(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る無段変速装置30は、田畑を自走しながら稲や麦の刈取り脱穀をするいわゆる自脱型のコンバインに備えられている。
【0025】
以下の説明において、「前方」、「後方」、「前面」、「背面」、「右」、「左」など相対的な方向を伴う文言は基本的にコンバインの進行方向を基準とする。なお、図の紙面における右や左を指すときは「紙面右」や「紙面左」という。
すなわち、
図1であれば、コンバインの進行方向が紙面左方向であるため、「前方」や「前面」とは紙面左の方向や面であり、「後方」や「背面」とは紙面右の方向や面であり、「右」とは紙面奥側であり、「左」とは紙面手前側である。
【0026】
(コンバイン)
このコンバインは、走行機体の機体フレーム1の、前部右領域に運転部3を備え、前部左領域に刈取部4を備え、後部左領域に脱穀装置5を備え、後部右領域に穀粒タンク6を備え、下部に左右一対のクローラ式の走行装置2を備えている。
【0027】
(運転部)
運転部3は、コンバインを操作するための部分であって、作業員が搭乗する運転キャビン3a内に、
図3に示すように、座席支持台3cに支持された運転座席3bや、床部3dに設置された該コンバインを操作するための図示しない操作装置などが備えられている。
【0028】
(刈取部)
図1及び
図2に示すように、刈取部4は、バリカン型の刈取装置14による植立穀稈の刈取り、及び搬送装置15による刈取穀稈の脱穀装置5への搬送を行なう部分である。刈取部4は、機体フレーム1の前端部に備えられた刈取部フレーム10の前端部に左右方向に沿って複数のデバイダ12が並設され、複数のデバイダ12の後方に引起装置13が配設され、引起装置13の後方で刈取部フレーム10にバリカン型の刈取装置14が配設され、刈取装置14の上方には脱穀フィードチェーン5aを備えた搬送装置15が配設され、本実施形態では、一度に6条の稲や麦を刈取りができるように構成されている。
【0029】
さらに、刈取部4は、刈取部フレーム10の中腹に昇降シリンダ11が接続され、昇降シリンダ11の伸縮によって刈取部フレーム10の前端側が地面近くに下降した下降作業状態と、刈取部フレーム10が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降動作可能になっており、下降作業状態で植立穀稈の刈取り、及び刈取穀稈の脱穀装置5への供給を行なうように駆動される。
すなわち、複数のデバイダ12が植立穀稈のうちの刈取り対象の植立穀稈を後方に位置する複数の引起装置13に案内する。各引起装置13は、植立穀稈を引起爪による梳き上げによって引起し処理をし、刈取装置14が引起し状態の植立穀稈の株元を切断して、植立穀稈の刈取りを行なう。搬送装置15は、刈取穀稈を左横側に移動させながら後方に搬送して脱穀フィードチェーン5aの搬送始端部に供給する。該刈取穀稈は脱穀フィードチェーン5aによって脱穀装置5へ搬送される。
【0030】
(脱穀装置)
脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して後方に搬送しながら刈取り穀稈の穂先側を扱室に供給し、前後向きの扱胴軸心まわりに回動する扱胴16によって刈取穀稈を脱穀処理し、脱穀処理によって得た穀粒を選別部17に供給する。
【0031】
(選別部)
選別部17は、穀粒を塵埃と別ける選別処理を行ない、選別処理後の穀粒を脱穀機体外に搬出して穀粒タンク6に供給する。
【0032】
(穀粒タンク)
穀粒タンク6は、選別部17から供給された穀粒を貯留していく。穀粒タンク6は、後側に上下向きに配設された縦スクリューコンベヤ18aを有したアンローダ18を備え、貯留した穀粒のアンローダ18による取出しを可能にしている。
【0033】
(アンローダ)
アンローダ18は、縦スクリューコンベヤ18aを備える他、縦スクリューコンベヤ18aの上端部から上下揺動操作可能に延出された横スクリューコンベヤ18bを備えている。
【0034】
(エンジン)
図3や
図5にも示すように、動力源であるエンジン7は、運転部3の運転座席3bを支持する座席支持台3cの下方に設けられている。
エンジン7は、機体フレーム1のうちのエンジン支持フレーム部1aに、その出力軸7aが左右方向に沿った向きとなるように、クッションゴム9を介して支持されている。
【0035】
さらに、
図6に示すように、エンジン7の出力軸7aの駆動力は、エンジン側伝動手段20が備える伝動ベルトによって刈取変速装置21の入力軸21aに伝達される。なお、エンジン側伝動手段20には、ベルトテンション式のクラッチ20aが備えられ、クラッチ20aの操作によって刈取変速装置21への動力伝達を入り切りできる。刈取変速装置21は、静油圧式の無段変速装置によって構成してある。刈取変速装置21の出力軸21bの駆動力は、伝動ギヤを有する刈取部側伝動手段22によって刈取部4の入力軸4aに伝達される。
【0036】
また、エンジン7の出力軸7aの駆動力は、脱穀伝動手段24が備える伝動ベルトによって脱穀入力ケース23の入力軸にも伝達される。脱穀入力ケース23に入力された駆動力は、第一出力軸23aから扱胴16に伝達され、第二出力軸23bから選別部17及び脱穀フィードチェーン5aに伝達される。なお、脱穀伝動手段24には、ベルトテンション式のクラッチ24aが備えられ、クラッチ24aの操作によって扱胴16、選別部17及び脱穀フィードチェーン5aへの動力伝達を入り切りできる。
【0037】
さらに、エンジン7の出力軸7aの駆動力は、走行伝動手段26が備える伝動ベルト25によって無段変速装置30にも伝達される。走行伝動手段26は、伝動ベルト25に伝動用緊張力を付与するテンション輪27を備えている。テンション輪27はクラッチ機能を備え、テンション輪27の切替え操作により、無段変速装置30への動力伝達を入り切りできる。
【0038】
無段変速装置30によって、変速したり回転方向を切替えたりされたエンジン7の駆動力が、走行伝動装置31に伝達され、走行伝動装置31の下部に備えてある左右一対の出力軸31a,31aから左右の走行装置2のクローラ駆動輪2aに伝達される。なお、左右の出力軸31aは、走行伝動装置31が備える走行伝動ケース32から延出した筒形の出力軸ケース33(
図4及び
図5参照)に収容されている。
【0039】
(走行伝動装置)
図3及び
図5に示すように、走行伝動装置31は、左右の走行装置2の前端部の間で、機体フレーム1の前端部に連結部材34を介して支持されている。
走行伝動装置31は、無段変速装置30から入力された駆動力を左右用に分岐させて左右一対の出力軸31a,31aに伝達するように構成された走行ミッションが収容された走行伝動ケース32を備えている。
【0040】
走行ミッションには、左右一対の操向クラッチ、旋回ブレーキ、緩旋回クラッチ、及び逆転クラッチが備えられている。
左右一対の操向クラッチは、左右の走行装置2を各別に停止状態に切替え操作して、走行機体を左向きや右向きに操向操作するものである。
旋回ブレーキは、左右の走行装置2のうちの旋回内側の走行装置2にブレーキを掛けて、走行機体を信地旋回させるものである。
緩旋回クラッチは、左右の走行装置2のうちの旋回内側の走行装置2の駆動速度を旋回外側の走行装置2の駆動速度よりも低速にして、走行機体を信地旋回よりも大旋回半径で旋回するように緩旋回させるものである。
逆転クラッチは、左右の走行装置2のうちの旋回内側の走行装置2の駆動方向と旋回外側の走行装置2の駆動方向とを逆方向にして、走行機体を信地旋回よりも小旋回半径で旋回するように超信地旋回させるものである。
【0041】
(無段変速装置)
図3から
図5に示すように、無段変速装置30は、運転部3の床部3dの下方、かつ出力軸ケース33の上方で、エンジン7の前方であってエンジン7の左右幅内である空間に、走行伝動ケース32から右上方にオーバーハングするように配設されている。無段変速装置30の配設スペースとして、運転部3と走行伝動ケース32との間のスペースが有効に活用されている。
【0042】
無段変速装置30は、無段変速装置30の無段変速ケース35の左側部の下方が、走行伝動ケース32の上端部に連結されることにより、走行伝動装置31を介して機体フレーム1に支持され、無段変速装置30の無段変速ケース35の右側部の下方が、L字型のブラケット19を介して機体フレーム1に支持されている。ブラケット19は、運転キャビン3aを機体フレーム1に支持するためのキャビン支持フレーム8と共締めされている。
無段変速装置30は、走行伝動ケース32及びブラケット19を介して機体フレーム1に固定される構成であるため、無段変速装置30を走行伝動ケース32のみによる片持ちとする構成に比べて、無段変速装置30の振動抑制が図られている。
【0043】
図7に示すように、無段変速装置30は、無段変速ケース35に回転可能に支持された左右方向に沿った姿勢の入力軸37と、入力軸37よりも下方で無段変速ケース35及び走行伝動ケース32に回転可能に支持された左右方向に沿った姿勢の減速出力軸38と、無段変速部40及び遊星伝動部50と、入力軸37と遊星伝動部50とに亘って設けられた伝動機構60と、を備えている。
【0044】
入力軸37は、無段変速ケース35から側方へ突出した一端が、無段変速ケース35の横外側に入力軸37と同心状に配設されたプーリ軸28と一体回転するように連結されている。プーリ軸28は、無段変速ケース35の横側部から左右方向に沿った向きに延出された筒形の軸ケース29の内部にベアリングを介して回転可能に支持されている。軸ケース29の延出端側は、連結杆29aを介して走行伝動ケース32に支持されている。プーリ軸28はプーリ及び伝動ベルト25とともに、エンジン7からの駆動力を無段変速装置30の入力軸37に伝動する走行伝動手段26を構成する。
【0045】
(無段変速部)
無段変速部40は、アキシャルプランジャ型で、かつ容量可変型の油圧ポンプ41及び油圧モータ42を備えている。本実施形態においては、油圧ポンプ41がいわゆる主変速機構として機能し、油圧モータ42がいわゆる副変速機構として機能する。
【0046】
図7、
図8及び
図21に示すように、油圧ポンプ41のポンプ軸41aは連結部材39によって、入力軸37に一体的に連結されている。連結部材39は、入力軸37及びポンプ軸41aに外側から嵌り合い、入力軸37及びポンプ軸41aをスプライン構造によって一体的に連結する。なお、本実施形態では、ポンプ軸41aと入力軸37は、別体で構成されたものを連結部材39で連結する構成について説明するが、別の構成であってもよい。たとえば、ポンプ軸41aと入力軸37とは、連結部材39によらずに、ボルトのような締結部材、溶接、接着などで連結してもよいし、ポンプ軸41aと入力軸37とを一体に形成してもよい。
【0047】
図22に示すように、入力軸37の紙面左端部には、先端ほど段階的に縮径した挿入面370a,370b,370c,370dが備えられている。
挿入面370aの先端部には、連結部材39の内周部(後述の溝部39z)とスプライン構造によって一体的に連結するための溝部37zが形成されている。
【0048】
挿入面370a,370b,370c,370dは、テーパ面を介して連なっている。
挿入面370a,370c,370dには、オイルシール372a,372c,372dが配設されている。
オイルシール372a,372c,372dは、挿入面370a,370c,370dの直径に応じた内径を有するOリングで構成されている。
オイルシール372c,372dは、入力軸37の紙面左方から、それぞれ挿入面370c,370dに連なるテーパ面によって緩やかに拡径されながら所定位置に配設される。
【0049】
連結部材39において、紙面左側箇所に小径部39aが形成されている。紙面右側箇所に、小径部39aより大径の大径部39bが形成されている。
小径部39aは、ベアリング35xを介して無段変速ケース35に軸支されている。
大径部39bの内周部には、挿入面370a,370b,370c,370dに対応する被挿入面390a,390b,390c,390dが備えられている。
【0050】
被挿入面390a,390b,390c,390dは、テーパ面を介して連なっている。
被挿入面390aには、挿入面370aの溝部37zとスプライン構造によって一体的に連結するための溝部39zが形成されている。
入力軸37が連結部材39に挿入できるように、被挿入面390aの内径は挿入面370aの外径より僅かに大きく、被挿入面390bの内径は挿入面370bの外径より僅かに大きく、被挿入面390cの内径は挿入面370cの外径より僅かに大きく、被挿入面390dの内径は挿入面370dの外径により僅かに大きく設定されている。
【0051】
図22に示すように、被挿入面390a,390b,390c,390dは、
図21に示すように入力軸37を連結部材39に挿入した状態のときに、それぞれ対向する挿入面370a,370b,370c,370dよりも、入力軸37の連結部材39への挿入方向の深い位置に形成されている。
これにより、
図21に示すように入力軸37を連結部材39に挿入した状態のときに、挿入面370bと被挿入面390cと、挿入面370cと被挿入面390dとの対向面間に隙間373,374が形成される。
【0052】
図21に示すように、連結部材39に入力軸37を挿入した状態では、挿入面370aと被挿入面390aの対向面間はオイルシール372aによりシールされ、挿入面370cと被挿入面390cの対向面間はオイルシール372cによりシールされ、挿入面370dと被挿入面390dの対向面間はオイルシール372dによりシールされる。
【0053】
図21及び
図22に示すように、入力軸37の内部には、軸心方向に沿って、後述の前進クラッチ66を操作するための操作油を通流可能な操作油路37a,37dが形成されている。
操作油路37aの紙面右端は、油圧室78aに対応する位置で入力軸37の径方向に形成された操作油路37bに連通している。
操作油路37aの紙面左端は、連結部材39に対応する位置で入力軸37の径方向に形成された操作油路37cに連通している。
操作油路37dの紙面右端は、油圧室78bに対応する位置で入力軸37の径方向に形成された操作油路37eに連通している。
操作油路37dの紙面左端は、連結部材39に対応する位置であって、操作油路37cとは入力軸37の軸心方向に偏倚した位置で、入力軸37の径方向に形成された操作油路37fに連通している。
【0054】
図21及び
図22に示すように、連結部材39の大径部39bには、径方向に沿って、操作油を通流可能な操作油路39c,39dが形成されている。
操作油路39cの一端は被挿入面390cに開口し、他端は大径部39bの外周部に周方向に形成された導入溝39eに開口する。
操作油路39dの一端は被挿入面390dに開口し、他端は大径部39bの外周部に周方向に形成された導入溝39fに開口する。
連結部材39の大径部39bの外周部には、導入溝39e及び導入溝39fのための複数の油溝シール39g,39h,39iが形成されている。
なお、操作油路37cと操作油路39dとは隙間374を介して連通する。操作油路37fと操作油路39cとは隙間373を介して連通する。
【0055】
油導入部35aは、隔壁97に、隔壁と97とでベアリング35xを固定するように取り付けられ、その内周部で連結部材39を回転可能に支持する。
油導入部35aには、導入溝39eと連通可能な操作油路35bと、導入溝39fと連通可能な図示しない別の操作油路が形成されている。なお、油導入部35aは、アルミニウムを加工することによって形成されている。
【0056】
連結部材39は入力軸37とともに回転し、このとき大径部39bの外周部は油導入部35aの内周部を滑らかに摺動する。
連結部材39が回転しているときであっても、操作油路35bは、導入溝39eを介して操作油路39cと常に連通し、同様に、図示しない前記別の操作油路は、導入溝39fを介して操作油路39dと常に連通するので、操作油路39d,39cを介した操作油路37c,37dへの操作油の供給が途切れることはない。
【0057】
図7及び
図9に示すように、油圧モータ42のモータ軸42aは連結部材59によって、後述の遊星伝動部50の回転支軸51に一体的に連結されている。なお、本実施形態では、モータ軸42aと回転支軸51は、別体で構成されたものを連結部材59で連結する構成について説明するが、別の構成であってもよい。たとえば、モータ軸42aと回転支軸51とは、連結部材59によらずに、ボルトのような締結部材、溶接、接着などで連結してもよいし、モータ軸42aと回転支軸51とを一体に形成してもよい。この場合、モータ軸42aと回転支軸51とが一体に形成された軸が出力軸となる。
【0058】
図9に示すように、連結部材59は、回転支軸51及びモータ軸42aに外側から嵌り合い、回転支軸51及びモータ軸42aをスプライン構造によって一体的に連結する。
なお、回転支軸51と連結部材59との連結は、上述した入力軸37と連結部材39との連結と同様の構成であるため詳細な説明は省く。
連結部材59は、ベアリング35yを介して無段変速ケース35に軸支されている。
【0059】
回転支軸51の内部には、軸心方向に沿って、後述の切替クラッチ70を操作するための操作油を通流可能な操作油路51aと、後述の遊星ギヤ53を潤滑するための潤滑油を通流可能な潤滑油路51dが形成されている。
操作油路51aの紙面右端は、油圧室73に対応する位置で回転支軸51の径方向に形成された操作油路51bに連通している。
操作油路51aの紙面左端は、連結部材59に対応する位置で回転支軸51の径方向に形成された操作油路51cに連通している。
潤滑油路51dの紙面右端は、回転支軸51及び太陽ギヤ52に配設された第一ベアリング51x及び第二ベアリング52xとの間隙に対応する位置で、回転支軸51の径方向に形成された潤滑油路51eに連通している。
潤滑油路51dの紙面左端は、連結部材59に対応する位置であって、操作油路51cとは回転支軸51の軸心方向に偏倚した位置で、回転支軸51の径方向に形成された潤滑油路51fに連通している。
【0060】
連結部材59の大径部には、径方向に沿って、操作油を通流可能な操作油路59cと、潤滑油を通流可能な潤滑油路59dが形成されている。
操作油路59cの一端は被挿入面に開口し、他端は前記大径部の外周部に周方向に形成された導入溝59eに開口する。
潤滑油路59dの一端は前記被挿入面に開口し、他端は前記大径部の外周部に周方向に形成された導入溝59fに開口する。
連結部材59の前記大径部の外周部には、連結部材39と同様に複数の油溝シールが形成されている。
操作油路51cと操作油路59cとは隙間573を介して連通する。潤滑油路51fと潤滑油路59dとは隙間574を介して連通する。
【0061】
油導入部35eは、隔壁97に、隔壁97とでベアリング35yを固定するように取り付けられ、その内周部で連結部材59を回転可能に支持する。
油導入部35eには、導入溝59eと連通可能な操作油路35cと、導入溝59fと連通可能な図示しない潤滑油路が形成されている。なお、油導入部35eは、アルミニウムを加工することによって形成されている。
【0062】
連結部材59は回転支軸51とともに回転し、このとき前記大径部の外周部は油導入部35eの内周部を滑らかに摺動する。
連結部材59が回転しているときであっても、操作油路35cは、導入溝59eを介して操作油路59cと常に連通し、同様に、図示しない前記潤滑油路は、導入溝59fを介して潤滑油路59dと常に連通するので、操作油路59c及び潤滑油路59dを介した操作油路51c及び潤滑油路51fへの油の供給が途切れることはない。
【0063】
図7に示すように、ポンプ軸41a及びモータ軸42aは、無段変速ケース35の内部において、無段変速部40を収容する無段変速室95Aを有する無段変速ケース部95と、遊星伝動部50及び伝動機構60を収容する遊星伝動室96Aを有する遊星伝動ケース部96とに区画する隔壁97と、無段変速ケース35の紙面左側の開放端部に装着されたポートブロック43とに回転可能に支持されている。
【0064】
油圧ポンプ41と油圧モータ42とは、主にポートブロック43に形成された循環油路44(
図12参照)によって流体的に接続されている。作動油は、循環油路44を介して油圧ポンプ41と油圧モータ42との間を往来する。
【0065】
(油圧ポンプ)
油圧ポンプ41は、運転部3の操作装置の後述の主変速レバー85(
図16参照)の操作に基づいて、
図23及び
図24に示すように、無段変速ケース部95の内部に収容した複動型油圧シリンダ80によってポンプ斜板41bの傾斜角度(斜板角度)を傾動操作して、ポンプ軸41aの一定回転あたりの作動油の吐出量を変化させる機構である。
【0066】
ポンプ斜板41bは、ポンプ軸41aに対して、ポンプ軸41aの軸心L回りに回転可能な状態、かつ、軸心Lと直交する傾斜軸心A回りに揺動可能な状態で支持されている。一方、ポンプ軸41aには、ヘッド411が相対回転不能な状態で支持されている。ヘッド411には、循環油路44の一部が、軸心Lと平行な状態で穿孔されている。この循環油路44の一部は、軸心L周りに沿って、一定角度毎に間隔をおいて複数形成されている。これらの循環油路44には複数のピストン412が内挿されている。ピストン412は、軸心Lに沿って循環油路44に対してスライド可能であり、かつ、図示しないスプリングなどによってポンプ斜板41b側に常時付勢されている。
ヘッド411とポートブロック43の間にはバルブプレート430が配設されている。
バルブプレート430には、軸心L方向視においてポンプ軸41aを挟んで対向する弧状のキドニーポート431,432(
図12参照)が形成されている。キドニーポート431,432は、循環油路44の一部を構成している。
【0067】
ピストン412のポンプ斜板41b側の先端には、ボールジョイント413(ユニバーサルジョイント)を介して、ベースプレート414が取り付けられている。ベースプレート414は、ポンプ斜板41bの表面に対して相対移動可能である。
【0068】
ポンプ軸41aが回転すると、ヘッド411を介して複数のピストン412も軸心L回りに回転する。その際、ベースプレート414がポンプ斜板41bの表面に沿って移動する。このとき、ポンプ斜板41bの傾斜に応じてピストン412が循環油路44(ヘッド411)に対して進退する。これにより油圧ポンプ41は作動油の吸引と吐出とを行なう。
なお、ポンプ斜板41bの傾斜角度が大きくなるほど、ポンプ軸41aの一定回転あたりの作動油の吐出量が多くなり、ポンプ斜板41bの傾斜角度が小さくなるほど、ポンプ軸41aの一定回転あたりの作動油の吐出量は少なくなる。
【0069】
図24に示すように、複動型油圧シリンダ80には、シリンダ416と、シリンダ416に内装されて、シリンダ416の内周部に沿ってスライド可能なピストン417と、ピストン417を中立位置「N」に常時付勢する付勢機構としてのスプリング418と、が備えられている。シリンダ416は、無段変速ケース部95のうち油圧ポンプ41の後方(紙面左側)に位置する箇所に孔を上下方向に穿孔して構成されている。ピストン417は、シリンダ416の内部の一端(上方)から他端(下方)の間で移動可能である。また、複動型油圧シリンダ80には、ピストン417を挟んで一端側には第一油室419が備えられ、他端側には第二油室420が備えられている。
【0070】
ピストン417の外周には、操作溝417aが形成されており、操作溝417aには、ポンプ斜板41bの外周に突設された操作部421が係合されている。したがって、ピストン417が移動することにより、操作部421が操作され、結果としてポンプ斜板41bが傾斜軸心A回りに揺動する。本実施形態では、ピストン417が一端側(上方)に位置する状態、即ち、前進領域Fにポンプ斜板41bが傾斜した状態で、コンバインの走行装置2は前進状態となるものとする。また、ピストン417が他端側(下方)に位置する状態、即ち、後進領域Rにポンプ斜板41bが傾斜した状態で、走行装置2は後進状態となるものとする。さらに、ピストン417が中立位置「N」に位置する状態、即ち、ポンプ斜板41bが中立位置「N」となった状態で、走行装置2は停止状態となるものとする。
【0071】
シリンダ416の開放端(上側端)は、シリンダカバー422によって閉塞されている。シリンダカバー422には、スプリング418を外挿支持する支持ロッド423が貫通支持されている。支持ロッド423の下端部はそれより上方部分よりも拡径され、支持ロッド423の上端部には雄ネジ部が形成されている。支持ロッド423の前記雄ネジ部には付勢力調節ナット424(ダブルナット)が締結されている。
スプリング418の両端部の夫々は、カラー425及びカラー426を介して、前記下端部と付勢力調節ナット424とによって挟持されている。付勢力調節ナット424を締めたり、緩めたりすることで、スプリング418の付勢力を調節できる。
【0072】
図24に示すように、無段変速ケース部95には、複動型油圧シリンダ80の紙面左に隣接する位置に、変速制御バルブ機構81が取り付けられている。変速制御バルブ機構81には、複動型油圧シリンダ80の進退側のそれぞれに接続された一対の方向制御弁115a,115bが内装されている。方向制御弁115a,115bは、電磁制御弁で構成され、運転部3に備えられた操作装置の主変速レバー85の操作に応じた電気式の操作指令によって制御される。
【0073】
変速制御バルブ機構81と無段変速ケース部95(シリンダ416)とに亘って、方向制御弁115aと第一油室419とを接続する操作油路114aが形成されるとともに、方向制御弁115bと第二油室420とを接続する操作油路114bが形成されている。また、変速制御バルブ機構81には、ポテンショメータ428の検出アーム428aが内装されている。なお、ピストン417の外周には、上述した操作溝417aと並列状態で、検出アーム428aが係合されるアーム係合溝417bが形成されている。
【0074】
(油圧モータ)
図7及び
図10に示すように、油圧モータ42は、運転部3の操作装置の後述の副変速レバーの操作に基づいて、無段変速ケース部95の内部に収容した一対の単動型油圧シリンダ107,108によってモータ斜板42bの傾斜角度(斜板角度)を傾動操作して、油圧ポンプ41から吐出された作動油の一定量あたりのモータ軸42aの回転数を変化させる機構である。
【0075】
図10に示すように、モータ斜板42bは、モータ軸42aに対して、モータ軸42aの軸心M回りに回転可能な状態、かつ、軸心Mと直交する傾斜軸心C回りに揺動可能な状態で支持されている。一方、モータ軸42aには、ヘッド511が相対回転不能な状態で支持されている。ヘッド511には、循環油路44の一部が、軸心Mと平行な状態で穿孔されている。この循環油路44の一部は、軸心M周りに沿って、一定角度毎に間隔をおいて複数形成されている。これらの循環油路44には複数のピストン512が内挿されている。ピストン512は、軸心Mに沿って循環油路44に対してスライド可能であり、かつ、図示しないスプリングなどによってモータ斜板42b側に常時付勢されている。
ヘッド511とポートブロック43の間にはバルブプレート530が配設されている。
バルブプレート530には、軸心M方向視においてモータ軸42aを挟んで対向する弧状のキドニーポート531,532(
図12参照)が形成されている。キドニーポート531,532は、循環油路44の一部を構成している。
【0076】
ピストン512のモータ斜板42b側の先端には、ボールジョイント513(ユニバーサルジョイント)を介して、ベースプレート514が取り付けられている。ベースプレート514は、モータ斜板42bの表面に対して相対移動可能である。
【0077】
油圧ポンプ41からの吐出された作動油が、ヘッド511を介して複数のピストン512に供給されると、モータ斜板42bの傾斜角度に応じて、ヘッド511は軸心M周りに回転し、モータ軸42aも回転する。その際、ベースプレート514がモータ斜板42bの表面に沿って移動するので、モータ斜板42bの傾斜に沿ってピストン512が循環油路44(ヘッド511)に対して進退する。これにより油圧モータ42への作動油の供給と排出とが行われる。
なお、モータ斜板42bの傾斜角度が大きくなるほど、モータ軸42aを一定回転させるのに必要な作動油の供給量が多くなるため、モータ軸42aの回転数は小さくなり、モータ斜板42bの傾斜角度が小さくなるほど、モータ軸42aを一定回転させるのに必要な作動油の供給量が少なくなるため、モータ軸42aの回転数は大きくなる。
【0078】
図10に示すように、単動型油圧シリンダ107には、シリンダ515と、シリンダ515に内装されて、シリンダ515の内周部に沿ってスライド可能なピストン107aと、ピストン107aを、単動型油圧シリンダ107に対向して配設されている単動型油圧シリンダ108側に常時付勢する付勢機構としてのスプリング516と、が備えられている。
シリンダ515は、無段変速ケース部95のうち油圧モータ42の前方に隣接する箇所に配設されている。ピストン107aは、第三油室519に供給される操作油によって、シリンダ515の内部の一端(右方)から他端(左方)の間で移動可能である。なお、第三油室519に供給される操作油は、循環油路44を循環する作動油と同じ油であるため、本明細書において区別の必要がない場合は単に作動油とよぶ。
単動型油圧シリンダ107は、モータ斜板42bの径方向に延設された操作部42cに対してピストン107aを右方から左方へと押圧作用させることで、モータ斜板42bの傾斜角度を大きくする方向に傾動操作するように構成してある。したがって、単動型油圧シリンダ107は、油圧モータ42を減速側に変速操作する減速油圧シリンダを構成している。
【0079】
単動型油圧シリンダ108には、シリンダ518と、シリンダ518に内装されて、シリンダ518の内周部に沿ってスライド可能なピストン108aと、が備えられている。
シリンダ518は、無段変速ケース部95のうち油圧モータ42の前方に位置する箇所であって、単動型油圧シリンダ107に対向する箇所に配設されている。ピストン108aは、第四油室520に供給される操作油によって、シリンダ518の内部の一端(左方)から他端(右方)の間で移動可能である。なお、第四油室520に供給される操作油は、循環油路44を循環する作動油と同じ油であるため、本明細書において区別の必要がない場合は単に作動油とよぶ。
【0080】
単動型油圧シリンダ108は、モータ斜板42bの操作部42cに対してピストン108aを左方から右方へと押圧作用させることで、モータ斜板42bの傾斜角度を小さくする方向に傾動操作するように構成してある。したがって、単動型油圧シリンダ108は、油圧モータ42を増速側に変速操作する増速油圧シリンダを構成している。
【0081】
無段変速ケース部95には、単動型油圧シリンダ107,108の前方に隣接する位置に、モータ制御バルブ機構111が取り付けられている。モータ制御バルブ機構111には、単動型油圧シリンダ107,108のそれぞれに接続された一対の方向制御弁111a,111bが内装されている。方向制御弁111a,111bは、電磁制御弁で構成され、運転部3に備えられた操作装置の前記副変速レバーの操作に応じた電気式の操作指令によって制御される。
【0082】
モータ制御バルブ機構111と無段変速ケース部95(シリンダ515,518)とに亘って、方向制御弁111aと第三油室519とを接続する操作油路110aが形成されるとともに、方向制御弁111bと第四油室520とを接続する操作油路110bが形成されている。
【0083】
図10に示すように、一対の単動型油圧シリンダ107,108は、軸心M方向視で、無段変速ケース35の内部であって、モータ制御バルブ機構111が配設されている無段変速ケース35の前壁部の内側近傍に配設され、モータ制御バルブ機構111と単動型油圧シリンダ107,108とを接続する一対の操作油路110a,110bのうちの操作油路110aは、方向制御弁111aから無段変速ケース35のうちの前壁部に入り、前壁部から隔壁97を通って単動型油圧シリンダ107に至るように形成してある。操作油路110bは、方向制御弁111bから無段変速ケース35のうちの前壁部に入り、この箇所から前壁部の内部を左右方向に通ってポートブロック43に入り、ポートブロック43の内部から単動型油圧シリンダ108に至るように形成してある。
【0084】
軸心M方向視において操作部42cを挟んで対向する一対の単動型油圧シリンダ107,108と、無段変速ケース35の前壁部のうち、軸心M方向視においてモータ軸42aの軸心M方向視において循環油路44によって囲われる領域の外側の外側領域Uと隣り合う箇所に備えられた一対の単動型油圧シリンダ107,108に対する操作油の給排を行なうモータ制御バルブ機構111とでアクチュエータが構成される。
【0085】
上述のように、無段変速部40は、エンジン7から入力軸37を介してポンプ軸41aに伝達された駆動力を無段階に変更してモータ軸42aを介して回転支軸51に出力する、静油圧式の無段変速部を構成する。なお、モータ軸42aは無段変速部40の無段出力軸を構成するので、以下の説明では、モータ軸42aを無段出力軸42aとも呼称する。なお、無段出力軸42aが本発明の出力軸である。
【0086】
(循環油路)
油圧ポンプ41と油圧モータ42との間で、作動油を往来させるための循環油路44について説明する。
【0087】
図12及び
図23に示すように、バルブプレート430に形成された一対のキドニーポート431,432のうち、キドニーポート431は、油圧ポンプ41のポンプ軸41a周りに備えられた複数のシリンダ416のうち、一部と同時に連通するポンプ側吐出油溝を構成する。したがって、以下の説明では、キドニーポート431をポンプ側吐出油溝431と呼称する。
【0088】
バルブプレート430に形成された一対のキドニーポート431,432のうち、キドニーポート432は、油圧ポンプ41がポンプ軸41a周りに備える複数のシリンダ416のうちキドニーポート431と連通するシリンダ416以外の一部と同時に連通するポンプ側吸込油溝を構成する。したがって、以下の説明では、キドニーポート432をポンプ側吸込油溝432と呼称する。
【0089】
図10及び
図12に示すように、バルブプレート530に形成された一対のキドニーポート531,532のうち、キドニーポート531は、油圧モータ42がモータ軸42a周りに備える複数のシリンダのうち一部と同時に連通するモータ側吸込油溝を構成する。したがって、以下の説明では、キドニーポート531をモータ側吸込油溝531と呼称する。
【0090】
バルブプレート530に形成された一対のキドニーポート431,432のうち、キドニーポート532は、油圧モータ42がモータ軸42a周りに備える複数のシリンダのうちキドニーポート531と連通するシリンダ以外の一部と同時に連通するモータ側吐出油溝532と呼称する。
【0091】
図12に示すように、ポートブロック43には、ポンプ側吐出油溝431とモータ側吸込油溝531とを連通する第一接続油路43aと、ポンプ側吸込油溝432とモータ側吐出油溝532とを連通する第二接続油路43bとが配設されている。第一接続油路43a及び第二接続油路43bは、循環油路44の一部を構成している。
【0092】
操作部42cは、軸心M方向視において、ポンプ軸41aとモータ軸42aとを結ぶ仮想線Vに対して軸心Mから紙面右斜め上方に傾く仮想線Wに沿って、モータ側吐出油溝532とモータ側吸込油溝531との間を通るように延出されている。なお、軸心M及び軸心Lは互いに平行に配設されているため軸心M方向視は軸心L方向視でもある。
操作部42cの延設側端部が、ポンプ軸41aとモータ軸42aとに挟まれる領域、かつ第一接続油路43aと第二接続油路43bによって囲われる領域の外側の外側領域Uまで延設され、第二接続油路43bの近傍に位置するように構成されている。
【0093】
単動型油圧シリンダ107、及び単動型油圧シリンダ108は、外側領域Uにおいて軸心M方向に沿って往復移動するとともに外側領域Uにおいて操作部42cを操作可能、かつ、無段変速ケース部95の紙面右側に備えられたモータ制御バルブ機構111からの操作が容易なように、軸心M方向視で、ポンプ軸41aとモータ軸42aとの高さ方向のほぼ中間、かつポートブロック43に形成された循環油路44で区画される範囲外の、第二接続油路43bの近傍、かつモータ制御バルブ機構111の近傍に配設されている。
【0094】
つまり、操作部42cは、軸心M方向視において、モータ制御バルブ機構111の側に向けて延設され、かつ、一対の単動型油圧シリンダ107、及び単動型油圧シリンダ108は、軸心M方向視において、外側領域Uのうち、操作部42cとモータ制御バルブ機構111とに挟まれる領域に配設される。
【0095】
このとき、軸心M方向視で、操作部42c、単動型油圧シリンダ107、及び単動型油圧シリンダ108と、油圧モータ42の軸心Mとを結ぶ仮想線Wは、バルブプレート530に形成された一対のモータ側吸込油溝531及びモータ側吐出油溝532が対称をなす仮想線Wでもある。したがって、操作部42cを囲むモータ側吸込油溝531及びモータ側吐出油溝532は、軸心M方向視で操作部42cの延設方向に沿って対称に配設される。
【0096】
(遊星伝動部)
図8及び
図9に示すように、遊星伝動部50は、無段出力軸42aと同心状に配設されるとともに無段変速ケース35に回転可能に支持された回転支軸51と、回転支軸51に一体回転するように支持された太陽ギヤ52と、太陽ギヤ52に噛み合った複数の遊星ギヤ53と、各遊星ギヤ53を相対回転可能に支持するキャリア54と、各遊星ギヤ53に内歯で噛み合ったリングギヤ55と、太陽ギヤ52に対してキャリア54が位置する側と反対側で回転支軸51に相対回転可能に支持されたギヤ形の遊星出力軸56と、を備えている。
なお、各遊星ギヤ53は、キャリア54に備えられた支持部58によって回転可能に支持される。キャリア54は、回転支軸51に配設された第一ベアリング51xと太陽ギヤ52に配設された第二ベアリング52xによって、回転支軸51回りに回転可能に支持される。
遊星出力軸56には、外周に設けた歯部がリングギヤ55の内歯に噛み合うように構成された環状の連動部材57が一体形成されており、これにより、リングギヤ55と遊星出力軸56とは一体回転する。
【0097】
遊星伝動部50は、太陽ギヤ52の回転、遊星ギヤ53の公転(キャリア54の回転)、リングギヤ55の回転の3つの要素のうち、どれを入力・出力・固定に割り当てるかによって、一つのユニットで複数の減速比や回転方向の切替えが可能に構成されている。
【0098】
太陽ギヤ52と、遊星出力軸56の連動部材57との間には、クラッチ本体71を備えた切替クラッチ70が設けられている。
クラッチ本体71は、回転支軸51に、後述の油圧制御によって回転支軸51の軸心方向にスライド可能に、支持されている。
【0099】
クラッチ本体71は連動部材57側にスライドしたときのみ、クラッチ本体71に設けられた噛み合い歯72aと連動部材57に設けられた被噛み合い歯72bとで構成されたクラッチ部72が噛み合い、クラッチ本体71の回転が直接的に連動部材57に伝達される。この状態を切替クラッチ70の入り状態ともいう。
【0100】
クラッチ本体71が太陽ギヤ52側にスライドしたときは、クラッチ部72を構成する噛み合い歯72aと被噛み合い歯72bとが離間して、クラッチ本体71の回転が直接的に連動部材57に伝達されない。この状態を切替クラッチ70の切り状態ともいう。
【0101】
さらに、クラッチ本体71は、太陽ギヤ52の側部に設けた被連結歯72dに対して摺動可能に噛み合う連結歯72cを備えている。クラッチ本体71は、連結歯72cと被連結歯72dとが常に噛み合った状態のまま、回転支軸51の軸心方向にスライド可能に構成されている。つまり、クラッチ本体71が切替クラッチ70を入り状態及び切り状態のいずれに切替えた場合においても、連結歯72cと被連結歯72dとの噛み合い状態が維持されるので、太陽ギヤ52の回転は直接的にクラッチ本体71に伝達される。
【0102】
切替クラッチ70が入り状態であるときは、太陽ギヤ52と連動部材57とが連結されて一体回転し、このとき遊星伝動部50の変速作用は不能となり、無段変速部40の無段出力軸42aからの駆動力が変速されずに遊星出力軸56に伝達される。
切替クラッチ70が切り状態であるときは、太陽ギヤ52と連動部材57との連結が解除され、遊星伝動部50の変速作用によって、無段変速部40の無段出力軸42aからの駆動力を変速して遊星出力軸56に伝達することができる。
【0103】
クラッチ本体71をスライドさせる機構について詳述する。
図9に示すように、クラッチ本体71は、回転支軸51との摺動面を有する基部71cと、基部71cの外周に一体形成された円筒部71dとで構成された有底筒状形をなしている。円筒部71dの外周の一部には噛み合い歯72aや連結歯72cが配設されている。
クラッチ本体71の紙面右側には、回転支軸51に形成された溝部に配設されるスナップリング71eによって紙面右方への移動が規制されるように配設された円板状の受圧板71bを収容可能な凹部が備えられている。
【0104】
回転支軸51には、クラッチ本体71との対向面にオイルシール71fが配設され、受圧板71bとの対向面にオイルシール71gが配設されている。受圧板71bには、クラッチ本体71との対向面にオイルシール71hが配設されている。クラッチ本体71の前記凹部と受圧板71bとで油圧室73が構成される。
【0105】
クラッチ本体71の紙面左側は太陽ギヤ52に対向し、クラッチ本体71と太陽ギヤ52との間にスプリング71aが配設されている。
回転支軸51の内部に形成された操作油路51a,51b,51cを介して油圧室73に操作油が供給されると、クラッチ本体71は、スプリング71aの付勢力に抗して、太陽ギヤ52側へとスライドさせられ、切替クラッチ70は切り状態となる。
【0106】
(伝動機構)
図7及び
図8に示すように、伝動機構60は、キャリア54に設けた歯部に噛み合い連動する状態で入力軸37に相対回転可能に支持された前進伝動ギヤ63と、無段変速ケース35の内部に回転可能に支持された左右方向に沿った姿勢の中継軸61と、入力軸37と中継軸61とを連動させる伝動部62と、キャリア54の歯部に噛み合い連動する状態で中継軸61に相対回転可能に支持された後進伝動ギヤ64とを備えている。前進伝動ギヤ63の両側にはスラストカラー63a,63bが配設され、後進伝動ギヤ64の両側にはスラストカラー64a,64bが配設されている。
【0107】
伝動部62は、入力軸37に一体回転するように支持された入力軸ギヤ62aと、入力軸ギヤ62aに噛み合う状態で中継軸61に一体回転するように支持された中継軸ギヤ62bと、を備えている。したがって、入力軸37と中継軸61は回転方向が逆に設定されている。
【0108】
(前進クラッチ)
図7、
図8及び
図21に示すように、入力軸37には、入力軸ギヤ62aと前進伝動ギヤ63との間に、前進クラッチ66が設けられている。
前進クラッチ66は、入力軸37に設けたスプライン部に一体回転し、かつ後述の油圧制御によって入力軸37の軸心方向にスライド可能に支持されるクラッチ本体65を備えている。
【0109】
クラッチ本体65は前進伝動ギヤ63側にスライドしたときのみ、クラッチ本体65に設けられた噛み合い歯66bと前進伝動ギヤ63に設けられた被噛み合い歯66cとで構成されたクラッチ部66aが噛み合い、クラッチ本体65の回転が直接的に前進伝動ギヤ63に伝達される。この状態を前進クラッチ66の入り状態ともいう。一方、クラッチ本体65が前進伝動ギヤ63から離れる方向にスライドしたときは、噛み合い歯66bが被噛み合い歯66cから離間して、クラッチ本体65の回転は、前進伝動ギヤ63に直接的に伝達されない。この状態を前進クラッチ66の切り状態ともいう。
【0110】
前進クラッチ66が入り状態であるときは、入力軸37と、クラッチ本体65及びクラッチ部66aを介して、前進伝動ギヤ63とが連結されて一体回転し、つまり、入力軸37の駆動力が前進伝動ギヤ63を介して直接的にキャリア54に伝達される。一方、前進クラッチ66が切り状態であるときは、入力軸37と前進伝動ギヤ63との連結が解除され、入力軸37の駆動力は直接的にキャリア54に伝達されない。
【0111】
クラッチ本体65をスライドさせる機構について詳述する。
図21に示すように、クラッチ本体65は、入力軸37との摺動面を有する基部65cと、基部65cの外周部に一体形成された円筒部65dとで構成された有底筒状形をなしている。円筒部65dの外周部の一部にはクラッチ部66aの噛み合い歯66bが配設されている。基部65cと入力軸37とは一部がスプライン構造によって一体的に連結され、軸心方向に沿ってのみ相対移動が可能となっている。
【0112】
クラッチ本体65の基部65cは、入力軸37に紙面右方への移動が規制されるように配設された有底筒状の受圧部材65aの凹部に収容可能に構成されている。
入力軸37には、受圧部材65aとの対向面にオイルシール65fが配設され、クラッチ本体65との対向面にオイルシール65gが配設されている。クラッチ本体65には、受圧部材65aとの対向面にオイルシール65hが配設されている。受圧部材65aの前記凹部とクラッチ本体65とで油圧室78aが構成される。
【0113】
クラッチ本体65の紙面左側には、入力軸37に形成された溝部に配設されるスナップリング65eによって紙面左方への移動が規制されるように配設された円板状の受圧板65bを収容可能な凹部が備えられている。
入力軸37には、受圧板65bとの対向面にオイルシール65iが配設されている。受圧板65bには、クラッチ本体65との対向面にオイルシール65jが配設されている。クラッチ本体65の前記凹部と受圧板65bとで、油圧室78bが構成される。
クラッチ本体65の基部65cの紙面左側は受圧板65bに対向し、クラッチ本体65と受圧板65bとの間にスプリング65kが配設されている。
【0114】
入力軸37に形成された操作油路37a,37b,37cを介して油圧室78aに操作油が供給されると、クラッチ本体65は、スプリング65kの付勢力に抗して、前進伝動ギヤ63側へとスライドさせられ、前進クラッチ66は入り状態となる。なお、クラッチ本体65のスライドに伴って、油圧室78bの操作油は、操作油路37d,37e,37fへ排出される。
入力軸37に形成された操作油路37d,37e,37fを介して油圧室78bに操作油が供給されると、クラッチ本体65は、スプリング65kの付勢力を伴って、前進伝動ギヤ63から離間する方向へとスライドさせられ、前進クラッチ66は切り状態となる。なお、クラッチ本体65のスライドに伴って、油圧室78aの操作油は、操作油路37a,37b,37cへ排出される。
なお、油圧室78a及び油圧室78bへの操作油の供給が停止された状態のときは、クラッチ本体65は、スプリング65kの付勢力によって前進伝動ギヤ63から離間される方向に付勢されるため、前進クラッチ66は切り状態となる。
【0115】
(後進クラッチ)
図7及び
図8に示すように、中継軸61には、中継軸ギヤ62bと後進伝動ギヤ64との間に、後進クラッチ68が設けられている。
後進クラッチ68は、中継軸61に設けたスプライン部に一体回転し、かつ後述の油圧制御によって中継軸61の軸心方向にスライド可能に支持されるクラッチ本体67を備えている。
【0116】
クラッチ本体67は後進伝動ギヤ64側にスライドしたときのみ、クラッチ本体67に設けられた噛み合い歯68bと後進伝動ギヤ64に設けられた被噛み合い歯68cとで構成されたクラッチ部68aが噛み合い、後進クラッチ68の回転が直接的に後進伝動ギヤ64に伝達される。この状態を後進クラッチ68の入り状態ともいう。一方、クラッチ本体67が後進伝動ギヤ64から離れる方向にスライドしたときは、噛み合い歯68bが被噛み合い歯68cから離間して、クラッチ本体67の回転は直接的に後進伝動ギヤ64に伝達されない。この状態を後進クラッチ68の切り状態ともいう。
【0117】
後進クラッチ68が入り状態であるときは、中継軸61と、クラッチ本体67及びクラッチ部68aを介して、後進伝動ギヤ64とが連結されて一体回転し、つまり、入力軸37の駆動力が、伝動部62、後進伝動ギヤ64を介して直接的にキャリア54に伝達される。一方、後進クラッチ68が、切り状態であるときは、中継軸61と後進伝動ギヤ64との連結が解除され、入力軸37の駆動力は、直接的にキャリア54へ伝動されない。
【0118】
クラッチ本体67をスライドさせる機構について詳述する。
図8に示すように、クラッチ本体67は、中継軸61との摺動面を有する基部67cと、基部67cの外周部に一体形成された円筒部67dとで構成された有底筒状形をなしている。円筒部67dの外周部の一部には噛み合い歯68bが配設されている。基部67cと中継軸61とは一部がスプライン構造によって一体的に連結され、軸心方向に沿ってのみ相対移動が可能となっている。
【0119】
クラッチ本体67の基部67cは、中継軸61に紙面右方への移動が規制されるように配設された有底筒状の受圧部材67aの凹部に収容可能に構成されている。
中継軸61には、受圧部材67aの対向面にオイルシール67fが配設され、クラッチ本体67との対向面にオイルシール67gが配設されている。クラッチ本体67には、受圧部材67aとの対向面にオイルシール67hが配設されている。受圧部材67aの前記凹部とクラッチ本体67とで油圧室79aが構成される。
【0120】
クラッチ本体67の紙面右側には、中継軸61に形成された溝部に配設されるスナップリング67eによって紙面左方への移動が規制されるように配設された円板状の受圧板67bを収容可能な凹部が備えられている。
中継軸61には、受圧板67bとの対向面にオイルシール67iが配設されている。受圧板67bには、クラッチ本体67との対向面にオイルシール67jが配設されている。クラッチ本体67の前記凹部と受圧板67bとで油圧室79bが構成される。
クラッチ本体67の基部67cの紙面左側は受圧板67bに対向し、クラッチ本体67と受圧板67bとの間にスプリング67kが配設されている。
【0121】
中継軸61の内部には、軸心方向に沿って、操作油を通流可能な操作油路61c,61fが形成されている。
操作油路61cに紙面右端は、油圧室79aに対応する位置で中継軸61の径方向に形成された操作油路61dに連通している。
操作油路61cの紙面左端は、中継軸61を支持するベアリング61bより紙面左方で中継軸61の径方向に形成された操作油路61eに連通している。
操作油路61fに紙面右端は、油圧室79bに対応する位置で中継軸61の径方向に形成された操作油路61gに連通している。
操作油路61cの紙面左端は、中継軸61を支持するベアリング61bより紙面左方でであって、操作油路61eとは中継軸61の軸心方向に偏倚した位置で、中継軸61の径方向に形成された操作油路61hに連通している。
【0122】
中継軸61に形成された操作油路61c,61d,61eを介して油圧室79aに操作油が供給されると、クラッチ本体67は、スプリング67kの付勢力に抗して、後進伝動ギヤ64側へとスライドさせられ、後進クラッチ68は入り状態となる。なお、クラッチ本体67のスライドに伴って、油圧室79bの操作油は、操作油路61f,61g,61hへ排出される。
中継軸61に形成された操作油路61f,61g,61hを介して油圧室79bに操作油が供給されると、クラッチ本体67は、スプリング67kの付勢力を伴って、後進伝動ギヤ64から離間する方向へとスライドさせられ、後進クラッチ68は切り状態となる。なお、クラッチ本体67のスライドに伴って、油圧室79aの操作油は、操作油路61c,61d,61eへ排出される。
なお、油圧室79a及び油圧室79bへの操作油の供給が停止された状態のときは、クラッチ本体67は、スプリング67kの付勢力によって後進伝動ギヤ64から離間される方向に付勢されるため、後進クラッチ68は切り状態となる。
【0123】
伝動機構60は上述の構成により、前進クラッチ66が入り状態に切替え操作され、後進クラッチ68が切り状態に切替え操作されることにより、入力軸37の駆動力をキャリア54に正回転動力として伝達する。
【0124】
一方、伝動機構60は、前進クラッチ66が切り状態に切替え操作され、後進クラッチ68が入り状態に切替え操作されることにより、入力軸37の駆動力を、中継軸61を介することで、キャリア54に逆回転動力として伝達する。
【0125】
伝動機構60は、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に切替え操作されることにより、入力軸37からキャリア54への直接的な動力の伝動を絶つ。
【0126】
ところで、切替クラッチ70、前進クラッチ66及び後進クラッチ68は、エンジン7から入力軸37に入力される駆動力によって作動する後述の油圧ポンプ131(
図7及び
図15参照)から供給される操作油によって操作される。
したがって、走行中のコンバインを停車する、つまりエンジン7を停止して、無段変速装置30への作動油の供給を停止したときには、切替クラッチ70、前進クラッチ66及び後進クラッチ68の操作は不可能となる。
たとえば、コンバインを坂道で停車したときに、各クラッチの状態が無段変速装置30が遊星伝動部50の変速作用が可能な状態であると、すなわち、切替クラッチ70が切り状態であり、かつ前進クラッチ66が入り状態、または後進クラッチ68が入り状態であると、クローラ式の走行装置2からの力によって遊星伝動部50が空回りし、コンバインが坂道を下り降りてしまう虞がある。
【0127】
しかし、本発明による無段変速装置30は、エンジン7の停止に伴って無段変速装置30への操作油の供給が停止されたときには、スプリング71aの付勢力によってクラッチ本体71が連動部材57側へとスライドさせられるので、切替クラッチ70は入り状態となり、スプリング65kの付勢力によってクラッチ本体65が前進伝動ギヤ63から離間する方向へとスライドさせられるので、前進クラッチ66は切り状態となり、スプリング67kの付勢力によってクラッチ本体67が後進伝動ギヤ64から離間する方向へとスライドさせられるので、後進クラッチ68は切り状態となる。さらに、このとき、無段変速部40では、複動型油圧シリンダ80のスプリング418の付勢力によってピストン417は中立位置となり、すなわち、油圧ポンプ41のポンプ斜板41bは、中立位置となる。単動型油圧シリンダ107のスプリング516の付勢力によって、ピストン107aは単動型油圧シリンダ108側へと付勢されるため、すなわち油圧モータ42のモータ斜板42bは、傾斜角度が最大となる。
【0128】
つまり、切替クラッチ70、前進クラッチ66及び後進クラッチ68の状態は、遊星伝動部50の変速作用が不能の状態である。また、油圧モータ42のモータ斜板42bが最大の傾斜角度となっているものの、油圧ポンプ41のポンプ斜板41bが中立位置となっている。したがって、油圧モータ42から吐出された作動油によってポンプ軸41aが回転しないため、無段変速部40は動力を伝達しない状態となる。このように、クローラ式の走行装置2からの力によって無段変速部40及び遊星伝動部50が空回りすることを防ぐことができるため、上述のようなコンバインが坂道を下り降りてしまう虞が回避される。
【0129】
図7に示すように、減速出力軸38は、無段変速ケース35の内部において、遊星出力軸56に減速伝動機構75を介して連動する。なお、減速伝動機構75は、遊星出力軸56に一体回転するように設けられた小径ギヤ76と、小径ギヤ76に噛み合う状態で減速出力軸38に一体回転するように設けられた大径ギヤ77と、を備えている。したがって、遊星出力軸56の回転は、一定の比率で減速されて減速出力軸38に伝達される。
減速出力軸38は、走行伝動ケース32の内部において、走行伝動装置31が備える一対の入力ギヤ31b,31cに連動する。
【0130】
減速出力軸38は、無段変速部40と遊星伝動部50とのうちの無段変速部40だけが変速作用して、無段出力軸42aの駆動力が遊星出力軸56から出力される場合においても、無段変速部40及び遊星伝動部50の両方が変速作用して遊星出力軸56から合成駆動力が出力される場合においても、遊星出力軸56の駆動力を減速伝動機構75によって減速してから走行伝動装置31の入力ギヤ31b,31cに伝達する。
【0131】
無段変速装置30は、入力軸37に入力されたエンジン7からの駆動力を、無段変速部40と遊星伝動部50とのうちの無段変速部40だけで変速し、この変速後の駆動力を、無段出力軸42aから遊星出力軸56を介して減速伝動機構75に伝達して減速した後に、減速出力軸38から走行伝動装置31に出力するか、あるいは、入力軸37に入力したエンジン7からの駆動力を無段変速部40によって変速し、この変速後の駆動力と、入力軸37に入力したエンジン7からの駆動力とを遊星伝動部50によって合成し、合成駆動力を、遊星出力軸56から減速伝動機構75に伝達して減速した後に、減速出力軸38から走行伝動装置31に出力する。
【0132】
(無段変速ケース)
無段変速ケース35は、
図7及び
図11から
図13に示すように、無段変速部40を収容する無段変速ケース部95と、遊星伝動部50及び伝動機構60を収容する遊星伝動ケース部96とが隔壁97を介して左右方向に並ぶ形状となっている。無段変速ケース部95と遊星伝動ケース部96と隔壁97は、アルミ合金材を成型することによって一体形成してある。無段変速部40及び遊星伝動部50は、無段変速部40が遊星伝動部50に対して走行伝動装置31が位置する側と反対側に位置する横並びで無段変速ケース35に収容してある。
【0133】
遊星伝動ケース部96は、無段変速ケース部95及び隔壁97が一体形成された第一分割遊星伝動ケース部98と、第一分割遊星伝動ケース部98に対して無段変速ケース部95が位置する側とは反対側に位置して第一分割遊星伝動ケース部98と接合面100で接合された第二分割遊星伝動ケース部99とを備えてある。
遊星伝動部50及び伝動機構60の点検や組み付けを行なうときに、遊星伝動ケース部96を接合面100を分割面として第一分割遊星伝動ケース部98と第二分割遊星伝動ケース部99とに分割して、遊星伝動ケース部96の内部を大きく開口することができるので作業性がよい。
【0134】
(チャージポンプ,油圧ポンプ)
図7に示すように、遊星伝動ケース部96には、無段変速装置30の無段変速部40に作動油を供給するためのチャージポンプ102及び無段変速装置30の遊星伝動部50及び伝動機構60に操作油や潤滑油を供給するための油圧ポンプ131が配設してある。チャージポンプ102及び油圧ポンプ131は、入力軸37に連動したトロコイドポンプによって構成してあり、入力軸37に伝達されるエンジン7からの駆動力によって駆動するように構成してある。チャージポンプ102及び油圧ポンプ131を遊星伝動ケース部96にコンパクトに配設でき、煩雑な加工も不要となる。
チャージポンプ102及び油圧ポンプ131は、エンジン7からの駆動力によって動作するので、外部の動力を必要としない。チャージポンプ102及び油圧ポンプ131は、エネルギ効率の観点から、減速出力軸38のような下流側より入力軸37のような上流側に配設してあることが好ましい。
【0135】
無段変速部40に供給される作動油は、油圧ポンプ41と油圧モータ42の間の駆動力の伝達を目的とするため、
図11から
図13に示すようなオイルフィルター105によって異物が除去されたきれいな油である必要がある。一方、遊星伝動部50に供給される操作油や、伝動機構60に供給される操作油は各ギヤや各ベアリングの潤滑や冷却、クラッチの切替えができればよいため、前記作動油ほどきれいな油でなくてもよい。
【0136】
チャージポンプ102は、軸ケース29が連結する部位に配設してあり、油圧ポンプ131は無段変速ケース35側に配設してある。チャージポンプ102と油圧ポンプ131の間には、両ポンプによって供給される種類の異なる油同士の混同を防止するためにオイルシールが必要である。一方、油圧ポンプ131から入力軸37を伝って遊星伝動室96Aに潤滑油が漏れても特に不具合はないため、これを防止するためのオイルシールを入力軸37に備える必要がない分、部品点数の削減が図られる。
【0137】
図11は、無段変速装置30を示す左側面図である。
図12は、無段変速装置30を示す右側面図である。
図13は、無段変速装置30を示す平面図である。
図11から
図13に示すように、入力軸37(モータ軸41a)、中継軸61、無段出力軸42a(回転支軸51)、及び減速出力軸38は、それぞれの上方からこの順となるように配設してある。
【0138】
入力軸37と無段出力軸42aとは、上下方向に並べてある。これにより、油圧ポンプ41と油圧モータ42との並びを上下方向の並びにすることで、ポートブロック43に循環油路44などを形成する作業が容易となっている。
【0139】
中継軸61は、上下方向視で入力軸37と無段出力軸42aとの間に配設され、かつ、前後方向視で入力軸37及び無段出力軸42aよりも後方に配設されている。中継軸61は、減速出力軸38よりもやや前方に配設されている。これにより、無段変速ケース35の前後方向長さを短くできるように構成してある。
【0140】
入力軸37とエンジン7の出力軸7aとの間隔を、走行伝動手段26の前後方向長さがあまり長くならないように、適切な間隔に設定することで、走行伝動手段26による適切な動力伝達ができるように構成してある。
【0141】
無段変速部40の点検や組み付けを行なうときには、ポートブロック43を取り外して無段変速ケース部95の内部を開口することができるので作業性がよい。
なお、ポートブロック43は、油圧ポンプ41と油圧モータ42とを接続する循環油路44に掛かる作動油の高圧に耐える強度を備えるように、ダグタイル鋳鉄などによって作製してある。
【0142】
図3から
図5、
図11から
図13に示すように、オイルフィルター105及びモータ制御バルブ機構111は、無段変速装置30の前面部30fであって、正面視で隔壁97と重なる箇所に上下方向に並べて配設してある
【0143】
無段変速部40のみを収容する無段変速室95Aは、遊星伝動部50や伝動機構60を収容する遊星伝動室96Aに比べて、コンパクトにすることができる。
図4に示すように、無段変速ケース35の底面は、隔壁97を境に無段変速室95A側の底面を、遊星伝動室96A側の底面に対して上側に設定することで段違い状に構成することができる。
無段変速ケース35を、無段変速室95A側の底面の下方に機体フレーム1が位置するように配設することで、機体フレーム1と無段変速ケース35との干渉の虞が低減される。
【0144】
オイルフィルター105及びモータ制御バルブ機構111は、搬送装置15の搬送経路から外れた右寄りに配設されるため、搬送装置15によって搬送される刈取穀稈が触れ難い。特に、モータ制御バルブ機構111は、オイルフィルター105と、モータ制御バルブ機構111はこの順で上下方向に並設されているため、搬送される刈取穀稈との接触をより回避し易い。
【0145】
運転部3の運転キャビン3aは、
図14(a),(b)に示すように、運転キャビン3aの左後方に配設された上下向きの開閉軸心Gまわりに回動操作することにより、前方向きに支持された作業用の閉じ状態と、斜め右方に支持された管理用の開き状態とに切替え可能に構成してある。
刈取部4も、
図14(a),(b)に示すように、刈取部フレーム10の基部に配設された上下向きの開閉軸心Pまわりに回動操作することにより、前方向きに支持された作業用の閉じ状態と、斜め左方に支持された管理用の開き状態とに切替え可能に構成してある。
オイルフィルター105及びモータ制御バルブ機構111を交換や点検する作業を行なうときに、運転キャビン3a及び刈取部4を開き状態に切替えることにより、無段変速装置30の前方に広い作業用スペースができるので走行機体の前方からメンテナンスの作業性がより向上する。
【0146】
(オイルフィルター)
図19(a)及び
図19(b)に示すように、オイルフィルター105は、基端側に設けられた取付ネジ部105Cを備え、無段変速ケース35の前面部30fに設けられたフィルター支持部140に取付ネジ部105Cによって脱着可能に支持するようにカセット構造に構成してある。フィルター支持部140に、オイルフィルター105の濾過前域105Aに連通する給油路141と、オイルフィルター105の濾過後域105Bに連通する取出油路142と、給油路141及び取出油路142に連通した排油路143と、ドレン筒部144とを形成してある。ドレン筒部144にドレンプラグ150を装着してある。
【0147】
図20は、ドレンプラグ150を示す断面図である。
図20に示すように、ドレンプラグ150は、プラグ本体151と、プラグ本体151の基端側に連結した操作部152とを備えている。プラグ本体151の内部にドレン流路153を形成してある。ドレン流路153は、プラグ本体151の先端側に開口している。プラグ本体151の先端側における外周部の二箇所にシールリング154を装着してある。プラグ本体151の基端側にドレン孔155を設けてある。ドレン孔155は、ドレン流路153に連通している。
【0148】
図19(a)は、オイルフィルター105を作用させる通常時のフィルター支持部140を示す断面図である。
図19(a)に示すように、オイルフィルター105を作用させる通常時は、ドレンプラグ150を、プラグ本体151が排油路143の奥まで入り込んだ閉じ状態にし、操作部152に設けてあるネジ部152aのドレン筒部144におけるネジ部への嵌り合いによって閉じ状態に固定する。ドレンプラグ150は、閉じ状態になると、プラグ本体151のうちの2つのシールリング154,154の間に位置する部位で、排油路143に臨む給油路141の開口を閉じることによって、給油路141と取出油路142との排油路143による連通を絶つことにより、かつ、ドレン孔155がドレン筒部144の内部に入り込んでドレン筒部144によって閉じられることにより、オイルフィルター105に所定の濾過作用を行なわせる。
【0149】
図19(b)は、ドレン操作時のフィルター支持部140を示す断面図である。
図19(b)に示すように、操作部152を回転操作してネジ部152aとドレン筒部144との嵌り合いを解除し、ネジ部152aとドレン筒部144との嵌り合いが外れると、プラグ本体151をドレン筒部144の外側に向けてスライド操作してドレンプラグ150を開き状態にする。ドレンプラグ150は、開き状態になると、プラグ本体151が給油路141から外れて給油路141を開くことによって、給油路141と取出油路142とを排油路143によって連通された状態にすることにより、かつ、ドレン孔155がドレン筒部144の外側に出ることにより、オイルフィルター105の内部に位置する作動油を、給油路141及び取出油路142から排油路143に流出させ、排油路143からドレン流路153に流動させてドレン孔155から流出させる。したがって、オイルフィルター105をフィルター支持部140から取り外すのに先立って、ドレンプラグ150を開き状態に操作すれば、オイルフィルター105から作動油を取出しておくことができ、オイルフィルター105をフィルター支持部140から取り外すと同時にオイルフィルター105から作動油がこぼれ出ることを回避できる。
【0150】
このドレン構造によれば、給油路141及び取出油路142を、排油路143及びドレン流路153を介してドレン孔155に連通させて、オイルフィルター105の内部に位置する作動油を給油路141と取出油路142の両油路から排出できることにより、オイルフィルター105の作動油の排出を迅速にできる。プラグ本体151がドレン筒部144から外側に突出する長さを調節することにより、ドレン孔155のドレン筒部144に対する取出位置を調節することができて便利である。また、ドレンプラグ150を回転調節することにより、ドレン孔155の開口の向きを前後方向に調節することができて便利である。
【0151】
(油圧回路)
次に、無段変速装置30の油圧回路について詳述する。
図15に示すように、無段変速装置30の油圧回路は、入力軸37に伝達されるエンジン7からの駆動力によって駆動するチャージポンプ102により、無段変速部40に作動油を供給する作動系油路と、入力軸37に伝達されるエンジン7からの駆動力によって駆動する油圧ポンプ131により遊星伝動部50や伝動機構60の切替クラッチ70、前進クラッチ66及び後進クラッチ68に操作油を供給する操作系油路と、操作系油路から分岐して遊星伝動部50に潤滑油を供給する潤滑系油路を備えている。したがって、作動系油路の作動油は、単動型油圧シリンダ107,108や複動型油圧シリンダ80の操作油でもある。また、操作系油路の操作油と潤滑系油路の潤滑油は同じ油である。
【0152】
まず、作動系油路を説明する。チャージポンプ102の吸引側から延出した吸引油路103は、走行伝動ケース32の無段変速ケース部95の無段変速室95Aに接続してある。チャージポンプ102の吐出側から延出した給油路106は、オイルフィルター105を備え、その下流側が無段変速部40に接続してある。
チャージポンプ102は、無段変速室95Aに貯留された作動油を吸引し、吸引した作動油を、オイルフィルター105によって鉄粉などの異物を除去した後に、無段変速部40に作動油として供給する。なお、給油路106には、オイルフィルター105の下流側で補給油路104が接続してある。
【0153】
変速制御バルブ機構81は、給油路106のうちオイルフィルター105よりも下流側の部位と、パイロット油路117を介して接続してあり、チャージポンプ102によって給油路106に供給され、オイルフィルター105によって異物が除去された作動油をパイロット油路117を介して操作油として取り入れる。
【0154】
運転部3に備えられた操作装置の主変速レバー85を増速側に切替えると、パイロット油路117から取り入れられた操作油は、変速制御バルブ機構81の方向制御弁115a及び操作油路114aを介して、複動型油圧シリンダ80の第一油室419に供給される。
主変速レバー85を減速側に切替えると、パイロット油路117から取り入れられた操作油は、変速制御バルブ機構81の方向制御弁115b及び操作油路114bを介して、複動型油圧シリンダ80の第二油室420に供給される。
このようにして、複動型油圧シリンダ80が伸縮され、油圧ポンプ41のポンプ斜板41bの角度が変更される。
【0155】
単動型油圧シリンダ107,108には一対の操作油路110a,110bを介してモータ制御バルブ機構111が接続してある。
モータ制御バルブ機構111は、給油路106のうちのオイルフィルター105よりも下流側の部位と、パイロット油路112によって接続してあり、チャージポンプ102によって給油路106に供給され、オイルフィルター105によって異物が除去された作動油をパイロット油路112を介して操作油として取り入れる。
【0156】
運転部3に備えられた操作装置の副変速レバーを減速側に切替えると、給油路106から取り入れられた操作油は、モータ制御バルブ機構111の方向制御弁111a及び操作油路110aを介して単動型油圧シリンダ107(減速油圧シリンダ)に供給される。
【0157】
運転部3に備えられた操作装置の副変速レバーを増速側に切替えると、給油路106から取り入れられた操作油は、モータ制御バルブ機構111の方向制御弁111b及び操作油路110bを介して単動型油圧シリンダ108(増減速油圧シリンダ)に供給される。
このようにして一対の単動型油圧シリンダ107,108がそれぞれ伸縮され、油圧モータ42のモータ斜板42bの角度が変更される。
【0158】
補給油路104は、逆止弁及びリリーフ弁を介して循環油路44に接続されている。
チャージポンプ102によって給油路106に供給され、オイルフィルター105によって異物が除去された作動油が補給油路104を介して循環油路44に供給される。油圧ポンプ41や油圧モータ42や循環油路44から作動油がリークしても、循環油路44では必要量の作動油が維持される。
【0159】
図15に示すように、油圧回路は、回路圧調節機構120を備えている。
回路圧調節機構120は、給油路106のうちオイルフィルター105よりも下流側にリリーフ回路121を介して接続された一対のリリーフ弁122,123と、リリーフ回路121に備えられた開閉弁124と、を備えている。開閉弁124は、電磁方向制御弁125によって切替え操作されるように構成してある。
【0160】
回路圧調節機構120は、開閉弁124が開閉操作されることにより、給油路106の回路圧を高低二段階に切替え調節するように構成してある。
【0161】
開閉弁124は、閉じ操作されることにより、リリーフ回路121のうちの一対のリリーフ弁122,123の間に位置する部位を閉じ、一対のリリーフ弁122,123のうちの低圧側のリリーフ弁123と給油路106との接続を絶つ。この結果、リリーフ回路121のリリーフ圧が高圧側のリリーフ弁122によって高リリーフ圧に設定され、給油路106の回路圧が高圧に調節される。
【0162】
開閉弁124は、開き操作されることにより、リリーフ回路121のうちの一対のリリーフ弁122,123の間に位置する部位を開き、低圧側のリリーフ弁123と給油路106とを接続する。この結果、リリーフ回路121のリリーフ圧が低圧側のリリーフ弁123によって低リリーフ圧に設定され、給油路106の回路圧が低圧に調節される。
【0163】
次に、操作系油路を説明する。
図15に示すように、油圧ポンプ131の吸引側から延出した吸引油路101は、オイルフィルター101aとオイルクーラー101bを介して、走行伝動ケース32の遊星伝動ケース部96の遊星伝動室96Aに接続してある。油圧ポンプ131の吐出側から延出した給油路130は、切替バルブ機構82に接続してある。
【0164】
切替バルブ機構82は、無段変速装置30の駆動モードをHSTモードとHMTモードとに切替え、かつ無段変速装置30の出力回転方向を前進回転方向と後進回転方向とに切替えるものであり、4つの電磁方向制御弁126,127,128,129を備えている。電磁方向制御弁126,127,128,129には、給油路130を介して油圧ポンプ131から操作油が供給される。
【0165】
電磁方向制御弁126は、切替クラッチ70の油圧室73に対する操作油の給排を行なって、切替クラッチ70を切り状態と入り状態とに切替え操作する。
【0166】
電磁方向制御弁127は、前進クラッチ66の油圧室78aに給油して前進クラッチ66を入り状態に切替え操作する。
電磁方向制御弁129は、前進クラッチ66の油圧室78bに給油して前進クラッチ66を切り状態に切替え操作する。
つまり、前進クラッチ66の切替え操作は、クラッチ本体65をクラッチ部66aの切り側に付勢するスプリング65kと、クラッチ本体65をクラッチ部66aの入り側または切り側に移動操作する油圧室78aまたは油圧室78bへの操作油の給油の制御によって行われる(
図8参照)。
【0167】
電磁方向制御弁128は、後進クラッチ68の油圧室79aに給油して後進クラッチ68を入り状態に切替え操作する。
電磁方向制御弁129は、後進クラッチ68の油圧室79bに給油して後進クラッチ68を切り状態に切替え操作する。
つまり、後進クラッチ68の切替え操作は、クラッチ本体67をクラッチ部68aの切り側に付勢するスプリング67kと、クラッチ本体67をクラッチ部68aの入り側または切り側に移動操作する油圧室79aまたは油圧室79bへの操作油の給油の制御によって行われる(
図8参照)。
【0168】
給油路130に、切替バルブ機構82のシステム圧を設定する圧力制御弁132を介してミッション制御バルブ機構133を接続してある。
ミッション制御バルブ機構133は、走行伝動装置31が備える操向クラッチ、旋回ブレーキ、緩旋回クラッチ及び逆転クラッチを切替え操作するものである。
【0169】
給油路130には、切替バルブ134を介して潤滑系油路が接続されている。
潤滑系油路は、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に切替えられ、切替クラッチ70が入り状態に切替えられたとき、すなわち無段変速装置30がHSTモードに切替えられたときに、切替バルブ134によって給油路130から操作油を抜き出し、抜き出した操作油を遊星伝動部50、特に遊星ギヤ53へ潤滑油として供給するための油路である。
【0170】
図7から
図13に示すように、遊星伝動部50は、太陽ギヤ52などのギヤ同士の噛み合いにより動力を伝達する構成であるため、ギヤ同士の接触の円滑や、接触による発熱の冷却の目的で、潤滑油が十分に供給される必要がある。
しかし、遊星伝動室96Aには、潤滑油が多すぎるとギヤの駆動力への負荷となり、ギヤ伝動効率が低下するため、遊星伝動室96Aにおける潤滑油の貯留量は必要最小限の量、具体的には、遊星ギヤ53の自転軸心の軌跡のうちの最下端の高さ以下であって、キャリア54の外周の最下端の高さ以上となる所定量しか貯留されていない。
そこで、遊星伝動部50には、潤滑油を遊星ギヤ53に十分に供給するための供給部が備えられている。該供給部が潤滑系油路の一部を構成する。
なお、遊星伝動室96Aに対して、無段変速室95Aには作動油が満杯またはほぼ満杯状態で貯留されている。遊星伝動室96Aと無段変速室95Aにそれぞれ貯留される油の種類と油面の高さは異なるが、隔壁97によって両油の混同は防止されている。
【0171】
潤滑油を遊星ギヤ53に供給するための供給部について詳述する。
遊星ギヤ53を回転可能に支持する支持部58は、転がり軸受で構成されている。
前記転がり軸受は、キャリア54から突設された回転軸部58aと、回転軸部58aの周囲に配設された円柱体58bとで構成されている。
回転軸部58aには、遊星ギヤ油路53aが形成されている。
遊星ギヤ油路53aは、キャリア54側の左端から軸心に沿って形成された油路と、円柱体58bに対応する位置で回転軸部58aの径方向に形成され円柱体58bの側面に開口した油路とで構成されている。
【0172】
キャリア54には、キャリア油路54aが形成されている。
キャリア油路54aは、キャリア54の内周部から径方向に沿って形成され、その端部で遊星ギヤ油路53aと連通する。
【0173】
潤滑油路51d,51e,51fとキャリア油路54aとは、第一ベアリング51x及び第二ベアリング52xとの間隙を介して連通する。
【0174】
つまり、遊星ギヤ油路53a、キャリア油路54a、潤滑油路(出力軸油路)51d,51e,51f、第一ベアリング51x及び第二ベアリング52xとの間隙などを備えて供給部が構成され、潤滑油路51dから供給された潤滑油は、第一ベアリング51x及び第二ベアリング52xとの間隙、キャリア油路54a、遊星ギヤ油路53aを介して、遊星ギヤ53に供給される。
【0175】
(走行伝動ケース)
図4及び
図7に示すように、走行伝動ケース32の上端32tは、遊星伝動ケース部96の上端96tより下方であって、無段変速ケース35の高さ方向のほぼ中央位置より下方に位置するように配設されている。
遊星伝動ケース部96の右側で走行伝動手段26を構成しているプーリ軸28は走行伝動ケース32よりも上方に位置している。
つまり、エンジン7から無段変速装置30の入力軸37への駆動力の入力は、遊星伝動ケース部96の走行伝動装置31が連結している側であって、走行伝動ケース32よりも上方に位置するプーリ軸28から行われる。
【0176】
図13に示すように、無段変速ケース35の平面視で、無段変速ケース部95の後方端95rが遊星伝動ケース部96の後方端96rよりも前方に位置する形状に形成してある。この構成により無段変速ケース35の右後方には平面視で切欠き状の空間Sが形成される。無段変速装置30と、無段変速装置30の後方に位置するエンジン7との間に形成されたこの空間Sに変速制御バルブ機構81を配設することができるので、エンジン7が変速制御バルブ機構81の配設に対する障害にならない。
【0177】
図11に示すように、無段変速ケース35のうちの遊星伝動ケース部96の上部には、後方ほど低い傾斜形状の傾斜部位93が形成してある。
図11から
図13に示すように、この傾斜部位93に、切替クラッチ70、前進クラッチ66及び後進クラッチ68に供給される操作油の供給、停止を切替えるための切替バルブ機構82が配設してある。
【0178】
入力軸37を中継軸61よりも前方上方に配設することにより、遊星伝動ケース部96の後方上部に傾斜部位93が備えられる。傾斜部位93を備えることによって、遊星伝動ケース部96の後方上方にスペースが形成される。このスペースを切替バルブ機構82の収容スペースに活用することで、切替バルブ機構82を無段変速ケース35にコンパクトに支持することができる。
【0179】
切替バルブ機構82は、傾斜部位93のうちの隔壁97寄りの部位に配設してある。したがって、切替バルブ機構82と前進クラッチ66及び後進クラッチ68の油圧室78aと油圧室79aとを接続するように隔壁97の内部に形成された操作油路に対して切替バルブ機構82を近付けて、操作油路と切替バルブ機構82とを接続する接続油路の長さを短くできる。
隔壁97の内部に操作油や潤滑油を各部に供給するための油路を形成することで、油路の取り回しが単純な構成できる。
【0180】
オイルフィルター105は、チャージポンプ102とほぼ同じ高さに設けられる。チャージポンプ102からオイルフィルター105に至る給油路106を無段変速ケース35の前面の内部に水平方向に沿って配設することができるため、給油路106の形成が容易となり、給油路106での圧力損失を少なくすることができる。
【0181】
図25に示すように、チャージポンプ102から吐出された作動油は、無段変速ケース35の前面に形成された油路を介して、オイルフィルター105に至り、そこから無段変速ケース35の上部壁で、ポートブロック43の循環油路44に至る経路と、モータ制御バルブ機構111に至る経路に分岐され、モータ制御バルブ機構111に供給され、そこで分岐され、一方は、無段変速ケース35の前面に形成された油路を介して単動型油圧シリンダ107,108に供給され、他方は隔壁97に形成されたパイロット油路117を介して変速制御バルブ機構81に経路される。
なお、油圧ポンプ131から吐出された操作油は、無段変速ケース35の上部壁に形成された油路を介して、無段変速ケース35の背面に配設された切替バルブ機構82に至り、そこで分岐され、切替クラッチ70、前進クラッチ66及び後進クラッチ68の油室や遊星伝動部50にそれぞれ供給される。
【0182】
(制御装置)
図16には、無段変速装置30の制御装置83が示されている。
無段変速装置30の制御装置83はマイクロコンピュータによって構成してあり、変速制御手段90を備えてある。
【0183】
制御装置83には、操作位置センサ86が検出した主変速レバー85の操作位置、エンジン回転センサ87が検出したエンジン7の出力速度、無段出力回転センサ88が検出した無段変速部40の出力速度、変速出力回転センサ89が検出した無段変速装置30の出力速度などの各情報が入力される。
【0184】
変速制御手段90は、操作位置センサ86、エンジン回転センサ87、無段出力回転センサ88及び変速出力回転センサ89からの検出情報に基づいて、無段変速装置30の駆動モード、減速出力軸38の回転方向、及び減速出力軸38の回転速度が主変速レバー85の操作位置に対応した駆動モード、回転方向及び回転速度になるように、複動型油圧シリンダ80を制御することによって油圧ポンプ41の変速操作を行なう変速制御バルブ機構81と、前進クラッチ66、後進クラッチ68及び切替クラッチ70を操作することによって、無段変速装置30の駆動モードをHSTモードとHMTモードとに切替え、かつ無段変速装置30の出力回転方向を前進回転方向と後進回転方向とに切替える切替バルブ機構82を制御するように構成してある。
【0185】
主変速レバー85を操作することにより、油圧ポンプ41の変速操作、前進クラッチ66、後進クラッチ68、切替クラッチ70の切替え操作が変速制御手段90によって
図17に示すように行われ、
図18に示すように減速出力軸38を変速駆動できる。
【0186】
以下に詳述する。
図17は、前進クラッチ66、後進クラッチ68及び切替クラッチ70の入り状態またや切り状態の操作状態と、無段変速装置30の駆動モードと、無段変速部40の変速状態と、減速出力軸38の回転方向と、減速出力軸38の回転速度との関係を示す説明図である。
【0187】
図17に示す「F」は、無段変速部40の前進伝動状態を示し、「R」は、無段変速部40の後進伝動状態を示す。
図17に示す「切」は、前進クラッチ66、後進クラッチ68及び切替クラッチ70の切り状態を示し、「入」は、前進クラッチ66、後進クラッチ68及び切替クラッチ70の入り状態を示す。
図17に示す「前進回転」は、減速出力軸38の前進回転方向を示し、「後進回転」は、減速出力軸38の後進回転方向を示す。
図17に示す「FL」は、減速出力軸38が前進回転における低速回転域で駆動されることを示し、「FM」は、減速出力軸38が前進回転における中速回転域で駆動されることを示し、「FH」は、減速出力軸38が前進回転における高速回転域で駆動されることを示す。
図17に示す「RL」は、減速出力軸38が後進回転における低速回転域で駆動されることを示し、「RM」は、減速出力軸38が後進回転における中速回転域で駆動されることを示し、「RH」は、減速出力軸38が後進回転における高速回転域で駆動されることを示す。
【0188】
図17に示すように、無段変速装置30は、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に切替クラッチ70が入り状態に切替え、HSTモードになる。
無段変速装置30は、HSTモードになると、無段変速部40を変速作用させて遊星伝動部50を変速作用させず、入力軸37の駆動力を無段変速部40に入力して変速した駆動力を、無段出力軸42aから遊星出力軸56を介して減速伝動機構75に伝達して減速し、減速した駆動力によって減速出力軸38を駆動する。
【0189】
図17に示すように、無段変速装置30は、前進クラッチ66と後進クラッチ68との一方が入り状態に切替クラッチ70が切り状態に切替え、HMTモードになる。
無段変速装置30は、HMTモードになると、無段変速部40及び遊星伝動部50を変速作用させ、入力軸37の駆動力を無段変速部40に入力して変速した駆動力と、入力軸37の駆動力とを、遊星伝動部50によって合成し、その合成駆動力を遊星出力軸56から減速伝動機構75に伝達して減速し、減速した合成駆動力によって減速出力軸38を駆動する。
【0190】
図18は、無段変速部40の変速状態と、減速出力軸38の回転方向と、減速出力軸38の回転速度との関係を示す説明図である。
図18の横軸は、無段変速部40の変速状態を示し、縦軸は、減速出力軸38の回転方向及び回転速度を示す。横軸の「n」は、無段変速部40の中立状態を示し、横軸の「−max」は、無段変速部40の後進駆動状態での最高速度位置を示し、横軸の「+max」は、無段変速部40の前進駆動状態での最高速度位置を示す。
図18に示す実線RLは、HSTモードで、かつ後進回転で駆動される減速出力軸38の出力を示し、実線RM,RHは、HMTモードで、かつ後進回転で駆動される減速出力軸38の出力を示す。
図18に示す実線FLは、HSTモードで、かつ前進回転で駆動される減速出力軸38の出力を示し、実線FM,FHは、HMTモードで、かつ前進回転で駆動される減速出力軸38の出力を示す。
【0191】
主変速レバー85を中立位置「N」(
図16参照)に操作すると、無段変速部40が中立状態「n」に変速操作され、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に操作され、減速出力軸38が停止される。
【0192】
主変速レバー85を中立位置「N」から前進域「F」(
図16参照)に操作すると、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に操作され、切替クラッチ70が入り状態に操作され、無段変速装置30がHSTモードになる。主変速レバー85を前進域「F」において、中立位置「N」から前進最高速度位置に向けて操作していくと、主変速レバー85の操作位置が前進域「F」の第一中間位置になるまでは、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に維持され、かつ切替クラッチ70が入り状態に維持されて、減速出力軸38がHSTモードで前進回転方向に駆動される。そして、実線FLで示すように、無段変速部40が前進駆動状態において、最高速度位置「+max」に向けて増速操作されていき、減速出力軸38の前進回転速度が無段階に増速していく。主変速レバー85の操作位置が前進域「F」の第一中間位置になると、無段変速部40が前進駆動状態の最高速度位置「+max」に変速操作され、減速出力軸38の前進回転速度が「FV1」になる。
【0193】
主変速レバー85の操作位置が前進域「F」の第一中間位置になると、前進クラッチ66が入り状態に切替え操作され、切替クラッチ70が切り状態に切替え操作されて、無段変速装置30がHSTモードからHMTモードに切替わる。前進クラッチ66の入り状態への切替えは、切替ショックが発生しないように、クラッチ本体65と前進伝動ギヤ63との回転速度が一致したタイミングで行われる。
【0194】
主変速レバー85を前進域「F」の第一中間位置から前進最高速度位置に向けて操作していくと、前進クラッチ66が入り状態に維持され、後進クラッチ68が切り状態に維持され、切替クラッチ70が切り状態に維持されて、減速出力軸38がHMTモードで前進回転方向に駆動される。そして、実線FMで示すように、無段変速部40が前進駆動状態において、中立状態「n」に向けて減速操作されていき、減速出力軸38の前進回転速度が無段階に増速していく。主変速レバー85の操作位置が前進域「F」の第二中間位置になると、無段変速部40が前進駆動状態から後進駆動状態に変速操作される。
【0195】
主変速レバー85を前進域「F」の第二中間位置から前進最高速度位置に向けて操作していくと、前進クラッチ66が入り状態に維持され、後進クラッチ68が切り状態に維持され、切替クラッチ70が切り状態に維持されて、減速出力軸38がHMTモードで駆動される。そして、実線FHで示すように、無段変速部40が後進駆動状態の最高速度位置「−max」に向けて減速操作されていき、減速出力軸38の前進回転速度がさらに無段階に増速していく。主変速レバー85の操作位置が前進最高速度位置になると、無段変速部40が後進駆動状態の最高速度位置「−max」に変速操作され、減速出力軸38の前進回転速度が最高速度「FV2」になる。
【0196】
主変速レバー85を中立位置「N」から後進域「R」(
図16参照)に操作すると、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に操作され、切替クラッチ70が入り状態に操作され、無段変速装置30がHSTモードになる。主変速レバー85を後進域「R」において、中立位置「N」から後進最高速度位置に向けて操作していくと、主変速レバー85の操作位置が後進域「R」の第一中間位置になるまでは、前進クラッチ66及び後進クラッチ68が切り状態に維持され、かつ切替クラッチ70が入り状態に維持されて、減速出力軸38がHSTモードで後進回転方向に駆動される。そして、実線RLで示すように、無段変速部40が後進駆動状態において、最高速度位置「−max」に向けて減速操作されていき、減速出力軸38の後進回転速度が無段階に増速していく。主変速レバー85の操作位置が後進域「R」の第一中間位置になると、無段変速部40が後進駆動状態の最高速度位置「−max」に変速操作され、減速出力軸38の後進回転速度が「RV1」になる。
【0197】
主変速レバー85の操作位置が後進域「R」の第一中間位置になると、後進クラッチ68が入り状態に切替え操作され、切替クラッチ70が切り状態に切替え操作されて、無段変速装置30がHSTモードからHMTモードに切替わる。後進クラッチ68の入り状態への切替えは、切替ショックが発生しないように、クラッチ本体67と後進伝動ギヤ64との回転速度が一致したタイミングで行われる。
【0198】
主変速レバー85を後進域「R」の第一中間位置から後進最高速度位置に向けて操作していくと、後進クラッチ68が入り状態に維持され、前進クラッチ66が切り状態に維持され、切替クラッチ70が切り状態に維持されて、減速出力軸38がHMTモードで後進回転方向に駆動される。そして、実線RMで示すように、無段変速部40が後進駆動状態において、中立状態「n」に向けて減速操作されていき、減速出力軸38の後進回転速度が無段階に増速していく。主変速レバー85の操作位置が後進域「R」の第二中間位置になると、無段変速部40が後進駆動状態から前進駆動状態に変速操作される。
【0199】
主変速レバー85を後進域「R」の第二中間位置から後進最高速度位置に向けて操作していくと、後進クラッチ68が入り状態に維持され、前進クラッチ66が切り状態に維持され、切替クラッチ70が切り状態に維持されて、減速出力軸38がHMTモードで駆動される。そして、実線RHで示すように、無段変速部40が前進駆動状態の最高速度位置「+max」に向けて増速操作されていき、減速出力軸38の後進回転速度がさらに無段階に増速していく。主変速レバー85の操作位置が後進最高速度位置になると、無段変速部40が前進駆動状態の最高速度位置「+max」に変速操作され、減速出力軸38の後進回転速度が最高速度「RV2」になる。
【0200】
〔別実施形態〕
(1)上述した実施形態では、隔壁97を無段変速ケース35に一体形成した例を示したが、無段変速ケース35とは別部材に作製してから無段変速ケース35に装着するよう構成して実施してもよい。
【0201】
(2)上述した実施形態では、後進走行においても、走行装置2をHSTモード及びHMTモードで変速駆動できるように構成した例を示したが、後進クラッチ68を備えず、後進走行においては、走行装置2をHSTモードだけで変速駆動するように構成して実施してもよい。
【0202】
(3)上述した実施形態では、無段変速部40と遊星伝動部50とを左右方向に並べた例を示したが、前後方向に並べて実施してもよい。
【0203】
(4)上述した実施形態では、無段変速部40を遊星伝動部50の左側に配設した例を示したが、無段変速部40を遊星伝動部50の右側に配設して実施してもよい。
【0204】
(5)上述した実施形態では、遊星伝動ケース部96を第一分割遊星伝動ケース部98と第二分割遊星伝動ケース部99との2つに分割可能に構成した例を示したが、3つに分割可能に構成して実施してもよい。すなわち、第二分割遊星伝動ケース部99を、第一分割遊星伝動ケース部98の上端側部分に対応する上端側第二分割遊星伝動ケース部と、第一分割遊星伝動ケース部98の下端側部分に対応する下端側第二分割遊星伝動ケース部とに分割可能に構成して実施してもよい。
【0205】
(6)上述した実施形態では、無段変速ケース35の平面視での形状を、無段変速ケース部95の後方端95rが遊星伝動ケース部96の後方端96rよりも前方に位置する形状に形成した例を示したが、無段変速ケース部95の後方端95rが遊星伝動ケース部96の後方端96rよりも後方に位置する形状、あるいは無段変速ケース部95の後方端95rと、遊星伝動ケース部96の後方端96rとが左右方向に直線状に並ぶ形状に形成して実施してもよい。
【0206】
(7)上述した実施形態では、変速制御バルブ機構81及び切替バルブ機構82を無段変速ケース35に装着した例を示したが、無段変速ケース35とは別の支持部材に支持して実施してもよい。
【0207】
(8)上述した実施形態では、走行伝動ケース32の上端32tが遊星伝動ケース部96の上端96tよりも下方に位置するよう構成した例を示したが、走行伝動ケース32の上端32tが遊星伝動ケース部96の上端96tよりも上方に位置するよう構成して、あるいは、走行伝動ケース32の上端32tと遊星伝動ケース部96の上端96tとが同一高さに位置するように構成して実施してもよい。
【0208】
(9)上述した実施形態では、エンジン7が無段変速装置30の後方に位置するよう構成した例を示したが、エンジン7が無段変速装置30の上方や前方に位置するよう構成して実施してもよい。
【0209】
(10)上述した実施形態では、クローラ式の走行装置2を設けた実施形態を示したが、車輪式の走行装置を設けて実施してもよい。
【0210】
(11)上述した実施形態では、運転キャビン3aを備えた例を示したが、運転キャビン3aを備えないで実施してもよい。
【0211】
(12)上述した実施形態では、斜板角度を変更するアクチュエータを配設するための外側領域Uが、油圧ポンプ41及び油圧モータ42の前方に設定された構成について説明したが、外側領域Uは、油圧ポンプ41及び油圧モータ42の後方や下方や上方に設定してもよい。
【0212】
(13)上述した実施形態では、アクチュエータによって油圧モータ42のモータ斜板42bの傾斜角度を操作する構成について説明したが、複動型油圧シリンダ80を用いずに、アクチュエータによって油圧ポンプ41のポンプ斜板41bを操作する構成であってもよい。また、アクチュエータを二つ備えて、油圧ポンプ41のポンプ斜板41bの傾斜角度と、油圧モータ42のモータ斜板42bの傾斜角度をそれぞれ操作する構成であってもよい。