【実施例】
【0027】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0028】
実施例1〜4、比較例1〜4(水素化ランタン(LaH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径20〜30mmの金属ランタン800gを仕込み、真空排気した後、水素(a)MPa(ゲージ圧力)を充填し、反応温度(b)℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が(b’)℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が(b’)℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0029】
(2)実際の反応
耐圧容器に(a)MPaの水素を充填した際に外温を(b)℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。このとき、1時間保持しても温度が上昇しない場合は反応していないとした。内部温度が(b’)℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび(b’)℃へと冷却されたときに水素の元の圧力を(a’)MPaへと変化させ再び水素ラインの弁を開ける。この後は(b’)℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行う。12時間後に(b)の加熱をやめ、常温まで冷却する。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。この場合、到達する最高温度は(c)℃となった。開始圧力(a)、開始温度(b)、ゲージ圧力と開始温度の積(a×b)、制御圧力(a’)、 制御温度(b’)、到達温度(c)及び繰り返し回数を表1に示す。また、実施例2の運転状況を
図1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(3)結果
表1に示すように、比較例1では、水素を供給加熱しても反応が生じなかった。比較例2、3では、水素を供給しても反応開始までに長い時間を要した。比較例3、4では、2回目又は反応開始時に600℃以上になった。
実施例1〜実施例4では、反応が1時間以内に生じ、弁を閉じた際の最高到達温度は指定温度の基準を十分満たしており、生成物のXRDデータからLaH
2であった(
図2)。
【0032】
比較例5(水素化ランタン(LaH
2))
(1)制御方法
実施例1と同様に反応を開始させたが、反応容器内の温度が135℃に達したときも水素の弁を閉じずに、水素を供給し続けた。
【0033】
(2)結果
温度を制御することができずにLa金属が溶融付着していた。
【0034】
実施例5〜7(水素化ランタン(LaH
2))
(1)制御方法
耐圧容器16Lに粒径70〜150mmの金属ランタンを仕込み、真空排気した後、水素(a)MPaを充填し、反応温度(b)℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が(b’)℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が(b’)℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0035】
(2)実際の反応
耐圧容器に(a)MPa(ゲージ圧力)の水素を充填した際に外温を(b)℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。このとき、1時間保持しても温度が上昇しない場合は反応していないとした。内部温度が(b’)℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび(b’)℃へと冷却されたときに水素の元の圧力を(a’)MPaへと変化させ再び水素ラインの弁を開ける。この後は(b’)℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行う。12時間後に(b)℃の加熱をやめ、常温まで冷却する。この場合、到達する最高温度は(c)℃となった。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。開始圧力(a)、(a×b)、開始温度(b)、(a×b)、制御温度(b’)、制御圧力(a’)、到達温度(c)及び繰り返し回数を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
(3)結果
実施例5〜7では、反応が1時間以内に生じ、弁を閉じた際の最高到達温度は指定温度の基準を十分満たしており、生成物のXRDデータからLaH
2であった。
【0038】
実施例8(水素化ストロンチウム(SrH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径10〜30mmの金属ストロンチウム500gを仕込み、真空排気した後、水素0.7MPaを充填し、反応温度100℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が135℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が135℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0039】
(2)実際の反応
耐圧容器に0.7MPaの水素を充填した際に外温を100℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。内部温度が135℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび135℃へと冷却されたときに再び水素ラインの弁を開ける。この後は135℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行った。繰り返し回数は、23回であった。12時間後に100℃の加熱をやめ、常温まで冷却した。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。
【0040】
(3)結果
弁を閉じた際の最高到達温度は250℃以下になった。これは指定温度の基準を十分満たしている。また生成物のXRDデータからSrH
2であった。
【0041】
実施例9(水素化カルシウム(CaH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径5〜10mmの金属カルシウム150gを仕込み、真空排気した後、水素0.3MPaを充填し、反応温度100℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が135℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が135℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0042】
(2)実際の反応
耐圧容器に0.3MPaの水素を充填した際に外温を100℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。内部温度が135℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび135℃へと冷却されたときに再び水素ラインの弁を開ける。この後は135℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行った。繰り返し回数は、10回であった。12時間後に100℃の加熱をやめ、常温まで冷却した。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。
【0043】
(3)結果
弁を閉じた際の最高到達温度は300℃以下になった。これは指定温度の基準を十分満たしている。また生成物のXRDデータからCaH
2であった。
【0044】
実施例10(水素化セリウム(CeH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径20〜30mmの金属セリウム100gを仕込み、真空排気した後、水素0.2MPaを充填し、反応温度100℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が135℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が135℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0045】
(2)実際の反応
耐圧容器に0.2MPaの水素を充填した際に外温を100℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。内部温度が135℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび135℃へと冷却されたときに再び水素ラインの弁を開ける。この後は135℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行った。繰り返し回数は、45回であった。12時間後に100℃の加熱をやめ、常温まで冷却する。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。
【0046】
(3)結果
弁を閉じた際の最高到達温度は200℃以下になった。これは指定温度の基準を十分満たしている。また生成物のXRDデータからCeH
2であった。
【0047】
実施例11(水素化ガドリニウム(GdH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径40〜60mmの金属ガドリニウム100gを仕込み、真空排気した後、水素0.2MPaを充填し、反応温度100℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が135℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が135℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0048】
(2)実際の反応
耐圧容器に0.2MPaの水素を充填した際に外温を100℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。内部温度が135℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび135℃へと冷却されたときに再び水素ラインの弁を開ける。この後は135℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行った。繰り返し回数は、20回であった。12時間後に100℃の加熱をやめ、常温まで冷却する。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。
【0049】
(3)結果
弁を閉じた際の最高到達温度は200℃以下になった。これは指定温度の基準を十分満たしている。また生成物のXRDデータからGdH
2であった。
【0050】
実施例12(水素化イットリウム(YH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径20〜30mmの金属イットリウム100gを仕込み、真空排気した後、水素0.2MPaを充填し、反応温度100℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が135℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が135℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0051】
(2)実際の反応
耐圧容器に0.2MPaの水素を充填した際に外温を100℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。内部温度が135℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応を止める。このとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になる。反応が停止し、内部温度がふたたび135℃へと冷却されたときに再び水素ラインの弁を開ける。この後は135℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行った。繰り返し回数は、45回であった。12時間後に100℃の加熱をやめ、常温まで冷却する。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。
【0052】
(3)結果
弁を閉じた際の最高到達温度は200℃以下になった。これは指定温度の基準を十分満たしている。また生成物のXRDデータからYH
2であった。
【0053】
比較例6(水素化ストロンチウム(SrH
2))
(1)制御方法
耐圧容器0.5Lに粒径10〜30mmの金属ストロンチウム300gを仕込み、真空排気した後、水素1.7MPaを充填し、反応温度100℃で12時間反応を行った。反応容器内の温度が135℃に達したときに水素の弁を閉じ、また内温が135℃に戻った(冷却した)ときに再び弁を開ける。これを反応が終わるまで繰り返す。
【0054】
(2)実際の反応
500ccの耐圧容器に1.7MPaの水素を充填した際に外温を100℃に上昇させる。その際水素化の反応が進むにつれて、反応容器内の温度が上昇してくる。内部温度が135℃に達したときに、水素ラインの弁を閉じ、水素化反応をこのとき、反応容器内は水素がある限り反応するため内温は上昇し続け、内圧は真空になったが、内温が900℃まで上昇した。反応が停止し、内部温度がふたたび135℃へと冷却されたときに再び0.9MPaのまま水素ラインの弁を開ける。この後は135℃での水素供給の弁の開閉を繰り返して行った。繰り返し回数は、15回であった。12時間後に100℃の加熱をやめ、常温まで冷却した。グローブボックス内で内容物を取り出した後に、XRDで生成物を特定した。
【0055】
(3)結果
実施例8で水素化物を作った際は物質中のFeの成分量は15ppmであったのに対して、今回作成したものにおいては50ppmまで上昇していた。