(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記感熱部材は平板状に形成され、前記第1および第2の多対熱電対は前記感熱部材にスクリーン印刷されており、前記均熱部材は平板状に形成されて前記感熱部材にガラスペーストを介して接着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱分析装置用センサユニット。
【背景技術】
【0002】
従来、DTA(Differential Thermal Analyzer)、DSC(Differential Scanning Calorimeter)等の熱分析装置には、一対の熱電対を備えた温度差センサが用いられている。このような温度差センサは、各熱電対により測定試料の温度と標準試料の温度をそれぞれ検出し、その温度差を出力する。
また近年においては、測温感度を高めるために、多対熱電対と称する熱電対を用いて測定試料の温度と標準試料の温度とをそれぞれ検出する構成のものも提案されている(特許文献1参照)。多対熱電対とは、二種類の異なる金属材料を交互に接合して、その接合部(ジャンクション部)に複数の測温接点と複数の基準接点が交互形成された構成の熱電対である。この多対熱電対は、複数の熱電対を直列に接続した構成となっており、測温接点と基準接点との間の温度差に対応して、各熱電対から出力される起電力の総和が出力されるため、小さな温度差に対して大きな起電力が生まれることから、測温の感度が高められるという特徴を有している。
【0003】
さて、特許文献1には、多対熱電対を用いたサンプルホルダー(すなわち、センサユニット)が開示されている。同文献1に開示されたサンプルホルダーは、サンプル位置と基準位置の周囲にそれぞれ多対熱電対を配置し、サンプル位置に置かれたサンプル物質と基準位置に置かれた基準物質の温度差を、これら多対熱電対からの信号(起電力)によって検出している。
ところが、多対熱電対は、複数の測温接点と、複数の基準接点を有しており、これら各接点(すなわち、ジャンクション部)が配置されている部位の温度に僅かながらもばらつきがあった場合、多対熱電対を構成する個々の熱電対からの起電力にもばらつきが生じる。
特に、複数の基準接点は、サンプル位置や基準位置から離れた円周に沿って配置され、それらの配置部位の相互間が大きく離間している。そのため、各基準接点が配置された部位の温度は相互にばらつきが生じやすく、それらの温度のばらつきが重畳されて、測温精度が低下するおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、多対熱電対の基準接点が配置されるベース部の温度を均熱化して、多対熱電対を構成する個々の熱電対に生じる起電力のばらつきを抑え、測温精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、測定試料と標準試料との温度差を検出する熱分析装置のセンサユニットであって、
測定試料を配置する測定試料配置部、標準試料を配置する標準試料配置部、およびこれら各配置部から離間した位置に設定されたベース部をそれぞれ備えた感熱部材と、
二種類の異なる金属材料を交互に接合して複数の測温接点と複数の基準接点が交互形成され、複数の測温接点が測定試料配置部に配置されるとともに、複数の基準接点がベース部に配置された第1の多対熱電対と、
二種類の異なる金属材料を交互に接合して複数の測温接点と複数の基準接点が交互形成され、複数の測温接点が標準試料配置部に配置されるとともに、複数の基準接点がベース部に配置された第2の多対熱電対と、
ベース部に貼り合わされた均熱部材と、を含み、
均熱部材を、感熱部材よりも大きな熱伝導率であって、且つ感熱部材に近似した線膨張係数を有する耐熱・電気絶縁材料で形成したことを特徴とする。
【0007】
感熱部材は、少なくとも測定試料配置部とベース部の間に、測定試料の物性変化に伴う温度変化を生じさせなければならないため、熱伝導率は一定の大きさに抑えられている。したがって、感熱部材のベース部も場所によって温度が不均一になりやすい。そこで、本発明は、感熱部材のベース部に大きな熱伝導率を有する均熱部材を貼り合わせ、この均熱部材を介して感熱部材におけるベース部の温度を均熱化させている。これにより、多対熱電対を構成する個々の熱電対に生じる起電力のばらつきが抑えられ、測温精度が向上する。
【0008】
しかし、感熱部材のベース部に均熱部材を貼り合わせた構成において、感熱部材と均熱部材との間の線膨張係数が大きく相違した場合、加熱に伴う熱膨張の程度が各部材間で異なり、各部材の間に応力が生じて破損してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、均熱部材の線膨張率を感熱部材の線膨張率に近似したものとすることで、このような各部材間の応力発生による破損を防止している。
一般に、貼り合わせた部材間の線膨張率の差を1×10
−6/℃以内に収めておけば、高温に加熱しても各部材間に破損する程の膨張差は生じない。
本発明者は、種々のセラミック材料の組み合わせを検討し、その結果、感熱部材をムライトで形成するとともに、均熱部材を窒化アルミニウムで形成することで、ベース部の良好な均熱と、各部材間で均等な熱膨張を実現することができた。
【0009】
また、本発明は、感熱部材におけるベース部の温度を測定するベース温度測定手段を備えてもよい。このベース温度測定手段は、例えば、シース熱電対で構成することができる。かかるベース温度測定手段によってベース部の温度を測定することで、第1の多対熱電対によって検出したベース部と測定試料配置部との間の温度差をベース部の温度に加算して、正確な測定試料配置部(すなわち、測定試料)の温度を求めることが可能となる。
【0010】
上述した構成の本発明は、感熱部材を平板状に形成し、第1および第2の多対熱電対を感熱部材にスクリーン印刷するとともに、平板状の均熱部材を感熱部材にガラスペーストを介して接着することで、製作することができる。ここで、均熱部材を、感熱部材の表面および裏面のそれぞれに接着すれば、いっそう速やかに感熱部材のベース部を均熱化することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多対熱電対の基準接点が配置されるベース部の温度を均熱化して、多対熱電対を構成する個々の熱電対に生じる起電力のばらつきを抑え、測温精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の本実施形態に係る熱分析装置の概略構造を示す模式図である。
同図に示す熱分析装置は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)と称するもので、測定試料と
標準試料を一定の温度プログラムにしたがって温度変化させながら、測定試料と
標準試料の温度差を温度または時間の関数として測定する機能を備えている。
【0014】
同図に示す熱分析装置は、加熱炉1内にセンサユニット2が設置されており、このセンサユニット2の上面に測定試料容器3と
標準試料容器4が配置される。そして、加熱炉1によって測定試料容器3内の測定試料と
標準試料容器4内の
標準試料とを、同じ条件下で加熱して昇温していき、センサユニット2に設けた熱電対によって測定試料と
標準試料の温度差を検出する構成となっている。センサユニット2については、
図2以下の図面を参照して、後に詳細に説明する。
なお、
図1には示されていないが、熱分析装置には、加熱炉1の温度制御回路や熱電対から出力された起電力から温度差を求める温度差検出回路など、各部の制御や温度の測定分析を実行するための回路が備わっている。
【0015】
図2〜
図4は、本発明の実施形態に係る熱分析装置用のセンサユニット2の構成を示している。
図2に示すように、センサユニット2は、感熱部材10の上面に第1,第2の多対熱電対21,22を設け、さらに感熱部材10のベース部11に対し上面(表面)および底面(裏面)から均熱部材30を貼り合わせた構成となっている。
【0016】
感熱部材10は、円盤状に形成され、その上面に測定試料配置部12と
標準試料配置部13がそれぞれ円形の領域をもって設定してある。測定試料配置部12には測定試料容器3が配置され、
標準試料配置部13には
標準試料容器4が配置される。この感熱部材10は、
図1に示したように、加熱炉1内へ同心円上に配置され、測定試料配置部12と
標準試料配置部13は中心に対し左右対称な位置関係となっており、これらの配置部12,13の上に配置された各試料容器3,4内の測定試料と
標準試料は、加熱炉1内で同じ条件下で加熱される。
感熱部材10の上面において、測定試料配置部12と
標準試料配置部13以外の領域は、ベース部11として機能する。
【0017】
感熱部材10は、加熱炉1から伝えられた熱を速やかに各配置部12,13の上に配置された各試料容器3,4内の測定試料と標準試料へ伝えるために良好な熱伝導率を有している必要がある。一方で、後述する多対熱電対21,22が各配置部12,13とベース部11との間の温度差を検出できるようしなければならないため、温度測定に必要なだけの時間差をもって熱が伝わる必要があり、その観点からは熱伝導率を抑える必要がある。さらに、感熱部材10は、加熱炉1からの熱で変形しない耐熱性を有しなければならず、さらに多対熱電対21,22の短絡を防止するために電気的な絶縁性を有している必要もある。
これらの条件をすべて満たす材料としてはセラミック材料があり、特に本実施形態ではムライト(Mullite: 3Al
2O
3・2SiO
2)と称するセラミック材料で感熱部材10を構成している。ムライトは、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の化合物であって、良好な熱伝導率と耐熱性および電気絶縁性を有している。しかもムライトは、線膨張率が小さく加熱されても変形(膨張)が小さい。
【0018】
次に、第1,第2の多対熱電対21,22は、
図4に示すように、二種類の異なる金属材料を交互に接合して、その接合部(ジャンクション部)に複数の測温接点23と複数の基準接点24が交互形成された構成の熱電対である。この多対熱電対21,22は、それぞれ複数の熱電対要素25を直列に接続した構成となっており、測温接点23と基準接点24との間の温度差に対応して、各熱電対から出力される起電力の総和が出力されるため、小さな温度差に対して大きな起電力が生まれることから、測温の感度が高められるという特徴を有している。
【0019】
本実施形態では、二種類の異なる金属材料として、パラジウム(Pd)と金(Au)の合金と、金(Au)を用いており、後述するように、それら金属材料の厚膜パターンを感熱部材10の上面にスクリーン印刷することで、第1,第2の多対熱電対21,22を形成している。
【0020】
第1の多対熱電対21は、測定試料配置部12と中心を同じくする仮想円環O1に沿って各熱電対要素25を放射状に配置してあり、仮想円環O1の内側に位置する測温接点23は、測定試料配置部12の近傍(又は測定試料配置部12内)に配置されている。一方、仮想円環O1の外側に位置する基準接点24は、ベース部11に配置されている。そして、第1の多対熱電対21の両端は、端子部a,cに接続している。
感熱部材10の上面にこのように配置された第1の多対熱電対21は、測温接点23が配置された測定試料配置部12と、基準接点24が配置されたベース部11との間の温度差ΔTsに対応した起電力を端子部a,cに出力する。
【0021】
第2の多対熱電対22は、
標準試料配置部13と中心を同じくする仮想円環O2に沿って各熱電対要素25を放射状に配置してあり、仮想円環O2の内側に位置する測温接点23は、
標準試料配置部13の近傍(又は
標準試料配置部13内)に配置されている。一方、仮想円環O2の外側に位置する基準接点24は、ベース部11に配置されている。そして、第2の多対熱電対22の両端は、端子部b,cに接続している。
感熱部材10の上面にこのように配置された第2の多対熱電対22は、測温接点23が配置された
標準試料配置部13と、基準接点24が配置されたベース部11との間の温度差ΔTrに対応した起電力を端子部b,cに出力する。
【0022】
また、第1,第2の多対熱電対21,22のそれぞれ一方の端部は電気的に連結されて端子部cと繋がっている。つまり各多対熱電対21,22は直列に接続されている。そして、各多対熱電対21,22のそれぞれ他方の端子部a,bの間には、測定試料配置部12と
標準試料配置部13との間の温度差ΔTに対応した起電力が出力される。
【0023】
さらに、感熱部材10のベース部11には、
図3に示すように、シース熱電対40の測温接点41が接合してある。このシース熱電対40は、感熱部材10におけるベース部11の温度を測定するためのベース温度測定手段を構成している。
【0024】
均熱部材30は、
図2に示すように、感熱部材10の上面(表面)と底面(裏面)にそれぞれ貼り合わされる。各均熱部材30は、
図3に示すように、感熱部材10の外形に合わせて円盤状に形成されるとともに、感熱部材10の測定試料配置部12と
標準試料配置部13、およびそれら各配置部12,13の周囲に設けられた第1,第2の多対熱電対21,22の形成領域には、円形の切欠孔31が形成され、それらの領域に接しない形状となっている。
ここで、第1,第2の多対熱電対21,22における、感熱部材10のベース部11に配置された複数の基準接点24には、均熱部材30が配置され、これら基準接点24の相互間に温度差が生じないように均熱部材30が均熱化している(
図3参照)。
【0025】
これらの均熱部材30は、感熱部材10のベース部11に伝えられた熱を速やかに均熱化するために、感熱部材10よりも大きな熱伝導率を有していることが好ましい。また、均熱部材30は、感熱部材10と同様に、加熱炉1からの熱で変形しない耐熱性を有しなければならず、さらに多対熱電対21,22の短絡を防止するために電気的な絶縁性を有している必要もある。
加えて、感熱部材10に貼り合わされる均熱部材30は、加熱に伴う熱膨張を感熱部材10と同程度にして各部材10,30の破損を防止するために、感熱部材の線膨張率に近似した線膨張率とする必要がある。既述したように、貼り合わせた部材間の線膨張率の差を1×10
−6/℃以内に収めておけば、高温に加熱しても各部材間に破損する程の膨張差は生じない。
【0026】
本実施形態では、感熱部材10をムライトで構成したが、このムライトよりも大きな熱伝導率を有し、且つ線膨張率がムライトと同程度のセラミック材料が、均熱部材30に好適な材料となる。そこで、本実施形態では、窒化アルミニウム(AlN)により均熱部材30を構成することとした。
図5に示すように、窒化アルミニウム(AlN)は、ムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)とほぼ同じ線膨張率のセラミック材料である。しかも、ムライトよりも熱伝導率が高く、さらに耐熱性と電気絶縁性に優れているため、均熱部材30に適用可能な材料としての条件をすべてクリアしている。
【0027】
図6は上述した構成のセンサユニットによる試料温度の取得方法を説明するための図である。
同図(a)は縦軸に温度、横軸に熱電対からの出力(起電力)を示している。そして、V1を第1の多対熱電対21からの出力とすると、その出力の大きさは、測定試料配置部12の近傍に配置した測温接点23の温度T1とベース部11に配置した基準接点24の温度T2の間の温度差ΔTsに対応している。そして、この出力V1は、第1の多対熱電対21を構成する複数の熱電対要素25に生じる起電力V1aの総和となる。ここで、測定試料配置部12の近傍に配置した測温接点23の温度T1とベース部11に配置した基準接点24の温度T2の間の温度差ΔTsは、同じ感熱部材10上での温度差のため、ごく僅かであり、したがって熱電対要素25に生じる起電力V1aも小さい。多対熱電対21,22は、そのようなごく僅かな温度差ΔTsを、熱電対要素25に生じる小さな起電力V1aの総和としての出力V1により検出するため、通常の熱電対に比べて極めて高感度に小さな温度差ΔTsを検出することができる。
【0028】
本実施形態のセンサユニット2を組み込んだ熱分析装置によれば、測定試料配置部12の近傍に配置した測温接点23の温度T1とベース部11に配置した基準接点24の温度T2の間の温度差ΔTsを、第1の多対熱電対21からの出力V1により検出するとともに、熱分析装置が設置された場所の温度(例えば、室温)T3と、感熱部材10のベース部11の温度T2との間の温度差ΔTbをシース熱電対40からの出力(起電力)により検出することができる。このシース熱電対40からの出力(起電力)により検出した温度差ΔTbに、熱分析装置が設置された場所の温度(例えば、室温)T3を加えることで、感熱部材10のベース部11の温度T2を求めることができる。そして、感熱部材10のベース部11の温度T2に、第1の多対熱電対21からの出力V1により検出した温度差ΔTsを加えることで、測定試料配置部12の近傍に配置した測温接点23の温度T1(すなわち、測定試料容器3内の試料の温度に相当)を求めることができる。
本実施形態のセンサユニット2を組み込んだ熱分析装置は、このように感熱部材10のベース部11の温度T2をシース熱電対40を用いて求め、ベース部11の温度T2に第1の多対熱電対21からの出力V1により検出した温度差ΔTsを加算して、試料の温度を求める方式となっている。
【0029】
なお、同図(b)に拡大して示すように、ベース部11に配置した複数の基準接点24の温度T2にばらつきがあると、第1の多対熱電対21からの出力V1に誤差が生じて、測定試料配置部12とベース部11の間の温度差ΔTsを正確に検出できないおそれがある。しかし、本実施形態のセンサユニット2によれば、感熱部材10のベース部11に大きな熱伝導率を有する均熱部材30を貼り合わせ、この均熱部材30を介して感熱部材10におけるベース部11の温度を均熱化させているので、多対熱電対21,22を構成する個々の熱電対要素25に生じる起電力のばらつきが抑えられ、測温精度が向上する。
【0030】
次に、
図7〜
図10を参照して、本実施形態に係るセンサユニットの製造方法を説明する。
まず、
図7に示すように、ムライトで構成した感熱部材10の上面に、二種類の異なる金属材料(具体的には、パラジウム(Pd)と金(Au)の合金と、金(Au))を用いて、第1,第2の多対熱電対21,22の厚膜パターンをスクリーン印刷する。
【0031】
なお、特許文献2(WO2014/153438号公報)の段落「0010」「0011」には、スクリーン印刷により熱電対を基材に形成した厚膜サーモパイルDSCセンサの構成について、次の欠点があることを指摘している。すなわち、スクリーン印刷により形成した熱電対は、熱電対材料がペーストであるため、空間的に不均一になり、基準温度を計測する熱電対として誤差を生じる。また、スクリーン印刷により形成した熱電対は、固体合金と比較してペーストの熱電対材料は電気抵抗が高いので、インピーダンスが高くなりノイズの原因となる。
【0032】
これらの指摘に対しては、窒化アルミニウム(AlN)を均熱部材30として各多対熱電対21,22の外周に設置することにより、熱的に均一化して平均の温度を計測できるようになる。また、熱電対材料として金(Au)および金(Au)の合金を使用することで、電気抵抗を下げることができる。さらに、各多対熱電対21,22を形成する厚膜パターンの膜厚や幅を十分に大きく確保することによっても、電気抵抗を下げることができる。これらの対応をもって、各多対熱電対21,22の電気抵抗を数十Ω程度にまで下げることが可能であり、低ノイズ化を実現することができる。
【0033】
次いで、
図8に示すように、感熱部材10の上面と、下側の均熱部材30の上面とに、接着剤となるガラスペースト50をスクリーン印刷する。ここで用いるガラスペースト50は、ムライトからなる感熱部材10や、窒化アルミニウムからなる均熱部材30と、ほぼ同じ線膨張率となるように調整されている。
【0034】
続いて、
図9に示すように、ムライトで構成した感熱部材10の上面と裏面に、それぞれ均熱部材30を重ね合わせて焼成することで、ガラスペースト50にて感熱部材10の上面と裏面に均熱部材30を接着する。また、感熱部材10の測定試料配置部12と
標準試料配置部13の表面には、金(Au)で形成したパッド60をそれぞれガラスペースト50にて接着し、測定試料容器3内の試料や
標準試料容器4内の
標準試料に、速やかに熱が伝わるようにしてある。
【0035】
その後に、感熱部材10に設けた端子部a,b,cに、第1,第2の多対熱電対21,22と同じ金属材料(具体的には金(Au))の引出し線61を接続するとともに、感熱部材10のベース部11にシース熱電対40を接続して、センサユニット2が完成する。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明概念の範囲で、種々の応用実施や変形実施が可能である。
例えば、感熱部材は、ムライト以外のセラミック材料で構成することができる。また、均熱部材は、感熱部材よりも大きな熱伝導率であって、且つ感熱部材に近似した線膨張係数を有する耐熱・電気絶縁材料であれば、窒化アルミニウム以外のセラミック材料で構成することもできる。
【0037】
また、均熱部材は、必要に応じて、感熱部材の上面(表面)または下面(裏面)のいずれか一方のみに貼り合わせた構成であってもよい。
さらに、ベース部の温度を測定するベース温度測定手段は、シース熱電対40以外の温度センサで構成することもできる。また、ベース温度測定手段は、二種類の異なる金属材料の厚膜パターンを感熱板にスクリーン印刷して形成した熱電対で構成することも可能である。