【実施例1】
【0026】
[1.1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機Pは、
図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0027】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
【0028】
遊技盤1は、ベニヤ板、透明合成樹脂板などによって形成される板部材1aの中央開口に裏面側から臨む様に液晶表示装置LCDが取り付けられ、この液晶表示装置LCDを取り囲む様に、板部材1aの前面側からセンター役物30が取り付けられている。液晶表示装置LCDは、遊技盤1の裏側に取り付けられる裏ユニット3に対して、可動体役物や電飾装置などと共に組み付けられ、板部材1aの背面側から組み付けられる。なお、センター役物30と液晶表示装置LCDの間には、こうした可動体役物が液晶表示装置LCDの前面へ出没するためのスペースを確保する様に、液晶表示装置LCDは、板部材1aの背面よりも後方に控えた状態の前後方向位置に組み付けられる。
【0029】
遊技盤1は、
図2に示す様に、障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央にセンター役物30が取り付けられ、センター役物30の中央直下に始動入賞装置7が備えられる。また、この始動入賞装置7の右斜め下方に大入賞口15が設置され、センター役物30の右側には大入賞口15の開放時に右側から遊技球を入賞させるための右打ち通路20が備えられた構成となっている。遊技盤1には、この他、誘導レール17、普通入賞口18、アウト口19等も設置されている。
【0030】
センター役物30は、大型装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈し、右上部分には障害釘に代わる障害ブロック34が設けられている。また、センター役物30には、右打ち通路20に侵入した遊技球を受け入れる入口35aを備えた右側トンネル35も組み付けられている。この右側トンネル35の出口35bの真下に位置する様にゲート37が設けられている。また、センター役物30の右側下方には、第2始動入賞装置27も設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを供えている。
【0031】
[1.2 制御装置の構成]
次に、本実施例のパチンコ機Pのゲーム性等について説明する。まず、制御系統について
図3に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置27に備えられている第2特図スイッチSW2、ゲート37に備えられている普図スイッチSW4、大入賞口15に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞装置18に備えられた入賞検知スイッチSW11,SW12からの検知信号が入力される様になっている。なお、図示の様に、第1特図スイッチSW1、第2特図スイッチSW2、及び普図スイッチSW4からの検知信号は、中継基板311を介して主制御基板310へと入力する構成を採用している。
【0032】
また、主制御基板310からは、サブ制御基板320、払出制御基板330、及び発射制御基板340、特図表示器350、大入賞口15の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置27のチューリップ開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。サブ制御基板320は、発光装置LED、スピーカSP、モータMT及びソレノイドSOLに対して制御信号を出力して発光演出、音声演出、可動体演出を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力している。演出表示制御基板370は、サブ制御基板320からの演出表示のための指令信号に基づいて、液晶表示装置LCDに対して制御信号を出力し、表示演出を実行する。
【0033】
払出制御基板330は、主制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。賞球払出個数は、どの入賞口に入賞したかによって予め定められている。また、主制御基板310は、払出制御基板330の外部出力端子を介してホールコンピュータへとエラー信号を出力する機能も備えている。
【0034】
発射制御基板340は、主制御基板310からの制御コマンドに従って、発射装置Gによる打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。
【0035】
[1.3 制御処理(賞球払出)]
主制御基板310は、
図4(A)に示す制御系統により、特図スイッチSW1,SW2、入賞検知センサSW7,SW11,SW12からの入賞検知信号が入力されると、各スイッチに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。
【0036】
この賞球払出制御は、
図4(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、スイッチSW1等からの検知信号が入力されたか否かを判断し(S10)、「YES」と判定されたら、払出制御基板330に対してセンサを特定した賞球払出信号を出力する(S20)。
【0037】
[1.4 制御処理(特図入力)]
また、主制御基板310は、
図5(A)に示す制御系統により、特図スイッチSW1,SW2のいずれかから検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。
【0038】
本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(以下、「特
図1始動保留情報」という。)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(以下、「特
図2始動保留情報」という。)を最大4個記憶することができる構成となっている。
【0039】
この処理において取得される乱数は、「大当たり判定用乱数」、「特図振分判定用乱数」、「演出実行判定用乱数」、「変動パターン振分用乱数)から構成される。大当たり判定用乱数(以下、「乱数1」という。)は、図柄変動ゲームの当たりかはずれかを決定するための乱数である。特図振分判定用乱数(以下、「乱数2」という。)は、当たり種別(ラウンド数、確率変動の有無)といった「特別遊技の態様」を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(以下、「乱数3」という。)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(以下、「乱数4」という。)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。
【0040】
乱数1で「当たり」となる場合においても、例えば、「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」など、単に当たりというだけでなく、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。この当たり種別の振り分けは、乱数2によって決まる。なお、「2R」「15R」とは、特別遊技のラウンド数を意味し、「確変」とは、特別遊技終了後の特別図柄抽選に伴う大当たりの確率が高い遊技状態(「確率変動」ともいう)となる場合を意味する。「通常」は、特別遊技終了後に「確変」にならない場合を意味する。また、「2R」の場合、短時間だけ大入賞口を開閉する動作となっていて実質的な出玉は期待できない遊技状態となっている。
【0041】
この他、乱数2による振り分けは、「当たり」の場合のラウンド数が15回であっても、(1)数十秒に渡って大入賞口15を開放する「長時間開放動作」を1ラウンドとして15回実行する特別遊技の態様、(2)途中のラウンド(例えば、7ラウンド)までを「長時間開放動作」のラウンドで構成し、残りラウンドは大入賞口15を短時間だけ開閉する「短時間開放動作」で構成した特別遊技の態様、(3)さらに別の当たり種別となったときは15ラウンドの全てを上述の「短時間開放動作」で構成した特別遊技の態様、へと振り分ける構成とすることもできる。
【0042】
あるいは、規定回数の確変を付与する「STタイプ」としたり、全ての当たり図柄に確変を付与する一方で転落条件に当選した場合に「高確率」から「通常確率」へと切り替わる「転落抽選タイプ」とすることもできる。この種の特別遊技において、さらに、特別遊技終了後の「時短ゲーム」における電チューサポート回数を20回、40回、60回、80回、100回と複数種類設定し、これらの中のいずれかへ振り分けるための「当たり種別判定」を行う構成にすることもできる。
【0043】
乱数2によって振り分けられ得る大当たりの種類(時短回数を含む)は、第1,第2の特図スイッチSW1,SW2のそれぞれについて任意に設定することができ、さらに、どの種類の大当たりへ振り分けられるかを定める「当たり種別の振り分け確率」を、第1特図スイッチSW1と第2特図スイッチSW2とで異ならせておくこともできる。
【0044】
本実施例においては、第2特図スイッチSW2の検知信号を契機に取得された乱数1が「当たり」となった場合の方が、第1特図スイッチSW1の検知信号を契機に取得された乱数1が「当たり」となった場合よりも、確変の付与回数、時短の付与回数、ラウンド中の開放態様などがより有利となる様に振り分け確率が設定されている。なお、乱数2は、乱数1が「はずれ」の場合には、実質的には意味のないものとなる。
【0045】
乱数3は、乱数1が「はずれ」の場合に、後述の特図開始処理において「はずれリーチ」の有無を決定するのに用いられる。乱数1が「当たり」の場合は、リーチ演出が実行されることとなっているので、この乱数3は、実質的には意味のないものとなる。
【0046】
乱数4によって振り分けられる「変動パターン」は、「変動時間の長さ」を決定するものとなる。なお、乱数4に基づく演出においては、乱数1が「当たり」の場合と、乱数1が「はずれ」の場合で異なる振り分け率となる様に、後述の特図開始処理が実行される。
【0047】
本実施例における特図入力処理は、
図5(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、まず、第1特図スイッチSW1からの検知信号が入力されたか否かを判定する(S110)。第1特図スイッチSW1からの検知信号が入力された場合は(S110:YES)、特
図1始動保留情報の記憶数N1(以下、「特
図1保留数N1」という。)が4未満か否かを判定する(S120)。N1<4ならば(S120:YES)、特
図1保留数N1をインクリメントし(S130)、上述の乱数1〜乱数4を取得し、RAMの特
図1用の始動保留情報記憶領域へと記憶する(S140)。
【0048】
S110が「NO」の場合は、第2特図スイッチSW2からの検知信号が入力されたか否かを判定する(S150)。「YES」となった場合は、特
図2始動保留情報の記憶数N2(以下、「特
図2保留数N2」という。)が4未満か否かを判定する(S160)。N2<4ならば(S160:YES)、特
図2保留数N2をインクリメントし(S170)、上述の乱数1〜乱数4を取得し、RAMの特
図2用の始動保留情報記憶領域へと記憶する(S180)。
【0049】
[1.5 制御処理(特図開始)]
次に、特図開始処理について説明する。主制御基板310は、
図6(A)に示す制御系統により、RAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器350に実行させると共に、サブ制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させる。
【0050】
主制御基板310は、
図6(B)のフローチャートに示す様な特図開始処理を、所定の周期(実施例では4ms)毎に実行している。この処理においては、まず、遊技演出(図柄変動または特別遊技)の実行中であるか否かを判定し(S210)、遊技演出実行中であるときは(S210:YES)、今回の処理を終了する。一方、遊技演出実行中でないときは(S210:NO)、RAM内の所定の記憶領域に始動保留情報が記憶されているか否かを判定する(S220)。始動保留情報が記憶されていない場合は(S220:NO)、デモ演出実行中か否かを判定し(S230)、デモ演出実行中であるならば処理を終了し(S230:YES)、デモ演出実行中でない場合は(S230:NO)、デモ演出開始をサブ制御基板320に対して指令する(S240)。
【0051】
始動保留情報の記憶がある場合は(S220:YES)、特
図2始動保留情報だるか否かを判定する(S250)。特
図2始動保留情報である場合は(S250:YES)、特
図2記憶数N2をデクリメントし(S260)、記憶順の一番早い始動保留情報(乱数1〜乱数4)を読み出す(S270)。これにより、RAM内の記憶領域における特
図2用の始動保留情報の記憶順が更新され、特図表示器350や液晶ディスプレイLCDを介して実施されている保留表示も更新される。
【0052】
こうして読み出した特
図2始動保留情報中の乱数1が、主制御基板310のROMに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(S310)。この大当り判定(当り抽選)は、非確変の時(低確率の時)に大当り判定の判定結果が肯定となる確率(すなわち大当り確率)は、164/65536に設定され、確変状態の時(高確率の時)に判定結果が肯定となる確率(大当り確率)は、1518/65536に設定されている。
【0053】
大当り判定の判定結果が肯定の場合には(S310:YES)、大当りの変動であることを示す大当りフラグに「1」が設定される(S320)。そして、主制御基板310は、乱数2の値に基づき、特図表示器350に確定停止表示させる「大当り図柄」を決定する(S330)。ここで、乱数2の値には、特
図2始動保留情報に対する当たり種別の振り分け率に対応して大当り図柄が対応付けられている。従って、主制御基板310は、S330の処理においては、読み出した乱数2の値に対応付けられた大当り図柄を決定することになる。大当り図柄(特図)が決定されると、乱数4の値に基づいて「大当り演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S340)。
【0054】
一方、S310の大当り判定の判定結果が否定の場合には(大当りでない場合には)、主制御基板310は、S270で読み出した特
図2始動保留情報中の乱数3に基づいてリーチ演出を実行させるか否かを判定する(S350)。本実施例では、主制御基板310は、乱数3の値が、ROMに記憶してあるリーチ演出実行判定値と一致するか否かによりS315の判定を行う。S350の判定結果が肯定の場合には(リーチ演出を行う場合には)、主制御基板310は、特図表示器350に確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定し(S335)、乱数4の値に基づいて「はずれリーチ演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S345)。
【0055】
また、S350におけるリーチ判定の判定結果が否定の場合には(リーチ演出を行わない場合には)、主制御基板310は、特図表示器350に確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定する(S338)。次に、主制御基板310は、乱数4の値に基づいて「はずれ演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S348)。
【0056】
こうして変動パターンおよび最終停止図柄を決定した主制御基板310は、サブ制御基板310に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する(S360)。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器350を制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器350の表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、サブ制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
【0057】
これに対し、始動保留情報が特
図2始動保留情報でない場合は(S250:NO)、特
図1始動保留情報であるか否かを判定する(S255)。特
図1始動保留情報である場合は(S255:YES)、特
図1記憶数N1をデクリメントし(S265)、記憶順の一番早い始動保留情報を読み出す(S275)。その後は、特
図1変動表示用処理(S400)を実行する。この特
図1変動表示用処理は、S310〜S360と同様に構成されている。なお、S330に対応するステップでの乱数2に基づく当たり種別の振り分け確率は、上述の様に特
図2始動保留情報の方が遊技者に有利となる様な設定となっている。
【0058】
本実施例では、大当たり前の遊技はいわゆる「左打ち」によって始動入賞口7を狙って遊技し、大当たりになったときはいわゆる「右打ち」によって大入賞口15を狙って遊技するタイプとなっている。このため、大当たりとなったときは、液晶表示画面LCDへの「右を狙って下さい。」等のナビゲーションが表示される。そして、大当たり終了後所定回数又は次回大当たりまでの間も、右打ちによって第2始動入賞口27を狙って遊技するタイプとなっている。第2始動入賞口27は、通常は電動式チューリップ(電チュー)が閉じた状態であるが、ゲート37を遊技球が通過することによって実行される普通図柄抽選の結果が当たりとなったときに、電チューが所定のパターンで開閉し、いわゆる電チューサポートの状態となる。このゲート37を遊技球が通過することによって実行される「普通図柄抽選の当たり確率」は、大当たり終了後の右打ち遊技が開始されるまでは、低い設定となっているが、「大当たり終了後の右打ち遊技の状態」になると、「普通図柄抽選の当たり確率」が高く設定されている。この結果、「大当たり終了後の右打ち遊技」が開始すると、第2始動入賞装置27における電チューサポートが行われ易く、「第2特図保留情報」が順次蓄積され易い状態となる。また、本実施例では、特別図柄抽選における大当たり種別に関する振り分け確率を、特
図2の方が特
図1よりも有利となる設定を採用している。このため、特図開始処理においては、特図全体の保留順ではなく、特
図2の方を優先して消化していく処理を採用している。
【0059】
普通図柄抽選の当たり確率を高めるための設定としては、以下の様なものがある。
(1)普通図柄の変動時間を短縮する。例えば、「左打ち遊技」の場合を30秒とし、「右打ち遊技」の場合を1秒に短縮する。これにより時間当たりの抽選回数が向上するので、「右打ち遊技」においては、実質的に普通図柄が当たり易くなる。
(2)普通図柄の当選確率を高確率とする。例えば、「左打ち遊技」においては「当選確率≒0」としておき、「右打ち遊技」においては「当選確率=1/2」とするなどの設定をする。
(3)電チューの開放態様(開放時間)を変更する。例えば、「左打ち遊技」においては0.1秒開放として実質的に入球不可な状態に設定する一方、「右打ち遊技」においては2秒開放として十分に入球可能な開放態様に変更する。
(4)電チューの開放回数の変更をする。例えば、「左打ち遊技」においては「0.5秒開放1回」とし、「右打ち遊技」においては「0.5秒開放3回」とする。
これら(1)〜(4)の組み合わせでもよく、いずれにしろ、「左打ち遊技」よりも「右打ち遊技」においては電チューが開放されて特図スイッチSW3による入賞検知が行われ易い状態とする。
【0060】
[1.6 制御処理(普通図柄判定・電チューサポート)]
本実施例においては、大当たりによって実行される特別遊技は、いわゆる右打ちで遊技する構成となっている。特別遊技中は、大入賞口15が当選ラウンド数の開放動作を行い、遊技者は多くの賞球を獲得することができる状態となる。この特別遊技が終了したとき、確変状態においては次の大当たりになるまで、確変状態でない場合は、所定回数の「当たり/はずれ」抽選が行われるまで右打ち遊技が続行され、ゲート37を遊技球が通過したときに普通図柄抽選が実行される構成となっている。この普通図柄抽選は、上述の様に、特別遊技終了後の右打ち遊技の間について「当たり」となる確率を高めたもので、「当たり」の場合には、第2始動入賞装置27の電チューが所定の開閉動作を実行し、特
図2スイッチSW2により入賞検知がなされ易い状態が形成される。
【0061】
このため、主制御基板310は、
図7(A)に示す制御系統により、普図スイッチSW4からの検知信号が入力されると普通図柄抽選を実行し、第2始動入賞装置27のソレノイドSOL27に対して開閉指令を実行する。普通図柄も4個を限度に保留記憶可能に構成されている。
【0062】
普通図柄判定処理は、
図7(B)のフローチャートに示す様に、普図スイッチSW4からの検知信号が入力されると起動され(S610)、普通図柄保留情報の記憶数N4(以下、「普通図柄保留記憶数N4」という。)が4未満か否かを判定する(S620)。N4<4ならば(S620:YES)、普通図柄保留憶数N4をインクリメントし(S630)、「NO」の場合は普通図柄判定用の乱数取得に進むことなく処理を終了する。乱数取得に進むと、「当たり/はずれ」を判定するための乱数5を取得し(S640)、RAMの普通図柄保留記憶領域に記憶する(S650)。
【0063】
電チューサポート処理は、
図7(C)のフローチャートに示す様に、特別遊技後の右打ち遊技中のときに(S710:YES)、RAM内に普通図柄始動保留情報(乱数5)の記憶があるか否かを判定し(S720)、普通図柄始動保留情報があるときは当該記憶内容を記憶順の早いものから一つ読み出し(S730)、「当たり/はずれ」の判定を実行する(S740)。ここで、普通図柄は「当たり」の確率が高い設定となっている。「当たり」と判定されると(S740:YES)、第2始動入賞装置27のソレノイドSOL27に対して制御コマンドを出力し(S750)、始動保留情報の更新を行う(S760)。「はずれ」の場合は(S740:NO)、S750をパスしてS760へと進む。
【0064】
[1.7 基板間の配線]
図8に示す様に、主制御基板310、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、インタフェース基板360、電源基板370、演出表示制御基板380及び電源中継基板390は、パチンコ機中枠Bに嵌め込まれた機構板500の背面側に設置され、それぞれ基板ケース510,520,530,540,550,560,570,580で覆うように収納されている。
【0065】
主制御基板310を収納した基板ケース(主基板ケース)510には、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、及び電源中継基板390に対してハーネスHN1〜HN4を接続するためのソケットを背面側に臨ませるソケット開口511〜514が形成されると共に、これらのソケット開口511〜514からサブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、及び電源中継基板390に対してハーネスHN1〜HN4を配線するためのハーネスダクトHD111〜HD114が、背面側に突出する様に形成されている。これらハーネスダクトHD111〜HD114は、主基板ケース510と他の基板ケース520等との間に跨る様に取り付けられる。サブ制御基板320と演出表示制御基板380とを接続するハーネスHN5についても基板ケース520,570間を跨ぐ様に設置したハーネスダクトHD115の中に収納する様に構成すると共に、電源基板370と電源中継基板390とを接続するハーネスHN6、払出制御基板330とインタフェース基板360とを接続するハーネスHN7も、それぞれ基板ケース間を跨ぐ様に設置したハーネスダクトHD116,HD117の中に収納する構成としている。
【0066】
[1.8 特図スイッチ、普図スイッチと主制御基板との接続]
実施例のパチンコ機には、
図2に示した様に、始動入賞口7、第2始動入賞口27及びゲート37が備えられている。
図9に示す様に、第1特図スイッチSW1は、始動入賞口7からのびる球通路7aの排出口直下に位置する様に、遊技盤1の背面直後位置に設置される。同様に、第2特図スイッチSW2は、第2始動入賞口27からのびる球通路27aの排出口直下に位置する様に、遊技盤1の背面直後位置に設置される。普図スイッチSW4は、遊技盤1の前面へと飛び出す様にゲート37の内面位に設置される。
【0067】
上述の様に、第1特図スイッチSW1、第2特図スイッチSW2、及び、普図スイッチSW4は、中継基板311を介して主制御基板310へと検知信号を入力する。また、主制御基板310及び中継基板311は、
図9に示す様に、基板ケース510内に収納され、カシメ部510aによって封印されている。
【0068】
第1特図スイッチSW1は、第1特図センサ体610の先端のリング部611に埋め込まれている。第1特図センサ体610は、このリング部611と後端の出力コネクタ612との間を信号線613を樹脂モールドした封止構造体として構成されている。この第1特図センサ体610は、基板ケース510の前面側に形成された貫通口511からリング部611を前方へ露出させ、基板ケース510内で中継基板311の入力コネクタ312aに対して出力コネクタ612を直接接続する様に設置される。また、第1特図センサ体610には、基板ケース510の内部に収まる部分の上下面に突条614,615が凸設されている。上側の突条614の上端から下側の突条615の下端までの高さは、貫通口511の高さ方向の間隔よりも大きく、基板ケース510の前方側へと第1特図センサ体610を抜き出すことができない構造となっている。中継基板311には、第1特図スイッチSW1による検知信号を主制御基板310へと中継するための出力コネクタ312bが備えられている。この出力コネクタ312bと主制御基板310の入力コネクタ312cとの間は、両端コネクタ付きのハーネスHN312で接続されている。
【0069】
第2特図スイッチSW2は、第2特図センサ体620の先端のリング部621に埋め込まれている。第2特図センサ体620は、このリング部621と後端からのびるハーネスHN620との間で信号線623を樹脂モールドした封止構造体として構成されている。この第2特図センサ体620は、基板ケース510の前面側に形成された貫通口512からリング部621を前方へ露出させ、基板ケース510内で中継基板311の入力コネクタ313aに対してハーネスHN620の出力コネクタ622を接続する様に設置される。また、第2特図センサ体620には、基板ケース510の内部に収まる部分の上面に突起624が形成されていて、基板ケース510の前方側へと第2特図センサ体620を抜き出すことができない構造となっている。中継基板311には、第2特図スイッチSW2による検知信号を主制御基板310へと中継するための出力コネクタ313bが備えられている。この出力コネクタ313bと主制御基板310の入力コネクタ313cとの間は、両端コネクタ付きのハーネスHN313で接続されている。
【0070】
普図スイッチSW4は、ゲート37に埋め込まれている。ゲート37は、信号線633を樹脂モールドした封止構造体としての普図センサ体630の先端に形成されている。普図センサ体630は、貫通口513から基板ケース510の内部へと末端を挿入し、末端からのびるハーネスHN630及び出力コネクタ632が、基板ケース510内に収納された状態となる様に設置される。ハーネスHN630の出力コネクタ632は、基板ケース510内において、中継基板311の入力コネクタ314aに対して接続される。中継基板311には、普図スイッチSW4による検知信号を主制御基板310へと中継するための出力コネクタ314bが備えられている。この出力コネクタ314bと主制御基板310の入力コネクタ314cとの間は、両端コネクタ付きのハーネスHN314で接続されている。
【0071】
この様に、本実施例においては、特別図柄抽選、普通図柄抽選の契機を与える第1特図スイッチSW1、第2特図スイッチSW2、普図スイッチSW4を備えた各センサ体610,620,630は、その一部を基板ケース510から露出させた状態に収納され、各センサ体610,620,630からの信号出力部分は基板ケース510内に隠された状態となっている。従って、各センサ体610,620,630と主制御基板310との間に不正基板を取り付ける余地がない。
【0072】
また、基板ケース510は、この状態でカシメによって封印されていて、この封印を破壊しない限り、不正基板を取り付けることができず、仮に不正基板が取り付けられた場合には、基板ケース510の封印が破壊されていることから直ちにこれを発見することができる。
【0073】
本実施例では、基板ケース510内に中継基板311を設置し、この中継基板311を介して主制御基板310へと特別図柄抽選、普通図柄抽選の契機信号を入力する構成としているから、離れて設置された第1特図スイッチSW1、第2特図スイッチSW2、普図スイッチSW4からの信号伝達路をいずれも基板ケース510内に収納するに当たっての設計上の自由度が高く、無理なく、各センサ体610,620,630の一部を隠す様に基板ケース510内へと収納することができる。
【0074】
特に、第1特図スイッチSW1を備えるセンサ体610は、基板ケース510内において中継基板311の入力コネクタ312aに対して出力コネクタ622を直接接続する構成としているから、ハーネスをのばす必要がなく、基板ケース510の隙間から針金等を差し込むなどする方法で不正基板をぶら下げる余地もない。
【0075】
さらに、各センサ体610,620,630は、樹脂モールドによる封止構造体として構成されているから、基板ケース510から露出している部分に対しても不正基板を取り付けることができない。特に、センサ体610は突条614,615により、センサ体620は突起624により、基板ケース510を封印した後は当該基板ケースから抜き出すことができない抜き出し防止構造を備えたものとなっているから、基板ケース510から抜き取るといった方法によって不正基板を介在させることもできない。
【0076】
また、基板ケース510は、遊技盤1の背面に近接する機構板500の裏面に設置され、第1特図スイッチSW1、第2特図スイッチSW2は遊技盤1の背後に、普図スイッチSW4は遊技盤1の盤面に臨む様に設置されている。従って、遊技盤1と基板ケース510とが接近した構造となり、スペースの面からも不正基板をぶら下げる余地をなくすことができると共に、不正基板対策として新たな信号伝達手段を追加する必要もないから、新たな信号伝達手段に対して不正基板をぶら下げるという新たな不正にも防止することができる。
【0077】
以上、発明を実施するための実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0078】
センサ体610等は、樹脂モールドに限らず、硬質プラスチック製の組立ケースによる封止構造体としてもよい。
【0079】
また、中継基板を介在させないで始動口スイッチと主制御基板とを接続する構成としてもよい。その場合、
図10(A)に示す様に、始動口スイッチと主制御基板のコネクタとを直接接続し、ハーネスを取り除くことでぶら下がりを防ぐ様にしてもよい。あるいは、
図10(B)に示す様に、ハーネス部分が主制御基板ケースから露出しない様に始動口スイッチと主制御基板のコネクタとを接続する様にしてもよい。また、
図10(C)に示す様に、主制御基板ケース内における中継基板の配置は、実施例に限らない。
【0080】
さらに、パチンコ機に限らず、スロットマシンについても、スタートレバー、ベットボタン、ストップボタン等の操作を検知するセンサ類について、制御基板との接続用のハーネスを露出させない様にハーネスを基板ケース内に隠したり、ハーネスなしの直接接続とする様にしてもよい。また、契機信号出力手段を接続する相手側は、例えば、サブ制御基板、払出制御基板など、パチンコ機の主制御基板やスロットマシンの制御基板以外であってもよく、本発明を適用し、接続相手の制御基板の基板ケースと契機信号出力手段との間にハーネスを露出させない様にすることにより、ハーネスへの不正基板の取り付けを阻止することができる。