【実施例】
【0016】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(
図2参照)を着脱可能に保持(支持)する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤20の後側に、図柄を変動表示する演出を実行可能な演出実行手段としての表示装置17が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明部材13bを窓口13aに備えた装飾枠としての前枠13が開閉可能に組付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0017】
前記表示装置17は、後述する始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機として演出用の図柄(飾図という場合もある)を表示部17aに変動表示させる図柄変動演出を行うよう構成される。また表示装置17では、図柄変動に関連して実行される各種の表示演出を表示部17aに表示し得るようになっている。実施例では、前記表示装置17として、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。
【0018】
図1に示す如く、前記前枠13には、窓口13aを囲繞するようランプ装置(発光手段)18が配設されると共に、前枠13の上部位置に、音声や効果音を出力可能なスピーカ(音出力手段)19が配設されている。そして、ランプ装置18に設けられたLED等の発光体(図示せず)を点灯・点滅したり、前記スピーカ19から適宜の音声を出力することで、前記表示装置17で行われる各種の表示演出(図柄変動演出)に合わせて光による演出や音による演出を行い得るよう構成されている。すなわち、前記ランプ装置18やスピーカ19は、表示装置17と同様に演出実行手段としての機能を有している。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組付けるようにしてもよい。
【0019】
前記前枠13には、
図1に示す如く、下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20に形成された第1球流下領域23a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤20に形成された第2球流下領域23b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち」とを打ち分け得るようになっている。
【0020】
(遊技盤20について)
実施例の前記遊技盤20は、ベニア板や合成樹脂材により略矩形状に形成された板部材であって、該遊技盤20の裏側に前記表示装置17が着脱自在に組付けられている。遊技盤20の前側には、
図2に示す如く、前面(盤面)に配設された略円形状の案内レール21によりパチンコ球が流下可能(移動可能)な遊技領域23が画成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が当該遊技領域23内に打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、遊技盤20には、該遊技盤20との間に収容空間を画成する設置部材35が配設されており、収容空間には、発光により演出を行う発光演出装置や、後述する可動部70,71,72の動作等により演出を行う可動演出装置(可動演出部)69等の各種の演出装置が設置されている。そして、発光演出装置や可動演出装置69は、前記表示装置17で行われる各種の表示演出(図柄変動演出)に合わせて発光演出や可動部70,71,72の動作演出を行い得るよう構成されており、該発光演出装置および可動演出装置69についても、表示装置17と同様に演出実行手段としての機能を有している。なお、前記表示装置17は、設置部材35の裏側に取付けられて、後述するように設置部材35に設けた開口部(可視部)35aおよび枠状装飾体24(後述)の開口部24aを介して遊技盤20の前側から視認可能に臨むよう構成される(
図3参照)。
【0021】
前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が前記遊技領域23内に複数開設されて、各装着口に対して各種の遊技盤設置部品(具体的には後述する枠状装飾体24、始動入賞装置29、特別入賞装置30、ゲート部31等)が前側から取付けられると共に、遊技領域23の最下部位置には、該遊技領域23に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口22が開設されており(
図2参照)、遊技領域23に打ち出されてアウト口22に入球したパチンコ球が機外に排出されるよう構成される。また、前記遊技盤20には、前記遊技領域23内に多数の遊技釘32が設けられると共に、後述する枠状装飾体24の左側方に、遊技領域23(第1球流下領域23a)を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する回転案内部材33が回転自在に支持されており、遊技釘32や回転案内部材33との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成されている。前記回転案内部材33は、所謂「風車」とも称される部材であって、該回転案内部材33の回転に伴ってパチンコ球を弾くように左右方向へ放出する部材である。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に対して取付けられる各種の遊技盤設置部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0022】
実施例の前記遊技盤20には、
図2に示す如く、前記案内レール21で囲まれた遊技領域23の略中央の大部分が開口する装着口に、前後に開口する開口部24aが形成された枠状装飾体24が取付けられ、該枠状装飾体24の開口部24aを介して表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。
【0023】
(枠状装飾体24について)
前記遊技盤20に配設される前記枠状装飾体24は、
図2に示す如く、前記遊技盤20に開設された前記装着口の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部24d(
図3参照)と、該枠状基部24dに設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域23と表示装置17の表示部17aを区切って該遊技領域23の内周を画成する庇状部24bと、該庇状部24bの後縁から外方に延出する薄板状の台板部24cとを備える。そして、前記枠状基部24dを装着口に挿入すると共に台板部24cを遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部24cをネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体24が遊技盤20に取付けられる。ここで、前記庇状部24bは、前記枠状装飾体24(枠状基部24d)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するように設けられており、開口部24a側、すなわち表示装置17における表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。
【0024】
前記枠状装飾体24には、
図2に示す如く、前記庇状部24bの上部内周側に、前面にパチンコ機10のモチーフに関連する意匠が施された装飾部材38が設けられて、該装飾部材38の下端縁によって前記開口部24aの上縁が画成されている。この装飾部材38は光透性に構成されて、後述する可動演出装置69に設けられて該装飾部材38の後方の可動位置に移動した第2の可動部71を前側から認識し得るようになっている。また、枠状装飾体24には、前記開口部24aの下側に、ステージ26が設けられると共に、開口部24aの左側に、遊技領域23(第1球流下領域23a)に開口して該遊技領域23を流下するパチンコ球を取り込んでステージ26に案内する球導入部27が設けられ、該球導入部27からステージ26に通出されたパチンコ球は、ステージ26上を左右に転動した後に、後述する始動入賞装置29が配設されている遊技領域23に排出される。またステージ26の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁25が設けられ、ステージ26上を転動するパチンコ球が表示装置17の表示部17a側に移動するのを該透明壁25で防止している。
【0025】
前記遊技盤20に画成された遊技領域23は、前記枠状装飾体24における庇状部24bの左側方をパチンコ球が流下する第1球流下領域23aと、該枠状装飾体24における庇状部24bの上方から右側方をパチンコ球が流下する第2球流下領域23bとに区画されている。これにより、前記操作ハンドル16の操作レバー16aを回動操作して打球力を調節することで、遊技領域23に打ち出されたパチンコ球が第1球流下領域23aを流下する遊技形態(左打ち)および当該パチンコ球が第2球流下領域23bを流下する遊技形態(右打ち)の何れかを遊技者が任意に選択し得るようになっている。
【0026】
前記遊技盤20には、枠状装飾体24の下方に開設された装着口に、遊技領域23(第1球流下領域23a,第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口(始動入賞手段)29a,29bを有する始動入賞装置(入賞装置)29が取付けられている。また、始動入賞装置29の右方に開設された装着口に、遊技領域23(第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口(入賞口)30aを有する特別入賞装置(入賞装置)30が取付けられている。また、枠状装飾体24の右方に開設された装着口に、遊技領域23(第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が通過可能なゲート部31が取付けられている。更に、始動入賞装置29の左方に開設された装着口に、遊技領域23(第1球流下領域23a)を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口34aを有する普通入賞部34が取付けられている。なお、実施例では、遊技盤20における始動入賞装置29の右方に、遊技領域23(第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口34aを有する普通入賞部34が取付けられている。
【0027】
(始動入賞装置29について)
前記枠状装飾体24の下方位置に取付けられた前記始動入賞装置29は、前記第1球流下領域23aと第2球流下領域23bとが合流する合流部に位置して、該始動入賞装置29に設けられた始動入賞口29a,29bには両球流下領域23a,23bを流下するパチンコ球が入賞可能に構成されている。実施例の始動入賞装置29には、上下の関係で第1始動入賞口29aと第2始動入賞口29bとが設けられている。上側に位置する第1始動入賞口29aは、遊技領域23内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、該第1始動入賞口29aは、前記遊技領域23を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成される。これに対して下側に位置する第2始動入賞口29bは、始動用開閉部材29cによって開閉するよう構成されており、駆動手段としての始動入賞ソレノイド40(
図9参照)の駆動に伴って始動用開閉部材29cが第2始動入賞口29bを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。すなわち、第2始動入賞口29bは、始動入賞ソレノイド40を駆動することでパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成される。
【0028】
前記始動入賞装置29は、各始動入賞口29a,29bに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての始動入賞検出センサ41,42(
図9参照)を備えている。始動入賞検出センサ41,42は、パチンコ機10の裏側に配設されたメイン制御基板(メイン制御手段)60に配線接続されており、該始動入賞検出センサ41,42によるパチンコ球の検出を契機として所定数の賞球が払い出されるようになっている。また、始動入賞検出センサ41,42によるパチンコ球の検出(すなわち第1および第2始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞)を始動条件の成立として、前記メイン制御CPU60aが各種情報(各種乱数)を取得して、この取得した情報に基づいて後述する特図当り判定(当り抽選)が行われるよう構成されている。そして、特図当り判定の結果に基づいて前記表示装置17において図柄変動演出が実行されると共に、後述する特図表示部50A,50Bにおいて特図変動が実行されるようになっている。そして、前記表示装置17での図柄変動演出の結果、該表示装置17に所定の組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な当り遊技(大当り遊技)が付与され、当り遊技の発生に伴って前記特別入賞口30aを所定の開放条件で開放する当り遊技が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。
【0029】
ここで、実施例のパチンコ機10は、詳細は後述するが、大当り遊技の終了後に遊技者に有利な遊技状態として、特図当りの判定確率が低確率から高確率に変動して大当り遊技状態が生起され易くなる確変状態や、前記第2始動入賞口29bへのパチンコ球の入賞契機が増加(非変短状態と較べて増加)する変短状態を付与する機能を備えている。確変状態および変短状態は、各始動入賞口29a,29bへの入賞を契機としてメイン制御基板60が備えるメイン制御CPU60aで実行される特図当り判定で当選した大当りの種類(具体的には大当り図柄の種類)が、予め定めた確変図柄および変短図柄であることを条件として、大当り遊技の終了後に付与される。
【0030】
(特別入賞装置30について)
前記特別入賞装置30は、遊技領域23(第2球流下領域23b)に開口する特別入賞口30aを開閉自在に閉成する特別用開閉部材30bを備えており、駆動手段としての特別入賞ソレノイド43(
図9参照)の駆動に伴って特別用開閉部材30bが閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。また、前記特別入賞装置30には、前記特別入賞口30aに入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞検出センサ44(
図9参照)が設けられている。特別入賞検出センサ44は、前記メイン制御基板60に配線接続されており、特別入賞検出センサ44からの検出信号がメイン制御基板60のメイン制御CPU60aに入力されることを賞球の払出条件として、該メイン制御CPU60aが賞球の払い出しを決定するようになっている。ここで、前記特別入賞ソレノイド43は、前記始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機として特別入賞口30aを開閉する当り遊技(大当り遊技)が付与される場合(当り判定の結果が肯定の場合)に、前記表示装置17による図柄変動演出の終了後に、当りの種類に応じた所定の開閉条件に従ってメイン制御CPU60aによって駆動制御される。
【0031】
(ゲート部31について)
前記ゲート部31には、該ゲート部31をパチンコ球が通過したことを検出するゲートセンサ45(
図9参照)が配設される。ゲートセンサ45は、前記メイン制御基板60に配線接続されており、該ゲートセンサ45からメイン制御基板60のメイン制御CPU60aへの球検出信号の入力、すなわちゲートセンサ45のパチンコ球の検出(ゲート部31のパチンコ球の通過)に伴って各種通過検出情報(乱数等の遊技情報)が取得され、この取得した遊技情報に基づいて普図当り判定(普図当り抽選)が行われるよう構成されている。そして、この普図当り判定の結果に応じて前記始動入賞装置29の始動入賞ソレノイド40が駆動制御されて始動用開閉部材29cが開閉動作するようになっている。
【0032】
(普通入賞部34について)
前記普通入賞部34は、パチンコ球が入賞可能な普通入賞口34aが上方に常時開口するように前記遊技盤20に設けられており、遊技領域23を流下するパチンコ球が一定の確率で普通入賞口34aに入賞し得るようになっている。普通入賞部34は、普通入賞口34aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての普通入賞検出センサ46(
図9参照)が設けられている。前記普通入賞検出センサ46は、前記メイン制御基板60に配線接続されており、普通入賞検出センサからの検出信号がメイン制御基板60のメイン制御CPU60aに入力されることを賞球の払出条件として、該メイン制御CPU60aが賞球の払い出しを決定するようになっている。
【0033】
(設置部材35について)
前記設置部材(設置部)35は、
図3に示す如く、前記遊技盤20の外郭形状より僅かに小さい形状に形成された略矩形状の背面板(設置部)36と、該背面板36の外周縁部から前方に突出する画壁部37とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部37の前端を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材35とがネジ止め固定される。そして、前記設置部材35において前記遊技盤20との間に画成される空間に、動作により演出を行う可動演出装置69が設置されて、設置部材35を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。前記設置部材35の背面板36には、前記枠状装飾体24の開口部24aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部35aが前後に開口するよう開設される。そして、背面板36の裏面に配設した前記表示装置17の表示部17aが、前記開口部35aおよび開口部24aを介して遊技盤20の前側に臨むようになっている。なお、以下の説明では、設置部材35の背面板36について、開口部35aに対する左右の各部位を、左板部および右板部と指称して区別する場合がある。
【0034】
(可動演出装置69について)
前記設置部材35の背面板36に、動作による演出を実行する可動部70,71,72を背面板36に対して変位可能(移動自在)に備える可動演出装置(可動演出部)69が配設されている(
図3参照)。この可動演出装置69は、前記表示装置17における表示部17aの前側(枠状装飾体24の後側)を、前記可動部70,71,72が上下方向に移動するよう構成されている(
図12〜
図14参照)。実施例の可動演出装置69は、表示部17aの前側を初期位置および可動位置の間で上下方向に動作(移動)する第1の可動部70と、該第1の可動部70に対して相対的に動作(移動)する第2の可動部71,72とを備えている。実施例では、第1の可動部70に2つの第2の可動部71,72が前後方向に離間して配設されて該第1の可動部70と一体的に移動可能に構成されている。また、2つの第2の可動部71,72は、第1の可動部70の後述する装飾部76の後方に隠れる初期位置を基準として相互に異なる方向に動作可能に構成されている。そこで、2つの第2の可動部71,72について、前側に位置する第2の可動部71を前第2の可動部71と指称し、後側に位置する第2の可動部72を後第2の可動部72と指称して区別する場合がある。また、可動演出装置69が備える複数(実施例では3つ)の可動部70,71,72は、各第2の可動部71,72の初期位置では、3つの可動部70,71,72が前後に重なる関係で位置して、第1の可動部70の後述する装飾部76が最前面に位置するようになっている(
図4,
図6参照)。
【0035】
前記可動演出装置69は、第1の可動部70を、後述する第1移動機構84によって前記枠状装飾体24における開口部24aの上縁部側(開口部縁部側)の初期位置(
図2,
図12参照)と、該初期位置より窓口中央側(開口部中央側)の可動位置(
図13,
図14参照)との間を往復移動するよう構成される。そして、第1の可動部70は、初期位置から可動位置に移動することで、該第1の可動部70が前記表示装置17における表示部17aの前側に重なる領域を変化させるようになっている。具体的には、第1の可動部70が初期位置に位置する状態より可動位置に位置する状態の方が、表示部17aを前側から視認可能な視認領域が小さくなるよう構成されている。また、可動演出装置69は、第2の可動部71,72を、後述する第2移動機構99によって第1の可動部70の後方に隠れる初期位置(
図4〜
図6参照)と、第1の可動部70の後方から外れて前側から視認し得るようになる可動位置(
図14参照)との間を往復移動するよう構成される。そして、第2の可動部71,72についても、初期位置から可動位置に移動することで、該第2の可動部71,72が前記表示装置17における表示部17aの前側に重なる領域を変化させるようになっている。具体的には、第2の可動部71,72が初期位置に位置する状態より可動位置に位置する状態の方が、表示部17aを前側から視認可能な視認領域が小さくなるよう構成されている。
【0036】
(第1の可動部70について)
前記第1の可動部70は、
図4,
図5,
図7,
図8に示す如く、左右方向に長手が延在する第1基部73と、該第1基部73の裏側に配設される第2基部74とからなる本体部75と、該本体部75の前側に配設された装飾部76とを備えている。
図5に示す如く、本体部75と装飾部76との間に収容空間77が画成されて、該収容空間77に前記前第2の可動部71が配置されると共に、本体部75の後側に前記後第2の可動部72が配置されている。また、本体部75の内部に、前後の第2の可動部71,72に接続する第2移動機構99の作動機構部分が収容されており、該第2移動機構99によって前後の第2の可動部71,72は初期位置と可動位置との間を往復移動するよう構成される。
【0037】
前記装飾部76は、パチンコ機10のモチーフとなる意匠部が設けられると共に、該意匠部は部分的に光透過性に構成されている。また
図6に示す如く、装飾部76の裏側には、発光基板にLED等の発光体を実装した発光装置78Aが配設されており、該発光装置78Aの発光体を発光させることで意匠部が明輝し得るよう構成されている。
【0038】
前記第1の可動部70は、初期位置および可動位置の何れの位置においても前側から視認可能に構成されており(
図12〜
図14参照)、該第1の可動部70が初期位置および可動位置に移動した状態で発光装置78Aによる意匠部を明輝させる発光演出によって興趣を向上し得るようになっている。具体的に、
図12に示す如く、第1の可動部70の初期位置では、該第1の可動部70は、装飾部76の一部が前記枠状装飾体24の開口部24a内の上縁側に位置(装飾部材38に一部重なる位置)して、該開口部24aを介して装飾部76の一部が前側から視認し得るよう構成される。また、第1の可動部70の可動位置では、装飾部76の略全体が開口部24a内に位置して、該装飾部76の略全体が枠状装飾体24の開口部24aを介して前側から視認し得るよう構成される。すなわち、第1の可動部70の可動位置では、
図13に示す如く、初期位置において第1の可動部70が前記表示装置17の表示部17aの前側に重なる領域(表示部17aが第1の可動部70で隠れる領域)が拡大すると共に、当該第1の可動部70の可動位置において、第1の可動部70の初期位置側に表示部17aが露出するよう構成される。具体的には、可動位置の第1の可動部70の上側および下側に表示部17aが前側から視認可能な領域(後述する第2視認領域SP2)が表われるようになっている。可動演出装置39では、前記始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機として表示装置17で実行される図柄変動演出と関連して、第1の可動部70の動作による動作演出および発光装置78Aによる発光演出とが行われるよう構成されている。図柄変動演出と関連した演出としては、後述する特図当り判定や普図当り判定に当選する(判定結果が肯定となる)期待度等を示唆する予告演出や、該特図当り抽選や普図当り抽選の結果を報知する報知演出が挙げられる。なお、可動演出装置39では、予告演出や報知演出とは別に、客寄せのためのデモンストレーション演出(デモ演出)としての動作演出や発光演出を実行可能になっている。
【0039】
(第1移動機構84について)
前記可動演出装置69は、前記背面板36の前側に配設されて、前記第1の可動部70が移動自在に支持される支持基体79を備える。この支持基体79は、
図4に示す如く、左右方向に離間する一対の支持部80,81を備え、左側の第1支持部80が、背面板36の左板部の前側で上下方向に延在すると共に、右側の第2支持部81が、背面板36の右板部の前側で上下方向に延在している。そして、各支持部80,81を対応する板部に夫々ネジ止め固定することで、支持基体79が設置部材35に位置決め固定される。
【0040】
前記両支持部80,81間に、前記第1の可動部70が移動自在に支持されている。具体的には、第1の可動部70における本体部75の左右両端部に、
図4に示す如く、上下方向に所定長さで延在するラック部材82,82が配設されると共に、各支持部80,81に上下方向に延在するようにガイドロッド(第1のガイド部)83が配設されており、各ラック部材82が対応するガイドロッド83に摺動自在に支持されている。そして、第1の可動部70は、第1移動機構84によって、上方の初期位置と下方の可動位置との間をガイドロッド83,83に沿って移動するよう構成される。第1移動機構84は、前記本体部75に設けられた前記ラック部材82,82と、各支持部80,81に配設された第1駆動モータ(駆動手段、第1の駆動手段)85A,85Bと、該第1駆動モータ85A,85Bの回転力を対応するラック部材82,82に伝達する複数の歯車からなる伝達部86,86とからなり、両第1駆動モータ85A,85Bを同期して駆動することで、ラック部材82のラック歯82aと伝達部86の歯車との噛合作用下に第1の可動部70がガイドロッド83,83に沿って上下方向に移動するよう構成される。実施例の可動演出装置69では、左右方向に長尺な第1の可動部70を、左右両端部の夫々において第1駆動モータ85A,85Bで駆動しているので、該第1の可動部70を安定して移動させることができる。
【0041】
前記両ラック部材82,82に第1の検出片87,87が設けられると共に、前記両支持部80,81に、対応する第1の検出片87,87を検出可能な第1検出センサ88A,88Bが配設されている(
図4参照)。第1検出センサ88A,88Bは、第1の可動部70の初期位置において対応する第1の検出片87,87を検出し得るよう構成される。また、第1検出センサ88A,88Bは、後述する演出制御基板61に配線接続されており(
図9参照)、該第1検出センサ88A,88Bが第1の検出片87,87を検出した信号の入力に基づいて第1駆動モータ85A,85Bを演出制御基板61が備える演出制御CPU61aが停止制御することで、第1の可動部70を初期位置で停止保持し得るよう構成される。また実施例では、第1駆動モータ85A,85Bとしてステッピングモータが採用され、パルス信号の制御によって第1の可動部70を可動位置で停止し得るよう構成されている。
【0042】
(保持装置89について)
実施例のパチンコ機10は、前記第1の可動部70を、前記初期位置に保持すると共に保持を解除可能な保持装置89を備えている。この保持装置89は、
図4に示す如く、前記本体部75における左右方向の一方の端部(実施例では左端部)に設けた係合部75aに係合して第1の可動部70を初期位置に保持する保持位置および保持を解除する解除位置の間を変位可能な係合部材90と、該係合部材90を常には保持位置に向けて付勢する付勢部材としてのバネ部材91と、係合部材90を保持位置から解除位置に変位させる作動手段としての電磁ソレノイド92とを備える。具体的に、電磁ソレノイド92は横向きに配置されて、右端部から延出するプランジャに前記係合部材90が配設されており、該係合部材90がバネ部材91によって常には右方向に(保持位置に向けて)付勢されている。すなわち、電磁ソレノイド92は、通電された励磁状態においてプランジャを介して係合部材90を左側の解除位置に変位させ、これに対し遮電された非励磁状態において係合部材90がバネ部材91の付勢力によって右方向へ(保持位置に向けて)変位されるようになっている。
【0043】
前記係合部材90には、右端部から左端部に向かうにつれて下方傾斜する傾斜面90aが形成されており、該傾斜面90aは、前記保持位置において前記係合部75aの左端部の移動経路上に位置するよう設定されている。すなわち、前記第1の可動部70が可動位置から初期位置へ移動する際に、前記係合部75aが係合部材90の傾斜面90aに下方から当接したときには該係合部材90がバネ部材91の付勢力に抗して左方向に移動(保持位置から解除位置へ移動)し、係合部75aが、係合部材90の上側に至って傾斜面90aから外れることで、バネ部材91の付勢力によって係合部材90が保持位置まで移動して係合部75aの下側に進出し、該係合部材90の上面に係合部75aが当接することで、第1の可動部70が初期位置に保持されるよう構成される。また、電磁ソレノイド92を励磁して係合部材90を保持位置から解除位置まで移動することによって、係合部75aに対する係合部材90の保持が解除されて、第1の可動部70の可動位置への移動が許容されるようになっている。電磁ソレノイド92は、後述する演出制御基板61に配線接続されており(
図9参照)、後述する第3動作パターンMP3に基づいて第1の可動部70を動作する際に該演出制御基板61が備える演出制御CPU61aの制御下に電磁ソレノイド92が励磁(通電)されることで、係合部材90を保持位置から解除位置に移動(変位)させ得るように構成されている。実施例では、演出制御CPU61aにより電磁ソレノイド92が制御されることによって保持位置と解除位置との間を変位する係合部材90を備えた保持装置89が、保持手段となっている。
【0044】
(前第2の可動部71について)
前記前第2の可動部(奥側の可動部)71は、
図6〜
図8に示す如く、前側のカバー体71aと後側のベース体71bとを前後に組付けることで構成された矩形箱状に形成されており、内部に、発光基板にLED等の発光体を実装した発光装置78Bが配設されている。また、前第2の可動部71のカバー体71aには、パチンコ機10のモチーフとなる意匠部が設けられると共に、該意匠部は部分的に光透過性に構成されて、前記発光装置78Bの発光体を発光させることで意匠部が明輝し得るよう構成される。
【0045】
前記前第2の可動部71は、前記第1の可動部70における装飾部76の後方に全体が隠れることが可能な外形寸法に設定されて(
図6参照)、該装飾部76と本体部75(第1基部73)との収容空間77において上下方向に移動自在に配設されている。具体的には、
図8に示す如く、前記第1基部73に、上下方向に延在する一対の第1ガイド孔(第2のガイド部)93,93が左右方向に離間して設けられると共に、前第2の可動部71の後面(ベース体71bの後面)に、各第1ガイド孔93に挿通可能な第1ボス部71cが対応して突設されており、各第1ボス部71cを対応する第1ガイド孔93に挿通した状態で、該前第2の可動部71は第1の可動部70に対して第1ガイド孔93,93に沿って上下方向に移動可能に支持される。また、前第2の可動部71には、前記第1基部73に形成されて上下方向に延在する前規制孔94に摺動自在に挿通される第1連係ロッド95が設けられており、該第1連係ロッド95における本体部75の内部に臨む端部が、後述する第2移動機構99の作動部材100に連係されるようになっている。そして、前第2の可動部71は、前記装飾部76の後方に隠れる(前側から視認不能な)初期位置(
図6参照)と、該装飾部76の後方から上側に外れて前側から視認可能となる可動位置(
図14参照)との間で動作(移動)するよう構成される。
【0046】
ここで、前記前第2の可動部71は、当該前第2の可動部71が初期位置から可動位置に移動する際に、前記第1の可動部70の可動位置から初期位置へ向けた移動方向に移動するよう構成されている。そして、後述する第3動作パターンMP3に基づいて第1の可動部70を可動位置に移動した後に前第2の可動部71が初期位置から可動位置に移動されることで、第1の可動部70が初期位置から可動位置に移動することで該第1の可動部70の上側(初期位置側)に露出した表示装置17の表示部17aの前側に前第2の可動部71が重なるようになっている。
【0047】
(後第2の可動部72について)
前記後第2の可動部(奥側の可動部)72は、
図6〜
図8に示す如く、前側のカバー体72aと後側のベース体72bとを前後に組付けることで構成された矩形箱状に形成されており、内部に、発光基板にLED等の発光体を実装した発光装置78Cが配設されている。また、後第2の可動部72のカバー体72aには、パチンコ機10のモチーフとなる意匠部が設けられると共に、該意匠部は部分的に光透過性に構成されて、前記発光装置78Cの発光体を発光させることで意匠部が明輝し得るよう構成される。
【0048】
前記後第2の可動部72は、前記第1の可動部70における本体部75の後方に全体が隠れることが可能な外形寸法に設定されて(
図6参照)、該本体部75の後側において上下方向に移動自在に配設されている。具体的には、
図7に示す如く、前記第2基部74に、上下方向に延在する一対の第2ガイド孔(第2のガイド部)96,96が左右方向に離間して設けられると共に、後第2の可動部72の前面(カバー体72aの前面)に、各第2ガイド孔96に挿通可能な第2ボス部72cが対応して突設されており、各第2ボス部72cを対応する第2ガイド孔96に挿通した状態で、該後第2の可動部72は第1の可動部70に対して第2ガイド孔96,96に沿って上下方向に移動可能に支持されている。また、後第2の可動部72には、前記第2基部74に形成されて上下方向に延在する後規制孔97に摺動自在に挿通される第2連係ロッド98が設けられており、該第2連係ロッド98における本体部75の内部に臨む端部が、後述する第2移動機構99の作動部材100に連係されるようになっている。そして、後第2の可動部72は、前記本体部75を挟んで装飾部76の後方に隠れる(前側から視認不能な)初期位置(
図6参照)と、該装飾部76の後方から下側に外れて前側から視認可能となる可動位置(
図14参照)との間で動作(移動)するよう構成される。
【0049】
ここで、前記後第2の可動部72は、当該後第2の可動部72の初期位置から可動位置に移動する際に、前記第1の可動部70の可動位置から初期位置へ向けた移動方向と同一方向に移動するよう構成されている。そして、後述する第3動作パターンMP3に基づいて第1の可動部70を可動位置に移動した後に後第2の可動部72が初期位置から可動位置に移動されることで、第1の可動部70が初期位置から可動位置に移動した該第1の可動部70の下側の表示装置17の表示部17aの前側に後第2の可動部72が重なるようになっている(
図14参照)。
【0050】
(第2移動機構99について)
前記第2の可動部71,72を動作させる第2移動機構99は、前記第1の可動部70における本体部75の内部に配設された作動部材(連係手段)100と、該本体部75に配設された第2駆動モータ(駆動手段、第2の駆動手段)101と、該第2駆動モータ101の回転力を作動部材100に伝達する複数の歯車からなる伝達部102とから構成される(
図7,
図8参照)。第2駆動モータ101は、後述する可動部制御基板65を介して演出制御基板61に配線接続されており(
図9参照)、該第2駆動モータ101は演出制御基板61が備える演出制御CPU61aによって駆動制御されるよう構成される。前記作動部材100は、本体部75に対して前後方向の軸回りに回転可能に支持されており、該作動部材100における回転中心を挟む径方向の一方に延在する部分に径方向に延在する第1連係孔100aが形成されると共に、回転中心を挟む径方向の他方に延在する部分に径方向に延在する第2連係孔100bが形成されている。そして、前記前第2の可動部71の第1連係ロッド95が第1連係孔100aに摺動自在に挿通されると共に、前記後第2の可動部72の第2連係ロッド98が第2連係孔100bに摺動自在に挿通されている。すなわち、第1の可動部70に配設された第2駆動モータ101は、作動部材100を介して前後の第2の可動部71,72に接続されている。そして、後述する第1動作パターンMP1または第3動作パターンMP3に基づいて第1の可動部70を動作する際に、演出制御CPU61aによって第2駆動モータ101を駆動して伝達部102を介して作動部材100を所定角度範囲で揺動することで、各連係ロッド95,98と連係孔100a,100bとの連係作用によって各第2の可動部71,72が対応するガイド孔93,96に沿って上下方向に移動するよう構成される。
【0051】
ここで、実施例の可動演出装置69では、前記作動部材100における回転中心を挟む径方向の両側に対応する連係ロッド95,98を介して第2の可動部71,72が連係されているので、作動部材100が所定方向に回転することで前後の第2の可動部71,72は相互に反対方向に移動するよう構成される。具体的には、作動部材100が前第2の可動部71を上方に移動させる向きに回転する際には、後第2の可動部72が下方に移動し、逆に作動部材100が前第2の可動部71を下方に移動させる向きに回転する際には、後第2の可動部72が上方に移動するようになっている。実施例では、作動部材100の基準位置では、前第2の可動部71が前記装飾部76の後方に隠れる初期位置に位置すると共に、後第2の可動部72が前記本体部75の後方に隠れる初期位置に位置する。なお、後第2の可動部72は、初期位置では本体部75を挟んで装飾部76の後方に隠れるようになっており、該後第2の可動部72についても、装飾部76を基準として後方に隠れるおよび後方から外れるという場合がある。そして、作動部材100が基準位置から第1方向に回転することで、前第2の可動部71が上方に移動して装飾部76の後方から上側に外れた可動位置に移動するのに対し、後第2の可動部72が下方に移動して装飾部76の後方から下側に外れた可動位置に移動するようになっている。また、両第2の可動部71,72が可動位置に位置する状態で、作動部材100が第1方向とは逆の第2方向に回転することで、前第2の可動部71が下方に移動して装飾部76の後方に隠れる初期位置に戻るのに対し、後第2の可動部72が上方に移動して装飾部76の後方に隠れる初期位置に戻るよう構成される。すなわち、前記第1の可動部70に配設される2つの第2の可動部71,72は、何れも前記装飾部76の後方に隠れる初期位置と、該装飾部76の後方から外れて前側から視認可能となる可動位置との間を、第2移動機構99(第2の駆動手段101の駆動)によって相互に反対方向に移動するよう構成されている。
【0052】
前記前第2の可動部71に第2の検出片103が設けられると共に、前記本体部75に、第2の検出片103を検出可能な第2検出センサ104が配設されている(
図7,
図8参照)。第2検出センサ104は、前第2の可動部71の初期位置(後第2の可動部72の初期位置)において第2の検出片103を検出し得るよう構成される。第2検出センサ104は、後述する演出制御基板61に配線接続されており(
図9参照)、該第2検出センサ104が第2の検出片103を検出した信号の入力に基づいて第2駆動モータ101を演出制御基板61が備える演出制御CPU61aが停止制御することで、第2の可動部71,72を初期位置で停止保持し得るよう構成される。また実施例では、第2駆動モータ101としてステッピングモータが採用され、パルス信号の制御によって第2の可動部71,72を可動位置で停止し得るよう構成されている。
【0053】
ここで、両第2の可動部71,72が可動位置に移動した状態では、
図14に示す如く、前記第1の可動部70の装飾部76に設けられる意匠部の上側に前第2の可動部71のカバー体71aに設けられた意匠部が前側から視認可能に露出すると共に、装飾部76の意匠部の下側に後第2の可動部72のカバー体72aに設けられた意匠部が前側から視認可能に露出する。また、前記第1の可動部70に設けられた意匠部と各第2の可動部71,72に設けられた意匠部は、関連する意匠(具体的には文字)を形成しており、
図14に示す如く、両第2の可動部71,72が可動位置に移動した状態において、3つの可動部70,71,72の意匠部によってパチンコ機10のモチーフとなるロゴが形成されるようになっている。
【0054】
また、実施例の可動演出装置69では、前記第1の可動部70における装飾部76の後方において初期位置で前後に重なる奥側の可動部としての各第2の可動部71,72の夫々が動作部であって、これら複数の第2の可動部(動作部)71,72が1つの第2移動機構99(第2駆動モータ101)によって連動して動作するよう構成されている。
【0055】
(遊技情報表示部Mについて)
前記遊技盤20の所定位置(実施例では、遊技領域23外の右下部位置)には、前記メイン制御CPU60aにより決定された各種の遊技情報を表示する遊技情報表示部Mが設けられており、当該遊技情報表示部Mを目視することで、遊技に必要な遊技情報を遊技者が適宜に確認し得るようになっている。ここで、実施例の遊技情報表示部Mには、前記遊技情報を表示する各遊技状態表示部として、特図表示部50A,50B、普図表示部55等が設けられている。
【0056】
(特図表示部50A,50Bについて)
前記特図表示部(表示手段)50A,50B(
図9参照)は、前記第1始動入賞口29aおよび第2始動入賞口29bへの入賞を契機として行われる特図当り判定(大当り抽選)の結果を示す報知用の特別図柄(以下、特図という)を特定可能に表示する表示部である。ここで、特図表示部50A,50Bは、前記第1始動入賞口29aへの入賞(第1始動入賞検出センサ41による検出)を契機として変動表示を開始する第1特図表示部50Aと、第2始動入賞口29bへの入賞(第2始動入賞検出センサ42による検出)を契機として変動表示を開始する第2特図表示部50Bとからなり、各特図表示部50A,50Bの何れも複数個の発光表示部により構成されている。そして、前記第1始動入賞口29aへのパチンコ球の入賞を契機として、第1特図表示部50Aの発光表示部が順次点灯・消灯する変動表示(以下特図変動表示という場合がある)が行われ、最終的に発光表示部が確定的に点灯した点灯位置(点灯パターン)により複数種類の特図の内の1つを表示するようになっている。また、第2始動入賞口29bへのパチンコ球の入賞を契機として、第2特図表示部50Bの発光表示部が点灯・消灯する変動表示(以下特図変動表示という場合がある)が行われて、最終的に発光部が確定的に点灯した点灯位置(点灯パターン)により複数種類の特図の内の1つを表示するよう構成されている。なお、各発光表示部としては、点灯位置を適宜変更し得る形態であればよく、小数点表示可能な7セグメント表示部、複数個のLEDにより構成された表示部、ドットマトリックス表示部、小型の液晶表示部、その他特図を表示可能な表示手段を採用できる。
【0057】
具体的に、各特図表示部50A,50Bにおいて表示し得る特図としては、当りの当選を認識し得る当り表示(大当り図柄)としての100種類の特図と、はずれを認識し得るはずれ表示(はずれ図柄)としての1種類の特図とが各特図表示部50A,50Bに対応して夫々設定されて、特図当り判定の結果に応じて1つの特図が決定されて、特図変動表示の結果として、決定された特図が各特図表示部50A,50Bに確定停止表示される。なお、前述した各特図表示部50A,50Bにおいて表示し得る当り図柄(大当り図柄)やはずれ図柄としての特図の数は一例であって、適宜に変更することができる。そして、前記特図表示部50A,50Bの何れかに、当り表示としての特図が表示されることで、当り表示に対応した当り遊技(大当り遊技)が引き続いて遊技者に付与されるようになっている。実施例のパチンコ機10に設定された当り遊技については後で詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1特図表示部50Aで行われる特図変動表示を「第1特図変動表示」と称し、該第1特図変動表示の結果、第1特図表示部50Aに確定停止表示される特図を特
図1と称する場合がある。同様に、第2特図表示部50Bで行われる特図変動表示を「第2特図変動表示」と称し、該第2特図変動表示の結果、第2特図表示部50Bに確定停止表示される特図を特
図2と称する場合がある。
【0058】
(普図表示部55について)
前記普図表示部55は、前記ゲートセンサ45のパチンコ球の検出(ゲート部31のパチンコ球の通過)を契機として行われる普図当り判定(普図当り抽選)の結果を示す報知用の普通図柄(以下、普図という)を特定可能に表示する表示部である(
図9参照)。ここで、普図表示部55では、ゲートセンサ45のパチンコ球の検出(ゲート部31のパチンコ球の通過)を契機として、複数種類の普図を変動させて1つの普図を導出する普図変動表示が行われるようになっている。実施例では、2つのLEDの発光態様にて2種類の普図を表示するようになっている。具体的には、一方のLEDだけが点灯する発光態様および他方のLEDだけが点灯する発光態様により普図を示している。そして、前記普図表示部55の最終的な点灯結果から普図当りまたははずれを認識できるようになっている。具体的には、一方のLEDだけが点灯することにより示される普図を普図「0」とし、他方のLEDだけが点灯することにより示される普図を普図「1」とした場合に、普図当りの場合に普図表示部55に普図「1」が表示され、はずれの場合に普図「0」が表示される。すなわち、この普図当りを認識できる普図が普図当りの表示結果となり、はずれを認識できる普図が普図はずれの表示結果となる。
【0059】
(表示装置17について)
前記表示装置17には、前記飾図を変動表示可能な図柄列が複数列設定されており、前記第1始動入賞口29aまたは第2始動入賞口29bへの入賞を契機として、各図柄列の飾図が変動開始されるようになっている。実施例の表示装置17には、図柄変動演出の結果として1つの飾図を停止表示可能な複数の有効停止位置が夫々設定されており、図柄変動演出により、各図柄列の有効停止位置を組み合わせた停止図柄有効ラインに確定停止表示される飾図の図柄組み合わせを導出するようになっている。なお、実施例の表示装置17には、3列の図柄列が左右横並び状に設定されると共に、各図柄列毎に飾図の有効停止位置が1箇所ずつ定められており、3列の飾図からなる図柄変動演出が行われるようになっている。すなわち、実施例の表示装置17には、1つの停止図柄有効ラインが設定されている。以下の説明では、左側から順に左図柄列、中図柄列、右図柄列と指称する場合がある。
【0060】
また、前記表示装置17の各図柄列における飾図の表示領域は、前記第1特図表示部50Aおよび第2特図表示部50Bに比較して大きな領域で構成されて、特図に比較して飾図が遥かに大きく表示されるようになっている。このため、遊技者は、表示装置17の停止図柄有効ラインに停止表示された図柄組み合わせから大当りまたははずれを認識できる。
【0061】
前記表示装置17には、図柄変動演出の開始と共に予め定めた変動方向(実施例では上から下の縦方向)に沿って飾図が移動するよう変動表示されるようになっており、予め定められた停止順序で変動表示されている飾図が各図柄列の有効停止位置に停止表示されるようになっている。なお、実施例では、図柄変動演出の開始時に、左図柄列、中図柄列、右図柄列の順で飾図が変動開始し、左図柄列、右図柄列、中図柄列の順で停止表示する飾図の変動タイミングを基本として、表示装置17で実行される図柄変動演出の演出内容等に応じて飾図の変動タイミングが適宜に変更されるよう構成されている。
【0062】
また、前記表示装置17では、図柄変動演出が終了する前に各図柄列の有効停止位置に飾図が一時的に仮停止表示されて、各図柄列の飾図が確定停止表示されることで1回の図柄変動演出が終了するようになっている。すなわち、図柄変動演出(第1特図変動表示および第2特図変動表示)は、前記始動入賞口29a,29bへの入賞(始動条件の成立)を契機として前記メイン制御CPU60aが取得した1つの情報(特図始動情報)に基づいて行われる飾図(特
図1および特
図2)の変動開始から確定停止までを1回として実行されるようになっている。なお、「変動表示」とは、前記各図柄列において、有効停止位置に表示される飾図が所定順序で変化している状態である。そして、飾図の「確定停止」とは、前記各図柄列において有効停止位置に飾図が所定の特図変動インターバル時間に亘って継続して停止表示された状態である。なお、実施例では、第1始動入賞検出センサ41の検出に基づく図柄変動演出(第1特図変動表示)の特図変動インターバル時間として600ms(ミリ秒)が設定され、第2始動入賞検出センサ42の検出に基づく図柄変動演出(第2特図変動表示)の特図変動インターバル時間として600msが設定されている。また、飾図の「仮停止」とは、前記各図柄列において有効停止位置に留まるよう表示された飾図が特図変動インターバル時間だけ継続して停止していない状態である。すなわち、飾図の仮停止には、有効停止位置において飾図がゆれ変動状態で表示されている状態や、特図変動インターバル時間より短い時間で停止表示されている状態を含んでいる。
【0063】
ここで、第1特図表示部50Aと表示装置17では、第1特図変動表示と該第1特図変動表示に関する図柄変動演出が開始され、特
図1と飾図とが確定停止表示される。同様に、第2特図表示部50Bと表示装置17では、第2特図変動表示と該第2特図変動表示に関する図柄変動演出が開始され、特
図2と飾図とが確定停止表示される。なお、第1および第2特図表示部50A,50Bにおいて特図変動表示が同時に行われることはなく、一方の特図表示部50A,50Bで特図変動表示が行われている場合には、メイン制御RAM60cに対応する第1または第2特図始動保留情報として保留記憶されるようになっている。
【0064】
ここで、実施例に係る表示装置17には、各図柄列に「0」〜「9」の10種類の数字が基本の飾図として設定されており、該基本の飾図が各図柄列で順番に変動表示されるようになっている。なお、飾図としては、これに限られるものではなく、任意の数字や文字、絵柄等のように、遊技者が各飾図を区別して識別し得る形態とされる。実施例の飾図は、大当り遊技の終了後に確変状態(後述)を付与することを確定的に遊技者が認識可能な第1の識別図柄と、大当り遊技終了後に確変状態を付与される可能性のあることを非確定的に認識可能な第2の識別図柄に分類されている。ここで、第1の識別図柄としては、基本となる飾図の中から適宜に設定しても、基本となる飾図以外に定めた特別な飾図を用いることもできる。例えば、「1」、「3」、「5」、「7」、「9」の奇数図柄を第1の識別図柄とし、「0」、「2」、「4」、「6」、「8」の偶数図柄を第2の識別図柄とすることができる。
【0065】
そして、前記表示装置17における各図柄列の有効停止位置(停止図柄有効ライン)に確定停止表示された各図柄列の飾図が当りの図柄組み合わせであった場合に、当り遊技(大当り遊技)が付与されることを把握し得るようになっている。ここで、実施例では、大当りの図柄組み合わせとして、各図柄列の有効停止位置に同じ飾図が確定停止表示される図柄組み合わせ(例えば、「222」、「777」等)が設定されている。この大当りを認識できる飾図の図柄組み合わせが、表示装置17に表示される大当り表示となり、図柄変動演出の終了後に遊技者に有利な大当り遊技が付与される。この大当り遊技が発生する可能性を認識できる飾図の図柄組み合わせが、表示装置17に表示される大当り示唆表示となる。一方で、表示装置17の有効停止位置に確定停止表示された全列の図柄が1つでも異なる種類の場合には、その図柄組み合わせ(例えば「123」、「734」、「175」等)から、原則的には大当り遊技が付与されない「はずれ」であることを認識できる。このはずれを認識できる飾図の図柄組み合わせが、表示装置17のはずれ表示となる。
【0066】
また、図柄変動演出において、複数の図柄列の内で、特定の図柄列(実施例では、左図柄列および右図柄列)に同じ飾図が停止表示され、かつ残りの図柄列(実施例では、中図柄列)が変動表示された表示(リーチ表示)となることで、リーチが生起されたことを遊技者が認識し得るようになっている。具体的なリーチ表示の例としては、左図柄列および右図柄列に同じ飾図が停止表示された図柄組み合わせ(「1↓1」、「4↓4」等)となる。なお、「↓」は変動中であることを表している。また、リーチ表示を形成する特定の図柄列(左図柄列および右図柄列)の飾図は、仮停止表示の状態とされ、残りの図柄列(中図柄列)に飾図が停止表示(仮停止表示)された後に、全ての図柄列の飾図が確定停止表示されるようになっている。
【0067】
また、前記表示装置17には、第1特図表示部50Aおよび第2特図表示部50Bで行われる特図変動表示の結果、表示される特図に応じた飾図の図柄組み合わせが表示される。すなわち、第1特図表示部50Aおよび第2特図表示部50Bに表示される特図と、表示装置17に表示される飾図の図柄組み合わせとが夫々対応しており、図柄変動演出が終了すると、第1特図表示部50Aおよび第2特図表示部50Bに特図が確定停止されると共に、表示装置17の各図柄列に飾図が確定停止表示されるようになっている。なお、特別図柄に対する飾図の図柄組み合わせは一対一とは限らず、1つの特別図柄に対して複数の飾図による図柄組み合わせの中から1つの飾図による図柄組み合わせが選択されるようになっている。
【0068】
(パチンコ機10の主要な制御構成について)
前記パチンコ機10の主要な制御構成について説明する。実施例のパチンコ機10には、パチンコ機10を全体的に制御するメイン制御基板60と、該メイン制御基板60からの制御信号に基づいて各制御対象を制御するサブ制御基板61,62,63,64,65とが設けられている。すなわち、メイン制御基板60では、パチンコ機10に備えられた各種検出センサ(検出手段)41,42,45からの検出信号に基づいて各種処理が実行され、その処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)がサブ制御基板61,62,63,64,65に出力されるようになっている。
【0069】
実施例のパチンコ機10には、前記サブ制御基板として、遊技演出を全体的に制御する演出制御基板61と、表示装置17での表示内容を制御する表示制御基板62と、パチンコ機10が備えるランプ装置18や発光装置78A,78B,78Cの発光制御を行うランプ制御基板63と、パチンコ機10が備えるスピーカ19の音出力制御を行う音制御基板64と、パチンコ機10が備える可動演出装置69の可動部制御を行う可動部制御基板65とを備えている(
図9参照)。すなわち、メイン制御基板60が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、前記演出制御基板61が表示制御基板62、ランプ制御基板63、音制御基板64および可動部制御基板65を制御するよう構成されており、パチンコ機10で実行される各種遊技演出(図柄変動演出、発光演出、音出力演出、可動部演出)を統括的にコントロールし得るようになっている。ここで、表示制御基板62は、演出制御基板61から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、表示装置17に表示される図柄や背景画像等の図柄変動演出の表示内容を制御するよう構成される。また、ランプ制御基板63は、演出制御基板61から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、パチンコ機10が備えるランプ装置18や発光装置78A,78B,78Cにおける発光体の点灯・消灯のタイミング等を制御し、音制御基板64は、演出制御基板61から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、パチンコ機10が備えるスピーカ19における音出力の大きさや出力タイミング等を制御し、可動部制御基板65は、演出制御基板61から出力された制御信号(制御コマンド)に基づき、パチンコ機10が備える可動演出装置69の可動部71,72,73の動作態様等を制御するよう構成される。
【0070】
(メイン制御基板60について)
前記メイン制御基板60は、制御動作を所定の手順で実行することができるメイン制御CPU(メイン制御手段)60a、メイン制御CPU60aの制御プログラムを格納するメイン制御ROM60bおよび必要なデータの書き込みおよび読み出しができるメイン制御RAM60cを備えている。
【0071】
前記メイン制御基板60は、特図当り判定用乱数、特図決定用乱数、特図変動パターン決定用乱数、普図当り判定用乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値をメイン制御RAM60cの設定領域に記憶(設定)することで更新前の値を書き換えており、乱数更新処理(乱数生成処理)を実行するようになっている。例えば、メイン制御基板60では、前記始動入賞検出センサ41,42から検出信号が入力されると、メイン制御CPU60aがメイン制御ROM60bから特図当り判定用乱数を取得し、この特図当り判定用乱数とメイン制御ROM60bに記憶されている特図当り判定値とを比較し、当りとするか否かの当り判定を行う。またメイン制御基板60では、前記当り判定の結果が肯定の場合には、当り(大当り)の結果を導出するリーチ演出等の当り導出演出のみが含まれる特図変動パターンテーブルから当り導出演出用の特図変動パターンを決定する。これに対して、前記当り判定の結果が否定の場合には、はずれ演出のみが含まれる特図変動パターンテーブルからはずれ演出用の特図変動パターンを決定する。当り導出演出用およびはずれ演出用の特図変動パターンの決定は、前記当り判定と同様に、メイン制御CPU60aがメイン制御ROM60bから取得した乱数により行う。
【0072】
なお、特図変動パターンテーブルから決定される当り導出演出およびはずれ演出の特図変動パターンは、第1特図変動表示または第2特図変動表示が開始してから確定停止表示されるまでの間に実行される演出内容(図柄組合せ演出の表示内容、発光演出態様、音出力演出態様)の基本的なベースとなる内容を特定するものである。また、特図変動パターンは、第1特図変動表示または第2特図変動表示が開始してから特
図1または特
図2が確定停止表示されるまでの変動時間(図柄組合せ演出および特図変動表示の時間)を特定している。そして、特図変動パターンは、前記メイン制御ROM60bに複数種類が記憶されている。また、パチンコ機10では、メイン制御基板60の当り判定の結果に応じて出力された演出制御基板61の制御信号(制御コマンド)に基づいて、表示制御基板62が表示装置17に所定の演出表示を行わせると共に、メイン制御基板60の制御により出力された球払出しに係る制御信号に基づいて、図示しない球払出し装置によって所定数の賞球が払い出される。また、パチンコ機10では、演出制御基板61の制御信号(制御コマンド)に基づいて、可動演出装置69の可動部71,72,73を動作させたり、各発光装置78A,78B,78Cの発光体を発光させるよう構成される。
【0073】
また、メイン制御基板60では、前記ゲートセンサ45から検出信号が入力されると、メイン制御CPU60aがメイン制御ROM60bから普図当り判定用乱数を取得し、この普図当り判定用乱数とメイン制御ROM60bに記憶されている普図当り判定値とを比較し、普図当りとするか否かの普図当り判定(普図当り抽選)を行う。そして、普図当り判定が肯定の場合は、前記始動用開閉部材29cを所定の開閉パターンで開閉するように前記始動入賞ソレノイド40を制御する。なお、始動用開閉部材29cの開閉パターンについては、普図当り判定を行う時点での遊技状態、すなわち変短状態(後述)が付与されているか否かによって異なるようになっている。
【0074】
ここで、当り判定が肯定で実行される当り遊技(大当り遊技)は、前記特別入賞装置30を所定の開放条件で開放することで遊技者に多くの賞球を獲得し得る機会が与えられるものであって、この当り遊技は遊技者にとって特典となるものである。すなわち、実施例では、始動入賞手段への入賞を契機として遊技者に特典を付与するか否かを判定する特典判定手段としての機能をメイン制御CPU60aが備える。
【0075】
(演出制御基板61について)
前記演出制御基板61には、演出制御CPU(サブ制御手段,駆動制御手段)61aが備えられている。該演出制御CPU61aには、演出制御ROM61bおよび演出制御RAM61cが接続されている。また、演出制御CPU61aは、実行可否判定用乱数や動作パターン判定用乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を演出制御RAM61cの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。更に、演出制御ROM61bには、表示制御基板62、ランプ制御基板63、音制御基板64および可動部制御基板65を統括的に制御するための演出制御プログラムが記憶されている。演出制御CPU61aは、各種制御コマンドを入力すると、当該演出制御プログラムに基づき各種制御を実行する。例えば、演出制御基板61では、前記メイン制御CPU60aから特図変動パターン指定コマンドが入力されると、演出制御CPU61aが演出制御ROM61bから実行可否判定用乱数を取得し、この実行可否判定用乱数と演出制御ROM61bに記憶されている実行可否判定値とを比較し、可動部演出を実行するか否かの実行可否判定を行う。また、演出制御基板61では、前記実行可否判定の結果が肯定の場合には、後述するように可動演出装置69で実行する1つの動作パターンを決定し、該動作パターンに対応する表示パターンの表示演出コマンドを表示制御基板62に出力する。なお、動作パターンに対応する発光パターンの発光演出コマンドや音出力パターンの音出力演出コマンドを対応するランプ制御基板63や音制御基板64に出力し、ランプ装置18、発光装置78A,78B,78Cおよびスピーカ19において動作パターンに対応する演出を実行するようにランプ制御基板63や音制御基板64がランプ装置18、発光装置78A,78B,78Cおよびスピーカ19を制御するようにしてもよい。
【0076】
(表示制御基板62について)
前記表示制御基板62には、表示制御CPU(表示制御手段)62aが備えられている。該表示制御CPU62aには、表示制御ROM62bおよび表示制御RAM62cが接続されている。また、表示制御基板62(表示制御CPU62a)には、表示装置17が接続されている。表示制御ROM62bには、表示装置17の表示内容を制御するための表示制御プログラムが記憶されている。また、表示制御ROM62bには、各種の画像データ(図柄、各種背景画像、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。更に、表示制御RAM62cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶(設定)されるようになっている。
【0077】
(ランプ制御基板63、音制御基板64および可動部制御基板65について)
前記ランプ制御基板(ランプ制御手段)63には、前記ランプ装置18および可動演出装置69が備える各発光装置78A,78B,78Cが接続されている。また、前記音制御基板(音制御手段)64には、前記スピーカ19が接続されている。また、可動部制御基板(可動部制御手段)65には、前記第1駆動モータ85A,85Bおよび第2駆動モータ101が接続されている。
【0078】
(特典遊技状態について)
実施例のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態(特典)として第1特典遊技状態を付与する機能を備えている。ここで、第1特典遊技状態としては、前記特別入賞口30aへのパチンコ球の入賞契機が、当該第1特典遊技状態が付与されていない状態に較べて増加する状態である。具体的には、第1特典遊技状態では、大当り確率を低確率から高確率に変動することにより特別入賞口30aへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。以下の説明では、第1特典遊技状態を、便宜的に「確変状態」というものとする。
【0079】
本実施例の確変機能は、前記表示装置17に確定停止表示された大当り図柄の種類が予め定めた確変図柄であることを条件として、大当り遊技の終了後に大当りの判定確率(大当り確率)を低確率から高確率に変動させる確変状態を付与する機能である。なお、確変状態が付与されていない状態を非確変状態というものとする。実施例では、大当り遊技終了後に確変状態が付与される大当りが確変大当りであり、確変状態が付与されない大当りが非確変大当りとなる。また、確変状態が付与される大当りの場合には、大当り遊技終了後、次回の大当りが生起されるまでの間継続して確変状態が付与される。このように、確変状態が付与されると、大当りの判定確率が高確率に変動して大当りが生起され易くなるため、確変状態は遊技者にとって有利であり、遊技者は確変大当りになることを期待しつつ遊技を行っている。なお、確変状態が付与される期間としては、上記のものに限られない。例えば、確変状態が付与されてから所定条件を満たすまでの間継続して確変状態を付与し、当該所定条件を満たすことを条件に非確変状態に移行させるようにすることもできる。ここで、所定条件としては、確変状態が付与されてからの図柄変動演出の変動回数とすることもできる。また、図柄変動演出毎に非確変状態に移行させるかを、始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機に取得する乱数に基づいて判定(転落抽選)し、転落抽選に当選することを条件に非確変状態に移行させるようにすることもできる。
【0080】
また、実施例のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態として第2特典遊技状態(特典)を付与する機能を備えている。ここで、第2特典遊技状態としては、前記第2始動入賞口29bへのパチンコ球の入賞契機が、当該第2特典遊技状態が付与されていない状態に較べて増加する状態である。具体的には、第2特典遊技状態では、(1)前記ゲート部31をパチンコ球が通過したこと(より具体的にはゲートセンサ45がパチンコ球を検出したこと)により実行される普図変動表示の変動時間の短縮、(2)普図当り確率を低確率から高確率に変動、(3)普図当り1回についての第2始動入賞口29bを開放する始動用開閉部材29cの開放時間を増やすこと、により第2始動入賞口29bへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。なお、第2特典遊技状態では、上記(1)〜(3)を単独または複数を組み合わせることができる。なお、普図当り1回についての第2始動入賞口29bを開放する始動用開閉部材29cの開放時間を増やすに際しては、始動用開閉部材29cの開放時間を単純に延長することで実現してもよく、また始動用開閉部材29cの開放回数を増やすことで実現することもでき、またこれらを複合させてもよい。なお、以下の説明では、前記(1)〜(3)を組み合わせた状態を便宜的に「変短状態」というものとする。
【0081】
ここで、変短状態が付与される期間(変短回数)については、大当りに当選した際に決定される大当り図柄の種類に応じて変化するように構成することができる。具体的には、大当り図柄の種類が予め定めた確変図柄である場合には、次回の大当りが生起されるまでの間、変短状態が付与されるよう設定し、大当り図柄の種類が予め定めた非確変図柄である場合には、所定回数の図柄変動演出が実行されるまでの間、変短状態が付与されるよう設定する。本実施例では、前記変短状態が、入賞率向上状態となる。
【0082】
(大当り遊技について)
次に、実施例のパチンコ機10で付与される大当り遊技(当り遊技)について説明する。大当り遊技は、特図変動表示の結果として第1特図表示部50Aまたは第2特図表示部50Bに大当り図柄が確定停止表示された後(図柄変動演出の終了後)に開始されるよう設定されており、当選した大当り遊技(大当り図柄)の種類に応じて特別入賞装置30の特別用開閉部材30bが開閉動作される。すなわち、大当り遊技は、特図変動表示の結果として特図表示部50A,50Bに大当り図柄が停止表示された後に開始されるよう設定されており、大当り遊技の開始を示すオープニング演出と、オープニング演出終了後に行われる規定ラウンド数だけラウンド間インターバル時間を挟んで繰り返されるラウンド遊技と、大当り遊技の終了を示すエンディング演出とにより構成されている。1回のラウンド遊技は、特別入賞口30aに規定個数(例えば、10個)のパチンコ球が入賞するか、あるいは各ラウンド遊技の開始から規定時間(ラウンド遊技時間)が経過することで終了する。なお、ラウンド間インターバル時間の間は、前記特別用開閉部材30bが閉鎖状態で保持される。ここで、前記大当り遊技の各ラウンド遊技における特別入賞装置30の特別用開閉部材30bの開閉態様(開閉パターン)には、パチンコ球を所定間隔で連続的に発射した条件において、1回の開放動作(開放してから閉鎖するまでの動作)においてラウンド遊技に定められた規定個数(例えば、10個)のパチンコ球が入賞可能な時間だけ開放を継続する長時間開放動作を行う態様と、該長時間開放動作よりも特別用開閉部材30bの開放時間が短く設定された短時間開放動作を行う態様とが設定されている。例えば、長時間開放動作では、特別用開閉部材30bが最大で25秒間開放し、短時間放動作では、特別用開閉部材30bが最大で0.04秒間開放するよう設定することができる。
【0083】
(大当り遊技の種類について)
実施例のパチンコ機10では、大当り判定に当選した場合に、遊技者に与える価値が異なる複数種類の大当り遊技の中から1つの大当り遊技が決定され、その決定された大当り遊技が付与される。ここで、複数種類の大当り遊技の内で何れの大当り遊技が付与されるかは、大当り判定に当選した際に決定される大当り図柄(特
図1および特
図2)の種類に基づいて決定されるようになっている。パチンコ機10に設定可能な大当り遊技としては、例えば、ラウンド回数を2回、4回、8回、15回等のように異ならせることで価値が異なるようにした種類や、大当り遊技後に前記確変状態および変短状態が付与される確変・変短大当り遊技、大当り遊技後に確変状態のみが付与される確変大当り遊技、大当り遊技後に変短状態のみが付与される変短大当り遊技等のように、大当り遊技後に付与される特典の種類の違いによって価値が異なるようにした種類を設定可能である。
【0084】
前記確変状態および変短状態は、前記始動入賞口29a,29bの入賞を契機としてメイン制御CPU60aで実行される大当り判定(当り判定)において肯定された際に決定される大当り図柄の種類によって決まるものである。すなわち、前記メイン制御CPU60aは、大当りが発生する確率(大当り判定の判定結果が肯定となる確率)が通常よりも高確率となる確変状態を付与する手段として機能すると共に、該確変状態を付与するか否かを判定する確変判定手段として機能する。また、メイン制御CPU60aは、大当りが発生する場合(大当り判定の判定結果が肯定の場合)に、第2始動入賞口29bへパチンコ球が入賞する確率が高確率となる変短状態(入賞率向上状態)を付与する手段として機能すると共に、該変短状態を付与するか否かを判定する変短状態判定手段(入賞率向上状態判定手段)として機能する。なお、確変状態および変短状態は、何れも大当り遊技と同様に、始動入賞手段への入賞を契機として遊技者に付与される可能性のある特典である。
【0085】
(可動部演出について)
実施例のパチンコ機10は、前記可動演出装置69によって、図柄変動演出の終了後に大当り遊技(当り遊技)が付与される可能性のあることを示唆する可動部演出を実行可能に構成されている。すなわち、前記始動入賞口29a,29bへの入賞(具体的には始動入賞検出センサ41,42による球検出)を契機としてメイン制御CPU60aで決定された特図変動パターンを指定する特図変動パターン指定コマンドが前記演出制御CPU61aに入力された場合に、該演出制御CPU61aが可動演出装置69による可動部演出を実行するか否かを決定する可動部演出の実行可否判定を行い、該実行可否判定において可動部演出を実行することが決定された場合に、複数種類の動作パターンMP1〜MP3の中から1つの動作パターンを決定し、決定された動作パターンに基づく可動部演出を当該の図柄変動演出中に実行するよう構成される。すなわち実施例では、図柄変動演出の終了後に大当り遊技(当り遊技)が付与されることを示唆する可動部演出を実行するか否かを決定する可動部演出実行可否決定手段、該可動部演出実行可否決定手段が可動部演出を実行することを決定した場合に、複数種類の動作パターンMP1〜MP3の中から1つの動作パターンMP1〜MP3を決定可能な動作パターン決定手段および決定した動作パターンMP1〜MP3に基づく可動部演出を可動演出装置69で実行させる可動部演出実行制御手段としての機能を演出制御CPU61aが備えている。
【0086】
(動作パターンについて)
前記演出制御ROM61bには、前記可動演出装置69が備える駆動モータ85A,85B,101を演出制御CPU61aによって駆動制御することで各可動部70,71,72を動作させる複数の動作パターンが設定されている。実施例のパチンコ機10では、3つの動作パターンが設定されている。第1動作パターン(動作パターン)MP1は、前記第1の可動部70を初期位置に停止させた状態で、前記第2の可動部71,72を可動位置に動作(移動)させるように前記第2駆動モータ101を駆動するパターンである(
図12参照)。第2動作パターン(動作パターン)MP2は、第2の可動部71,72を初期位置に停止させた状態で、第1の可動部70を初期位置から可動位置に移動させた後、該第1の可動部70を初期位置に戻すように動作させるように第1駆動モータ85A,85Bを駆動するパターンである(
図13参照)。また、第3動作パターン(動作パターン)MP3は、第1の可動部70を可動位置に動作させるよう第1駆動モータ85A,85Bを駆動させた後に、第2の可動部71,72を可動位置に動作させるよう第2駆動モータ101を駆動するパターンである。なお、第1動作パターンMP1は、第2の可動部71,72を可動位置に動作させた後の適宜のタイミングで第2駆動モータ101を駆動して当該の第2の可動部71,72を可動位置から初期位置に戻すように設定される。また、第3動作パターンMP3は、第2の可動部71,72を可動位置に動作させた後の適宜のタイミングで第2駆動モータ101を駆動して当該の第2の可動部71,72を可動位置から初期位置に戻すと共に、第1駆動モータ85A,85Bを駆動して第1の可動部70を可動位置から初期位置に戻すように設定される。なお、上記に示す動作パターンの数や動作内容は一例であって、動作内容が異なる3つ以上の動作パターンを設定するようにしてもよい。
【0087】
また、実施例のパチンコ機10では、第1の可動部70を初期位置に停止させた状態で第2の可動部71,72を動作する第1動作パターンMP1で動作するよう演出制御CPU61aが第2駆動モータ101を制御する場合(
図12参照)と、第1の可動部70を動作させた後に第2の可動部71,72を動作させる第3動作パターンMP3で動作するよう演出制御CPU61aが各駆動モータ85A,85B,101を制御する場合(
図14参照)とで、前記表示装置17の表示部17aを前側から視認可能な視認領域の広さが異なるよう構成される。具体的には、第1動作パターンMP1より第3動作パターンMP3の方が、表示部17aを前側から視認可能な視認領域が狭くなるようになっている。
【0088】
ここで、実施例の可動演出装置69では、前記第2移動機構99によって連動する第2の可動部71,72を奥側の可動部とした場合には、該第2の可動部71,72の初期位置において可動演出装置69が備える複数の可動部70,71,72の最前面に装飾部76が位置する第1の可動部70が手前側の可動部である。すなわち、奥側の可動部である第2の可動部71,72のみを動作させる第1動作パターンMP1および手前側の可動部である第1の可動部70のみを動作させる第2動作パターンMP2が、可動演出装置69が備える複数の可動部70,71,72の内の何れかを単独で動作させる動作パターンであり、第1の可動部70および第2の可動部71,72を動作させる第3動作パターンMP3が、手前側の可動部である第1の可動部70を動作させた後に、奥側の可動部である第2の可動部71,72を可動位置に動作させる動作パターンである。
【0089】
前記パチンコ機10では、前記可動演出装置69で実行される動作パターンMP1〜MP3によって、図柄変動演出の終了後に大当り遊技(当り遊技)が付与される信頼度が異なるように、動作パターンMP1〜MP3の出現率が設定される。実施例では、第1動作パターンMP1、第2動作パターンMP2、第3動作パターンMP3の順で、大当り遊技が付与される信頼度が高くなるよう設定される。すなわち、実施例では、
図10に示す如く、第1動作パターンMP1の信頼度が「低」、第2動作パターンMP2の信頼度が「中」、第3動作パターンMP3の信頼度が「高」に設定されている。なお、大当り遊技が付与される信頼度とは、大当り遊技(当り遊技)が付与される場合の出現率と大当り遊技が付与されない(はずれになる)場合の出現率を合算した全体出現率に対し、大当り遊技が付与される場合の出現率の割合を示すものである。すなわち、大当り遊技が付与される信頼度は、全体出現率に対して大当り遊技が付与される場合の出現率の割合が高いほど高くなる。そして、大当り遊技が付与される信頼度を設定するための出現率は、各動作パターンMP1〜MP3に対して振分けられている動作パターン抽選用判定値の振分け態様(振分け個数)によって規定することができる。
【0090】
ここで、前記演出制御CPU61aでは、動作パターンの抽選に用いられる動作パターン判定用乱数として、実施例では「1」〜「100」の全100通りの整数値が設定されており、所定の周期(4ms)で1ずつ更新されるようになっている。また、演出制御ROM61bには、動作パターンの抽選に用いられる動作パターン抽選用判定値が記憶されており、動作パターン抽選用判定値は、動作パターン判定用乱数の取り得る「1」〜「100」までの全100通りの整数の中から所定数の判定値が夫々の動作パターンに定められている。また、動作パターン抽選用判定値の振分けは、大当り判定の結果が肯定の場合(大当り)と否定の場合(はずれ)とで異なるように設定される。
図10は、大当り判定の結果が肯定の場合(大当り)の動作パターン振分け抽選テーブルT1と、大当り判定の結果が否定の場合(はずれ)の動作パターン振分け抽選テーブルT2とを示すものであって、各振分け抽選テーブルT1,T2の夫々において、100通りの動作パターン抽選用判定値が各動作パターンに振分けられることで、各動作パターンの大当り遊技が付与される信頼度が前述したように規定されるようになっている。
【0091】
すなわち、動作パターン振分け抽選テーブルT1では、第1動作パターンMP1に「1」〜「15」の15通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第2動作パターンMP2に「16」〜「45」の30通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第3動作パターンMP3に「46」〜「100」の55通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられている。これに対し、動作パターン振分け抽選テーブルT2では、第1動作パターンMP1に「1」〜「55」の55通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第2動作パターンMP2に「56」〜「85」の30通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第3動作パターンMP3に「86」〜「100」の15通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられている。
【0092】
このように、大当り判定の結果が肯定の場合での動作パターン抽選用判定値の振分けについて、第1動作パターンMP1、第2動作パターンMP2、第3動作パターンMP3の順で動作パターン抽選用判定値の振分け個数を多くすると共に、大当り判定の結果が否定の場合での動作パターン抽選用判定値の振分けについて、第1動作パターンMP1、第2動作パターンMP2、第3動作パターンMP3の順で動作パターン抽選用判定値の振分け個数を少なくすることで、各動作パターンに基づく可動部演出が可動演出装置69で実行された場合の大当り遊技が付与される信頼度を、第1動作パターンMP1、第2動作パターンMP2、第3動作パターンMP3の順で高くなるようにしている。具体的に、例えば、大当り判定の結果が肯定の場合(大当り)に、第3動作パターンMP3は最も選択され易く、大当り判定の結果が否定の場合(はずれ)に、第3動作パターンMP3は最も選択され難く構成されているので、第3動作パターンMP3に基づく可動部演出が可動演出装置69で実行された場合は大当り遊技が付与される信頼度が高くなる。一方、大当り判定の結果が肯定の場合(大当り)に、第1動作パターンMP1は最も選択され難く、大当り判定の結果が否定の場合(はずれ)に、第1動作パターンMP1は最も選択され易く構成されているので、第1動作パターンMP1に基づく可動部演出が可動演出装置69で実行された場合は大当り遊技が付与される信頼度が低くなる。言い換えると、当り判定がはずれの判定結果の場合に比べて当りの判定結果の場合の方が、第1動作パターン(第1の可動部70を初期位置に停止させた状態で第2の可動部71,72を動作する動作パターン)MP1よりも、第3動作パターン(第1の可動部70を動作させた後に第2の可動部71,72を動作させる動作パターン)MP3で演出制御CPU61aが駆動モータ85A,85B,101を制御する割合が高くなるようになっている。更に言えば、当り判定がはずれの判定結果の場合に比べて当りの判定結果の場合の方が、前記可動演出装置69が備える可動部70,71,72の内の何れかを単独で動作させる第1動作パターンMP1および第2動作パターンMP2よりも、可動演出装置69が備える可動部70,71,72が備える手前側の可動部である第1の可動部70を動作させた後に奥側の可動部である第2の可動部71,72を可動位置に動作させる第3動作パターンMP3で演出制御CPU61aが駆動モータ85A,85B,101を制御する割合が高くなるようになっている。
【0093】
(表示演出パターンについて)
実施例のパチンコ機10では、前記演出制御ROM61bに、前記可動演出装置69で実行可能な複数の前記動作パターンMP1〜MP3に対応して、前記表示装置17で行われる表示演出の表示内容を特定する表示パターンPA1〜PA3(
図11参照)が記憶されている。そして、演出制御CPU61aは、前記動作パターンの抽選で1つの動作パターンを決定すると、該動作パターンに対応する表示パターン指定コマンドを前記表示制御CPU62aに出力し、該表示制御CPU62aは、表示パターン指定コマンドを入力すると、その表示パターンに対応する表示データに基づく演出内容の画像を表示装置17の表示部17aに表示するよう制御する。
【0094】
前記表示パターンPA1〜PA3は、第1表示パターンPA1が第1動作パターンMP1に対応し、第2表示パターンPA2が第2動作パターンMP2に対応し、第3表示パターンPA3が第3動作パターンMP3に対応している。具体的に、第1表示パターンPA1で特定される表示内容は、可動演出装置69における第1の可動部70を初期位置に保持したもとで第2の可動部71,72を可動位置に動作させた状態において前記表示装置17の表示部17aの可動部70,71,72で隠されることなく前側から視認可能な第1視認領域SP1(
図12参照)で演出を表示する内容に設定されている。また、第2表示パターンPA2で特定される表示内容は、可動演出装置69における第2の可動部71,72を初期位置に保持したもとで第1の可動部70を可動位置に動作させた状態において前記表示装置17の表示部17aの第1の可動部70で隠されることなく前側から視認可能な第2視認領域SP2(
図13参照)で演出を表示する内容に設定されている。なお、第2視認領域SP2は、
図13に示す如く、可動位置の第1の可動部70の上側および下側に表われる。更に、第3表示パターンPA3で特定される表示内容は、可動演出装置69における第1の可動部70および第2の可動部71,72が何れも可動位置に動作した状態において前記表示装置17の表示部17aの可動部70,71,72で隠されることなく前側から視認可能な第3視認領域SP3(
図14参照)で演出を表示する内容に設定されている。なお、3つの視認領域SP1〜SP3の広さは異なるように設定される。具体的には、第1視認領域SP1>第2視認領域SP2>第3視認領域SP3の関係となっており、第1視認領域SP1が最も広く、第3視認領域SP3が最も狭くなっている。なお、可動演出装置69で可動部演出が実行されていない初期状態、すなわち、第1の可動部70および第2の可動部71,72が何れも初期位置に位置する状態において前記表示装置17の表示部17aの可動部70,71,72で隠されることなく前側から視認可能な基準視認領域SPA(
図2参照)は、第1視認領域SP1より広くなっている。
【0095】
このように、前記始動入賞口29a,29bの何れかへの入賞(始動条件の成立)を契機として当り遊技を生起させるか否かの当り判定を行う当り判定手段、当り判定手段としてのメイン制御CPU60aの当り判定の判定結果が肯定(当りの判定結果)の場合に、複数種類の当り遊技の中から付与する当り遊技を決定する当り遊技決定手段としての夫々の機能を前記メイン制御CPU60aが備えている。またメイン制御CPU60aは、当り判定手段としてのメイン制御CPU60aが決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に付与する当り遊技付与手段としての機能を備えている。更に、メイン制御CPU60aは、始動入賞口29a,29bの何れかへの入賞を契機として、前記表示手段(特図表示部50A,50B、表示装置17)で行わせる図柄変動演出の変動時間を特定する変動パターン(特図変動パターン)を、記憶手段としてのメイン制御ROM60bが記憶する複数の変動パターンの中から決定する変動パターン決定手段としての機能を備えている。
【0096】
また、演出制御CPU61aは、演出制御ROM61bが記憶する複数種類の動作パターンの中から動作パターンを決定する動作パターン決定手段、および動作パターン決定手段としての演出制御CPU61aが決定した動作パターンで可動演出装置69が備える駆動手段(駆動モータ85A,85B,101)を駆動するように制御する駆動制御手段としての機能を備えている。また、演出制御CPU61aは、表示制御CPU62aを介して表示装置17で実行される演出内容を制御するよう構成されており、該表示装置17で実行する演出を制御する演出実行制御手段としての機能を演出制御CPU61aが備えている。そして、演出実行制御手段としての演出制御CPU61aは、表示装置17の表示部17aを前側から視認可能な視認領域の広さに応じた演出を、表示装置17で実行するように該表示装置17を制御するよう構成されている。
【0097】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0098】
前記前枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技盤20の遊技領域23内に打ち出される。この遊技領域23に打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾体24の外周囲を流下し、該パチンコ球が前記第1始動入賞口29aまたは第2始動入賞口29bに入賞すると、対応する前記第1始動入賞検出センサ41または第2始動入賞検出センサ42からの検出信号がメイン制御CPU60aに入力され、該メイン制御CPU60aは、大当り判定用乱数の値をメイン制御ROM60bから読み出し、メイン制御RAM60cの所定の記憶領域に記憶する。そして、メイン制御CPU60aは、図柄変動演出の開始前に、メイン制御RAM60cに記憶されている前記大当り判定用乱数の値とメイン制御ROM60bに記憶されている大当り判定値とを比較して大当りか否かの大当り判定(当り判定)を行う。
【0099】
前記メイン制御CPU60aは、大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、大当りを決定する。大当りを決定したメイン制御CPU60aは、特図決定用乱数をメイン制御RAM60cから読み出し、該値に予め対応付けられた図柄(特
図1または特
図2)を大当り図柄として決定し、決定した図柄の種類を示す情報をメイン制御RAM60cに記憶する。そして、メイン制御CPU60aは、図柄の種類に応じた大当り導出演出用の特図変動パターンを決定し、決定した大当り導出演出用の特図変動パターンに対応する制御コマンドを所定のタイミングで演出制御基板61(演出制御CPU61a)に出力する。また、メイン制御CPU60aは、大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、はずれを決定すると共に、選択されたはずれ演出用の特図変動パターンを決定し、決定したはずれ演出用の特図変動パターンに対応する制御コマンドを所定のタイミングで演出制御基板61(演出制御CPU61a)に出力する。
【0100】
前記演出制御CPU61aは、大当り導出演出用の特図変動パターンまたははずれ演出用の特図変動パターンに対応する特図変動パターン指定コマンドを入力すると、前記可動演出装置69による可動部演出を実行するか否かを決定する可動部演出の実行可否判定を行う。すなわち、演出制御CPU61aは、特図変動パターン指定コマンドが入力されたときに実行可否判定用乱数を取得すると共に、この取得した実行可否判定用乱数の値を、可動部演出の実行可否判定に用いられる抽選テーブルに設定されている実行可否判定値と比較して、可動部演出を実行するか否かを決定する。
【0101】
前記演出制御CPU61aは、前記実行可否判定において可動部演出を実行することが決定された場合に、複数種類の動作パターンMP1〜MP3の中から1つの動作パターンを決定し、決定された動作パターンを当該の図柄変動演出中に実行する。具体的には、メイン制御CPU60aでの大当り判定が肯定(大当り)で、実行可否判定が肯定の場合には、演出制御CPU61aは、大当り導出演出用の特図変動パターンに対応する特図変動パターン指定コマンドが入力されたときに動作パターン判定用乱数を取得すると共に、この取得した動作パターン判定用乱数の値を、動作パターン振分け抽選テーブルT1(
図10)に設定されている動作パターン抽選用判定値と比較して、何れかの動作パターンMP1〜MP3を決定する。また、メイン制御CPU60aでの大当り判定が否定(はずれ)で、実行可否判定が肯定の場合には、演出制御CPU61aは、はずれ演出用の特図変動パターンに対応する特図変動パターン指定コマンドが入力されたときに動作パターン判定用乱数を取得すると共に、この取得した動作パターン判定用乱数の値を、動作パターン振分け抽選テーブルT2(
図10)に設定されている動作パターン抽選用判定値と比較して、何れかの動作演出パターンMP1〜MP3を決定する。
【0102】
前記演出制御CPU61aは、動作パターンを決定すると、決定した動作パターンに対応する動作演出指定コマンドを可動部制御基板65に出力し、該可動部制御基板65によって前記可動演出装置69の駆動モータ85A,85B,101が制御されて、決定された動作パターンで可動部70,71,72が動作される。また、演出制御CPU61aは、決定した動作パターンに対応する表示パターンの表示演出コマンドを表示制御基板62に出力する。そして、表示制御CPU62aは、入力された表示演出コマンドに対応する表示データに基づく画像を表示部17aに表示するよう表示装置17を制御する。
【0103】
例えば、動作パターンとして第1動作パターンMP1が決定された場合は、可動部制御基板65は、第2駆動モータ101を第1方向に回転するように駆動制御し、
図12に示す如く、2つの第2の可動部71,72を可動位置に移動させる。すなわち、第1の可動部70が初期位置に保持された状態で、該第1の可動部70に対して前第2の可動部71が上方に移動すると共に後第2の可動部72が下方に移動して、両第2の可動部71,72が第1の可動部70の上下位置に視認可能に露出する。なお、第1の可動部70の上方に移動した前第2の可動部71は、前記装飾部材38の後方に重なるが、該装飾部材38は光透過性に構成されているので、可動位置に移動した前第2の可動部71を装飾部材38を介して前側から認識できる。また、第1の可動部70の下方に後第2の可動部72が移動することで、前記表示装置17の表示部17aにおける視認領域は、基準視認領域SPAより狭くなる(第1視認領域SP1となる)。そして、後第2の可動部72の下側における第1視認領域SP1において第1表示パターンPA1に基づく表示演出が実行される。すなわち、初期位置の第1の可動部70に対して第2の可動部71,72が上下に延出するように移動することで、演出の興趣を向上し得る。また、後第2の可動部72が表示部17aの前側に重なるように延出して視認領域を狭める演出によって興趣をより向上し得る。また、表示装置17では、第1動作パターンMP1に対応する第1表示パターンPA1に基づいて第1視認領域SP1で表示演出が表示されるので、表示部17aの前側に重なるように移動した後第2の可動部72によって表示演出が隠れることはなく、演出の興趣が削がれることはない。
【0104】
また、動作パターンとして第2動作パターンMP2が決定された場合は、可動部制御基板65は、第1駆動モータ85A,85Bを駆動制御し、
図13に示す如く、2つの第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置に移動させる。第1の可動部70が可動位置に移動することで、前記表示装置17の表示部17aは該第1の可動部70によって上下に分割される。そして、第1の可動部70の上下の第2視認領域SP2において第2表示パターンPA2に基づく表示演出が実行されることで、演出の興趣が向上する。すなわち、可動演出装置69の可動部70,71,72が第2動作パターンMP2に基づいて動作された場合においても、表示装置17では、第2動作パターンMP2に対応する第2表示パターンPA2に基づいて第2視認領域SP2で表示演出が表示されるので、表示部17aの前側に重なるように移動した第1の可動部70によって表示演出が隠れることはなく、演出の興趣が削がれることはない。また、第2動作パターンMP2で駆動モータ85A,85B,101が駆動制御されることで、第1の可動部70が表示部17aの略中央位置まで移動して前側に重なって視認領域を狭める演出によって、興趣をより向上することができる。なお、第2動作パターンMP2では、可動部制御基板65は、第1の可動部70を可動位置に移動させた後、第2駆動モータ101を駆動することなく適宜のタイミングで第1駆動モータ85A,85Bを駆動制御して該第1の可動部70を初期位置に戻す。すなわち、第2の可動部71,72が第1の可動部70の装飾部76の後方に隠れたまま第1の可動部70が上下に移動するので、第2の可動部71,72が動作することを期待しつつ演出を楽しむことができる。
【0105】
更に、動作パターンとして第3動作パターンMP3が決定された場合は、可動部制御基板65は、先ず第1駆動モータ85A,85Bを駆動制御して、2つの第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置に移動させる。次で、可動部制御基板65は第2駆動モータ101を駆動制御して、
図14に示す如く、2つの第2の可動部71,72を可動位置に移動させる。第1の可動部70および第2の可動部71,72が何れも可動位置に移動することで、
図14に示すように、前記表示装置17の表示部17aの極め大きな領域が隠れるインパクトのある演出となり、興趣を向上することできる。また、第1の可動部70および第2の可動部71,72によって隠れて挟くなった第3視認領域SP3において第3表示パターンPA3に基づく表示演出が実行されることで、演出の興趣が向上する。特に、第1の可動部70における装飾部76より後方において2つの第2の可動部71,72が前後に離間していることで、可動部70,71,72に奥行き感がでて演出の興趣をより高めることができる。
【0106】
ここで、前記第1の可動部70を初期位置と可動位置との間を移動させる場合の作用について説明する。
【0107】
前記第1の可動部70の初期位置では、
図4に示す如く、該第1の可動部70は前記係合部75aが保持装置89の係合部材90に係合して該初期位置に保持されている。そして、前記演出制御CPU61aが決定した動作パターンに基づいて、第1の可動部70を可動位置に移動させる場合は、前記演出制御CPU61aが前記電磁ソレノイド92を励磁するように制御する。すなわち、電磁ソレノイド92に通電すると、前記係合部材90が保持位置から解除位置に移動することで前記係合部75aの下側から退避し、第1の可動部70の下降が許容される状態となる。従って、前記第1駆動モータ85A,85Bが、第1の可動部70を初期位置から可動位置へ移動させる方向に回転するよう駆動されると、前記ラック部材82,82のラック歯82a,82aと伝達部86,86の歯車との噛合作用下に、第1の可動部70は初期位置から可動位置へ向けて移動される。第1の可動部70が初期位置から下降した後に、電磁ソレノイド92に対する通電を停止(遮電)すると、前記バネ部材91の付勢力によって係合部材90が解除位置から保持位置に移動して、前記係合部75aの移動経路上に前記傾斜面90aが臨む状態となる。
【0108】
前記第1の可動部70を可動位置から初期位置に移動する場合は、前記第1駆動モータ85A,85Bが、第1の可動部70を初期位置から可動位置へ移動させる方向とは逆方向に回転するよう駆動され、前記ラック部材82,82のラック歯82a,82aと伝達部86,86の歯車との噛合作用下に、第1の可動部70は可動位置から初期位置へ向けて移動する。そして、第1の可動部70の上昇に伴って前記係合部75aが前記保持装置89の係合部材90における傾斜面90aに下側から当接する。第1の可動部70が更に上昇するのに伴い、係合部75aにより係合部材90が押されて前記バネ部材91の付勢力に抗して係合部材90が解除位置に向けて移動することで、第1の可動部70の上昇が許容される。そして、係合部75aが係合部材90の傾斜面90aから離脱するまで第1の可動部70が上昇すると、係合部材90が前記バネ部材91の付勢力によって解除位置から保持位置に移動することで、該係合部材90が係合部75aの下側に進んで、該係合部75aの下面に当接可能となる。
【0109】
前記第1駆動モータ85A,85Bは、前記第1の検出片87,87が第1検出センサ88A,88Bで検出されると前記演出制御CPU61aによって停止制御される。前記第1の検出片87,87が第1検出センサ88A,88Bで検出されて第1駆動モータ85A,85Bが停止制御される位置は、前記係合部75aが係合部材90における傾斜面90aの上端を越えた位置に設定されており、第1駆動モータ85A,85Bを停止した際に自重によって下降しようとする第1の可動部70は、前記係合部75aが係合部材90に係合することで初期位置に保持される(
図4参照)。
【0110】
前記第1の可動部70は、左右両端部においてラック部材82,82と伝達部86,86との噛合作用によって移動されるから、第1の可動部70が左右方向に傾くことなく安定して動作を達成し得る。すなわち、初期位置および可動位置において各第2の可動部71,72の安定かつ適正な動作を実施し得る。前記第1駆動モータ85A,85Bの駆動により第1の可動部70が可動位置から初期位置に移動した際に、該第1の可動部70に設けた前記係合部75aが、前記支持基体79に配設した保持装置89の係合部材90に係合して当該第1の可動部70が初期位置に保持されるよう構成した。すなわち、保持装置89によって第1の可動部70を初期位置に保持し得るから、第1の可動部70を初期位置に保持するために第1駆動モータ85A,85Bを駆動制御する必要はなく、該駆動モータ85A,85Bを停止した状態で第1の可動部70を確実に初期位置に保持し得る。従って、第1駆動モータ85A,85Bに掛かる駆動負荷を低減し得ると共に、制御系の負荷も低減し得る。
【0111】
また、前記保持装置89の係合部材90は、第1の可動部70が可動位置から初期位置へ移動する際には、第1の可動部70の係合部75aによって保持位置から解除位置へ移動された後に、保持位置にバネ部材91の付勢力によって戻ることで係合部75aに係合し得る位置に臨むよう構成したので、係合部材90を係合部75aに係合させるための駆動手段を必要とせず、構成を簡略化し得る。
【0112】
実施例のパチンコ機10では、前記表示装置17での図柄変動演出中において前記可動演出装置69で実施される前記動作パターンの形態MP1〜MP3によって、当該図柄変動演出後に大当り遊技が付与される信頼度が異なるよう構成したので、可動部70,71,72の動作に対して遊技者の関心を惹き付けることができる。また、動作パターンとして、第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70のみを初期位置と可動位置との間を移動させる第2動作パターンMP2と、第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置まで移動し、該第1の可動部70を可動位置に保持したまま第2の可動部71,72を可動位置に移動させる第3動作パターンMP3とを設定したので、第1の可動部70が可動位置に移動した後の展開に対する興味を惹き付けることができ、演出の興趣を向上し得る。
【0113】
実施例のパチンコ機10では、初期位置および可動位置の間で動作する第1の可動部70に対して第2の可動部71,72を設けて、初期位置において第1の可動部70の装飾部76の後方に隠れている第2の可動部71,72が可動位置への移動に伴って前側から視認し得るようにすることで、第1の可動部70および第2の可動部71,72の動作による演出効果を向上することができる。すなわち、第1の可動部70および第2の可動部71,72の動作に対する関心を高め、動作に依る演出効果を向上し得る。また、第2の可動部71,72が単独で動作するよりも第1の可動部70の動作後に第2の可動部71,72が動作する場合の方が大当り遊技が付与される期待感が高まるようになっているので、第1の可動部70および第2の可動部71,72の動作に対する関心をより高めることができる。
【0114】
また、前記表示装置17の表示部17aに対して第1の可動部70および第2の可動部71,72が前側に重なる領域が変化するよう構成し、第2の可動部71,72が単独で動作する場合と、第1の可動部70の動作後に第2の可動部71,72が動作する場合とで、表示装置17の表示部17aを前側から視認可能な視認領域SP1〜SP3の広さが異なるようになっているので、表示装置17を前側から視認可能な視認領域SP1〜SP3の広さにより、大当り遊技が付与される期待感を示唆することができ、第1の可動部70および第2の可動部71,72の動作に対する関心をより高めることができる。
【0115】
更に、実施例のパチンコ機10では、第1の可動部70に対して上下方向に延出する複数の第2の可動部71,72を前後方向に離間して設けているので、第2の可動部71,72の可動位置への移動に伴うインパクトを高めることができ、第1の可動部70および第2の可動部71,72の動作による演出効果を向上することができる。
【0116】
また、可動部70,71,72の移動によって表示装置17における表示部17aの前側から視認可能な視認領域の広さが変化した場合に、該変化に応じた演出を表示装置17で行うよう構成したので、表示装置17で行われる演出と、第1の可動部70や第2の可動部71,72の動作演出との結びつけを高め、演出効果を向上することができる。更に、第1の可動部70の初期位置から可動位置へ向けた移動方向と反対方向に移動する前第2の可動部71が、第1の可動部70の初期位置側で表示装置17の表示部17aの前側に重なって位置することで、第1の可動部70および前第2の可動部71が動作した際のインパクトを高めることができる。そして、前記可動演出装置69で実行される動作パターンMP1〜MP3によって、図柄変動演出の終了後に大当り遊技(当り遊技)が付与される信頼度が異なるように設定されたパチンコ機10によれば、該動作パターンMP1〜MP3に基づく各可動部70,71,72の動作によって表示装置17の表示部17aの視認領域SPA,SP1,SP2,SP3が変化すること、および視認領域SPA,SP1,SP2,SP3に対応して実行される演出によっても図柄変動演出の終了後に大当り遊技(当り遊技)が付与される期待感を示唆することができる。すなわち、各可動部70,71,72の動作の違いのみでなく、視認領域SPA,SP1,SP2,SP3の変化および該視認領域SPA,SP1,SP2,SP3に対応して実行される演出によって興趣をより向上することができる。更にいえば、第1動作パターンMP1、第2動作パターンMP2、第3動作パターンMP3の順で、大当り遊技が付与される信頼度が高くなるよう設定される実施例では、該動作パターンMP1,MP2,MP3に対応する視認領域SP1,SP2,SP3の順で領域が狭く(小さく)なり、表示装置17の表示部17aに表示される演出が小さくなることで大当りとなる期待感を示唆するという、今までにない斬新な演出によって興趣を向上することができる。
【0117】
(第1の別実施例について)
次に、第1の別実施例に係るパチンコ機について説明する。第1の別実施例に係るパチンコ機については、前述した実施例のパチンコ機10と異なる部分についてのみ説明し、既出の同一または同種の部材には同じ符号を付すものとする。前記実施例では、第1の可動部70に配設された2つの第2の可動部71,72を1つの第2駆動モータ101によって連動するよう構成したが、第1の別実施例では、各第2の可動部71,72を独立して動作し得るよう構成されている点で、実施例と異っている。
【0118】
すなわち、第1の別実施例のパチンコ機では、可動演出装置69に、2つの第2移動機構99,99が設けられて、各第2移動機構99,99によって対応する第2の可動部71,72が夫々独立して初期位置と可動位置との間を移動し得るよう構成されている。なお、第1の別実施例における第2移動機構99,99の構成は、実施例とは作動部材100が対応する一方の第2の可動部71,72にのみ連係する点で異なるのみであるので、簡単に説明する。また、便宜的に前第2の可動部71に対応する第2移動機構の符号に「A」を付すと共に、後第2の可動部72に対応する第2移動機構の符号に「B」を付すものとする。すなわち、第1の可動部70の本体部75に2つの作動部材100A,100Bが夫々回転自在に支持されると共に、各作動部材100A,100Bが本体部75に設けられた対応する第2駆動モータ101A,101Bおよび伝達部102A,102Bによって所定角度範囲で揺動するよう構成される。そして、各作動部材100A,100Bに、対応する第2の可動部71,72が連係ロッド95,98を介して連係される。これにより、各第2駆動モータ101A,101Bを駆動制御することで、第2の可動部71,72が夫々独立して初期位置と可動位置との間を移動し得るようになっている。また、各第2の可動部71,72の夫々に第2の検出片103,103が設けられると共に、該第2の検出片103,103を初期位置において検出可能な第2検出センサ104A,104Bが夫々本体部75に設けられている。そして、各第2検出センサ104A,104Bが、前記演出制御基板61に配線接続されている(
図15参照)。また、各第2駆動モータ101A,101Bが、前記可動部制御基板65に配線接続されており(
図15参照)、各第2検出センサ104A,104Bが対応する第2の検出片103,103を検出した信号の入力に基づいて対応する第2駆動モータ101A,101Bを演出制御基板61が備える演出制御CPU61aが可動部制御基板65を介して停止制御することで、対応する第2の可動部71,72を初期位置で停止保持し得るよう構成される。
【0119】
(第1の別実施例の動作パターンについて)
前記前第2の可動部71および後第2の可動部72を夫々独立して動作させ得るように構成した第1の別実施例の可動演出装置69では、該可動演出装置69が備える可動部70,71,72の可動部演出に係る動作パターンとして、
図16に示す複数種類が設定されている。なお、第1の別実施例の動作パターンについては、実施例の動作パターンと区別するために別動作パターンと指称する。
【0120】
すなわち、第1の別実施例では、5つの別動作パターンが設定されている。第1別動作パターンMPB1は、前記第1の可動部70を初期位置に停止させた状態で、前記後第2の可動部72を可動位置(下側)に動作(移動)させるように対応する第2駆動モータ101Bのみを駆動するパターンである。第2別動作パターンMPB2は、第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置に移動させた後、前記後第2の可動部72を可動位置(下側)に動作(移動)させるように対応する第2駆動モータ101Bのみを駆動するパターンである(
図17参照)。第3別動作パターンMPB3は、第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置に移動させた後、前記前第2の可動部71を可動位置(上側)に動作(移動)させるように対応する第2駆動モータ101Aのみを駆動するパターンである(
図18参照)。第4別動作パターンMPB4は、第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置に移動させた状態で、後第2の可動部72を可動位置(下側)に動作(移動)させるように対応する第2駆動モータ101Bを駆動し、その後に前第2の可動部71を可動位置(上側)に動作(移動)させるように対応する第2駆動モータ101Aを駆動するパターンである。そして、第5別動作パターンMPB5は、第2の可動部71,72を初期位置に保持したまま第1の可動部70を可動位置に移動させた状態で、前後の第2の可動部71,72を同時に可動位置に動作(移動)させるように両第2駆動モータ101A,101Bを駆動するパターンである。なお、第4別動作パターンMPB4および第5別動作パターンMPB5で動作された3つの可動部70,71,72で形成される形態は、実施例の第3動作パターンMP3で動作された場合と同じとなる(
図14参照)。また、第3〜第5別動作パターンMPB3〜MPB5では、第1の可動部70が可動位置から初期位置に戻るまでに、可動位置に移動した第2の可動部71,72が初期位置に戻るように対応する第2駆動モータ101A,101Bが駆動制御される。なお、上記に示す別動作パターンの数や動作内容は一例であって、動作内容が異なる5つ以上の動作パターンを設定するようにしてもよい。
【0121】
第1の別実施例においても、可動演出装置69で実行される別動作パターンMPB1〜MPB5によって、図柄変動演出の終了後に大当り遊技(当り遊技)が付与される信頼度が異なるように、別動作パターンMPB1〜MPB5の出現率が設定される。第1の別実施例では、第1別動作パターンMPB1、第2別動作パターンMPB2、第3別動作パターンMPB3、第4別動作パターンMPB4、第5別動作パターンMPB5の順で、大当り遊技が付与される信頼度が高くなるよう設定される。すなわち、実施例では、
図16に示す如く、第1別動作パターンMPB1の信頼度が「最低」、第2別動作パターンMPB2の信頼度が「低」、第3別動作パターンMPB3の信頼度が「中」に設定され、第4別動作パターンMPB4の信頼度が「高」に設定され、第5別動作パターンMPB5の信頼度が「最高」に設定されている。
【0122】
第1の別実施例における各別動作パターンの信頼度についても、前記実施例と同様に、各別動作パターンMPB1〜MPB5に対して振分けられている動作パターン抽選用判定値の振分け態様(振分け個数)によって規定される。
図16は、大当り判定の結果が肯定の場合(大当り)の別動作パターン振分け抽選テーブルTB1と、大当り判定の結果が否定の場合(はずれ)の別動作パターン振分け抽選テーブルTB2と示している。そして、別動作パターン振分け抽選テーブルTB1では、第1別動作パターンMPB1に「1」〜「4」の4通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第2別動作パターンMPB2に「5」〜「12」の8通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第3別動作パターンMPB3に「13」〜「24」の12通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第4別動作パターンMPB4に「25」〜「48」の24通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第5別動作パターンMPB5に「49」〜「100」の52通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられている。これに対し、別動作パターン振分け抽選テーブルTB2では、第1別動作パターンMPB1に「1」〜「55」の55通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第2別動作パターンMPB2に「56」〜「71」の16通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第3別動作パターンMPB3に「72」〜「83」の12通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第4別動作パターンMPB4に「84」〜「93」の10通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられ、第5別動作パターンMPB5に「94」〜「100」の7通りの動作パターン抽選用判定値が振分けられている。
【0123】
このように、大当り判定の結果が肯定の場合での動作パターン抽選用判定値の振分けについて、第1別動作パターンMPB1、第2別動作パターンMPB2、第3別動作パターンMPB3、第4別動作パターンMPB4、第5別動作パターンMPB5の順で動作パターン抽選用判定値の振分け個数を多くすると共に、大当り判定の結果が否定の場合での動作パターン抽選用判定値の振分けについて、第1別動作パターンMPB1、第2別動作パターンMPB2、第3別動作パターンMPB3、第4別動作パターンMPB4、第5別動作パターンMPB5の順で動作パターン抽選用判定値の振分け個数を少なくすることで、各別動作パターンに基づく可動部演出が可動演出装置69で実行された場合の大当り遊技が付与される信頼度が、第1別動作パターンMPB1、第2別動作パターンMPB2、第3別動作パターンMPB3、第4別動作パターンMPB4、第5別動作パターンMPB5の順で高くなっている。
【0124】
ここで、第1の別実施例では、前記第1〜3別動作パターンMPB1〜MPB3が、2つの第2の可動部71,72の何れか一方のみを動作させる単独動作パターンであり、第4別動作パターンMPB4が、一方の第2の可動部72を動作させた後に他方の第2の可動部71を動作させる第1の連動動作パターンであり、第5別動作パターンMPB5が、両方(複数)の第2の可動部71,72を同時に動作させる第2の連動動作パターンである。そして、これら単独動作パターンMPB1〜MPB3、第1の連動動作パターンMPB4および第2の連動動作パターンMPB5との関係は、当り判定がはずれの判定結果の場合に比べて当りの判定結果の場合の方が、前記単独動作パターンMPB1〜MPB3よりも何れかの連動動作パターンMPB4,MPB5で演出制御CPU61aが各第2駆動モータ101A,101Bを制御する割合が高くなると共に、当り判定がはずれの判定結果の場合に比べて当りの判定結果の場合の方が、第1の連動動作パターンMPB4よりも第2の連動動作パターンMPB5で演出制御CPU61aが各第2駆動モータ101A,101Bを制御する割合が高くなるよう設定されている。
【0125】
また、第1の別実施例においても、各別動作パターンMPB1〜MPB5で可動部70,71,72が動作することで表示装置17における表示部17aの視認領域が変化するのに合わせて演出を表示する別表示パターンが設定されており、演出制御CPU61aが別動作パターンを決定した場合には、対応する別表示パターンで図柄変動演出を実行するように前記表示制御CPU62aを介して演出制御CPU61aで表示装置17が制御される。すなわち、第2別動作パターンMPB2に基づいて第1の可動部70と後第2の可動部72を動作した状態では、
図17に示すように、両可動部70,72の下側および第1の可動部70の上側に視認領域が表れ、第3別動作パターンMPB3に基づいて第1の可動部70と前第2の可動部71を動作した状態では、
図18に示すように、第1の可動部70の下側および前第2の可動部71の右側に視認領域が表れ、これら視認領域において演出が実行される。
図17,
図18において視認領域をSPBで指示する。なお、第1別動作パターンMPB1に基づいて後第2の可動部72を動作した状態で表れる視認領域は、前記第1動作パターンMP1に基づいて両第2の可動部71,72を動作した状態で表れる第1視認領域SP1に対応し、第4および第5別動作パターンMPB4,MPB5に基づいて各可動部70,71,72を動作した状態で表れる視認領域は、前記第3動作パターンMP3に基づいて各可動部70,71,72を動作した状態で表れる第3視認領域SP3に対応する。
【0126】
第1の別実施例では、複数の第2の可動部71,72を独立して動作するよう構成して、1つの第2の可動部71,72が単独で動作するよりも複数の第2の可動部71,72が動作する場合に大当り遊技が付与される期待感が高まるようにしたので、第1の可動部70および第2の可動部71,72の動作に対する関心をより高めることができる。このとき、複数の第2の可動部71,72が順に動作する場合より、複数の第2の可動部71,72が一度に動作する場合の方が大当り遊技が付与される期待感が高まるようにすることで、複数の第2の可動部71,72の動作タイミングに対する関心を高めることができる。また、複数の第2の可動部71,72の夫々を独立して動作可能にしたので、可動演出装置69で実行可能な動作パターンを多様化することができ、演出の興趣を向上し得る。なお、第1の別実施例においても、その他の作用効果として前記実施例と同様の作用効果を奏する。
【0127】
(第2の別実施例について)
次に、第2の別実施例に係るパチンコ機について説明する。第2の別実施例に係るパチンコ機については、前述した実施例のパチンコ機10と異なる部分についてのみ説明し、既出の同一または同種の部材には同じ符号を付すものとする。前記実施例では、第1の可動部70は初期位置と可動位置との間を第1駆動モータ85A,85Bの駆動によって移動するよう構成したが、第2の別実施例では、第1の可動部70の初期位置から可動位置への移動については、該第1の可動部70の自重によって移動するよう構成されている点で、実施例と異っている。
【0128】
すなわち、前記第1駆動モータ85A,85Bは、前記第1の可動部70が初期位置に位置する状態(保持装置89で保持されている状態)では、回転軸が自由回転可能な状態(ステッピングモータである第1駆動モータ85A,85Bを非励磁とする状態)となるよう構成される。また、第1の可動部70の初期位置では、該第1の可動部70は前記係合部75aが保持装置89の係合部材90に係合して該初期位置に保持されている。そして、前記演出制御CPU61aが決定した動作パターンに基づいて、第1の可動部70を可動位置に移動させる場合は、前記演出制御CPU61aが前記電磁ソレノイド92を励磁するように制御することで、前記係合部材90が保持位置から解除位置に移動して係合部75aとの保持が解除されることで、第1の可動部70が自重によって可動位置まで移動(落下)するよう構成される。なお、前記各ラック部材82に規制部(図示せず)が設けられると共に各支持部80,81にストッパ(図示せず)が設けられており、初期位置から前記ガイドロッド83,83に沿って落下する第1の可動部70は、規制部がストッパに当接することで可動位置に保持されるようになっている。また、ステッピングモータである第2駆動モータ101は、第2の可動部71,72を動作しない状態では常に励磁状態に演出制御CPU61aで制御されて、第1の可動部70の移動時(特に落下時)に第2の可動部71,72が不用意に移動しないよう構成される。そして、第1の可動部70を可動位置から初期位置に移動する場合は、前述した実施例と同様に第1駆動モータ85A,85Bを回転駆動することでラック部材82,82と伝達部86,86との噛合作用下に第1の可動部70は安定して上昇し、前記係合部75aが係合部材90に係合することで初期位置に保持される。
【0129】
第2の別実施例のパチンコ機では、第1の可動部70が自重により初期位置から可動位置へ移動するよう構成したので、第1の可動部70が動作した場合のインパクトを高めることができる。また、第2駆動モータ101を駆動して作動部材100を作動することで第1の可動部70に設けた第2の可動部71,72が動作するようにしているので、自重により動作した第1の可動部70につられて第2の可動部71,72が意図せずに動作するのを防止することができ、第1の可動部70および第2の可動部71,72に対して演出制御CPU61aの制御に基づく所定の動作を行わせることができる。なお、第2の別実施例においても、その他の作用効果として前記実施例と同様の作用効果を奏する。
【0130】
(変更例)
なお、遊技機としては、前述したものに限らず、種々の変更が可能である。
(1) 実施例では、可動演出装置が備える各可動部を上下方向に動作するよう構成したが、該可動部の動作方向は左右方向や斜め方向等、その動作方向は限定されるものではない。
(2) 実施例では、可動演出装置が備える各可動部の何れも上下方向に動作するよう構成したが、各可動部の動作方向を異なる構成を採用し得る。例えば、第1の可動部を上下方向に動作するのに対し、第2の可動部を斜め方向に動作するよう構成し、初期位置の第1の可動部の後方に隠れている第2の可動部が、第1の可動部の上側または下側に斜めに動作して前側から視認可能となる構成を採用し得る。また、装飾部の後方に配置された2つの第2の可動部について、手前側の第2の可動部を第1の可動部の下側に移動させると共に、奥側の第2の可動部を第1の可動部の上側に移動する形態とすることができる。
(3) 実施例では、第1の可動部に2つの第2の可動部を動作可能に設けたが、該第2の可動部は1つであっても3つ以上であってもよい。そして、第2の可動部を3つ以上とする場合は、実施例のように全ての第2の可動部を1つの第2駆動モータ(第2移動機構)によって連動するようにしたり、あるいは第1の別実施例のように各第2の可動部を夫々独立して動作し得るように対応して第2駆動モータ(第2移動機構)を設ける構成を採用し得る。また、単独で動作する第2の可動部と、連動する複数の第2の可動部とを組み合わせた構成を採用することも可能である。そして、第1の可動部の後方に初期位置で隠れて連動する奥側の第2の可動部(動作部)については、3つ以上であってよい。
(4) 実施例では、第1の可動部に配設した2つの第2の可動部を相互に反対方向に動作するよう構成したが、同じ方向に動作する構成を採用し得る。すなわち、例えば、第1の可動部の左右方向(第1の可動部の移動方向と交差する方向)に並んで2つの第2の可動部を上下方向に動作可能に配設し、両第2の可動部を第1の可動部の上側または下側へ移動する構成を採用し得る。また、前後に重なる第2の可動部が段階的に露出する構成を採用し得る。すなわち、第1の可動部に対して可動位置に移動した前第2の可動部の後方に第2の可動部が隠れた状態で位置し、更に後第2の可動部が可動位置の前第2の可動部の後方に隠れた位置から外れて露出する可動位置に移動する構成を採用し得る。
(5) 実施例では、第1の可動部に対して第2の可動部をスライド移動するよう構成したが、第2の可動部を第1の可動部に対して揺動自在に支持し、該第2の可動部が揺動することで第1の可動部の後方に隠れた初期位置と後方から外れて露出する可動位置との間を変位する構成を採用し得る。
【0131】
(6) 実施例では、当り判定で当りの判定結果となる信頼度が動作パターンの形態で異なるよう構成したが、動作パターンの形態の違いによる信頼度に関しては、確変状態が付与される信頼度としたり、パチンコ機に設定されている大当り遊技の中で最も獲得可能な賞球が多い大当り遊技が付与される信頼度、その他各種の特典が付与される信頼度として用いることができる。そして、信頼度の違いは、実施例で説明したように、特典を付与する場合と付与しない場合とに振分けられる判定値の振分け態様を異ならせることで可能となる。
(7) 実施例では、表示装置で実行される図柄変動演出中に可動演出装置の可動部演出を実行するよう構成したが、当り遊技中(大当り遊技中)に表示装置で実行される当り演出中に可動演出装置で可動部演出を行うことができる。そして、当り演出中に可動部演出を実行する構成では、大当り遊技の終了後に付与される確変状態や変短状態の信頼度を動作パターンの形態の違いにより報知することができる。
(8) 実施例では、第1の可動部に対して後方に隠れた初期位置と後方から略全体が外れて露出する可動位置との間で第2の可動部が動作するよう構成したが、初期位置と可動位置との間の中間位置(第2の可動部が半分だけ露出する位置)を設定し、動作パターンとして、第2の可動部が初期位置から中間位置まで移動した後に可動位置に移動することなく初期位置に戻る形態を設定することができる。そして、このような第2の可動部が初期位置から中間位置まで移動する動作パターンの信頼度を、初期位置から可動位置まで移動する動作パターンの信頼度より低く設定することで、第2の可動部が可動位置まで移動した際の遊技者に与える喜びを高めることができる。
【0132】
(9) 表示装置での図柄変動演出中に実行される可動部演出については、1種類の動作パターンを実行するものに限らず、複数を組み合わせて行うようにしてもよい。この場合に、大当り遊技が付与される信頼度が低い動作パターンから高い動作パターンに段階的に進行するようにすれば、遊技者の期待感を高めることができる。
(10) 実施例では、保持装置における係合部材の作動手段として電磁ソレノイドを用いたが、モータやニリアアクチュエータ等を用いることができる。そして、モータやニリアアクチュエータ等の作動手段を用いる場合は、演出制御CPUによって該作動手段を駆動制御することで、係合部材を保持位置と解除位置との間で変位させることができる。
(11) 第2の別実施例のように第1の可動部を自重により初期位置から可動位置へ移動させる構成では、該第1の可動部を初期位置と可動位置との間で動作させる第1の駆動手段は、第1の可動部の初期位置での保持を解除することで該第1の可動部を初期位置から可動位置へ移動させる保持装置の電磁ソレノイド(作動手段)と、可動位置の第1の可動部を初期位置に移動させる第1駆動モータとから構成される。
(12) 第2の別実施例において、第1の可動部の自重落下を許容するための第1駆動モータと第1の可動部との連係を解除する手段としては、連係状態と非連係状態とを切り換え可能なクラッチ等の手段を伝達部に設ける構成を採用し得る。
(13) 第2の別実施例において、第2駆動モータについては、第1の可動部が自重落下するときに励滋して第2の可動部を初期位置に保持する構成を採用し得る。
【0133】
(14) 実施例では、パチンコ球が一定の確率で入賞可能な第1始動入賞口と、パチンコ球の入賞確率を可変可能な第2始動入賞口とを始動入賞手段として備え、各始動入賞手段毎に入賞検出手段を設けて個別にパチンコ球の入賞を検出するよう構成したが、該第1および第2始動入賞手段の入賞検出手段を共通にしてもよい。すなわち、第1始動入賞手段への入賞と、第2始動入賞手段への入賞とを区別しないよう構成してもよい。
(15) 実施例においてメイン制御手段(メイン制御CPU)が備える機能の全部または一部をサブ制御手段(演出制御CPU)が備えるようにしてもよく、反対にサブ制御手段が備える機能の全部または一部をメイン制御手段が備えるようにしてもよい。そして実施例では、メイン制御基板とサブ制御基板(演出制御基板)とを分けて設けるようにしたが、単一の制御基板とすることもできる。すなわち、実施例におけるメイン制御手段およびサブ制御手段の機能を、単一の制御基板に設けた制御手段(CPU)が備えるようにしてもよい。更に、別途制御基板を備えて、実施例のメイン制御手段やサブ制御手段が備える機能の全部また一部を、別の制御手段に備えさせてもよい。
(16) また、実施例において演出制御手段(演出制御CPU)が備える機能の全部または一部を表示制御手段(表示制御CPU)が備えるようにしてもよく、反対に表示制御手段が備える機能の全部または一部を演出制御手段が備えるようにしてもよい。そして実施例では、演出制御基板(演出制御CPU)と表示制御基板(表示制御CPU)とを分けて設けるようにしたが、単一の制御基板とすることもできる。すなわち、実施例における演出制御手段および表示制御手段の機能を、単一の制御基板に設けた制御手段(CPU)が備えるようにしてもよい。また、発光制御を行うランプ制御手段、音出力制御を行う音制御手段、可動部制御を行う可動部制御手段の夫々に関しても同様に、演出制御手段が兼用することができる。
(17) 実施例では、第1特典遊技状態が付与されている状態を確変状態としたが、これに限られるものではなく、第1特典遊技状態および第2特典遊技状態を組み合わせた状態を確変状態とすることもできる。この場合に、第1特典遊技状態および第2特典遊技状態の何れも付与されていない状態を非確変状態とすることができる。
(18) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機や遊技媒体としてパチンコ球やコインを用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。例えば、スロットマシンでは、コインを投入してスタートレバーを操作したことが当り判定を行う始動条件の成立となる。
【0134】
また実施例には、以下に示すような技術的思想が含まれている。
〔付記1〕
請求項2記載の構成を含む遊技機に関して、
前記演出実行手段(17)で実行する演出を制御する演出実行制御手段(61a)を備え、
前記演出実行制御手段(61a)は、前記演出実行手段(17)を前側から視認可能な視認領域(SP1〜SP3)の広さに応じた演出を演出実行手段(17)で実行するよう制御するよう構成されたことを要旨とする。
このように、前側から視認可能な視認領域の広さに応じた演出を演出実行手段で行うようにすることで、演出実行手段で行われる演出と、第1の可動部や第2の可動部の動作演出との結びつけを高め、演出効果を向上することができる。
〔付記2〕
請求項2記載の構成を含む遊技機に関して、
前記第1の可動部(70)は、初期位置から可動位置に移動することで前記演出実行手段(17)の前側に重なる領域が拡大するよう構成されると共に、当該第1の可動部(70)の可動位置において、第1の可動部(70)の初期位置側に前記演出実行手段(17)が露出するよう構成され、
前記第2の可動部(71)は、当該第2の可動部(71)の初期位置から可動位置に移動する際に、前記第1の可動部(70)の可動位置から初期位置へ向けた移動方向に移動するよう構成されて、
前記第1の可動部(70)を動作させた後に前記第2の可動部(71)を動作させる動作パターン(MP3)で動作した際に、初期位置から可動位置に移動した前記第1の可動部(70)が前記演出実行手段(17)の前側に重なって位置すると共に、当該第1の可動部(70)の初期位置側で前記第2の可動部(71)が演出実行手段(17)の前側に重なって位置するよう構成されたことを要旨とする。
このように、第1の可動部の初期位置から可動位置へ向けた移動方向と反対方向に移動する第2の可動部が、第1の可動部の初期位置側で第2の可動部が演出実行手段の前側に重なって位置することで、第1の可動部および第2の可動部が動作した際のインパクトを高めることができる。