特許第6355730号(P6355730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355730
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20180702BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20180702BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   F28F9/02 Z
   F28D9/02
   F28D7/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-524762(P2016-524762)
(86)(22)【出願日】2014年7月4日
(65)【公表番号】特表2016-524119(P2016-524119A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014064374
(87)【国際公開番号】WO2015004032
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】1356894
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513302156
【氏名又は名称】バレオ システム テルミク
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES THERMIQUES
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【弁理士】
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】ホセ アントニオ ド ラ フエンテ ロメロ
(72)【発明者】
【氏名】ヨランダ ブラボー
(72)【発明者】
【氏名】アン−シルヴィー マニエ−キャサノッド
(72)【発明者】
【氏名】カルロス マルティンス
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−232020(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01757890(EP,A2)
【文献】 特開平10−267568(JP,A)
【文献】 特表2006−520883(JP,A)
【文献】 特開2000−073879(JP,A)
【文献】 特開2011−043257(JP,A)
【文献】 特開2010−048536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28D 7/16
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体と第2の流体との間での熱交換の可能性を与える熱交換器(10、40、70)であって、前記熱交換器(10、40、70)は、
筐体(11、12;41、42;71、72)と、
前記筐体(11、12;41、42;71、72)内部に配置された熱交換束(13、43、73)とを備え、
前記熱交換束(13、43、73)は、
主幅を有し、複数の管路(66)で形成された主面であって、前記管路(66)は第1の流体をこれら管路(66)の内部に案内するのに適している主面と、
第1の流体の出口(22、52)に向かう第1の流体の入口(21、51)であって、これらの管路(66)の外側に第2の流体を案内する可能性を与える第1の流体の入口(21、51)と、
第2の流体の出口(32、62)に向かう第2の流体の入口(31、61)と、
接続要素(14、15;44、45)とを備え、
前記接続要素(14、15;44、45)によって、管路(66)の少なくとも一方の端部(131、132)を前記第1の流体の入口(21、51)または前記第1の流体の出口(22、52)に接続することを可能とし、
前記接続要素(14、15;44、45)の壁を介して、前記第1の流体と前記第2の流体との間で熱交換が起こり、
前記管路(66)は、少なくとも第1の端部(131、132)にて、第1の流体の入口(21、51)および/または出口(22、52)に接続するための、主幅よりも小さい二次幅を有する二次面を形成するよう組み立てられており、
前記管路の第1の端部(131、132)の前記二次面は、筐体(11、12;41、42;71、72)と二次面の外面との間に空間を生成するために形成されており、この空間は第2の流体の入口(31、61)および/または出口(32、62)に接続され、
前記第1の流体の入口(21、51)および前記第1の流体の出口(22、52)は、前記筐体(11、12;41、42;71、72)の反対側の端部にそれぞれ配置され、かつ、前記第2の流体の入口(31、61)および前記第2の流体の出口(32、62)は、前記筐体(11、12;41、42;71、72)の反対側の端部にそれぞれ配置されることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記管路(66)は、第1の端部(131)にて、第1の流体の入口(21、51)に接続するための二次面を形成するように組み立てられ、
前記管路(66)の第1の端部(131)の二次面は、筐体(11、12;41、42;71、72)と二次面の外面との間に空間を生成するために形成されており、この空間は第2の流体の出口(32、62)に接続されており、
前記管路(66)は、第2の端部(132)にて、第1の流体の出口(22、52)に接続するための、主幅よりも小さい二次幅を有する二次面を形成するために組み立てられており、前記管路(66)の第2の端部(132)の二次面は、筐体(11、12;41、42;71、72)と二次面の外面との間に空間を生成し、この空間は第2の流体の入口(31、61)に接続される、請求項1に記載の熱交換器(10、40、70)。
【請求項3】
前記熱交換器(10、40、70)は、少なくとも一方の端部(131、132)で管路(66)を覆う可能性を与える封止要素(16、46)を備える、請求項1または2に記載の熱交換器(10、40、70)。
【請求項4】
前記管路(66)は、それらの間に流路を生成するように互いに対して配置され、前記流路は擾乱器(18、68)を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の熱交換器(10、40、70)。
【請求項5】
前記熱交換束(13、43、73)は、順に重ねて配置された複数のプレート(17、27)によって得られ、前記プレートの端部(91、92)は、プレート(17、27)と筐体(11、12;41、42;71、72)の内側との間の表面を増加させる可能性を与える縁部を備える、請求項1〜4の何れか1項に記載の熱交換器(10、40、70)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車向けを意図した熱交換器等の熱交換器に関する。本発明に係る熱交換器は、特に、エンジンの排気管への使用に適している。この種の熱交換器は、一般に、排気再循環冷却器(EGRまたはEGRC熱交換器)と呼ばれている。
【0002】
自動車産業で使用される種類の熱交換器は、より具体的には、内燃熱機関の排気管の内部に、第1の流体から第2の流体への熱交換を可能にする熱交換要素を内部に含む箱体または筐体を本質的に備える。この熱交換を可能とするこれらの要素は、例えば、管路を含む。
【0003】
熱交換器の内部に位置するこれらの管路は、互いに略平行に位置する複数の管路を含む熱交換束内部に存在することができる。管路は、一列に、または、互いに平行な複数の列に配置することができる。管路は、前記管路の内部の第1の流体を、熱交換束の第1の端部から熱交換束の第2の端部に案内する可能性を与える。
【0004】
関連する管路は、それらの間に、熱交換器の第2の端部から熱交換器の第1の端部に第2の流体を案内する流路を相互に画定する。したがって、熱交換器は、特に、この熱交換器内での、第1の流体および第2の流体の循環を向流として可能にする。
【0005】
第1の流体と第2の流体との間の熱交換を向上させるために、熱交換束を形成するこれらの管路に加えて、プレート、フィンおよび擾乱器等の他の要素を設けることができる。
【0006】
その内部に熱交換束を受容する可能性を与える筐体を含む熱交換器は、従来技術から公知である。筐体は、筐体の外側を形成し、熱交換が行われる空間を画定する複数の壁を備える箱体として見える。筐体は、筐体の第1の端部および第2の端部に、第1の流体および第2の流体のための入口および出口を本質的に備える。したがって、これらの入口および出口は、熱交換器を入口導管および出口導管にそれぞれ接続可能とし、これら導管は、前記第1および第2の流体が熱交換器を通過する際に、第1および第2の流体を、入口導管により熱交換器に、出口導管により最終目的地に案内するのに好適である。
【背景技術】
【0007】
上述したような熱交換器は、特許文献1に開示されている。この文献によれば、熱交換器は複数の管路を備え、これらの管路は、第1の流体を、この第1の流体のための入口からこの第1の流体のための出口まで案内することを可能にする管路を得るために、筐体内に互いに積層したプレートを用いて得られる。
【0008】
流路を画定する個々の管路は、第2の流体を、この第2の流体のための入口からこの第2の流体のための出口まで案内することを可能とする。特許文献1に係る熱交換器は、第1の流体を筐体の長手方向に沿って、筐体の第1の端部から筐体の第2の端部まで案内するよう適合されている。第2の流体のための入口および出口は、第1の流体の流れ方向に垂直な方向に沿って第2の流体の注入および排出が可能となるように、筐体の側壁に配置される。
【0009】
特許文献1に係る熱交換器は、流体の個々の入口および出口接続部が、熱交換器の外側を形成する筐体の4つの異なる壁に位置するという第1の問題点を有する。第1の流体のための入口および出口は、筐体の長手方向において、筐体の端部に存在する。第2の流体のための入口および出口は、筐体の側壁に存在する。流体のこれらの入口と出口の位置は、利用可能な空間内に熱交換器を設置する適応性を制限する。
【0010】
さらに、特許文献1に係る熱交換器の製造は、第1の流体と第2の流体との熱交換を、前記熱交換器の長さの一部、すなわち、第2の流体のための入口と出口の間に制限する。換言すれば、第1の流体と第2の流体との間の熱交換は、第1の流体の流路の一部において不可能である。このため、特許文献1に記載の装置を有する熱交換器は、熱交換器の外形寸法の割には、最適ではない。
【0011】
今日では、熱交換器およびその部品のための自動車内の空間は、自動車の操作に必要な他の装置を統合するために、縮小する傾向にある。このことは、熱交換器の統合がますます複雑であることを意味する。このため、利用可能な空間に熱交換器組立体をできるだけ効率的に統合することができるようにするために、相対的な適応の自由、特には、第1および第2の流体の入口導管および出口導管の配置の自由を可能にする、小型の熱交換器を開発することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第199 27 607号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明に係る熱交換器は、当業で公知の熱交換器の問題点の解決策を見出すことを目的とし、熱交換器の小型化を可能とする熱交換束の形成に関する新規な設計を提案するものである。
【0014】
この目的のために、本発明は、第1の流体と第2の流体との間での熱交換の可能性を与える熱交換器であって、
筐体と、
前記筐体内部に配置された熱交換束とを備え、
前記熱交換束は、
主幅を有し、複数の管路で形成された主面であって、前記管路は第1の流体をこれら管路の内部に案内するのに適している主面と、
第1の流体の出口に向かう第1の流体の入口であって、これらの管路の外側に第2の流体を案内する可能性を与える入口と、
第2の流体の出口に向かう第2の流体の入口とを備え、
前記管路は、少なくとも第1の端部にて、第1の流体の入口および/または出口に接続するための、主幅よりも小さい二次幅を有する二次面を形成するよう組み立てられており、
前記管路の第1の端部の前記二次面は、筐体と二次面の外面との間に空間を生成するために形成されており、この空間は第2の流体の入口および/または出口に接続されることを特徴とする熱交換器に関する。
【0015】
本発明によれば、前記管路は、第1の端部にて、第1の流体の入口に接続するための二次面を形成するように組み立てられることが可能であり、
管路の第1の端部の二次面は、筐体と二次面の外面との間に空間を生成するために形成されており、この空間は第2の流体の出口に接続されており、
前記管路は、第2の端部にて、第1の流体の出口に接続するための、主幅よりも小さい二次幅を有する二次面を形成するために組み立てられており、前記管路の第2の端部の二次面は、筐体と二次面の外面との間に空間を生成し、この空間は第2の流体の入口に接続される。
【0016】
したがって、第1段階で、本発明にしたがう熱交換束の形成および組み立てによって、第1および第2の流体のための入口および出口は、筐体の反対側の端部に配置される。入口および出口のこの組み分けは、適応の可能性を増加させ、利用可能な空間に、最適な方法で、熱交換器組立体を統合する可能性を与える。
【0017】
また、第2段階では、二次面は、管路の第2の端部を、第1の流体の入口に空間を生成する出口に接続する可能性を与え、流体の流路の全てにわたり、すなわち、それらの入口から出口まで、第1の流体と第2の流体の間の熱交換を行うことができるという利点を有する。このため、熱交換器の効率は、その外側寸法に比例して増加する。
【0018】
一実施形態によれば、本発明にしたがう熱交換器は、管路のそれぞれの端部を覆う可能性を与える封止要素を備える。
【0019】
一実施形態によれば、本発明にしたがう熱交換器は接続要素を備え、前記接続要素によって、管路の少なくとも一方の端部を入口または出口に接続することが可能である。
【0020】
一実施形態によれば、管路は、それらの間に流路を生成するように互いに対して配置され、前記流路は擾乱器を含む。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、熱交換束は、順に重ねて配置された複数のプレートによって得られ、前記プレートの端部は、プレートと筐体の内側との間の表面を増加させる可能性を与える縁部を備える。
【0022】
本発明の目的、課題および特徴、ならびにそれらの利点は、図面を参照しつつ、本発明にしたがう熱交換器の好適な実施形態に関する以下の説明を読めば、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態にしたがう熱交換器の分解斜視図を示す。
図2図1の熱交換器を組み立てた形態で示す。
図3図1および2の熱交換器の熱交換束を示す。
図4図3の熱交換束の一部を構成する2枚のプレートの詳細を示す。
図5】熱交換束の主面を概略的に示す図である。
図6】熱交換束の二次面を概略的に示す図である。
図7】本発明の第2実施形態にしたがう熱交換器の分解斜視図を示す。
図8図7の熱交換器の熱交換束を示す。
図9図8の熱交換束の端部を詳細に示す。
図10】本発明にしたがう熱交換器の第3実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明にしたがう熱交換器10の第1の実施形態を分解斜視図にて示す。熱交換器10は、組み合わされた場合に熱交換器10の外側を形成する可能性を与える、第1の要素11および第2の要素12を備える。組み合わされた要素11および12は、第1の流体と第2の流体の間の熱交換を最適化する可能性を与える要素を収容ことができる箱体または筐体11、12を形成する。第2の要素12は、第1および第2の流体の個々の入口および出口を備える。
【0025】
第2の要素12内に存在する入口21は、第1の流体のための入口を形成する。反対側の面には、出口22が、第1の流体のための出口を形成する。入口31は、第2の流体のためのものである。出口32は、第2の流体のためのものである。
【0026】
熱交換器10の使用中に、第1の流体は、入口21を通って前記熱交換器10の内部に入る。同時に、第2の流体は、入口31を通って熱交換器10の内部に入る。したがって、熱交換器10は、プレート17のスタックを含む熱交換束13を備え、プレート17のスタックは、組み合わされた場合に、管路と、前記管路の間に画定される流路とを形成する。熱交換束13は、図3および4により詳細に示されている。上述したように、熱交換束13は、プレート17のスタックを含み、スタック内では、2枚のプレートで構成される組立体が、その内部に、第1の流体を入口21から出口22にまで案内することを可能とする管路を形成している。異なる管路の間に流路が画定されており、第2の流体の入口31から出口32までの循環を可能としている。
【0027】
実用的な理由から、および、図1に示す熱交換器10への参照を容易にする観点から、寸法「L」、「l」および「H」を図1に表示す。符号「L」は、熱交換器10の最大寸法を示すために用いられ、第1および第2の流体が循環する方向に相当する。符号「l」は、熱交換器10の幅を示すために用いられ、符号「H」は、熱交換器10の高さを示すために用いられる。
【0028】
プレート17のスタックは、熱交換束13を得る可能性を与え、図4に示す配置にしたがって存在する。プレート17はそれぞれ、管路の内壁を形成するのに適しており、第1の流体に晒されるのに適した内面と、反対の面すなわち外面とを有している。この外面は、プレート17の使用中に第2の流体と接触する。
【0029】
図4は、各プレート17が、長手方向において湾曲した要素を備えることを示している。この湾曲した要素は、プレート17の(長手方向で見て)端部と、図1に示す第1の要素11の壁の内側との間の接触面を増加させるように適合される。表面のこの増加は、熱交換器10の異なる要素の相互の組み立てを可能とし、かつ、熱交換器10の使用中の流体の漏れの可能性を回避するために最適な接触を確保するろう付けを容易にする。
【0030】
熱交換束13を得る観点から、異なるプレート17を、第1のプレート17の内面が第2のプレートの内面を向き、前記第2のプレート17の外面が第3のプレート17の内面を向き、プレートの数に応じてこれが繰り返されるように、配置する。
【0031】
図1にしたがう熱交換器10において、個々のプレート17は、前記熱交換器10の筐体11、12の内部寸法に対応する寸法を有する。図4に示すプレート17の幅「l」は、図1に示す筐体11、12の内幅に相当する。
【0032】
熱交換束の管路の形状は、管路の端部で変化し、狭窄部を呈する。熱交換束は、この端部に、異なる管路の出口を組み立てた接続面を含む。図3に示すように、この接続面は、接続要素14を用いて、第2の流体のための出口32に接続するのに適している。
【0033】
図1は、プレート17の端部を覆い、これとともに熱交換束13を形成するよう適合された封止要素16を示す。この封止要素16は、管路の内側から管路の外側に位置する流路への漏れ、および、その逆の漏れの可能性を回避するために、前記プレート17を相互に保持することを可能とする。
【0034】
接続要素14は、個々の管路の表面を出口22に接続するのに好適である。接続要素15は、第1の流体のための入口21を、前記熱交換束13の反対側の端部で接続面に接続するために、熱交換束の反対側に設けられる。
【0035】
本発明にしたがう熱交換器の作用は、図4に示すように、プレート17の形状が、それらの第1の端部91とそれらの第2の端部92との間で変化するということに基づく。端部91および92では、プレートは、プレートを組み合わせた際に、管路がより大きな幅を有することを可能とするために、比較的限定された長さ「L」の管路を形成する可能性を与える形状を有する。管路の端部における断面の表面は、「二次面」なる用語で表される。プレート17の中央93では、プレート17は、比較的大きな長さ「L」および小さな幅「l」を有する管路を形成するように適合されている。本発明の範囲内で、熱交換束の中央領域にある管路の中央の断面の表面は「主面」なる用語で表される。端部91から中央部に向けて、プレート17は、遷移領域を含む。中央部93から端部92に向けて、各プレート17は、参照符号95によって示された第2の遷移領域を備える。
【0036】
プレート17の特定の形状の技術的効果を、図5および6に概略的に示す。
【0037】
図5は、熱交換束13の一部を断面図として示す。管路の内部は、参照符号「A」によって示されている。個々の管路は、参照符号「B」で示される流路によって分離されている。管路の内側「A」は第1の流体を案内するのに適しており、流路「B」は第2の流体を向流として案内するのに適している。図5は、熱交換束13の中央で、異なる流体が十分に分離されていること、および、熱交換は、個々の壁を介して可能であること、を示している。
【0038】
熱交換束13を、正面から模式的に図6に示す。図6に示すように、異なる遷移領域94および95によって、管路および流路によって形成された組立体の容積は、プレート17の端部に特異的に分布している。容積のこの分布は、管路の容積および熱交換束の端部の外側の流路の容積の分布と異なる。
【0039】
異なる表面「A」は、それらの端部において、二次面を形成し、この二次面は、接続要素14、15を介して、第1の流体のための入口/出口に接続される。表面「A」の周囲に位置する自由空間は、異なる流路「B」の入口を可能とし、第2の流体のための入口/出口に接続することができる。
【0040】
管路の二次面により、第2の流体は、接続要素14および管路の狭窄部を包囲する空間内の筐体に琉球することができる。次いで、第1流体は、熱交換束13を形成する管路の組立体「A」の外部により画定される流路「B」の内部に案内される。第2の流体は、狭窄部を包囲する空間に向かう種々の管路と、出口32に向かう管路の接続要素15との間に案内される。
【0041】
図1は、熱交換束の形状および、プレート17の遷移領域94および95による管路の端部の狭窄部の存在が、要素11および12、この狭窄部の外側、ならびに接続要素14により形成される、筐体の内側の自由空間を利用可能とすることを示している。筐体内部に生成されたこの空間は、第2の流体のための入口31の接続を可能にする。したがって、熱交換束13に向かう入口31に向けられる第2の流体は、接続要素14の外側および管路の狭窄部の外側を循環することができる。換言すれば、これは、熱交換が、接続要素14の壁を介して、第2の流体が熱交換器10の内部に導入された直後に、第1の流体と第2の流体の間で起こり得ることを意味する。熱交換束13の反対側の端部に存在する要素の配置が同じであることにより、両方の流体の間での、第2の流体のための出口に至るまでの理想的な熱交換が可能となる。
【0042】
図1に示すような異なる要素を、従来技術で公知のろう付け法を用いて組み立てる。熱交換器10内に異なる要素を組み立てる観点から、前記要素は、筐体内での位置と同一の位置に予備組み立てされ、炉内に導入される。アルミニウムおよびステンレス鋼は、ろう付け法により、本発明にしたがう熱交換器10を形成するのに特に好適な材料である。
【0043】
図2は、図1の熱交換器10の、組み立てた位置での斜視図を示す。図2は、本発明にしたがう熱交換器10が比較的小型であることを示している。さらに、異なる入口および出口21(図示せず)、22、31および32を一緒に、例えば自動車の内部の熱交換器10の最終的な設置を最適化するために、組にする。
【0044】
図3は、熱交換束13を詳細に示しており、プレート17は、それらの内部に、第1の流体を管路の第1の端部131から第2の端部132まで案内するとともに、第2の流体の案内を可能とする流路を異なる管路の間に画定することを可能とする管路を形成するように、積み重ねられる。擾乱器18が、異なるプレート17の間に存在してもよい。前記擾乱器18は、熱交換器10を使用した際の、第1の流体と第2の流体との間の熱交換を改善する目的を有している。
【0045】
図7は、本発明にしたがう熱交換器の第2の実施形態を示す。図7は、熱交換器40を示し、その構造は図1の熱交換器10と同様である。熱交換束43を形成するプレートのみが、熱交換器10のものと比較して異なって配置される。実際には、プレートは、熱交換器40の長さ「L」に対して垂直に配置される。
【0046】
熱交換器40は、前記熱交換器40の外部を形成するために、組み合わせて箱体または筐体41、42を形成する第1の要素41および第2の要素42を備える。筐体41、42は熱交換束43を収容するのに適している。この熱交換束43は、図8および9に示すプレート27のスタックを含む。相互に組み合わされた異なるプレート27は、第1の流体を熱交換束43の第1の端部から第2の端部まで、その内部に案内する可能性を与える管路を形成する。異なる管路は、管路の外部の第2の流体を熱交換束43の第2の端部から第1の端部まで案内することを可能とする流路を一緒に画定する。異なる管路の端部は、接続面を形成するために前記端部が一緒に組にされた狭窄部を有し、前記接続面は、接続手段により、第1の流体のそれぞれの入口/出口に接続するのに適している。狭窄部を持つ端部は、図8および9に明確に示されている。
【0047】
図7に示すように、第1の流体のための入口51(部分的に見えている)および排出口52は、第2の要素42内に存在する。入口51は、接続要素45に接続され、この要素45によって、第1の流体を入口51から熱交換束43の管路の内側に向けて案内するよう適合されている。出口52は、接続要素44に接続され、第1の流体を異なる管路の出口からおよび接続要素44から出口52へ案内するよう適合されている。
【0048】
また、第2の要素42は、入口61および出口62(部分的に見えている)を備え、第2の流体が筐体の内部に流入することを可能にする。熱交換束43の第2の端部に存在する狭窄部により、第2の流体は、異なる管路で画定された流路の内部を継続して進むために、接続要素44の外側おおよび管路の端部の外側に案内される。第2の流体は、出口62を介して熱交換器40から出るために、管路の第2の端部の周りの自遊空間および接続要素45の外部に向けて案内されることができる。
【0049】
熱交換器40は、異なる管路の端部を相互に保持する可能性を与え、かつ、前記管路の封止を向上させて、流体の漏れの可能性を回避する封止要素46を備える。
【0050】
図8は、管路66の端部の、第1の接続要素44および第2の接続要素45への接続を示す。
【0051】
図8は、熱交換束43の詳細図を示す。熱交換束は、図4に示したプレートに相当する2枚のプレートのスタックによりそれぞれ構成される管路66を含む。擾乱器68が異なる管路66の間に示されており、この擾乱器は、管路66の内部の第1の流体と管路66の外部の第2の流体との間の熱交換を促進する。異なる管路66の端部は、図7により詳細に示されている。図7は、管路の異なる端部同士が二次面を形成することを示している。この二次面は、図7に示すように、接続要素44に接続されるように適合されている。封止性を向上させるために、管路66の異なる端部を封止要素46で覆う。
【0052】
図9は、管路の異なる端部の接続によって得られた二次面を示している。
【0053】
図7、8および9に示す熱交換器40の異なる要素を、ろう付け法を用いて組み立てることができる。このろう付け法を実行するために、異なる要素をそれらの異なるそれぞれの位置に組み立て、炉に導入する。
【0054】
図10は、本発明の第3の実施形態の熱交換器70を分解斜視図で示す。図10に示すように、熱交換器70は、ともに筐体を形成する第1の要素71および筐体72を備える。熱交換束73は、前記筐体の内部に存在する。図10および11にしたがう熱交換器70の使用は、上述した熱交換器10および40の使用と同様である。熱交換器70と熱交換器10および40との間の違いは、異なる管路が、狭窄部以降で、組み立て面にて、筐体の外部に存在する入口/出口に直接接続されるという点にある。これは、第2の流体の案内を可能にする接続要素が、図10および11のように、筐体の外部に位置することを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10