(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書及び添付される特許請求の範囲では、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、及び「the(その)」が複数の指示対象を含むことに留意されたい。そのため、例えば、「1種の溶媒」への言及は、複数のそのような溶媒を含む。
【0019】
本明細書では、用語「含んでいる(comprising)」又は「含む(compr
ises)」は、その組成物及び方法が列挙された要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味するものとする。組成物及び方法の定義に使用される「〜から本質的になる」は、述べられた目的のための組み合わせにとって本質的な重要性のある他の要素を除外することを意味するものとする。そのため、本明細書に定義される要素から本質的になる組成物又はプロセスならば、特許請求される発明の基本的で新規な特性に実質的に影響しない他の材料又は工程を除外しないであろう。「〜からなる」は、微量元素を超える他の成分及び実質的な方法工程を除外することを意味するものとする。これらの移行語のそれぞれにより定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0020】
特記されない限り、明細書及び特許請求の範囲中で使用される成分、反応条件などの量を表す全数字は、全ての場合で用語「約」により修飾されていると理解すべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付される特許請求の範囲に述べられる数値パラメーターは近似値である。各数値パラメーターは、報告される有効桁数に照らして、通常の丸め技術を適用して、少なくとも解釈されるべきである。数値の名称、例えば、範囲を含む、温度、時間、量、及び濃度の前に使用される用語「約」は、(+)又は(−)10%、5%、又は1%変動し得る近似値を示す。
【0021】
本明細書では、基の前に使用されるC
1〜C
12、C
1〜C
8、又はC
1〜C
6などのC
m〜C
nは、基がmからnの炭素原子を含むことを指す。
【0022】
用語「アルコキシ」は、−O−アルキルを指す。
【0023】
用語「アルキル」は、1から12の炭素原子(すなわちC
1〜C
12アルキル)又は1から8の炭素原子(すなわちC
1〜C
8アルキル)、又は1から4の炭素原子を有する一価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、例としては、メチル(CH
3−)、エチル(CH
3CH
2−)、n−プロピル(CH
3CH
2CH
2−)、イソプロピル((CH
3)
2CH−)、n−ブチル(CH
3CH
2CH
2CH
2−)、イソブチル((CH
3)
2CHCH
2−)、sec−ブチル((CH
3)(CH
3CH
2)CH−)、t−ブチル((CH
3)
3C−)、n−ペンチル(CH
3CH
2CH
2CH
2CH
2−)、及びネオペンチル((CH
3)
3CCH
2−)などの直鎖及び分岐鎖ヒドロカルビル基を含む。
【0024】
用語「アリール」は、6〜10の環炭素原子を有する一価の芳香族単環式又は二環式の環を指す。アリールの例には、フェニル及びナフチルがある。縮合環は、結合点が芳香族炭素原子にあるという条件で、芳香族のことも芳香族でないこともある。例えば、非限定的に、下記はアリール基である:
【化10】
【0025】
用語「−CO
2Hエステル」は、−CO
2H基と、アルコール、好ましくは脂肪族アルコールの間に形成されたエステルを指す。好ましい例には、−CO
2R
Eが含まれたが、式中、R
Eは、アミノ基により任意選択で置換されているアルキル又はアリール基である。
【0026】
用語「キラル部分」は、キラルである部分を指す。そのような部分は、1つ以上の不斉中心を有する。好ましくは、キラル部分はエナンチオマー的に富化されており、より好ましくは単一のエナンチオマーである。キラル部分の非限定的な例には、キラルなカルボン酸、キラルなアミン、天然のアミノ酸などのキラルなアミノ酸、キラルなステロイドを含
むキラルなアルコールなどがある。
【0027】
用語「シクロアルキル」は、3〜12の環炭素原子を有する一価の好ましくは飽和のヒドロカルビル単環、二環、又は三環式の環を指す。シクロアルキルは、好ましくは飽和のヒドロカルビル環を本明細書では指すが、それは1〜2つの炭素−炭素二重結合を含む環も含む。シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルなどがある。縮合環は、結合点がシクロアルキル炭素原子にあるという条件で、非芳香族ヒドロカルビル環のことも、そうでないこともある。例えば、非限定的に、下記はシクロアルキル基である:
【化11】
【0028】
用語「ハロ」は、F、Cl、Br、及び/又はIを指す。
【0029】
用語「ヘテロアリール」は、環が少なくとも5つの環原子を含むという条件で、2〜16の環炭素原子並びに好ましくはN、O、S、及びP、並びにN、S、及びPの酸化された形態から選択される1〜8つの環ヘテロ原子を有する一価の芳香族単環、二環、又は三環式の環を指す。ヘテロアリールの非限定的な例には、フラン、イミダゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、ピリジン、キノリンなどがある。縮合環は、結合点がヘテロアリール原子であるという条件で、ヘテロ原子含有芳香環のこともそうでないこともある。例えば、非限定的に、下記はヘテロアリール基である:
【化12】
【0030】
用語「ヘテロシクリル」又は複素環は、環が少なくとも3つの環原子を含むという条件で、2〜12の環炭素原子並びに好ましくはN、O、S、及びP、並びにN、S、及びPの酸化された形態から選択される1〜8つの環ヘテロ原子を含む非芳香族の単環、二環、又は三環式の環を指す。ヘテロシクリルは、好ましくは、飽和の環系を指すが、それは、環が非芳香族であるという条件で1〜3の二重結合を含む環系も含む。ヘテロシクリルの非限定的な例には、アズラクトン、オキサゾリン、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルがある。縮合環は、結合点がヘテロシクリル基であるという条件で、非芳香族ヘテロ原子含有環を含むことも、含まないこともある。例えば、非限定的に、下記はヘテロシクリル基である:
【化13】
【0031】
用語「加水分解すること」は、好ましくは、分解される結合にわたって水を加えることにより、R
H−O−CO−、R
H−O−CS−、又はR
H−O−SO
2−部分をR
H−OHに分解することを指す。加水分解することは、当業者に周知である種々の方法を利用して実施され、その非限定的な例には、酸性及び塩基性の加水分解がある。
【0032】
用語「オキソ」は、C=O基、及び2つのジェミナル水素原子のC=O基による置換を
指す。
【0033】
用語「任意選択で置換されている」は、置換又は非置換の基を指す。基は、1つ以上の置換基、例えば、1、2、3、4、又は5つの置換基により置換されていてよい。好ましくは、置換基は、オキソ、ハロ、−CN、NO
2、−N
2+、−CO
2R
100、−OR
100、−SR
100、−SOR
100、−SO
2R
100、−NR
101R
102、−CONR
101R
102、−SO
2NR
101R
102、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、−CR
100=C(R
100)
2、−CCR
100、C
3〜C
10シクロアルキル、C
3〜C
10ヘテロシクリル、C
6〜C
12アリール、及びC
2〜C
12ヘテロアリールからなる群から選択されるが、式中、各R
100は、独立に、水素又はC
1〜C
8アルキル;C
3〜C
12シクロアルキル;C
3〜C
10ヘテロシクリル;C
6〜C
12アリール;若しくはC
2〜C
12ヘテロアリールであり;式中、各アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、1〜3のハロ、1〜3のC
1〜C
6アルキル、1〜3のC
1〜C
6ハロアルキル、又は1〜3のC
1〜C
6アルコキシ基により任意選択で置換されている。好ましくは、置換基は、クロロ、フルオロ、−OCH
3、メチル、エチル、iso−プロピル、シクロプロピル、ビニル、エチニル、−CO
2H、−CO
2CH
3、−OCF
3、−CF
3、及び−OCHF
2からなる群から選択される。
【0034】
本明細書で使用されるように、R
101及びR
102は、独立に、水素;−CO
2H又はそのエステルにより任意選択で置換されているC
1〜C
8アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、オキソ、−CR
103=C(R
103)
2、−CCR、C
3〜C
10シクロアルキル、C
3〜C
10ヘテロシクリル、C
6〜C
12アリール、又はC
2〜C
12ヘテロアリールであり、式中、各R
103は、独立に、水素又はC
1〜C
8アルキル;C
3〜C
12シクロアルキル;C
3〜C
10ヘテロシクリル;C
6〜C
12アリール;又はC
2〜C
12ヘテロアリールであり;式中、各シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、1〜3のアルキル基又は1〜3のハロ基により任意選択で置換されているか、或いは、R
101及びR
102は、それらが結合している窒素原子と共に、5〜7員の複素環を形成する。
【0035】
本明細書での用語「保護基」は、当技術分野に周知であり、そのそれぞれの全体が引用により本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999及びその後の改訂版に詳述されているものを含む。好適な保護基には、ベンジル、メチル、メトキシメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベン
ジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アンスリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アンスリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンズイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルマート、ベンゾイルホルマート、アセタート、クロロアセタート、ジクロロアセタート、トリクロロアセタート、トリフルオロアセタート、メトキシアセタート、トリフェニルメトキシアセタート、フェノキシアセタート、p−クロロフェノキシアセタート、3−フェニルプロピオナート、4−オキソペンタノアート(レブリナート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノアート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロアート(pivaloate)、アダマントアート(adamantoate)、クロトナート、4−メトキシクロトナート、ベンゾアート、p−フェニルベンゾアート、2,4,6−トリメチルベンゾアート(メシトアート(mesitoate))、アルキルメチルカーボナート、9−フルオレニルメチルカーボナート(Fmoc)、アルキルエチルカーボナート、アルキル2,2,2−トリクロロエチルカーボナート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボナート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボナート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボナート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボナート、アルキルビニルカーボナート、アルキルアリルカーボナート、アルキルp−ニトロフェニルカーボナート、アルキルベンジルカーボナート、アルキルp−メトキシベンジルカーボナート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボナート、アルキルo−ニトロベンジルカーボナート、アルキルp−ニトロベンジルカーボナート、アルキルS−ベンジルチオカーボナート、4−エトキシ−1−ナフチルカーボナート、メチルジチオカーボナート、2−ヨードベンゾアート、4−アジドブチラート、4−ニトロ−4−メチルペンタノアート、o−(ジブロモメチル)ベンゾアート、2−ホルミルベンゼンスルホナート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチラート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾアート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセタート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセタート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセタート、クロロジフェニルアセタート、イソブチラート、モノスクシノアート(monosuccinoate)、(E)−2−メチル−2−ブテノアート、o−(メトキシカルボニル)ベンゾアート、α−ナフトアート、ニトラート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN−フェニルカルバマート、ボラート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェナート、スルファート、メタンスルホナート(メシラート)、ベンジルス
ルホナート、及びトシラート(Ts)がある。1,2−又は1,3−ジオールを保護するためには、保護基は、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、1−t−ブチルエチリデンケタール、1−フェニルエチリデンケタール、(4−メトキシフェニル)エチリデンアセタール、2,2,2−トリクロロエチリデンアセタール、アセトニド、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンジリデンアセタール、p−メトキシベンジリデンアセタール、2,4−ジメトキシベンジリデンケタール、3,4−ジメトキシベンジリデンアセタール、2−ニトロベンジリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1−メトキシエチリデンオルトエステル、1−エトキシエチリジンオルトエステル、1,2−ジメトキシエチリデンオルトエステル、α−メトキシベンジリデンオルトエステル、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α−(N,N’−ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体、2−オキサシクロペンチリデンオルトエステル、ジ−t−ブチルシリレン基(DTBS)、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体(TIPDS)、テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデン誘導体(TBDS)、環状カーボナート、環状ボロナート、エチルボロナート、及びフェニルボロナートを含む。
【0036】
用語「薬学的に許容できる」は、インビボの、好ましくはヒトの投与に安全で非毒性であることを指す。
【0037】
用語「薬学的に許容できる塩」は、薬学的に許容できる塩を指す。
【0038】
用語「塩」は、酸と塩基の間に形成されるイオン性化合物を指す。本明細書に提供される化合物が酸性官能基を含む場合、そのような塩には、非限定的に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩がある。本明細書では、アンモニウム塩には、プロトン化された窒素塩基及びアルキル化窒素塩基を含む塩がある。薬学的に許容できる塩に有用な例示的で非限定的なカチオンには、Na、K、Rb、Cs、NH
4、Ca、Ba、イミダゾリウム、及び天然アミノ酸に基づくアンモニウムカチオンがある。本明細書に利用される化合物が塩基性官能基を含む場合、そのような塩には、非限定的に、カルボン酸及びスルホン酸などの有機酸の塩、並びにハロゲン化水素、硫酸、リン酸などの鉱酸の塩がある。薬学的に許容できる塩に有用な例示的で非限定的なアニオンには、オキサラート、マレアート、アセタート、プロピオナート、スクシナート、タルトラート、クロリド、スルファート、バイスルファート、一塩基性、二塩基性、及び三塩基性ホスファート、メシラート、トシラートなどがある。
【0039】
用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、又は「治療(treatment)」は、本明細書では、疾病若しくは病態又はその1つ以上の症状を軽減、減少、又は改善すること、追加の症状を予防すること、症状の根源的な代謝的な原因を改善又は予防すること、疾病若しくは病態を阻害すること、例えば、疾病若しくは病態の進展を停止又は抑制すること、疾病若しくは病態を緩和すること、疾病若しくは病態の後退を起こすこと、疾病若しくは病態により起こった状態を緩和すること、又は疾病若しくは病態の症状を抑制することを含み、予防を含むものとする。その用語は、疾病又は病態を緩和すること、例えば、臨床症状の後退を起こすことも含む。その用語は、治療効果及び/又は予防効果を達成することも含む。治療効果とは、治療される根源的な疾患の根絶又は改善を意味する。また、治療効果は、個人が根源的な疾患にまだ悩んでいるにもかかわらず改善が個人に観察されるように、根源的な疾患に関連する1つ以上の生理学的症状の根絶又は改善により達成される。予防効果のためには、組成物は、特定の疾病を起こす危険性のある個人に、又は疾病の1つ以上の生理学的症状を報告している個人に、この疾病の診断がまだなされていないとしても投与される。
【0040】
用語「予防すること(preventing)」又は「予防(prevention)」は、疾病又は疾患を得る危険性の低減を指す(すなわち、疾病に曝されるか、又は罹りやすい可能性があるが、その疾病の症状を経験していないか、又は示していない対象に、疾病の臨床的症状の少なくとも1つが起こらないようにする)。その用語は、例えば、そのような疾病又は疾患を患う危険性がある対象に、臨床症状が起こらないようにし、それにより実質的に疾病又は疾患の発症を回避することをさらに含む。
【0041】
用語「有効量」は、本明細書に記載される化合物又は組成物の鼻腔内投与による、病態又は疾患の治療のために有効な量を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物又は剤形のいずれかの有効量は、ヘモグロビンにより媒介される疾患又は組織及び/若しくは細胞の酸素供給により利益を受けるであろう疾患を治療するために利用される、その必要のある対象への本明細書に記載される組成物又は剤形のいずれかの量である。
【0042】
本明細書の用語「担体」は、細胞、例えば、赤血球又は組織への化合物の組み込みを促進する比較的非毒性の化学化合物又は作用物質を指す。
【0043】
本明細書では、「プロドラッグ」は、投与後に、代謝又は他の方法で転化されて、少なくとも1つの性質に関して活性又はより活性な形態になる化合物である。プロドラッグを製造するには、薬学的に活性な化合物を化学的に修飾して、それをより低活性又は不活性にすることができるが、化学修飾は、活性な形態の化合物が代謝又は他の生物学的プロセスにより生じるようなものである。プロドラッグは、薬物に比べて、変化した代謝安定性又は輸送特性、より少ない副作用又はより低い毒性を有し得る。例えば、参照文献Nogrady,1985,Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New
York,pages 388−392を参照されたい。プロドラッグは、薬物でない化合物を利用しても調製できる。
【0044】
本発明は、ヘモグロビンSの酸素親和性を増加させる、置換されたベンズアルデヒド化合物のプロドラッグを提供する。化合物及びその誘導体の構造、並びにそれらの合成の方法、その医薬製剤、及び使用方法も提供される。
【0045】
化合物
本発明の特定の態様において、式(I)の化合物:
【化14】
若しくはそのNオキシド、又はそのそれぞれの薬学的に許容できる塩が提供される(式中、
Aは
【化15】
からなる群から選択され;
式中、R
1は、3〜6つのフッ素原子により任意選択で置換されているC
1−C
6アルキルであり;
R
2は、水素又はC
1〜C
6アルキルであり;
R
3は、C
1〜C
6アルキルであり;
各R
4は、独立に、水素又はC
1〜C
6アルキルであり;
環Bは、
【化16】
であるか、或いは、環BはAと共に:
【化17】
であり、
Xは、酸素、S、SO、又はSO
2であり;
環Cは、
【化18】
からなる群から選択され、
式中、R
5は、水素;C
1〜C
6アルコキシ基又は3つまでのフッ素原子により任意選択
で置換されているC
1〜C
6アルコキシ;C
1〜C
6アルキル;及びハロからなる群から選択され;
R
6は、水素又はハロであり;
Rは、水素、ホスファート、ジホスファート、ホスホナート、若しくはホスホルアミダート含有部分、又は別のプロモイエティであり;
但し、式(I)の化合物が、Rが水素でない少なくとも1つのOR基を含むことを条件とし;且つ
プロモイエティは構造的及び機能的に本明細書において定義される)。
【0046】
特定の実施形態において、式(II)の化合物が提供される:
【化19】
(式中、
Rは、水素、ホスファート、ジホスファート、ホスホナート、若しくはホスホルアミダート含有部分、又は別のプロモイエティであり;
R
1は、3〜6つのフッ素原子により任意選択で置換されているC
1〜C
6アルキルであり;
但し、式(I)の化合物が、Rが水素でない少なくとも1つのOR基を含むことを条件とし、且つ
プロモイエティは、構造的及び機能的に本明細書に定義される)。
【0047】
一態様において、Rは、水素、ホスファート、ジホスファート、ホスホナート、若しくはホスホルアミダート含有部分、又は別のプロモイエティ(promoiety)若しくはプロドラッグ部分である。好ましくはプロドラッグ部分は、活性部分(Rが水素である)に、少なくとも2倍、より好ましくは4倍の増大された溶解度及び/又はバイオアベイラビリティを与え、より好ましくは、インビボで加水分解される。プロモイエティは、構造的及び機能的に本明細書において定義される。
【0048】
一実施形態において、Rは、−COR
90、CO
2R
91、又はCONR
92R
93であり、式中、R
90及びR
91は、独立に、それぞれ少なくとも1つの塩基性窒素部分を含む、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、4〜9員の複素環、又は5〜10員のヘテロアリールであり;且つ
R
92及びR
93は、独立に、C
1〜C
6アルキル;それぞれ少なくとも1つの塩基性窒素部分を含む、C
3〜C
8シクロアルキル、4〜9員の複素環、又は5〜10員のヘテロアリールであるか;或いは、R
92及びR
93は、それらが結合する窒素原子と共に、少なくとも1つのアミノ、C
1〜C
6アルキルアミノ、又はジ
−(C
1〜C
6アルキル
)−アミノ基により置換されている4〜9員の複素環を形成する。
【0049】
特定の実施形態において、Rは、−C(O)R
31、C(O)OR
31、又はCONR
13R
14であり、
各R
31は、独立に、C
1〜C
6アルキル;少なくとも1つの塩基性窒素部分を含むC
3〜C
8シクロアルキル、4〜9員の複素環、又は5〜10員のヘテロアリールであり;且つ
R
13及びR
14は、独立に、C
1〜C
6アルキル;少なくとも1つの塩基性窒素部分を含むC
3〜C
8シクロアルキル、4〜9員の複素環、又は5〜10員のヘテロアリールであるか;或いは、R
13及びR
14は、それらが結合する窒素原子と共に、少なくとも1つのアミノ、C
1〜C
6アルキルアミノ、又はジ
−(C
1〜C
6アルキル
)−アミノ基により置換されている4〜9員の複素環を形成する。
【0050】
好ましくは、R
1はイソプロピルである。
【0051】
一態様において、Rは、C(O)OR
31、C(S)OR
31、C(O)SR
31、又はCOR
31であり、式中、R
31は本明細書に定義される通りである。
【0052】
一実施形態において、R
31は、式(CR
32R
33)
eNR
34R
35の基であり、式中、R
32及びR
33のそれぞれは、独立に、H、C
1〜C
8アルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロアリールであるか、或いは、R
32及びR
33は、それらが結合している炭素原子と共に、C
3〜C
8シクロアルキル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロシクリル、又はC
3〜C
9ヘテロアリール環系を形成するか、或いは、2つの隣接するR
32部分又は2つの隣接するR
33部分は、それらが結合している炭素原子と共に、C
3〜C
8シクロアルキル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロシクリル、又はC
3〜C
9ヘテロアリール環系を形成し;
R
34及びR
35のそれぞれは、C
1〜C
8アルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
3〜C
8シクロアルキルであるか、或いは、R
34及びR
35は、それらが結合している窒素原子と共に、C
3〜C
8シクロアルキル又はC
3〜C
9ヘテロシクリル環系を形成し;複素環及びヘテロアリール環系のそれぞれは、C
1〜C
3アルキル、OH、アミノ、及びカルボキシル基により任意選択で置換されており;且つ
eは、1から4の整数である。
【0053】
いくつかのあまり好ましくない実施形態において、R
34及びR
35は水素であり得る。
【0054】
一実施形態において、下付き文字eは好ましくは2であり、R
32及びR
33のそれぞれは、好ましくは、H、CH
3、及びR
32とR
33が共に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又は1,1−ジオキソ−ヘキサヒドロ−lΔ
6−チオピラン−4−イル、又はテトラヒドロピラン−4−イル基を形成する要素からなる群から独立に選択される。
【0055】
プロドラッグ基に関して、好ましい実施形態は、NR
34R
35がモルホリノである化合物である。
【0056】
一実施形態において、Rは
【化20】
であり、式中、
R
32及びR
33のそれぞれは、独立に、H、C
1〜C
8アルキルであるか、或いは、任意選択で、両方が同じ置換基上に存在する場合、共に、C
3〜C
8シクロアルキル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロシクリル、又はC
3〜C
9ヘテロアリール環系を形成する。
【0057】
この実施形態の中で、R
32及びR
33のそれぞれは、独立に、H、CH
3であるか、或いは共に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1,1−ジオキソ−ヘキサヒドロ−lλ
6−チオピラン−4−イル、又はテトラヒドロピラン−4−イル基を形成する。
【0058】
好ましい実施形態において、活性分子の残りへのプロドラッグ部分の連結は、プロドラッグの血清半減期が約8から約24時間であるほど安定である。
【0059】
本発明の一実施形態において、プロドラッグ部分は、生理学的pHである7.5に近いpKaを有する三級アミンを含む。7.5の1単位以内にpKaを有するあらゆるアミンが、この目的のための好適な選択肢のアミンである。アミンは、モルホリノ基のアミンにより与えられ得る。6.5から8.5のこのpKa範囲により、かなりな濃度の基本的な中性(basic neutral)アミンが弱アルカリ性の小腸に存在することができる。基本的な中性形態のアミンプロドラッグは親油性であり、小腸の壁を通って血液中に吸収される。血流への吸収の後、プロドラッグ部分は、血清に天然に存在するエステラーゼにより切断され、活性化合物を放出する。
【0060】
Rの例には、非限定的に下記がある:
【化21】
【化22】
【0061】
別の実施形態において、Rは、以下に表にされている通りである:
【0064】
別の態様において、Rは、
【化23】
であり、式中、
R
36は、低級アルキル(例えば、C
1〜C
6アルキル)である。
【0065】
さらに別の態様において、Rは、
【化24】
であり、式中、X
1、Y
1、及びX
2は本明細書に定義される通りである。
【0066】
一実施形態において、X
1は、O、S、及びNR
37からなる群から選択され、式中、R
37は、水素又はC
1〜C
6アルキルであり;
Y
1は、−C(R
38)
2又は糖部分であり、式中、各R
38は、独立に、水素、又はC
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリールであり;
X
2は、ハロゲン、C
1〜C
6アルコキシ、ジアシルグリセロール、アミノ、C
1〜C
6アルキルアミノ、C
1〜C
6ジアルキルアミノ、C
1〜C
6アルキルチオ、PEG部分、胆汁酸部分、糖部分、アミノ酸部分、ジ−又はトリ−ペプチド、PEGカルボン酸、及び−U−Vからなる群から選択され、式中、
Uは、O又はSであり;且つ
Vは、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロアリール、C(W
2)X
3、PO(X
3)
2、及びSO
2X
3からなる群から選択され;
式中、W
2は、O又はNR
39であり、
式中、R
39は、水素、又はC
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリールであり;且つ
各X
3は、独立に、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、C
1〜C
6アルキル、ヘテロア
ルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6アルキルアミノ、C
1〜C
6ジアルキルアミノ、C
1〜C
6アルキルチオ、胆汁酸系アルコキシ基、糖部分、PEG部分、及び−O−CH
2−CH(OR
40)CH
2X
4R
40であり、
式中:
X
4は、O、S、S=O、及びSO
2からなる群から選択され;且つ
各R
40は、独立に、C
10〜C
22アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリール、C
1〜C
8アルキレン、又はC
1〜C
8ヘテロアルキレンである。
【0067】
複素環及びヘテロアリール環系のそれぞれは、C
1〜C
3アルキル、−OH、アミノ、及びカルボキシル基により任意選択で置換されている。
【0068】
一実施形態において、本発明は、以下のY
1基を利用する:CH
2、CHMe、CH(イソプロピル)、CH(tert−ブチル)、C(Me)
2、C(Et)
2、C(イソプロピル)
2、及びC(プロピル)
2。
【0069】
別の実施形態において、本発明は、以下のX
2基を利用する:
【化25】
−OMe、−OEt、−O−イソプロピル、O−イソブチル、O−tert−ブチル、−O−COMe、−O−C(=O)(イソプロピル)、−O−C(=O)(イソブチル)、−O−C(=O)(tert−ブチル)、−O−C(=O)−NMe
2、−O−C(=O)−NHMe、−O−C(=O)−NH
2、−O−C(=O)−N(H)−CH(R
41)−CO
2Et(式中、R
41は、必須アミノ酸に存在する側鎖基から選択される側鎖C
1〜C
6アルキル、又はC
3〜C
9ヘテロシクリル基である);−O−P(=O)(OMe)
2、−O−P(=O)(O−イソプロピル)
2、及び−O−P(=O)(O−イソブチル)
2。各
ヘテロシクリル基は、1つ以上の、好ましくは、1〜3のC
1〜C
3アルキル、−OH、アミノ、及び/又はカルボキシル基により任意選択で置換されている。
【0070】
別の実施形態において
、Rは
【化26】
である(式中、
X
3は、独立に、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、又はC
3〜C
9ヘテロアリールであり;且つR
42は、独立に、水素、又はC
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリールである)。
【0071】
各複素環は、1つ以上の、好ましくは、1〜3のC
1〜C
3アルキル、−OH、アミノ、及び/又はカルボキシル基により任意選択で置換されている。
【0072】
一実施形態において、Rは
【化27】
である(式中、
各X
3は、独立に、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリール、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6アルキルアミノ、C
1〜C
6ジアルキルアミノ、C
1〜C
6アルキルチオ、胆汁酸系アルコキシ基、糖部分、PEG部分、及び−O−CH
2−CH(OR
40)CH
2X
4R
40であり、
式中:
X
4は、O、S、S=O、及びSO
2からなる群から選択され;且つ
各R
40は、独立に、C
10〜C
22アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロアリール、C
1〜C
8アルキレン、又はC
1〜C
8ヘテロアルキレンであり;且つ
R
42は、独立に、水素、又はC
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリールである)。
【0073】
いくつかの実施形態において、R
42は、独立に、水素、又はC
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリールであり;且つ、各X
3は、独立に、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリール、C
1〜C
6アルコキシ、C
1〜C
6アルキルアミノ、C
1〜C
6ジアルキルアミノ、又はC
1〜C
6アルキルチオである。
【0074】
いくつかの実施形態において、Rは以下の構造により表される:
【化28】
【化29】
(式中、上記の例において、R
43は、C
10〜C
22アルキル又はアルキレンであり、R
44は、H又はC
1〜C
6アルキルであり、且つR
45は、天然のαアミノ酸に存在する側鎖アルキル基を表す);
【化30】
(式中、R
46は(CH
2)
nであり、
n=2−4、且つ、CO−R
47−NH
2はアミノアシル基を表す);又は
【化31】
(式中、R
46は(CH
2)
nであり、n=2−4、R
47は(CH
2)
nであり、n=1−3、且つ、R
49はO又はNMeである)。
【0075】
一実施形態において、Rは
【化32】
である。
【0076】
一態様において、Rは、−C(R
200R
201)O(R
202R
203)P(O)OR
204NR
205R
206であり、式中、各R
200、R
201、R
202、R
203、R
204、R
205、及びR
206は、独立に、H、C
1〜C
8アルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
6〜C
10アリール、C
3〜C
9ヘテロアリールであり、式中、各アルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、任意選択で置換されている。
【0077】
いくつかの実施形態において、Rは、−CH(R
201)OCH
2P(O)OR
204NHR
206であり、式中、R
201はC
1〜C
8アルキルであり、R
204は、任意選択で置換されているフェニルである。一実施形態において、R
206は−CHR
207C(O)OR
208であり、式中、R
207は、天然のアミノ酸側鎖及びその−CO
2Hエステルからなる群から選択され、R
208はC
1〜C
8アルキルである。一実施形態において、R
206は、1〜3の、CO
2H、SH、NH
2、C
6〜C
10アリール、及びC
2〜C
10ヘテロアリールにより任意選択で置換されているC
1〜C
6アルキルである。
【0078】
一実施形態において、Rは
【化33】
である。
【0079】
一実施形態において、Rは
【化34】
である(式中、Y
1は−C(R
38)
2であり、式中、各R
38は、独立に、水素、又はC
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、若しくはC
3〜C
9ヘテロアリールである)。
【0080】
種々のポリエチレングリコール(PEG)部分及び本発明の化合物の製造に利用又は適合可能なそれに関する合成方法は、米国特許第6,608,076号明細書;同第6,395,266号明細書;同第6,194,580号明細書;同第6,153,655号明細書;同第6,127,355号明細書;同第6,111,107号明細書;同第5,965,566号明細書;同第5,880,131号明細書;同第5,840,900号明細書;同第6,011,042号明細書及び同第5,681,567号明細書に記載され
ている。
【0081】
一実施形態において、Rは
【化35】
である(式中、
R
50は、−OH又は水素であり;
R
51は、−OH又は水素であり;
Wは、−CH(CH
3)W
1であり;
式中、W
1は、生理学的pHで、任意選択で負に帯電している部分を含む置換されているC
1〜C
8アルキル基であり、
前記部分は、CO
2H、SO
3H、SO
2H、−P(O)(OR
52)(OH)、−OP(O)(OR
52)(OH)、及びOSO
3Hからなる群から選択され、
式中、R
52は、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、又はC
3〜C
9ヘテロアリールである)。
【0082】
複素環及びヘテロアリール環系のそれぞれは、1つ以上の、好ましくは1〜3のC
1−C
3アルキル、−OH、アミノ及び/又はカルボキシル基により任意選択で置換されている。
【0083】
一実施形態において、Rは
【化36】
である(式中、R
53は、H又はC
1〜C
6アルキルである)。
【0084】
別の態様において、RはSO
3Hである。
【0085】
別の態様において、Rは、切断可能なリンカーであり、式中、用語「切断可能なリンカー」は、インビボで短い半減期を有するリンカーを指す。化合物中のリンカーZが分解すると、活性化合物が放出されたり、発生したりする。一実施形態において、切断可能なリンカーは、10時間未満の半減期を有する。一実施形態において、切断可能なリンカーは、1時間未満の半減期を有する。一実施形態において、切断可能なリンカーの半減期は、1から15分である。一実施形態において、切断可能なリンカーは、構造:C
*−C(=X
*)X
*−C
*(式中、C
*は置換又は非置換のメチレン基であり、X
*はS又はOである)と少なくとも1つの結合を有する。一実施形態において、切断可能なリンカーは、少なくとも1つのC
*−C(=O)O−C
*結合を有する。一実施形態において、切断可能なリンカーは、少なくとも1つのC
*−C(=O)S−C
*結合を有する。一実施形態において、切断可能なリンカーは、少なくとも1つの−C(=O)N
*−C
*−SO
2−N
*−結合を有する(式中、N
*は、−NH−又はC
1〜C
6アルキルアミノである)。一実施形態において、切断可能なリンカーは、エステラーゼ酵素により加水分解される。
【0086】
一実施形態において、リンカーは、Firestoneの米国特許公開第2002/0147138号明細書;PCT出願第US05/08161号明細書及び国際公開第2004/087075号パンフレットに開示されるものなど、自壊性リンカー(self−immolating linker)である。別の実施形態において、リンカーは、酵素の基質である。全般的には、Rooseboom et al.,2004,Pharmacol.Rev.56:53−102を参照されたい。
【0087】
本発明の特定の態様において、式(III)の化合物のプロドラッグ:
【化37】
又はその薬学的に許容できる塩が提供される。
【0088】
本発明のさらなる態様において、式(IV)の化合物:
【化38】
又はその薬学的に許容できる塩が提供される(式中、
R
11及びR
12は、
水素、
任意選択で置換されている1〜3のC
6〜C
12アリール基により任意選択で置換されているC
1〜C
6アルキル;
任意選択で置換されているC
6〜C
12アリール;及び
保護基;
からなる群から独立に選択され、且つ
zは、1、2、又は3である)。
【0089】
いくつかの実施形態において、zは1である。いくつかの実施形態において、zは2である。いくつかの実施形態において、zは3である。
【0090】
一実施形態において、式(V)の化合物:
【化39】
又はその薬学的に許容できる塩が提供される。
【0091】
いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、独立に、C
1〜C
6アルキルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、メチル、エチル、又はプロピルから選択される。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12はメチルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12はエチルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12はプロピルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、任意選択で置換されている1〜3のC
6〜C
12アリール基により置換されている
C
1〜C
6アルキルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、任意選択で置換されている1〜3のフェニル基により置換されているメチルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、ハロ、及びニトロからなる群から選択される1〜3の基により任意選択で置換されているフェニル基により置換されているメチルである。
【0092】
いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、独立に、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、ハロ、及びニトロからなる群から選択される1〜3の基により任意選択で置換されているC
6〜C
12アリールである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、ハロ、及びニトロからなる群から選択される1〜3の基により置換されているフェニルである。いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、フェニルである。
【0093】
いくつかの実施形態において、R
11及びR
12は、独立に、保護基である。いくつかの実施形態において、保護基は、独立に、2−シアノエチル、2−シアノ−1,1−ジメチルエチル、2−ベンズアミドエチル、アリル、4−メチルチオ−1−ブチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリフェニルシリル)エチル、2,2,2,−トリクロロエチル、4−メトキシベンジル、4−ニトロベンジル、2,4−ジニトロベンジル、4−クロロベンジル、及びフルオレニル−9−メチルからなる群から選択される。
【0094】
一態様において、式(V−A)の化合物:
【化40】
又はその薬学的に許容できる塩が本明細書に提供される。
【0095】
追加の一態様において、式(V−B)の化合物
【化41】
又はその薬学的に許容できる塩が本明細書に提供される。
【0096】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれか及び薬学的に許容できる賦形剤を含む組成物を提供する。
【0097】
そのような組成物は、様々な投与経路用に製剤できる。経口送達に好適な組成物が恐らく最も頻繁に使用されるであろうが、利用可能な他の経路には、経皮、静脈内、動脈内、
肺、直腸、鼻腔内、膣内、舌、筋肉内、腹腔内、皮内、頭蓋内、及び皮下経路がある。本明細書に記載される化合物のいずれかの投与に好適な剤形には、錠剤、カプセル、丸剤、散剤、エアゾール剤、坐剤、非経口薬品、並びに懸濁剤、液剤、及び乳剤を含む経口液剤がある。持続放出剤形も、例えば、経皮パッチ形態で使用できる。剤形は全て、当技術分野において標準的である方法を利用して調製できる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16
th ed.,A.Oslo editor,Easton Pa.1980を参照されたい)。
【0098】
薬学的に許容できる賦形剤は、非毒性であり、投与を助け、本発明の化合物の治療効果に悪影響を与えない。そのような賦形剤は、どのような固体、液体、半固体でもよく、エアゾール組成物の場合、一般的に当業者に利用可能である気体の賦形剤でもよい。本発明による医薬組成物は、当技術分野に公知である方法を利用して従来の手段により調製される。
【0099】
本明細書に開示される組成物は、医薬調製物に通常利用されるビヒクル及び賦形剤、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、ココアバター、水性又は非水性溶媒、油類、パラフィン誘導体、グリコールなどのいずれとも一緒に利用できる。着色剤及び着香剤を、調製物に、特に経口投与用の調製物に加えることもできる。液剤は、水、又はエタノール、1,2−プロピレングリコール、ポリグリコール、ジメチルスルホキシド、脂肪族アルコール、トリグリセリド、グリセリンの部分エステルなどの生理学的に適合する有機溶媒を使用して調製できる。
【0100】
固体の医薬賦形剤には、スターチ、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアラート、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどがある。液体及び半固体の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、及び、石油系、動物系、植物系、又は合成の油を含む種々の油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択できる。特定の実施形態において、本明細書に提供される組成物は、α−トコフェロール、アラビアゴム、及び/又はヒドロキシプロピルセルロースの1つ以上を含む。
【0101】
一実施形態において、本発明は、有効量の本明細書に提供される化合物を含む、薬物デポ(drug depots)又はパッチなどの持続放出製剤を提供する。別の実施形態において、パッチは、α−トコフェロールが存在する状態で、アラビアゴム又はヒドロキシプロピルセルロースを別々に、又は組み合わせてさらに含む。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースは、10,000から100,000の平均MWを有する。より好ましい実施形態において、ヒドロキシプロピルセルロースは、5,000から50,000の平均MWを有する。
【0102】
本発明の化合物及び医薬組成物は、単独でも、他の化合物との組み合わせでも使用できる。他の薬剤と共に投与される場合、共投与は、両方の薬理学的効果が同時に患者において明らかであるようなどのような方法でもよい。そのため、共投与は、単一の医薬組成物、同じ剤形、又は同じ投与経路ですら、本発明の化合物と他の薬剤の両方の投与に利用されることを必要とせず、2つの薬剤が正確に同時に投与されることも必要でない。しかし、共投与は、最も簡便には、同じ剤形及び同じ投与経路により、実質的に同時に達成されるであろう。明らかに、そのような投与は、本発明による新規な医薬組成物において両有効成分を同時に送達することにより、最も好都合に進行する。
【0103】
治療の方法
本発明の態様において、組織及び/又は細胞の酸素供給を増加させる方法であって、そ
の必要のある対象に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物又は組成物のいずれかを投与することを含む方法が提供される。
【0104】
本発明の態様において、対象におけるヘモグロビンSの酸素親和性を増加させる方法であって、その必要のある対象に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物又は組成物のいずれかを投与することを含む方法が提供される。
【0105】
本発明の態様において、酸素欠乏に関連する病態を治療する方法であって、その必要のある対象に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物又は組成物のいずれかを投与することを含む方法が提供される。
【0106】
本発明のさらなる態様において、鎌状細胞貧血に関連する酸素欠乏を治療する方法であって、その必要のある対象に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物又は組成物のいずれかを投与することを含む方法が提供される。
【0107】
本発明のさらなる態様において、鎌状赤血球症を治療する方法であって、その必要のある対象に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物又は組成物のいずれ
かを投与することを含む方法が提供される。本発明のなおさらなる態様において、癌、肺疾患、脳卒中、高山病、潰瘍、褥瘡、アルツハイマー病、急性呼吸器疾患症候群、及び創傷を治療する方法であって、その必要のある対象に、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物又は組成物のいずれ
かを投与することを含む方法が提供される。
【0108】
合成方法
本明細書に記載される化合物を製造する特定の方法も提供される。反応は、好ましくは、本開示を読めば当業者には明らかであろう好適な不活性な溶媒中で、薄層クロマトグラフィー、
1H−NMRなどにより観察して反応の実質的な完了を確実にするのに充分な期間実施される。反応を加速する必要がある場合、当業者に周知である通り反応混合物を加熱できる。最終化合物及び中間化合物は、必要な場合、本開示を読めば当業者には明らかであろう通り、結晶化、沈殿、カラムクロマトグラフィーなどの、当技術分野に公知である種々の方法により精製される。
【0109】
式(I)の化合物を合成する、例示的で非限定的な方法が、以下に概略的に示される。
【0110】
本願全体を通して、以下の略語は以下の意味を有する。定義されていない場合、用語は、その一般的に受け入れられている意味を有する。
℃=セルシウス度
RT=室温
min=分
h=時間
μL=マイクロリットル
mL=ミリリットル
mmol=ミリモル
eq=当量
mg=ミリグラム
ppm=百万分率
LC−MS=液体クロマトグラフィー−質量分析法
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
NMR=核磁気共鳴
Ph
3PBr
2=トリフェニルホスフィンジブロミド
DMF=N、N−ジメチルホルムアミド
DCM=ジクロロメタン
THF=テトラヒドロフラン
DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシラート
DEAD=ジエチルアゾジカルボキシラート
PEG=ポリエチレングリコール
HβCD=ヒドロキシ−プロピル−β−シクロデキストリン
【0111】
以下のスキームにおいて、「A」は、本明細書に記載される置換基「A」を指す。
【化42】
は、本明細書に記載される置換基「A」のアリール又はヘテロアリール要素を指す。
【化43】
は、本明細書に記載される環B及びCを指す。
【0112】
【化44】
置換されたメチレンアルコール(1)及びヒドロキシル(ヘテロ)アリールアルデヒド誘導体(3a/3b)から、アリールオキシ/ヘテロアリールエーテルアナログ(4a/4b)を調製する全般的方法A(スキーム1)。無水THF(1〜10mL)中の置換されたメチレンアルコール(1)(0.8から1.2当量)及びPPh
3(1〜1.5当量)との、ヒドロキシル(ヘテロ)アリールアルデヒド誘導体(3a/3b)(0.1〜2mmol)混合物を、完全な溶解まで窒素下で撹拌した。溶液を氷浴上で0℃に冷却し、THF又はトルエン中のDIAD又はDEAD(1.1当量)を、1〜20分の期間をかけて滴加した。氷冷浴を放置して90分かけて効果がなくなるようにし、混合物を室温で2〜48時間撹拌した。混合物を10分間撹拌し、次いでシリカのパッドに通して濾過した。シリカを、酢酸エチル2〜20mLで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、残渣を高真空(highvac)で乾燥させた。残渣を、分取HPLC又はフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0113】
置換されたメチレンハライド(2)及びヒドロキシル(ヘテロ)アリールアルデヒド誘導体(3a/3b)から、アリールオキシ/ヘテロアリールエーテルアナログ(4a/4b)を調製する全般的方法
B(スキーム1)。ヒドロキシル(ヘテロ)アリールアルデヒド誘導体(3a/3b)(0.1〜2mmol、1〜4当量)、置換された塩化メチレン又は臭化メチレン(2)(1当量)、及びK
2CO
3(2〜5当量)(触媒量のNaI又はBu
4NIを加えてもよい)のDMF又はアセトニトリル(1から10mL)中の混合物を、室温で、又は120℃まで加熱して、0.5〜8時間、窒素雰囲気下で撹拌した。後処理Aにおいて、水を反応混合物に加え、沈殿した生成物を回収し、水で洗浄し、次いで、分取HPLC又はフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー精製に付した。後処理B(沈殿しない生成物の場合)において、希HCl又はNH
4Cl水溶液を0℃で加えて、pHをおよそ7に調整し、反応混合物を、酢酸エチル又はジクロロメタンと、塩化ナトリウム水溶液の間で分配し、有機層を分離し、乾燥させ、溶媒を真空下で除去すると粗生成物を与え、それを、適切な溶媒混合物(例えば、酢酸エチル/ヘキサン)を使用して自動化シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0114】
置換された塩化メチレン(2a)を調製する全般的方法C。置換されたメチレンアルコール(1)(0.1から2mmol)のDCM(1〜10mL)溶液に、SOCl
2を(2当量から5当量)を0℃又は室温で滴加した。反応混合物を室温で10分から6時間、又は反応が完了したと判断される(LC/MS)まで、撹拌した。反応混合物を、ロータバップで濃縮乾固させる。粗製の塩化物残渣をトルエンに懸濁させ、超音波処理し、濃縮乾固させた。プロセスを3回繰り返し、真空下で乾燥させると、置換された塩化メチレン(2)を、通常灰白色の固体として与え、それを、さらに精製せずに次の工程に使用した。或いは、次いで、1NのNa
2CO
3水溶液を加えると、pHおよそ8の溶液が生じる。混合物をDCM(3×10〜50mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して粗製の置換された塩化メチレン(2a)にしたが、次いで、それをシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)により精製する。
【0115】
置換された臭化メチレン(2b)を調製する全般的方法D。置換されたメチレンアルコール(1)(0.1から2mmol)のDCM(1〜10mL)溶液に、Ph
3PBr
2を(2当量から5当量)を0℃又は室温で滴加した。反応混合物を、室温で10分から2時間、又は反応が完了したと判断される(LC/MS)まで、撹拌した。反応混合物を、ロータバップで、濃縮乾固させる。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)により精製すると、純粋な臭化物2bを与えた。
【0116】
エステルプロドラッグの合成は、三級アミンを有する遊離カルボン酸で始まる。遊離の酸は、エステル形成のために非プロトン性溶媒中で活性化され、次いで遊離のアルコール基と、トリエチルアミンなどの不活性な塩基の存在下で反応して、エステルプロドラッグを与える。カルボン酸の活性化条件には、任意選択で触媒量のジメチルホルムアミドを含む非プロトン性溶媒中での塩化オキサリル又は塩化チオニルを使用する酸クロライドの形成、それに続いて蒸発がある。非プロトン性溶媒の例には、塩化メチレン、テトラヒドロフランなどがあるが、これらに限定されない。或いは、活性化は、BOP(ベンゾトリアゾール−l−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファートなどの試薬を用い(Nagy et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6373−6376参照)、それに続く遊離アルコールとの反応によりインサイチュで実施できる。エステル生成物の単離は、弱酸性水溶液に対する酢酸エチル又は塩化メチレンなどの有機溶媒による抽出;それに続いて酸性水相を塩基性にするための塩基処理;それに続いて、例えば酢酸エチル又は塩化メチレンなどの有機溶媒による抽出;有機溶媒層の蒸発;及びエタノールなどの溶媒からの再結晶化により達成され得る。任意選択で、溶媒は、HCl又は酢酸などの酸により酸性化されて、その薬学的に許容できる塩を与えることができる。或いは、粗反応物を、プロトン化された形態のスルホン酸基を有するイオン交換カラムに通して、脱イオン水で洗浄し、アンモニア水溶液により溶離し;それに続いて蒸発させることもできる。
【0117】
三級アミンを有する好適な遊離酸は、2−(N−モルホリノ)−プロピオン酸、N,N−ジメチル−β−アラニンなど市販されている。市販されていない酸は、標準的な文献手順により直接的に合成できる。
【0118】
カーボナート及びカルバマートプロドラッグは、同様の方法で調製できる。例えば、アミノアルコール及びジアミンを、ホスゲン又はカルボニルジイミダゾールなどの活性化剤により活性化して、活性化されたカーボナートを与えることができ、それを本明細書で利用される化合物上のアルコール及び/又はフェノール性ヒドロキシ基と反応させると、カーボナート及びカルバマートプロドラッグを与えることができる。
【0119】
本発明の化合物の製造に利用又は改変できる種々の保護基及びそれらに関連する合成方法を、参照文献、Testa et al.,Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism,June 2003,Wiley−VCH,Zurich,419−534及びBeaumont et al.,Curr.Drug Metab.2003,4:461−85から改変できる。
【0120】
以下のスキーム2は、参照文献、Sobolev et al.,2002,J.Org.Chem.67:401−410の方法の改変により、アシルオキシメチル版のプロドラッグを合成する方法を与える。
【化45】
式中、R
51は、C
1〜C
6アルキルである。
【0121】
以下のスキーム3は、Mantyla et al.,2004,J.Med.Chem.47:188−195の方法の改変により、ホスホノオキシメチル版のプロドラッグを合成する方法を与える。
【化46】
【0122】
以下のスキーム4は、アルキルオキシメチル版のプロドラッグを合成する方法を与える。
【化47】
式中、R
52は、C
1〜C
6アルキル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
3〜C
9ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、又はC
3〜C
9ヘテロアリールである。
【0123】
式(III)の化合物を、以下に概略的に記載され、以降に詳述されるとおり合成した。
【化48】
【0124】
実施例1:化合物15の合成
【化49】
2−ブロモベンゼン−1,3−ジオール(5g、26.45mmol)の0℃のDCM(50ml)溶液に、DIPEA(11.54mL、66.13mmol)及びMOMCl(4.42mL、58.19mmol)を加えた。混合物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで室温に温めた。溶液をDCMで希釈し、飽和NaHCO
3、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると粗生成物を与え、それをカラム(ヘキサン/EtOAc=4:1)により精製すると、所望の生成物15.58g(90%)を与えた。
【0125】
実施例2:化合物15からの13の合成
【化50】
2−ブロモ−1,3−ビス(メトキシメトキシ)ベンゼン(15)(19.9g、71.8mmol)の−78℃のTHF(150mL)溶液に、BuLi(2.5M、31.6mL、79.0mmol)を滴加した。溶液を−78℃で25分間撹拌し(白色の濁った混合物が生じた)、次いでそれを0℃に温め、25分間撹拌した。反応混合物はゆっくりと均質になった。溶液に、DMFを0℃で加えた。25分後、HPLCは反応が完了したことを示した。混合物を飽和NH
4Cl(150mL)でクエンチし、エーテル(300mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×200mL)でさらに抽出し、有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると粗生成物を与え、それをトリチュレートすると、14.6gの所望の生成物を与えた。次いで、濾液を濃縮し、カ
ラムにより精製すると、追加の0.7gを与え、全質量は15.3gである。
【0126】
実施例3:レゾルシノール11からの化合物13の合成
【化51】
メカニカルスターラーを備えた三つ口丸底フラスコに、0.22molのNaH(鉱油中50%懸濁液)を窒素雰囲気下で入れた。NaHを、2回分(100mL)のn−ヘキサンで洗浄し、次いで300mLの乾燥ジエチルエーテルで洗浄し、次いで80mLの無水DMFを加えた。次いで、100mLのジエチルエーテルに溶解している0.09molのレゾルシノール11を滴加し、混合物を室温で30分間撹拌したままにした。次いで、0.18molのMOMClをゆっくりと加えた。室温で1時間撹拌した後、250mLの水を加え、有機層をジエチルエーテルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、次いで濃縮すると粗生成物を与え、それをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、化合物12(収率93%)を与えた。
【0127】
三つ口丸底フラスコに、110mLのn−ヘキサン、0.79molのBuLi、及び9.4mLのテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を窒素雰囲気下で入れた。混合物を−10℃で冷却し、0.079molのビス−フェニルエーテル12をゆっくりと加えた。生じた混合物を−10℃で2時間磁気撹拌したままにした。次いで、温度を0℃に上げ、0.067molのDMFを滴加した。1時間後、pHが酸性になるまでHCl水溶液を加えた。次いで、混合物をエチルエーテルで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮するとアルデヒド13(84%)を与えた。
【0128】
2,6−ビス(メトキシメトキシ)ベンズアルデヒド(13):mp58−59℃(n−ヘキサン);IR(KBr)n:1685(C=O)cm
−1;
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ 3.51(s,6H,2 OCH
3),5.28(s,4H,2 OCH
2O),6.84(d,2H,J=8.40Hz,H−3,H−5),7.41(t,1H,J=8.40Hz,H−4),10.55(s,1H,CHO);MS,m/e(相対強度)226(M+,3),180(4),164(14),122(2),92(2),45(100);分析値 C
11H
14O
5に対する計算値:C,58.40;H,6.24.実測値:C,57.98;H,6.20.
【0129】
実施例4:化合物16の合成
【化52】
2,6−ビス(メトキシメトキシ)ベンズアルデヒド(13)(15.3g、67.6mmol)のTHF(105mL)(溶媒をN
2でパージした)溶液に、濃HCl(12N、7mL)をN
2下で加え、次いでそれをN
2下で1.5時間さらに撹拌した。溶液に、ブライン(100mL)及びエーテル(150ml)を加えた。有機層を分離し、水層をエーテル(2×200mL)でさらに抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、
乾燥させ、濃縮すると粗生成物を与え、それをカラム(300g、ヘキサン/EtOAc=85:15)により精製すると、所望の生成物16(9.9g)を黄色の液体として与えた。
【0130】
実施例5:化合物17の合成
【化53】
2−ヒドロキシ−6−(メトキシメトキシ)ベンズアルデヒド(16)(10.88g、59.72mmol)のDMF(120mL)溶液(DMF溶液をN
2で10分間パージした)に、K
2CO
3(32.05g、231.92mmol)及び3−(クロロメチル)−2−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン塩酸塩(10)(15.78g、57.98mmol)を加えた。混合物を65℃で1.5時間加熱し、室温に冷却し、氷水(800mL)に注いだ。沈殿した固体を濾過により単離し、乾燥させ、濃縮すると所望の生成物(17、18g)を与えた。
【0131】
実施例6:化合物(III)の合成
【化54】
2−((2−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)メトキシ)−6−(メトキシメトキシ)ベンズアルデヒド(17)(18g、47.19mmol)のTHF溶液(135mL、溶液をN
2でパージした)に、濃HCl(12N、20mL)を加えた。溶液を室温で3時間撹拌したが、その時HPLCは反応が完了したことを示した。混合物を、NaHCO
3(15g)の水(1.2L)溶液に加え、生じた沈殿物を濾過により回収し、乾燥させると粗製の固体を与え、それをカラム(DCM/EtOAc=60:40)によりさらに精製すると、純粋な生成物(15.3g)を与えた。
【0132】
実施例7:化合物III(遊離塩基)及びそのHCl塩形態の合成
化合物(III)遊離塩基(40g)は、光延条件下でのアルコール中間体7と2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド(dihydroxybenzaldedhye)9のカップリングにより得られた。手順を以下にも与える。
【化55】
【0133】
実施例8:光延カップリングによる化合物(III)の合成
窒素の不活性な雰囲気でパージし維持した2000mL三つ口丸底フラスコに、[2−[1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]ピリジン−3−イル]メタノール(7)(70g、322.18mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(1000mL)溶液を入れた。2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド(9)(49.2g、356.21mmol、1.10当量)及びPPh
3(101g、385.07mmol、1.20当量)を反応混合物に加えた。それに続いて、DIAD(78.1g、386.23mmol、1.20当量)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を、撹拌しながら滴加した。生じた溶液を室温で一晩撹拌した。生じた溶液を500mLのH
2Oで希釈した。生じた溶液を3×500mLのジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、EA:PE(1:50−1:3)を溶離液としてシリカゲルカラムにアプライすると、粗生成物が生じた。粗生成物を、1/1.5の比率のi−プロパノール/H
2Oから再結晶した。これにより、40g(37%)の2−ヒドロキシ−6−([2−[1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]ピリジン−3−イル]メトキシ)ベンズアルデヒドが薄黄色の固体として生じた。化合物は、80〜82℃の融点を示した。MS(ES,m/z):338.1[M+1].
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 11.72(s,1H),10.21(s,1H),8.76(d,J=3.6Hz,1H),8.24(d,J=2.7Hz,1H),7.55(m,3H),6.55(m,3H),5.21(s,2H),4.65(m,1H),1.37(d,J=5.1Hz,6H).
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 11.96(s,1H),10.40(s,1H),8.77(dd,J=4.8,1.5Hz,1H),8.00(d,J=7.8Hz,1H),7.63(d,J=1.8Hz,1H),7.49−7.34(m,2H),6.59(d,J=8.5Hz,1H),6.37(d,J=1.8Hz,1H),6.29(d,J=8.2Hz,1H),5.10(s,2H),4.67(sep,J=6.7Hz,1H),1.50(d,J=6.6Hz,6H).
【0134】
別の手法において、複数のバッチの化合物(III)遊離塩基を、多グラム量(20g)で調製する。この経路の利点は、モノ保護された2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド(16)の使用であり、それはビス−アルキル化副生成物の可能性を効果的に除去する。2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド(16)のモノ−MOMエーテルは、2つの出発点、ブロモレゾルシノール(14)又はレゾルシノール(11)から得ることができる[Journal of Organic Chemistry,74(11),4311−4317;2009に記載の手順]。全工程及び手順を以下に与える。フェノール性アルデヒド基の存在のため、対策(すなわち、全反応を、窒素などの不活性ガスの下で実施する)を講じて、フェノール及び/又はアルデヒド基の酸化を避けるべきである。
【0135】
実施例9.モノホスファートプロドラッグ形成
【化56】
2−ヒドロキシ−6−((2−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(1.06g、3.13mmol)の乾燥アセトニトリル溶液に、N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(1.10mL、6.27mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(0.038g、0.31mmol)、及び四塩化炭素(1.52mL、15.7mmol)を加えた。生
じた混合物をアルゴンガスでパージし(15分)、冷却し(−10℃)、ジベンジルホスホナート(0.73mL、3.3mmol)を10分かけて滴加した。1時間後、反応混合物を飽和KH
2PO
4で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(10〜100%−EtOAc/ヘキサン)による精製は、ジベンジル(2−ホルミル−3−((2−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)メトキシ)フェニル)ホスファート(1.2g、収率65%)を与えた。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δ 10.39(s,1H),8.72(dd,J=4.8,1.7Hz,1H),8.17(ddt,J=7.9,1.5,0.7Hz,1H),7.61(dd,J=1.9,0.5Hz,1H),7.44(dd,J=7.9,4.8Hz,1H),7.37(t,J=8.4Hz,1H),7.36−7.29(m,10H),7.02(dt,J=8.4,1.0Hz,1H),6.66(dt,J=8.6,0.8Hz,1H),6.35(d,J=1.9Hz,1H),5.19(d,J=1.5Hz,2H),5.17(d,J=1.3Hz,2H),5.06(s,2H),4.66−4.58(m,1H),1.47(d,J=6.6Hz,6H).
31P NMR(162MHz,クロロホルム−d)δ −7.09.C
33H
32N
3O
6Pに対するMS(ES):598(MH
+).
【化57】
【0136】
(2−ホルミル−3−((2−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)メトキシ)フェニル)ホスファート(0.600g、1.00mmol)のMeOH(15mL)溶液に、Pd(炭素担持10%、50mg)を加えた。反応容器を、3回真空にして次いで水素雰囲気でパージした。1時間後、容器を、3回真空にしてN
2でパージし、Celiteで濾過した。フィルターケーキをMeOHで洗浄し、合わせた濾液を濃縮した。生じた残渣を分取HPLCにより精製すると、2−ホルミル−3−((2−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル)メトキシ)フェニル二水素ホスファート(32mg、収率8%)が生じた。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ 10.29(s,1H),8.71(dd,J=4.7,1.7Hz,1H),8.27(dd,J=7.9,1.7Hz,1H),7.59−7.49(m,3H),6.99(d,J=8.3Hz,1H),6.86(d,J=8.5Hz,1H),6.57(d,J=1.8Hz,1H),5.11(s,2H),4.63(p,J=6.6Hz,1H),1.33(d,J=6.6Hz,7H).
31PNMR(162MHz,DMSO−d
6)δ−6.46.C
19H
20N
3O
6Pに対するMS(ES):418(MH
+).
【0137】
実施例10.モノホスファートプロドラッグの有利な薬物動態的性質
モノホスファートプロドラッグ化合物(式(V−B))のナトリウム塩を、10mg/kg(5mL/kg)の投与量でラットに経口投与した。投与したビヒクルは、ジメチルアセトアミド:PEG400:30%HβCD(5:25:70)であった。薬物動態的結果を以下に表にし、
図1に図示する。
【0139】
モノホスファート(monophospate)プロドラッグは、効率よく式(III)の化合物に転化した。投与されたモノホスファート投与量では、式(III)の化合物の全血Cmaxは約78μMであったが、これは、同じ投与量の式(III)の化合物の投与後に達成されたCmaxと同等である。
【0140】
上記のことから、本発明の具体的な実施形態が説明のために本明細書に記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに種々の改良がなされ得ることを認識するであろう。
【0141】
本発明の記載全体にわたって、種々の特許出願及び刊行物が参照されるが、そのそれぞれは引用により本明細書にその全体として組み込まれる。