特許第6355310号(P6355310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355310
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】調湿システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20180702BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20180702BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B01D53/26 230
   B01D53/26 220
   F24F5/00 K
   F24F3/14
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-200315(P2013-200315)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-66472(P2015-66472A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】七岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 香織
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−121832(JP,A)
【文献】 特開2006−68727(JP,A)
【文献】 特開2005−9727(JP,A)
【文献】 特開2006−239564(JP,A)
【文献】 特開平1−097746(JP,A)
【文献】 特開平5−340004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 53/26−53/28
E04B 7/00−7/24
E04B 9/00−9/36
F24F 1/00−7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内と屋根裏空間とを仕切る天井に設けられる調湿システムであって、
室内の空気を吸引する室内空気吸気部と、吸引した空気を室内へ排出する室内空気排気部とを含む室内空気流路と、
屋根裏空間の空気を吸引する屋根裏空気吸気部と、吸引した空気を屋根裏空間へ排出する屋根裏空気排気部とを含む屋根裏空気流路と、
前記室内空気流路と前記屋根裏空気流路とを仕切る調湿材とを備え、
前記室内空気流路は、その上壁部が前記調湿材によって形成され、その下壁部が前記天井の天井壁によって形成され、
前記調湿材は、前記室内空気流路に位置し、室内の吸引した空気の水分を吸湿する吸湿部と、前記屋根裏空気流路に位置し、吸湿した水分を屋根裏空間に放湿する放湿部とを有し、
前記室内空気吸気部および前記室内空気排気部は、前記室内空気流路の下壁部に設けられる、調湿システム。
【請求項2】
前記屋根裏空気流路の入口側に配置され、吸引した空気を加熱する補助熱源をさらに備えた、請求項1に記載の調湿システム。
【請求項3】
前記調湿材は、一方表面と、前記一方表面と反対側の他方表面とを有する板状であり、
前記室内空気流路と前記屋根裏空気流路とは、前記調湿材で仕切られており、
前記調湿材の前記一方表面は前記室内空気流路に位置し、前記調湿材の前記他方表面は前記屋根裏空気流路に位置する、請求項1または2に記載の調湿システム。
【請求項4】
前記調湿材は、前記室内空気流路に沿って配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の調湿システム。
【請求項5】
前記調湿材と接触した屋根裏空間の空気を、屋根裏空間の外部に排出する排出部をさらに備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿システムに関し、より特定的には、室内の空気を除湿する調湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を除湿するシステムとして、例えば、特許第4341848号公報(特許文献1)の空気集熱式ソーラー除湿涼房システムが挙げられる。この特許文献1には、太陽熱集熱部に接続して室内に空気を送る空調機として2つのハンドリングボックスを備え、一方のハンドリングボックスで除湿運転をするとともに、他方のハンドリングボックスで再生運転をしていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4341848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の空気集熱式ソーラー除湿涼房システムでは、除湿運転をしていない他方のハンドリングボックスの再生運転のためにエネルギーを使用することになるので、エネルギーが十分に低減できない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、エネルギーを低減できる調湿システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調湿システムは、室内の空気を吸引すると共に、吸引した空気を室内へ排出する室内空気流路と、この室内空気流路に設けられた調湿材とを備えている。調湿材は、室内の吸引した空気の水分を吸湿する吸湿部と、吸湿した水分を屋根裏空間に放湿する放湿部とを有している。
【0007】
本発明の調湿システムにおいて好ましくは、屋根裏空間の空気を吸引すると共に、吸引した空気を調湿材へ送るための屋根裏空気流路をさらに備えている。
【0008】
本発明の調湿システムにおいて好ましくは、屋根裏空気流路の入口側に配置され、吸引した空気を加熱する補助熱源をさらに備えている。
【0009】
本発明の調湿システムにおいて、調湿材は、一方表面と、この一方表面と反対側の他方表面とを有する板状であり、室内空気流路と屋根裏空気流路とは、調湿材で仕切られており、調湿材の一方表面は室内空気流路に位置し、調湿材の他方表面は屋根裏空気流路に位置していてもよい。
【0010】
本発明の調湿システムにおいて、調湿材は板状であり、室内空気流路上に屋根裏空気流路が配置され、室内空気流路と屋根裏空気流路とを交差するように調湿材が配置され、調湿材の下部が吸湿部であって、調湿材の上部が放湿部であってもよい。
【0011】
本発明の調湿システムにおいて好ましくは、調湿材は、室内空気流路に沿って配置される。
【0012】
本発明の調湿システムにおいて好ましくは、調湿材と接触した屋根裏空間の空気を、屋根裏空間の外部に排出する排出部をさらに備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の調湿システムによれば、エネルギーを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1の調湿システムを示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態2の調湿システムを示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態3の調湿システムを示す模式図である。
図4】本発明の実施の形態4の調湿システムを示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態5の調湿システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0016】
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の一実施形態の調湿システムについて説明する。なお、本実施の形態では、図1に示すように、室内Aと屋根裏空間Bとは、天井Cで仕切られている。屋根裏空間Bは、小屋裏空間とも呼ばれ、天井Cと屋根Dとの間に位置する空間である。天井Cの屋根裏空間B側の面には、防湿シートが形成されていてもよい。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態1の調湿システム100は、室内空気流路110と、ファン120と、調湿材130とを備えている。
【0018】
室内空気流路110は、室内Aと屋根裏空間Bとの境界部分に設けられている。本実施の形態では、室内空気流路110の一方側は室内A及び天井Cに位置し、室内空気流路110の他方側は屋根裏空間Bに収容されている。
【0019】
室内空気流路110は、室内Aの空気を吸引すると共に、吸引した空気を室内Aへ排出する。本実施の形態では、室内空気流路110は、室内Aの空気を吸引する吸気部111と、吸引した空気を室内Aへ排出する排気部112とを含んでいる。
【0020】
室内空気流路110は、水平方向に沿って延在している。
【0021】
室内空気流路110内部の吸気部111側には、ファン120が設けられている。ファンは、排気部112側に設けられていてもよく、吸気部111側及び排気部112側に設けられていてもよい。
【0022】
室内空気流路110には調湿材130が設けられている。調湿材130は、室内Aから吸引された空気の流路に沿って配置されている。本実施の形態では、調湿材130は、室内空気流路110の上端に、延在方向に沿って設けられ、室内空気流路110の上端部を構成する。
【0023】
調湿材130は、一方表面と、この一方表面と反対側の他方表面とを有する板状である。調湿材130の一方表面は室内空気流路110に位置し、調湿材130の他方表面は屋根裏空間Bに位置している。つまり、調湿材130の一部は、室内空気流路110及び屋根裏空間Bの両方に位置している。
【0024】
調湿材130は、室内の吸引した空気の水分を吸湿する吸湿部131と、吸湿した水分を屋根裏空間Bに放湿する放湿部132とを有している。本実施の形態では、吸湿部131は、室内空気流路110に露出した面(一方表面)を含む領域であり、放湿部132は、屋根裏空間Bに露出した面(他方表面)を含む領域である。
【0025】
調湿材130は、湿度が相対的に高い空気と接したときに、空気中の水分を吸収すると共に、湿度が相対的に低い空気と接したときに、吸収した水分を放出する材料である。また、調湿材130は、調湿と放湿とを繰り返し行うことができる材料であり、調湿建材を含む。調湿材130は、例えば、ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、木炭、珪藻土カルシウムなどを用いることができる。また、調湿材130は、吸着量を増加するために、一方表面及び他方表面の表面積を増加させる観点から、一方表面及び他方表面に凹凸が形成されていてもよい。
【0026】
調湿システム100は、調湿材130と接触した屋根裏空間Bの空気を、屋根裏空間Bの外部に排出する排出部(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0027】
続いて、図1を参照して、本実施の形態の調湿システム100の動作について説明する。なお、図1及び後述する図2図5において、矢印11は、室内空気流路110における空気の流れを示し、矢印12は、調湿材130における水分の流れを示す。また、屋根裏空間Bの空気は、室内Aの空気よりも、温度が高く、湿度が低い。室内Aの空気は中温高湿で、屋根裏空間B内の空気は高温低湿とする。
【0028】
まず、ファン120を起動して、室内Aの空気を吸気部111から吸引して、室内空気流路110の内部に供給する。室内Aから吸引した空気中の水分を、室内空気流路110に沿って配置された調湿材130の吸湿部131に吸収させる。吸湿部131により水分が低減された空気を、排気部112から室内Aへ排出する。これにより、室内Aから取り込んだ中温高湿の空気中の水分を低減して、中温中湿にした空気を室内Aに排出できる。このため、室内Aの湿度を低減することができる。
【0029】
上記室内空気流路110での除湿運転と同時に、調湿材130の放湿部132において、吸収した室内Aの空気中の水分を、屋根裏空間Bに放出させる。これにより、調湿材130中の水分を低減できるので、調湿材130を再生することができる。
【0030】
このように、本実施の形態では、調湿材130において、吸湿と放湿とを同時に行っている。このため、調湿材130を常時使用することができるので、調湿材130が単数であっても調湿システム100は機能する。
【0031】
なお、この工程では、調湿材130と接触した屋根裏空間Bの空気を、屋根裏空間Bの外部に排出することが好ましい。
【0032】
本実施の形態の調湿システム100においては、屋根裏空間Bに調湿材130の放湿部132が配置されており、屋根裏空間B側は自然対流方式で調湿材130の放湿を促進している。この場合、例えば、屋根裏空間Bの温度及び室内Aの湿度をセンサにより検知し、所定の条件に達したときに、上記調湿システム100を動作させ、所定の条件に達していないときには、上記調湿システム100を動作させないように制御する。例えば、屋根裏空間Bの湿度が40%を下回り、かつ室内Aの湿度が60%を超える場合には、自動運転でファン120を起動し、屋根裏空間Bの湿度が40%以上の場合には、自動運転でファン120を停止する。また、例えば、屋根裏空間Bの湿度が40%を下回る場合には、手動運転でファン120の起動等を調整できるようにしてもよい。
【0033】
なお、調湿システム100は、屋根裏空間Bの空気を加熱する補助熱源(図示せず)をさらに備えていてもよい。補助熱源は、例えば、調湿材130の調湿部132近傍に配置される。屋根裏空間Bが所定の条件に達していない場合に、補助熱源により、屋根裏空間Bの温度を上昇させることができる。ただし、補助熱源は冬、夜間などにおいて所定の条件に達していない場合に使用するものであるので、調湿材130の乾燥のために補助熱源を常時使用する必要はない。
【0034】
続いて、本実施の形態における調湿システム100の効果について、比較例1及び2と比較して説明する。
【0035】
(比較例1)
比較例1の調湿システムは、床置型のデシカント式の除湿器である。デシカント式除湿器は、デシカント素子と、このデシカント素子に吸着した水分を放出するためのヒーターとを備え、乾燥させたデシカント素子に室内の空気を通すことで吸湿し、ヒーターによって暖められた室内の空気を利用してデシカント素子を乾燥させる。比較例1のデシカント式の除湿器は、デシカント素子を乾燥する時に使用した高温の空気は室内に放出されることになるので、室内の温度を高くしてしまう。また、比較例1の除湿器は床置きであるため、室内において設置場所を確保する必要がある。
【0036】
(比較例2)
比較例2の調湿システムは、上記特許文献1のように、太陽熱集熱器を用いて除湿を行う空気集熱式ソーラー除湿涼房システムである。上述したように、一方のハンドリングボックスで除湿運転をし、他方のハンドリングボックスで除湿材の再生運転をしているので、使用するエネルギーが十分に低減されていない。また、除湿運転をするためのハンドリングボックスと、再生運転をするためのハンドリングボックスとの2つのハンドリングボックスが必要となるので、機器が煩雑になる。
【0037】
一方、本実施の形態の調湿システム100は、室内Aの空気を吸引すると共に、吸引した空気を室内Aへ排出する室内空気流路110と、この室内空気流路110に設けられた調湿材130とを備え、調湿材130は、室内Aの吸引した空気の水分を吸湿する吸湿部131と、吸湿した水分を屋根裏空間Bに放湿する放湿部132とを有している。
【0038】
本実施の形態の調湿システム100によれば、調湿材130の吸湿部131で室内Aの空気を除湿できると共に、放湿部132で調湿材130を乾燥することができる。屋根裏空間Bは室内Aよりも高温で低湿であるため、放湿部132での調湿材130の乾燥は、この屋根裏空間Bの高温で低湿な空気を利用している。このように、自然エネルギーを利用して調湿材130の再生を行っているので、室内Aの空気を調湿するために使用するエネルギーを低減することができる。したがって、本実施の形態の調湿システム100は、省エネを実現できるので、コストを低減することができる。
【0039】
また、1つの調湿材130において、室内Aの空気中の水分を吸収する除湿工程と、調湿材130の乾燥をする乾燥工程とを同時に行うことができる。つまり、1つの調湿材130で、継続して室内Aの調湿をすることが可能である。このため、本実施の形態の調湿システム100は、比較例2のように継続して除湿工程を実施するための機器を増やす必要がない。したがって、本実施の形態の調湿システム100は、機器が煩雑になることを防止できるので、コストを低減することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、調湿材130で屋根裏空間Bと室内空気流路110とを仕切り、調湿材130として空気を通しにくい材料を用いることで、調湿材130の乾燥工程に使用される高温の空気が室内Aに流入されることを低減できる。したがって、本実施の形態の調湿システム100は、比較例1に比べて、室内Aの温度が上昇することを抑制できる。
【0041】
また、本実施の形態の室内空気流路110は、室内Aに設置されなくてもよい。したがって、本実施の形態の調湿システム100は、比較例1が有する調湿システムの設置場所の問題を解消することができる。この観点から、本実施の形態の調湿システム100において好ましくは、室内空気流路110は室内Aと屋根裏空間Bとの境界部分に設けられている。この場合、室内Aにおいて設置場所を確保する必要がない。
【0042】
本実施の形態の調湿システム100において好ましくは、調湿材130は、室内空気流路110に沿って配置される。これにより、吸引した室内Aの空気を調湿材130のより広い領域に接触させることができるので、室内Aの空気を効果的に調湿することができる。
【0043】
本実施の形態の調湿システム100において好ましくは、調湿材130と接触した屋根裏空間Bの空気を、屋根裏空間Bの外部に排出する排出部をさらに備えている。これにより、調湿材130から放湿された水分を含む空気を屋根裏空間Bの外部に排出することができるので、屋根裏空間Bの環境を維持することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図2を参照して、本発明の実施の形態2における調湿システム101を説明する。図2に示すように、実施の形態2における調湿システム101は、基本的には、図1に示す実施の形態1の調湿システム100と同様の構成を備えているが、室内空気流路110及びファン121、122において異なる。
【0045】
具体的には、室内空気流路110の吸気部111近傍に吸気用のファン121が設けられると共に、室内空気流路110の排気部112近傍に排気用のファン122が設けられている。
【0046】
室内空気流路110は、調湿材130が配置された調湿部113と、この調湿部113と入口側及び出口側のそれぞれで連結された入口部114及び出口部115とを含んでいる。入口部114は、吸気用のファン121から吸引された室内Aの空気を調湿部113に送る。出口部115は、調湿部113で水分が低減された空気を排気用のファン122に送る。
【0047】
本実施の形態の調湿システム101の動作については、基本的には実施の形態1の調湿システム100の動作と同様であり、吸気用のファン121で室内Aの空気を吸引すると共に、排気用のファン122で水分が低減された空気を室内Aに排出する点において異なる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態の調湿システム101は、室内Aの空気を吸引する吸気用のファン121と、除湿された空気を室内Aに排出する排気用のファン122とをさらに備えている。これにより、室内Aの空気の吸引及び室内Aへの空気の排出をより促進することができるので、室内Aの空気をより効果的に調湿することができる。
【0049】
(実施の形態3)
図3を参照して、本発明の実施の形態3における調湿システム102について説明する。図3に示すように、実施の形態3における調湿システム102は、基本的には、図1に示す実施の形態1の調湿システム100と同様の構成を備えているが、屋根裏空気流路140、屋根裏空気流路140用のファン150、及び補助熱源160をさらに備えている点において異なる。
【0050】
屋根裏空気流路140は、矢印13に示すように、屋根裏空間Bの空気を吸引すると共に、吸引した空気を調湿材130へ送る。屋根裏空気流路140は、屋根裏空間Bの空気を吸引する吸気部141と、吸引した空気を屋根裏空間Bに排出する排気部142とを含んでいる。
【0051】
屋根裏空気流路140は、水平方向に沿って延在している。
【0052】
屋根裏空気流路140は室内空気流路110上に配置され、室内空気流路110と屋根裏空気流路140との間には調湿材130が配置され、室内空気流路110と屋根裏空気流路140とは調湿材130で仕切られている。本実施の形態では、調湿材130の一方表面は室内空気流路110に位置し、調湿材130の他方表面は屋根裏空気流路140に位置している。つまり、調湿材130は、室内空気流路110の上端及び屋根裏空気流路140下端に配置され、室内空気流路110と屋根裏空気流路140とを遮っている。
【0053】
屋根裏空気流路140内部の排気部142側には、ファン150が設けられている。ファンは、吸気部141側に設けられていてもよく、吸気部141側及び排気部142側に設けられていてもよい。
【0054】
屋根裏空気流路140の入口側である吸気部141側には、補助熱源160が配置されている。補助熱源160は、吸引した屋根裏空間Bの空気を加熱する。
【0055】
調湿システム102は、調湿材130と接触した屋根裏空間Bの空気を、屋根裏空気流路140の排気部142から外部に排出する排出部をさらに備えていてもよい。このような構造は、例えば、屋根裏空気流路140の排気部142から屋根裏空間Bの外部に導くダクトを設けることで実現できる。
【0056】
続いて、図3を参照して、本実施の形態の調湿システム102の動作について説明する。なお、図3及び後述する図4及び図5において、矢印13は、屋根裏空気流路140における空気の流れを示す。
【0057】
まず、実施の形態1と同様に、ファン120を起動して、室内Aの空気を吸気部111から室内空気流路110内に供給する。室内から吸引した空気中の水分を、室内空気流路110に沿って配置された調湿材130の一方表面を含む吸湿部131に吸収させる。水分が低減された空気を、排気部112から室内Aへ排出する。
【0058】
また、ファン150を起動して、屋根裏空間Bの空気を吸気部141から屋根裏空気流路140内に供給する。室内Aよりも高温低湿の屋根裏空間Bの空気を、屋根裏空気流路140に沿って配置された調湿材130の他方表面を含む放湿部132に供給し、調湿材130が吸収した水分を放出させる。これにより水分が増加した空気を、排気部142から排出する。
【0059】
この工程において、屋根裏空間Bの空気の温度が低いと判断される場合には、補助熱源160を起動して、屋根裏空気流路140に供給された空気を加熱する。例えば、屋根裏空間Bの温度が60℃以上の場合には、補助熱源160はオフにし、屋根裏空間Bの温度が60℃未満の場合には、補助熱源160をオンにして、屋根裏空気流路140の調湿材130の放湿部132に供給する空気の温度を60℃以上にする。
【0060】
また、この工程では、調湿材130と接触した屋根裏空間Bの空気は水分を含んでいるため、屋根裏空気流路140の排気部142から排出される空気を屋根裏空間Bの外部に排出することが好ましい。これにより、屋根裏空間Bの空気環境を保つことができる。
【0061】
調湿システム102が室内Aの湿度を測定するセンサを備えている場合には、例えば、以下のような運転モードを任意に選択できる制御をしてもよい。具体的には、室内Aの所定の湿度に対して、室内Aから室内空気流路110に吸引する空気の量を予め定めておき、室内Aの湿度を任意の値に設定すると、室内Aから室内空気流路110に吸引する空気の量が固定される。この場合、湿度を調整する運転モードとすることができる。また、室内Aの湿度を所定の値に固定し、室内Aから室内空気流路110に吸引する空気の量を最大にする。この運転の場合、部屋干しをする際の運転モードとすることができる。また、湿度を所定の値に固定し、室内空気流路110に吸引する空気の量を自動制御する。この場合、湿度を例えば55%に設定して、ダニの抑制を目的とした運転モードとすることができる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態の調湿システム102は、屋根裏空間Bの空気を吸引すると共に、吸引した空気を調湿材130へ送るための屋根裏空気流路140をさらに備えている。これにより、屋根裏空間Bの空気を調湿材130の放湿部132に容易に供給することができる。このため、室内Aの空気を調湿するために使用するエネルギーを低減することができる調湿システム102を実現できる。
【0063】
また、本実施の形態の調湿システム102は、屋根裏空気流路140の入口側に配置され、吸引した空気を加熱する補助熱源160をさらに備えている。これにより、屋根裏空間Bの空気の温度が調湿材130の乾燥するために要する温度未満の場合であっても、補助熱源160で、屋根裏空気流路140に吸引される空気の温度を上昇することができるので、調湿材130を乾燥できる。室内Aの空気の温度よりも屋根裏空間Bの空気の温度は高いので、補助熱源160を使用しても、上述した比較例1のように調湿材130の乾燥に用いるために室内Aの空気を加熱する際に要するエネルギーよりも、省エネ効果を有する。
【0064】
また、本実施の形態の調湿システム102において、調湿材130は、一方表面と、この一方表面と反対側の他方表面とを有する板状であり、室内空気流路110と屋根裏空気流路140とは、調湿材130で仕切られており、調湿材130の一方表面は室内空気流路110に位置し、調湿材130の他方表面は屋根裏空気流路140に位置している。これにより、調湿材130の一方表面を吸湿部131として利用し、調湿材130の他方表面を放湿部132として利用できる。このため、調湿材130において、吸湿と放湿とを同時に効率よく行うことができる。
【0065】
(実施の形態4)
図4を参照して、本発明の実施の形態4の調湿システム103について説明する。図4に示すように、実施の形態4における調湿システム103は、基本的には、図3に示す実施の形態3の調湿システム102と同様の構成を備えているが、調湿材130の配置において異なる。
【0066】
具体的には、積層された室内空気流路110と屋根裏空気流路140とを交差するように調湿材130が配置されている。本実施の形態では、室内空気流路110及び屋根裏空気流路140は、水平方向に延在し、調湿材130は、鉛直方向に延在している。調湿材130は、室内空気流路110の排気部112及び屋根裏空気流路140の吸気部141側において、室内空気流路110及び屋根裏空気流路140と直交するように設けられている。
【0067】
調湿材130の下部が吸湿部131であって、調湿材130の上部が放湿部132である。本実施の形態では、室内空気流路110と屋根裏空気流路140との境界に、調湿材130の中央が位置している。調湿材130の上部及び下部は、略同じ形状である。
【0068】
本実施の形態の調湿材130は、厚み方向において空気を通過させやすい材料である。つまり、実施の形態3の調湿材は、空気が通りにくい材料であるのに対し、本実施の形態の調湿材は、通気孔を有するなど、空気が通りやすい材料である。
【0069】
調湿システム103は、調湿材130を回転させる移動機構をさらに備えている。移動機構は、調湿材130の中心を軸として、調湿材130を回転させる。
【0070】
調湿システム103は、調湿材130の吸湿部131における水分含有量を測定するセンサをさらに備えていてもよい。
【0071】
続いて、図4を参照して、本実施の形態の調湿システム103の動作について説明する。
【0072】
まず、実施の形態3と同様に、ファン120を起動して、室内Aの空気を吸気部111から吸引して、室内空気流路110内に供給する。室内から吸引した空気中の水分を、室内空気流路110に沿って配置された調湿材130の下部の吸湿部131に吸収させる。この水分が低減された空気を、排気部112から室内Aへ排出する。
【0073】
上記除湿運転時に、ファン150を起動して、屋根裏空間Bの空気を吸気部141から吸引して、屋根裏空気流路140内に供給する。屋根裏空間Bの空気を、調湿材130の上部の放湿部132に供給し、調湿材130が吸収した水分を放出させる。この水分を吸収した空気を、排気部142から排出する。
【0074】
次に、調湿材130の吸湿部131が水分で飽和する前に、調湿材130の上部と下部とを180°回転させて、吸湿部と放湿部とを逆にする。その結果、調湿材130において屋根裏空間Bの空気で乾燥した部分を室内空気流路110内に配置し、調湿材130において室内空気流路110の空気中の水分を吸収した部分を屋根裏空気流路に配置することができる。この工程では、センサにより、調湿材130の吸湿部131における水分含有量を測定し、吸湿部131の水分量が所定の値に達した時に、吸湿部131が飽和したと判断して、吸湿部と放湿部とを逆にしてもよい。
【0075】
次に、上述したように、室内空気流路110において、室内Aの空気を吸引し、調湿材130の吸湿部131で水分が低減された空気を室内Aへ排出すると共に、屋根裏空気流路140において、屋根裏空間Bの空気を吸引し、調湿材130の放湿部132で水分が増加された空気を屋根裏空気流路140から排出する。このように、本実施の形態では、1つの調湿材130において、放湿が行われる領域と、吸湿が行われる領域とを有し、その領域を交互に入れ替える。
【0076】
また、実施の形態3と同様に、屋根裏空間Bの空気の温度が低いと判断される場合には、補助熱源160を起動して、屋根裏空気流路140に供給された空気を加熱する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態の調湿システム103は、室内空気流路110上に屋根裏空気流路140が配置され、室内空気流路110と屋根裏空気流路140とを交差するように板状の調湿材130が配置され、調湿材130の下部が吸湿部131であり、調湿材130の上部が放湿部132である。本実施の形態では、調湿材130の下部を吸湿部131として利用し、調湿材130の上部を放湿部132として利用できるので、調湿材130において吸湿と放湿とを同時に行うことができる。また、吸湿部131の吸湿能力が低下すれば、吸湿部と放湿部とを入れ替えることで、常時、調湿材130において吸湿と放湿とを同時に行うことができる。
【0078】
(実施の形態5)
図5を参照して、本発明の実施の形態5の調湿システム104について説明する。図5に示すように、実施の形態5における調湿システム104は、基本的には、図3に示す実施の形態3の調湿システム102と同様の構成を備えているが、室内空気流路110及び屋根裏空気流路140において異なる。
【0079】
具体的には、室内空気流路110及び屋根裏空気流路140は、鉛直方向に沿って延在し、鉛直方向に沿って延在する調湿材130で仕切られている。
【0080】
室内空気流路110は、空気を調湿材130に案内するための案内部116をさらに含んでいる。案内部116により、吸気部111から吸引された空気は上方へ移動した後、下方へ移動できるので、調湿材130の吸湿部131に沿って空気を移動させることができる。
【0081】
本実施の形態の調湿システム104の動作については、基本的には実施の形態3と同様であり、室内空気流路110内を通過する室内Aから吸引した空気の流れ(矢印11)及び屋根裏空気流路140内を通過する屋根裏空間Bから吸引した空気の流れ(矢印13)において異なる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態の調湿システム103において、調湿材130は、一方表面と、この一方表面と反対側の他方表面とを有する板状であり、室内空気流路110及び屋根裏空気流路140は鉛直方向に沿って延び、室内空気流路110と屋根裏空気流路140とは調湿材130で仕切られており、調湿材130の一方表面は室内空気流路110に位置し、調湿材130の他方表面は屋根裏空気流路140に位置する。このように、室内空気流路110及び屋根裏空気流路140の配置によらずに、室内Aの空気を調湿するために使用するエネルギーを低減することができる調湿システム103を実現できる。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
11,12,13 矢印、100,101,102,103,104 調湿システム、110 室内空気流路、111,141 吸気部、112,142 排気部、113 調湿部、114 入口部、115 出口部、116 案内部、120,121,122,150 ファン、130 調湿材、131 吸湿部、132 放湿部、140 屋根裏空気流路、160 補助熱源、A 室内、B 屋根裏空間、C 天井、D 屋根。
図1
図2
図3
図4
図5