(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355323
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】短期運転性向判定可変制御装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20180702BHJP
B60W 40/09 20120101ALI20180702BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W40/09
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-251071(P2013-251071)
(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-238809(P2014-238809A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0065501
(32)【優先日】2013年6月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田炳▲うく▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭同訓
【審査官】
高田 元樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−260703(JP,A)
【文献】
特開平07−017294(JP,A)
【文献】
特開平11−291791(JP,A)
【文献】
特開2011−081559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60W 40/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運行による運転者の短期運転性向判定可変制御装置において、
運転性向判定のための運行情報を収集する運行情報収集部と、
入力されたアクセルペダル位置センサー(Accelerator Position Sensor、APS)開度量に基づくファジィ制御理論を用いて第1短期運転性向指数を算出する第1短期運転性向演算モジュールと、
入力された前方車両相対速度に基づくファジィ制御理論を用いて第2短期運転性向指数を算出する第2短期運転性向演算モジュールと、
前記第1短期運転性向指数、前記第1短期運転性向指数のための第1加重値、前記第2短期運転性向指数及び前記第2短期運転性向指数のための第2加重値を適用して最終短期運転性向指数を算出する制御モジュールと、を含み、
前記第1加重値と第2加重値は車両速度によって変化可能であり、車両速度による第1加重値と第2加重値は予め設定されることを特徴とする短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項2】
前記制御モジュールは、
車両速度による第1加重値と第2加重値を、スポーティー指数加重値関数で予め保存されていることを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
前記車両速度が第1基準速度以下であれば、前記第2加重値に対する前記第1加重値の比率を増加させて適用することを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項4】
前記制御モジュールは、
前記車両速度が第2基準速度以上であれば、前記第1加重値に対する前記第2加重値の比率を増加させて適用することを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項5】
前記最終短期運転性向指数は、
【数1】
の式から算出されることを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
ここで、SI
1は第1短期運転性向指数、W
1は第1加重値、SI
2は第2短期運転性向指数、W2は第2加重値である。
【請求項6】
前記運行情報収集部は、
前記運転者の車両運行による車両速度、車両加速度、車間距離、APS開度量、ブレーキペダル位置、ギヤ変速位置、車両の操向状態、GPS/GISに基づく位置情報、道路情報、運行区間の混雑度及び気象情報のうちの少なくとも一つの運行情報を収集することを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項7】
前記運行情報収集部は、
車間距離センサーを通じて検出された前方車両との距離を用いて前方車両の速度と運転者車両の速度の差を計算することを特徴とする請求項6に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項8】
前記第1短期運転性向演算モジュールは、
前記APS開度量に基づいたメンバーシップ関数を設定し、入力されたAPS開度量のメンバーシップ関数から前記第1短期運転性向指数を算出することを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項9】
前記第2短期運転性向演算モジュールは、
前記前方車両相対速度に基づいたメンバーシップ関数を設定し、入力された前方車両相対速度のメンバーシップ関数から前記第2短期運転性向指数を算出することを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
【請求項10】
車両運行による運転者の短期運転性向判定可変制御方法において、
車両運行による短期運転性向判定のための運行情報を収集する段階と、
アクセルペダル位置センサー(Accelerator Position Sensor、APS)開度量に基づくメンバーシップ関数からファジィ結果値を演算して第1短期運転性向指数を算出する段階と、
前方車両相対速度に基づくメンバーシップ関数からファジィ結果値を演算して第2短期運転性向指数を算出する段階と、
前記第1短期運転性向指数、前記第1短期運転性向指数のための第1加重値、前記第2短期運転性向指数及び前記第2短期運転性向指数のための第2加重値を適用して最終短期運転性向指数を算出する段階と、を含み、
前記第1加重値と第2加重値は車両速度によって変化可能であり、車両速度による第1加重値と第2加重値は予め設定されることを特徴とする短期運転性向判定可変制御方法。
【請求項11】
前記最終短期運転性向指数を算出する段階は、
前記車両速度が第1基準速度以下であれば、前記第2加重値に対する前記第1加重値の比率を増加させて適用する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の短期運転性向判定可変制御方法。
【請求項12】
前記最終短期運転性向指数を算出する段階は、
前記車両速度が第2基準速度以上であれば、前記第1加重値に対する前記第2加重値の比率を増加させて適用する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の短期運転性向判定可変制御方法。
【請求項13】
前記運行情報を収集する段階は、
前記車両の始動オン(ON)後に累積された走行時間または走行距離が所定の短期運転性向指数演算開始条件に到達すれば短期運転性向演算を開始する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の短期運転性向判定可変制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は短期運転性向判定可変制御装置及びその方法に係り、より詳しくは、前方車両に対する相対速度及び加速操作による運転者短期運転性向判定可変制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両を運行する顧客は各々異なる多様な運転性向を有している。例えば、平均走行速度が高い顧客、減加速特性が他の運転者に比べて低いか高い顧客、燃費運転を行う顧客、主に週末に高速道路を用いた長距離運行を行う顧客などの多様な運転性向を有する。
【0003】
車両の走行性能に関連した顧客の満足度は車両がどのくらい顧客の性向に合うように走行するかにかかっているが、一般に出庫される車両は画一化された性能特性に定められているために顧客の多様な運転性向が反映できないという短所があった。
【0004】
したがって、最近は顧客の運転性向を把握して顧客の運転性向に適合するように車両が反応するようにする顧客の運転性向
に基づく車両制御技術に対する研究が活発に行われている。
【0005】
このような、顧客の運転性向
に基づく車両制御技術を提供するためにはまず、顧客の運転性向を正確に判定することが非常に重要である。
【0006】
一方、従来は運転者の加速運転性向を判断するためにアクセルペダルの開度(APS)及びアクセルペダル開度の変化率(ΔAPS)を主に用いた。しかし、アクセルペダルの操作状況は運転者の加速意志を判断する重要な基準となるが、運転者の全般的な運転意志を表現することに限界がある。
【0007】
また、前記問題状況で運転者の性向演算を持続することは、運転者の性向とは関係なく不正確な性向判定数値が得られるようになるので、全般的な運転性向
に基づく車両制御技術に対する信頼度が落ちるという問題点がある。
【0008】
したがって、顧客の信頼度及び満足度の高い運転性向
に基づく車両制御技術を提供するためには顧客の運転性向がより正確に判断できる方案が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第0391724号(2003年07月16日広告)
【特許文献2】韓国特許公開第10−2012−0060067号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012−0136506号明細書
【特許文献4】韓国特許公開第10−2012−0022305号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、アクセルペダル操作と前方車両との相対速度に対する加重値を車両の速度を基準に差別化して適用する短期運転性向判定可変制御装置及びその方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、車両運行による運転者の短期運転性向判定可変制御装置は、運転性向判定のための運行情報を収集する運行情報収集部と、
入力されたアクセルペダル位置センサー(Accelerator Position Sensor、APS)開度量
に基づくファジィ制御理論を用いて第1短期運転性向指数を算出する第1短期運転性向演算モジュールと、
入力された前方車両相対速度
に基づくファジィ制御理論を用いて第2短期運転性向指数を算出する第2短期運転性向演算モジュールと、
前記第1短期運転性向指数、前記第1短期運転性向指数のための第1加重値、前記第2短期運転性向指数及び前記第2短期運転性向指数
のための第2加重値を適用して最終短期運転性向指数を算出する制御モジュールと、
を含み、前記第1加重値と第2加重値は車両速度によって変化可能であり、車両速度による第1加重値と第2加重値は予め設定されることを特徴とする。
【0012】
また、前記制御モジュールは、
車両速度による第1加重値と第2加重値を、スポーティー指数加重値関数で予め保存
されていることができる。
【0013】
また、前記制御モジュールは、前記車両速度が第1基準速度以下であれば、
前記第2加重値に対する前記第1加重値の比率を増加させて適用することができる。
【0014】
また、前記制御モジュールは、前記車両速度が第2基準速度以上であれば、
前記第1加重値
に対する前記第2加重値の比率を増加させて適用することができる。
【0015】
前記最終短期運転性向指数は、
【数1】
【0016】
の式から算出されることを特徴とする請求項1に記載の短期運転性向判定可変制御装置。
ここで、SI
1は第1短期運転性向指数、W
1は第1加重値、SI
2は第2短期運転性向指数、W2は第2加重値である。
【0017】
また、前記運行情報収集部は、
前記運転者の車両運行による車両速度、車両加速度、車間距離、APS開度量、ブレーキペダル位置、ギヤ変速位置、車両の操向状態、GPS/GIS
に基づく位置情報、道路情報、運行区間の混雑度及び気象情報のうちの少なくとも一つの運行情報を収集することを特徴とする。
【0018】
また、前記運行情報収集部は、車間距離センサーを通じて検出された前方車両との距離を用いて前方車両の速度と運転者車両の速度の差を計算することができる。
【0019】
また、前記第1短期運転性向演算モジュールは、前記APS開度量に基づいたメンバーシップ関数を設定し、入力されたAPS開度量のメンバーシップ関数から前記第1短期運転性向指数を算出することができる。
【0020】
また、前記第2短期運転性向演算モジュールは、前記前方車両相対速度に基づいたメンバーシップ関数を設定し、入力された前方車両相対速度のメンバーシップ関数から前記第2短期運転性向指数を算出することができる。
【0021】
一方、本発明の一側面によれば、車両運行による運転者の短期運転性向判定可変制御方法は、車両運行による短期運転性向判定のための運行情報を収集する段階と、アクセルペダル位置センサー(Accelerator Position Sensor、APS)開度量
に基づくメンバーシップ関数からファジィ結果値を演算して第1短期運転性向指数を算出する段階と、前方車両相対速度
に基づくメンバーシップ関数からファジィ結果値を演算して第2短期運転性向指数を算出する段階と、
前記第1短期運転性向指数、前記第1短期運転性向指数のための第1加重値、前記第2短期運転性向指数
及び前記第2短期運転性向指数のための第2加重値を適用して最終短期運転性向指数を算出する段階と、を含
み、
前記第1加重値と第2加重値は車両速度によって変化可能であり、車両速度による第1加重値と第2加重値は予め設定されることを特徴とする。
【0022】
また、前記最終短期運転性向指数を算出する段階は、前記車両速度が第1基準速度以下であれば、前記第
2加重値に対する前記第1加重値の比率を増加させて適用する段階を含むことができる。
【0023】
また、前記最終短期運転性向指数を算出する段階は、前記車両速度が第2基準速度以上であれば、
前記第1加重値に対する前記第2加重値の比率を増加させて適用する段階を含むことができる。
【0024】
また、前記運行情報を収集する段階は、前記車両の始動オン(ON)後に累積された走行時間または走行距離が所定の短期運転性向指数演算開始条件に到達すれば短期運転性向演算を開始する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、APS
に基づく短期運転性向指数と前方車両相対速度
に基づく短期運転性向指数をそれぞれ求め、車両速度によって比重を可変適用する短期運転性向演算を可変制御することにより、低速の混雑路と高速走行道路の状態での誤差発生を減らし、より正確な運転者の短期運転性向を導出することができる効果がある。
【0026】
また、顧客の運行情報を基にして顧客の車両運転性向を把握し個別顧客の運転性向に合う誂え型走行モードを提供することによって顧客の感性価値を高め企業イメージを向上させることができる効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態による運転性向
に基づく車両制御システムの全体的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による短期運転性向判定可変制御機能を含む短期運転性向判定部の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態によるスポーティー指数加重値関数を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施形態による運転者の短期運転性向判定可変制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な相違した形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限られない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付けた。
【0029】
図1は本発明の実施形態による運転性向
に基づく車両制御システムの全体的構成を概略的に示すブロック図である。
【0030】
添付された
図1に示す通り、本発明の実施形態による運転性向
に基づく車両制御システムは運行情報収集部100、運転性向分析部200及び走行モード決定部300を含む。
【0031】
運行情報収集部100は、運転者の性向を判断するために基礎となる車両運行情報を検出し、このために車両の内部ネットワークを通じて各種センサー、制御器及び装置と連結される。
【0032】
運行情報収集部100は、車速センサー11、加速度センサー12、車間距離センサー13、加速ペダル位置センサー14、ブレーキペダル位置センサー15、TCU16、ステアリングホイールセンサー17、車両位置センサー(GPS/GIS)18、テレマティクス19のうちの少なくとも一つと連動して運行情報を収集することができる。
【0033】
運行情報収集部100は、車速センサー11を通じた車両速度と加速度センサー12を通じた車両の加速度を収集し、車間距離センサー13を通じて前方車両との車間距離を収集する。この時、車間距離センサー13は前方レーダー信号を活用して前方車両と本車両との相対的な距離を求めることができ、この他にも赤外線センサー及び超音波センサーのうちの少なくとも一つを用いることができる。
【0034】
運行情報収集部100は、アクセルペダル位置センサー(Accelerator Pedal Position Sensor、APS)14を通じてアクセルペダルが踏まれた量(以下、アクセルペダル開度量と称する)を収集し、ブレーキペダル位置センサー15を通じてブレーキペダルが踏まれた量を収集する。この時、APS14及びブレーキペダル位置センサー15の作動パターンを通じて運転者の加速及び減速性向を検出することができる。
【0035】
運行情報収集部100は、TCU(Transmission Control Unit)16を通じてギヤ変速位置を収集し、ステアリングホイールセンサー17を通じて車両の操向状態を収集する。
【0036】
運行情報収集部100は、車両位置センサー18を通じてGPS/GIS
に基づく車両の位置情報と道路種類、屈曲、勾配情報を収集し、テレマティクス19を通じて運行区間の混雑度及び気象情報(例;雪道/雨の道/霧)を収集することができる。
【0037】
ここで、テレマティクス19はモゼン(MOZEN)と呼ばれるMTS(Mobile Telematics System)端末器とオートケアと呼ばれるCubis(Car Ubiquitous System)端末器、Bluelink(緊急状況サービス)及びナビゲーション端末器などの機能が統合された端末器で、車両の無線ネットワーク通信(例;3G/4G)を支援する。
【0038】
運転性向分析部200は運行情報収集部100で収集された運転者の車両運行情報を分析して運転者の運転性向を判定し、長期運転性向判定部210、短期運転性向判定部220及びリアルタイム道路条件判定部230を含む。
【0039】
長期運転性向判定部210は運転者の車両運行情報を所定長期間または所定運行回数の間累積し、累積された運行情報の平均値を比較分析して正規分布
に基づく確率値で長期運転性向指数を計算して通常の運転性向に反映する。
【0040】
一方、運転者の性向は常に一定であるのではなく、運転者の感情や瞬間的な運転意志の変化、道路条件などによって変わる。
【0041】
本発明の実施形態による短期運転性向判定部220は、ファジィ制御理論(Fuzzy Control Theory)を用いて運転者の短期運転意志を客観的な数値として判断するための短期運転性向指数を算出する。
【0042】
ここで、短期運転性向は長期運転性向に対比される意味であって運転者の瞬間的な加/減速意志を判断する基準となる。つまり、長期運転性向に比べて比較的に短時間単位で現れる運転操作の形態(即ち、車両運行情報)を定量的に数値化することによって運転者のリアルタイム運転性向を客観化する。このような短期運転性向を通じて加速感、燃費、変速感などに関与する制御因子を最適の運転条件のために自動切換する基準値として活用することができる。
【0043】
リアルタイム道路条件判定部230は車両運行に影響を与える気相情報及びGPS/GIS
に基づく車両位置情報による屈曲路、勾配路、混雑路、高速道路、雪道などを分析する。この時、分析されるリアルタイム道路条件は顧客性向による走行モード決定に反映できる。
【0044】
走行モード決定部300は顧客の運転性向別選好パターンを糾明し、通常の長期運転性向を反映して最適の走行モードを決定する。
【0045】
例えば、走行モード決定部300は、顧客の個人運転性向インデックス
に基づく燃費運転(Eco Drive)モード、スポーツ(Sports)モードを決定することができる。
【0046】
また、走行モード決定部300は、運転者の長期運転性向に基づいた最適走行モードに短期運転性向を反映して、運転者の感情や瞬間的な運転意志の変化による変更走行モードを決定することができる。
【0047】
また、走行モード決定部300は、前記最適走行モードにリアルタイム道路状況をさらに考慮して道路の状況による変更走行モードを決定することができ、例えば、車両運行区間を考慮した都心型モード、出退勤区間別モードなどの多様な走行モードを決定することができる。
【0048】
一方、顧客の運転性向を判定して変速感、変速パターン、エンジントルクマップ、エンジンフィルターなどを差別化することは走行性能を顧客のニーズに合わせるという側面から非常に重要な要素であり、前述の通り、このような運転性向を判断するための基本的な構成要素として前述で言及したように短期運転性向判定部220を提案した。
【0049】
但し、前述の背景技術でも指摘したように、運転者の加速運転性向を判断することにおいて、前方車両との相対速度は交通量が多い低速では加速状況に合わなくて不正確な結果をもたらし、走行速度が速い高速道路環境ではアクセルペダル操作量の弁別力が大きくないために誤差が発生するという問題点があった。
【0050】
したがって、次の
図2により本発明の実施形態による運転者短期運転性向判定可変制御機能を含む短期運転性向判定部220を提案しその構成を具体的に説明する。
【0051】
図2は本発明の実施形態による短期運転性向判定可変制御機能を含む短期運転性向判定部の構成を示すブロック図である。
【0052】
添付された
図2に示す通り、本発明の実施形態による短期運転性向判定部220は第1短期運転性向演算モジュール221、第2短期運転性向演算モジュール222及び制御モジュール223を含む。
【0053】
第1短期運転性向演算モジュール221は、運行情報収集部100から第1短期運転性向判定のためのアクセルペダル基準入力信号(例;APS開度量)を受信する。そして、入力されたAPS開度量
に基づくファジィ制御理論を用いて運転者の短期運転意志を客観的な数値として判断するための第1短期運転性向指数(Sporty Index 1、SI1)を算出する。
【0054】
例えば、第1短期運転性向演算モジュール221は、APS開度量に対してファジィ制御理論を適用してAPS開度量に基づいたメンバーシップ関数(membership function)を設定する。
【0055】
そして、第1短期運転性向演算モジュール221は、入力されたAPS開度量のメンバーシップ関数からファジィ結果値である第1短期運転性向指数(SI
1=0〜100%)を算出する。
【0056】
ここで、第1短期運転性向の判定のためのファジィルール(FUZZY RULE)は次の実施形態のように定義される。
【0057】
第1短期運転性向演算モジュール221は、運転者のAPS開度量のメンバーシップ関数
に基
づく時、運転者の車速が低くAPS開度量が小さいほど運転者はマイルド(MILD)運転性向であると判断できる。
【0058】
反面、第1短期運転性向演算モジュール221は、車速が高くAPS開度量が大きいほど運転者はスポーティー(SPORTY)運転性向であると判定できる。
【0059】
つまり、前記マイルド運転性向は緩慢な加速習慣を有する防御的(Defensive)運行パターンを有する運転者であり、前記スポーティー運転性向は急激な加速習慣を有する攻撃的(Aggressive)運行パターンを有する運転者であると判断される。
【0060】
一方、第2短期運転性向演算モジュール222は、運行情報収集部100から第2短期運転性向判定のための前方車両相対速度入力信号(VSP
REL)を受信する。ここで、前方車両相対速度は、運行情報収集部100で車間距離センサー13によって検出された運転者車両と前方車両との距離を用いて、前方車両の速度と運転者車両の速度の差を計算して求められる。
【0061】
そして、入力された前方車両相対速度
に基づくファジィ制御理論を用いて運転者の第2短期運転意志を客観的な数値として判断するための第2短期運転性向指数(Sporty Index 2、SI
2)を算出する。
【0062】
例えば、第2短期運転性向演算モジュール222は、車両の速度と前方車両相対速度に対してファジィ制御理論を適用して、車両の前方車両相対速度に基づいたメンバーシップ関数(membership function)を設定する。
【0063】
そして、第2短期運転性向演算モジュール222は、入力された前方車両相対速度のメンバーシップ関数からファジィ結果値である第2短期運転性向指数(SI
2=0〜100%)を算出する。
【0064】
ここで、第2短期運転性向の判定のためのファジィルール(FUZZY RULE)は次の実施形態のように定義される。
【0065】
第2短期運転性向演算モジュール222は、運転者の車両速度及び前方車両相対速度のメンバーシップ関数
に基づく時、運転者の車速が低く前方車両相対速度が小さいほど運転者はマイルド(MILD)運転性向であると判断できる。
【0066】
反面、第2短期運転性向演算モジュール222は、車速が高く前方車両相対速度が大きいほど運転者はスポーティー(SPORTY)運転性向であると判定できる。
【0067】
つまり、前記マイルド運転性向は緩慢な加速習慣を有する防御的(Defensive)運行パターンを有する運転者であり、前記スポーティー運転性向は急激な加速習慣を有する攻撃的(Aggressive)運行パターンを有する運転者であると判断される。
【0068】
制御モジュール223は、運行中の車両速度別APS開度量
に基づく第1短期運転性向指数(SI
1)及び前方車両相対速度
に基づく第2短期運転性向指数(SI
2)の加重値を求め、現在車両速度による加重値を適用して最終短期運転性向指数(SI
TOTAL=0〜100%)を算出する。
【0069】
このために、制御モジュール223は車両速度別APS開度量
に基づく第1短期運転性向指数(SI1)及び前方車両相対速度
に基づく第2短期運転性向指数(SI
2)の各加重値を求めるためのスポーティー指数加重値関数を保存する。
【0070】
図3は本発明の実施形態によるスポーティー指数加重値関数を示すグラフである。
【0071】
添付された
図3に示す通り、本発明の実施形態によるスポーティー指数加重値関数は車両速度(KPH)別に可変するAPS開度量
に基づく第1短期運転性向指数(SI
1)及び前方車両相対速度
に基づく第2短期運転性向指数(SI
2)の各加重値(W
1、W
2)比重を示す。
【0072】
制御モジュール223はスポーティー指数加重値関数を参照して走行する車両速度によってAPS開度量
に基づく第1短期運転性向指数(SI
1)を高めるか、前方車両相対速度
に基づく第2短期運転性向指数(SI
2)を高めるか加重値を別にして適用する。
【0073】
この時、制御モジュール223は車両速度が低速である場合には運転者のAPS操作の信頼度が高く、高速である場合には運転者の前方車両追従状況(即ち、相対速度)の信頼度が高いため下記の場合のような結果が導出される。
【0074】
第1、車両速度が低速である場合(例:40KPH以下)を仮定すれば、第1加重値(W
1)は90%と判定され、第2加重値(W
2)は10%と判定され得る。
【0075】
第2、車両の速度が高速である場合(例;80KPH以上)を仮定すれば、第1加重値(W
1)は40%と判定され、第2加重値(W
2)は60%と判定され得る。
【0076】
そして、制御モジュール223は次の数式1を通じて第1短期運転性向指数(SI
1)の第1加重値(W
1)と第2短期運転性向指数(SI
2)の第2加重値(W
2)を基に最終短期運転性向指数(SI
TOTAL)が算出できる。
【0078】
一方、次の
図4により前記短期運転性向判定部220の構成を基にする本発明の実施形態による短期運転性向判定可変制御方法を説明する。
【0079】
図4は本発明の実施形態による運転者の短期運転性向判定可変制御方法を示すフローチャートである。
【0080】
添付された
図4に示す通り、本発明の実施形態による前記短期運転性向判定部220は運転者の車両始動オン(ON)後に累積された走行時間または走行距離が所定の短期運転性向指数演算開始条件に到達すれば短期性向演算を開始する(S10;はい)。
【0081】
この時、短期運転性向判定部220は現在走行時間の間(距離)または現在の走行内設定された時間(距離)の間の短期運転性向演算開始条件を設定して該当条件満足時にリアルタイム運転者の短期運転性向演算を開始することができる。
【0082】
短期運転性向判定部220は、APS開度量
に基づくメンバーシップ関数からファジィ結果値を演算して第1短期運転性向指数(SI
1)を算出する(S20)。
【0083】
短期運転性向判定部220は前方車両相対速度
に基づくメンバーシップ関数からファジィ結果値を演算して第2短期運転性向指数(SI
2)を算出する(S30)。
【0084】
短期運転性向判定部220は現在車両速度を検出及び前記車両速度による第1短期運転性向指数(SI
1)及び第2短期運転性向指数(SI
2)の加重値を求めて適用する(S40)。
【0085】
短期運転性向判定部220は第1短期運転性向指数(SI
1)の第1加重値(W
1)と第2短期運転性向指数(SI
2)の第2加重値(W
2)を基に最終短期運転性向指数(SI
TOTAL)を算出する(S50)。
【0086】
本発明の実施形態は以上で説明した装置及び/または方法によってのみ実現されるのではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するためのプログラム、そのプログラムが記録された記録媒体などを通じて実現することもでき、このような実現は前述の実施形態の記載から本発明の属する技術分野における専門家であれば容易に実現できるのである。
【0087】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0088】
100 運行情報収集部
200 運転性向分析部
210 長期運転性向判定部
220 短期運転性向判定部
221 第1短期運転性向演算モジュール
222 第2短期運転性向演算モジュール
223 制御モジュール
230 リアルタイム道路条件判定部