(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記日射強度取得部は、大気上端における理論日射強度に対する測定地点における日射強度の割合を晴天指数とし、前記日射計が測定した日射強度の時系列データそれぞれを当該晴天指数に変換して得られる値を、前記日射強度データとして取得する
請求項1に記載の日射計性能低下状態推定装置。
前記分解成分取得部は、前記日射強度取得部が取得した複数の期間における複数の前記日射強度データのうちの対応する2つの期間における前記日射強度データから、当該2つの期間における前記トレンド成分を取得し、
前記性能低下状態推定部は、当該2つの期間における前記トレンド成分を比較することにより、前記日射計の感度性能の低下状態を推定する
請求項1または2に記載の日射計性能低下状態推定装置。
前記分解成分取得部は、前記日射強度取得部が取得した複数の期間における複数の前記日射強度データのうちの対応する2つの期間における前記日射強度データから、当該2つの期間における前記残差成分を取得し、
前記性能低下状態推定部は、当該2つの期間における前記残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することにより、前記日射計の応答性能の低下状態を推定する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の日射計性能低下状態推定装置。
前記日射強度抽出部は、前記k−means法によって分類された複数のグループにおいて、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、前記複数のグループを再分類し、再分類された同一グループ内の対応する2つの期間における前記日射強度データを抽出する
請求項5に記載の日射計性能低下状態推定装置。
前記日射強度抽出部は、前記日射強度データの日平均値を前記日射強度データの大きさとして算出し、前記日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値を前記日射強度データの変動の大きさとして算出することにより、前記複数の期間における複数の日射強度データを前記複数のグループに分類する
請求項7に記載の日射計性能低下状態推定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、日射計が劣化しているのに気付かずに、劣化した状態で日射計を使用し続けてしまう虞がある。
【0006】
つまり、上記従来の技術では、日射計の劣化を防止しているが、日射計を長期間に亘って使用した場合には、日射計は少しずつでも劣化していくため、日射計が劣化しているのに気付かずに、劣化した状態で使用し続けてしまう虞がある。また、日射計の劣化防止が有効に機能していない場合にも、日射計が劣化しているのに気付かず、劣化した状態で使用し続けてしまう。
【0007】
一方、日射計には、外的要因によって故障等が発生する可能性もある。この場合にも、太陽光発電の出力変動の把握が正確に行えなくなる虞がある。たとえば、飛来物等により日射計が破損したり、日射計の内部に雨水等の浸水等が発生したりすると、日射計の測定精度が大幅に低下する可能性がある。
【0008】
このため、定期的に日射計の校正作業、点検作業を行う必要があるが、太陽光発電の出力変動が商用電力系統に与える影響を正確に評価するには、多量の日射計が必要となるため、当該多量の日射計の校正作業、点検作業を定期的に行う必要が生じる。ここで、日射計の劣化状態、故障状態を把握することができれば、劣化していない日射計に対しては校正作業、点検作業を行う必要はなくなるため、日射計の校正作業、点検作業の回数を低減することができる。したがって、日射計の劣化状態、故障状態などの測定性能の低下状態を推定する技術が望まれる。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、日射計の測定性能の低下状態を推定することができる日射計性能低下状態推定装置、日射計性能低下状態推定システム及び日射計性能低下状態推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る日射計性能低下状態推定装置は、日射計の測定性能の低下状態を推定する日射計性能低下状態推定装置であって、前記日射計が測定した日射強度の時系列データを示す日射強度データを取得する日射強度取得部と、取得された前記日射強度データを、多項式で示されるトレンド成分と、前記日射強度データから前記トレンド成分を差し引いて得られる残差成分とに分解することで、前記トレンド成分と前記残差成分とを取得する分解成分取得部と、取得された前記トレンド成分の変化と前記残差成分の変化とから、前記日射計の測定性能の低下状態を推定する性能低下状態推定部とを備える。
【0011】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、日射計から得られる日射強度データを、多項式で示されるトレンド成分と、日射強度データからトレンド成分を差し引いた残差成分とに分解し、当該トレンド成分の変化と当該残差成分の変化とから、日射計の測定性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、日射計が測定した日射強度データを、当該トレンド成分と当該残差成分とに分解して、各成分の変化を評価することで、簡易に日射計の測定性能の低下状態を推定することができることを見出した。つまり、日射強度データを多項式モデルに当てはめることでトレンド成分を生成し、日射強度データからトレンド成分を差し引くことで残差成分を生成することができるため、日射強度データを、取り扱いが容易な2つの成分に簡易に分解することができる。これにより、日射計性能低下状態推定装置によれば、日射計の測定性能の低下状態を推定することができる。
【0012】
また、前記日射強度取得部は、大気上端における理論日射強度に対する測定地点における日射強度の割合を晴天指数とし、前記日射計が測定した日射強度の時系列データそれぞれを当該晴天指数に変換して得られる値を、前記日射強度データとして取得することにしてもよい。
【0013】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、日射計が測定した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して得られる値を、日射強度データとして取得する。ここで、太陽光から入力される日射強度は、時期(季節)、時刻、場所(緯度、経度)などで大きく異なる。このため、日射計性能低下状態推定装置は、日射計が測定した日射強度を晴天指数に変換して規格化することで、当該日射強度を等価的に扱うことができる。
【0014】
また、前記分解成分取得部は、前記日射強度取得部が取得した複数の期間における複数の前記日射強度データのうちの対応する2つの期間における前記日射強度データから、当該2つの期間における前記トレンド成分を取得し、前記性能低下状態推定部は、当該2つの期間における前記トレンド成分を比較することにより、前記日射計の感度性能の低下状態を推定することにしてもよい。
【0015】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、複数の期間における複数の日射強度データのうちの対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間におけるトレンド成分を取得して比較することにより、日射計の感度性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、日射強度データのトレンド成分の変化から、日射計の感度性能の低下状態を推定することができることを見出した。つまり、当該トレンド成分は、日射計への入力信号に対する出力信号の大きさを評価する指標となっている。これにより、日射計性能低下状態推定装置によれば、対応する2つの期間における日射強度データのトレンド成分を比較することで、日射計の感度性能の低下状態を簡易に推定することができる。
【0016】
また、前記分解成分取得部は、前記日射強度取得部が取得した複数の期間における複数の前記日射強度データのうちの対応する2つの期間における前記日射強度データから、当該2つの期間における前記残差成分を取得し、前記性能低下状態推定部は、当該2つの期間における前記残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することにより、前記日射計の応答性能の低下状態を推定することにしてもよい。
【0017】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、複数の期間における複数の日射強度データのうちの対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間における残差成分を取得して、当該残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することにより、日射計の応答性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、日射強度データの残差成分から得られるステップ応答の時定数の変化から、日射計の応答性能の低下状態を推定することができることを見出した。つまり、当該残差成分は、日射計にステップ信号を入力した際の出力信号の遅延時間を評価する指標となっている。これにより、日射計性能低下状態推定装置によれば、対応する2つの期間における日射強度データの残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することで、日射計の応答性能の低下状態を簡易に推定することができる。
【0018】
また、さらに、前記日射強度取得部が取得した複数の期間における複数の前記日射強度データをk−means法によって複数のグループに分類し、同一グループ内の対応する2つの期間における前記日射強度データを抽出する日射強度抽出部を備え、前記分解成分取得部は、当該2つの期間における前記日射強度データから、当該2つの期間における前記トレンド成分と前記残差成分とを取得し、前記性能低下状態推定部は、当該2つの期間における前記トレンド成分の変化と、当該2つの期間における前記残差成分の変化とから、前記日射計の測定性能の低下状態を推定することにしてもよい。
【0019】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、k−means法によって日射強度データを複数のグループに分類して、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出し、当該2つの期間における日射強度データのトレンド成分の変化と残差成分の変化とから、日射計の測定性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、k−means法を用いることで、日射強度データを、比較対象となり得る同じような条件(統計的特徴)をもつグループに精度良く分類することができることを見出した。この方法を用いることで、自然の太陽光を、雲等による太陽光の変動を意識することなく、入力光(試験光)として利用できるようになるため、日射計に試験光を入力するための現地作業が不要となる。このため、日射計性能低下状態推定装置によれば、k−means法によって分類した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データのトレンド成分及び残差成分の変化から、日射計の測定性能の低下状態を精度良く推定することができる。
【0020】
また、前記日射強度抽出部は、前記k−means法によって分類された複数のグループにおいて、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、前記複数のグループを再分類し、再分類された同一グループ内の対応する2つの期間における前記日射強度データを抽出することにしてもよい。
【0021】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、k−means法によって分類された2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、複数のグループを再分類して、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、グループの分類の精度を向上させることができることを見出した。このため、日射計性能低下状態推定装置によれば、当該エントロピーを算出してグループを再分類することにより、日射計の測定性能の低下状態を精度良く推定することができる。
【0022】
また、前記日射強度抽出部は、前記複数の期間における複数の日射強度データを、日射強度データの大きさと日射強度データの変動の大きさとで、前記複数のグループに分類することにしてもよい。
【0023】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、日射強度データの大きさと日射強度データの変動の大きさとで、日射強度データを複数のグループに分類する。このため、日射計性能低下状態推定装置によれば、日射強度データを複数のグループに簡易に分類することができるため、日射計の測定性能の低下状態を簡易に推定することができる。
【0024】
また、前記日射強度抽出部は、前記日射強度データの日平均値を前記日射強度データの大きさとして算出し、前記日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値を前記日射強度データの変動の大きさとして算出することにより、前記複数の期間における複数の日射強度データを前記複数のグループに分類することにしてもよい。
【0025】
これによれば、日射計性能低下状態推定装置は、日射強度データの日平均値と、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値とで、日射強度データを複数のグループに分類する。このため、日射計性能低下状態推定装置によれば、日射強度データを複数のグループに精度良く分類することができるため、日射計の測定性能の低下状態を精度良く推定することができる。
【0026】
また、本発明は、このような日射計性能低下状態推定装置として実現することができるだけでなく、日射計と、当該日射計の測定性能の低下状態を推定する上記の日射計性能低下状態推定装置とを備える日射計性能低下状態推定システムとしても実現することができる。
【0027】
また、本発明は、上記の日射計性能低下状態推定装置に含まれる処理部が行う特徴的な処理をステップとする日射計性能低下状態推定方法としても実現することができる。また、当該日射計性能低下状態推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムや集積回路として実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、日射計の測定性能の低下状態を推定することができる日射計性能低下状態推定装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置及び日射計性能低下状態推定システムについて、説明する。
【0031】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0032】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置100を備える日射計性能低下状態推定システム10の構成を示す図である。
【0033】
同図に示すように、日射計性能低下状態推定システム10は、日射計性能低下状態推定装置100及び日射計200を備えている。
【0034】
日射計性能低下状態推定装置100は、日射計200の測定性能の低下状態を推定するコンピュータである。ここで、日射計200の測定性能の低下状態を推定するとは、日射計200の劣化状態を推定したり、日射計200の故障状態を推定したりすることが含まれる。なお、この日射計性能低下状態推定装置100は、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムがプログラムを実行することによって実現されてもよいし、専用のコンピュータシステムによって実現されてもよい。日射計性能低下状態推定装置100の詳細な構成については、後述する。
【0035】
日射計200は、複数の日射計(日射計201、202、203等)を備えており、それぞれの日射計は、異なる地点に配置され、一定時間間隔で、日射強度を測定する。つまり、日射計200は、太陽光発電の発電出力を把握するために設置された設備であり、この日射計200による日射強度の測定値から、当該日射計200が設置されている付近の太陽光発電の発電出力を推定することができる。なお、日射計200の設置場所、及び、日射計200が日射強度を測定する頻度については、特に限定されない。
【0036】
また、日射計200は、測定した日射強度を、日射計性能低下状態推定装置100に出力する。日射計性能低下状態推定装置100は、この日射強度を取得して、当該日射強度を測定した日射計200の測定性能の低下状態を推定する。なお、日射計200が日射強度を日射計性能低下状態推定装置100に出力するタイミングについては、特に限定されない。例えば、日射計200は、日射強度を日射計性能低下状態推定装置100に、日射強度を測定するごとに出力してもよいし、所定の時間間隔で出力してもよいし、使用時間が経過するほど送信間隔が短くなるように出力してもよい。
【0037】
次に、日射計性能低下状態推定装置100の詳細な機能構成について、説明する。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
【0039】
日射計性能低下状態推定装置100は、日射計200の測定性能の低下状態を推定する装置であり、同図に示すように、日射強度取得部110と、日射強度抽出部120と、分解成分取得部130と、性能低下状態推定部140と、記憶部150とを備えている。
【0040】
日射強度取得部110は、日射計200が測定した日射強度の時系列データを示す日射強度データを取得する。具体的には、日射強度取得部110は、日射計200が測定した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して得られる値を、日射強度データとして取得する。
【0041】
ここで、大気上端における理論日射強度に対する測定地点における日射強度の割合を、晴天指数(CI:Clearness Index)として定義する。つまり、晴天指数は、測定地点における日射強度を、大気上端における理論日射強度で除した値であり、測定地点の位置や測定時刻による影響をなくして日射強度を等価的に扱えるように規格化された値である。
【0042】
さらに具体的には、日射強度取得部110は、まず、日射計200が測定した日射強度の時系列データを、日射計200から取得する。そして、日射強度取得部110は、取得した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して、変換後の日射強度の時系列データそれぞれを、日射強度データとして取得する。このようにして、日射強度取得部110は、複数の期間における複数の日射強度データを取得する。
【0043】
なお、複数の期間の「期間」とは、どのような期間であってもよく、例えば、複数時間からなる期間であってもよいし、1日間であってもよいし、複数日からなる期間であってもよいし、1年間であってもかまわない。
【0044】
日射強度抽出部120は、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データをk−means法によって複数のグループに分類し、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する。
【0045】
具体的には、まず、日射強度抽出部120は、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データを、日射強度データの大きさと日射強度データの変動の大きさとで、複数のグループに分類する。つまり、日射強度抽出部120は、日射強度データの値の大きさ及び変動の大きさごとに複数の日射強度データを仕分けして、k−means法を用いて、仕分けした当該複数の日射強度データを複数のグループに分類する。
【0046】
ここで、日射強度抽出部120は、日射強度データの日平均値を日射強度データの大きさとして算出し、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値を日射強度データの変動の大きさとして算出することにより、複数の期間における複数の日射強度データを複数のグループに分類する。つまり、日射強度抽出部120は、日射強度データの日平均値及びパワースペクトル密度の所定周期における積分値ごとに複数の日射強度データを仕分けして、k−means法を用いて、仕分けした当該複数の日射強度データを複数のグループに分類する。
【0047】
また、日射強度抽出部120は、k−means法によって分類された複数のグループにおいて、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、複数のグループを再分類する。そして、日射強度抽出部120は、再分類された同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する。
【0048】
分解成分取得部130は、日射強度取得部110が取得した日射強度データを、多項式で示されるトレンド成分と、日射強度データからトレンド成分を差し引いて得られる残差成分とに分解することで、トレンド成分と残差成分とを取得する。
【0049】
具体的には、分解成分取得部130は、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データのうちの対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間におけるトレンド成分を取得する。また、分解成分取得部130は、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データのうちの対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間における残差成分を取得する。
【0050】
さらに具体的には、分解成分取得部130は、日射強度抽出部120が抽出した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間におけるトレンド成分と残差成分とを取得する。つまり、分解成分取得部130は、日射強度抽出部120が抽出した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間におけるトレンド成分と、当該2つの期間における残差成分とを取得する。
【0051】
性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得したトレンド成分の変化と残差成分の変化とから、日射計200の測定性能の低下状態を推定する。つまり、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した同一グループ内の対応する2つの期間におけるトレンド成分の変化と、当該2つの期間における残差成分の変化とから、日射計200の測定性能の低下状態を推定する。
【0052】
具体的には、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した当該2つの期間におけるトレンド成分を比較することにより、日射計200の感度性能の低下状態を推定する。また、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した当該2つの期間における残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することにより、日射計200の応答性能の低下状態を推定する。
【0053】
記憶部150は、日射計200の測定性能の低下状態を推定するためのデータなどを記憶しているメモリである。具体的には、記憶部150は、日射計200から入力されるデータや、日射強度取得部110、日射強度抽出部120、分解成分取得部130または性能低下状態推定部140が取得、抽出、推定または算出したデータなどを含む推定用データ151を記憶している。
【0054】
なお、図示していないが、日射計性能低下状態推定装置100は、キーボードやマウスなどの入力部や液晶ディスプレイなどの表示部を備えていてもよい。
【0055】
次に、日射計性能低下状態推定装置100が行う処理について、説明する。
【0056】
図3は、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置100が行う処理(日射計性能低下状態推定方法)の一例を示すフローチャートである。
【0057】
同図に示すように、まず、日射強度取得ステップとして、日射強度取得部110は、日射強度データを取得する(S102)。この日射強度取得部110が日射強度データを取得する処理について、以下に詳細に説明する。
【0058】
図4は、本発明の実施の形態に係る日射強度取得部110が日射強度データを取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
同図に示すように、まず、日射強度取得部110は、日射計200が測定した日射強度の時系列データを取得する(S202)。
【0060】
具体的には、日射計200が測定した日射強度の時系列データは、記憶部150の推定用データ151に記憶され蓄積されており、日射強度取得部110は、推定用データ151から、必要な日射強度の時系列データを読み出すことにより取得する。
【0061】
なお、日射強度取得部110は、日射計200から直接、日射強度の時系列データを取得することにしてもよいし、外部の機器またはユーザによる入力などから、日射強度の時系列データを取得することにしてもよい。
【0062】
そして、日射強度取得部110は、日射強度の時系列データを晴天指数に変換する(S204)。
【0063】
具体的には、日射強度取得部110は、取得した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して、変換後の晴天指数の時系列データそれぞれを、日射強度データとして取得する。そして、日射強度取得部110は、取得した日射強度データを、記憶部150に記憶されている推定用データ151に書き込む。
【0064】
図3に戻り、次に、日射強度抽出ステップとして、日射強度抽出部120は、対応する2つの期間における日射強度データを抽出する(S104)。
【0065】
具体的には、日射強度抽出部120は、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データを、推定用データ151から読み出すことにより取得する。そして、日射強度抽出部120は、取得した複数の期間における複数の日射強度データをk−means法によって複数のグループに分類し、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する。
【0066】
そして、日射強度抽出部120は、抽出した当該対応する2つの期間における日射強度データを、記憶部150に記憶されている推定用データ151に書き込む。なお、この日射強度抽出部120が日射強度データを抽出する処理の詳細な説明については、後述する。
【0067】
次に、分解成分取得ステップとして、分解成分取得部130は、対応する2つの期間における日射強度データを、トレンド成分と残差成分とに分解することで、対応する2つの期間におけるトレンド成分と残差成分とを取得する(S106)。
【0068】
具体的には、分解成分取得部130は、日射強度抽出部120が抽出した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを、推定用データ151から読み出すことにより取得する。そして、分解成分取得部130は、取得した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを、多項式で示されるトレンド成分と、日射強度データからトレンド成分を差し引いて得られる残差成分とに分解することで、トレンド成分と残差成分とを取得する。
【0069】
そして、分解成分取得部130は、取得した同一グループ内の対応する2つの期間におけるトレンド成分と残差成分とを、記憶部150に記憶されている推定用データ151に書き込む。なお、この分解成分取得部130がトレンド成分と残差成分とを取得する処理の詳細な説明については、後述する。
【0070】
次に、性能低下状態推定ステップとして、性能低下状態推定部140は、対応する2つの期間におけるトレンド成分の変化と残差成分の変化とから、日射計200の測定性能の低下状態を推定する(S108)。
【0071】
具体的には、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した同一グループ内の対応する2つの期間におけるトレンド成分と残差成分とを、推定用データ151から読み出すことにより取得する。そして、性能低下状態推定部140は、取得した当該2つの期間におけるトレンド成分の変化と、当該2つの期間における残差成分の変化とから、日射計200の測定性能の低下状態を推定する。
【0072】
そして、性能低下状態推定部140は、推定した日射計200の測定性能の低下状態を、記憶部150に記憶されている推定用データ151に書き込む。なお、この性能低下状態推定部140が日射計200の測定性能の低下状態を推定する処理の詳細な説明については、後述する。
【0073】
以上により、日射計性能低下状態推定装置100が行う処理(日射計性能低下状態推定方法)は、終了する。
【0074】
次に、日射強度抽出部120が日射強度データを抽出する処理(
図3のS104)について、詳細に説明する。
【0075】
図5は、本発明の実施の形態に係る日射強度抽出部120が日射強度データを抽出する処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
同図に示すように、まず、日射強度抽出部120は、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データを、k−means法によって複数のグループに分類する(S302)。この日射強度抽出部120が複数の日射強度データをk−means法によって複数のグループに分類する処理について、
図6〜
図8を用いて、詳細に説明する。
【0077】
まず、日射強度抽出部120が、日射強度取得部110が取得した複数の期間における複数の日射強度データを、日射強度データの大きさ及び変動の大きさごとに仕分ける処理について、詳細に説明する。
【0078】
図6及び
図7は、本発明の実施の形態に係る日射強度抽出部120が複数の日射強度データを日射強度データの大きさ及び変動の大きさごとに仕分ける処理を説明する図である。
【0079】
ここで、本実施の形態では、当該日射強度データの大きさとして、日射強度データの日平均値を用い、日射強度データの変動の大きさとして、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値を用いている。また、日射強度データは、日射計200が測定した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して得られた値である。
【0080】
つまり、
図6の(a)及び(b)に示すように、日射強度抽出部120は、日射強度取得部110が日射強度の時系列データを晴天指数に変換した値を、日射強度データとして取得している。
【0081】
そして、日射強度抽出部120は、取得した日射強度データの日平均値を算出する。例えば、日照が存在する8時から16時までを分析対象時間として、日射強度抽出部120は、
図6の(b)における晴天指数の8時から16時までの平均値を算出し、当該日射強度データの日平均値とする。
【0082】
また、
図6の(c)に示すように、日射強度抽出部120は、日射強度データのパワースペクトル密度(PSD:Power Spectral Density)の所定周期における積分値を算出する。例えば、対象周期を2sec〜600secとして、日射強度抽出部120は、晴天指数のパワースペクトル密度の対象周期2sec〜600secにおける積分値を算出し、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値とする。なお、当該パワースペクトル密度の所定周期における積分値は、台形公式を用いて簡易的に算出してもよい。
【0083】
そして、
図6の(d)に示すように、日射強度抽出部120は、日射強度を測定したそれぞれの日について、算出した日射強度データの日平均値(晴天指数の日平均値)と、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値(以下、晴天指数のパワーともいう)とを、グラフにプロットする。
【0084】
なお、
図7には、2012年の各日において、対象周期2sec〜600secのパワースペクトル密度を示している。日射強度抽出部120は、同図に示されたように各周期におけるパワースペクトル密度を算出することで、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値(晴天指数のパワー)を算出することができる。
【0085】
次に、日射強度抽出部120は、k−means法を用いるなどにより、仕分けした複数の日射強度データを複数のグループに分類する。
【0086】
図8は、本発明の実施の形態に係る日射強度抽出部120が複数の日射強度データをk−means法によって複数のグループに分類する処理を説明する図である。
【0087】
同図に示すように、まず、日射強度抽出部120は、晴天指数の日平均値が低く、明らかに曇天であると思われる日の日射強度データについては、カテゴリ1に分類する。そして、日射強度抽出部120は、残った日の日射強度データについて、k−means法を用いて複数のグループ(カテゴリ)に分類する。
【0088】
ここで、k−means法(k平均法)とは、以下の手法である。つまり、複数個の要素の中から初期中心をk個ランダムに設定し、各要素を距離が最も近い中心と紐付けしてk個のグループに分類する。そして、紐付けられた各グループの中心(重心)を計算して、新たな中心を求める。そして、新たな中心について再分類を行い、収束するまで(中心に変化がなくなるまで)これらの操作を繰り返す。そして、中心が収束したときの各グループが、最終的な分類結果となる。
【0089】
本実施の形態では、日射強度抽出部120は、k=2として、カテゴリ1に分類されなかった日の日射強度データを、2つのグループ(カテゴリ)に分類する。具体的には、日射強度抽出部120は、晴天指数のパワーが小さいグループをカテゴリ2と分類し、晴天指数のパワーが大きいグループをカテゴリ3と分類する。なお、本実施の形態では、周期ごとのパワースペクトル密度の値をn次元(今回は、14353次元)の値と考え、k−means法を適用している。
【0090】
図5に戻り、次に、日射強度抽出部120は、k−means法によって分類された複数のグループにおいて、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定する(S304)。
【0091】
つまり、日射強度抽出部120がk−means法によって分類した
図8のグラフでは、晴天指数のパワーが0.006付近で、カテゴリ2とカテゴリ3とが混在して分布している。このため、日射強度抽出部120は、エントロピーを算出することで、カテゴリ2とカテゴリ3との境界となる晴天指数のパワーの値を決定する。この日射強度抽出部120がエントロピーを算出して2つのグループ間の境界を決定する処理について、
図9を用いて、詳細に説明する。
【0092】
図9は、本発明の実施の形態に係る日射強度抽出部120がエントロピーを算出して2つのグループ間の境界を決定する処理を説明する図である。
【0093】
まず、日射強度抽出部120は、晴天指数のパワーの値を変化させて、カテゴリ2とカテゴリ3とのプロット数から、エントロピーを算出していく。以下に、エントロピーの算出方法について、説明する。
【0094】
まず、次の4つの確率を定義する。ある境界線によりカテゴリ1に分類されるものが、k−means法によりカテゴリAにクラスタリングされる確率をP
1Aと定義する。また、ある境界線によりカテゴリ1に分類されるものが、k−means法によりカテゴリBにクラスタリングされる確率をP
1Bと定義する。また、ある境界線によりカテゴリ2に分類されるものが、k−means法によりカテゴリAにクラスタリングされる確率をP
2Aと定義する。また、ある境界線によりカテゴリ2に分類されるものが、k−means法によりカテゴリBにクラスタリングされる確率をP
2Bと定義する。
【0095】
次に、これらの確率により、エントロピーEを次式で定義する。
【0096】
E=−P
1AlogP
1A−P
1BlogP
1B−P
2AlogP
2A−P
2BlogP
2B
【0097】
例えば、同図の(a)に示すように、所定の晴天指数のパワーの値に対して、下側が3つのプロットのうちカテゴリ2が2つでカテゴリ3が1つ、上側が5つのプロットのうちカテゴリ2が1つでカテゴリ3が4つの場合、日射強度抽出部120は、当該所定の晴天指数のパワーの値におけるエントロピーE=0.494と算出する。つまり、日射強度抽出部120は、P
1A=2/3、P
1B=1/3、P
2A=1/5、P
2B=4/5として、これらを上記の数式に代入して、エントロピーE=0.494と算出する。なお、上記の数式におけるカテゴリ1及び2は、同図の(a)における下側のカテゴリ及び上側のカテゴリに対応し、また、上記の数式におけるカテゴリA及びBは、同図の(a)におけるカテゴリ2及び3に対応している。
【0098】
このようにして、同図の(b)に示すように、日射強度抽出部120は、例えば晴天指数のパワーの値を0〜0.022の間において0.00001ずつ変化させて、各晴天指数のパワーの値におけるエントロピーを算出する。そして、日射強度抽出部120は、エントロピーが最小となる場合の晴天指数のパワーの値を探索し、当該値をカテゴリ2とカテゴリ3との間の境界と決定する。
【0099】
本実施の形態では、日射強度抽出部120は、晴天指数のパワーが0.0062のときにエントロピーが最小となるため、カテゴリ2とカテゴリ3との間の境界は、0.0062と決定する。
【0100】
図5に戻り、次に、日射強度抽出部120は、複数のグループを再分類する(S306)。
【0101】
具体的には、
図10に示すように、日射強度抽出部120は、決定した境界(晴天指数のパワーが0.0062)でカテゴリ2とカテゴリ3とを分けることで、カテゴリ2とカテゴリ3とを再分類する。
図10は、本発明の実施の形態に係る日射強度抽出部120が複数のグループを再分類する処理を説明する図である。
【0102】
これにより、カテゴリ1には、曇天(雨天)日が分類され、カテゴリ2には、雲が多くても日射強度の変動が小さい日が分類され、カテゴリ3には、日射強度の変動が非常に大きい日が分類される。
【0103】
図5に戻り、次に、日射強度抽出部120は、再分類された同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する(S308)。
【0104】
具体的には、日射強度抽出部120は、例えば、
図10に示されたカテゴリ2内の類似日(近い2つの点)における日射強度データを抽出する。つまり、この場合の対応する2つの期間とは、晴天指数の日平均値及びパワーが類似する2つの日をいう。例えば、当該2つの期間は、同じ天候(例えば、快晴)の2つの日である。
【0105】
なお、
図10に示されたグラフは、1年間において日単位でプロットしたものであるが、プロット期間は1年間には限定されず、例えば数ヶ月間や複数年間などであってもかまわない。また、日単位でプロットすることにも限定されず、数時間単位または月単位などであってもかまわない。
【0106】
また、
図10に示された1年分のグラフを2年間分作成し、各グラフにおけるカテゴリ1〜3に分類される日すべての日射強度データを平均化処理後、2年間の同じカテゴリの日射強度データを抽出することにしてもよい。つまり、この場合の対応する2つの期間とは、晴天指数の日平均値及びパワーが類似する2つのカテゴリ(複数日からなるグループ)をいう。
【0107】
以上により、日射強度抽出部120が日射強度データを抽出する処理(
図3のS104)は、終了する。
【0108】
次に、分解成分取得部130がトレンド成分と残差成分とを取得する処理(
図3のS106)について、詳細に説明する。
【0109】
図11は、本発明の実施の形態に係る分解成分取得部130がトレンド成分と残差成分とを取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
同図に示すように、分解成分取得部130は、日射強度抽出部120が抽出した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを、トレンド成分と残差成分とに分解する(S402)。ここで、分解成分取得部130が日射強度データをトレンド成分と残差成分とに分解する処理について、詳細に説明する。
【0111】
図12及び
図13は、本発明の実施の形態に係る分解成分取得部130がトレンド成分と残差成分とを分離する処理を説明する図である。
【0112】
これらの図に示すように、分解成分取得部130は、当該2つの期間のそれぞれにおいて、日射強度データAを、トレンド成分Bと残差成分Cとに分解する。なお、
図12では、分解する状態を分かりやすく説明するために、日射強度を分解している図を示しているが、本実施の形態では、晴天指数を分解するため、
図13では、晴天指数を分解する図を示している。
【0113】
具体的には、
図13に示すように、分解成分取得部130は、日射強度データAの波形を多項式モデルに当てはめることにより、トレンド成分Bの波形を算出する。つまり、分解成分取得部130は、晴天指数(日射強度データA)のグラフを、多項式(L次関数)に近似して、近似した多項式をトレンド成分Bとする。
【0114】
また、分解成分取得部130は、晴天指数(日射強度データA)からトレンド成分Bを差し引いて、残差成分Cを算出する。
【0115】
そして、
図11に戻り、分解成分取得部130は、日射強度抽出部120が抽出した同一グループ内の対応する2つの期間のそれぞれにおいて、日射強度データのトレンド成分を取得する(S404)。つまり、分解成分取得部130は、当該2つの期間のそれぞれにおける、
図13に示されたトレンド成分Bを取得する。
【0116】
また、
図11に戻り、分解成分取得部130は、日射強度抽出部120が抽出した同一グループ内の対応する2つの期間のそれぞれにおいて、日射強度データの残差成分を取得する(S406)。つまり、分解成分取得部130は、当該2つの期間のそれぞれにおける、
図13に示された残差成分Cを取得する。
【0117】
以上により、分解成分取得部130がトレンド成分と残差成分とを取得する処理(
図3のS106)は、終了する。
【0118】
次に、性能低下状態推定部140が日射計200の測定性能の低下状態を推定する処理(
図3のS108)について、詳細に説明する。
【0119】
図14は、本発明の実施の形態に係る性能低下状態推定部140が日射計200の測定性能の低下状態を推定する処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
同図に示すように、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した対応する2つの期間におけるトレンド成分を比較することにより、日射計200の感度性能の低下状態を推定する(S502)。この性能低下状態推定部140が日射計200の感度性能の低下状態を推定する処理について、以下に詳細に説明する。
【0121】
図15は、本発明の実施の形態に係る性能低下状態推定部140が日射計200の感度性能の低下状態を推定する処理を説明する図である。
【0122】
同図に示すように、対応する2つの期間におけるトレンド成分が、トレンド成分B1から、トレンド成分B2(またはトレンド成分B3)に変化したとする。つまり、トレンド成分は、日射計200への入力信号に対する出力信号の大きさを評価する指標であるため、当該入力信号に対する当該出力信号の大きさが劣化や故障などの測定性能の低下によって変化したことを示している。
【0123】
この場合、性能低下状態推定部140は、対応する2つの期間におけるトレンド成分であるトレンド成分B1とトレンド成分B2(またはトレンド成分B3)とを比較することにより、日射計200の感度性能の低下状態を推定する。例えば、性能低下状態推定部140は、トレンド成分B1とトレンド成分B2(またはトレンド成分B3)との差が所定の値を超えた場合に、日射計200の感度性能が低下(劣化、または故障)していると判断する。
【0124】
また、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した対応する2つの期間における残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することにより、日射計200の応答性能の低下状態を推定する(S504)。この性能低下状態推定部140が日射計200の応答性能の低下状態を推定する処理について、以下に詳細に説明する。
【0125】
図16及び
図17は、本発明の実施の形態に係る性能低下状態推定部140が日射計200の応答性能の低下状態を推定する処理を説明する図である。
【0126】
まず、
図16の(a)に示すように、性能低下状態推定部140は、分解成分取得部130が取得した残差成分に、同図中の数式で示される自己回帰(AR:Auto Regressive)モデルを当てはめて、自己回帰係数a
iを算出する。なお、当該数式中のv
nは、白色雑音を示している。
【0127】
そして、
図16の(b)に示すように、性能低下状態推定部140は、自己回帰係数a
iからインパルス応答g
nを求める。さらに、
図16の(c)に示すように、性能低下状態推定部140は、インパルス応答g
nを積分することで、ステップ応答を求める。
【0128】
そして、このようにして得られたステップ応答が、
図17に示すように、ステップ応答C1からステップ応答C2(またはステップ応答C3)に変化したとする。つまり、残差成分は、日射計200にステップ信号を入力した際の出力信号の遅延時間を評価する指標であるため、当該遅延時間が劣化や故障などの測定性能の低下によって変化したことを示している。
【0129】
この場合、性能低下状態推定部140は、対応する2つの期間における残差成分から得られたステップ応答であるステップ応答C1とステップ応答C2(またはステップ応答C3)との時定数Tを比較することにより、日射計200の応答性能の低下状態を推定する。例えば、性能低下状態推定部140は、ステップ応答C1の時定数とステップ応答C2(またはステップ応答C3)の時定数との差が所定の値を超えた場合に、日射計200の応答性能が低下(劣化、または故障)していると判断する。
【0130】
以上により、性能低下状態推定部140が日射計200の測定性能の低下状態を推定する処理(
図3のS108)は、終了する。
【0131】
以上のように、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置100によれば、日射計200から得られる日射強度データを、多項式で示されるトレンド成分と、日射強度データからトレンド成分を差し引いた残差成分とに分解し、当該トレンド成分の変化と当該残差成分の変化とから、日射計200の測定性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、日射計200が測定した日射強度データを、当該トレンド成分と当該残差成分とに分解して、各成分の変化を評価することで、簡易に日射計200の測定性能の低下状態を推定することができることを見出した。つまり、日射強度データを多項式モデルに当てはめることでトレンド成分を生成し、日射強度データからトレンド成分を差し引くことで残差成分を生成することができるため、日射強度データを、取り扱いが容易な2つの成分に簡易に分解することができる。これにより、日射計性能低下状態推定装置100によれば、日射計200の測定性能の低下状態を推定することができる。
【0132】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、日射計200が測定した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して得られる値を、日射強度データとして取得する。ここで、太陽光から入力される日射強度は、時期(季節)、時刻、場所(緯度、経度)などで大きく異なる。このため、日射計性能低下状態推定装置100は、日射計200が測定した日射強度を晴天指数に変換して規格化することで、当該日射強度を等価的に扱うことができる。
【0133】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、複数の期間における複数の日射強度データのうちの対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間におけるトレンド成分を取得して比較することにより、日射計200の感度性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、日射強度データのトレンド成分の変化から、日射計200の感度性能の低下状態を推定することができることを見出した。つまり、当該トレンド成分は、日射計200への入力信号に対する出力信号の大きさを評価する指標となっている。これにより、日射計性能低下状態推定装置100によれば、対応する2つの期間における日射強度データのトレンド成分を比較することで、日射計200の感度性能の低下状態を簡易に推定することができる。
【0134】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、複数の期間における複数の日射強度データのうちの対応する2つの期間における日射強度データから、当該2つの期間における残差成分を取得して、当該残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することにより、日射計200の応答性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、日射強度データの残差成分から得られるステップ応答の時定数の変化から、日射計200の応答性能の低下状態を推定することができることを見出した。つまり、当該残差成分は、日射計200にステップ信号を入力した際の出力信号の遅延時間を評価する指標となっている。これにより、日射計性能低下状態推定装置100によれば、対応する2つの期間における日射強度データの残差成分から得られるステップ応答の時定数を比較することで、日射計200の応答性能の低下状態を簡易に推定することができる。
【0135】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、k−means法によって日射強度データを複数のグループに分類して、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出し、当該2つの期間における日射強度データのトレンド成分の変化と残差成分の変化とから、日射計200の測定性能の低下状態を推定する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、k−means法を用いることで、日射強度データを、比較対象となり得る同じような条件(統計的特徴)をもつグループに精度良く分類することができることを見出した。このため、日射計性能低下状態推定装置100によれば、k−means法によって分類した同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データのトレンド成分及び残差成分の変化から、日射計200の測定性能の低下状態を精度良く推定することができる。なお、この方法を用いることで、自然の太陽光を、雲等による太陽光の変動を意識することなく、入力光(試験光)として利用できるようになるため、日射計に試験光を入力するための現地作業が不要となる。
【0136】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、k−means法によって分類された2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、複数のグループを再分類して、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する。ここで、本願発明者は、鋭意研究と検討の結果、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、グループの分類の精度を向上させることができることを見出した。このため、日射計性能低下状態推定装置100によれば、当該エントロピーを算出してグループを再分類することにより、日射計200の測定性能の低下状態を精度良く推定することができる。
【0137】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、日射強度データの大きさと日射強度データの変動の大きさとで、日射強度データを複数のグループに分類する。このため、日射計性能低下状態推定装置100によれば、日射強度データを複数のグループに簡易に分類することができるため、日射計200の測定性能の低下状態を簡易に推定することができる。
【0138】
また、日射計性能低下状態推定装置100は、日射強度データの日平均値と、日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値とで、日射強度データを複数のグループに分類する。このため、日射計性能低下状態推定装置100によれば、日射強度データを複数のグループに精度良く分類することができるため、日射計200の測定性能の低下状態を精度良く推定することができる。
【0139】
なお、本発明は、このような日射計性能低下状態推定装置100として実現することができるだけでなく、日射計200と、日射計200の測定性能の低下状態を推定する日射計性能低下状態推定装置100とを備える日射計性能低下状態推定システム10としても実現することができる。
【0140】
また、本発明は、日射計性能低下状態推定装置100に含まれる処理部が行う特徴的な処理をステップとする日射計性能低下状態推定方法としても実現することができる。また、当該日射計性能低下状態推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムや集積回路として実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0141】
以上、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置100及び日射計性能低下状態推定システム10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0142】
つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0143】
例えば、上記実施の形態では、日射計性能低下状態推定装置100は、日射強度取得部110と、日射強度抽出部120と、分解成分取得部130と、性能低下状態推定部140と、記憶部150とを備えていることとした。しかし、
図18に示すように、日射計性能低下状態推定装置101は、日射強度取得部110と、分解成分取得部130と、性能低下状態推定部140とを備えていればよく、日射強度抽出部120と記憶部150とは備えていない構成でもかまわない。
図18は、本発明の実施の形態に係る日射計性能低下状態推定装置の最小構成を示すブロック図である。
【0144】
この場合、日射計性能低下状態推定装置101は、例えば外部の記憶部150と情報をやりとりして、日射計200の測定性能の低下状態を推定する。具体的には、日射強度取得部110が日射強度データを取得し、分解成分取得部130が、当該日射強度データをトレンド成分と残差成分とに分解することでトレンド成分と残差成分とを取得し、性能低下状態推定部140が、トレンド成分の変化と残差成分の変化とから、日射計の測定性能の低下状態を推定する。
【0145】
また、上記実施の形態では、日射強度取得部110は、日射計200が測定した日射強度の時系列データそれぞれを晴天指数に変換して得られる値を、日射強度データとして取得することとした。しかし、日射強度取得部110は、日射計200が測定した日射強度の時系列データそれぞれを、日射強度データとして取得することにしてもよい。
【0146】
また、上述した日射強度抽出部120が同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する処理(
図5のS308)において、
図10に示したような当該対応する2つの期間(類似日)の分類には、どのような日射計の情報を用いてもかまわない。つまり、当該分類に用いる日射計の情報として、評価対象となる日射計の情報の他に、評価対象となる日射計とは異なる日射計の情報を用いることが考えられる。
【0147】
ここで、評価対象となる日射計の情報を用いて上記の分類を行うと、当該日射計の測定性能が低下している場合には不具合が生じる可能性があるため、評価対象となる日射計とは異なる日射計の情報を用いるのが好ましい。
【0148】
具体的には、当該分類に用いる日射計の情報としては、気象官署に設置されており、正確に校正されている日射計の情報を利用するのが好ましい。なお、日射計が存在する気象官署は数が非常に少ないため、周辺の日射計の平均値を用いるなど、他の日射計の情報を用いてもかまわない。
【0149】
つまり、日射強度取得部110は、評価対象となる日射計、及び、当該評価対象となる日射計とは異なる日射計(すなわち、評価対象となる日射計を含む複数の日射計)が測定した日射強度の時系列データを示す日射強度データを取得する。
【0150】
そして、日射強度抽出部120は、評価対象となる日射計とは異なる日射計から取得された複数の期間における複数の日射強度データを用いて、k−means法によって複数のグループに分類する。具体的には、日射強度抽出部120は、評価対象となる日射計とは異なる日射計から取得された複数の期間における複数の日射強度データを、日射強度データの大きさ(日射強度データの日平均値)と日射強度データの変動の大きさ(日射強度データのパワースペクトル密度の所定周期における積分値)とで、複数のグループに分類する。また、日射強度抽出部120は、k−means法によって分類された複数のグループにおいて、2つのグループ間でエントロピーを算出して当該2つのグループ間の境界を決定することにより、複数のグループを再分類する。
【0151】
そして、日射強度抽出部120は、評価対象となる日射計から取得された複数の期間における複数の日射強度データを、上記の複数のグループ(再分類された複数のグループ)に分類して、同一グループ内の対応する2つの期間における日射強度データを抽出する。
【0152】
分解成分取得部は、当該2つの期間における日射強度データ(評価対象となる日射計から取得された日射強度データ)をトレンド成分と残差成分とに分解することで、当該2つの期間におけるトレンド成分と残差成分とを取得する。
【0153】
なお、例えば、快晴日を分類する場合等であれば、評価対象となる日射計の情報を利用しても、不具合が生じる可能性は少ないと考えられる。
【0154】
また、本実施の形態では、測定性能の低下状態の推定は、評価対象となる日射計の過去の値と現在(または現在と近い時期)の値とを比較することとした。しかし、評価対象となる日射計の値と、周辺の日射計の値との比較で、評価対象となる日射計の測定性能の低下状態の推定を行うことにしてもかまわない。
【0155】
つまり、性能低下状態推定部140は、評価対象となる日射計のトレンド成分及び残差成分の、周辺の日射計におけるトレンド成分及び残差成分からの変化(差分)から、評価対象となる日射計の測定性能の低下状態を推定することにしてもよい。この場合、性能低下状態推定部140は、当該トレンド成分の変化量(差分量)から、評価対象となる日射計の感度性能の低下状態を推定し、当該残差成分から得られるステップ応答の時定数の変化量(差分量)から、評価対象となる日射計の応答性能の低下状態を推定する。
【0156】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。