(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明における実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。
(1)給湯システムの構成
図1に示すように、本実施形態の給湯システム1は、給湯器2、水栓3、浴槽4、及び即湯ユニット5を主な構成要素として備える。
【0013】
この給湯システム1における給湯器2と水栓3とは給湯配管6を介して連結されている。水栓3は、本実施形形態では、浴室水栓3A、台所水栓3B及び洗面所水栓3Cを有する。一般に、浴室水栓3Aは、水と湯を混ぜ合わせて温度を調整する機構を有する混合水栓である。
【0014】
給湯配管6は、本実施形形態では、浴室給湯配管6A、台所給湯配管6B及び洗面所給湯配管6Cと、これら給湯配管6A〜6Cの直径よりも大きい直径の主給湯配管6Dとを有する。浴室給湯配管6A、台所給湯配管6B及び洗面所給湯配管6Cと、主給湯配管6Dとはヘッダ7で連結されており、当該ヘッダ7は主給湯配管6Dを複数の給湯配管6A〜6Cに分岐する分岐部である。
【0015】
給湯器2は、給水配管8から水を取り込んで加熱し、その加熱結果として得られた湯を主給湯配管6Dに送り出すことで、当該主給湯配管6Dからヘッダ7及び給湯配管6A〜6Cを介して各水栓3A〜3Cに湯を供給するように構成される。
【0016】
また、この給湯システム1における給湯器2と浴槽4とは、当該給湯器2と浴槽4とで湯を循環させるための風呂往き管(以下、順方向循環配管という)9A及び風呂戻り管(以下、逆方向循環配管という)9Bを介して連結されている。なお、浴槽4の側面下段には、当該浴槽4と順方向循環配管9A及び逆方向循環配管9Bとを接続するための循環金具MFが設けられており、当該浴槽4の外壁側に突出する循環金具部分に順方向循環配管9A及び逆方向循環配管9Bの一端が接続されている。
【0017】
給湯器2は、浴槽4から逆方向循環配管9Bを介して湯を取り込んで加熱し、その加熱結果として得られた湯を順方向循環配管9Aを介して浴槽4に送り出すことで、浴槽4との間で湯を循環させるように構成される。
【0018】
さらに、この給湯システム1における浴室給湯配管6Aと順方向循環配管9Aとは連結配管(以下、ショートカット配管という)10を介して連結されており、当該ショートカット配管10には即湯ユニット5が設けられる。
【0019】
なお、ショートカット配管10の一端は、浴室給湯配管6Aの途中部位に設けられる継ぎ手部材JT1に接続され、当該ショートカット配管10の他端は、順方向循環配管9Aの途中部位に設けられる継ぎ手部材JT2に接続されている。
【0020】
即湯ユニット5は、ショートカット配管10内に貯留する湯の温度に基づいて、給湯配管6に貯留する湯の全部又は一部をショートカット配管10を介して浴槽4に供給し、当該給湯配管6A、6D内の湯の温度が一定温度以上となるように調整する構成とされる。
【0021】
(2)給湯器の構成
図2に示すように、給湯器2は、第1熱交換器11、給水流量センサ13、給湯サーミスタ14、経路連通電磁弁15、第2熱交換器16、循環ポンプ17、水流スイッチ18、風呂サーミスタ(以下、浴槽サーミスタという)19、圧力センサ20、湯張り流量センサ(以下、給湯流量センサという)21及び制御部31を主な構成要素として備える。
【0022】
第1熱交換器11の入力端には給水配管8の一端が接続され、当該第1熱交換器11の出力端には主給湯配管6Dの一端が接続されている。第1熱交換器11は、バーナBN1の着火により生じる熱を用いて、給水配管8から供給される水を加熱する。なお、バーナBN1は、第1ガス弁25を介して供給されるガスにより着火するバーナであり、当該第1ガス弁25は制御部31からの命令に応じて開閉する。
【0023】
給水流量センサ13は、給水配管8内に設けられており、給水配管8内に流れる湯の水量を検出し、その量を示す信号を制御部31に送出する。
【0024】
給湯サーミスタ14は、主給湯配管6Dのうち第1熱交換器11の出口近傍となる部位の管内に設けられており、当該第1熱交換器11の出口近傍における湯の温度を計測し、その温度を示す信号を制御部31に送出する。
【0025】
経路連通電磁弁15は、主給湯配管6Dと逆方向循環配管9Bとを連結する配管27の所定部位に設けられており、制御部31からの命令に応じて開閉する。この経路連通電磁弁15が開放された状態にある場合、主給湯配管6Dと逆方向循環配管9Bとが連通される。
【0026】
第2熱交換器16の入力端には逆方向循環配管9Bの一端が接続され、当該第2熱交換器16の出力端には順方向循環配管9Aの一端が接続されている。第2熱交換器16は、バーナBN2の着火により生じる熱を用いて、配管27又は逆方向循環配管9Bから供給される湯を加熱する。なお、バーナBN2は、第2ガス弁26を介して供給されるガスにより着火するバーナであり、当該第2ガス弁26は制御部31からの命令に応じて開閉する。
【0027】
循環ポンプ17は、逆方向循環配管9Bの所定部位に設けられており、制御部31からの命令に応じて駆動し、浴槽4の貯留する湯を逆方向循環配管9B、第2熱交換器16及び順方向循環配管9Aを順次介して循環させる。なお、この循環ポンプ17の設置部位は順方向循環配管9Aとされてもよい。
【0028】
水流スイッチ18は、逆方向循環配管9Bの所定部位に設けられており、当該逆方向循環配管9B内で湯の流れがあるか否かを検出し、その検出結果を示す信号を制御部31に送出する。なお、この水流スイッチ18の設置部位は順方向循環配管9Aとされてもよい。
【0029】
浴槽サーミスタ19は、逆方向循環配管9Bの管内に設けられており、逆方向循環配管9B内における湯の温度を計測し、その温度を示す信号を制御部31に送出する。
【0030】
圧力センサ20は、配管27のうち経路連通電磁弁15を境界として逆方向循環配管9B側となる部位に設けられており、配管内の湯により加えられる圧力を検出し、その圧力を示す信号を制御部31に送出する。なお、この圧力センサ20の設置部位は逆方向循環配管9Bとされてもよい。
【0031】
給湯流量センサ21は、配管27のうち経路連通電磁弁15を境界として主給湯配管6D側となる部位に設けられており、配管27内に流れる湯の水量を検出し、その量を示す信号を制御部31に送出する。
【0032】
図3に示すように、制御部31には、給湯システム1における各種機器が多芯ケーブルを介して接続されている。この多芯ケーブルは、電源ライン及び信号ラインを有し、当該電源ライン介して電源から供給される電源電圧を用いて制御部31及びその制御部31に接続されている各種機器が駆動する。
【0033】
具体的に制御部31には、上述の給水流量センサ13、給湯サーミスタ14、経路連通電磁弁15、循環ポンプ17、水流スイッチ18、浴槽サーミスタ19、圧力センサ20及び給湯流量センサ21が接続されている。
【0034】
また制御部31には、即湯ユニット5と、外気温センサ32、台所リモートコントローラ33、浴室リモートコントローラ34及び記憶部35とが接続されている。
【0035】
外気温センサ32は、屋外に設けられており、当該屋外の気温を検出し、その外気温を示す信号を制御部31に送出する。
【0036】
台所リモートコントローラ33及び浴室リモートコントローラ34は、複数の操作子を有し、当該操作子の操作に応じた設定命令や処理開始命令などの命令を制御部31に与える。また、台所リモートコントローラ33及び浴室リモートコントローラ34は、表示パネルを有し、当該表示パネルには時刻、給湯器2の動作状態及び記憶部35に記憶されたデータに示される情報などが適宜表示される。
【0037】
記憶部35には、設定データやプログラムなどの各種データが記憶される。例えば、即湯ユニット5、台所リモートコントローラ33及び浴室リモートコントローラ34と、これらに割り当てられる固有の識別子との対応関係を示す機器データIF1が記憶部35に記憶される。
【0038】
この機器データIF1は、どのリモートコントローラから命令を受けたかを制御部31が認識するためのデータである。この機器データIF1に基づいて、制御部31では即湯ユニット5がリモートコントローラとして認識される。
【0039】
なお、リモートコントローラ(即湯ユニット5、台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34)から制御部31に命令が与えられた場合、その命令を与えたリモートコントローラ以外の他のリモートコントローラに対して当該命令を受けた旨が制御部31により通知される。
【0040】
また、浴槽4の水位と、当該水位時に浴槽4に貯留される水量との相関を示す水位量相関データIF2、循環金具MFまでの水位を示す金具水位データIF3、及び、浴槽4に貯留された湯の温度と水位を測定すべきインターバルを示す測定間隔データIF4が記憶部35に記憶される。
【0041】
水位量相関データIF2及び金具水位データIF3は、浴槽4の形状及び体積に応じて生成され、例えば試運転時に記憶部35に記憶される。測定間隔データIF4は、即湯ユニット5から与えられる変更命令に応じて制御部31により更新される。
【0042】
さらに、給湯配管6内に貯留すべき湯の温度を示す給湯温設定データCM1、浴槽4に貯留すべき湯の温度を示す浴槽温設定データCM2、及び、浴槽4に貯留すべき水位を示す水位設定データCM3が記憶部35に記憶される。
【0043】
給湯温設定データCM1は、台所リモートコントローラ33で設定される給湯温設定データCM1
Aと、浴室リモートコントローラ34で設定される給湯温設定データCM1
Bと、即湯ユニット5で設定される給湯温設定データCM1
Cとを有する。これら給湯温設定データCM1
A〜CM1
Cは対応する機器からの設定命令に応じて更新される。
【0044】
なお、給湯温設定データCM1
A〜CM1
Cのうち、浴室リモートコントローラ34又は即湯ユニット5が優先機器となっていない状態(通常状態)では、給湯温設定データCM1
Aが用いられる。
【0045】
これに対して、優先機器とすべき設定命令が浴室リモートコントローラ34から与えられて浴室リモートコントローラ34が優先機器となっている場合、その設定解除命令が浴室リモートコントローラ34から与えられるまで給湯温設定データCM1
Bが用いられる。
【0046】
また、優先機器とすべき設定命令が即湯ユニット5から与えられて即湯ユニット5が優先機器となっている場合、その設定解除命令が即湯ユニット5から与えられるまで給湯温設定データCM1
Cが用いられる。
【0047】
浴槽温設定データCM2及び水位設定データCM3は、浴室リモートコントローラ34から与えられる設定命令に応じて、制御部31により更新される。
【0048】
制御部31は、この制御部31に接続されている各機器から出力される信号と、記憶部35に記憶される各種データとに基づいて経路連通電磁弁15、循環ポンプ17、第1ガス弁25及び第2ガス弁26を適宜制御し、各種処理を実行する。
【0049】
(2−1)湯張り処理
制御部31は、設定水位となる量の湯を浴槽設定温度で浴槽4に貯留する湯張り処理を実行する。この湯張り処理は、
図4に示すフローチャートに沿って実行される。
【0050】
すなわち、制御部31は、台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34から湯張り処理を実行すべき命令が与えられた場合、湯張り処理を開始し、ステップSP1に進む。
【0051】
制御部31は、ステップSP1では、内部クロックに基づいて自動タイマーを計測し始めた後、ステップSP2に進む。
【0052】
制御部31は、ステップSP2では、浴槽4の水位が循環金具MF以下であるか否かを判定する。
すなわち、制御部31は、圧力センサ20から出力される信号に基づいて現時点で圧力センサ20に加わる圧力を認識し、その圧力から所定の関係式を用いて浴槽4の水位を演算する。
次いで、制御部31は、浴槽4の水位を記憶部35に記憶される金具水位データIF3の水位と比較することで、浴槽4の水位が循環金具MF以下であるか否かを判定する。
【0053】
ここで、浴槽4の水位が循環金具MF以下ではない場合、このことは、過去に貯留した湯が浴槽4に未だに残っている可能性が高いことを意味している。この場合、制御部31は、ステップSP3に進んで、浴槽4と給湯器2との間で湯を循環させることができるか否かを判定する。
すなわち、制御部31は、循環ポンプ17を一定の期間だけ駆動させ、その駆動期間内に水流スイッチ18から出力される信号に基づいて水流の有無を検出することで、浴槽4と給湯器2との間で湯を循環させることが可能か否かを判定する。
【0054】
ここで、浴槽4と給湯器2との間で湯を循環させることができる場合、このことは、浴槽4には湯が残っておらず逆方向循環配管9B内だけに湯が残っていたという状況を否定できるため、当該浴槽4に湯が残っていることが確定的であることを意味している。この場合、制御部31は、ステップSP4に進んで、第1規定量の湯を給湯温度で浴槽4に入れる第1給湯処理を実行する。
すなわち、制御部31は、第1ガス弁25開放させて第1熱交換器11をバーナBN1で熱するとともに、第2ガス弁26を開放させて第2熱交換器16をバーナBN2で熱する。このとき、制御部31は、記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1の温度となるように、給湯サーミスタ14から出力される信号に基づいて第1ガス弁25及び第2ガス弁26を制御し、ガスの供給量を調整する。
また、制御部31は、経路連通電磁弁15を開放させ、給水配管8から第1熱交換器11及び第2熱交換器16を経て浴槽4に至る流路を形成し、順方向循環配管9Aを介して浴槽4に湯を供給する。このとき、制御部31は、給湯流量センサ21から出力される信号に基づいて浴槽4に供給される湯の量を監視し、その量が例えば10リットルとなった時点で第1ガス弁25及び第2ガス弁26と、経路連通電磁弁15とを閉鎖させた後、ステップSP9に進む。
【0055】
このように制御部31は、循環金具MF以上の水位の湯が浴槽4に残っていることが確定的となる場合には、第1規定量の湯を給湯温度で浴槽4に供給する。
【0056】
一方、ステップSP2で浴槽4の水位が循環金具MF以下である場合、あるいは、ステップSP3で湯を循環させることができない場合、このことは、循環金具MF以上の水位の湯が浴槽4に残っていることが確定的でないことを意味している。これらの場合、制御部31は、ステップSP5に進んで、第1規定量よりも多い第2規定量の湯を給湯温度で浴槽4に入れる第1給湯処理を実行する。
すなわち、制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26及び経路連通電磁弁15とを開放させ、ステップSP4で述べた場合と同様に、給湯温設定データCM1の温度で湯を浴槽4に供給する。
また、制御部31は、給湯流量センサ21から出力される信号に基づいて浴槽4に供給される湯の量を監視し、その量が例えば20リットルとなった時点で第1ガス弁25及び第2ガス弁26と、経路連通電磁弁15とを閉鎖させた後、ステップSP6に進む。
【0057】
制御部31は、ステップSP6では、ステップSP3で述べた場合と同様にして浴槽4と給湯器2との間で湯を循環させることができるか否かを判定する。
【0058】
ここで、浴槽4と給湯器2との間で湯を循環させることができる場合、このことは、循環金具MFよりも低い水位の湯が浴槽4に残っていたため、ステップSP5で浴槽4に供給した湯によって循環金具MFよりも高い水位になったことを意味している。この場合、制御部31は、ステップSP7に進んで、ステップSP5で述べた場合と同様にして第1規定量の湯を給湯温度で浴槽4に入れる第1給湯処理を実行した後、ステップSP9に進む。
【0059】
これに対して、浴槽4と給湯器2との間で湯を循環させることができない場合、このことは、浴槽4に湯が全くないため、ステップSP5で浴槽4に湯を供給しても未だ水位が循環金具MFよりも低い状態であること意味している。この場合、制御部31は、ステップSP8に進んで、設定水位よりも低く循環金具MFよりも高い水位となる量の湯を給湯温度で浴槽4に入れる第1給湯処理を実行する。
すなわち、制御部31は、水位量相関データIF2及び金具水位データIF3に基づいて、循環金具MFよりも例えば5cm高い水位となる量を注水量として演算する。
また、制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26と経路連通電磁弁15とを開放させ、ステップSP5で述べた場合と同様に、給湯温設定データCM1の温度で、注水量として演算した量の湯を浴槽4に供給する。
その後、制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26と、経路連通電磁弁15とを閉鎖させ、ステップSP9に進む。
【0060】
このように制御部31は、浴槽4に湯が残っていることが確定的ではない場合には、第1規定量よりも多い第2規定量の湯を浴槽4に1次的に供給し、その湯を循環できるか否かに応じて、当該浴槽4に2次的に供給する湯の量を変更する。
【0061】
制御部31は、ステップSP9では、追い焚き処理を実行する。
すなわち、制御部31は、第2ガス弁26を開放させて第2熱交換器16をバーナBN2で熱する。そして、制御部31は、浴槽サーミスタ19から出力される信号に基づいて浴槽4の湯の温度を監視し、浴槽温設定データCM2の温度となった時点で第2ガス弁26を閉鎖させるとともに循環ポンプ17を停止させた後、ステップSP10に進む。
【0062】
制御部31は、ステップSP10では、浴槽設定温度の湯を設定水位になるまで浴槽4に入れる第2給湯処理を実行する。
すなわち制御部31は、圧力センサ20から出力される信号に基づいて浴槽4に貯留される現在の水位を検出し、この水位と水位量相関データIF2とに基づいて、水位設定データCM3の水位までに要する湯の量を注水量として演算する。
また、制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26と経路連通電磁弁15とを開放させ、ステップSP5で述べた場合と同様に、浴槽温設定データCM2の温度で、注水量として演算した量の湯を浴槽4に供給する。
その後、制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26と、経路連通電磁弁15とを閉鎖させ、ステップSP11に進む。
【0063】
このように制御部31は、浴槽4に湯が残っている可能性を考慮して循環金具MF以上設定水位未満となる量の湯を給湯設定温度で段階的に浴槽4に貯留した後、当該設定水位までの量の湯を浴槽設定温度で一挙に浴槽4に貯留する。
【0064】
制御部31は、ステップSP11では、浴槽4に貯留される湯の温度が浴槽設定温度よりも低いか否かを判定する。
すなわち、制御部31は、循環ポンプ17を駆動させるとともに、浴槽サーミスタ19から出力される信号に基づいて浴槽4の温度を認識する。次いで、制御部31は、浴槽4の温度を浴槽温設定データCM2の温度と比較することで、浴槽4に貯留された湯の温度が浴槽設定温度よりも低いか否かを判定する。
【0065】
ここで、浴槽4に貯留された湯の温度が浴槽設定温度よりも低い場合、制御部31は、ステップSP12に進んで、ステップSP9で述べた場合と同様にして追い焚き処理を実行した後、浴槽4に貯留された湯を設定水位に調整する水位処理調整処理に移行する。
【0066】
一方、浴槽4に貯留される湯の温度が浴槽設定温度よりも低くない場合、制御部31は、追い焚き処理を実行することなく水位調整処理に移行する。
【0067】
(2−2)水位調整処理
水位調整処理は、
図5に示すフローチャートに沿って実行される。すなわち、制御部31は、水位調整処理を開始した場合、ステップSP21に進んで、内部クロックに基づいて水位測定インターバルの計側を開始し、ステップSP22に進む。
【0068】
制御部31は、ステップSP22では、設定水位から所定以上の水位が低下したか否かを判定する。
すなわち、制御部31は、圧力センサ20から出力される信号に基づいて現在の浴槽4の水位を認識する。次いで、制御部31は、現在の浴槽4の水位を水位設定データCM3の水位と比較することで、設定水位から例えば3cm以上の水位が低下したか否かを判定する。
【0069】
ここで、設定水位から所定以上の水位が低下している場合、制御部31は、ステップSP23に進んで、浴槽4に給湯温度で湯を入れる給湯処理を実行する。
すなわち、制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26と経路連通電磁弁15とを開放させ、ステップSP4で述べた場合と同様に、給湯温設定データCM1の温度で湯を浴槽4に供給し、ステップSP24に進む。
【0070】
制御部31は、ステップSP24では、設定水位にまで湯が達したか否かを判定する。すなわち、制御部31は、圧力センサ20から出力される信号に基づいて浴槽4に貯留される水位を認識する。次いで、制御部31は、浴槽4に貯留される水位を水位設定データCM3の水位と比較することで、設定水位にまで湯が達したか否かを判定する。
【0071】
ここで、設定水位にまで湯が達していない場合、制御部31はステップSP23に戻って、浴槽4に湯を給湯温度で給湯処理を実行し続ける。これに対して、設定水位にまで湯が達した場合、制御部31は給湯処理を終了した後にステップSP25に進む。
【0072】
制御部31は、ステップSP25では、ステップSP9で述べた場合と同様にして浴槽4に貯留される湯の温度が浴槽設定温度よりも低いかを判定する。ここで、浴槽4に貯留された湯の温度が浴槽設定温度よりも低い場合、制御部31は、ステップSP26に進んで、ステップSP10で述べた場合と同様にして追い焚き処理を実行した後、ステップSP28に進む。
【0073】
これに対して、浴槽4に貯留される湯の温度が浴槽設定温度よりも低くない場合、制御部31は、追い焚き処理を実行することなくステップSP28に進む。
【0074】
このように制御部31は、設定水位から所定以上の水位が低下した場合には、設定水位になるまで湯を給湯温度で補充した後、当該浴槽4に貯留している湯を浴槽設定温度にまで適宜温める。
【0075】
一方、ステップSP22において設定水位から所定以上の水位が低下していない場合、制御部31は、ステップSP27に進んで、設定水位よりも湯が上昇しているか否かを判定するとともに、浴槽設定温度の変更命令を受けたか否かを判定する。
【0076】
ここで、設定水位よりも湯が上昇している場合、このことは、浴槽4に入浴している者がおり、その入浴者に熱が奪われて湯の温度が低下して追い焚きが必要となる可能性があることを意味している。また、浴槽設定温度の変更命令を受けている場合、このことは、当該浴槽設定温度の変更により追い焚きが必要となる可能性があることを意味している。
【0077】
これらいずれかの場合、制御部31はステップSP25に進む。これに対して、設定水位よりも湯が上昇しておらず、かつ、浴槽設定温度の変更命令を受けていない場合、制御部31はステップSP28に進む。
【0078】
このように制御部31は、設定水位から閾値以上水位が下降していなくても、設定水位よりも湯が上昇しているか浴槽設定温度の変更命令を受けている場合には、浴槽4に貯留している湯を浴槽設定温度にまで適宜温める。
【0079】
制御部31は、ステップSP28では、水位測定インターバルを経過したか否かを判定する。すなわち、制御部31は、ステップSP21で計測し始めてから現時点までの期間と、記憶部35に記憶される測定間隔データIF4の期間とを比較することで、当該水位測定インターバルを経過しているか否かを判定する。
【0080】
ここで、水位測定インターバルを経過している場合、制御部31はステップSP29に進んで、当該水位測定インターバルの計測値をリセットした後、ステップSP21に戻って、上述の処理を繰り返す。
【0081】
これに対して、水位測定インターバルを経過していない場合、制御部31はステップSP30に進んで、自動タイマーを経過したか否かを判定する。すなわち、制御部31は、ステップSP1で計測し始めてから現時点までの期間と、予め設定されている自動タイマー期間とを比較することで、当該自動タイマーを経過したか否かを判定する。
【0082】
ここで、自動タイマーを経過していない場合、制御部31はステップSP28に戻って、上述の処理を繰り返す。これに対して、自動タイマーを経過している場合、制御部31は、水位調整処理を終了する。
【0083】
(3)即湯ユニットの構成
図1に示すように、即湯ユニット5は、ユニット電磁弁41、ユニット逆止弁42、ユニットサーミスタ43、ユニット流量センサ44及びユニット制御部45を主な構成要素として備え、給湯器2から供給される電源電圧を用いて駆動する。
【0084】
ユニット電磁弁41は、ショートカット配管10の所定部位に設けられており、ユニット制御部45からの命令に応じて開閉する。このユニット電磁弁41が開放された状態にある場合、給湯配管6内の湯はショートカット配管10内を流れて浴槽4に供給される。
【0085】
ユニット逆止弁42は、ショートカット配管10のうちユニット電磁弁41を境界として順方向循環配管9A側となる部位に設けられており、ショートカット配管10内を流れる湯が順方向循環配管9Aから浴室給湯配管6Aに向かって流れることを防ぐ弁である。
【0086】
ユニットサーミスタ43は、ショートカット配管10のうちユニット電磁弁41を境界として浴室給湯配管6A側となる部位の管内に設けられており、当該ショートカット配管10内における湯の温度を計測し、その温度を示す信号をユニット制御部45に送出する。
【0087】
ユニット流量センサ44は、ショートカット配管10のうちユニット逆止弁42を境界として順方向循環配管9A側となる部位の管内に設けられており、当該順方向循環配管9A内に流れる湯の水量を検出し、その量を示す信号をユニット制御部45に送出する。
【0088】
ユニット制御部45は、
図6に示すように、ユニット電磁弁41、ユニットサーミスタ43及びユニット流量センサ44と接続されている。また、ユニット制御部45は、給湯器2の制御部31と多芯ケーブルを介して接続されている。
【0089】
このユニット制御部45は、給湯器2から多芯ケーブルを介して供給される電源電圧を用いて駆動する。そしてユニット制御部45は、給湯器2に接続されている各機器から出力される信号と、ユニットサーミスタ43及びユニット流量センサ44から出力される信号とに基づいてユニット電磁弁41及び給湯器2を適宜制御し、各種処理を実行する。
【0090】
例えば、ユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放させた時点を契機としてユニット流量センサ44から出力される信号を監視し、一定期間を経過しても水量を検知できない場合にユニット流量センサ44が異常であると認識する。
【0091】
そしてユニット制御部45は、例えば、ユニット流量センサ44が異常である旨を、給湯器2の制御部31を介して台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34から報知させ、あるいは、即湯ユニット5に設けられる報知部から報知させる。
【0092】
(3−1)湯張り割込処理
また、ユニット制御部45は、給湯器2で実行される湯張り処理に割り込んで給湯配管6内の湯を浴槽4に排出する湯張り割込処理を実行する。この湯張り割込処理は、
図7に示すフローチャートに沿って実行される。
【0093】
すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2から湯張り処理を実行すべき命令を受けた旨が通知された場合、湯張り割込処理を開始し、ステップSP31に進んで、浴室リモートコントローラ34が優先機器となっているか否かを判定する。
【0094】
ここで、浴室リモートコントローラ34が優先機器となっていない場合、このことは、湯張り命令を入力したユーザが台所におり、入浴までにしばらく時間があく可能性が高いこと意味している。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP32に進んで、給湯器2に設定される即湯ユニット5の給湯設定温度を、台所や洗面所において最適な温度として規定される第1規定温度に変更する。
すなわち、ユニット制御部45は、外気温センサ32から出力される信号を給湯器2から取得し、その信号に基づいて現時点の外気温を認識する。そしてユニット制御部45は、外気温に応じて、給湯器2で設定可能な最低温度以上42℃以下の範囲のなかから第1規定温度を例えば40℃に決定する。具体的には、外気温が高いほど第1規定温度が低く決定される。
次いで、ユニット制御部45は、即湯ユニット5の給湯設定温度を第1規定温度に更新すべき命令を給湯器2に与えた後、ステップSP37に進む。
給湯器2では、この命令にしたがって記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1
Cの温度が制御部31により第1規定温度に変更される。なお、浴室リモートコントローラ34が優先機器となっておらず、またユニット制御部45によって即湯ユニット5を優先機器とすべき命令が与えられていないため、給湯器2では、給湯温設定データCM1
Aの給湯設定温度を用いて湯張り処理が進行している(上述のステップSP1〜SP8)。
【0095】
一方、浴室リモートコントローラ34が優先機器となっている場合、このことは、湯張り命令を入力したユーザが浴室にいる可能性が高いこと意味している。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP33に進んで、夏季であるか否かを判定する。
すなわち、ユニット制御部45は、外気温センサ32から出力される信号を給湯器2から取得し、その信号に基づいて現時点の外気温を認識する。そしてユニット制御部45は、夏季とみなし得る最低温度として設定される例えば20℃と外気温を比較することで、夏季であるか否かを判定する。
【0096】
ここで、夏季であった場合、ユニット制御部45は、ステップSP34に進んで、浴室リモートコントローラ34において設定される給湯設定温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2の記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1
Bの温度を認識し、この温度を予め内部メモリに記憶される閾値と比較することで、給湯設定温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0097】
ここで、給湯設定温度が閾値以上である場合、ユニット制御部45は、ステップSP35に進んで、給湯器2に設定される即湯ユニット5の給湯設定温度を、第2規定温度に変更する。なお、第2規定温度は、浴室シャワーにおいて最適な温度としてステップSP34の閾値以下の値に規定され、例えば43℃とされる。
すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2に対して、記憶部35の給湯温設定データCM1
Cの温度を第2規定温度に更新すべき命令を与えた後、ステップSP37に進む。
給湯器2では、この命令にしたがって記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1
Cの温度が制御部31により第2規定温度に変更される。なお、浴室リモートコントローラ34が優先機器となっており、またユニット制御部45によって即湯ユニット5を優先機器とすべき命令が与えられていないため、給湯器2では、給湯温設定データCM1
Bの給湯設定温度を用いて湯張り処理が進行している(上述のステップSP1〜SP8)。
【0098】
一方、ステップSP33において夏季でない場合、又は、ステップSP34において給湯設定温度が閾値未満である場合、ユニット制御部45は、ステップSP36に進む。
【0099】
ユニット制御部45は、ステップSP36では、給湯器2に設定される即湯ユニット5の給湯設定温度を、浴室リモートコントローラ34において設定される給湯設定温度に変更する。
すなわち、ユニット制御部45は、給湯温設定データCM1
Cの温度を、浴室リモートコントローラ34において設定される給湯温設定データCM1
Bの給湯設定温度に更新すべき命令を給湯器2に与えた後、ステップSP37に進む。
給湯器2では、この命令にしたがって記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1
Cの温度が制御部31により給湯温設定データCM1
Bの給湯設定温度に変更される。なお、浴室リモートコントローラ34が優先機器となっており、またユニット制御部45によって即湯ユニット5を優先機器とすべき命令が与えられていないため、給湯器2では、給湯温設定データCM1
Bの給湯設定温度を用いて湯張り処理が進行している(上述のステップSP1〜SP8)。
【0100】
このようにユニット制御部45は、給湯器2において湯張り処理が冬季以外の時期に開始された場合には、即湯ユニット5の給湯設定温度を、浴室シャワーに最適な温度以下の温度に変更する。一方、ユニット制御部45は、給湯器2において湯張り処理が冬季に開始された場合には、即湯ユニット5の給湯設定温度を、浴室で設定されている給湯設定温度に変更する。
【0101】
ユニット制御部45は、ステップSP37では、給湯器2において最初の追い焚き処理が終了したか否かを判定する。
すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2の制御部31から、この湯張り割込処理を実行してから最初に燃焼を開始した旨の通知を受けたときに給湯流量センサ21から出力される信号を取得し、その信号から水量を検知できない場合、給湯器2が最初の追い焚き処理(ステップSP9)を実行中であると認識する。
次いで、ユニット制御部45は、給湯器2が追い焚き処理中であると認識した以降に給湯器2の制御部31から燃焼を停止した旨の通知を受けた場合、最初の追い焚き処理が終了したことを検出する。
【0102】
ここで、最初の追い焚きが終了していない場合、ユニット制御部45は、給湯器2が最初の追い焚き処理を終了するまで待機する。これに対して、最初の追い焚き処理が終了した場合、ユニット制御部45は、ステップSP38に進む。
【0103】
ユニット制御部45は、ステップSP38では、即湯ユニット5を優先機器とすべき命令を与えるとともに、ユニット電磁弁41を開放させて給湯配管6内の湯の排出を開始する。またユニット制御部45は、ユニット流量センサ44から出力される信号に基づいて、ユニット電磁弁41を開放させた時点からの水量の積算を開始する。
なお、ユニット電磁弁41の開放によって給湯配管6内の湯が浴槽4に排出された場合、給湯器2では、給水流量センサ13で水量が検出され、これにより水栓3の使用があると制御部31によって判断される。
このため、給湯器2では、給水流量センサ13で水量が検出されなくなるまで最初の追い焚き処理(ステップSP9)以降の湯張り処理が中断され、ステップSP4で述べた場合と同様にして給湯配管6内に給湯設定温度で湯が供給され始めることとなる。
この給湯設定温度は、ユニット制御部45によって即湯ユニット5を優先機器とすべき命令が与えられているため、即湯ユニット5の給湯設定温度となる。すなわち、上述したように、夏季の場合にはステップSP32で設定変更した第1規定温度、もしくは、ステップSP35で設定変更した第2規定温度が即湯ユニット5の給湯設定温度となる。また、冬季の場合には、ステップSP36で設定変更した浴室コントローラの給湯設定温度が即湯ユニット5の給湯設定温度となる。
【0104】
このようにユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放させることで最初の追い焚き処理(ステップSP9)以降の湯張り処理を中断させ、給湯配管6内にいままで貯留していた湯を即湯ユニット5の給湯設定温度の湯に入れ替える処理を割り込ませる。
【0105】
ユニット制御部45は、ステップSP39では、給湯配管6内の湯の温度が即湯ユニット5の給湯設定温度となったか否かを判定する。すなわち、ユニット制御部45は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づいて給湯配管6の温度を認識する。次いで、ユニット制御部45は、給湯配管6の温度を給湯器2の記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1
Cの温度と比較することで、当該給湯配管6内の湯の温度が即湯ユニット5の給湯設定温度となったか否かを判定する。
【0106】
ここで、給湯配管6内の湯の温度が未だ即湯ユニット5の給湯設定温度となっていない場合、このことは、ユニット電磁弁41を開放させる以前に給湯配管6内の貯留していた湯が存在していることを意味している。この場合、ユニット制御部45は、給湯配管6内の湯の温度が即湯ユニット5の給湯設定温度になるまで、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づいて給湯配管6の温度を監視し続ける。
【0107】
これに対して、給湯配管6内の湯の温度が即湯ユニット5の給湯設定温度となった場合、ユニット制御部45は、ステップSP40に進んで、ユニット電磁弁41を閉鎖させて給湯配管6内の湯の排出を終了する。この場合、給湯器2では、給湯流量センサ21で水量が検出されなくなるため、最初の追い焚き処理(ステップSP9)以降の湯張り処理が再開されることになる。
また、ユニット制御部45は、即湯ユニット5を優先機器から解除する解除命令を与えるとともに、給湯配管6内における水量の積算を終了してユニット電磁弁41を開放させてから閉鎖させるまでの積算値(累計水量)を給湯配管容量として内部メモリに記憶した後、ステップSP41に進む。
【0108】
ユニット制御部45は、ステップSP41では、給湯器2における設定水位及び浴槽設定温度を更新させる。
すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2の記憶部35に記憶される水位量相関データIF2を参照して、当該記憶部35に記憶される水位設定データCM3の水位に要する水量を認識し、この水量からステップSP40で内部メモリに記憶した累計水量を減算する。
次いで、ユニット制御部45は、水位量相関データIF2を参照して、減算結果として得られる水量に相当する水位を認識し、当該認識した水位に水位設定データCM3の水位を更新すべき命令を給湯器2に与える。
また、ユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放させた時点の給湯配管6内の湯の温度としてステップSP39でユニットサーミスタ43から取得した温度に起因して遅延する浴槽4内の湯の温め時間が縮まるように、新たな浴槽設定温度を演算する。
本実施形態の場合、ユニット制御部45は、給湯器2から取得した給湯情報と、即湯ユニット5の情報と、所定の関係式とを用いて新たな浴槽設定温度を演算する。
例えば、給湯情報は、現時点までに浴槽4に供給した水量と、その水量の給湯設定温度と、設定水位までに要する残りの水量と、現時点で設定されている浴槽設定温度とされる。また、即湯ユニット5の情報は、ステップSP39においてユニット電磁弁41を開放させた時点でユニットサーミスタ43から取得した給湯配管6内の湯の温度、及び、ステップSP40でユニット流量センサ44から取得した給湯配管容量とされる。
関係式は、例えば、現時点までに浴槽4に供給した水量をAとし、その水量の給湯設定温度をaとし、給湯配管容量をBとし、ユニット電磁弁41の開放時における給湯配管6内の湯の温度をbとし、設定水位までに要する残りの水量をCとし、演算すべき新たな浴槽設定温度をcとすると、A×a+B×b+C×c=(A+B+C)×aとされる。
このような関係式に、給湯器2から取得した給湯情報と、即湯ユニット5の情報とが代入することで、演算すべき新たな浴槽設定温度が求まる。
次いで、ユニット制御部45は、新たな浴槽設定温度に浴槽温設定データCM2の温度を更新すべき命令を給湯器2に与えた後、湯張り割込処理を終了する。
【0109】
このようにユニット制御部45は、給湯器2の湯張り処理に便乗して給湯配管6内に貯留していた湯を排出し、その排出した湯に起因する浴槽4の水位の上昇が相殺されるように設定水位を変更する。また、ユニット制御部45は、給湯配管6から排出した湯の温度に起因して遅延する浴槽4内の湯の温め時間が縮まるように浴槽設定温度を変更する。
【0110】
(3−2)水位調整割込処理
ユニット制御部45は、給湯器2で実行される水位調整処理に割り込んで給湯配管6内の湯を浴槽4に排出する水位調整割込処理を実行する。この水位調整割込処理は、
図8に示すフローチャートに沿って実行される。
【0111】
すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2に設けられる圧力センサ20から出力される信号を監視する。そしてユニット制御部45は、上述のステップSP22で述べた場合と同様にして設定水位から閾値以上水位が下降したことを検出した場合に水位調整割込処理を開始し、ステップSP51に進む。
【0112】
ユニット制御部45は、ステップSP51では、即湯ユニット5を優先機器とすべき命令を与えた後、ステップSP52に進む。
【0113】
ユニット制御部45は、ステップSP52では、ユニット電磁弁41を開放させて給湯配管6内の湯の排出を開始するとともに、ユニット流量センサ44から出力される信号に基づいて給湯配管6内における水量の積算を開始し、ステップSP53に進む。
なお、上述したように、ユニット電磁弁41が開放されて給湯配管6内の湯が浴槽4に排出された場合、給湯器2ではステップSP23以降の水位調整処理が中断され、ステップSP4で述べた場合と同様にして給湯配管6内に即湯ユニット5の給湯設定温度で湯が給湯され始めることとなる。
【0114】
ユニット制御部45は、ステップSP53では、給湯配管容量分の湯を排出し終えたか否かを判定する。すなわち、ユニット制御部45は、給湯配管6内における水量の積算を開始してからの積算値と、上述の湯張り割り込み処理の際に内部メモリに記憶した累計水量とを比較することで、当該給湯配管容量分の湯を排出し終えたか否かを判定する。
【0115】
ここで、給湯配管容量分の湯を未だ排出し終えていない場合、ユニット制御部45は、ステップSP54に進んで、水栓3が使用されたか否かを判定する。すなわち、ユニット制御部45は、給湯器2における給水流量センサ13から出力される信号を取得し、その信号が示す水量値と、ユニット流量センサ44から出力される信号が示す水量値とが同程度となるか否かで、水栓3が使用されているか否かを判定する。
【0116】
ここで、水栓3が使用されていない場合、ユニット制御部45はステップSP53に戻って上述の処理を繰り返す。これに対して、水栓3が使用されている場合、ユニット制御部45は、ステップSP55に進んで、ユニット電磁弁41を閉鎖させて給湯配管6内の湯の排出を中断した後、ステップSP56に進む。
なお、給湯配管6内における湯の排出が中断していても、水栓3が使用されている状態にあるため、給湯器2における水位調整処理の中断は継続することとなる。
【0117】
ユニット制御部45は、ステップSP56では、ステップSP54で述べた場合と同様にして水栓3の使用が終わったか否かを判定し、当該使用が終わっていない場合にはステップSP55に戻ってユニット電磁弁41を閉鎖させ続ける。
【0118】
これに対して、水栓3の使用が終わった場合、ユニット制御部45は、ステップSP57に進んで、ユニット電磁弁41を再び開放させて給湯配管6内の湯の排出を再開した後、ステップSP53に戻って上述の処理を繰り返す。
【0119】
このようにユニット制御部45は、給湯配管6内の湯を浴槽4に排出している最中に水栓3が使用された場合には、その使用が終わるまで浴槽4に湯を排出することを中断する。
【0120】
一方、ステップSP53において給湯配管容量分の湯を排出し終えた場合、ユニット制御部45は、ステップSP58に進んで、ユニット電磁弁41を閉鎖させて給湯配管6内の湯の排出を終了するとともに、当該給湯配管6内における水量の積算を終了した後、水位調整割込処理を終了する。
なお、この場合、給湯器2では、給湯器2ではステップSP23以降の水位調整処理が再開されることになる。
【0121】
このようにユニット制御部45は、水位調整処理を給湯器2が実行する際に、給湯配管6内にいままで貯留していた湯を即湯ユニット5の給湯設定温度の湯に入れ替える処理を割り込ませる。
【0122】
(4)本実施形態の動作及び効果
以上のとおり、本実施形態における即湯ユニット5は、ユニット電磁弁41とユニット制御部45とを備える。このユニット電磁弁41は、このユニット電磁弁41は、給湯器2から水栓3に向かう給湯配管6の所定部位と、当該給湯器2から浴槽4に向かう順方向循環配管9Aの所定部位とを連結する配管(ショートカット配管10)に設けられる。
【0123】
一方、ユニット制御部45は、給湯器2と信号線を介して接続され、その信号線を介して給湯器から取得した情報に基づいてユニット電磁弁41の開閉を制御する。具体的にユニット制御部45は、給湯器2が湯張り処理を開始し給湯器2に設定される給湯設定温度で湯を浴槽4に入れ終わるまでにユニット電磁弁41を開閉させる。
【0124】
またユニット制御部45は、給湯器2から取得した給湯設定温度が所定の閾値よりも大きい場合には、ユニット電磁弁41を開放させてから閉鎖させるまでの間、給湯器2に設定される給湯設定温度を前記閾値以下の温度に変更する。
【0125】
このような即湯ユニット5によれば、給湯器2が浴槽4に給湯設定温度で湯を満たすまでの期間に給湯配管内の冷たい湯を浴槽4に排出するとともに給湯設定温度の湯に入れ替えることができる。
このため、給湯器2に設定される給湯設定温度が不要に高く設定されていたとしても、給湯配管6内に入れ替えられる湯を適当な温度で満たすのみならず、浴槽4に排出した冷たい湯を、給湯器2が浴槽の湯を浴槽設定温度にまで温める処理に便乗して温めさせることができる。こうして、給湯器2でのエネルギー効率を向上させ得る即湯ユニット5が実現される。
なお、給湯配管6内に入れ替えられる湯を適当な温度で満たすことができるため、当該給湯器2における湯張り処理が実行されているときに水栓3が使用されたとしても、その水栓3を使用するユーザに不快感を与えることを抑制することができる。
【0126】
また本実施形態の場合、ユニット制御部45は、浴室リモートコントローラ34が給湯配管6の湯の温度を優先して設定する機器(給湯温度設定優先機器)となっていない場合、給湯器2に設定される給湯設定温度を第1規定温度に変更する。一方、浴室リモートコントローラ34が給湯温度設定優先機器となっている場合、給湯器2に設定される給湯設定温度を、第1規定温度よりも高い第2規定温度に変更する。
【0127】
浴室リモートコントローラ34が給湯温度設定優先機器でなかった場合、入浴までにしばらく時間があく可能性が高いため、第1規定温度として台所や洗面所において最適な温度を規定しておくことができる。また、浴室リモートコントローラ34が給湯温度設定優先機器でなっている場合、第2規定温度として浴室シャワーにおいて最適な温度を規定しておくことができる。
このように、ユニット制御部45は、浴室リモートコントローラ34が給湯温度設定優先機器となっているか否かを、ユーザが浴室にいるか否かと見越して給湯配管6内の温度を設定することができる。このため、ユニット制御部45は、給湯器2でのエネルギー効率をより一段と向上させることができる。
【0128】
ところで、給湯配管6内における湯の温度低下は夏季に比べて冬季が大きいこともあり、給湯器2に設定される給湯設定温度が夏季に比べて冬季に高くなる傾向がある。本実施形態では、ユニット制御部45は、浴室リモートコントローラ34が給湯温度設定優先機器となっている場合、外気温に基づいて第2規定温度に変更するか否かを決定している。
【0129】
このため、ユニット制御部45は、夏季の場合に限って給湯器2に設定される給湯設定温度を変更することができ、給湯器2でのエネルギー効率をより一段と向上させることができる。
【0130】
また本実施形態の場合、ユニット制御部45は、所定の温度範囲のなかから外気温に基づいて第1規定温度を決定する。このため、ユニット制御部45は、外気温が高いほど第1規定温度を低く設定することができ、給湯器2でのエネルギー効率をより一段と向上させることができる。
【0131】
(5)変形例
上記実施形態では、ヘッダ7(分岐部)から浴室水栓3Aまでの間の所定部位と順方向循環配管9Aの所定部位とを連結するショートカット配管10に即湯ユニット5が設けられた。これに加えて又はこれに代えて、ヘッダ7(分岐部)から台所水栓3B又は洗面所水栓3Cまでの間の所定部位と順方向循環配管9Aの所定部位とを連結するショートカット配管に即湯ユニット5が設けられていてもよい。また、ヘッダ7(分岐部)から水栓3までの間の所定部位と、逆方向循環配管9Bの所定部位とを連結するショートカット配管に即湯ユニットが設けられていてもよい。
【0132】
上記実施形態では、給湯配管6の湯がショートカット配管10を介して浴槽4に排出された。しかしながら、このショートカット配管10の接続部である継ぎ手部材JT2の上流側に3方弁を設け、浴槽4に排出するのではなく、浴室排水口に流すようにしてもよい。
【0133】
また上記実施形態では、ユニット制御部45が、ショートカット配管10に設けられたユニット流量センサ44に基づいてユニット電磁弁41を開放させてから閉鎖させるまでの水量を積算することで累計水量を取得した。しかしながら、ユニット制御部45は、給湯器2から給湯流量センサ21から出力される信号に基づいてユニット電磁弁41を開放させてから閉鎖させるまでの積算することで累計水量を取得してもよい。なお、累計水量を給湯器2が演算し、その累計水量をユニット制御部45が取得してもよい。
【0134】
また上記実施形態では、ユニット制御部45が、設定水位に要する水量から、ユニット電磁弁41を開放させてから閉鎖させるまでの水量を減算し、その減算結果として得られる水量に相当する水位となるように設定水位を変更した。しかしながら、ユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放させてから閉鎖させるまでの水量に起因する浴槽4の水位の上昇が相殺されるように給湯器2に設定される設定水位を変更する他の演算手法を用いることができる。
【0135】
また上記実施形態では、ユニット制御部45が、給湯器2の最初の追い焚きを検出した時点でユニット電磁弁41を開放させた。しかしながら、ユニット制御部45は、給湯器2から湯張り処理を実行すべき命令を受けた旨が通知された場合を契機として、循環金具MF以上設定水位未満となる量の湯を給湯設定温度で浴槽4に貯留する処理(上述のステップSP1〜SP8)を実行する給湯器2の所要時間として予め設定される期間を経過した時点でユニット電磁弁41を開放させてもよい。
【0136】
また上記実施形態では、外気温に応じて、給湯器2に設定される給湯設定温度を第2規定温度に変更するか否かが決定された。しかしながら、給湯配管6内における湯の温度低下率に応じて、給湯器2に設定される給湯設定温度を第2規定温度に変更するか否かが決定されてもよい。なお、給湯配管6内における湯の温度低下率は、例えば、ユニット電磁弁41を閉鎖したときにユニットサーミスタ43から取得した温度と、次にユニット電磁弁41を開放したときにユニットサーミスタ43から取得した温度と、当該ユニット電磁弁41を閉鎖してから開放するまでの期間とに基づいて演算することができる。
【0137】
また上記実施形態では、ユニット制御部45が、ステップSP39で給湯配管6内の湯の温度が給湯設定温度となったことを検出した場合、続くステップSP40で直ちにユニット電磁弁41を閉鎖させて給湯配管6内の湯の排出を終了した。しかしながら、ユニット制御部45は、ステップSP40では、給湯設定温度となったことを検出した時点から所定量だけ給湯配管6内の湯を流した後にユニット電磁弁41を閉鎖させてもよい。このようにした場合、直ちにユニット電磁弁41を閉鎖させる場合に比べて確実に給湯配管6内を給湯設定温度の湯で貯留させておくことができる。
【0138】
また上記実施形態では、水位調整処理のステップSP22において設定水位と比較すべき閾値と、即湯ユニット5が温量調整割込処理を開始するときに設定水位と比較すべき閾値とが予め設定されていた。しかしながら、即湯ユニット5が、湯張り割込処理のステップSP40で取得した水量(給湯配管容量)に基づいて、その給湯配管量が減ったときの水位よりも低い水位を水位量相関データIF2に基づいて演算し、その水位に、設定水位と比較すべき閾値を変更するようにしてもよい。このようにした場合、給湯配管6内の湯を浴槽4に排出したときに、浴槽4の水位が設定水位よりも高くなることを、給湯配管6の配管容積にかかわらず防ぐことができる。
【0139】
また上記実施形態では、ユニット電磁弁41が開放されているときに、ユニット制御部45が、給湯器2に設けられる給水流量センサ13から取得した水量と、ユニット流量センサ44から取得した水量との差に基づいて、水栓3が開放されたか否かを検出した。しかしながら、ユニット流量センサ44に代えてオリフィスを適用し、ユニット電磁弁41が開放されているときに、オリフィスを流れる水量を給湯器2に設けられる給水流量センサ13から取得することによって、水栓3が開放されたことを検出してもよい。
【0140】
ユニット電磁弁41が開放されている途中に水栓3も開放された場合、給水流量センサ13で検知される水量は水栓3の開放時点から変化する。しかしながら、水栓3から排出される水量が少ない場合など、給水流量センサ13で検知される水量の変化量が小さくなり、給湯配管6の上流側となる給湯器2の水量と、当該給湯配管6の下流側となる即湯ユニット5の水量とに差が殆ど生じない傾向がある。
例えば、本実施形態のように主管から各水栓に対する分岐路をヘッダに集約するサヤ管ヘッダ工法を用いて給湯器2と各水栓3A〜3Cとを連結するのではなく、主管から各水栓に対する分岐路を水栓ごとに設ける分岐工法を用いると、給湯配管6の上流側となる給湯器2の水量と、当該給湯配管6の下流側となる即湯ユニット5の水量とに差が殆ど生じない場合がある。例えば、主管がその主管から分岐される分岐配管よりも長い場合などである。
また、サヤ管ヘッダ工法を用いていても、配管の口径や長さなどの連結条件の違いに応じて、給湯配管6の上流側となる給湯器2の水量と、当該給湯配管6の下流側となる即湯ユニット5の水量とに差が殆ど生じない場合がある。例えば、給湯器2からヘッダ7までの主給湯配管6Dが、ヘッダ7から水栓3A、3Bまたは3Cまでの給湯配管6A、6Bまたは6Cよりも十分に長く、それらの口径が同程度である場合などである。
これに対し、ユニット流量センサ44に代えてオリフィスが適用された場合、ユニット電磁弁41が開放されているときにショートカット配管10を流れる水量は、当該オリフィスがない場合に比べて少なく(小流量に)制限される。
このため、給湯器2と水栓3との間を連結する工法や連結条件が異なっていても、ユニット流量センサ44を適用する場合に比べて、ユニット電磁弁41が開放されている途中に水栓3が開放されたときと開放されていないときとの差を大きく捉えることができる。
したがって、即湯ユニット5は、オリフィスで制限される流量(オリフィスを流れる水量)と、給水流量センサ13から信号線を介して取得した水量とに基づいて、水栓3が開放されていることを検出することができる。具体的には、例えば、オリフィスを流れる水量をユニット制御部45の内部メモリに予め記憶しておき、その水量よりも、給水流量センサ13から取得した水量が大きい場合には水栓3が開放されていることを検出する。
また、給湯配管6の容積を内部メモリに記憶しておけば、当該容積と、オリフィスを流れる水量と、給水流量センサ13から信号線を介して取得した水量とを用いて、水栓3で排出される水量を演算することもできる。
このように、上述のユニット流量センサ44に代えて、オリフィスが適用された場合には、ユニット流量センサ44を適用する場合と同じように水栓3の開放を検出できることに加え、水栓3で排出される水量を演算することもできる。また、ユニット流量センサ44を適用する場合に比べて、安価で即湯ユニット5を構築することができる。さらに、オリフィスは、ユニット電磁弁41が開放されているときにショートカット配管10を流れる水量を少なく(小流量に)制限できるため、当該ユニット電磁弁41の開放時に流れる湯量を抑えて静穏な環境を提供することができる。
なお、ショートカット配管10に設けられる器具の異常を検出する場合には、ユニット流量センサ44が適用される。