セルロース繊維を10質量%〜40質量%の範囲として、残部を耐アルカリ性合成繊維とすることにより、セパレータの電解液保液率を適正な範囲に調整することが特に好ましい。
【0112】
比較例4は、実施例11のパルプAを、従来から使用されている市販のマーセル化パルプであるパルプJに変更し、パルプと再生セルロース繊維であるリヨセル繊維との混合比率を実施例11と同じ配合としたセパレータである。
実施例11のセパレータは、ガス発生量が90μl/gであったのに対し、ペントサン含有率2.5%の従来のマーセル化パルプを配合した比較例4のセパレータは、ガス発生量が130μl/gと大きくなった。また、実施例11のセパレータのペントサン含有率0.6%に対して、比較例4のセパレータのペントサン含有率は1.1%と大きくなっている。比較例4のセパレータでは、パルプのペントサン含有率の増加により、亜鉛合金粉末の腐食が増加することがわかる。
【0113】
実施例13は、セルロース繊維として未叩解の広葉樹の溶解パルプと、レーヨン繊維とを使用し、厚さ321μm、坪量71.5g/m
2で保液率780%の高保液率のセパレータである。このような厚いセパレータは、電池内部に占めるセパレータの容積が大きくなるため、単3、単4サイズの小型のアルカリ電池のセパレータとしては適していない。実施例13のような厚いセパレータは、単1、単2サイズの大型のアルカリマンガン電池に通常使用されている。
実施例13のセパレータの気密度は1.0秒/100mlと低い値であるが、セパレータの厚さが321μmと厚いため亜鉛酸化物のデンドライトによる電池の内部短絡は起こりにくい。
【0114】
また、実施例14は、CSF0mlの高叩解した溶解パルプを使用したセパレータである。実施例14のセパレータは、密度が0.583g/cm
3と高く、また、気密度は2000秒/100ml以上と大きく、特にデンドライトの阻止効果に優れた遮蔽性の高いセパレータである。
【0115】
(電池の特性試験)
次に、表2に記載した各実施例及び各比較例にかかるセパレータを使用して、正極活物質と負極活物質とを隔離し、
図1に示す構成の単3サイズの筒型アルカリマンガン電池(LR−6)を各30個製作した。
図1に示すアルカリマンガン電池1は、有底筒状の正極缶2を有し、一端部に正極端子2aが形成されている。この正極缶2内には、二酸化マンガンと黒鉛からなる円筒状の正極合剤3が圧入されている。筒状に捲回したセパレータ4の内側には、水銀無添加の亜鉛合金粉末をゲル状電解液に分散、混合したゲル状負極5が充填されている。さらに、負極集電子6、及び、正極缶2の開口部を閉塞する樹脂製封口体7を備え、樹脂製封口体7には、負極端子を兼ねる負極端子板8が負極集電子6の頭部に溶接されている。筒状に捲回したセパレータ4の正極端子側は、底紙9により封止され、ゲル状負極5と正極缶2との接触が防止されている。また、樹脂外装材10が、正極端子2aと負極端子板8を露出させた状態の正極缶2の外周面に密着して包装されている。
【0116】
筒型アルカリマンガン電池1は、具体的に以下の方法により製造した。
まず、各セパレータ4を捲回してセパレータ円筒を製作し、この円筒を正極の円筒内壁に密着させ、次いで底紙を押し込み、セパレータ4の円筒の正極端子2a側を封止する。電解液を注液した後、所定の位置までゲル状負極5を注入し、負極集電子6を装着した樹脂製封口体7を挿入、正極缶2の端をかしめて固定して、アルカリマンガン電池を製作した。セパレータ4の捲回数は2回とした。なお、セパレータには縦と横の方向があるが、今回製作したアルカリマンガン電池では、セパレータの縦方向を円筒に捲回して、正極に挿入したので、セパレータの横方向が電池の正極端子と負極端子板を結ぶ方向に位置している。
【0117】
(電池の輸送テスト)
上記方法により製作したアルカリマンガン電池について、輸送テストを実施した。
輸送テストはアルカリマンガン電池を製作後、箱詰めした状態でトラックに積載し、約1000kmの区間を輸送した。輸送後、更に1週間放置した。その後、アルカリマンガン電池の開路電圧を測定し、1.5V以下に電圧降下したアルカリマンガン電池を不良電池とし、不良電池の発見された各実施例及び各比較例にかかるセパレータを調べた。
なお、製作直後に測定したアルカリマンガン電池の開路電圧はいずれも1.6V以上であった。この輸送テストで不良電池の発生しなかったセパレータに○、不良電池が1個以上見つかったセパレータに×を付して表3に記載した。
【0118】
(電池の放電特性)
輸送試験で不良電池の発生しなかった各実施例と比較例のアルカリマンガン電池の各10個について、低温軽負荷放電試験、重負荷放電試験、また、保存後放電容量の測定を行ない、結果を表3に示す。
なお、実施例13のセパレータは単3サイズのアルカリマンガン電池(LR−6)には厚すぎて負極ゲルの減量が必要であり、電池の放電性能が比較できないので輸送試験のみにとどめ、放電試験からは除外した。
放電試験の測定方法は以下のとおりである。
【0119】
(1)低温軽負荷放電試験
アルカリマンガン電池を0℃で300Ωの抵抗に接続し、終止電圧1.0Vまで連続放電し、放電時間が規定時間以下であった早期寿命の電池の個数を調べた。なお、試験に供した電池は各10個である。この低温軽負荷放電試験は、導電性の亜鉛酸化物による電池の短絡が発生し易い試験条件である。
【0120】
(2)重負荷放電試験
アルカリマンガン電池を室温下1000mAの定電流で放電し、終止電圧1.0Vまでの放電時間(分)を測定した。なお、試験に供した電池は、各10個であり、この10個の電池の平均値を求めた。
【0121】
(3)保存後放電容量
アルカリマンガン電池を60℃で2ヶ月間保存後、室温下350mAの定電流で終止電圧0.9Vまで放電させ、放電容量(mAh)を測定した。なお、試験に供した電池は、各10個であり、この10個の電池の平均値を求めた。
【0122】
【表3】
【0123】
表3に示す輸送テストの結果より、比較例3のみに電圧降下した電池が認められたが、その他の実施例及び比較例の電池は1.5V以上の電圧を維持し、不良電池は全く認められなかった。
電圧の低下した比較例3の不良電池を分解して調べたところ、樹脂製封口体で固定されたセパレータ端部に破れが認められ、セパレータ内部に充填した負極ゲルが正極側にこぼれて短絡した部分が認められた。これは比較例3のセパレータのセルロース繊維の含有率が97%と大きく、合成繊維が少ないため、セパレータが電解液に濡れた状態の湿潤強度も4.0N/15mmと低く、寸法収縮もセパレータの横方向で2.2%と大きかったため、電池に輸送時に加わった衝撃で電池内部のセパレータが破損したと考えられる。
【0124】
一方、実施例9のセルロース繊維含有率90%で湿潤強度6.5N/15mmの電池、及び、実施例14の湿潤強度5.5N/15mmの電池では、不良電池が認められなかった。この結果から、セパレータの湿潤強度を5N/15mm以上とすることにより、輸送等で電池に衝撃が加わっても内部短絡を防止することが可能となる。
【0125】
次に、比較例3と実施例13を除いた電池について放電試験を実施した結果、比較例2の電池で、早期寿命の電池が発生した。しかし、他の実施例及び比較例の電池では早期寿命の電池は発生しなかった。
比較例2の電池は、気密度が最も小さい1.0秒/100mlのセパレータを使用したため、遮蔽性が低く、低温軽負荷放電試験において亜鉛酸化物による短絡が発生したものと考えられる。
【0126】
一方、セルロース含有率20質量%の実施例7及び実施例10の電池では早期寿命の電池は発生していない。従って、実施例7のセパレータが気密度3.0秒/100mlで早期寿命の電池が発生しなかったことから、セパレータの気密度を3.0秒/100ml以上とすることが好ましい。
なお、本実施形態例のアルカリ電池はセパレータの捲回数を2回として試験したが、セパレータの捲回数をさらに増せば、正極と負極の間隔が大きくなり、気密度が3.0秒/100mlより低いセパレータでも、早期寿命の電池は発生しにくくなる。したがって、本実施形態のセパレータの気密度は3.0秒/100ml以上に限定されるものではない。
【0127】
次に、重負荷放電試験の結果では、セルロース繊維含有率が15%と少なく、湿潤強度が21.3N/15mmと最も大きかった、比較例2の電池の放電時間が25分間で最も短かった。比較例2のセパレータは、易溶解性ポリビニルアルコール繊維によってセパレータを主に構成するビニロン繊維が強固に接着され、また、電解液の保液量が少ないため、電池の放電時間が短くなったと考えられる。
【0128】
この結果より、セパレータの湿潤強度を20N/15mm以下とすることが好ましい。従って、セパレータの湿潤強度は、電池の輸送や落下によるセパレータの破損を引き起こさない5N/15mm以上、20N/15mm以下の範囲とすることが好ましい。
【0129】
また、実施例11とセルロース繊維配合率が同じく50質量%である実施例1から6の電池は、重負荷放電試験の結果を比較すると、実施例11の電池の放電時間が35分間であるのに対して、実施例1〜6の電池の放電時間が31〜32分間である。つまり、セパレータにリヨセル繊維等の再生セルロース繊維を配合すると、セパレータの保液率が増加し、電池の重負荷放電性能が向上することがわかる。
【0130】
さらに、製作した電池を60℃で2か月保存した後で測定した放電容量は、実施例の電池では830〜880mAhである。これに対して、従来のマーセル化パルプを含有し、セパレータ中のペントサン含有率が1.0%を超えるセパレータを使用した比較例1及び比較例4の電池は、放電容量が710mAh及び740mAhと、電池の容量低下が大きくなっている。これはセパレータにペントサン含有率が2.5%と大きいマーセル化パルプが含有され、またセパレータ中のペントサン含有率も1.0%を越えて大きいため、電池の保存中に負極の亜鉛合金粉末が腐食されて、電池の保存後の放電容量が低下したためである。
【0131】
なお、上述の実施形態及び実施例では、セパレータの電池試験を筒型アルカリマンガン電池で実施したが、本発明のセパレータは筒型アルカリマンガン電池に限らず、ボタン型電池である酸化銀電池等のアルカリ電池にも使用できる。
ボタン型電池である酸化銀電池のセパレータは、正極活物質である酸化銀の酸化力に対する耐性を備え、銀イオンの負極への移行を防止すると共に、起電反応に十分な電解液を保持することが必要とされる。このため酸化銀電池では、耐酸化性に優れたグラフト重合したポリエチレン膜、銀イオンの移行阻止に優れたセロハン膜および電解液の保液性に優れた保液体を組み合せたセパレータが一般的に使用されている。
本発明のセパレータを酸化銀電池に使用する場合は、特にセパレータの中で負極に接触する保液体として利用するのが好ましい。
近年、酸化銀電池等のボタン型電池も負極の無水銀化が進められており、本発明のセパレータを使用することによってガス発生が抑えられ、電池ケースの膨れ等の不良が発生しないボタン型電池の製作が容易になる。
【0132】
また、本発明では、パルプ中のヘミセルロース含有量の指標としてペントサン含有率を利用して、溶解パルプおよびセパレータのヘミセルロース含有量を規定しているが、ペントサン含有率以外をヘミセルロースの指標として用いることもできる。例えば、パルプ中の単糖類を分析して、ヘミセルロースに関係した単糖類であるキシロースとマンノースの合計の含有率をヘミセルロースの指標として利用することもできる。上述の実施例で用いた従来のマーセル化パルプであるパルプJに含有されるキシロースとマンノースの含有率を定量すると、キシロースで2.6%、また、マンノースで4.9%の含有率であった。パルプJのこの2単糖の含有率合計は7.5%となる。したがって、キシロースとマンノースの合計含有率がパルプJの含有率値未満の溶解パルプをセパレータに配合すれば、本発明のセパレータと同様のガス発生量の低減効果が得られ、アルカリ電池の保存後の容量減少が少ないアルカリ電池が得られる。
さらに、他のヘミセルロース含有率の指標として、パルプの18%水酸化ナトリウム水溶液への可溶分(測定方法としては、例えばTAPPI T235)の測定値(S
18)が、パルプのヘミセルロース含有率に関連することが知られている。しかし、マーセル化パルプに残留したヘミセルロースはアルカリ水溶液に難溶解性のヘミセルロースであり、18%水酸化ナトリウムへの可溶分の測定方法では、溶解しないヘミセルロースがパルプ中に残留する。したがって、18%水酸化ナトリウムへの可溶分の測定方法をヘミセルロース含有率の指標とすることはあまり適切でない。
【0133】
なお、本発明において、セルロースI、セルロースIIのI及びIIは、便宜上ローマ数字を対応するローマ字に置き換えて記述している。