特許第6355440号(P6355440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355440
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】アンダーフィル材の塗布装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20180702BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20180702BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20180702BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
   H01L21/56 E
   H05K3/28 E
   H05K3/28 G
   H01L21/60 311S
   !B05C5/00 101
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-118311(P2014-118311)
(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公開番号】特開2015-231044(P2015-231044A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】592019877
【氏名又は名称】富士通周辺機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】八木 賢司
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−368025(JP,A)
【文献】 特開2008−132440(JP,A)
【文献】 特開2011−249195(JP,A)
【文献】 特開2001−246299(JP,A)
【文献】 特開2001−160563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 21/60−607
H05K 3/28
B05C 5/00−04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を位置決めして保持するホルダーと、
前記プリント基板上の所定位置に塗布するアンダーフィル材を貯溜するシリンジと、
前記シリンジを保持する支持部材と、
前記支持部材を移動させる移動機構と、
前記シリンジの先端部を位置決めする位置決め部材と、
を含み、
前記位置決め部材を複数有し、1つの前記位置決め部材は、レール部材に固定され、少なくとも1つの前記位置決め部材は前記レール部材に移動可能に取り付けられていることを特徴とするアンダーフィル材の塗布装置。
【請求項2】
前記シリンジを複数有し、前記支持部材は1つの前記シリンジに対して、他の前記シリンジの位置を前記位置決め部材の移動方向と平行に移動可能に構成したことを特徴とする請求項に記載のアンダーフィル材の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーフィル材の塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に電子部品、例えばICチップを実装するときには、プリント基板とICチップの間の隙間を埋めるアンダーフィル材を充填した後に硬化させることにより、プリント基板とICチップの間の応力緩和や脱落防止を図っている。アンダーフィル材を充填するときには、最初に、プリント基板上の電極パッドにICチップのハンダバンプを位置決めして配置し、リフロー炉で加熱することにより、ハンダバンプを電極に接合する。続いて、アンダーフィル材を注入したシリンジをICチップに近づけ、シリンジからアンダーフィルをICチップの周囲に吐出させる。アンダーフィル材は、毛細管現象により、ICチップとプリント基板の間の隙間に進入する。この後、アンダーフィル材を硬化させると、プリント基板へのICチップの実装が終了する。
【0003】
ここで、アンダーフィル材を塗布する塗布装置は、シリンジを三次元座標系内で変位させる駆動手段を具え、予め指定された情報に基づいて指定個所に指定量の樹脂材料を吐出して塗布するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−354555号公報
【特許文献2】特開2001−79483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のアンダーフィル材の塗布装置では、シリンジ内のアンダーフィル材がなくなった場合や、シリンジの先端の針部分が詰まってアンダーフィル材を吐出できなくなってしまった場合に、シリンジやシンリンジの先端部を交換することがあった。ここで、シリンジやシリンジの先端部を交換すると、シリンジの先端部の位置が交換前に比べて変化することがある。この場合には、駆動手段でシリンジを予め設定された座標に移動させても。シリンジの先端部の位置がずれてしまい、正しい位置にアンダーフィル材を適量供給することが困難になる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シリンジを交換した場合でも正しい位置にアンダーフィル材を供給できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一観点によれば、プリント基板を位置決めして保持するホルダーと、前記プリント基板上の所定位置に塗布するアンダーフィル材を貯溜するシリンジと、前記シリンジを保持する支持部材と、前記支持部材を移動させる移動機構と、前記シリンジの先端部を位置決めする位置決め部材と、を含み、前記位置決め部材を複数有し、1つの前記位置決め部材は、レール部材に固定され、少なくとも1つの前記位置決め部材は前記レール部材に移動可能に取り付けられていることを特徴とするアンダーフィル材の塗布装置が提供される
【発明の効果】
【0007】
シリンジの交換時などに、位置決め部材を使用してシリンジの先端位置を調整することにより、アンダーフィル材をプリント基板の所望位置に塗布することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布装置の概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布装置の概略構成の一例を示すもので、図1の一部を拡大した図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布装置の概略構成の一例を示すもの、位置調整部の拡大斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布工程の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布工程の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布装置の概略構成の一例を示すもの、位置調整部を移動させた図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係るアンダーフィル材の塗布装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の目的及び利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素及び組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、典型例及び説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0010】
アンダーフィル材の塗布装置1(以下、塗布装置1という)は、不図示の作業台上に設置されるベース2を有し、ベース2上の前側部分には、制御装置8によって一方向、例えば、X方向に移動可能なXステージ3が取り付けられている。Xステージ3は、不図示の駆動機構を有すると共にベース2上でX方向に移動可能な第1のスライド部材4を有し、スライド部材4上には、プリント基板5を載置するホルダー6と、位置調整部7が設けられている。
【0011】
また、ベース2の後側部分には、門型のフレーム11が取り付けられている。フレーム11は、Xステージ3を跨ぐように配置されており、その上面には、移動機構を構成するYステージ12が取り付けられている。Yステージ12は、フレーム11の前面にY方向に平行に敷設されたレール13と、レール13に沿って移動する第2のスライド部材14とを有する。さらに、第2のスライド部材14の前面には、移動機構を構成するZステージ15が取り付けられている。Zステージ15は、Yステージ12の第2のスライド部材14の前面にZ方向に沿って敷設されたレール16と、レール16に沿って移動する第3のスライド部材17とを有する。第3のスライド部材17の前面には、プレート18が固定されており、プレート18には2つのシリンジ21が支持部材22を介して着脱自在に取り付けられている。
【0012】
なお、各支持部材22は、プレート18に固定しても良いし、一方の支持部材22をY方向にスライド移動可能に取り付けても良い。なお、塗布装置1は、シリンジ21を1つだけ有しても良いし、3つ以上有しても良い。
【0013】
図2に一部を拡大して示すように、シリンジ21の支持部材22は、上側の上腕部23と、シリンジ21の下部に当接する下腕部24とを有する。上腕部23は、開口部25を有する。開口部25は、シリンジ21の外形に略等しい形状を有し、前方から挿入するネジ26によって開口部25に挿入したシリンジ21を上腕部23に押し付けて固定する。シリンジ21は、円筒形状の本体部31内にアンダーフィル材を貯溜する空洞が形成されている。また、本体部31の下部には、針部材32が着脱自在に取り付けられている。針部材32は、鉛直下向きに針状の先端部33が形成されており、下端の吐出口33Aからアンダーフィル材を滴下可能になっている。ここで、アンダーフィル材は、例えば、エポキシ樹脂製の液状硬化性樹脂が使用される。
【0014】
Xステージ3のホルダー6の上面には、プリント基板5を位置決めするためのピン41が複数取り付けられている。また、ホルダー6の側部には、2つのヒンジ42によってプリント基板5を上側から押さえつけるカバー43が開閉自在に取り付けられている。カバー43には、2つの開口部43Aが形成されている。各開口部43Aは、プリント基板5において電子部品、例えば、ICチップ9を実装する部分とその周囲を露出させる。
【0015】
この実施の形態では、プリント基板5には、電子機器等に搭載される基板が2つ連結された構成を有する。このために、ICチップ9等の電子部品を実装するポイントが2つずつ配置されている。これに伴って、カバー43には同じ形状の開口部43Aが2つ形成されており、シリンジ21も2つ取り付けられている。2つのシリンジ21は、プリント基板5の連結された2つの基板の間で同じ電子部品が実装されるポイントの間の距離に略等しくなっている。従って、塗布装置1では、1つのプリント基板5上の2か所に対して同時にアンダーフィル材を供給することができる。
【0016】
また、ホルダー6上には、位置調整部7が取り付けられている。位置調整部7は、Xステージ3上で、スライド部材4より門型のフレーム11側に配置されている。さらに、位置調整部7は、各ステージ12,15を利用した移動機構によるシリンジ21の移動範囲内に配置されている。図3に拡大して示すように、位置調整部7は、ブロック51によって固定されたレール部材52と、レール部材52に取り付けられた2つの位置決め部材53,54とを有する。レール部材52は、Y方向に平行に延びている。レール部材52の一端部には、第1の位置決め部材53がネジ55で固定されている。さらに、レール部材52には、長穴56がY方向に沿って延びている。長穴56は、第1の位置決め部材53の固定位置を除いてレール部材52のほぼ全長にわたって形成されている。長穴56には、第2の位置決め部材54がネジ55によって取り付けられている。第2の位置決め部材54は、ネジ55を緩めることにより、長穴56に沿って移動可能である。各位置決め部材53,54は、上面にクロス形のアライメントマーク57が形成されている。
【0017】
制御装置8は、塗布装置1の動作を司るもので、プリント基板5の位置の制御と、シリンジ21の位置の制御と、シリンジ21内のアンダーフィル材の吐出制御とを行う。さらに、制御装置8には、作業者が操作する操作部61が接続されている。シリンジ21は、不図示の加圧源に接続されており、制御装置8から出力される信号に基づいてシリンジ21の内圧を上昇させ、アンダーフィル材を吐出させる。
【0018】
なお、アンダーフィル材の塗布対象は、プリント基板5に限定されない。図1に示す例では、プリント基板5は、Y方向に同じ形状の基板が2つ連結された基板になっているが、プリント基板5の形状は図1に示す形状に限定されない。また、プリント基板5に実装され、アンダーフィル材を充填する部品は、ICチップ9に限定されない。
【0019】
次に、塗布装置1を使用した塗布作業について説明する。なお、プリント基板5には、予め電極やその他の回路が形成されているものとする。また、プリント基板5に実装される電子部品であるICチップ9は、半導体素子が形成されており、複数のハンダバンプが例えばBGAを形成している。そして、ICチップのハンダバンプはリフロー炉によりプリント基板5の電極に接合されている。
【0020】
最初に、各ステージ3,12,15を初期位置に移動させる。続いて、アンダーフィル材を収容させたシリンジ21を支持部材22の開口部25に挿入し、ネジ26で固定する。この後、作業者は、操作部61を操作し、Yステージ12及びZステージ15を駆動させ、シリンジ21の先端を位置決め部材53,54の上方で、かつアライメントマーク57の中心と一致する位置に配置する。Xステージ12が初期位置に待機しているので、位置決め部材53,54の位置は、塗布装置1の原点から予め定められた座標に配置されている。このために、位置決め部材53,54のアライメントマーク57上に吐出口33Aを配置することで、シリンジ21の位置が塗布装置1の原点に対して予め定められた座標に配置される。これにより、シリンジ21の先端部の位置がずれていた場合には、シリンジ21の位置が正しい位置に修正される。
【0021】
次に、プリント基板5をホルダー6に取り付ける。プリント基板5には、予め貫通孔40が形成されているので、貫通孔40にホルダー6のピン41が通るようにプリント基板5を載せると、ホルダー6にプリント基板5が位置決めして載置される。このとき、プリント基板5は、ICチップ9が上向きになるように載置される。プリント基板5をホルダー6上に載置した、カバー43を閉じる。プリント基板5がカバー43によって上から押さえ付けられると共に、開口部43Aを通して、ICチップ9の実装領域が露出する。
【0022】
作業者が操作部61を操作して、アンダーフィル材の塗布作業を開始させると、制御装置8が各ステージ12,15を駆動させ、シリンジ21の先端部を予め定められた位置に移動させる。例えば、図4に示すように、この位置は、ICチップ9の近傍で、アンダーフィル材10の注入ポイントである。各シリンジ21を所定の位置に移動させたら、制御装置8は、シリンジ21からアンダーフィル材10を所定量だけ吐出させる。
【0023】
例えば、図5に模式的に示すように、シリンジ21の下端の吐出口33AからICチップ9の近傍のプリント基板5上に吐出されたアンダーフィル材10は、毛細管現象により、ICチップ9とプリント基板5の隙間に進入し、ICチップ9とプリント基板5の間の隙間がアンダーフィル材10で埋められる。なお、この隙間は、プリント基板5の電極パッド5AにICチップ9のハンダバンプ9Aを接合させることにより形成されたものである。複数箇所にアンダーフィル材10を供給する場合には、各ステージ3,12,15を駆動させてシリンジ21を移動させ、アンダーフィル材10を供給する。プリント基板5上の必要な箇所にアンダーフィル材10を充填したら、制御装置8はシリンジ21をプリント基板5の上方から退避させる。この後、カバー43を開いて、プリント基板5を取り出す。そして、他のプリント基板5に対してアンダーフィル材10を塗布する場合には、前記の動作を繰り返す。
【0024】
なお、シリンジ21の位置を位置決め部材53,54で修正する工程は、次にシリンジ21を交換するまでは省略できる。なお、シリンジ21の交換とは、シリンジ21を支持部材22から取り外す場合や、シリンジ21の本体部31は支持部材22から取り外さずに、先端部33のみを交換する場合が含まれる。
【0025】
ここで、図6に矢印で示すように、塗布装置1は、第2の位置決め部材54の位置をY方向で変化させることが可能になっている。第2の位置決め部材54の位置を変更する場合には、レール部材52に固定していたネジ55を緩め、予め定められた位置に第2の位置決め部材54を移動させた後、再びネジ55でレール部材52に固定する。これにより、第1の位置決め部材53を基準にしたアンダーフィル材10の塗布工程と、第2の位置決め部材54を基準にしたアンダーフィル材10の塗布工程が可能になる。
【0026】
また、Y方向における塗布位置の配置間隔が異なるプリント基板5に対してアンダーフィル材10を塗布する場合には、第2の位置決め部材54の位置をプリント基板5上の塗布位置に合わせて変化させる。続いて、第2の位置決め部材54の上方のシリンジ21の支持部材22をY方向に移動させ、シリンジ21の先端位置を第2の位置決め部材54のアライメントマーク57の中心に一致させる。図7に一例を示すように、支持部材22をY方向に移動させる機構としては、プレート18上にレール71をY方向に平行に敷設し、支持部材22を矢印に示すようにレール71に沿って移動可能に取り付けることがあげられる。また、プレート18に長穴をY方向に平行に形成し、長穴に挿入したネジで支持部材22をプレート18に固定しても良い。
【0027】
以上、説明したように、シリンジ21の移動範囲内に位置決め部材53,54を配置したので、シリンジ21の交換時などに、シリンジ21の先端位置を位置決め部材53,54のアライメントマーク47に合わせることで、シリンジ21の位置を修正することが可能になる。これによって、アンダーフィル材をプリント基板5上の所望の位置に塗布することが可能になる。また、第2の位置決め部材53を移動可能に配置したので、塗布対象の変更に伴うシリンジ21の位置の変更や、複数のシリンジ21の間隔を変更する場合であっても、アンダーフィル材をプリント基板5上の所望の位置に塗布することが可能になる。
【0028】
ここで挙げた全ての例及び条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明及び概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例及び条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換及び変形を施すことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 塗布装置
5 プリント基板
6 ホルダー
10 アンダーフィル材
12 Yステージ
15 Zステージ
21 シリンジ
22 支持部材
52 レール部材
53 第1の位置決め部材
54 第2の位置決め部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7