(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯蔵槽24に盛られたヒドロゲル組成物を下側フィルムFaと共に搬送される支持体Mの上に塗布するグラビアロル22a、22bを有し、支持体Mに塗布されたシート状ヒドロゲルHの移動中にその上面に上側フィルムFbを被覆する塗布部2と;
上下側フィルムFb、Faに保護されるシート状ヒドロゲルHを移送するコンベヤー42が冷間ハウジング40の底に配置され、前記コンベヤー42の上側から前記シート状ヒドロゲルHを冷却させてシート状固形化ゲルG1となるようにする蓄冷板44が配列された冷間乾燥部4と;
多数のヒーターロル62となるヒーターロル群64と、各ヒーターロル62の間に温風を吹き出すノズル手段66とが内部に配列された熱間ハウジング60を有し、前記上下側フィルムFb、Faが剥いたシート状固形化ゲルG1を、前記ヒーターロル群64に通過させて、その表裏面がアイロンがけと温風により加熱乾燥されるようにして、ゲルシートG2となるようにする熱間乾燥部6と;
に構成される乾燥ゲルシートの製造装置。
貯蔵槽24に盛られたヒドロゲル組成物を下側フィルムFaと共に搬送される支持体Mの上に塗布するグラビアロル22a、22bを有し、支持体Mに塗布されたシート状ヒドロゲルHの移動中にその上面に上側フィルムFbを被覆する塗布部2と;
上下側フィルムFb、Faに保護されるシート状ヒドロゲルHを移送するコンベヤー42が冷間ハウジング40の底に配置され、前記コンベヤー42の上側から前記シート状ヒドロゲルHを冷却させてシート状固形化ゲルG1となるようにする蓄冷板44が配列された冷間乾燥部4と;
上下に対向配置される1対のドライコンベヤー68と、その内側から温風を吹き出すノズル手段66と、前記1対のドライコンベヤー68に連続して多数のヒーターロル62に配置されたヒーターロル群64とを有し、前記上下側フィルムFb、Faとが剥いたシート状固形化ゲルG1を、前記ドライコンベヤー68とヒーターロル群64に通過させて、その表裏面がアイロンがけと温風により加熱乾燥されるようにして、ゲルシートG2となるようにする熱間乾燥部6と;
に構成される乾燥ゲルシートの製造装置。
貯蔵槽24に盛られたヒドロゲル組成物を下側フィルムFaと共に搬送される支持体Mの上に塗布するグラビアロル22a、22bを有し、支持体Mに塗布されたシート状ヒドロゲルHの移動中にその上面に上側フィルムFbを被覆する塗布部2と;
上下側フィルムFb、Faに保護されるシート状ヒドロゲルHを移送するコンベヤー42が冷間ハウジング40の底に配置され、前記コンベヤー42の上側から前記シート状ヒドロゲルHを冷却させてシート状固形化ゲルG1となるようにする蓄冷板44が配列された冷間乾燥部4と;
温風を吹き出すノズル手段66と、ゴデットローラ70とが、内部に交互に上下に多数配置された熱間ハウジング60を有し、前記上下側フィルムFb、Faとが剥いたシート状固形化ゲルG1をノズル手段66とゴデットローラ70とに通過させて、その表裏面がアイロンがけと温風により加熱乾燥されるようにして、ゲルシートG2となるようにする熱間乾燥部6と;
に構成される乾燥ゲルシートの製造装置。
前記冷間乾燥部4と、熱間乾燥部6との間からシート状固形化ゲルG1の表面、または裏面に、剥離紙として湿潤強力紙Gcが添付されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥ゲルシートの製造装置。
前記熱間乾燥部6は、ヒーターロル62が上下2列に配列されたヒーターロル群64を有するか、或いは2列に配列されたヒーターロル62が上下に多数配列されたヒーターロル群64を有する構成となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥ゲルシートの製造装置。
【背景技術】
【0002】
高分子ヒドロゲルは、おむつ、コンタクトレンズ、医療用電極、細胞培養等に主に用いられ、その物性がファンデルワールス結合、または、物理的結合による凝集力により架橋される親水性高分子であり、水溶液状態から多量の水を含有し膨潤して3次元の高分子ネットワーク構造となり、吸水状態では生体組織と似通う挙動を見せる。
【0003】
そして、ヒドロゲルになると、90℃の高温でも殆ど変形されなく、また、外力を受け変形されるとも、早く再配列して元の構造に回復される。
【0004】
一般に、ヒドロゲルは90〜100℃の水に、グリセリン、ブチレングリコール等の多價アルコール、ローかストビーンガム、寒天、カラギーナン、キサンタンガムを解いた水溶液に、必要な機能性添加物を混合し分散させることによりゲル状に増粘されながら得られる。
【0005】
ところで、ヒドロゲルには水分が多量含有されているから物性が脆弱であり、これを応用する製品の大量生産は非常に難しい。
【0006】
例えば、ヒドロゲル美容パックの製造において、ヒドロゲルは二枚の高弾力フィルム間に供給され広がって、シート状に形成されながら冷却され、プレス工程からシート状に冷却されたヒドロゲルをフィルムと共にマスク形状に打抜される方式に美容パックを生産している。
【0007】
このような製造方式に得られるマスク形状のヒドロゲルは、依然に物性が脆弱なので、両面がフィルムに被服保護されたままにポーチ等に収納保管しなければならない。
【0008】
従来の上述の短所を解決するために、次の特許文献1は、ヒドロゲルの表面に硬化膜を形成する方法を開示しているが、ヒドロゲルに硬化膜が与えられても脆弱な元物性は全く変化されないのである。
【0009】
ところで、ヒドロゲルをシート状に広がれて自然乾燥させると、ゲルシートになって容易に任意形状に裁断出来るし、また、裁断されたゲルシートを水に漬けると、再び吸水膨潤され元のヒドロゲルに復元するようになる。
【0010】
しかし、ヒドロゲルを自然乾燥させるということは、外部と隔離された広い場所、さらに乾燥に莫大な時間と努力が所要され、大量生産には無理がある。
【0011】
次の特許文献2では、固体発泡体形態として改質されないとか、改質された重合体性炭水化物と同じく、親水性と吸湿性がある重合体の乾燥されたヒドロゲルとなる医療用品として、ヒドロゲルを凍結乾燥して製造する例が開示されている。
【0012】
しかし、ヒドロゲルを凍結させ乾燥する方法もたやすくないのみならず、常温では凍結された水分が解凍されながら、ヒドロゲルに再吸水されるから、常に凍結保管しなければならないという煩わしい問題がある。
【0013】
次の特許文献3では、高分子ヒアルロン酸のアルカリ塩をアルカリ溶液に溶かした水溶液を扁平なシート状に塗布して得られるヒドロゲルを、真空オーブンから1次乾燥してヒアルロン酸ゲルシートに作られ、再び、低分子有機酸の無水物原液、或いは、無水物に成される単位有機酸で希釈した無水物溶液に漬けて取り出した後に、再度、真空オーブンから2次乾燥させて製造する例を開示している。ところで、真空オーブンはヒドロゲルを大量に乾燥するに適合しない装備である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この発明の目的は、連続するシート状に製造されるヒドロゲルを連続に乾燥出来る乾燥ゲルシート製造装置を提供することである。
【0016】
この発明の他の目的は、連続するシート状に製造されるヒドロゲルの表裏面にアイロンをかけることで、迅速に加熱乾燥する乾燥ゲルシート製造装置を用いた製造方法を提供することである。
【0017】
この発明のまた他の目的は、前述の製造方法により製造されて中心側より表裏面側の密度がもっと緻密に造成されるゲルシートを提供することである。
【0018】
この発明のまた他の目的は、前述の製造方法により製造されるゲルシートが基材となる美容パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明に関する乾燥ゲルシート製造装置は、下側フィルムと一緒に搬送される支持体の上に、貯蔵槽に盛られたヒドロゲル組成物が、グラビアロルによって一定肉厚に塗布されなされるシート状ヒドロゲルを移送させながら、その上面に上側フィルムを覆う塗布部と;上下側フィルムで覆われるシート状ヒドロゲルを、コンベヤーが蓄冷板の下側に移送して冷却によりシート状の固形化ゲルとなるようにする冷間乾燥部と;上下側フィルムが剥いたシート状の固形化ゲルを熱間ハウジングの内で、温風を吹き入れるノズルが備えた多数のヒーターロルとなるヒーターロル群間を通過させて、前記シート状の固形化ゲルの表裏面がアイロンがけと、温風で加熱乾燥されてゲルシートとなるようにする熱間乾燥部;とからなされる。
【0020】
他の例として、この発明に関する乾燥ゲルシート製造装置は、貯蔵槽に収容されたヒドロゲル組成物を、下側フィルムと一緒に搬送される支持体の上に、グラビアロルが一定肉厚に塗布してシート状ヒドロゲルを形成し移送しながら、その上面に上側フィルムを覆う塗布部と;上下側フィルムで覆われるシート状ヒドロゲルをコンベヤーが蓄冷板の下側に移送して冷却によりシート状固形化ゲルとなるようにする冷間乾燥部と;上下側フィルムが剥いたシート状固形化ゲルを熱間ハウジングの内部から温風を吹き入れるノズルが備えた多数のヒーターロルとなるヒーターロル群間を通過させて前記シート状の固形化ゲルの表裏面が、アイロンがけと、温風で加熱乾燥されてゲルシートとなるようにする熱間乾燥部;とからなされる。
【0021】
また、この発明の製造装置による乾燥ゲルシートの製造方法は、下側フィルムに載られて供給される支持体に、ヒドロゲル組成物を塗布しその上に上側フィルムを被着してシート状ヒドロゲルとして保護する塗布段階と、低温雰囲気からシート状ヒドロゲルがシート状固形化ゲルとなるようにする冷間乾燥段階と、冷却されたシート状固形化ゲルから上下側フィルムを剥き表裏面にアイロンをがけして乾燥されたゲルシートに収める熱間乾燥段階とに行われる。
【0022】
また、前述の乾燥ゲルシートの製造方法において、熱間乾燥段階から上下側フィルムが剥離され得られるシート状固形化ゲルの上面に剥離紙が再び添付されることが出来る。
【0023】
また、前述の製造方法により得られるこの発明のゲルシートは、表裏面、または、裏面だけがアイロンがけにより、中心部より緻密な密度に皮膜化されることを特徴とする。
【0024】
また、この発明の乾燥ゲルシートとなる美容パックでは、前述の製造方法によりシート状固形化ゲルの表裏面、または、裏面だけがアイロンがけにより、中心部より緻密な密度に皮膜化されることを特徴とする。
【0025】
また、この発明の乾燥ゲルシートとなる美容パックでは、前述の製造方法によりシート状固形化ゲルの表面だけがアイロンがけを施すことにより皮膜化されると一方、反対側の裏面には湿潤強力紙が添付されることを特徴とする。
【0026】
また、この発明の乾燥ゲルシートとなる美容パックでは、前記のように皮膜化される面と、その上に添付される湿潤強力紙との間に、美容成分のパウダーとか水溶液とかを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
この発明の乾燥ゲルシート製造装置は、グラビアロルが支持体の表裏面に、ヒドロゲル組成物を連続塗布するもので、蓄冷板は移送中のシート状ヒドロゲルを低温冷却させてシート状固形化ゲルに変換されるようにするものであり、尚、ヒーティングローラー群はシート状固形化ゲルを、上下側フィルムが剥けた状態に引き取ってアイロンがけと共に、温風で完全に乾燥させるものから、ヒドロゲルとなるゲルシートを連続に大量生産することが出来る。
【0028】
この発明の乾燥ゲルシート製造装置を用いる製造方法では、上下側フィルムの間に塗布されたヒドロゲルを低温冷却してシート状の固形化ゲルに変換させ、次に上下側フィルムを剥きその表裏面にアイロンがけを施すと共に温風で加熱乾燥することによって、支持体がある中心側より表裏面、または、裏面が緻密な密度の皮膜化となるゲルシートを連続に得られる長所がある。
【0029】
また、この発明の乾燥ゲルシートの製造方法により得られるゲルシートは、使用しようとする薬液、或いは、美容成分に漬けて本来のヒドロゲルに膨潤されるようにしても、表裏面、または、裏面の皮膜化部分の密度は、依然に中心側より緻密であるから、肌に付着されると薬液、或いは、美容成分がヒドロゲルの表面を経て蒸発されることが抑制され、使用者に取って十分な時間に渡って薬液、または、美容成分が肌に供給される長所もある。
【0030】
また、前述の製造方法により得られるこの発明の美容パックは、膨潤される前には乾燥ゲルシートであるために、4等分に折っても、折れた部分からゲルの破断が起こらないから、従来とは異なり、ヒドロゲル保護用の弾力ある樹脂フィルムが不要となる。従って、使用後にそのまま廃棄しても、微生物分解されるゲルだけ廃棄されることから、環境汚染を起こらないという長所もある。
【0031】
また、この発明の乾燥ゲルシートになる美容パックにあって、前記湿潤強力紙は剥離紙の機能を兼ねるので、折れた美容パックの湿潤強力紙を抓んで簡単に広げて使用することが出来るという長所もある。
【0032】
また、この発明の乾燥ゲルシートとなる美容パックにあって、湿潤強力紙と皮膜化された面との間に施した美容成分は、ポーチに入られる状態では消失されないように、湿潤強力紙で保護されるので、パックをしようと湿潤強力紙を剥ぐと、その面に高濃度の美容成分がそっくりそのまま残って、肌に直接与えるから美容効果が倍加される長所もある。
【0033】
特に、高価の美容成分を少量に添加しても消失なく全量が肌に与えられるから、コストを節減すると同時に、美容効果は全然遜色がない水準を表すという長所もある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面についてこの発明の乾燥ゲルシートの製造装置と、方法、及びこれによって製造されるゲルシートを詳細に説明する。
【0036】
図1は、この発明に関する乾燥ゲルシートの製造装置であって、塗布部2と、冷間乾燥部4、そして熱間乾燥部6とを含む構造から成される。
【0037】
塗布部2は、多数のガイドロル20と、グラビアロル22a,22b,ヒドロゲル水溶液Hが盛られる貯蔵槽24とで構成される。
【0038】
冷間乾燥部4は、両側に入口と出口とが設けられる冷間ハウジング40と、その内部の底に設けられるコンベヤー42と、それに前記コンベヤー42の上側に配列される蓄冷板44と、送風機46などの低温冷却用設備とで構成される。
【0039】
熱間乾燥部6は、両方に入口と出口とを有し外部と隔離される熱間ハウジング60と、その内部で連続に配列される多数のヒーターロル62とから成されるヒーターロル群64とで構成され、また、前記ヒーターロル62との間には熱風を吹き出すノズルが配置されて、ヒドロゲルを迅速に乾燥させることが出来るようになっている。
【0040】
前記ヒーターロル群64にあって、各々のヒーターロル62は70〜80℃に維持し、また、ノズル66から吹き出される熱風は、180〜200℃に維持することが望ましい。
【0041】
前述の製造装置によると、塗布部2から多数のガイドロル20に沿って下側フィルムFaと、また、メッシュや薄い不織布、或いは、薄いセルロース繊維素から選択したある一つとなる支持体Mとが重ねた状態で供給され、グラビアロル22a、22bとの間を経て連続に移送される。
【0042】
一方、貯蔵槽24では、水溶液状のヒドロゲル組成物が流動性を維持しているように、75〜100℃に加温されるために、
図2の示したように、両グラビアロル22a、22bとの間を通過する支持体Mと下側フィルムFaに、前記ヒドロゲル組成物が付きながら肉厚調整されると共に、その上に前記グラビアロル22bを経て供給される上側フィルムFbが覆われてシート状ヒドロゲルHと成されながら移送される。
【0043】
この発明において、ヒドロゲル組成物は精製水に蒟蒻、カラギーナン、ゲランガム、ローかストビーンガム、ゼラチン、寒天、コラーゲン、ヒアルロン酸、アカシアゴム、アラビアガム、澱粉、フルラン、ガラクトマンナン、クアガム、プルロニック、アルギン、キサンタンガム、ペクチン、セルロースとなる天然高分子中から選択した2種以上を希釈させた混合物に提供されるものである。
【0044】
前述のように、下側フィルムFaに乗って移送されるシート状ヒドロゲルHは、ガイダー26に沿って定置されながら移送される。
【0045】
上側フィルムFbは、シート状ヒドロゲルHが均一な肉厚に広がるようにすることで、この発明から必ず備えるべきではなく省略出来、前記ガイダー26も同じだ。
【0046】
さらに、シート状ヒドロゲルHは、
図3の示したように、上下側フィルムFb、Faで保護される層構造となり、以後の冷間乾燥部4に経る。
【0047】
また、シート状ヒドロゲルHは冷間乾燥部4に入る前には、
図4の実物の写真とように、肉眼で上面(上側フィルムFbの底面)の水分を観察出来る程度に乾燥されない態様である。
【0048】
冷間乾燥部4の冷間ハウジング40は、内部が零下20〜5℃範囲で維持されているから、ここを通過するシート状ヒドロゲルHは急冷されながら凝固されシート状固形化ゲルG1となる。
【0049】
また、シート状固形化ゲルG1は冷間ハウジング40から出る直に、その上面を覆っている上側フィルムFbが剥け、前記シート状固形化ゲルG1と下側フィルムFaとは、続いて熱間乾燥部6の熱間ハウジング60に入る。
【0050】
尚、前記熱間ハウジング60の入口で下側フィルムFaを剥けるべきが、シート状固形化ゲルG1から表面損傷が起こらないように剥離すれば、ヒーターロル群64の下側一番目のヒーターロル62を通過した位置で剥くことが最も良い。
【0051】
前述の位置で下側フィルムFaが剥けて取り去れたシート状固形化ゲルG1は、続いてヒーターロル群64のヒーターロル62の間を通過するようになる。この過程で前記ヒーターロル群64を構成する多数のヒーターロル62が上下にジグザグ状に外れているから、その間を通過するシート状固形化ゲルG1は一体のヒーターロル62の間に渡って移送され、その結果に、一定な張力が与えるまま高速に走行するようになる。
【0052】
また、ジグザグ状に配置されたヒーターロル62によりシート状固形化ゲルG1の乾燥経路が長いに延長されても、装置の全長は変わらないから設備空間の占有率が低い。
【0053】
一方、ヒーターロル62の配列パータンは、シート状固形化ゲルG1が受ける張力に影響を与えるために、走行中に切断や、部分破損が起こらないように、前記張力を出来るだけ小さくすることが良いが、張力が小さければ小さいほどヒーターロル62と、前記シート状固形化ゲルG1との接触面積が狭くなり、シート状固形化ゲルG1のアイロンがけの効果が低下されるから、好適に造化させる必要がある。
【0054】
この発明にあっては、2列に配置されるヒーターロル群64の各ヒーターロル62をデルタ配列して、走行中のシート状固形化ゲルG1が各ヒーターロル62と十分に接触されても、小さな張力を受けるようにしている。
【0055】
このように、シート状固形化ゲルG1がヒーターロル群64を通過する時に、その表面と裏面とが交互にヒーターロル62と接触して、加温により乾燥されると共に、走行中に受ける張力で表面が引っ張りながらアイロンがけされる。
【0056】
そして、前述のアイロンがけと共にノズル手段66から温風が吹き出すことにより乾燥が促進され、前記シート状固形化ゲルG1はゲルシートG2に完全に乾燥されながら熱間ハウジング60から出て回収される。
【0057】
完全乾燥されたゲルシートG2は、
図5の実物写真とように、内部に含有された支持体Mのメッシュパータンが外部に現れる薄いシート状になされるが、その表裏面はアイロンがけされ、
図6の示したように、各々皮膜化Ga、Gbに形成されることによって、支持体Mに近くの中心側より緻密な高密度面に整えられる。
【0058】
この発明の製造装置において、前述のヒーターロル群64の配列パータンは、例示の実施例に限定されるものではなく、他のパータンでも変形実施出来る。
【0059】
図7は、ヒーターロル群64の配列に関する他の例を表す図面で、1組1対のヒーターロル62を、上下2列の多数組に等分配置しており、この構造によるとシート状固形化ゲルG1が最小の張力を受けながら、その表裏面はヒーターロル62と十分に接触されるから、完全乾燥されるゲルシートG2を高速に製造出来る。
【0060】
また、
図8の示したように、シート状固形化ゲルG1がヒーターロル群64の各ヒーターロル62の周面の1/2を周回して走行するようにしても、同じにゲルシートG2を高速で製造出来る。
【0061】
図9は、ヒーターロル群64の配置に関する他の例を示す図面で、ジグザグ状に配置されるヒーターロル62の配列間隔を広く、そして上下4列で配列して、シート状固形化ゲルG1がヒーターロル62を周回して移動する走行距離を最長化することで、完全に乾燥されたゲルシートG2を得るようにすることも出来る。
【0062】
図10は、この発明に関する乾燥ゲルシートの製造装置の他の実施例として、塗布部2と、冷間乾燥部4、そして熱間乾燥部6を備え、前記塗布部2が多数のガイドロル20、グラビアロル22a、22b、そしてヒドロゲル組成物が盛られた貯蔵槽24となり、前記冷間乾燥部4は、両側に入口と出口が設けられた冷間ハウジング40の内部底にコンベヤー42が配置され、またその上側に蓄冷板44と、送風機4等の低温冷却に要られる設備となる構成は、前述の
図1の乾燥ゲルシートの製造装置と同じである。
【0063】
但し、この実施例では、熱間乾燥部6から入口と出口を有する熱間ハウジング60の内部には、温風を吹き出すノズル手段66が配列され、その周囲に1対のドライコンベヤー68が上下に対向するように複数組に設けられると共に、隣接するドライコンベヤー68の間には、ゴデットローラ70が多数配列されて、ヒドロゲル組成物の乾燥を促進させることが出来る構成となる差を持っているだけである。
【0064】
この実施例では、前記ノズル手段66から吹き出す温風の温度は、180〜200℃範囲であり、ゴデットローラ70は70〜80℃に加温されるようにすることが良い。
【0065】
前述の乾燥ゲルシートの製造装置において、冷間乾燥部4を過ぎたシート状固形化ゲルG1は、熱間ハウジング60の内で、1対のドライコンベヤー68のあいだを通過するようになり、この時ノズル手段66からの温風が、表裏面に吹き出されて乾燥されながら移動し、続いてゴデットローラ70により前記シート状固形化ゲルG1の表裏面がアイロンがけされる。
【0066】
一方、この実施例にあって、ドライコンベヤー68は
図11の示したように、無端状に配列される連結軸680の間に、多数のリンク部材682が等分配列された構造となるリンクコンベヤーを採用出来、或いは、例示しないが板面に孔が無数に空いている広いベルトや、不織布、若しくはネットを、1対のホイールの間から無端状に掛かって置くことのように、シート状固形化ゲルG1の表裏面を前記ノズル手段66から吹き出す温風に露出させ出来ることであればある構造でも採用出来る。
【0067】
この発明の製造装置において、前述のゴデットローラ70は、例示した実施例とように配置されることに限定されるものではなく、必要により位置変更するが、またはここに他の手段が付加され出来る。
【0068】
例えば、
図12の示したように、ドライコンベヤー68の次に多数のヒーターロル62となされるヒーターロル群64を連続配置出来るし、この場合にシート状固形化ゲルG1は、最終的に前記ヒーターロル群64を通過することにより、表裏面がもっと緻密にアイロンがけされるから、前記皮膜化Ga、Gbの性状がさらに良好になる。
【0069】
前記ヒーターロル群64は、1対を上下2列にヒーターロル62を等分配置し、その間を掛かって走行するシート状固形化ゲルG1が、張力の影響を受け切開される損傷が起こらないようにすることが望ましい。
【0070】
前述の熱間乾燥部6のまた他の例として、
図13の示したように、熱間ハウジング60の内部にノズル手段66と、ゴデットローラ70とを交互に多数配置して、シート状固形化ゲルG1が走行中に反復に乾燥とアイロンがけされることでも、表裏面が各々皮膜化Ga、Gbとなる所望の乾燥ゲルG2を得られる。
【0071】
また、前述のノズル手段66とゴデットローラ70とは、
図14の示したように、多数組に配列出来、これで表裏面の皮膜化Ga,Gbがもっと緻密に形成されるゲルシートG2を得られる。
【0072】
前述の乾燥ゲルシートの製造装置を用いるこの発明の製造方法は、下側フィルムFaに乗って供給される支持体Mに、ヒドロゲル組成物を塗布してシート状に形成しながら、その上面に上側フィルムFbを覆って保護する塗布段階と;低温雰囲気から前記シート状ヒドロゲルを冷却させシート状固形化ゲルG1に形成する冷間乾燥段階と、冷却により得られるシート状固形化ゲルG1から上下側フィルムFb、Faを剥きヒーターロル群64、またはドライコンベヤー68とゴデットローラ70とに通過させながら熱風乾燥して、表裏面がアイロンがけされ緻密に乾燥されるゲルシートG2として回収する熱間乾燥段階と行う。
【0073】
また、前述の乾燥ゲルシートの製造方法から得られるこの発明のゲルシートは、ヒーターロル62、或いはドライコンベヤー68とゴデットローラ70との間を通過する時に、アイロンがけされることにより、表裏面の密度が支持体Mの付近中心側より緻密に整えて各々皮膜化Ga、Gbと形成される。
【0074】
前記各々の皮膜化Ga、Gbは、
図5に示した乾燥ゲルシートの実物では、肉眼に認識されない部分であるが、これは空隙分布が低減された断面であるから、水分粒子の時間当通過量が小さくなる結果を現れるために、前記ゲルシートG2を特定の薬液や、液状の美容成分に漬けて、元のヒドロゲル状態に戻し用いる時には、含有された特定の薬液や、美容成分が皮膜化の断面を透過して蒸発されるが抑制されるから、パック施術時肌に作用する薬液や、美容成分の持続時間が長くなる。
【0075】
この発明に関するゲルシートG2の表面から蒸発抑制効果が現れる事実は、次の比較試験例1の通りに確認出来る。
【0076】
[比較試験例1]
ヒドロゲルの蒸発試験
この発明の製造から得られるゲルシートG2から、4x4cmに切る試料を準備し、精製水20gに15分間漬け膨潤させて元のヒドロゲルに戻っている試片を得る。
次に前記ゲルシートG2と同じ成分を、従来の製造方式に作ってヒドロゲルを得、同じ面積に裁断して比較試片を準備する。前記試片と比較試片の重量を同じ条件に測定した後に、乾燥減量テスター(ポーランド国、RADWAG・WAGI・Elektroniczne社製品、モデル名:MAC・50/NH)に入れ、温度40℃に維持しながら、経時による重量減少を百分率に換算し、その結果を次の表1に現れた。
【表1】
【0077】
前記表1から知られるように、この発明の試片では蒸発率の変化が、時間別に1.76→3.51→3.47→5.14→5.18→5.1→5.18に測定されたが、従来の比較試片では3.19→6.47→6.07→9.35→9.03→8.8→8.64に、この発明の試片より高く測定されたので、この発明の試片が持っている水分蒸発の抑制効果が一層優秀なものである。
【0078】
この発明にあって、ゲルシートG2を美容パックに使用出来るように、ヒドロゲルに戻っている時の蒸発率が、同じ成分の従来ヒドロゲルに比べて低い理由は、アイロンがけされた表裏面の密度が中心側よりもっと緻密となることで、その部分の内部空隙が減少されているから、水分蒸発の通過が抑制されるためである。
【0079】
前述の製造方法から得られるゲルシートG2は、ボビンに巻いたまま長期間保管すれば、巻かれて接触された面の間が接合され、思いがけず不良が起こる恐れがあるから、出来るだけ短期間内に使用することを勧める。
【0080】
ところが、前記の問題は通常、剥離紙の添付に解消している。
即、
図15に示したように、製造過程から冷間乾燥部4を過ぎて上側フィルムFbが剥いたシート状固形化ゲルG1の上面に、再び剥離紙Gcを覆いながら熱間乾燥部6を通過させることで解消出来ることである。
【0081】
剥離紙Gcが覆われたシート状固形化ゲルG1は、ヒーターロル62の間を過ぎてゲルシートG2に乾燥されるが、その断面は
図16に示したように、剥離紙Gcが被服された上面は皮膜化されなく、下側フィルムFaが剥いた下面だけが皮膜化Gbされるので、使用者に取って表裏面の区別をための目印を施す必要がある。
【0082】
換言すれば、この発明から得られるゲルシートを、外傷用絆創膏、または大型ガーゼを代替する皮膚保護用パッチ、或いは目じり皺、口元皺、首皺改善用パッチや顔面美容用パック等に製品化する場合に、皮膜化されない面を肌に接触して用いるようにする標識を与えると良い。
【0083】
図17は、前述のゲルシートG2を美容パックMPに製造する実施例に関する。
この実施例から熱間乾燥部6を過ぎて完全乾燥されたゲルシートG2は、連続に成形部8へ移送され、ここでプレス機80によりプレスされた所定形状の美容マスクMPと、切れ端とに区分して各々回収するようになっている。
【0084】
この発明の美容パックにおいて、素材となるゲルシートG2が皮膜化された面から水分蒸発を抑制するという効果は、前記比較試験例1の通りであるが、前記ゲルシートG2を美容パックに製品化して現れる特性は、次の比較試験例2〜4の如し。
【0085】
[比較試験例2]
ヒドロゲル密着試験
前記比較試験例1から採用したこの発明の試料と、比較試料とを人体の頬部分に貼り、10分毎に試料と頬部分とが接触している面積の変化を測定して密着力を比較する。
比較の結果は次の表2と通りである。
【表2】
【0086】
この発明の試片は、頬に添付し10分経過前まで密着状態は変化しないで維持され、10分経過後には密着力が80%水準に低下したが、以後40分経過までそのままに維持される特性を見せている。ところで、従来のヒドロゲルとなる比較試片は、付着後から密着力が減少しはじめ、10分経過して80%に低下し、この状態が20分間維持されたが、以後から経時に比例して減少するパッテンを見せている。
【0087】
以上の比較試験結果は、この発明の試片の密着力が従来のヒドロゲルとなる比較試片に比べて顕著に向上されるものであることを見せている。
【0088】
[比較試験例3]
ヒドロゲルの収縮試験
この発明のゲルシートG2から3.5x3.5cmに切る試料を準備し、精製水20gに15分間漬け膨潤させて元のヒドロゲルに戻っている試片を得る。
次に前記ゲルシートG2と同じ成分を、従来の製造方式に作ってヒドロゲルを得、同じ面積に裁断して比較試片を準備する。前記試片と比較試片とを常温雰囲気に120分放置し、30分毎に各辺の収縮を測定し、各々の収縮率を比較した結果は次の表3と通りである。
【表3】
【0089】
前記表3を見ると、30分まではこの発明の試片と比較試片とが同等になるが、その後からはこの発明の試片がもっと収縮している。このような収縮の差は、美容パックを貼り暫時後から、肌が引っ張れるリフティング効果の差に現れるようになる。
【0090】
また、この発明の試片が比較試片に比べてもっと収縮される理由は、この発明の試片が乾燥されたゲルシートをヒドロゲルに戻られるものであるために、始めてからヒドロゲルである比較試片に比べて、わずかの水分蒸発にも含水率の変化が大きくなるからである。
【0091】
[比較試験例4]
肌保湿試験
前記比較試験例1から準備した試片と比較試片とを、1枚の天然皮革に貼って30分放置した後、各添付位置の皮革表面の保湿率を測定し、その結果を次の表4に現した。
【0092】
表4の測定値は、肌を代替する天然皮革の表面保湿率として、添付前に測定した値を100と調整して置き、添付後3030分経過して計った値であり、測定器は独逸国courage−khazaka社製品のCutoMeter、MAP580を採用した。
【表4】
【0093】
前記表4とように、この発明の試片の保湿力が比較試片より1.12倍優れる。
【0094】
以上説明したように、ゲルシートG2を成形部8のプレス機80に通過させ回収される、この発明の美容マスクMPは優秀な特性を持つ。また、これは
図18に示したように、美容マスクは1/2に折られ、再び長手方向に1/3ずつ折られて、通常のポーチに美容エッセンスと共に包装される。
【0095】
この発明に関する美容マスクMPは、前述の実施例に限定されるものではなく、
図16に示した装置から得られるゲルシートG2の剥離紙として湿潤強力紙Gcを添付することも出来る。
【0096】
この場合に、前記湿潤強力紙Gcを添付したままパックを施術すると、前記湿潤強力紙Gcによりもっと水分の蒸発が抑制されるから肌の保湿作用が一層向上出来る。
【0097】
また、逆に湿潤強力紙Gcを剥いた面が肌に接触されるようにパックを施術すれば、皮膜化がされない面が肌と接するようとなり、従来のヒドロゲル美容パックと同じ触感を感じるようになる。
【0098】
しかも、
図16の装置にあって、湿潤強力紙Gcを被着する前に、パウダーとか、美容成分のエキス、例えば、ヒアルロン酸、トコフェロール、レチノールなど、高価の美容成分をシート状固形化ゲルG1に塗布し、前記湿潤強力紙Gcで被服保護されるようにすると、使用者がパックを施術する時、高価の美容成分が肌に集中作用することが出来るから、美容効果が大幅向上出来る。
【0099】
また、前記美容成分外に外傷治療用化学寮法剤成分の塗布も出来る。
【0100】
この発明において、湿潤強力紙Gcはエポキシ系のポリアミノアミドエピクロロヒドリン樹脂が含有されたものを採用する。これは永久濕潤紙力増強剤の一種として、水分に濡れても強度低下が低く特性があるからこの発明に適合なものである。
【0101】
また、湿潤強力紙Gcは、
図19に示したように、熱間乾燥部6の入口から被服する出来、冷間乾燥部4をすぎ熱間乾燥部6に移送される途中に、プレ乾燥器48を設けられることで、上側フィルムFaが剥いたシート状固形化ゲルG1の表面を予備乾燥して、以後の熱間乾燥部6からの乾燥が速く進行されるようにすることも出来る。
【0102】
図19の製造装置から得られるゲルシートG2は、前記
図17に示したゲルシートG2の断面とは逆に、表面が皮膜化Gaとなり、裏面側に湿潤強力紙Gcが被服されているが実際には同じに使用出来るものである。