特許第6355586号(P6355586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355586
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ポリアミド成形材料およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20180702BHJP
   C08L 77/02 20060101ALI20180702BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20180702BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20180702BHJP
   C08G 69/36 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
   C08L77/06
   C08L77/02
   C08K7/14
   C08K3/00
   !C08G69/36
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-77002(P2015-77002)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2015-203113(P2015-203113A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年4月5日
(31)【優先権主張番号】14164801.4
(32)【優先日】2014年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510022808
【氏名又は名称】エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ エプリ
【審査官】 長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−043577(JP,A)
【文献】 特開平05−017683(JP,A)
【文献】 特開2008−163340(JP,A)
【文献】 特開平05−202288(JP,A)
【文献】 特開平04−253727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/00−69/50
C08L 77/00−77/12
C08K 3/00− 3/40
C08K 7/00− 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成を有するポリアミド成形材料:
A)10〜86重量%の少なくとも1種の非晶質ポリアミド、
B)2〜30重量%の少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミド、
C)2〜40重量%の少なくとも1種のポリアミドであって、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、少なくとも1種の二量体化脂肪酸から形成されるポリアミド、
D)10〜70重量%のガラス繊維、
E)0〜40重量%の粒子状フィラー、および
F)0〜10重量%のさらなる添加剤
(成分D)とE)の割合は、合計で最大70重量%となり、成分A)〜F)の割合は、合計100重量%となる)。
【請求項2】
以下の組成を有する請求項1に記載のポリアミド成形材料:
A)12〜61.8重量%の、少なくとも1種の非晶質ポリアミド、
B)5〜25重量%の、少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミド、
C)3〜30重量%の、少なくとも1種のポリアミドであって、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、少なくとも1種の二量体化脂肪酸から形成されるポリアミド、
D)30〜69.9重量%の、ガラス繊維
E)0.1〜30重量%の、粒子状フィラー、および
F)0.1〜7重量%の、さらなる添加剤
(成分D)とE)の割合は、合計で最大70重量%となり、成分A)〜F)の割合は、合計100重量%となる)。
【請求項3】
以下の組成を有する請求項1に記載のポリアミド成形材料:
A)14〜44.6重量%の、少なくとも1種の非晶質ポリアミド、
B)10〜20重量%の、少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミド、
C)5〜25重量%の、少なくとも1種のポリアミドであって、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、少なくとも1種の二量体化脂肪酸から形成されるポリアミド、
D)40〜69.8重量%の、ガラス繊維
E)0.2〜25重量%の、粒子状フィラー、および
F)0.2〜5重量%の、さらなる添加剤
(成分D)とE)の割合は、合計で最大70重量%となり、成分A)〜F)の割合は、合計100重量%となる)。
【請求項4】
前記少なくとも1種の二量体化脂肪酸が、30〜50の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項5】
前記少なくとも1種の二量体化脂肪酸が、35〜45の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項6】
前記少なくとも1種の二量体化脂肪酸が、36又は44の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項7】
ポリアミドC)が、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)あるいはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、少なくとも1種の二量体化脂肪酸から形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項8】
ポリアミドC)が、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)あるいはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、炭素原子数36の二量体化脂肪酸から形成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項9】
前記非晶質ポリアミドA)が、PA 6I、PA 6I/6T、PA 6I/6T/6NDC、PA MXDI/6I、PA MXDI/XDT/6I/6T、PA MXDI/121、PA MXDI、PA MACM10、PA MACM12、PA MACM14、PA MACM18、PA NDT/INDT、PA TMDC12、PA MACMI/12、PA MACMT/12、PA MACMI/MACM12、PA MACMT/MACM12、PA MACMI/MACMNDC、PA MACMT/MACMNDC、PA MACMI/MACM36、PA MACMT/MACM36、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/MACMI/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA MACM6/11、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/MACM12/612、PA MACMI/MACMT/MACM12/12、PA MACMI/MACMT/MACM12、PA 6I/6T/6NDC/MACMI/MACMT/MACMNDC、PA MACM10/10およびそれらの混合物あるいはコポリマーからなる群より選択される(MACMは、すべてのモノマーのモル割合の合計100モル%に対して、最大25モル%までPACMによって置換されてもよく、及び/又は、ラウリンラクタムは、全体的あるいは部分的にカプロラクタムによって置換されてもよい)
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項10】
前記少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミドが、PA 6、PA 46、PA 49、PA 410、PA 411、PA 412、PA 413、PA 414、PA 415、PA 416、PA 418、PA 436、PA 66、PA 69、PA 610、PA 611、PA 612、PA 613、PA 614、PA 615、PA 616、PA 617、PA 618、PA 1010、PA 66/6、PA 6/66/12、PA 6/12、PA 11、PA 12、PA 912、PA 1212、6T/6I、MXD6、MXD6/MXDI、MXD9、MXD10、MXD11、MXD12、MXD13、MXD14、MXD15、MXD16、MXD17、MXD18、MXD36、PACM9、PACM10、PACM11、PACM12、PACM13、PACM14、PACM15、PACM16、PACM17、PACM18、PACM36、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミドおよびそれらの混合物あるいはコポリマーからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項11】
前記ガラス繊維が、エンドレス・ファイバー及び/又は短ガラス繊維から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項12】
前記短ガラス繊維が、0.2〜20mmの長さを有することを特徴とする、請求項11に記載のポリアミド成形材料。
【請求項13】
前記ガラス繊維の横断面が円状であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項14】
前記ガラス繊維が3〜20μmの直径を有することを特徴とする、請求項13に記載のポリアミド成形材料。
【請求項15】
前記ガラス繊維が扁平ガラス繊維であり、卵形、楕円形、多角形あるいは長方形の横断面を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項16】
前記扁平ガラス繊維が、以下の特性
・ガラス繊維の長さが3〜40μm、
・二次横断面軸の長さが3〜20μm、
・主横断面軸の長さが6〜40μm、
・アスペクト比(二次横断面軸に対する主横断面軸の比)が1.5〜8
を少なくとも1つ有することを特徴とする、請求項15に記載のポリアミド成形材料。
【請求項17】
前記粒子状フィラーが、滑石、雲母、ケイ酸塩、石英、珪灰石、カオリン、ケイ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、白墨、重質もしくは沈降炭酸カルシウム、石灰、長石、無機顔料(例えば、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンおよび二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)など)、酸化鉄、鉄-マンガン酸化物、金属酸化物、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項18】
前記さらなる添加剤が、安定剤、老化保護剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、無機熱安定剤、有機熱安定剤、伝導性添加剤、カーボンブラック、光学的光沢剤、加工助剤、核生成剤、結晶化促進剤、結晶化阻害剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、顔料(白色顔料とは異なる顔料)、着色剤、マーキング剤およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項19】
前記ポリアミド成形材料が、オレフィン系衝撃改質剤を含まないことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項20】
電気もしくは電子部品の、ハウジングのあるいはハウジング部品のパーツの製造のための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質ポリアミド、 部分結晶性脂肪族ポリアミドおよび強化用ガラス繊維を含むポリアミド成形材料に関する。さらに、本発明に係るポリアミド成形材料は、脂環式ジアミンと二量体化脂肪酸からなるポリアミドを含む。本発明に係るポリアミド成形材料は、電気もしくは電子部品、ハウジングあるいはハウジング部品の製造に使用される。
【背景技術】
【0002】
電気もしくは電子部品およびハウジングあるいはハウジング部品、特に、携帯用電子機器の製造のために、従来技術において、多数の改質ポリアミド成形材料が知られている。改質の重要なアプローチは、これらのプラスチック材料の機械的特性、とりわけ靱性を最適化することである。
【0003】
EP 2 123 694 A1から、部分結晶性の、熱可塑的に加工できる部分芳香族コポリアミドが知られており、これは、テレフタル酸、二量体化脂肪酸および脂肪族ジアミンの組み合わせをベースとする。
【0004】
同様に、粘着剤として使用されるポリアミドのための二量体化脂肪酸の使用が知られている。DE 1 720 832およびUS 4,218,351がここに含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP 2 123 694 A1
【特許文献2】DE 1 720 832
【特許文献3】US 4,218,351
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この技術水準から出発して、剛性および強度を大きく損なうことなく、繊維強化ポリアミド成形材料を靱性(衝撃強度、ノッチ付き衝撃強度あるいは破断伸びとして測定される)に関して最適化することが、本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するポリアミド成形材料によって達成される。請求項14では、本発明に係る使用が示される。さらなる従属請求項は、有利な発展を明らかにする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、以下の組成を有するポリアミド成形材料が提供される:
A)10〜86重量%の少なくとも1種の非晶質ポリアミド、
B)2〜30重量%の少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミド、
C)2〜40重量%の少なくとも1種のポリアミドであって、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、少なくとも1種の二量体化脂肪酸から形成されるポリアミド、
D)10〜70重量%のガラス繊維
E)0〜40重量%の粒子状フィラー、および
F)0〜10重量%のさらなる添加剤
ここで、成分D)とE)の割合は、合計で最大70重量%となり、成分A)〜F)の割合は、合計100重量%となる。
【0009】
ポリアミドC)が2重量%より低いと、靱性のさらなる向上が観察されない。これに対して、40重量%より多いポリアミドC)が使用されると、剛性(引張弾性率として測定される)および強度(引張強度として測定される)の両方が非常に大きく減少する。
【0010】
前記ポリアミド成形材料は、好ましくは12〜61.8重量%、特に好ましくは14〜44.6重量%の少なくとも1種の非晶質ポリアミドAを含む。
【0011】
前記少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミドB)は、好ましくは、5〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%の量で含まれることができる。
【0012】
前記少なくとも1種のポリアミドC)に関して、好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%が、前記成形材料中に含まれる。
【0013】
前記成形材料中のガラス繊維の割合は、好ましくは、30〜69.9重量%、特に好ましくは40〜69.8重量%の範囲である。
【0014】
前記さらなるフィラーは、成形材料中に、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.2〜25重量%の割合で含まれることができる。前記成形材料中の前記さらなる添加剤の重量割合は、好ましくは0.1〜7重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%である。
【0015】
これらの好ましい割合のすべてにおいて、一般に、成分D)とE)の割合が合計で最大70重量%となり、成分A)〜F)の割合が合計で100重量%になる。
【0016】
ポリアミドC)の形成のために、好ましくは、少なくとも1種の炭素原子数30〜50(好ましくは炭素原子数35〜45、特に好ましくは炭素原子数36〜44)の二量体化脂肪酸が使用される。
【0017】
本発明に係るポリアミド組成物の好ましい実施形態では、ポリアミドC)は、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)あるいはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、少なくとも1種の二量体化脂肪酸から形成される。
【0018】
特に好ましくは、ポリアミドC)は、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)あるいはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の脂環式ジアミンと、炭素原子数36の二量体化脂肪酸から形成される。
【0019】
ポリアミドC)の相対粘度(RV)は、20℃にて、100mLのm-クレゾール中0.5gで測定された際、1.35〜1.85、好ましくは1.40〜1.75、特に好ましくは1.45〜1.60である。
【0020】
前記非晶質ポリアミドA)は、好ましくは、PA 6I、PA 6I/6T、PA 6I/6T/6N、PA MXDI/6I、PA MXDI/XDT/6I/6T、PA MXDI/12I、PA MXDI、PA MACM10、PA MACM12、PA MACM14、PA MACM18、PA NDT/INDT、PA TMDC12、PA MACMI/12、PA MACMT/12、PA MACMI/MACM12、PA MACMT/MACM12、PA MACMI/MACMN、PA MACMT/MACMN、PA MACMI/MACM36、PA MACMT/MACM36、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/MACMI/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA MACM6/11、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/MACM12/6I2、PA MACMI/MACMT/MACM12/12、PA MACMI/MACMT/MACM12、PA 6I/6T/6N/MACMI/MACMT/MACMN、PA MACM10/10およびそれらの混合物あるいはコポリマーからなる群より選択され、MACMは、すべてのモノマーのモル割合の合計100モル%に対して、最大25モル%までPACMによって置換されてもよく、及び/又は、ラウリンラクタムは、全体的あるいは部分的にカプロラクタムによって置換されてもよい。
【0021】
ISO11357に従った動的示差熱量測定(示差走査熱量測定:DSC)において、前記非晶質ポリアミドA)は、加熱速度20K/分にて、5J/g以下、好ましくは3J/g以下、特に好ましくは0〜1J/gの融解熱を示す。
【0022】
前記非晶質ポリアミドA)は、その無定形により、融点を示さない。
【0023】
特に好ましくは、前記非晶質ポリアミドA)は、PA MACM12、PA MACM12/PACM12、PA MACMI/12、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/12、PA MACMI/MACMT/MACM12およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0024】
PA MACM12/PACM12中のPACMの割合は、好ましくは25モル%以下となる、この際、すべてのモノマーのモル割合の合計は100モル%となる。25モル%以下のPACMを含むPA MACM12/PACM12は、非晶質であり、そのため融点を示さない。
【0025】
PA MACMI/12の中では、ラウリンラクタムの割合が15〜50モル%であるものが好ましく、この際、すべてのモノマーのモル割合の合計は100モル%となる。ラウリンラクタムの割合が20〜40モル%のPA MACMI/12が特に好ましい。ラウリンラクタムの割合が19モル%あるいは35モル%のPA MACMI/12が特に好ましい。
【0026】
PA MACMI/MACMT/12の中では、イソフタル酸とテレフタル酸が等モル比であり、ラウリンラクタムの割合が15〜40モル%のものが好ましく、この際、すべてのモノマーのモル割合の合計は100モル%となる。特に好ましくは、PA MACMI/MACMT/12は、等モル比のイソフタル酸とテレフタル酸、および、20〜30モル%の割合のラウリンラクタムを有する。特に好ましくは、PA MACMI/MACMT/12は、38/38/24のモル比を有する。
【0027】
PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12の中では、イソフタル酸とテレフタル酸が等モル比であり、ラウリンラクタムの割合が1〜25モル%のものが好ましく、この際、すべてのモノマーのモル割合の合計は100モル%となる。特に好ましくは、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12は、等モル比のイソフタル酸とテレフタル酸、および、2〜15モル%の割合のラウリンラクタムを有する。特に好ましくは、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12は、34/34/14/14/4のモル比を有する。
【0028】
PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/12の中では、イソフタル酸とテレフタル酸が等モル比であり、ラウリンラクタムの割合が1〜25モル%のものが好ましく、この際、すべてのモノマーのモル割合の合計は100モル%となる。特に好ましくは、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/12は、等モル比のイソフタル酸とテレフタル酸、および、2〜15モル%の割合のラウリンラクタムを有する。特に好ましくは、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/PACMI/PACMT/12は、等モル比のイソフタル酸とテレフタル酸、2〜7モル%の割合のPACM、2〜7モル%の割合のラウリンラクタムを有する。
【0029】
PA MACMI/MACMT/MACM12の中では、イソフタル酸とテレフタル酸が等モル比であり、ドデカン二酸の割合が30〜60モル%のものが好ましく、この際、すべてのモノマーのモル割合の合計は100モル%となる。特に好ましくは、PA MACMI/MACMT/MACM12は、等モル比のイソフタル酸とテレフタル酸、および、40〜50モル%の割合のドデカン二酸を有する。特に好ましくは、PA MACMI/MACMT/MACM12は、27/27/46のモル比を有する。
【0030】
前記ポリアミドが、二酸とジアミンのみを含む場合、そのモル割合は、すべてのジアミンの合計が50モル%、すべての二酸の合計が50モル%となり、ジアミンと二酸の割合の合計は、前記ポリアミドに対し100モル%となる。
【0031】
前記ポリアミドが二酸とジアミンに加えてラクタムあるいはα,ω-アミノ酸もXモル%含む場合、ポリアミド100モル%に対して、すべてのジアミンの合計は、(50−0.5X)モル%、すべての二酸の合計は(50−0.5X)モル%となる。
【0032】
前記ポリアミドの二酸とジアミンの量データにおいて、常に、すべてのジアミンのモル割合の合計は、すべての二酸のモル割合の合計と等しくなる。
【0033】
前記モノマーに関する量データは、重縮合で使用されたこれらのモノマーの対応するモル比が、重縮合によってこのように製造されたポリアミド中でも再び見受けられると理解されるべきである。
【0034】
前記非晶質ポリアミドA)の相対粘度(RV)は、20℃にて100mLのm-クレゾール中0.5gで測定した際、1.35〜2.15、好ましくは1.40〜1.80、特に好ましくは1.45〜1.60となる。
【0035】
前記少なくとも1種の部分結晶性脂肪族ポリアミドB)は、好ましくは、PA 6、PA 46、PA 49、PA 410、PA 411、PA 412、PA 413、PA 414、PA 415、PA 416、PA 418、PA 436、PA 66、PA 69、PA 610、PA 611、PA 612、PA 613、PA 614、PA 615、PA 616、PA 617、PA 618、PA 1010、PA 66/6、PA 6/66/12、PA 6/12、PA 11、PA 12、PA 912、PA 1212、6T/6I、MXD6、MXD6/MXDI、MXD9、MXD10、MXD11、MXD12、MXD13、MXD14、MXD15、MXD16、MXD17、MXD18、MXD36、PACM9、PACM10、PACM11、PACM12、PACM13、PACM 14、PACM15、PACM16、PACM17、PACM18、PACM36、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミドおよびそれらの混合物あるいはコポリマー、特に、PA 6、PA 69、PA 610、PA 612、PA 614、PA 1010、PA 1212、PA 6/66/12、PA 6/66、PA 6/12、PA 11、PA 12、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよびそれらの混合物あるいはコポリマーからなる群から選択される。
【0036】
前記部分結晶性脂肪族ポリアミドB)の相対粘度(RV)は、20℃にて100mLのm-クレゾール中0.5gで測定した際、1.50〜2.30、好ましくは1.55〜1.95、特に好ましくは1.60〜1.70となる。
【0037】
相対粘度の調節は、当業者に知られている方法において、二官能性あるいは単官能性アミンまたはカルボン酸を用いて、ポリアミドA)、B)あるいはC)の重縮合をコントロールすることによって行うことができる。
【0038】
本発明に係るポリアミド成形材料中に含まれるガラス繊維D)は、好ましくは、エンドレス・ファイバー及び/又は短ガラス繊維から選択される。短ガラス繊維の場合、これらは好ましくは0.2〜20mm、特に好ましくは2〜12mmの長さを有する。
【0039】
本発明に係るポリアミド成形材料の好ましい実施形態では、ガラス繊維の横断面は円状であり、この際、前記ガラス繊維は好ましくは3〜20μm、特に好ましくは3〜15μm、非常に好ましくは3〜8μmの直径を有する。
【0040】
本発明に係るポリアミド成形材料のさらに好ましい実施形態では、前記ガラス繊維は、扁平ガラス繊維(フラットガラス繊維)であり、卵形、楕円形、多角形、長方形の横断面を有する。これらの繊維について、繊維長さは、好ましくは3〜40μmの範囲である。前記扁平ガラス繊維の二次横断面軸(副横断面軸)の長さは、好ましくは3〜20μm、特に好ましくは4〜10μmである。前記扁平ガラス繊維の主横断面軸の長さは、好ましくは6〜40μm、特に好ましくは12〜30μmである。さらに、前記扁平ガラス繊維は、1.5〜8、特に好ましくは2〜6、および非常に好ましくは3〜5の範囲のアスペクト比、すなわち二次横断面軸に対する主横断面軸の比、を有する。
【0041】
本発明に係るポリアミド成形材料の粒子状フィラーE)は、好ましくは、滑石、雲母、ケイ酸塩、石英、珪灰石、カオリン、ケイ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、白墨、重質もしくは沈降炭酸カルシウム、石灰、長石、無機顔料(例えば、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンおよび二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)など)、酸化鉄、鉄-マンガン酸化物、金属酸化物、特にスピネル(例えば、銅-鉄スピネルなど)、銅-クロム酸化物、亜鉛-鉄酸化物、コバルト-クロム酸化物、コバルト-アルミニウム酸化物、マグネシウム-アルミニウム酸化物、銅-クロム-マンガン混合酸化物、銅-マンガン-鉄混合酸化物、ルチル顔料(チタン-亜鉛ルチルなど)、ニッケル-アンチモン・チタン酸塩、クロム-アンチモン・チタン酸塩、硬-もしくは軟-磁性金属または合金またはセラミック、中空球状シリケートフィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される。前記フィラーは表面処理されていてもよい。
【0042】
前記粒子状フィラーE)は、好ましくは、0.1〜40μmの範囲の、好ましくは0.2〜20μmの範囲の、特に0.3〜10μmの範囲の平均粒径(D50)を有する。
【0043】
特に好ましくは、粒子状フィラーE)として、無機白色顔料が使用される。特に、前記粒子状フィラーE)が、これらの白色顔料だけから形成されることが好ましい。この場合、成分(E)は、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンおよび二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)の群から選択される無機白色顔料であるか、それらのみからなり、前記白色顔料は、好ましくは、0.1〜40μmの範囲の、特に好ましくは0.1〜20μmの範囲の、非常に好ましくは、0.1〜10μmの範囲の平均粒径(D50)を有する。
【0044】
さらに、本発明に係る熱可塑性ポリアミド成形材料は、通常のおよび当業者に一般に知られている他の添加剤F)を含むことができ、前記添加剤は、好ましくは、安定剤、老化保護剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、無機熱安定剤(特に、ハロゲン化銅とハロゲン化アルカリをベースとする)、有機熱安定剤、伝導性添加剤、カーボンブラック、光学的光沢剤、加工助剤、核生成剤、結晶化促進剤、結晶化阻害剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、顔料(白色顔料とは異なる顔料)、着色剤、マーキング剤およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0045】
本発明に係るポリアミド成形材料は、成形品、特に、電気もしくは電子部品の、ハウジングのもしくはハウジング部品のパーツ、好ましくは、携帯用電子機器、家庭用器具、家庭用機械、電気通信および家庭用電化製品のための装置並びに器具、自動車部門および他の輸送手段分野における内装並びに外装部品、電気、家具、スポーツ、機械工学、衛生分野および衛生学、医薬、エネルギーおよび駆動技術の分野における、好ましくは携帯用もしくは機械的機能を有する内装並びに外装部品(特に好ましくは、携帯電話、スマートフォン、オーガナイザー、ラップトップコンピューター、ノートパソコン、タブレット型コンピューター、ラジオ、カメラ、時計、計算機、音楽もしくはビデオの再生装置、ナビゲーション装置、GPS装置、電子写真用フレーム、外付けハードディスクおよび他のエレクトロニック・ストレージメディア)のハウジングもしくはハウジングパーツの製造のために使用される。
【0046】
本発明によれば、前記ポリアミド成形材料が、オレフィン系衝撃改質剤およびエラストマーを含まないことが特に好ましく、特に、ポリオレフィンを含まないことが好ましい。驚くべきことに、衝撃改質剤が存在しなくても、成分C)の存在によって著しく改良された靱性を確立できることが実際に示された。
【0047】
前記成分C)の二量体化脂肪酸は、145〜210mg KOH/gの範囲の、好ましくは192〜200mg KOH/gの範囲の酸価を有する。単官能基酸の含有量は5%以下、二官能基酸の含有量は92%以上、三官能基酸の含有量は4%以下である。酸価あるいは前記さまざまな酸の含有量は、AOCS Te 1a-64あるいはAOCS Tf 5-91に従って測定される。製品、例えば炭素原子数36の製品は、Croda社から商品名Pripol、特に、Pripol 1013、1012、1009あるいは1006(炭素原子数44)、あるいは、Cognis社から商品名Empol、特にEmpol 1012、1016あるいは1062、あるいは、Oleon社から商品名Radiacid 0970として入手でき、また、炭素原子数44の製品は、例えば、Croda社からPripol 1004として入手できる。
【0048】
ポリアミドおよびそのモノマーのために使用される表記および略語は、ISOスタンダード1874-1:1992に対応する。
【0049】
MACMは、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(CAS No.6864-37-5)を表す。PACMはビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(CAS No.1761-71-3)を表す。EACMは、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(CAS No.1064114-65-3)を表し、TMDCは、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(CAS No.65962-45-0)を表し、PACPは、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(CAS No.3377-24-0)を表す。
【0050】
ポリアミドC)の製造
ポリアミドC)の製造は、受入槽と反応槽を有する既知の撹拌機能付きの加圧オートクレーブにおいて既知の方法で行われた。
【0051】
受入槽には、脱イオン水が入れられ、モノマーと添加剤(例えば、縮合触媒、鎖長調節剤、消泡剤、安定剤)が添加される。その後、窒素を用いて何度も不活性化処理が行われた。撹拌下、調節された圧力の下、均質な溶液を得るために150〜200℃への加熱が行われる。この溶液は、スクリーンを通して反応槽中に注ぎ込まれ、20bar以下の圧力にて、260〜290℃の所望の反応温度に加熱される。このバッチは、前記反応温度にて、0.5〜4時間、前記圧力相において保持される。続く拡張相において、前記圧力は、1〜4時間以内に、大気圧まで減じられ、前記温度はわずかに下がりうる。次の脱気相において、前記バッチは、大気圧にて0.5〜3時間、260〜280℃の温度で保持される。ポリマー溶解物は、ストランド状に放出され、水浴中で10〜80℃に冷却され、その後造粒(顆粒化)される。顆粒は、窒素下あるいは真空中で80〜120℃にて12〜48時間、水分含量が0.1重量%未満になるまで乾燥される。
【0052】
ポリアミド成形材料の製造
ポリアミド成形材料の製造のために、成分A)〜D)および任意にE)及び/又はF)が、通常の混合機、例えば、一軸もしくは二軸押出機またはスクリュー混練機等で、混合され(配合され)、ポリマー溶解物となる。前記成分は、個々に供給口内にあるいはサイドフィーダー内に計量投入される。成分A)〜C)および任意に成分E)またはF)は、ドライブレンドの形で供給されてもよい。一般に、強化成分D)および場合によって成分E)は、個々に重量計量はかりあるいはサイドフィーダーを経て溶解物に計量投入される。
【0053】
成分F)は、直接あるいはマスターバッチの形で導入されることができる。マスターバッチのキャリア物質は、好ましくはポリアミドである。ポリアミドの中でも、特に、PA 6、PA 11、PA 12、PA 6/12、またはPA MACMI 12が適切である。
【0054】
前記ドライブレンドの製造のために、ポリアミドA)〜C)および任意でさらなる添加剤F)の乾燥顆粒が、密閉容器内で混合される。この混合物は、タンブル・ミキサー、偏心ミキサーまたはタンブラー・ドライヤーにより、10〜40分間均質化される。これは、吸湿を避けるために、乾燥保護ガス下で行われることができる。
【0055】
配合は、第一ハウジングで70℃〜100℃および残りのハウジングで230℃〜320℃の設定シリンダー温度で行われる。ノズルの前で、真空にすること、あるいは大気の脱気を行うことができる。溶解物は、ストランド状に放出され、水浴中で10〜80℃に冷却され、続いて造粒される。前記顆粒は、窒素下または真空中で80〜120℃にて12〜24時間、水分含量が0.1重量%未満になるまで乾燥される。
【0056】
本発明に係る主題は、当該主題を本明細書に示される特定の実施形態に限定することを意図することなく、以下の実施例を参照してより詳細に説明される。
【実施例】
【0057】
ポリアミドC)製造のための実施例としてのPA MACM36の製造
300Lの加圧オートクレーブの受入槽内に、42kgの脱イオン水が入れられ、52.66kgの二量体化脂肪酸が混入される。その後、22.23kgのビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)、15gのAntifoam RD、10重量%のエマルション(消泡剤)、8gのホスフィン酸(縮合触媒)および最後に70gの安息香酸(鎖長調節剤)が添加される。その後、以下のように処理が行われる:
・10回の不活性化後、190℃への加熱が行われる。均質な溶液は、190℃にてスクリーンを通して反応槽内に注ぎ込まれる。
・撹拌下、このバッチは270℃まで加熱され、20barにて圧力相内で1時間保持される。2時間以内に、大気圧に下げられ、その後、270℃にて2時間脱気される。
・ポリマー溶解物は放出され、水浴(20℃)中で冷却され、造粒される。顆粒は80℃にて、真空(30mbar)中で24時間、水分含量0.1重量%未満に乾燥される。
生成物の相対粘度は、1.54であった。
【0058】
実施例E4のポリアミド成形材料の製造
ポリアミドA)、B)およびC)の乾燥顆粒は、ドライブレンドを形成するために、表1に示す比にて、白色顔料および2種類の熱安定剤と一緒に混合された。この混合物(40kg)は、タンブラー・ミキサーにより、約20分間均質化された。
【0059】
前記ポリアミド成形材料は、Werner&Pfleiderer社の二軸押出機Type ZSK 25で製造された。前記ドライブレンドは、計量はかりを経て供給口に計量投入された。ガラス繊維1は、ノズルの前で、サイドフィーダー6ハウジングユニットを経て、溶解物内へと運ばれた。第一ハウジングの温度は70℃に設定され、残りのハウジングの温度は280℃に設定された。200rpmの回転速度および13kg/hのスループットが使用され、大気の脱気が行われた。ストランドは水浴中で冷却され、切断され、得られた顆粒は100℃にて24時間真空(30mbar)中で、水分含量0.1重量%未満に乾燥された。
【0060】
試験片の製造
試験片は、Arburg社の射出成型機、Model Allrounder 420C 1000-250で製造された。この際、230℃〜310℃の上昇シリンダー温度が使用された。金型温度は80℃であった。
【0061】
前記試験片は、乾燥状態で使用された。この目的のために、それらは、射出成形後、乾燥環境下(すなわち、シリカゲル上)で、室温にて少なくとも48時間、保管された。
【0062】
この出願で使用された測定方法:
引張弾性率:
ISO 527 引張り速度1mm/分で
ISO引張試験片、スタンダード:ISO/CD3167、タイプA1、170×20/10×4 mm、温度23℃
【0063】
引張強度および破断伸び:
ISO 527 引張り速度5mm/分で
ISO引張試験片、スタンダード:ISO/CD3167、タイプA1 170×20/10×4 mm、温度23℃
【0064】
シャルピー衝撃強度:
ISO 179/eU
ISO試験片、スタンダード:ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4 mm、温度23℃
1=非計装化、2=計装化
【0065】
ノッチ付きシャルピー衝撃強度;
ISO 179/eA
ISO試験片、スタンダード:ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4 mm、温度23℃
1=非計装化、2=計装化
【0066】
相対粘度
ISO 307
顆粒
100mLのm-クレゾール中に、0.5g
温度20℃
スタンダードのセクション11に従い、相対粘度(RV)の計算は、RV=t/t0による
【0067】
融解熱:
ISO スタンダード 11357
顆粒
示差走査熱量測定(DSC)は、20K/分の加熱速度で行われた。
【0068】
後続の表において、個々の成形材料の正確な組成データとともに、本発明に係る実施例(E2、E4、E6、E8およびE9)と比較例(CE1、CE3、CE5、CE7、CE10、CE11、CE12、CE13およびCE14)の機械特性の比較が行われる。
【0069】
表1〜3の実施例および比較例において、以下の材料が使用された:
成分A)
PA MACM12
ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンとドデカン二酸からなる非晶質ポリアミド MACM12
RV 1.52(20℃にて、100mLのm-クレゾール中0.5gで測定)
ガラス転移点 155℃
【0070】
成分B)
PA12
ラウリンラクタムからなる部分結晶性ポリアミド12
RV 1.62(20℃にて、100mLのm-クレゾール中0.5gで測定)
融点 178℃
【0071】
成分C)
PA MACM36
ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BASF社から得られるLaromin C260)と炭素原子数36の二量体化脂肪酸(Oleon社から得られる二量体化脂肪酸 Radiacid 0970)からなる非晶質ポリアミド MACM36
RV 1.54(20℃にて、100mLのm-クレゾール中0.5gで測定)
ガラス転移点 76℃

PA TMDC36
ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(BASF社から得られる3,3',5,5'-テトラメチル-4,4',ジアミノジシクロヘキシルメタン)と炭素原子数36の二量体化脂肪酸(Oleon社から得られる二量体化脂肪酸 Radiacid 0970)からなる非晶質ポリアミド TMDC36
RV 1.53(20℃にて、100mLのm-クレゾール中0.5gで測定)
ガラス転移点 92℃
【0072】
成分D)
ガラス繊維1
Micromax 771 strand
円形ガラス繊維
長さ3mm、直径6μm
ベルギーのOwens Corning社から入手可能

ガラス繊維2
Nittobo CSG3PA-820
扁平ガラス繊維
長さ3mm
主横断面軸 28μm、二次横断面軸 7μm
横断面軸のアスペクト比=4
日本の日東紡績株式会社から入手可能

ガラス繊維3
Vetrotex 995 EC10-4.5
円形ガラス繊維
長さ4.5mm、直径10μm
フランスのSaint-Gobain Vetrotex社から入手可能
【0073】
成分E)
白色顔料
Sachtolith HD-S
硫化亜鉛
平均粒径(D50) 0.30〜0.35μmの範囲
ドイツのSachtleben Chemie社から入手可能
【0074】
成分F)
熱安定剤1
Irganox 1098
N,N'-ヘキサン-1,6-ジイルビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、
ドイツのBASF社から入手可能

熱安定剤2
Hostanox PAR 24
トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト
スイスのClariant社から入手可能
【0075】
Tafmer MC201
オレフィン系衝撃改質剤、無水マレイン酸で官能化、エチレン/プロピレン・コポリマーとエチレン/1-ブテン・コポリマーの重量比67:33のブレンド、0.6重量%の無水マレイン酸でグラフト化、日本の三井化学株式会社から入手可能
【0076】
【表1】
【0077】
表1は、改質されていないポリアミド成形材料(CE1)の靱性に対する、ポリアミドPA MACM36の添加によるプラスの効果を示す。
【0078】
実施例E2において、比較例CE1のポリアミド成形材料へのポリアミドPA MACM36の添加は、58kJ/m2から79kJ/m2への衝撃強度の改良および13kJ/m2から17kJ/m2へのノッチ付き衝撃強度の改良をもたらす。破断伸びも、3.1から3.7%に上昇する。引張弾性率はわずかな増加を示す。
【0079】
CE3とE4あるいはCE5とE6の間の比較は、同様に、衝撃強度、ノッチ付き衝撃強度および破断伸びの改良を示す。引張弾性率では、ごくわずかな減少が観察されうる。
【0080】
【表2】
【0081】
表2は、改質されていないポリアミド成形材料(CE7)の靱性に対する、実施例8のポリアミドPA MACM36あるいは実施例9のPA TMDC36の添加によるプラスの効果を示す。
【0082】
PA MACM36(E8)の添加、およびPA TMDC36(E9)の添加のどちらでも、衝撃強度、ノッチ付き衝撃強度および破断伸びが、比較例(CE7)の測定値と比べて向上した。引張弾性率については、ごくわずかな減少が観察されうる。
【0083】
【表3】
【0084】
表3は、非晶質および部分結晶性ポリアミドの強化ブレンド中のTafmer MC201(ポリアミド用の一般的なオレフィン系衝撃改質剤)の作用を示す。ポリアミド成形材料の靱性は、前記衝撃改質剤の添加によって明らかに低下し、このネガティブな効果は、衝撃改質剤の量が増えるにつれ、増加する。Tafmer MC201を含まないポリアミド成形材料(CE10)は、72kJ/m2の衝撃強度を示すが、2重量%の衝撃改質剤の添加により(CE11)、わずか42kJ/m2となる。破断伸びは、2.3%(CE10)から、わずか1.6%(CE11)に低下し、ノッチ付き衝撃強度も、14kJ/m2(CE10)から13kJ/m2(CE11)に低下する。さらに、ポリアミド成形材料の剛性は、低下する引張弾性率から分かるように、衝撃改質剤の添加により大きく低下する。