(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォトダイオードは、第1の半導体チップ上及び前記第1の半導体チップとともに積層された第2の半導体チップ上の転送回路上に配置され、更に、前記第1の電荷蓄積ノードが前記第2の半導体チップ上のスタック接点であり、かつ前記第2の電荷蓄積ノードが前記第2の半導体チップ上のグローバルシャッター蓄積ノードであることを特徴とする、請求項1に記載の画像センサ画素。
前記第1の電荷蓄積ノードが第3の電位を有するように構成され、前記第2の電荷蓄積ノードが第4の電位を有するように構成され、前記第3及び第4の電位が実質的に同じであることを特徴とする、請求項1に記載の画像センサ画素。
前記第1の電荷蓄積ノードが第3の電位を有するように構成され、前記第2の電荷蓄積ノードが第4の電位を有するように構成され、前記第3の電位が前記第4の電位を上回ることを特徴とする、請求項1に記載の画像センサ画素。
前記集積回路の共通ドープ領域を形成するために、前記蓄積領域が前記転送ゲートの下から前記第2のノードまで延在し、かつ前記蓄積領域が、前記共通ドープ領域上で前記転送ゲートが配置される部分に形成され、第2のバリア領域が、前記共通ドープ領域上でピニング層が配置される部分に形成されることを特徴とする、請求項7に記載の集積回路。
前記転送ゲートは、前記転送ゲートに提供される転送信号に基づいて、前記第1の領域の第1の電位、及び前記第2の領域の前記第1の部分の第2の電位を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の画像センサ画素。
前記第1の領域及び前記第2の領域は、お互いから横方向にオフセットされており、前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記転送ゲートの下の深さ方向においてオーバーラップしていないことを特徴とする、請求項12に記載の画像センサ画素。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示される一部の実施形態では、画像センサ画素の1つのノードから画像センサ画素の別のノードへ電荷を転送するための装置及び方法が開示される。通常、画像センサにおけるノード間の電荷転送は、転送ゲートによって分離された異なる電位を有するノードを用いて実現される。電荷が1つのノードから別のノードへ移動するには、宛先ノードの電位がソースノードの電位を上回る必要がある。転送ゲートをオンにすることによって、水差しから注がれた水がそこに作用する重力を受けてグラスに落下するように、電荷がより高い電位を有するノードに「落下する」ようにしてもよい。電荷が3つ以上のノードに沿って連続的に転送される必要がある画像センサの場合、各後続ノード/領域に対して電位の上昇を継続する必要があるため、この動作は困難になり得る。
【0012】
したがって、本開示では、2つのノード間にある1つの転送ゲートが、大幅に上昇した宛先ノードの電位を必要とせずに1つのノードから別のノードへ電荷を転送するための機構を作製するように修正される。これが特に有用であり得る一実施例は、積層ダイ画像センサ内の複数のノード間における電荷転送であるが、本開示はこの実施例に限定されない。修正された転送ゲートは、2つの別々にドープされた領域を含み、宛先ノードに最も近い領域はソースノードに最も近い領域の電位を上回る電位を有し、それにより、可変バリア及びミニ蓄積領域の両方を、転送ゲートの下に形成する。転送ゲートと宛先ノードとの間には、仮想バリアも形成される。可変バリア及びミニ蓄積領域の電位は、転送ゲートに印加される電圧によって部分的に制御される。転送ゲートに印加される電圧が上昇すると、バリア及びミニ蓄積領域の電位も上昇し、その結果、一部の電荷がソースノードからミニ蓄積領域内に流れ込む。その後、転送ゲートに印加される電圧は低下し、その結果、ミニ蓄積領域内の電荷が宛先ノード内に流れ込む。ミニウェルが各サイクルにおいて転送することができるのは、総電荷の一部のみであるため、数回の繰り返しが必要になり得る。
【0013】
ここで図に戻り、画像センサについて、及びこの画像センサを組み込むための例示的な電子機器について、より詳細に説明する。
図1Aは、1つ以上の画像センサを含む電子機器100の前方正面図である。
図1Bは、電子機器100の後方正面図である。電子機器100は、第1のカメラ102、第2のカメラ104、エンクロージャ106、ディスプレイ110及び入出力ボタン108のうちのいずれか又は全てを含んでもよい。電子機器100は、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、デジタルカメラ、印字装置、スキャナー、複写機などが挙げられるがこれらに限定されない、実質的に任意の種類の電子又はコンピューティング機器であってもよい。電子機器100は、1つ以上のプロセッサ、メモリ構成要素、ネットワークインタフェースなどが挙げられるがこれらに限定されない、コンピューティング又は電子機器に典型的な1つ以上の内部構成要素(図示せず)も含んでもよい。このような内部構成要素の実施例については、
図2に関連付けて説明する。
【0014】
図1に示されるように、エンクロージャ106は、電子機器100の内部構成要素に対する外側表面及び保護ケースを形成してもよく、かつディスプレイ110の少なくとも一部を囲んでもよい。エンクロージャ106は、表部品及び裏部品など、操作可能に接続された1つ以上の構成要素から形成されてもよく、又はディスプレイ110に操作可能に接続された単一の部品から形成されてもよい。
【0015】
入力部材108(スイッチ、ボタン、静電容量式センサ又は他の入力機構であってもよい)は、ユーザが電子機器100と対話することを可能にする。例えば、入力部材108は、音量を変更する、ホーム画面に戻るなどのためのボタン又はスイッチであってもよい。電子機器100は1つ以上の入力部材108及び/又は出力部材を含んでもよく、各部材は、単一の入力若しくは出力機能又は複数の入出力機能を有してもよい。
【0016】
ディスプレイ110は、電子機器100に操作可能に接続されてもよく、又はそこに通信可能に結合されてもよい。ディスプレイ110は、電子機器100に対する視覚出力を提供してもよく、かつ/又は電子機器100へのユーザ入力を受け取るように機能してもよい。例えば、ディスプレイ110は、1つ以上のユーザ入力を検出することができる、マルチタッチ静電容量式検知画面であってもよい。
【0017】
電子機器100は、ある個数の内部構成要素も含んでもよい。
図2は、電子機器100の簡略化されたブロック図である。電子機器100は、以下でそれぞれ順番に説明される、1つ以上のプロセッサ114、ストレージ又はメモリ構成要素116、入出力インタフェース118、電源120及び1つ以上のセンサ122も含んでもよい。
【0018】
プロセッサ114は、電子機器100の動作を制御してもよい。プロセッサ114は、電子機器100の実質的に全ての構成要素と、直接的又は間接的に通信してもよい。例えば、1つ以上のシステムバス124又は他の通信機構は、プロセッサ114、カメラ102、104、ディスプレイ110、入力部材108、センサ122などの間で通信を提供してもよい。プロセッサ114は、命令を処理、受信及び/又は送信することのできる任意の電子デバイスであってもよい。例えば、プロセッサ114はマイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータであってもよい。本明細書に記載されているように、用語「プロセッサ」は、単一のプロセッサ若しくは処理ユニット、複数のプロセッサ若しくは複数の処理ユニット、又は他の好適に構成されたコンピューティング要素(単数又は複数)を網羅することを意図している。
【0019】
メモリ116は、電子機器100によって利用され得る電子データを記憶してもよい。例えば、メモリ116は、例えば、オーディオファイル、ビデオファイル、ドキュメントファイルなど、様々なアプリケーションに対応する電子データ又はコンテンツを記憶してもよい。メモリ116は、例えば、不揮発性記憶装置、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、磁気光学記憶媒体、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、消去可能なプログラマブルメモリ、又はフラッシュメモリであってもよい。
【0020】
入出力インタフェース118は、データをユーザ又は1つ以上の他の電子機器から受信してもよい。更に、入出力インタフェース118は、ユーザ又は他の電子機器へのデータの送信を促進してもよい。例えば、電子機器100が電話である実施形態では、入出力インタフェース118が、データをネットワークから受信するために用いられてもよく、又は無線若しくは有線接続(例えば、インターネット、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びイーサネット(登録商標))を介して電気信号を送信及び転送するために用いられてもよい。一部の実施形態では、入出力インタフェース118が複数のネットワーク又は通信機構をサポートしてもよい。例えば、ネットワーク/通信インタフェース118は、他の機器に信号を転送するためにBluetoothネットワークを介して別の機器と対になり、同時にWiFi又は他のネットワークからデータを受信してもよい。
【0021】
電源120は、エネルギーを電子機器100に提供することができる、実質的に任意の機器であってもよい。例えば、電源120は、バッテリ、電子機器100を壁コンセントなどの別の電源に接続するように構成され得る接続ケーブルであってもよい。
【0022】
センサ122は、実質的に任意の種類のセンサを含んでもよい。例えば、電子機器100は、1つ以上のオーディオセンサ(例えば、マイクロフォン)、光センサ(例えば、周囲光センサ)、ジャイロスコープ、加速度計などを含んでもよい。センサ122は、電子機器100の機能を改良又は変更するために用いられ得るプロセッサ114にデータを提供するために用いられてもよい。
【0023】
再度、
図1A及び1Bを参照すると、電子機器100は、1つ以上のカメラ102、104、及び任意選択で、フラッシュ112又はカメラ102、104の光源も含んでもよい。
図3は、
図1Aの線3〜3に沿った、第1のカメラ102の簡略化された断面図である。
図3は第1のカメラ102を示しているが、第2のカメラ104は第1のカメラ102と実質的に類似してもよいことに留意されたい。一部の実施形態では、1つのカメラがグローバルシャッター構成された画像センサを含んでもよく、かつ1つのカメラがローリングシャッター構成された画像センサを含んでもよい。他の実施例では、1つのカメラが、他の画像センサを上回る解像度を有する画像センサを有してもよい。同様に、
図3に示された構造は、第1及び第2のカメラのうちのいずれかに対するただ1つの可能な構造に過ぎないことを理解されたい。
【0024】
図3を参照すると、カメラ102、104は、画像センサ130と光通信するレンズ126を含んでもよい。レンズ126は、エンクロージャ106に操作可能に接続され、かつ画像センサ130の上に配置されてもよい。レンズ126は、その視野内の光128を画像センサ130のフォトダイオード(以下でより詳細に説明される)上に方向付け又は伝送してもよい。画像センサ130は、光128を、捕獲されたシーンからの光を表し得る電気信号に変換してもよい。言い換えれば、画像センサ130は、レンズ126を介して光学的に伝送された光128を電気信号として捕獲する。
【0025】
(画像センサアーキテクチャ)
ここで、画像センサ130の例示的なアーキテクチャについて、より詳細に説明する。
図4Aは、画像センサ130の1つの可能なアーキテクチャの簡略化された概略図である。
図4Bは、
図4Aの画素アーキテクチャの画素の拡大図である。
図5は、
図4Aの画素136の簡略化された概略図である。
図4A〜5を参照すると、電子機器100は、1つ以上の画素136及び/又は画素セル138のグループ(例えば、ベイヤー画素又は他の画素のセットを形成するためにグループ化された画素136のグループ)を画定する画素アーキテクチャを有する画像処理構成要素を含んでもよい。画素アーキテクチャ134は、1つ以上の列出力線146を通して列選択140と通信し、かつ1つ以上の行選択線148を通して行選択144と通信してもよい。
【0026】
行選択144及び/又は列選択140は、画像プロセッサ142と通信してもよい。画像プロセッサ142は、画素136からのデータを処理し、そのデータをプロセッサ114及び/又は電子機器100の他の構成要素に提供してもよい。一部の実施形態では、画像プロセッサ142がプロセッサ114内に組み込まれるか、又はそこから分離されてもよいことに留意されたい。行選択144は、特定の行の全ての画素136など、特定の画素136又は画素のグループを選択的にアクティブ化してもよい。列選択140は、選択画素136又は画素136のグループ(例えば、特定の列を有する全ての画素)からのデータ出力を選択的に受信してもよい。
【0027】
図5に示された、画素136の一実施形態の簡略化された概略図を参照すると、各画素136はフォトダイオード154を含んでもよい。フォトダイオード154は、レンズ126と光通信することにより、それを通して光を受け取ってもよい。フォトダイオード154は、光を吸収し、吸収した光を電気信号に変換してもよい。フォトダイオード154は、電子に基づくフォトダイオード又は正孔に基づくフォトダイオードであってもよい。更に、本明細書において用いられる用語「フォトダイオード」は、フォトゲート又は他の感光性領域など、実質的に任意の種類の光子又は光検出構成要素を網羅することを意図していることに留意されたい。
【0028】
フォトダイオード154は、第1の転送ゲートTX1 170を通して第1の蓄積ノードSN1 172に結合されてもよい。更に第1の蓄積ノード172は、第2の転送ゲートTX2 174を通して第2の蓄積ノードSN2 176に結合されてもよい。第2の蓄積ノード176は、第3の転送ゲートTX3 178を通してフローティング拡散ノードFD 180などの第3の蓄積ノードに結合されてもよい。蓄積ノード172、176、180は、フォトダイオード154からの電荷を蓄積してもよく、かつ一部の実施例では、任意の漂遊電荷及び/又は光による蓄積ノード172、176、180の内容物の破壊を防止するために、電気的及び/又は光学的に遮蔽されてもよい。フローティング拡散ノード180は、ソースフォロアゲートSF 160へのゲート入力として提供される。行選択ゲート162及びソースフォロアゲート160は、基準電圧ソース(Vdd)ノード166に結合されてもよい。行選択ゲート162は、画素136に対する行選択線(例えば、
図4Bの148)に更に結合されてもよい。画素136に対する制御回路は、追加で又は代替として、1つ以上の他のゲートを含んでもよい。例えば、ブルーミング防止ゲート173が第1の蓄積ノード172に結合されてもよい。
【0029】
一部の実施形態では、画素136のフォトダイオード154及びゲート170、173、174、178、156、160、162が、全て単一の半導体チップ又はダイ上に配置されてもよいのに対し、他の実施形態では、画素136の一部の構成要素が1つの半導体チップ上にあり、他の構成要素が第2のチップ上にあってもよい。例えば、フォトダイオード154が第1の半導体チップ上にあり、転送ゲート170が第1の半導体チップと第2の半導体チップとの間に結合された垂直転送ゲートであってもよい。第1の蓄積ノード172は、垂直転送ゲート170の結合先となる第2の半導体チップ上のスタック接点であってもよい。このような実施形態では、第2の蓄積ノード176が、画像センサ上の画素136のグローバルシャッター読み出しを可能にするグローバルシャッター蓄積ノードであってもよい。概して、画素136の構成要素は1つ又は複数のチップ上に散在してもよい。本開示と組み合わせて用いられ得る画像センサアーキテクチャのいくつかの実施例が、例えば、その内容全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる、2013年1月31日に出願され、「Vertically Stacked Image Sensor」と題された、同時係属出願第13/756,459号に記載されている。
【0030】
動作中、画像を捕獲するためにカメラ102、104のうちのいずれかが作動すると、フォトダイオード154及び/又は蓄積ノード172からの電荷を欠乏させるために、ブルーミング防止ゲート173及び転送ゲート170がオンにされる。一部の実施形態では、カメラ102、104がレンズ126を介するシャッターを含んでいなくてもよく、そのため、画像センサ130が常に光に晒されてもよい。このような実施形態では、所望の画像が捕獲される前に、フォトダイオード154をリセットするか、又は欠乏状態にする(例えば、ブルーミング防止ゲート173を介して)ことが必要になり得る。
【0031】
フォトダイオード154が欠乏状態になったら、転送ゲート170がオフにされ、それによりフォトダイオード154が絶縁されてもよい。フォトダイオード154はその後、レンズ126から画像センサ130に転送された光の収集、及びそこから得た電荷の集積を開始してもよい。フォトダイオード154は光を受け取ると、入射光子によって生成された電荷の収集を開始する。フォトダイオード154を第1の蓄積ノード172に接続する転送ゲート170がオフにされるため、電荷はフォトダイオード154内に残る。フォトダイオード154が電荷を集積する間、ブルーミング防止ゲート173は、蓄積ノード172をリセットするために、及び/又はフォトダイオード154からのブルーミングを防止するために、オンのままになっていてもよい。
【0032】
集積がほぼ完了したら、ブルーミング防止ゲート173がオフにされ、第1の蓄積ノード172が絶縁される(第2の転送ゲート174もオフにされたとき)ようにしてもよい。第1の転送ゲート170はその後、フォトダイオード154から蓄積された電荷を第1の蓄積ノード172へ転送するために、高電圧にパルス化されてもよい。第2の蓄積ノード176も、第2の蓄積ノード176を欠乏状態にするために第3の転送ゲート178及びリセットゲート156をオンにすることによって、リセットされてもよい。
【0033】
電荷が第1の蓄積ノード172に転送され、かつ第2の蓄積ノード176がリセットされた後、第1の蓄積ノード172からの電荷は、第2の転送ゲート174を通して第2の蓄積ノード176に転送されてもよい。以下でより詳細に説明されるように、電荷は、第2の転送ゲートに提供される転送信号TX2のいくつかの短パルスによって、第2の転送ゲート174を通して第2の蓄積ノード176に転送されてもよい。フォトダイオード154からの電荷は、画素136が読み出し可能になるまで、第2の蓄積ノード176において保持されてもよい。グローバルシャッター動作において、画素アーキテクチャ134内の各行は、実質的に同じ時点でリセット及び曝露されても(すなわち、レンズ126を通して転送された光によって生成された電荷を集積しても)よい。
【0034】
電荷が第2の蓄積ノード176に転送され、読み出し可能になったら、フローティング拡散ノード180をリセットするために、リセットゲート156がオンにされてもよい。その後、第3の転送ゲート178がオンにされてもよく、かつ第2の蓄積ノード176からの電荷がフローティング拡散ノード180に転送されてもよい。電荷がフローティング拡散ノード180に転送されたら、行選択ゲート162がアクティブ化されてもよく、SFゲート160は、フローティング拡散ノード180内の電荷を増幅し、それを示す信号を、行選択ゲート162を通して提供する。
【0035】
(電荷転送回路)
図6Aは、画素136内で用いられ得る電荷転送回路182の一実施形態を示し、
図6B及び6Cは、電荷転送回路182に異なる転送信号が提供された時の電荷転送回路182に対する、簡略化された電位図を示す。
図6Aに示された電荷転送回路182は、本明細書では、第2の転送ゲート174がどのように実施され得るかを示す実施例として説明されているが、電荷転送回路182は代替として、又は追加で、任意の2つのノード間で電荷を転送するために用いられてもよいことが理解されるであろう。例えば、
図6Aに示された電荷転送回路182は、第1の転送ゲート170、第2の転送ゲート174及び/又は第3の転送ゲート178として、又は2つのノード間で電荷が転送される必要がある画像センサ130の任意の他の領域において用いられてもよい。一部の実施例では、連続する複数のノードに対して、それらの間で電荷を転送するために、複数の電荷転送回路182が用いられてもよいが、他の実施形態では、単一の電荷転送回路182がノードの単一のペア間で用いられてもよい。
【0036】
図6Aを参照すると、電荷転送回路182は、第1の電荷蓄積ノード172と第2の電荷蓄積ノード176との間に結合されてもよい。一実施形態では、2つの電荷蓄積ノード172、176が、半導体チップのp型基板又はpウェル内のnドープ領域であってもよい。当然、他の実施形態では、異なる種類のドーピング又は基板が用いられてもよい。
【0037】
2つの電荷蓄積ノード172、176は、類似するか、又は異なる電位を有してもよい。
図6B及び6Cに示されるように、第2のノード176の電位は、第1の電荷蓄積ノード172の電位をわずかに上回っていればよく、電荷を第1の電荷蓄積ノード172と共有することなく、従来のトランジスタを通して、第1の電荷蓄積ノード172から転送された電荷を蓄積することができるほどに、第1の電荷蓄積ノード172の電位を上回らなくてもよい。ただし、他の実施形態では、第2のノード176の電位が第1の蓄積ノード172の電位と同じであってもよく、又は一部の実施形態では、第2の電荷蓄積ノード176の電位が第1の電荷蓄積ノード172の電位を下回ってもよい。
【0038】
電荷転送回路182は、2つの部分、第1の領域184及び第2の領域186に区分けされる。第1の領域184は、第1の可変電位を有するように構成されてもよく、かつ可変バリアと呼ばれてもよい。第2の領域186は、第2の可変電位を有するように構成されてもよく、かつ蓄積領域と呼ばれてもよい。第1の領域184及び第2の領域186の両方の可変電位が、電荷転送回路182に提供される転送信号、例えば、電荷転送回路182の入力ノード174又は転送ゲート174に提供される転送信号TX2によって制御されてもよい。
【0039】
図6Aに示すように、第2の領域186は、第1の領域184が一方の電荷蓄積ノード172に隣接し、かつ第2の領域186が他方の電荷蓄積ノード176に隣接するように、第1の領域184から横方向にずらされてもよい。したがって、一部の実施形態では、転送ゲート174の下で、第1の領域184及び第2の領域186の深さが重ならなくてもよい。ただし、他の実施形態(図示せず)では、シリコンダイ内で、第1の領域184及び第2の領域186の深さが互いからずらされてもよく、その場合、各領域184、186は、転送ゲート174の下の幅全体にわたって延在してもよく、又はそうでなくてもよい。
【0040】
引き続き
図6Aを参照すると、電荷転送回路182が、ノード172、176がn型にドープされているpウェル内に形成される実施例では、第1の領域184が、pウェルドーピングの他にドープされていなくてもよい。これにより、第1の領域184は、画素136の動作中に相対的に低い電位を有することができるため、第1の領域184はバリアと呼ばれてもよい。ただし、第2の領域186は、第2の領域186が動作中に第1の領域184を上回る電位を有するように、軽度にn型にドープされてもよい。第2の領域186は第1の領域を上回る電位を有し、かつ第2の領域186は、第1の領域184と、以下でより詳細に説明される仮想バリア188との間に配置されるため、第2の領域186は、電荷を保持することができる蓄積領域を形成してもよい。ただし、一部の実施形態では、電荷を蓄積するための第2の領域186の容量が、ノード172、176のうちのいずれかの容量を下回ってもよく、したがって、以下でより詳細に説明されるように、ノード172とノード176との間で電荷を転送するために、第2の領域186を複数回用いることが必要になり得る。言い換えれば、第1の領域184と第2の領域186との間の接合部はp−n接合を形成し、したがって、第2の領域186内に電荷を蓄積するための容量を提供することができる。他の実施形態では、当然、第2の領域186内に電荷を蓄積するために、他の静電容量式構造が用いられてもよい。
【0041】
上述したように、電荷転送回路182は、例えばトランジスタゲートであり得る、入力ノード174も含む。
図6に示すように、入力ノード174は、ポリシリコン酸化物ゲート構造であってもよい。他の実施例では、入力ノード174が、金属酸化物ゲート構造又は任意の他の種類の入力ノードであってもよい。
図6Aに示された実施例を参照すると、入力ノード174は、第1の領域184及び第2の領域186と共に、修正された電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)として作用してもよい。他の実施例では、バイポーラ接合トランジスタなど、他の種類のトランジスタ又は転送回路が用いられてもよい。また、
図6Aを参照すると、電荷転送回路182内では、第1の領域184及び第2の領域186の特性の違いによって2つの部分に区分けされた、単一の入力ノード174が用いられてもよい。例えば、
図6Aに示された入力ノード174は修正されたFETゲートであり、その下には、電荷転送回路182の第1の領域184及び第2の領域186のドーピングプロファイルの違いによって設けられた、2つの領域がある。この単一のゲート174は、単一の転送信号TX2に応答して、第1の領域184及び第2の領域186の両方の電位を変更するために用いられてもよい。この実施例では、第1の領域184の可変電位と第2の領域186の可変電位との間の相対的な差が、複数の異なる転送信号TX2の電圧にわたって一定であってもよい。ただし、他の実施例では、複数の異なる入力ノードが用いられてもよく、例えば、1つのゲートが第1の領域184の電位を制御するために用いられ、別のゲートが第2の領域186の電位を制御するために用いられてもよい。いずれの場合も、入力ノード174(単数又は複数)が、第1の領域184及び第2の領域186の可変電位を制御する。
【0042】
引き続き
図6Aを参照すると、上述のとおり、仮想バリア188が、電荷転送回路182の一部として形成されてもよい。仮想バリア188は、第2の領域186のドーピングを、転送ゲート174を越えてピニング層190の下まで延在することによって形成されてもよい。言い換えれば、仮想バリア188及び第2の蓄積領域186が共に、電荷転送回路182の共通ドープ領域を形成してもよく、蓄積領域186は、共通ドープ領域上で転送ゲート174が配置される部分に形成され、仮想バリア188は、共通ドープ領域上でピンド層が配置される部分に形成される。一部の実施例では、仮想バリア188は、上述のように蓄積領域としての第2の領域186の使用を促進するだけでなく、ノード176に転送される電荷が、仮想バリア188の電位が宛先ノード176の電位を下回ることにより転送元のソースノード172に戻ることを防止することを支援してもよい。これにより、ノード176の全容量(例えば、ソースノード172の電位を上回るノード176の容量に限定されない)が使用可能になり得る。事実上、仮想バリア188は電荷転送回路182と共に、ノード172の電位とは関係なく電荷がノード176に転送されることを可能にし得る。
【0043】
ここで具体的に
図6B及び6Cを参照すると、電荷転送回路182に対する簡略化された電位図が示されている。
図6Bは、低電圧が入力ノード174に提供された時の電荷転送回路182に対する電位図を示し、
図6Cは、高電圧が入力ノード174に提供された時の電荷転送回路182に対する電位図を示す。
図6B及び6Cの両方において、第1の電荷蓄積ノード172及び第2の電荷蓄積ノード176の電位、並びに仮想バリア188の電位は固定されてもよく、入力ノード174に提供された異なる転送信号に応答して変化しなくてもよい。ただし、第1の領域184及び第2の領域186の電位は、入力ノードに提供された異なる転送信号に応答して変化する。
図6Bのように、低電圧が入力ノード174に提供された時、蓄積領域186は、仮想バリア188の電位をわずかに下回る(更に第2又は宛先ノード176の電位を下回る)電位を有してもよい。入力ノード174に提供された低電圧は、第1又はソースノード172の電位を下回るように、バリア領域184の電位も低下させる。上述のように、電荷転送回路182の第1の領域184及び第2の領域186のドーピングプロファイルは異なるため、第2/蓄積領域186の電位は第1/バリア領域184の電位を上回る。
【0044】
図6Cのように、より高い電圧が入力ノード174に提供された時、蓄積領域186は、仮想バリア188の電位を上回り、かつ第1の領域184の電位も上回り、その結果、電荷の一部を蓄積することができるミニウェルが形成される、電位を有してもよい。入力ノード174に提供された低電圧は、第1の領域184の電位も第1の電荷蓄積ノード172の電位を超えて増加させ、その結果、以下でより詳細に説明されるように、電荷が蓄積領域186内に流れ込むことができる。
【0045】
図6B及び6Cは電位プロファイルの一実施例を示しているが、プロファイルは原寸に比例していない場合があること、及び画像センサ130内の任意の所与の領域の正確な電位は、その領域の物理的特性、及びそれらの領域にバイアスをかけるか、又はそれらの領域を欠乏状態にする電圧又は他の信号によって異なることが理解されるだろう。
【0046】
ここで、
図7A〜7Gの一連の例を、
図8のタイミング図及び
図5の概略図と共に参照して、画素136に対する電荷転送回路182の一実施形態の動作について説明する。
図6Aの電荷転送回路は、第1の蓄積ノード172と第2の蓄積ノード176との間の第2の転送ゲート174として実施される。
【0047】
上述のように、まず、フォトダイオード154及び/又は蓄積ノード172からの電荷を欠乏させるために、時点t1及びt2にそれぞれ図示されるように、ブルーミング防止ゲート173及び第1の転送ゲート170がオンにされてもよい。フォトダイオード154からの電荷が欠乏したら、時点t3において第1の転送ゲート170がオフにされ、それによりフォトダイオードが絶縁されてもよい。フォトダイオード154はその後、レンズ126から画像センサ130に伝送された光の収集、及びそこから得た電荷の集積を、その集積時間820tの間に開始してもよい。フォトダイオード154が電荷を集積する間、ブルーミング防止ゲート173は、蓄積ノード172をリセットするために、及び/又はフォトダイオード154からのブルーミングを防止するために、オンのままになっていてもよい。
【0048】
集積がほぼ完了したら、ブルーミング防止ゲート173は、第1の蓄積ノード172を絶縁するために、時点t4においてオフにされてもよい。第1の転送ゲート170はその後、フォトダイオード154から蓄積された電荷を第1の蓄積ノード172へ転送するために、
図7Aの電位プロファイルに示されるように、時点t5とt6との間で高電圧にパルス化されてもよい。また、時点t5では、第3の転送ゲート178及びリセットゲート156が、第2の蓄積ノード176をリセットするためにオンにされてもよく、その後、第3の転送ゲート178及びリセットゲート156が再度、第2の蓄積ノード176を絶縁するためにオフにされてもよい。
【0049】
電荷が第1の蓄積ノード172に転送され、かつ第2の蓄積ノード176がリセット及び絶縁された後、第1の蓄積ノード172からの電荷は、第2の転送ゲート174を通して、第2の転送ゲート174に提供された第2の転送信号TX2の一連のパルスによって、第2の蓄積ノード176に転送されてもよい。時点t6では、第1の領域184及び第2の領域186の電位が、入力ノード174に提供された正電圧TX2に応答して上昇してもよく、更に
図7Bを参照すると、この電位の上昇が、第1及び第2の領域の電位を第1の蓄積ノード172の電位を上回るほどに上昇させることにより、第1の蓄積ノード172からの電荷が蓄積領域186に転送されて(例えば、「落下して」)もよい。
図7C及び7Dを参照すると、時点t7において第2の転送信号TX2の電圧が低下した時に、第1の領域184及び第2の領域186の電位は低下し始める(
図7Cは、第2の転送信号TX2の電圧が半分まで低下した時の第1の領域184及び第2の領域186の電位を示し、
図7Dは、第2の転送信号TX2の電圧が低下し尽くした時の第1の領域184及び第2の領域186の電位を示す)。概して、一部の実施形態では、第1の領域184及び第2の領域186の電位が、実質的に同じ時点で上昇及び/又は低下してもよく、かつ電荷転送回路182の単一の入力ノード174に提供された共通転送信号に応答して上昇及び/若しくは低下するか、又は電荷転送回路182に提供された複数の転送信号に応答して上昇及び/若しくは低下してもよい。
【0050】
第1の領域184及び第2の領域186の電位が低下した時、特に、
図7Dに示すように、第2の領域186の電位が、仮想バリア188の電位及び/又は第2のノード176の電位を下回るほどに低下した時、第2の領域186内に蓄積された電荷は、仮想バリア188を介して第2の電荷蓄積ノード176内に転送される。電荷が第2の電荷蓄積ノード176内に転送されたら、仮想バリア188は、電荷が第2の蓄積領域186及び/又は第1のノード172に戻ることを防止してもよい。
【0051】
図7E〜7Gは、
図7Eで電荷がある量既に第2のノード176に転送されている点を除き、
図7B〜7Dと類似している。上述のように、一部の実施形態では、電荷を第1のノード172から第2のノード176へ完全に転送するために入力ノード174への転送信号のパルス化を複数回繰り返すことが必要とされ得るように、電荷を蓄積するための第2の領域186の容量が制限されてもよい。したがって、電荷を第2の領域186内に誘引した後、その電荷を第2のノード176内に放出するために第1の領域184及び第2の領域186の電位を上昇及び低下させる動作は、複数のパルスにわたって繰り返されてもよい。この転送信号のパルス化はポンピングと呼ばれてもよく、これはバケツを井戸の中に下ろした後、それを上に引き戻して井戸から水を汲み上げる動作に類似している。
【0052】
引き続き
図8を参照すると、第2の電荷蓄積ノード176に電荷が転送された後、リセットゲート156が、フローティング拡散ノード180をリセットするために、時点t8においてオンにされてもよい。その後、第3の転送ゲート178が時点t9においてオンにされてもよく、かつ第2の蓄積ノード176からの電荷が、フローティング拡散ノード180に転送されてもよい。電荷がフローティング拡散ノード180内に蓄積されたら、行選択ゲート162がアクティブ化されてもよく、SFゲート160は、フローティング拡散ノード180内の電荷を増幅し、それを示す信号を、行選択ゲート162を通して提供する。
【0053】
このように、本明細書に記載されている電荷転送回路182の実施形態は、第2の電荷転送ノード176の電位が第1の電荷転送ノード172の電位を大幅に上回ることを必要とせず、実際には、第1の電荷転送ノード172の電位を下回ってもよい。また、本明細書に記載されている電荷転送回路182の実施形態を用いることによって、第1又はソース電荷蓄積ノード172の電位を上回る容量だけでなく、第2又は宛先電荷蓄積ノード176の全容量を用いることができる。
【0054】
(結論)
上述の説明は、広範な適用例を有する。例えば、本明細書で開示される実施例は、画像センサの特定のアーキテクチャ(例えば、フォトダイオード、グローバルシャッター、CMOSセンサなど)を主に用いているが、本明細書で開示される概念は、画像センサの当業者に理解されるであろう好適な変更態様を用いて、又はこれを用いずに、実質的に任意の他の種類の画像センサに等しく適用され得ることを理解されたい。更に、一部の実施例は、特定のドーパントを参照して説明された(例えば、
図6Aのノード172及び176は、pウェル内又はp基板上のn型ドーパントを用いてドープされる)が、他のドーパントも本開示及び添付の特許請求の範囲に含まれることが理解されるであろう。例えば、再度
図6Aを参照すると、ノード172、176は、n型基板内のp型ドーパントを用いてドープされてもよい。
【0055】
更に、本明細書に記載されている様々な実施形態は、多くの異なる実装における適用例を見出し得る。したがって、全ての実施形態に関する議論は例示に過ぎず、特許請求の範囲を含む本開示の範囲をこれらの実施例に限定するよう示唆することを意図していない。