(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第1真空式温水機の熱媒が所定の熱媒設定温度になるように前記バーナーへの燃料流量を制御する第1の制御出力と、前記第2真空式温水機の熱媒が前記第1真空式温水機の熱媒設定温度より低く且つ前記流量制御弁を制御するための熱媒設定温度より高い所定の熱媒温度設定値になるように前記バーナーへの燃料流量を制御する第2の制御出力と、を比較し、前記第1の制御出力及び第2の制御出力のうち燃料流量が少ない方の制御出力により前記バーナーの燃料流量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の真空式温水機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の真空式温水機は、排ガスの保有熱を熱媒を介して温水へ二段階で熱交換されており、一般的に熱媒温度を80〜90℃で制御しているため、缶体出口の排ガス温度を低減させ熱効率を向上させるには限界があった。
【0005】
そこで、本発明は、伝熱面積を大幅に増加させることなく熱効率を向上させることができる真空式温水機を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空式温水機は、熱媒加熱用バーナー及び第1熱交換器を備える第1真空式温水機と、第2熱交換器を備えるとともに前記第1真空式温水機の排ガスによって熱媒を加熱するように構成された第2真空式温水機と、
前記第2熱交換器をバイパスするバイパス管と、該バイパス管を流れるバイパス流量を制御する流量制御弁と、前記流量制御弁を制御することにより、前記第2真空式温水機の熱媒を前記第1真空式温水機の熱媒設定温度より低い熱媒設定温度に制御する制御装置と、を備え、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器から給水を供給されるように、前記第2熱交換器と接続されていることを特徴とする。
【0007】
前記第2真空式温水機は、標準沸点が100℃未満の熱媒が封入されていることが好ましい。
【0010】
前記制御装置は、前記第1真空式温水機の熱媒が所定の熱媒設定温度になるように前記バーナーへの燃料流量を制御する第1の制御出力と、前記第2真空式温水機の熱媒が前記第1真空式温水機の熱媒設定温度より低く且つ前記流量制御弁を制御するための熱媒設定温度より高い所定の熱媒温度設定値になるように前記バーナーへの燃料流量を制御する第2の制御出力と、を比較し、前記第1の制御出力及び第2の制御出力のうち燃料流量が少ない方の制御出力により前記バーナーの燃料流量を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、伝熱面積を大幅に増加させることなく、熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る真空式温水機の実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、全図及び全実施形態を通じて同一または類似の構成部分には同符号を付している。
【0014】
図1は、本発明に係る真空式温水機の第1実施形態を示す概略構成図である。
図1に示すように、真空式温水機1は、熱媒加熱用バーナー2及び第1熱交換器3を備える第1真空式温水機4と、第2熱交換器5を備えるとともに第1真空式温水機4から排出される排ガスGによって熱媒を加熱するように構成された第2真空式温水機6と、を備え、第1熱交換器3は、第2熱交換器5から給水を供給されるように第2熱交換器5と直列に接続されている。第1真空式温水機4と第2真空式温水機6とは、図示例のような直列配置とすることができる。
【0015】
第1真空式温水機4は、従来の真空式温水機と同様の基本構造を有しており、熱媒加熱用バーナー2及び第1熱交換器3の他、缶体7内に水没された燃焼室8、燃焼室8を上下に貫通する水管群9、缶体7内に封入された熱媒H1の上部に設けられ第1熱交換器3が組み込まれた減圧蒸気室10、減圧蒸気室10を減圧する抽気ポンプ(図示せず)等が備えられている。
【0016】
第2真空式温水機6は、バーナーが付設されていないため缶体11内に燃焼室を備えておらず、缶体11内に封入された熱媒H2が第1真空式温水機4から排出された燃焼排ガスGと熱交換するように構成されている。缶体11は、第1真空式温水機4の燃焼室8の水管群9と同様に、水管群12を備えており、水管群12が排ガスGの煙道13内に配設されている。缶体11内の熱媒H2上部には、減圧蒸気室11aが形成され、減圧蒸気室11aに第2熱交換器5が組み込まれている。なお、第2真空式温水機6の水管群12については、説明の便宜上、「水管」という用語を用いているが、後述するように水以外の熱媒が入る場合もある。
【0017】
第1真空式温水機4には、缶体7内に熱媒として水(熱媒水)が封入されている。第1真空式温水機4の缶体7内は、抽気ポンプにより、減圧されているため、100℃未満で熱媒水が沸騰して蒸発し、この減圧蒸気の保有する潜熱が、缶体7上部の減圧蒸気室10内に組み込まれた第1熱交換器3内の温水へ伝熱され、減圧蒸気は伝熱後、凝縮して再び水となり滴下して熱媒水となる。第1真空式温水機4の熱媒は、100℃以下、通常は80℃〜90℃の熱媒設定温度で制御され、この設定温度範囲で、熱媒水は、沸騰、蒸発、伝熱、凝縮のサイクルを繰り返す。第1真空式温水機4の熱媒温度は、バーナー2の出力を調整することによって制御され得る。
【0018】
第2真空式温水機6の熱媒H2は、第1真空式温水機4の熱媒H1より低い熱媒設定温度で制御され得る。第2真空式温水機6は、バーナーを備えていないため、第2熱交換器5への給水Wの流量を制御することにより、熱媒H2の温度を制御することができる。
【0019】
第2熱交換器5への給水流量を制御するために、
図1に示すように、第2熱交換器5の温水出口側配管5
bと温水入口側配管5
aを接続して第2熱交換器5をバイパスさせるバイパス管14が設けられるとともに、バイパス管14に流れるバイパス流量を調節するための流量制御弁15が設けられている。流量制御弁15は、比例動作の三方弁としてバイパス流量を調節すると同時に温水入口側配管5aの流量を調節することができるが、それに限らず、バイパス流量を調節できるものであれば、接続位置や弁の種類、数等は限定されない。
【0020】
上記のように、第2真空式温水機6は、その熱媒設定温度を第1真空式温水機4の熱媒設定温度より低く設定し、熱媒H2の温度を低く保つことにより、真空式温水機であっても従来に比して排ガス温度の低減が可能となる。
【0021】
従来の真空式温水機では排ガス温度と熱媒温度との差が小さいため伝熱面が伝熱面として十分に機能していない部分が生じることがあったが、本発明では、第2真空式温水機6の熱媒温度を従来に比べて低減することができるため、排ガス温度と熱媒温度との差を従来に比べて大きくすることができ、その結果、排ガス温度を従来に比べて低減可能でありながら、第1真空式温水機4の伝熱面積と第2真空式温水機6の伝熱面積とを合計しても、従来の真空式温水機の伝熱面積と同等の伝熱面積とすることができる。
【0022】
一般に、真空式温水機では、缶体内で発生した非凝縮性ガスを抽気ポンプで抽出し、真空を保持して、大気圧を超えないようにしなければならない。特に非凝縮性ガスである水素ガスは、微量であっても極端に熱伝達を阻害するため、これを抽出する必要がある。非凝縮性ガスを抽出するために抽気ポンプを作動させる時期は、タイマーにより定期的に抽出することもできるし、あるいは、減圧蒸気温度と熱交換器出口温度の温水温度の差が所定値を超えたことを検出して不定期に抽出することもできる。
【0023】
第2真空式温水機6では、熱媒設定温度を低く設定するため、熱媒H2の温度が極端に低下して缶体11内の真空度が高くなると、抽気ポンプの仕様能力を超えて抽気できなくなるおそれがあるため、熱媒H2に水を用いる場合は、真空度を考慮して熱媒温度を60℃〜70℃の範囲で設定することが望ましい。
図4に、熱媒が水の場合の熱媒温度と真空度との関係を示す。第2真空式温水機6の熱媒H2の温度は、熱媒H2と熱交換する排ガスGが凝縮する温度以上に設定しておくことにより、缶体11の低温腐食や白煙発生を防止することができる。
【0024】
第2真空式温水機6の熱媒を、水に代えて、1気圧での沸点すなわち標準沸点が100℃未満の熱媒を用いることにより、更なる高効率化を図ることが可能である。ただし、この場合、熱媒の標準沸点は、外気温度による熱媒の沸騰で第2真空式温水機6の内部が大気圧以上とならないように、60℃程度を下限として設定することが好ましい。例えば標準沸点が70℃の熱媒を第2真空式温水機6の熱媒H2として採用した場合、熱媒の物性や非凝縮性ガスの発生の有無にもよるが、真空度をあまり高くすることなく、熱媒温度を約50℃で制御することが可能となり、熱媒に水を用いた場合に比べて排ガス温度の低減が可能となる。
【0025】
図2は、
図1に示した真空式温水機1の制御系統の一例を示す概略構成図である。第1真空式温水機4は、サーミスタセンサ等の温度検出器TT1によって熱媒H1の温度を検出し、その検出温度が制御装置20において設定された熱媒設定温度T1になるように演算器21で演算した燃料流量制御用の制御出力MV1を燃料流量調整機構22に送り、バーナー2へ供給する燃料Fの流量を調整することにより、第1真空式温水機4の熱媒を設定温度T1に温度調節する。
【0026】
第2真空式温水機6は、サーミスタセンサ等の温度検出器TT2によって熱媒の温度を検出し、その検出温度が制御装置20において設定された熱媒設定温度T3になるように演算器23で演算したバイパス流量制御用の制御出力MV3を流量制御弁15に送り、バイパス管14を流れるバイパス流量を調整することにより、第2真空式温水機6の熱媒H2を熱媒設定温度T3に温度調節する。
【0027】
第2真空式温水機6の熱媒設定温度T3は、上記したように、第1真空式温水機4の熱媒設定温度T1より低い温度であって、抽気ポンプ(不図示)が第2真空式温水機6の缶体11内の非凝縮性ガスを排出可能な真空度に保てるように設定されている。
第2真空式温水機6の温度検出器TT2による熱媒温度の実測値が、制御装置20において設定された熱媒設定温度T3を下回る場合は、流量制御弁15を構成する三方弁によりバイパス流量を増加させて第2熱交換器5への減少させることにより、第2真空式温水機6の熱媒温度が熱媒設定温度T3になるように制御する。
【0028】
逆に、温度検出器TT2による熱媒温度の実測値が設定温度T3を上回る場合は、バイパス流量を減少させて第2熱交換器5への流量を増加させる。この場合、第2熱交換器5の熱交換能力は、第2真空式温水機6の熱媒H2を熱媒設定温度T3まで速やかに低下しやすくするために、第1真空式温水機4と第2真空式温水機6の熱交換量の比率から求められる熱交換量より大きめの熱交換能力を備えるものを選定することが好ましい。
【0029】
下記表1は、上記構成を有する真空式温水機1のヒートバランスのシミュレーション例を示している。下記表1のTg1,Tg2,Tw1,Tw3は何れも仮定値である。
【0031】
表1において、第1真空式温水機出口排ガス温度(Tg1)を350℃としているが、この温度を変更して、第1真空式温水機4と第2真空式温水機6の熱交換量バランスを任意に変更することができる。
【0032】
上記構成を有する真空式温水機1によれば、従来の真空式温水機に比較して、断熱面積を大幅に増加させることなく、下記表2に示すように熱効率を向上させることが可能となる。
【0034】
真空式温水機1は、上記構成を備えることにより、第1真空式温水機4と第2真空式温水機6の何れか一方が破損した場合に、破損した方のみを交換することで修復可能なため、修復費用を低減することができる。
【0035】
また、第2真空式温水機6の主要材料を状況に応じて変更することが可能であり、その材料の耐熱温度により、第1真空式温水機出口排ガス温度(Tg1)を決定することができる。例えば、熱吸収のよいアルミ材を用いた缶体とすれば小型化が可能であり、腐食性凝縮水が発生する場合はステンレス鋼を用いた缶体とすれば長寿命化を図ることができる。
【0036】
また、真空式温水機1の起動時には、第2熱交換器5への給湯温水の供給を流量制御弁15により遮断して、バイパス管14から第1熱交換器3へ給湯温水を全て流すことにより、素早い立ち上がりと、第2真空式温水機6の起動時に排ガスGの凝縮水発生を抑制することができる。
【0037】
上記第1実施形態において、給湯負荷が急減または遮断した場合、第2真空式温水機6の熱媒温度が急激に上昇し得る。このとき、第1真空式温水機4の熱媒温度も上昇するため、第1真空式温水機4の温度検知器TT1からの温度上昇信号を受けた制御装置20がバーナー2への燃料供給量を減らしてバーナー2の燃焼量を低減させる。さらに第1真空式温水機4の熱媒温度が上昇する場合には制御装置20がバーナー2の燃焼を停止させる。
【0038】
第2真空式温水機6の熱媒温度が急激に上昇するのを緩和するため、
図3に示すように、本発明の第2実施形態の真空式温水機1Aは、第2真空式温水機6の側にも、燃料流量制御用の熱媒温度設定値T2(T1>T2>T3)が設定される。
【0039】
そして、第1真空式温水機4の熱媒設定温度T1と温度検出器TT1により実測される熱媒H1の温度とから演算器21で演算される燃料流量制御用の制御出力MV1と、熱媒温度設定値T2と温度検出器TT2により実測される熱媒H2の温度とから演算器25で演算される燃料流量制御用の制御出力MV2とを、比較器26で比較し、燃料流量が少ない方の制御出力(MV1またはMV2)を比較器26から燃料流量調整機構22に出力することにより、第2真空式温水機6の熱媒温度の急激な温度上昇を緩和し、より安全に且つより速やかに給湯負荷に対して応答させることができる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。