(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子計算機は、コンピュータプログラムやデータを含有する電子情報に基づいて、計算機内外の機器を制御し、様々な仕事を実行することができる。電子情報は、通信網を介して外部から電子計算機に取り込むことができる。使用の権利を有さない第三者でも、電子情報を入手すればその利用が可能である。このような盗窃を防ぎ権能者のみが利用できるようにするため電子情報を保護することが求められる。
【0003】
電子情報は、デジタル信号0と1の組み合わせで様々な情報を表現するもので、0と1のビットの並びが正しくなければ情報内容を伝達することができない。電子情報の漏洩を防ぐ一般的な暗号技術では、原本となる電子情報の0と1を決められた法則に従って変換処理して直ちには元の情報を知ることができないようにする。
しかし、普通の暗号技術では原本の秘密情報を暗号化により変換して秘匿しても、変換した後の電子情報には元の電子情報が全て含まれているため、何らかの手段で逆変換方法を知られてしまえば、原本情報を復元することが可能になる。
【0004】
ところで、電子情報は、0と1のビット情報が不足する状態から元の内容を復元することは難しい。このことを利用して、より安全性の高い電子割符技術が開発されている。
電子割符技術は、原本の電子情報(原本情報A)をビットレベルでばらばらに分解して、分解したビット情報を分割して複数の塊に分散させることにより、分割されたビット塊α、βからでは原本情報Aを類推することができないようにして、情報の漏洩を防止する技術である。
【0005】
本願発明者らが提供した電子割符技術は、たとえば特許文献1に開示したように、保護対象とする原本の電子情報をビットレベルまで分割してランダムに割り振った複数の電子割符ファイルを別々に保管し、原本情報を利用するときにすべての電子割符ファイルを集合してビット情報を元の順序に並べ直すことにより復元するものである。この電子割符技術を用いれば、一部の電子割符ファイルが窃取されても情報が欠落するため原本を推定することができず、すべての電子割符ファイルを統合しなければ原本を復元することができない。
【0006】
したがって、たとえば、情報の利用権限を所有するユーザが一部の電子割符ファイルを保管して、情報の利用時に頒布機関から残りの電子割符ファイルを取り寄せて原本を復元するようにすれば、利用者が権限を有するユーザに限られるとともに電子情報の移送中に情報の窃取を受ける心配がなく、情報の安全を確保することができる。
なお、電子割符技術では、原本の電子情報をビットレベルで電子割符ファイルのアドレスに割り振った割当結果を示す分配表を作成して、電子情報を復元するユーザのコンピュータに伝達する。
【0007】
しかし、この方法では電子情報を利用する権能のない第三者が成り済ましにより窃取したり、利用権能者が電子情報を正当に受け取ったとしても保管した電子情報を第三者が再利用したりする心配があった。また、情報利用者が、契約した用途以外の使用をする可能性もある。このような電子情報の不当な利用は、著作者や情報の提供者のみならず正当に入手した情報の利用者の利益を守るためにも、確実に防止することが求められる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図番の異なる図面においても、同一の機能を備えた構成要素には同一の参照番号を付して、理解の容易化を図った。
本実施形態の電子情報利用システムは、電子情報を公衆通信網を介してユーザに配布するためのものである。電子情報には、ユーザの情報端末において使用する、電子書籍、ゲームプログラム、映画や動画、音楽などのコンテンツ、映画館で利用するデジタル化されたフィルム、ロボットなどの可動機器の操縦用プログラム、など各種のものがある。
【0015】
図1は本発明の1実施例に係る情報利用システムの全体を表す全体構成図、
図2は本実施例の情報利用システムにおける情報利用端末について詳しく表した構成図である。なお、電子情報を格納する記憶部や送受信を行う通信路など一部の構成要素は、実際は一つの構成要素の一部を利用するものであっても、理解を容易にするため固有の機能に基づいて分離した形で表示した。
また、
図3から
図6は本実施例の電子情報利用システムにおける利用方法を部分ごとに手順を追って説明する工程図である。なお、図面で説明された手順は、操作する者の判断を介入させる部分を除き、各構成要素に備えられたコンピュータにより、コンピュータプログラムに従って実行されるものである。
【0016】
本実施例の情報利用システムは、
図1及び
図2に示すように、情報提供端末(SC)1と保管サーバ(ST)2と管理サーバ(MG)3と情報利用端末(US)4で構成される。
情報提供端末(SC)1は、コンピュータや端末で利用するコンテンツの提供者が使用する情報端末で、公衆通信網を介して保管サーバ(ST)2や管理サーバ(MG)3と電子情報の交換ができる。情報利用端末(US)4は、不特定多数の電子情報利用者がそれぞれ使用する情報端末で、公衆通信網を介して保管サーバ(ST)2や管理サーバ(MG)3と電子情報の交換をすることができる。保管サーバ(ST)2や管理サーバ(MG)3は、いわゆるクラウド中に存在するサーバであってもよい。
情報提供端末(SC)1、保管サーバ(ST)2、管理サーバ(MG)3、情報利用端末(US)4は、いずれも中央処理装置と記憶装置を備えたパソコンなどのコンピュータシステムを設備していて、電子情報の利用工程は、コンピュータプログラムにより実行される。
【0017】
情報提供端末(SC)1は、元データOrと、元データOrに係るプロモーションデータPmを所有して、これらから頒布ファイルDfと補填ファイルCfを形成し、それぞれ保管サーバ(ST)2と管理サーバ(MG)3に送信する。
ただし、頒布ファイルDfと補填ファイルCfは、別のところで生成してそれぞれ情報提供端末(SC)1を介さずに保管サーバ(ST)2と管理サーバ(MG)3に供給してもよい。
【0018】
プロモーションデータPmは、そのまま情報利用端末(US)4で使用することができるように編集した公開データで、これを試用することにより元データOrの利用価値を評価することができる。プロモーションデータPmは、元データOrの一部を切り出して構成したり、視聴者の理解を促す番組として作成したりすることができる。プロモーションデータPmは、
図3のステップS11に示すように情報提供端末(SC)1において、元データOrから編集して形成してもよく、また、別途編集したものを情報提供端末(SC)1に収納して利用してもよい。
【0019】
元データOrは、秘密性を確保するため非公開データCiとして取り扱うことが好ましい。なお、プロモーションデータPmが元データOrの一部をそのまま利用して形成される場合は、元データOrからプロモーションデータPmの部分を除いたデータを非公開データCiとして伝送し、元データOrを使用するときに非公開データCiの部分とプロモーションデータPmを合体して元データOrを復元するようにしてもよい。
本実施例の情報利用システムでは、情報提供端末(SC)1で形成された非公開データCiは、電子割符化し複数の伝送路を介して、情報利用端末(US)4に送信している。
【0020】
電子割符化は、秘密分散技術を利用して、非公開の原本データをビットあるいは小さなビット塊のビットレベルで分割して2以上の電子割符ファイルに分配すると共に、各ビットあるいは各ビット塊の原本データにおける配置情報と電子割符ファイルにおける配置情報を対比して表した分配表を作成する作業である。原本データが必要なときには、全ての電子割符ファイルを集めて、分配表に基づいて各ビットあるいは各ビット塊を元の配列に戻すことにより復元する。分配表は、端的に述べれば、個々の電子割符ファイルに割り振られたビット情報の原本データにおける位置を表すもので、電子割符ファイルごとに作成して個々に添付するようにしてもよい。
【0021】
なお、電子割符化をするコンピュータプログラムと電子割符を復元するコンピュータプログラムはそれぞれ演算を実行する機器に予め格納しておけばよいが、これらプログラムは左程大きなものではないので、電子割符ファイルに添付して必要な機器に供給することもできる。
電子割符ファイルは集合しないと原本データを復元することができないので、電子割符ファイルを分離して扱うことにより保管時及び送信時における安全を確保することができる。
【0022】
なお、しきい値秘密分散型の電子割符は、3以上の電子割符ファイルを使って互いに一部ずつ重複するように原本データのビット情報を分配し、しきい値とする所定数以下の電子割符ファイルが欠損しても残りのファイルを集合させれば原本データのすべてのビット情報が集まって原本データを復元することができるようにしたものである。しきい値秘密分散型電子割符では、分散配置される電子割符ファイルごとに全体に係る分配表を添付するなどして、どの電子割符ファイルが欠損しても分配表が入手できるようにすることが好ましい。
【0023】
情報提供端末(SC)1は、電子割符化部11を備え、元データOrに係る非公開データCiを電子割符化し、複数の電子割符ファイルA0,B0を形成し、分配表At0を生成する(
図3のS12)。
また、頒布ファイル形成部12を備え、公開するプロモーションデータPmと、少なくとも1つの電子割符ファイルA0と、分配表At0と、元データOrを特定するための管理情報IDとをまとめて頒布ファイルDfを形成し、送信部を介して保管サーバ(ST)2に送信する(
図3のS13)。
【0024】
情報提供端末(SC)1はさらに補填ファイル形成部13を備え、残りの電子割符ファイルB0と、分配表At0と、管理情報IDとをまとめて補填ファイルCfを形成し、送信部を介して管理サーバ(MG)3に送信する(
図3のS14)。
ここで、頒布ファイルDfと補填ファイルCfのいずれにも分配表At0を添付しておけば、しきい値秘密分散型電子割符を使う場合にも対応できる。
情報提供端末(SC)1は、売上げ管理部14を備えてコンテンツの売上げや課金の管理をし、また、不正使用を発見したときには図外の通信手段を介して電子情報の使用を制限させるようにしてもよい。
【0025】
保管サーバ(ST)2は、情報提供端末(SC)1から受信部を介して受信した頒布ファイルDfを記憶部21に保管して、情報利用端末(US)4からのリクエストに応じていつでもダウンロードできるようにしている(
図3のS21)。保管サーバ(ST)2は、コンピュータネットワーク上のサーバを利用してもよい。
また、管理サーバ(MG)3は、情報提供端末(SC)1から受信部を介して受信した補填ファイルCfを記憶部31に保管する(
図3のS31)。
【0026】
情報利用端末(US)4は、
図1に示すように、大きく分けると、試用及び条件設定部、元データ復元部、電子情報使用部、再電子割符化及び復元部で構成される。
さらに、試用及び条件設定部は、
図2に詳しく示した、請求信号生成部41、記憶部42、プロモーションデータ分離部43、試用部44、情報入力部45、使用条件設定部46を備える。
情報利用端末(US)4は、請求信号生成部41で生成したコマンド信号を通信路を介して保管サーバ(ST)2に送信し、保管サーバ(ST)2からダウンロードされた頒布ファイルDfを記憶部42に保存する(
図3のS41)。
なお、頒布ファイルDfは、別途、DVDなどの可搬性記憶媒体に収納して頒布することもできる。この場合は、保管サーバ(ST)2を介しないで、入手した記憶媒体から転写することにより記憶部42に保存する。
【0027】
プロモーションデータ分離部43が頒布ファイルDfからプロモーションデータPmを分離して試用部44で試用することにより、元データOrの出来を推定することができる(
図3のS42)。
試用部44は、元データOrの機能を試すために使う要素を備えるもので、視聴覚コンテンツを鑑賞する場合には適合するディスプレーや映写装置やコントローラなど、装置類の操縦プログラムなどである場合には対象とする装置自体やそのシミュレータなどが必要となる。
【0028】
試用の結果、元データOrを使用することになった場合は、使用者がキーボードやタッチパネルなどで形成される情報入力部45を介して元データOrを使用しようとする希望の使用条件を入力すると、使用条件設定部46で、取り寄せたい元データOrに係る補填ファイルCfを取得す意思を表す請求情報Dmと、補填ファイルCfを特定するための管理情報IDと、元データOrの使用条件を電子情報化した希望使用条件情報Caを形成して、通信路を介して管理サーバ(MG)2に送信する(
図3のS43)。
【0029】
元データの使用条件は、たとえば、使用者を指定するユーザIDやパスワード、情報利用端末(US)の認識情報、情報利用端末(US)の所在地、使用する日時や時間帯などの使用権限を確認する情報や、使用回数の制限値や課金情報などであってもよい。
なお、希望使用条件の入力は、ディスプレーにフォームを表示して空欄を埋めさせる方式を利用すると、元データの提供者が要求する事項も明確になり利用者も必要事項に落ちがないように設定することができて便利である。
また、情報利用端末(US)に係る情報には、情報利用端末(US)が自動的に形成できるものもある。
【0030】
管理サーバ(MG)3は、判定部32と、使用条件情報生成部33と、伝送ファイル形成部34と、伝送ファイル電子割符化部35を備える。
管理サーバ(MG)3の判定部32は、情報利用端末(US)4から受信した請求情報Dmと、管理情報IDと、希望使用条件情報Caに基づいて、供給者側の立場から対象とする元データOrの利用を認めることができるか否かを決定する(
図4のS32)。
使用条件が適合せず利用を拒否する場合は、情報利用端末(US)4に請求は認められない旨の回答を送信して、作業を終える(
図4のS33)。
【0031】
条件が適合して補填ファイルCfの供給が可能な場合は、使用条件情報生成部33が、希望使用条件情報Caに情報供給者の指定する使用条件を加味した電子情報として使用条件情報Crを形成する(
図4のS34)。情報供給者は、使用者の意図するより広い範囲の情報使用領域や使用時間帯などを指定することもできる。また、管理サーバ(MG)3は、成約情報生成部36を備えて、元ファイルOrを供給する情報提供端末(SC)1に備える売上げ管理部14に対して成約情報を通知して、情報提供端末(SC)1において課金管理や適正使用の確保などの売上げ管理を可能にさせるようにしてもよい。
【0032】
伝送フィル形成部34は、使用条件情報生成部33で形成された使用条件情報Crと記憶部31に格納された補填ファイルCfを合体して伝送ファイルTfを構成する。伝送ファイル電子割符化部35が、伝送ファイルTfを電子割符化して、少なくとも2つの電子割符ファイルα,βと、分配表At2を形成する(
図4のS35)。
形成された電子割符ファイルα,βは、それぞれ分配表At2を添付した分割伝送ファイルとして、安全のため別々の通信手段を介し、取得を希望して請求情報Dmを発行した情報利用端末(US)4に送信される(
図4のS36)。なお、単に送信時刻が異なるだけの通信手段であっても、一緒に送信する場合と比較すると安全性が向上する。また、電子割符ファイルを携帯可能な媒体に収納して手交したり搬送したりする方法などを併用することもできる。
【0033】
情報利用端末(US)4は、
図2に示す、分割伝送ファイルを格納する記憶部47,48と、伝送ファイル復元部49と、元データ復元部50とで構成され電子割符ファイルから元データを復元する元データ復元部と、復元した元データを格納する記憶部51と、使用状態情報生成部52と、使用条件照会部53と、情報使用部54とで構成される電子情報使用部を備える。
【0034】
情報利用端末(US)4は、管理サーバ(MG)3から受信した分割伝送ファイルをそれぞれ記憶部47,48に格納する(
図5のS44)。
伝送ファイル復元部49が、記憶部47,48に格納された分割伝送ファイルをすべて統合し、分配表At2を使って電子割符ファイルα,βから伝送ファイルTfを復元し、電子割符ファイルB0および分配表At0からなる補填ファイルCfと、使用条件情報Crを得る(
図5のS45)。
なお、高度な安全を必要としない場合は、電子割符化された補填ファイルCfを含む伝送ファイルTfを再度電子割符化することなく直接に情報利用端末(US)4に伝送してもよい。この場合は、伝送ファイル電子割符化部35、記憶部47,48、伝送ファイル復元部49などは,不要となる。
【0035】
復元した補填ファイルCfと記憶部42に保管してあった頒布ファイルDfを集合し、頒布ファイルDfに含まれる電子割符ファイルA0と補填ファイルCfに含まれる電子割符ファイルB0を分配表At0に基づいて統合して非公開データCiを復元し、必要に応じてプロモーションデータPmを複合して元データOrとして、使用条件情報Crと共に、記憶部51に格納する(
図5のS46)。
【0036】
使用状態情報生成部52は、情報利用端末(US)4が元データOrを使用するときの端末の状態を検知して電気信号化し、使用条件照会部53に入力する。検知すべき端末の状態には、端末の個体を確定する識別符号や端末番号、GPSに基づく位置情報、時計信号、端末を使用している使用者の識別符号など、使用の条件を規定する各種の情報がある。
使用条件照会部53は、記憶部51から供給される使用条件情報Crと照らし合わせて、情報利用端末(US)4の使用状態が許可された使用条件に適合するか否かを判定する(
図5のS47)。
【0037】
情報利用端末(US)4の状態が規定の使用条件に反するときは、復元した元データOrを情報利用端末(US)4から削除して使用できないようにする(
図5のS48)。
また、情報利用端末(US)4が使用条件に適合する状態であるときは、元データOrを情報使用部54に適用して、情報を利用することができる(
図5のS49)。
情報使用部54は、元データOrの電子情報コンテンツを利用する機器で、情報利用端末(US)4に組み込まれた情報機器に限らず、たとえば、画像表示器を備えた動画再生装置、映画劇場における映写機にデジタル情報を供給してスクリーンに投影させる映画投影装置、工場における製造用ロボットを駆動する操縦装置など、端末と電気的に接続された外部の機器であってもよい。
【0038】
元データOrを使用した後に再度の利用を認める場合は、使用権限を持たぬ者が使用できないように保管する必要がある。
そこで、情報利用端末(US)4は、さらに、
図2に示す、元データ再電子割符化部55と、記憶部56と、再形成元データ復元部57で構成される再電子割符化および復元部を備えて、使用済みの元データOrを再度電子割符化して分割保管し、再度使用するときに電子割符を統合し元データOrを復元することとして,安全を確保する。
【0039】
このため、情報利用端末(US)4の元データ再電子割符化部55は、先に復元した元データOrと使用条件情報Crを合わせた電子情報ファイルを、電子割符化して電子割符ファイルA1,B1を形成し、分配表At1を生成する(
図6のS50)。
元データOrの電子割符を形成した後は、記憶部51に格納されていた元データOrを削除して利用できないようにする(
図6のS51)。
【0040】
ここで生成された一方の電子割符ファイルB1と分配表At1は、保管ファイルとして記憶部56に保管される(
図6のS52)。
また、他方の電子割符ファイルA1は、寄託ファイルとして通信路を介して保管サーバ(ST)2に送信される(
図6のS53)。
保管サーバ(ST)2は記憶部22を備え、情報利用端末(US)4から受信した寄託ファイルを記憶部22に保管して、情報利用端末(US)4からの指示によりいつでも情報利用端末(US)4に送信できるようにしておく(
図6のS22)。
【0041】
次に元データOrを利用したくなったときは、情報利用端末(US)4から保管サーバ(ST)2に指示コマンドを送って寄託ファイルをダウンロードする(
図6のS54)。
再形成元データ復元部57が、保管サーバ(ST)2から取り寄せた寄託ファイルに含まれる電子割符ファイルA1と、記憶部56から取り出した保管ファイルに含まれる電子割符ファイルB1と分配表At1とを統合して、元データOrと使用条件情報Crを復元して、記憶部51に格納する(
図6のS55)。
なお、復元した元データOrは記憶部51のRAM領域に格納して他の記憶媒体に転写しないように構成することにより、電子情報利用後に情報利用端末(US)4の電源を落とすとRAM領域がクリアされて元データOrが自然に消去されることを利用して、電子情報の安全を確保するようにしてもよい。
元データOrを再度利用するときは、ステップ47(
図5のS47)に移行して作業工程を繰り返す(
図6のS56)。
【0042】
本実施例に係る電子情報利用システムでは、こうして、元データOrの非公開部分を電子割符化して、その一方の電子割符ファイルA0にプロモーションデータPmを添付した頒布ファイルDfを保管サーバSTに保管し、残りの電子割符ファイルB0を含む補填ファイルCfを管理サーバMGに保管し、使用時に電子割符ファイルを統合して復元するので、保管時および通信時における電子情報の漏洩や窃取などの危険が極めて少ない。なお、頒布ファイルDfを可搬性記憶媒体に格納して頒布する場合にも、電子割符を利用することによる安全性の確保ができる。
【0043】
また、元データOrの利用者は、情報利用端末USを用いて、プロモーションデータPmを試用することにより元データの利用価値を確認した後に、管理サーバMGから頒布ファイルに搭載していない残りの非公開部分を取り寄せる。したがって、保管サーバSTあるいは可搬性記憶媒体と管理サーバMGの間で負荷を適宜に配分することができ、また、たとえば、多種類の頒布ファイルを利用者に頒布して好みのものを選択させる場合、管理サーバMGに格納する電子割符ファイルを大きくし、保管サーバSTに格納する電子割符ファイルを小さくすれば、コンテンツに係るプロモーションデータPmおよび電子割符ファイルを一挙に頒布する場合にも、保管サーバSTと情報利用端末USの間の通信量を抑制することができる。
【0044】
また、管理サーバMGから残りの電子割符ファイルを取り寄せるときに、使用者側が情報利用端末USを介して情報使用条件を設定するようにしたため、電子情報を使用できる情報利用端末USを指定したり、情報利用端末USの存在地情報や時計情報を使って利用を認める地域や時間帯を限定したり、電子情報の使用回数を限定したりすることも可能である。
【0045】
また、使用後には、元データOrを再度電子割符化して、情報利用端末USと保管サーバSTに分けて保存し、情報利用端末USには元データOrを残さないようにして、必要とするときに電子割符を統合して元データOrを復元し、使用条件に適合することを確認した上で利用できるようにしたので、再利用の場合にも、利用の権限を有しない者が元データOrを使用することを防止し、著作権者の権利を確実に保護することができる。
なお、有料の著作物を対象とする場合、正しい課金が納付されていないときには、保管サーバSTで預かった寄託ファイルを消去すれば再使用ができなくなるので、簡単に不当利用を防止することができる。
【0046】
なお、本実施形態の電子情報利用システムでは、情報利用端末USと情報提供端末SCが通信網を介して直接に接続される必要はなく、情報利用端末USと保管サーバSTと管理サーバMGを備えればよい。
また、クラウドサービスの進展に伴い、情報利用端末USにおける多くの演算部分をクラウドコンピュータに任せて、利用者の手元には情報入出力機能のみを持ちクラウドコンピュータと通信で接続する簡単な情報装置を配置するようにした場合にも、情報利用端末USには用済みの元データOrを残さないようにすることが好ましい。