特許第6355612号(P6355612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355612
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】植木鉢
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20180702BHJP
【FI】
   A01G9/02 101E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-224769(P2015-224769)
(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-86046(P2017-86046A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】510201816
【氏名又は名称】陣内金型工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】陣内 克士
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−250357(JP,A)
【文献】 特開平08−051868(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0005516(US,A1)
【文献】 実開昭60−144840(JP,U)
【文献】 特開2000−333538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植木鉢であって、
上方が開放される筒状の部分である側部と、
前記側部の下方の縁に周囲を繋げ中心部を下方に下げる底部と、
を備え、
下方から見て前記底部に中心部から四方にばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域が区画され、
前記底部の前記領域での厚みである第一厚みが前記底部の前記領域を除く箇所のうちの前記底部の上下に延びる中心軸に沿って垂直面で切った断面を見て前記底部の下方から斜め上方に立ち上がり前記側部の下方の縁に繋がるまでの部分での厚みである第二厚みより薄い、
ことを特徴とする植木鉢。
【請求項2】
前記底部に前記領域を埋める様に多数の貫通穴が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の植木鉢。
【請求項3】
前記第二厚みは前記底部の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立できるのに必要な厚みであり、
前記第一厚みは前記底部の中心部を指で上方に押すと前記領域の内側が撓むことにより前記底部の中心部が上方に凹むのに必要な厚みである、
ことを特徴とする請求項1又は2のうちの一つに記載の植木鉢。
【請求項4】
植木鉢であって、
上方が開放される筒状の部分である側部と、
前記側部の下方の縁に周囲を繋げ中心部を下方に下げる底部と、
を備え、
下方から見て前記底部に中心部から四方にばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域が区画され、
前記底部の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立でき、
前記底部の中心部を指で上方に押すと前記領域の内側が撓むことにより前記底部の中心部が上方に凹む、
ことを特徴とする植木鉢。
【請求項5】
前記底部に前記領域を埋める様に多数の貫通穴が形成される、
ことを特徴とする請求項4に記載の植木鉢。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植木鉢に係る。
【背景技術】
【0002】
植物を栽培するのに植木鉢が用いられることがある。
植木鉢は、利用の態様に応じて、各種の特性を求められる。
例えば、植木鉢は、見栄えが良いことを求められる。
例えば、植木鉢は、適度な水はけを求められる。
例えば、植木鉢は、育った植物の植え替えが容易であることを求められる。
例えば、植木鉢は、周囲から害虫が入り込まないことを求められる。
例えば、植木鉢は、通気性を求められる。
例えば、植木鉢は、栽培用土が出来るだけ流出しないことが求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた市場の要望に鑑み案出されたもので、簡易な構造により使いやすい植木鉢を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明にかかる植木鉢を、上方が開放される筒状の部分である側部と、前記側部の下方の縁に周囲を繋がり中心部を下方に下げる底部と、を備え、下方から見て前記底部に中心部から四方にばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域が区画され、前記底部の前記領域での厚みである第一厚みが前記底部の前記領域を除く主な箇所での厚みである第二厚みより薄い、ものとした。
【0005】
上記本発明の構成により、側部が、上方が開放される筒状の部分である。底部が、前記側部の下方の縁に周囲を繋へ中心部を下方に下げる。下方から見て前記底部に中心部から四方にばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域が区画される。前記底部の前記領域での厚みである第一厚みが前記底部の前記領域を除く主な箇所での厚みである第二厚みより薄い。
その結果、前記第一厚みと前記第二厚みとを相対的に選択して、所望の剛性をもつ植木鉢を提供できる。
【0006】
以下に、本発明の実施形態に係る機械装置支持構造を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0007】
また、本発明の実施形態に係る植木鉢は、前記底部に前記領域を埋める様に多数の貫通穴が形成される。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記底部に前記領域を埋める様に多数の貫通穴が形成される。
その結果、前記貫通穴の大きさを前記第一厚みに対応して選択でき、所望の水はけ性能をもつ植木鉢を提供できる。
【0008】
また、本発明の実施形態に係る植木鉢は、前記第二厚みは前記底部の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立できるのに必要な厚みであり、前記第一厚みは前記底部の中心部を指で上方に押すと前記領域の内部に皺が寄って前記底部の中心部が上方に凹むのに必要な厚みである。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記第二厚みは前記底部の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立できるのに必要な厚みである。前記第一厚みは前記底部の中心部を指で上方に押すと前記領域の内部が撓むことにより前記底部の中心部が上方に凹むのに必要な厚みである。
その結果、通常は平面上の支持面に自立でき、必要なとき指で前記底部の中心部を上方に押して植木鉢から植物を押し上げることができる植木鉢を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明に係る機械装置支持構造は、その構成により、以下の効果を有する。
上方が開放される筒状の側部の下方に縁に周囲を繋げ中心部を下方に下げる前記底部に中心部から周囲に向かって放射状に延びる少なくとも3つの領域が区画され、前記底部の前記領域での厚みである第一厚みが前記底部の前記領域を除く主な箇所での厚みである第二厚みより薄い様にしたので、前記第一厚みと前記第二厚みとを相対的に選択して、所望の剛性をもつ植木鉢を提供できる。
また、前記底部に前記領域を埋める様に多数の貫通穴が形成される様にしたので、前記貫通穴の大きさを前記第一厚みに対応して選択でき、所望の水はけ性能をもつ植木鉢を提供できる。
また、前記第二厚みは前記底部の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立できるのに必要な厚みであり、前記第一厚みは前記底部の中心部を指で上方に押すと前記領域の内側が撓むことにより前記底部の中心部が上方に凹むのに必要な厚みである様にしたので、通常は平面上の支持面に自立でき、必要なとき指で前記底部の中心部を上方に押して植木鉢から植物を押し上げることができる植木鉢を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る植木鉢の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る植木鉢に平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る植木鉢のA−A断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る植木鉢の底面図である。
図5】本発明の実施形態に係る植木鉢の底面概念図である。
図6】本発明の実施形態に係る植木鉢のB部拡大図である。
図7】本発明の実施形態に係る植木鉢のC−C断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る植木鉢の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
最初に、本発明の実施形態に係る植木鉢を、図を基に、説明する
図1は、本発明の実施形態に係る植木鉢の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る植木鉢に平面図である。図3は、本発明の実施形態に係る植木鉢のA−A断面図である。図4は、本発明の実施形態に係る植木鉢の底面図である。図5は、本発明の実施形態に係る植木鉢の底面概念図である。図6は、本発明の実施形態に係る植木鉢のB部拡大図である。図7は、本発明の実施形態に係る植木鉢のC−C断面図である。図8は、本発明の実施形態に係る植木鉢の作用説明図である。
【0013】
植木鉢は、植物を栽培するための容器である。
植木鉢は、いわゆる植木鉢、プランター、育苗用ポットを含む。
【0014】
植木鉢は、側部10と底部20とで構成される。
植木鉢は、側部10と底部20と脚部30とで構成されてもよい。
植木鉢は、側部10と底部20とリブ部40とで構成されてもよい。
植木鉢は、側部10と底部20と脚部40とリブ部40とで構成されてもよい。
【0015】
植木鉢は、一体成型されたものでもよい。
植木鉢は、樹脂製であってもよい。
植木鉢は、光透過性の高い樹脂製であってもよい。
例えば、植木鉢は、ポリププロピレン樹脂製、ポリエステル樹脂製、アクリル樹脂製、 繊維強化プラスチック製のうちの一つであってもよい。
【0016】
側部10は、上方が開放される筒状の部分である。
側部10の下方の縁が、底部20の周囲に繋がる。
側部10の下方の縁が、底部20の周囲に滑らかに繋がってもよい。
側部10の下方の縁が、底部20の周囲に段差なく滑らかに繋がってもよい。
側部10の上方の縁が、フランジ状になっていてもよい。
側部10の主要な箇所での厚みが第三厚みT3である。
【0017】
側部10は、円形または多角形の輪郭をもつ筒状であってもよい。
側部10は、上方から下方に移動するに従って輪郭の寸法が小さくなる筒状であってよい。
【0018】
底部20は、側部10の下方の縁に周囲を繋げ中心部Cを下方に下がる部分である。
底部20は、第一底部21と第二底部22とで構成されてもよい。
第一底部21は、上方から下方に移動するに従って直径が小さくなる円錐状の部分である。 第一底部21の上方の周囲が側部10の下方の縁に繋がる。
第二底部22は、平板状の板構造であって、外周を第一底部の下方の縁に繋がる。
【0019】
下方から見て、底部20に中心部Cから四方にばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域Kが区画される。
下方から見て、底部20に中心部Cから四方に別れて放射状に延びる少なくとも3つの領域Kが区画されてもよい。
下方から見て、底部20に中心部Cから四方に分離して放射状に延びる少なくとも3つの領域Kが区画されてもよい。
例えば、下方から見て、底部20に中心部Cから四方にばらけて放射状に延びるN(N=3、4、5、6・・・)この領域Kが区画される。
例えば、下方から見て、底部20に中心部Cから四方に360°を所定の間隔でばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域Kが区画される。
例えば、下方から見て、底部20に中心部Cから四方に360°を略等間隔にばらけて放射状に延びる少なくとも3つの領域Kが区画される。
例えば、下方から見て、底部20に中心部Cから四方にばらけて放射状に延びる6つの領域Kが区画される。
図5に、底部20に6つの領域Kが区画される様子を示す。
図5は、理解の容易のために領域Kの内側を省略している。
複数の領域Kは、中央部Cで分離していてもよい。
複数の領域Kは、中央部Cで繋がっていてもよい。
図5に、6つの領域Kが中央部Cで畝状の部分である畝部24により分離している様子を示す。
図5に、底部20に6つの領域Kが第一底部21と第二底部22とに跨がって区画される様子を示す。
【0020】
底部20の領域Kに区画される箇所は、領域Kを除く箇所と一体成型されてもよい。
底部20の領域Kに区画される箇所は、領域Kを除く箇所とは別個に成型されて合体されたものでもよい。
【0021】
底部20に多数の貫通穴23が形成されてもよい。
底部20に領域Kを埋める様に多数の貫通穴が形成されてもよい。
貫通穴の短辺または短径が、0・2mm以上1.5mm以下であってもよい。、
図4に、底部20に領域Kを埋める様に多数の貫通穴23が形成される様子を示す。
図6、7は、貫通穴23の付近を拡大表示したものである。
図6は、貫通穴23は、略矩形の輪郭をもつ穴である。
図6は、複数の平行線が互いに交差するメッシュ状の部分であるメッシュ部25により貫通穴23を形成する様子を示す。
【0022】
底部20の領域Kでの厚みが、第一厚みT1である。
図7は、メッシュ部25の厚みが第一厚みT1である様子を示す。
底部20の領域Kを除く主要な箇所での厚みが、第二厚みT2であある。
第二厚みT2と第三厚みT3とは、同寸法であってもよい。
第一厚みT1は、第二厚みT2より薄い。
【0023】
第二厚みT2は、底部20の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立できるのに必要な厚みであってもよい。
第一厚みT1は、底部20の中心部Cを指で上方に押すと領域Kの内側が撓むことにより底部20の中心部Cが上方に凹むのに必要な厚みである。
例えば、第一厚みT1は、底部20の中心部Cを指で上方に押すと領域Kの内側に皺が寄って底部20の中心部Cが上方に凹むのに必要な厚みである。
【0024】
植木鉢を射出成形により成形するときに、射出成形時に、領域Kの内側から金型の隙間に射入し金型の畝部を形成する隙間に流す。その結果、樹脂が領域Kの内側の貫通穴23を形成するメッシュ部25に隅々に行き渡り、成形不良の低減、生産性の向上を図ることができる。
金型のエジェクタピンがガスベント機能を有しており、メッシュ部34を形成する箇所にエジェクタピンを設けてもよい。
【0025】
脚部30は、底部20の下面に形成され、植木鉢を支持面Sに置いたときに、支持面Sに接触する部分である。
脚部30は、底部20の第二厚みT2のある箇所に形成される。
図4、5には、脚部30が底部20の第二厚みT2のある箇所に形成される様子を示す。
【0026】
リブ部40は、底部20の内側に起立する様に形成される部分である。
リブ部40は、底部20の剛性が大きくなる様に、底部20を補強する。
図2は、領域Kを挟んで第一底部21と第二底部22との境を跨ぐ様に形成される様子を示す。
【0027】
以下に、本発明の実施形態にかかる植木鉢の作用を説明する。
【0028】
植木鉢に培養土を入れ、植物を植える。
水を植木鉢にまくと、土にしみ込み、余分な水が底部20に設けられた貫通孔23から通水する。
植木鉢を支持面Sに正置させる。
脚部30が、士地面Sに接し、植木鉢が自立する。
【0029】
植物が大きく育つと、植物をより大きい植木鉢に植え替えなければならなくなる。
植木鉢を持ち上げ、底部20の中心部Cを上方に押す。
底部20の中心部cが上り、植物の根を含む培養土が持ち上がる。
図8に、底部20の中心部Cを指で上方に押すと領域Kの内側に皺が寄って底部20の中心部Cが上方に凹む様子が示される。
植物を、より大きな植木鉢へ植え替える。
【0030】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る植木鉢は、その構成により、以下の効果を有する。
上方が開放される筒状の側部10の下方に縁に周囲を繋げ中心部を下方に下げる底部20に中心部Cから四方に360°を等間隔にばらけて放射状に延びる6つの領域Kが区画され、底部20の領域Kでの厚みである第一厚みT1が底部20の領域を除く主な箇所での厚みである第二厚みT2より薄い様にしたので、第一厚みT1と第二厚みT2とを相対的に選択して、所望の剛性をもつ植木鉢を提供できる。
また、底部20に領域Kを埋める様に多数の貫通穴23が形成される様にしたので、貫通穴23の大きさを第一厚みT1に対応して選択でき、所望の水はけ性能をもつ植木鉢を提供できる。
また、第二厚みT2は底部20の下面を平面状の支持面で支持したときに植木鉢が自立できるのに必要な厚みであり、第一厚みT1は底部20の中心部を指で上方に押すと領域の内側が撓むことにより底部の中心部が上方に凹むのに必要な厚みである様にしたので、通常は平面上の支持面Sに自立でき、必要なとき指で底部20の中心部Cを上方に押して植木鉢から植物を押し上げることができる植木鉢を提供できる。
その結果、例えば見栄えが良い、例えば適度な水はけが可能な、例えば育った植物の植え替えが容易である、例えば周囲から害虫が入り込まない、例えば通気性をもつ、例えば栽培用土の漏れがすくない、植木鉢を提供できる。
【0031】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
S 支持面
C 中心部
K 領域
10 側部
11 縁
20 底部
21 第一底部
22 第二底部
23 貫通穴
24 畝部
25 メッシュ部
30 脚部
40 リブ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】実用新案登録第3165724号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8