【実施例1】
【0032】
次に、実施例1に係るカード処理ユニットを説明する。なお、ここでは、本実施例1に係るカード処理ユニットの構成を説明した後に、このカード処理ユニットの各種処理の手順を説明する。
【0033】
(カード処理ユニットおよび遊技機の構成)
図3は、実施例1に係るカード処理ユニットの構成を示すブロック図である。同図に示すように、このカード処理ユニット50は、BVユニット51と、表示部52と、入力部53と、カードリーダ(以下、C/Rと言う)54と、通信制御IF部55と、玉投出機構部56と、記憶部57と、制御部58とを備える。
【0034】
このうち、BVユニット51は、紙幣挿入口(図示せず)に挿入された紙幣の金種を識別する紙幣識別機であり、識別した挿入紙幣の金種を制御部58に出力する。なお、挿入紙幣が偽造紙幣である場合には、当該紙幣を返却する。
【0035】
表示部52は、各種の情報を表示するLEDや液晶などの出力表示手段であり、例えば、一度の玉貸操作で受け付ける貸出要求金額または貸出要求度数や、BVユニット51で識別された挿入貨幣の金額などを表示する。なお、本実施例1では、パチンコ機40の残金額表示部43でプリペイドカードの残金額を表示することとするが、本発明はこれに限定されるものではなく、この表示部52で表示するようにしても良いし、これらの表示部52および残金額表示部43の両方で表示するようにしても良い。
【0036】
入力部53は、各種の情報を入力するボタンなどの指示入力手段であり、例えば、一度の玉貸操作で受け付ける貸出要求金額或いは貸出要求度数の設定入力を受け付ける。なお、本実施例1では、パチンコ機40の玉貸ボタン41を介して玉貸要求を受け付けることとするが、本発明はこれに限定されるものではなく、この入力部53で玉貸要求を受け付けるようにしても良い。
【0037】
C/R54は、カード挿入口(図示せず)に挿入されたプリペイドカードや会員カードなどの各種カードに記録された情報を読み込むカードリーダであり、具体的には、これら各種カードからプリペイドカードの識別情報や会員カードの識別情報を読み込み、該読み込んだ情報を制御部58に出力するものである。
【0038】
通信制御IF部55は、当該カード処理ユニット50と他の装置(例えば、T/C10、プリペイドカード管理T/C20、島コントローラ30およびパチンコ機40などの装置)の間で各種通信の制御を行う処理部である。
【0039】
玉投出機構部56は、貸出処理機に設置されるノズル式の玉投出機構であり、任意の貸出単位でパチンコ玉を投出することができる。具体的には、玉貸し処理部58aによる玉貸指示を受け付けた場合に、この玉貸指示に対応する玉数のパチンコ玉をノズルから投出する。なお、この玉投出機構部56は、特許請求の範囲における「処理装置側投出機構」に相当する。
【0040】
記憶部57は、制御部58による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、玉貸設定テーブル57aおよび貸玉数振り分けテーブル57bを備える。
【0041】
このうち、玉貸設定テーブル57aは、パチンコ玉の貸出設定を記憶するテーブルであり、例えば、
図4に示すように、消費税の徴収可否「○」、消費税の税率「5%」および投出順序「遊技機優先」などの貸出設定を記憶している。
【0042】
このように、ノズル式の玉投出機構部56およびパチンコ機40の玉投出機構部45の投出順序を制御する理由は、かかる投出順序を考慮せずにパチンコ機40の貯留領域にパチンコ玉を投出すると、パチンコ機40の上皿の形状によっては、遊技客に不利益をあたえるおそれがあるからである。
【0043】
これを具体的に説明すると、パチンコ機40からパチンコ玉を先に貸し出した場合には、後に貸し出されるノズル式の玉投出機構部56からのパチンコ玉を、先に上皿に敷き詰められたパチンコ玉の上に貯留させることができる反面、パチンコ玉を上皿からあふれさせるおそれがあり、また、ノズル式の玉投出機構部56から先にパチンコ玉を貸し出した場合には、パチンコ玉を上皿にあふれさせずに貯留させることができる反面、下皿にもパチンコ玉が貯留されるため、パチンコ玉が下皿に置き忘れられるおそれがある。
【0044】
このため、ノズル式の玉投出機構部56およびパチンコ機40の玉投出機構部45からのパチンコ玉の投出順序をパチンコ機40の上皿の形状に応じて制御する必要がある。
【0045】
例えば、
図6−1に示すように、上皿の底面積が広い場合や上皿の高さが大きい場合には、パチンコ機40の玉投出機構部45に玉貸指示を行った後に、ノズル式の玉投出機構部56に玉貸指示を行う「遊技機優先」を投出順序として設定する。
【0046】
この場合に、投出順序を「遊技機優先」と設定することとしたのは、上皿からパチンコ玉がこぼれる危険性が少ないことから、一度の玉貸しで貸し出したパチンコ玉を下皿に貯留させずに、上皿に集約して貯留させるためである。
【0047】
また、
図6−2に示すように、上皿の底面積が狭い場合や上皿の高さが小さい場合には、ノズル式の玉投出機構部56に玉貸指示を行った後に、パチンコ機40の玉投出機構部45に玉貸指示を行う「貸出機優先」を投出順序として採用する。
【0048】
この場合に、投出順序を「貸出機優先」と設定することとしたのは、上皿からパチンコ玉がこぼれる危険性が高いことから、一度の玉貸しで貸し出すパチンコ玉すべてを上皿に貯留させずに、上皿からあふれるパチンコ玉を下皿に貯留させるためである。
【0049】
後述する玉貸し処理部58aでは、このようにして玉貸設定テーブル57aに記憶された「投出順序」に基づいて、パチンコ機40の玉投出機構部45およびノズル式の玉投出機構部56に玉貸指示を行う。
【0050】
貸玉数振り分けテーブル57bは、遊技客に貸し出すべき貸出総数のうち、ノズル式の玉投出機構部56が貸し出すべき玉数と、パチンコ機40の玉投出機構部45が貸し出すべき玉数との振り分け設定を記憶するテーブルである。
【0051】
例えば、
図5に示すように、玉貸要求を受け付けた「貸出要求金額」ごとに、パチンコ機40の玉投出機構部45に指示すべき玉貸指示の「回数」、並びにノズル式の玉投出機構部56に指示すべき「貸玉数」を対応付けて記憶している。なお、本実施例1では、パチンコ機40の玉投出機構部45は、一回の玉貸指示で「25個」のパチンコ玉を投出することとする。
【0052】
これら玉貸設定テーブル57aおよび貸玉数振り分けテーブル57bに記憶される設定情報は、消費税の税率変更時、パチンコ機の遊技機種の入れ替え時やT/C10の起動時など任意のタイミングでT/C10から取得される。
【0053】
制御部58は、OS(OperatingSystem)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、玉貸し処理部58aを有する。
【0054】
この玉貸し処理部58aは、遊技客からの玉貸要求を受け付けた場合に、パチンコ機40にパチンコ玉を貸し出す処理部である。具体的には、「消費税抜き貸出要求金額」に相当する貸出数のうち、パチンコ機40の玉投出機構部45の貸出単位の倍数であり、かつ貸出数に最も近い倍数となる玉数のパチンコ玉を玉投出機構部45に貸し出すように指示するとともに、パチンコ機40の玉投出機構部45の貸出単位に満たずに投出不可能となる端数のパチンコ玉をノズル式の玉投出機構部56に貸し出すように指示する。
【0055】
例えば、
図4に示す「貸出設定」が玉貸設定テーブル57aに記憶され、
図5に示す「振り分け設定」が貸玉数振り分けテーブル57bに記憶されている場合に、遊技客から貸出要求額「1000円」の玉貸要求を受け付けたならば、パチンコ機40の玉投出機構部45に「9回」の玉貸指示を行った後に、ノズル式の玉投出機構部56に「14個」の玉貸指示を行う。
【0056】
この場合、
図1に示すように、パチンコ機40の玉投出機構部45によって貸出単位「25個/回」×玉貸指示「9回」=「225個」のパチンコ玉が投出された後に、ノズル式の玉投出機構部56によって「14個」のパチンコ玉が投出される。
【0057】
このように、「消費税抜き貸出要求金額」に相当する貸出数のうち、パチンコ機40の玉投出機構部45の貸出単位に満たずに投出不可能となる端数のパチンコ玉をノズル式の玉投出機構部56に貸し出すように指示することで、同一の貸出要求金額に対するパチンコ玉の貸出数に変更があったことを明確に示し、遊技店による料金体系の変更(消費税サービス→消費税徴収)を遊技客に明示することができる。
【0058】
また、遊技店による料金体系の変更を明示するために、パチンコ機40の玉投出機構部45の貸出単位に満たずに投出不可能となる端数のパチンコ玉をノズル式の玉投出機構部56に貸し出すように指示しつつも、貸出数の大半となる玉数をパチンコ機40の玉投出機構部45に貸し出すように指示するので、消費税を徴収しても「CR機」の特徴であるパチンコ機からの玉貸しを継続して行うことができる。
【0059】
さらに、パチンコ機40の玉投出機構部45に玉貸指示を行った後に、ノズル式の玉投出機構部56に玉貸指示を行うことで、一度の玉貸しで貸し出したパチンコ玉を下皿に貯留させずに上皿に集約して貯留させることができ、パチンコ玉が下皿で置き忘れられることを防止することが可能になる。
【0060】
また、上皿の底面積が狭いか、或いは上皿の高さが小さいパチンコ機には、ノズル式の玉投出機構部56に玉貸指示を行った後に、パチンコ機40の玉投出機構部45に玉貸指示を行うことで、一度の玉貸しで貸し出すパチンコ玉すべてを上皿に貯留させずに、上皿からあふれるパチンコ玉を下皿に貯留させることができ、パチンコ玉が上皿からあふれることを確実に防止することが可能になる。
【0061】
(各種処理の手順)
次に、本実施例1に係るカード処理ユニットの処理手順を説明する。
図7は、実施例1に係るカード処理ユニットの処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、カード処理ユニット50では、プリペイドカードや会員カードなどの各種カードを受け入れた場合、もしくは紙幣を受け入れた場合に、処理が開始されることとなる。なお、ここでは、玉貸設定テーブル57aに
図4に示す「貸出設定」が記憶され、貸玉数振り分けテーブル57bに
図5に示す「振り分け設定」が記憶されている場合を例として説明する。
【0062】
例えば、プリペイドカードまたは会員カードを受け入れた場合(ステップS701肯定)には、C/R54は、プリペイドカードからプリペイドカードの識別情報を読み込み、該読み込んだ情報を制御部58に出力する。
【0063】
そして、制御部58は、プリペイドカードの識別情報をもとに、当該プリペイドカードに価値付けられた残金額をプリペイドカード管理T/C20から取得する(ステップS702)。
【0064】
このとき、当該プリペイドカードに残金額があれば(ステップS703肯定)、制御部58は、プリペイドカードの残金額をパチンコ機40の残金額表示部43に通知し、当該残金額を表示させる(ステップS704)。また、当該プリペイドカードに残金額がなければ(ステップS703否定)、C/R54は、このプリペイドカードを返却する(ステップS705)。
【0065】
一方、紙幣を受け入れた場合(ステップS701否定かつステップS706肯定)には、BVユニット51は、挿入貨幣の金種を識別し、該識別した挿入貨幣の金種を制御部58に出力する。
【0066】
続いて、制御部58は、BVユニット51によって識別された挿入貨幣の金額を新たなプリペイドカード(内蔵カード)に価値付け(ステップS707)、価値付けられた金額を残金額としてパチンコ機40の残金額表示部43に通知し、当該残金額を表示させる(ステップS704)。
【0067】
より具体的には、挿入貨幣の金額および内臓カードの識別情報をプリペイドカード管理T/C20に通知し、当該内臓カードの識別情報に対応する残金額に挿入貨幣の金額分を加算する加算処理をプリペイドカード管理T/C20に行わせて内蔵カードへの価値付けを行う。
【0068】
ここで、遊技客から玉貸要求を受け付けた場合、例えばパチンコ機40の玉貸ボタンを介して貸出要求金額「1000円」の玉貸要求を受け付けた場合(ステップS708肯定)には、玉貸し処理部58aは、プリペイドカード管理T/C20に対してプリペイドカードの識別情報の残金額から貸出要求金額「1000円」を減算するよう要求し、プリペイドカード管理T/C20に当該金額の減算を行わせる(ステップS709)。
【0069】
続いて、玉貸し処理部58aは、パチンコ機40の玉投出機構部45に「9回」の玉貸指示を行った後に(ステップS910)、ノズル式の玉投出機構部56に「14個」の玉貸指示を行う(ステップS911)。
【0070】
この場合、
図1に示すように、パチンコ機40の玉投出機構部45によって貸出単位「25個/回」×玉貸指示「9回」=「225個」のパチンコ玉が投出された後に、ノズル式の玉投出機構部56によって「14個」のパチンコ玉が投出されることとなる。
【0071】
なお、この処理は、パチンコ機40の返却ボタン42が押下され、プリペイドカードが返却されるか、或いはプリペイドカードの残金額がゼロになるまで、ステップS708〜S711の処理が回帰的に行われる。
【0072】
上述してきたように、本実施例1に係るカード処理ユニット50によれば、「消費税抜き貸出要求金額」に相当する貸出数のうち、「遊技機側投出機構」の貸出単位に満たずに投出不可能となる端数のパチンコ玉を「貸出機投出機構」に貸し出すように指示することで、遊技店による料金体系の変更を遊技客に明示することができ、遊技店による消費税の徴収行為を明示しつつ、遊技客から消費税を徴収することが可能になる。