特許第6355506号(P6355506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355506
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/14 20060101AFI20180702BHJP
   E02D 7/20 20060101ALI20180702BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   E02D7/14
   E02D7/20
   E02D13/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-200697(P2014-200697)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69937(P2016-69937A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−142832(JP,A)
【文献】 特開2002−220832(JP,A)
【文献】 特開平08−121072(JP,A)
【文献】 特開昭55−075021(JP,A)
【文献】 米国特許第04301874(US,A)
【文献】 特開平06−240673(JP,A)
【文献】 特開昭55−055723(JP,A)
【文献】 実開昭58−010941(JP,U)
【文献】 特開2003−074058(JP,A)
【文献】 実開平04−134544(JP,U)
【文献】 特開2006−299742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00
E02D 7/10
E02D 7/14
E02D 7/20
E02D 13/00
E21B 17/10
E21B 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部に立設したリーダと、
該リーダに沿って昇降可能に設けられる作業装置と、
該作業装置に把持されるロッドと、
該作業装置がロッドを掴み替えする際にロッドを固定するための下部チャックと
を備えた杭打機において、
前記下部チャックは、
前記リーダに設けたブラケットに開閉可能に取り付けられた開閉フレームと、
該開閉フレーム内を油圧シリンダによって摺動可能に設けられた一対のガイド部材と、
該一対のガイド部材の対向面にそれぞれ取り付けられたチャック部材と
を備え、
前記ガイド部材は上下方向に貫通するボルト挿通孔を備え、
前記チャック部材は、前記ガイド部材側に突出する上部突出片を備え、
前記チャック部材は、前記上部突出片に設けたボルト挿通孔から前記ガイド部材のボルト挿通孔に挿通され、前記ガイド部材の下部側に設けられたナット部材に締結される取付ボルトにて前記ガイド部材に取り付けられることを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記チャック部材は、下部突出片を備え、前記ガイド部材の上面と前記ナット部材の下面とを前記上部突出片と前記下部突出片とで挟持していることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、リーダに沿って昇降可能な作業装置がロッドを掴み替えする際にロッドを固定するための下部チャックを備えた杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
杭打機による地盤改良においては、ベースマシンの前部に立設したリーダに沿って昇降可能なオーガ等の作業装置を装着し、そのオーガに把持させたロッドを回転させながら押し下げ、ロッド先端に設けた掘削具と撹拌具とにより、掘削しながら地盤改良剤が注入され、地盤改良がおこなわれる。より深く地盤改良するためには、ロッドを把持したオーガがリーダの下端部に到達したときに、ロッドの把持を解除して、オーガをリーダに沿って上昇させて、ロッドの掴み替えが行われる。この際、ロッドを固定しないと、ロッドが自重によって沈み込んでしまうため、リーダの下部側に設けられた下部チャックにより固定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1をはじめとする従来の下部チャックは、ガイド部材に取り付けられたチャック部材によってロッドを把持し、油圧シリンダの操作によってガイド部材を動かすことで、ロッドの把持状態と解除状態とを切り替える構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−36213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のチャック部材は、タップ加工されたガイド部材のネジ穴に対してボルト止めされているため、オーガがロッドを掴み替えた際に、操作ミス等により下部チャックがロッドを把持したまま、ロッドを回転させたり昇降させたりすると、ボルトに荷重がかかり折損するおそれがあった。万が一、ボルトが折損した場合には、ボルトを取り外すか、折損したボルトがガイド部材に残ってしまう場合にはガイド部材ごと交換する必要があり、大掛かりな補修を要するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、下部チャックの操作ミスがあったとしても、折損したボルトを容易に補修することができる下部チャックを備えた杭打機を提供することを目的としている。また、ガイド部材に取り付けるボルトの折損が起こりにくい下部チャックを備えた杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、ベースマシンの前部に立設したリーダと、該リーダに沿って昇降可能に設けられる作業装置と、該作業装置に把持されるロッドと、該作業装置がロッドを掴み替えする際にロッドを固定するための下部チャックとを備えた杭打機において、前記下部チャックは、前記リーダに設けたブラケットに開閉可能に取り付けられた開閉フレームと、該開閉フレーム内を油圧シリンダによって摺動可能に設けられた一対のガイド部材と、該一対のガイド部材の対向面にそれぞれ取り付けられたチャック部材とを備え、前記ガイド部材は上下方向に貫通するボルト挿通孔を備え、前記チャック部材は、前記ガイド部材側に突出する上部突出片を備え、前記チャック部材は、前記上部突出片に設けたボルト挿通孔から前記ガイド部材のボルト挿通孔に挿通され、前記ガイド部材の下部側に設けられたナット部材に締結される取付ボルトにて前記ガイド部材に取り付けられることを特徴としている。
【0008】
また、前記チャック部材は、下部突出片を備え、前記ガイド部材の上面と前記ナット部材の下面とを前記上部突出片と前記下部突出片とで挟持していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の杭打機によれば、ガイド部材に設けられたボルト挿通孔が上下方向に貫通しているので、ボルトが折損したとしても、折損したボルトが取り出しやすく、ボルトとナット部材のみを交換すればよいため、補修が容易にできる。また、チャック部材の上部突出片と下部突出片とで、ガイド部材の上面とナット部材の下面とを挟持していることから、上下方向の荷重を上部突出片と下部突出片とで受けることができるので、ボルトの折損自体が生じにくい。さらに、ナット部材をガイド部材とチャック部材とで挟んでいるため、ナット部材の回り止めとなり、スパナ等の工具が不要で組付け性も高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態例を示す杭打機の下部チャックの平面図である。
図2】同じく下部チャックの要部拡大図である。
図3図2のIII−III断面図である。
図4】本発明の一形態例を示す杭打機の側面図である。
図5】同じく杭打機の地盤改良状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図5は、本発明の杭打機の一形態を示すものである。図4に示すように杭打機1は、下部走行体2aと該下部走行体2aの上部に旋回可能に設けられた上部旋回体2bとからなるベースマシン2と、該ベースマシン2の前部に起伏可能に設けられたリーダ3と、該リーダ3を後方から支持するバックステー4とを備えている。前記リーダ3には、各種作業装置、例えば本形態例ではオーガ5が、リーダ3の長手方向に沿って設けられた左右一対のガイドパイプ3aに、ガイドギブ5aを介して連結されるとともに、リーダ3の長手方向に掛け渡したチェーン3bによって昇降可能に設けられている。
【0012】
ロッド6は、内部軸方向に地盤改良剤の注入孔を有するパイプ状のものであり、断面円形の丸軸部6aと、オーガ5等に把持させるための断面多角形状の角形軸部6bとを有するものである。また、ロッド6の下端に掘削具7と撹拌具8とが設けられている。
【0013】
また、ロッド6の上端には、注入ホース9からロッド6内の注入孔に地盤改良剤を導入するスイベルジョイント10が設けられ、該スイベルジョイント10のつれ回りを防止する回り止めロッド11の一端がオーガ5に固設され、他端がロッド6の上端に設けられた取付部材に取り付けられている。
【0014】
杭打機1による地盤改良では、オーガ5に把持させたロッド6を回転させながら押し下げ、掘削具7で掘削しながら、地盤改良剤を注入し、撹拌具8で撹拌しながら地盤改良が行われる。リーダの下端部には、回転駆動時のロッド6の振れを防止して鉛直性を確保するための下部振れ止め12が設けられている。
【0015】
図5に示されるように、ロッド6を把持したオーガ5がリーダ3の下端部に到達したときに、より深く掘り進めるには、ロッド6の把持を解除したオーガ5を上昇させて、上側の角形軸部6bを把持し直すいわゆるロッドの掴み替えが行われる。この際、ロッド6が自重によって沈み込まないように、ロッド6を固定するための下部チャック13が、下部振れ止め12の上部に設けられている。
【0016】
下部チャック13は、リーダ3に固定させるためのブラケット14に一対の開閉フレーム15,16が一方で回転ピン17,18に軸支され、閉じた状態で他方に固定ピン19が挿入されて一体となるように構成されている。開閉フレーム15,16は、互いに内側が開口した箱型状に形成されたものであり、突き合わされた状態(閉じた状態)でロッド6が挿通可能な円形になるように底面側の内側開口部には略半円状の切り欠き15a,16aが形成されている。
【0017】
また、開閉フレーム15,16の天面側の内側開口部には、突き合わされた状態で六角形状となるような切り欠き15b、16bが形成されている。切り欠き15b、16bによって形成される六角形状の挿通孔は、切り欠き15a,16aで形成される円形の挿通孔の直径よりも、杭打機1の幅方向の大きさ(六角形の対角距離)は大きく形成され、杭打機1の前後方向の大きさ(六角形の二面幅)は小さく形成される。
【0018】
開閉フレーム15,16の内部には、それぞれガイド部材20,21が、ロッド6に対して直交方向に摺動可能に挿入され、開閉フレーム15,16に固定された油圧シリンダ22,23のピストンロッド24に連結される。
【0019】
ガイド部材20,21の対向面は、前記切り欠き15b、16bに対応した形状となっており、ロッド6を把持するチャック部材25を取り付けるための突出部26が形成されている。チャック部材25は、平板状の部材であり、ロッド6の丸軸部6aを把持するために、ガイド部材20,21にそれぞれ2枚ずつ取り付けられる。
【0020】
ガイド部材20,21の突出部26の高さ寸法は、ガイド部20,21の本体部の高さ寸法よりも小さく、ガイド部材20,21の上面と下面に段部を形成している。また、突出部26には、1つのチャック部材25につき、上下方向に貫通するボルト挿通孔26aが2つ形成されている。
【0021】
チャック部材25のロッド6側の面には、ロッドを把持するための凹凸面25aが形成されている。また、凹凸面25aの反対側面の上部側には、ガイド部材20,21側に突出し、突出部26の上面に係止する上部突出片25bが形成され、突出部26のボルト挿通孔26aに対応してボルト挿通孔25cが形成されている。
【0022】
突出部26の下面側には、板状のナット部材27が設けられている。ナット部材27には、突出部26のボルト挿通孔26aに対応する雌ネジ部27aが形成されている。
【0023】
上部突出片25bのボルト挿通孔25c、突出部26のボルト挿通孔26a、ナット部材27の雌ネジ部27aに挿入される取付ボルト28は、ボルト挿通孔25c及びボルト挿通孔26より大径の六角柱状の頭部28aと、ボルト挿通孔25c及びボルト挿通孔26より小径の円柱状の軸部28bとを備えている。軸部28bは、先端部に雌ネジ部27aに螺合する雄ネジ加工が施されている。また、軸部28bの長さは、上部突出片25b、突出部26、ナット部材27の高さ寸法の合計と略等しい。
【0024】
また、チャック部材25の下端には、突出部26の上面とナット部材27の下面とを上部突出片25bとで挟持するように下部突出片25dが設けられている。
【0025】
下部チャック13によるロッド6の把持は、油圧シリンダ22,23を作動させ、ピストンロッド24,24を伸ばし、ガイド部材20,21が開閉フレーム15,16内をロッド6側に移動するように摺動し、チャック部材25の凹凸面25aがロッド6の丸軸部6aに押し当てられることで行われる。また、把持状態の解除は、ピストンロッド24,24が縮められ、ガイド部材20,21が後退することにより行われる。油圧シリンダ22,23については、上部旋回体2bに設けられた運転台2cから操作することができる。
【0026】
このように、チャック部材25の上部突出片25bと下部突出片25dとで、ガイド部材20,21の突出部26の上面とナット部材27の下面とを挟持していることから、操作ミス等によりロッド6を把持したままオーガ5を昇降させても、上下方向の荷重が上部突出片25bと下部突出片25dとで受けられることができるので、取付ボルト28の折損自体が生じにくい。
【0027】
また、チャック部材25をガイド部材20,21に組み付ける際には、ナット部材27の下面を下部突出片25dで支持しながら、突出部26に対してチャック部材25を水平方向に移動するようにしてはめ込み、上側から取付ボルト28を挿入して締め付ければよい。取付ボルト28を締めつける際には、ナット部材27がガイド部材20,21の段部とチャック部材25とで挟まれているため、回り止めとなり、スパナ等の工具を下側からいれる必要がなく、組付け性も高い。
【0028】
さらに、万が一、偏荷重等により取付ボルト28が折損したとしても、取付ボルト28の折損した上側部分を、上部突出片25b側から取り出し、チャック部材25を水平方向に移動させることで、取付ボルト28の折損した下側部分を螺合したままのナット部材27を下側から容易に取り出すことができる。また、補修するためには、折損した取付ボルト28とナット部材27のみを交換すればよい。
【0029】
本形態例では、下部チャック13とは別に下部振れ止め12を設けているが、下部チャックは下部振れ止め機能を兼用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…杭打機、2…ベースマシン、2a…下部走行体、2b…上部旋回体、3…リーダ、3a…ガイドパイプ、3b…チェーン、4…バックステー、5…オーガ、5a…ガイドギブ、6…ロッド、6a…丸軸部、6b…角形軸部、7…掘削具、8…撹拌具、9…注入ホース、10…スイベルジョイント、11…回り止めロッド、12…下部振れ止め、13…下部チャック、14…ブラケット、15,16…開閉フレーム,15a,15b,16a,16b…切り欠き,17,18…回転ピン、19…固定ピン、20,21…ガイド部材、22,23…油圧シリンダ、24…ピストンロッド、25…チャック部材、25a…凹凸面、25b…上部突出片、25c,26a…ボルト挿通孔、25d…下部突出片、26…突出部、27…ナット部材、27a…雌ネジ部、28…取付ボルト、28a…頭部、28b…軸部
図1
図2
図3
図4
図5