(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0021】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図と断面図が対応する場合においても、各部位の大きさを変えて表示する場合がある。
【0022】
(実施の形態)
本実施の形態の半導体装置(半導体集積回路装置)は、例えば複数の半導体素子と、複数の半導体素子の上部に形成された複数層の配線(多層配線)と、複数層の内の最上層の配線に接続された複数の再配線を有する半導体チップを有し、複数の半導体素子は前記多層配線または複数の再配線により接続される。本実施の形態の半導体装置1Aについて説明する。
【0023】
<半導体装置について>
図1は、本実施の形態である半導体装置の要部平面図である。
図2は、
図1のA−A線に沿う要部断面図であり、
図3は、
図1のB−B線に沿う要部断面図である。
【0024】
図1には、半導体装置1Aに含まれる3つの外部端子EXT1、EXT2、EXT3を示している。外部端子は、半導体装置1Aに信号、電源電位、または、基準電位を印加するための端子である。3つの外部端子EXT1、EXT2、EXT3は、各々、第3層Al配線9、再配線RM、および外部パッド電極13を有する。第3層Al配線9は、再配線RMを介して外部パッド電極13に電気的に接続されている。外部端子EXT1、EXT2、EXT3は、半導体装置1Aの外部との電気的接続を取るための端子であり、外部パッド電極13には、ワイヤ27が接続されているが、
図1には、ワイヤ27と外部パッド電極13の接続部分であるボール部27aを示している。
【0025】
図1に示す外部端子EXT1は、例えば、紙面のX方向(横方向)に、幅W1をもって延在する再配線RMを有する。再配線RMの一端は、第3層Al配線9の上面(表面)のパッド電極9aに接続しており、他端は、外部パッド開口12aで外部パッド電極13に接続している。外部パッド電極13は、ワイヤ27のボール部27aが接続するボール接続部13aと再配線RMとの電気的接続をとるための突出部13bとで構成されている。ボール接続部13aと突出部13bとは、ともに略矩形形状を有する。突出部13bは、再配線RMと重なっているが、ボール接続部13aは、再配線RMの外側に位置し、再配線RMとは重なっていない。再配線RMの延在方向と直交する方向である、紙面のY方向(縦方向)におけるボール接続部13aの幅W2は、突出部13bの幅W3よりも大である(W2>W3)。また、ボール接続部13aの幅W2は、再配線RMの幅W1よりも大である(W2>W1)。再配線RMの外側とは、再配線RMが形成されていない領域を意味する。
【0026】
次に、外部端子EXT2について説明する。外部端子EXT2を構成する再配線RMは、幅W1をもって紙面のX方向に延在し、外部端子EXT1と同様に、再配線RMの一端は、第3層Al配線9の上面(表面)のパッド電極9aに接続しており、他端は、外部パッド開口12aで外部パッド電極13に接続している。外部パッド電極13の構造も、外部端子EXT1と同様であるが、ボール接続部13aと突出部13bとが、外部端子EXT1とは、逆方向に配置されている。ボール接続部13aと突出部13bの両方が、再配線RMと重なっている。ボール接続部13aの幅W2が再配線RMの幅W1よりも大きいので、ボール接続部13aの一部およびボール部27aの一部は、再配線RMの外側にはみ出している。
【0027】
外部端子EXT2の再配線RMと外部端子EXT1の再配線RMとは、互いに平行に、間隔G1をもって配置されている。また、外部端子EXT1と外部端子EXT2の外部パッド電極13は、X方向およびY方向において、間隔G2で近接配置されている。ここで、間隔G2は、間隔G1よりも小である(G2<G1)。このように、外部端子EXT1およびEXT2のボール接続部13aを外部パッド開口12aに対して、逆方向に配置したことで、Y方向において外部端子EXT1およびEXT2を近接配置することが可能となった。
【0028】
仮に、外部端子EXT1と外部端子EXT2の外部パッド電極13が、完全に再配線RM上に位置する構成(言い換えると、再配線RMと外部パッド電極が同層に相当する)とした場合、外部端子EXT1と外部端子EXT2の外部パッド電極13の間隔をさらに広げる必要があるため、外部端子EXT1および外部端子EXT2のY方向のサイズが大きくなってしまう。本実施の形態では、外部パッド電極13を、再配線RMとは異なる層で構成したことにより外部端子の小型化が可能となった。
【0029】
また、たとえば、外部端子EXT1の再配線RMと、隣接する外部端子EXT2の外部パッド電極13のY方向の間隔G3を間隔G1よりも小さくできるので、Y方向において外部端子EXT1およびEXT2を近接配置することが可能となった。
【0030】
また、外部端子EXT3は、外部端子EXT1と同様の構造であり、外部端子EXT3の再配線RMは、外部端子EXT2の再配線RMに対して並行で、間隔G1をもってX方向に延在している。外部端子EXT2と外部端子EXT3の外部パッド電極13は、間隔G3で配置されている。したがって、外部端子EXT1とEXT2の関係は、外部端子EXT2とEXT3の関係と同様である。
【0031】
図2に示すように、半導体装置1Aは、主に、nチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qn、pチャネル型MISFETQp、複数層の配線5、7、9、再配線RM、および外部パッド電極13を有する。
【0032】
図2に示すように、例えばp型の単結晶シリコンからなる半導体基板1Pにはp型ウエル2P、n型ウエル2Nおよび素子分離溝3が形成されており、素子分離溝3の内部には、例えば酸化シリコン膜からなる素子分離絶縁膜3aが埋め込まれている。
【0033】
上記p型ウエル2P内には、半導体素子であるnチャネル型MISFET(Qn)が形成されている。nチャネル型MISFET(Qp)は、素子分離溝3で規定された活性領域に形成され、p型ウエル2P内に形成されたソース領域nsおよびドレイン領域ndと、p型ウエル2P上にゲート絶縁膜niを介して形成されたゲート電極ngとを有している。また、上記n型ウエル2N内には、半導体素子であるpチャネル型MISFET(Qp)が形成されており、ソース領域psおよびドレイン領域pdと、n型ウエル2N上にゲート絶縁膜piを介して形成されたゲート電極pgとを有している。
【0034】
上記nチャネル型MISFET(Qn)およびpチャネル型MISFET(Qp)の上部には、半導体素子間を接続する金属膜からなる配線が形成されている。半導体素子間を接続する配線は、一般に3層〜10層程度の多層配線構造を有しているが、
図2には、多層配線の一例として、Al合金を主体とする金属膜で構成された3層の配線層(第1層Al配線5、第2層Al配線7、第3層Al配線9)が示されている。配線層とは、各配線層で形成された複数の配線を纏めて表す場合に使用する。配線層の膜厚は、第2層の配線層は第1層の配線層より厚く、第3層の配線層は第2層の配線層よりも厚い。
【0035】
nチャネル型MISFET(Qn)およびpチャネル型MISFET(Qp)と第1層Al配線5との間、第1層Al配線5と第2層Al配線7との間、および第2層Al配線7と第3層Al配線9との間には、それぞれ酸化シリコン膜などからなる層間絶縁膜4、6、8と、3層の配線間を電気的に接続するプラグp1、p2、p3が形成されている。
【0036】
上記層間絶縁膜4は、例えば半導体素子を覆うように、半導体基板上1P上に形成され、第1層Al配線5はこの層間絶縁膜4上に形成される。第1層Al配線5は、例えば層間絶縁膜4に形成されたプラグp1を介して半導体素子であるnチャネル型MISFET(Qn)のソース領域ns、ドレイン領域nd、ゲート電極ngに電気的に接続される。また、第1層Al配線5は、層間絶縁膜4に形成されたプラグp1を介して半導体素子であるpチャネル型MISFET(Qp)のソース領域ps、ドレイン領域pd、ゲート電極pgに電気的に接続される。ゲート電極ng、pgと第1層Al配線5との接続は図示していない。
【0037】
第2層Al配線7は、例えば層間絶縁膜6に形成されたプラグp2を介して第1層Al配線5に電気的に接続される。第3層Al配線9は、例えば層間絶縁膜8に形成されたプラグp3を介して第2層Al配線7に電気的に接続される。プラグp1、p2、p3は金属膜、例えばW(タングステン)膜で構成される。
【0038】
なお、多層配線(3層配線)を化学的機械研磨法(CMP法)によりCuを主体とする金属膜で形成する場合は、配線とプラグとを一体に形成するデュアルダマシン法で形成してよいことは勿論である。また、層間絶縁膜4、6、8は、酸化シリコン膜(SiO
2)からなるが、炭素を含む酸化シリコン膜(SiOC膜)、窒素と炭素を含む酸化シリコン膜(SiCON膜)、フッ素を含む酸化シリコン膜(SiOF膜)の単層膜または積層膜で構成してよいことは勿論である。
【0039】
多層配線の最上層の配線層である上記第3層Al配線9の上部には、ファイナルパッシベーション膜として、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などの単層膜、あるいはこれらの2層膜からなる表面保護膜(保護膜、絶縁膜)10が形成されている。そして、この表面保護膜10に形成されたパッド開口(開口)10aの底部に露出した最上層の配線層である第3層Al配線9は、Alパッドであるパッド電極(電極パッド、第1電極パッド)9aを構成している。
【0040】
上記第3層Al配線9は、パッド電極9aに限らず、例えばパッド電極9aに一体に形成される配線、パッド電極9aに接続されない配線などを構成する。パッド電極9aに接続されない配線は、半導体素子間あるいは回路間を電気的に接続し、半導体集積回路を構成する配線として使用される。
【0041】
上記表面保護膜10の上には、パッド開口10aの上方に開口11aを有する絶縁膜である下地絶縁膜(有機保護膜、絶縁膜)11が形成されている。また、下地絶縁膜11の上には、下地絶縁膜11の開口11a、および表面保護膜10のパッド開口10aを通じてパッド電極9aに電気的に接続された再配線RMが形成されている。開口11aはパッド開口10aよりも大きく、パッド開口10aの全周において、パッド開口10aを規定する表面保護膜10の上面(表面)が開口11aから露出している。再配線RMは、パッド開口10aおよび開口11aを完全に埋めるように、パッド開口10aおよび開口11aの内部に形成され、さらに、下地絶縁膜11の上に延在している。
【0042】
パッド電極9aと再配線RMとの間には、下地金属膜UMが介在している。下地金属膜UMは、パッド電極9aに接触して電気的に接続されており、表面保護膜10のパッド開口10aおよび下地絶縁膜11の開口11aにおいて、表面保護膜10の側面(側壁)および上面、ならびに下地絶縁膜11の側面(側壁)に沿って形成され、さらに、下地絶縁膜11の上面に延在している。下地金属膜UMは、上面と下面とを有し、上面は再配線RMと接しており、下面は、パッド電極9a、表面保護膜10および下地絶縁膜11に接している。下地金属膜UMは、クロム(Cr)膜、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、窒化タングステン(WN)膜等の単層または積層膜を用いる。下地金属膜UMは、再配線RMを構成する銅(Cu)の拡散を防止する拡散バリア膜としても機能する。
【0043】
また、再配線RMは、上面、下面および側面を有しており、再配線RMの下面は下地金属膜UMの上面と接している。再配線RMは、銅(Cu)を主成分とする銅膜であり、シード膜RM1とメッキ膜RM2との積層構造で構成されている。したがって、再配線RMの下面とは、シード膜RM1の下面を意味し、上面とはメッキ膜RM2の上面を意味する。また、再配線RMの側面(側壁)とは、シード膜RM1とメッキ膜RM2の積層構造の側面(側壁)を意味する。シード膜RM1およびメッキ膜RM2の膜厚は、それぞれ、250nmおよび6μmである。ちなみに、第3層Al配線9の膜厚は、400nm〜600nmであるので、再配線RMは、第3層Al配線9、言い換えると、パッド電極9aが形成された配線9の10倍以上の膜厚を有する低抵抗の配線である。つまり、再配線RMの膜厚は、パッド電極9aが形成された配線9の膜厚よりも大きい。望ましくは、再配線RMの膜厚はパッド電極9aが形成された配線9の膜厚の10倍以上である。
【0044】
再配線RMの上面および側面に接して、再配線RMを完全に覆うようにキャップ金属膜CMが形成されている。キャップ金属膜CMは、再配線RMの上面の全体および側面の全体を覆っている。キャップ金属膜CMは、再配線RMを構成するシード膜RM1の側面(側壁)およびメッキ膜RM2の側面(側壁)を完全に覆っている。キャップ金属膜CMは、上面と下面を有し、下面は再配線RMの上面および再配線RMの側面と接しており、再配線RMの外側の領域(再配線RMが形成されていない領域)において、下地絶縁膜11の上面と直接接している。
【0045】
キャップ金属膜CMは、たとえば、チタン(Ti)膜、クロム(Cr)膜、ニッケル(Ni)膜、窒化チタン(TiN)膜からなる。キャップ金属膜CMは、再配線RMを構成する銅(Cu)の拡散を防止する拡散バリア膜としても機能する。
【0046】
再配線RMを全体的に覆うように保護膜12が形成されている。保護膜12は、再配線RMの上面(正確には、キャップ金属膜CMの上面)を部分的に露出する開口12aを有している。ここで、下地絶縁膜11および保護膜12は、それぞれ、有機膜、例えば、ポリイミド系樹脂膜やベンゾシクロブテン系樹脂膜、アクリル系樹脂膜、エポキシ系樹脂膜、シリコン系樹脂膜等を用いることができる。
【0047】
開口12aを介して、再配線RMには、外部パッド電極13が接続されており、外部パッド電極13は、保護膜12の上面(表面)に延在している。外部パッド電極13は、
図1に示すように(平面視において)、再配線RMの外側の領域にまで延在している。外部パッド電極13は、パラジウム(Pd)膜、チタン(Ti)膜とチタン膜上のパラジウム(Pd)膜の積層膜、金(Au)膜、白金(Pt)膜、ロジウム(Ro)膜などを用いることができる。外部パッド電極13は、例えば、スパッタ法で形成し、膜厚50nm〜1μmの範囲とする。外部パッド電極13は、微細加工が可能なように再配線RMの膜厚よりも薄くすることが重要である。
【0048】
さらに、外部パッド電極13上には、例えば、銅(Cu)ワイヤ27がワイヤボンディング法を用いて接続されている。ワイヤ27の直径は、およそ30μmであるが、ワイヤ27と外部パッド電極13との接続領域であるボール部27aの直径は、60〜80μm程度となる。したがって、外部パッド電極13のボール接続部13aは、一辺が80〜100μm程度の矩形(正方形)とする必要がある。
図1および
図2に示すように、ボール部27aは、完全に再配線RMの外側に位置している。銅ワイヤに代えて金(Au)ワイヤまたは表面にパラジウム(Pd)を被覆した銅ワイヤ(PdコートCuワイヤ)を用いても良い。
【0049】
図3では、
図2に示した表面保護膜10より上の層を示している。表面保護膜10の上には下地絶縁膜11が配置されおり、下地絶縁膜11の上面(表面)には互いに平行して延在する2本の再配線RMが配置されている。さらに、保護膜12は、下地絶縁膜11上に配置され、再配線RMの上面、側面を覆っている。保護膜12の上面(表面)には、再配線RMよりも幅広の外部パッド電極13が配置され、外部パッド電極13にはワイヤ27が接続されている。
【0050】
再配線RMよりも幅広の外部パッド電極13は、再配線RMの上部(上空)を完全に覆い、再配線RMの外側の領域にまで達している。そして、外部パッド電極13に接続されたワイヤ27のボール部27aは、再配線RMの上部(上空)と再配線RMの外側の領域とを覆っている。
【0051】
ここで、ワイヤ27を外部パッド電極13に接続するワイヤボンディング工程時の応力によって、半導体基板1P、層間絶縁膜4、6、8、または、表面保護膜10にクラックが発生するのを防止するために、下地絶縁膜11または保護膜12に応力緩和膜を用いることが重要である。例えば、下地絶縁膜11または保護膜12として、ヤング率が6GPa以下であって、膜厚が0.5μm〜2μmの膜を用いる。例えば、下地絶縁膜11にヤング率が6GPa以下であって、膜厚が0.5μm〜2μmの膜を用いた場合、保護膜12としては、隣り合う再配線RM間の絶縁性(電気的な分離)および再配線RMと外部パッド電極13間の絶縁性(電気的な分離)が確保できる膜厚とすることができる。
【0052】
また、下地絶縁膜11を省略した場合には、保護膜12として、ヤング率が6GPa以下であって、膜厚が0.5μm〜2μmの膜を用いることが必須となる。この場合、保護膜12は、再配線RM上での膜厚が0.5μm〜2μmとなることが重要である。保護膜12の膜厚を2μm以下としているのは、外部パッド開口12aを介して再配線RM上から保護膜12上に連続的に延在する外部パッド電極13の段切れ(不連続、断線)の発生を防止するためである。本願発明者の検討により、ヤング率が6GPa以下であって、膜厚が0.5μm以上の膜であれば、ワイヤボンディング工程における、シリコンからなる半導体基板1P、層間絶縁膜4、6、8、または、表面保護膜10のクラックを防止できることが確認されている。
【0053】
また、
図3を用いて説明するが、隣り合う再配線RM間の領域において、保護膜12の上面に窪みが出来る場合があり、ボール部27aが窪みにかかることがある。この場合、再配線RMの上部の保護膜12の表面から窪み底部までの深さを2.0μm以下とすることで、ボール部27aと外部パッド電極13との安定な接続が得られることを確認している。
【0054】
<半導体装置の特徴>
以下に、本実施の形態の半導体装置1Aの主な特徴を説明する。
【0055】
再配線RMと外部パッド電極13とを別層の金属膜で構成して、外部パッド電極13にワイヤ27を接続する構造としたことで、外部パッド電極13を再配線RMの外側または隣に位置する再配線の上にも配置できるため、外部パッド電極13の配置の自由度が向上し、半導体装置1Aの高集積化が可能となる。さらに、高集積化に伴い半導体装置1Aの低消費電力、高速動作を実現出来る。
【0056】
再配線RMと外部パッド電極13とを別層の金属膜で構成して、外部パッド電極13にワイヤ27を接続する構造とし、外部パッド電極13を再配線RMよりも薄い膜で構成したことで、隣り合う外部パッド電極13を近接配置できるため、再配線RMにワイヤ27を接続する場合に比べ、半導体装置1Aの高集積化が可能となる。
【0057】
再配線RMと外部パッド電極12との間にキャップ金属膜CMを介在させたことにより、外部パッド開口12aにおける再配線RMの酸化を防止でき、外部パッド電極12が再配線RMから剥離するのを防止することができる。
【0058】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態である半導体装置1Aの製造方法について説明するが、本実施の形態の特徴である再配線の製造方法を中心に説明する。再配線の製造方法は、
図2に示した断面に対応している。
【0059】
図4は、本実施の形態である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図5〜
図10は、本実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0060】
図5は、
図4に示すプロセスフロー図の「半導体ウエハ準備工程S1」に対応している。半導体ウエハには、半導体装置1Aの形成領域が行列状に多数配置されている。各々の半導体装置1Aの形成領域において、半導体基板1P上に、nチャネル型MISFETQn、pチャネル型MISFETQp、複数層の配線5、7、9、層間絶縁膜4、6、8、および表面保護膜10が形成された半導体ウエハを準備する。
【0061】
図6は、
図4に示すプロセスフロー図の「下地絶縁膜11形成工程S2」、「下地金属膜UMおよびシード膜RM1形成工程S3」および「メッキ膜RM2形成工程S4」に対応している。
【0062】
まず、パッド電極9aを露出するパッド開口10aを有する表面保護膜10の上に、パッド電極9aを露出し、パッド開口10aよりも大きい開口11aを有する下地絶縁膜11を形成する。次に、パッド電極9aに接触し、パッド電極9aからパッド開口10aおよび開口11aを介して下地絶縁膜11の上面(表面)に延在する下地金属膜UMを形成する。下地金属膜UMは、スパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する。次に、下地金属膜UMの上面を覆うようにシード膜RM1をスパッタ法またはCVD法により形成する。シード膜RM1は、銅(Cu)膜からなるが、アルミニウム(Al)等の添加物が含まれていても良い。
【0063】
次に、再配線RMの形成領域を露出し、再配線RMの外側の領域を覆うフォトレジスト膜PR1を形成する。次に、下地金属膜UMおよびシード膜RM1を電極として用いる電解(電気)めっき法により、フォトレジスト膜PR1から露出したシード膜RM1の表面にメッキ膜RM2を形成する。
【0064】
図7は、
図4に示すプロセスフロー図の「シード膜RM1および下地金属膜UMエッチ工程S5」に対応している。メッキ膜RM2形成後に、レジストマスクPR1を除去する。次に、メッキ膜RM2から露出した領域のシード膜RM1を除去することで、メッキ膜RM2の下に、メッキ膜RM2と等しい平面パターンを有するパターニングされたシード膜RM1が残る。この工程で、第1平面パターンP1を有する、シード膜RM1とメッキ膜RM2との積層構造からなる再配線RMが形成される。さらに、メッキ膜RM2から露出した領域の下地金属膜UMも連続的に除去し、メッキ膜RM2と等しい平面パターンを有するパターニングされた下地金属膜UMが残る。
【0065】
図8は、
図4に示すプロセスフロー図の「キャップ金属膜CM形成工程S6」に対応している。メッキ膜RM2の上面および側面、シード膜RM1の側面、下地金属膜UMの側面および下地絶縁膜11の上面を覆うように、メッキ膜RM2の上面および側面、シード膜RM1の側面、下地金属膜UMの側面に接触するキャップ金属膜CMを形成する。キャップ金属膜CMの形成には、スパッタ法またはCVD法を用いる。つぎに、平面視において、再配線RMを完全に覆い、再配線RMのパターンを拡大したパターンを有するフォトレジスト膜PR2をマスクとしてキャップ金属膜CMにエッチングを施し、パターニングされたキャップ金属膜CMを形成する。
【0066】
図9は、
図4に示すプロセスフロー図の「保護膜12形成工程S7」および「外部パッド電極13形成工程S8」に対応している。キャップ金属膜CMで被覆された再配線RMの上面および側面を覆うように保護膜12を形成する。保護膜12は、再配線RM(再配線RMを覆うキャップ金属膜CM)の上面の一部を露出する開口12aを有している。開口12aは、公知の、フォトリソグラフィ技術、または、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて形成される。例えば、保護膜12を感光性ポリイミド膜で形成する場合、単に、フォトリソグラフィ技術により開口12aを形成できる。再配線RM上に感光性ポリイミドを塗布、露光して再配線RMの上面を露出させる開口12aを形成した後、キュア(ベーク)を行い硬化させる。次に、保護膜12の上面に延在し、開口12aで再配線RMと電気的に接続された外部パッド電極13を形成する。外部パッド電極13は、スパッタ法によって堆積した金属膜を、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより形成できる。
【0067】
図10は、
図4に示すプロセスフロー図の「ボンディング工程S9」に対応している。「外部パッド電極13形成工程S8」が終了した後、半導体ウエハにダイシング処理を施して、半導体装置1Aを取得する。半導体装置1Aをダイパッド部25D上に搭載し、外部パッド電極13とリード25Lとをワイヤ27で接続するワイヤボンディング工程を実施した後、リード25Lの一部(インナーリード部)、ダイパッド部25D、半導体チップ1Aおよびワイヤ27を、封止体(封止樹脂)26で封止して、封止された半導体装置1Aが完成する。封止された半導体装置1Aも、単に、半導体装置(半導体集積回路装置)と呼ぶ場合がある。
【0068】
図10に示すように、複数の外部パッド電極13を有する半導体装置1Aは、ダイパッド部25Dに搭載され、複数のリード25Lにワイヤ27で電気的に接続されている。リード25Lの一部(インナーリード部)、ダイパッド部25D、半導体チップ1Aおよびワイヤ27を、例えば熱硬化性エポキシ樹脂などの封止体(封止樹脂)26で封止されている。
【0069】
<半導体装置の製造方法の特徴>
以下に、本実施の形態の半導体装置1Aの製造方法の主な特徴を説明する。
【0070】
図4に示す「保護膜12形成工程S7」において、開口12aを有する保護膜12を再配線RM上に形成する際、仮に、銅(Cu)膜からなる再配線RMがキャップ金属膜CMで覆われていなかった場合、開口12aから露出した銅(Cu)膜の表面が酸化してしまい、外部パッド電極13との接着性が低下して、外部パッド電極13が剥離するという現象が確認されている。本実施の形態の製造方法によれば、銅(Cu)膜からなる再配線RMがキャップ金属膜CMで覆われているため、外部パッド電極13の剥離を防止することができ、半導体装置1Aの製造歩留りを向上でき、製造コスト低減を実現出来る。
【0071】
保護膜12に感光性ポリイミド膜を用いた場合でも、感光性ポリイミド膜のキュア(ベーク)の際に、再配線RMを構成する銅(Cu)膜の表面が酸化する心配がないので、外部パッド電極13の剥離を防止することができる。
【0072】
また、再配線RMの外側の領域に延在する外部パッド電極13の下に応力緩和膜を形成しているので、外部パッド電極13にワイヤ27を接続するワイヤボンディング工程において、半導体基板1P、層間絶縁膜4、6、8、または、表面保護膜10のクラックを防止でき、半導体装置1Aの信頼性を向上することが出来る。
【0073】
また、再配線RMと外部パッド電極13に応力緩和膜を設けたことで、再配線RMの下に応力緩和膜が存在しない場合でも、ワイヤボンディング工程において、半導体基板1P、層間絶縁膜4、6、8、または、表面保護膜10のクラックを防止できる。
【0074】
<変形例1>
図11は、本実施の形態の変形例1である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図12〜14は、変形例1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。本実施の形態の半導体装置1Aと区別するために、変形例1では半導体装置1Bとするが、本実施の形態と共通する部分には同様の符号を付してその説明も省略する。
【0075】
図11に示すプロセスフロー図では、
図4に示すプロセスフロー図と比較すると、「メッキ膜RM2形成工程S4」と「シード膜RM1および下地金属膜UM除去工程S5」との間に、「コンタクト金属膜14形成工程S10」が追加され、「キャップ金属膜CM形成工程S6」が削除されている。
【0076】
図12は、「メッキ膜RM2形成工程S4」に引き続き、フォトレジスト膜PR1を除去することなく、フォトレジスト膜PR1およびメッキ膜RM2の上に、開口12aに対応する領域を露出するフォトレジスト膜PR3を形成する。そして、下地金属膜UMおよびシード膜RM1を電極として用いる電解めっき法により、フォトレジスト膜PR3から露出したメッキ膜RM2の表面にメッキ膜からなるコンタクト金属膜14を形成する。コンタクト金属膜14としては、チタン(Ti)膜等を用いることができる。
【0077】
図13は、
図11に示すプロセスフロー図の「シード膜RM1および下地金属膜UM除去工程S5」に対応している。この工程は、
図4の「シード膜RM1および下地金属膜UMエッチ工程S5」と同様であるので、説明は省略するが、再配線RMの上面にはコンタクト金属膜14が部分的に形成されている。
【0078】
図14は、
図11に示すプロセスフロー図の「保護膜12形成工程S7」、「外部パッド電極13形成工程S8」および「ワイヤボンディング工程S9」に対応している。これらの工程は、
図4の工程S7〜S9と同様である。ただし、コンタクト金属膜14は、開口12aよりも広く(大きく)形成されており、保護膜12に開口12aが形成された際に、再配線RMの上面が露出しない構成となっている。
【0079】
したがって、変形例1の製造方法によれば、銅(Cu)膜からなる再配線RMの上面にコンタクト金属膜14が形成されているため、外部パッド電極13の剥離を防止することができ、半導体装置1Bの製造歩留りを向上でき、製造コスト低減を実現出来る。
【0080】
また、仮に、再配線RMの上面全体にチタン(Ti)膜を形成した場合、半導体ウエハ中のチタン(Ti)膜の占有面積が増加して半導体ウエハに反りが発生するという不具合が確認されている。変形例1では、再配線RMと外部パッド電極13の接触領域にのみチタン(Ti)膜からなるコンタクト金属膜14を形成しているので、半導体ウエハの反りを防止することが出来る。
【0081】
<変形例2>
図15は、本実施の形態の変形例2である半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図16および
図17は、変形例2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。本実施の形態の半導体装置1Aと区別するために、変形例2では半導体装置1Cとするが、本実施の形態と共通する部分には同様の符号を付してその説明も省略する。
【0082】
図15に示すプロセスフロー図では、
図4に示すプロセスフロー図と比較すると、「キャップ金属膜CM形成工程S6」に代えて、「防錆膜15形成工程S11」が実施されている。
【0083】
図16は、
図15に示すプロセスフロー図の「防錆膜15形成工程S11」に対応している。シード膜RM1および下地金属膜UMエッチ工程S5の後に、再配線RMに対して防錆処理を施し、再配線RMの上面および側面に防錆膜15を形成する。防錆処理は、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物からなる絶縁性の膜を再配線RMの上面および側面に塗布することで、下地絶縁膜11の上面には形成することなく、再配線RMの上面および側面に選択的に防錆膜15を形成することができる。
【0084】
図17は、
図15に示すプロセスフロー図の「保護膜12形成工程S7」、「外部パッド電極13形成工程S8」および「ワイヤボンディング工程S9」に対応している。これらの工程は、
図4の工程S7〜S9と同様である。ただし、保護膜12形成工程において、保護膜12に開口12aを形成した後、開口12aから露出した防錆膜15をウェットエッチング法などにより除去した後に、外部パッド電極13を形成する必要がある。
【0085】
保護膜12に感光性ポリイミド膜を用いた場合でも、感光性ポリイミド膜のキュア(ベーク)の際に、再配線RMが防錆膜15で覆われているので、再配線RMを構成する銅(Cu)膜の表面が酸化する心配がなく、外部パッド電極13の剥離を防止することができる。
【0086】
<変形例3>
図18は、本実施の形態の変形例3である半導体装置の要部平面図である。
図19は、
図18のC−C線に沿う要部断面図である。本実施の形態の半導体装置1Aと区別するために、変形例3では半導体装置1Dとするが、本実施の形態と共通する部分には同様の符号を付してその説明も省略する。
【0087】
図18および
図19に示すように、ワイヤ27のボール部27aは、保護膜12の開口12aの直上であって、開口12aを覆うように配置されている。
図1の平面図と比較すると、外部パッド電極13はボール接続部13aのみで構成され、突出部13bは存在しない。
【0088】
変形例3では、下地絶縁膜11を応力緩和膜として作用させており、下地絶縁膜11をヤング率が6GPa以下であって、膜厚が0.5μm以上の有機膜で構成している。つまり、開口11a以外の領域には、必ず、下地絶縁膜11が存在するので、開口11aと重ならなければ、外部パッド電極13またはワイヤ27のボール部27aをどこに配置して良い。つまり、外部パッド電極13は、開口1aの外側(開口11aと重ならない)領域であって、下地絶縁膜11と重なる領域に配置すれば良い。
【0089】
また、下地絶縁膜11は、外部パッド電極13に重なる領域に部分的に配置しても良い。その場合、下地絶縁膜11のサイズは、平面視において、外部パッド電極13よりも大きく、かつ、外部パッド電極13の全体が下地絶縁膜11の内側に位置するようにすると良い。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0091】
例えば、変形例1〜3を含む本実施の形態では、外部パッド電極にワイヤを接続した例で説明したが、ワイヤに代えて、外部パッド電極に半田(または金)ボール等のバンプを接続した構造としても良い。