特許第6355756号(P6355756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6355756内燃機関の燃料噴射システム用の弁装置および高圧ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355756
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】内燃機関の燃料噴射システム用の弁装置および高圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/36 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   F02M59/36 E
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-562745(P2016-562745)
(86)(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公表番号】特表2017-515034(P2017-515034A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015077813
(87)【国際公開番号】WO2016091607
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】102014225642.9
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト シュミッツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル マウアー
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ツァービヒ
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/098249(WO,A1)
【文献】 特開昭61−006475(JP,A)
【文献】 特開2012−255433(JP,A)
【文献】 特表2015−504130(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0083948(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0255636(US,A1)
【文献】 特開昭48−029020(JP,A)
【文献】 特開平09−280386(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0070124(US,A1)
【文献】 実開平3−77871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 59/00−59/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃料噴射システム(10)用の弁装置(24)であって、
弁ディスク(55)に配置された少なくとも1つの弁開口(54)であって、前記弁ディスク(55)によって互いに分離されている第1の弁ディスク側(60)と、該第1の弁ディスク側(60)とは反対の側に位置する第2の弁ディスク側(76)とを互いに流体接続する、弁開口(54)と、
前記弁開口(54)を開閉するための、所定の運動方向(57)に沿って可動な、変形可能な弁プレート(56)であって、前記弁開口(54)を閉鎖するために、前記第1の弁ディスク側(60)で弁ディスク表面(58)に当て付けられるようになっている、弁プレート(56)と、
前記弁プレート(56)の、前記運動方向(57)に沿った運動を作動するための運動作動装置(72)であって、前記弁プレート(56)に固定されている弁軸部(52)を有している、運動作動装置(72)と、
を備え
前記弁プレート(56)は、ばねエレメント(70)として形成されており、該ばねエレメント(70)のばね力は、前記第2の弁ディスク側(76)とは反対に向けられた第1の弁プレート側(84)から前記弁プレート(56)に作用する力とは反対に向けられており、これによって、前記弁プレート(56)は、前記弁開口(54)を開放した状態に保っていることを特徴とする、内燃機関の燃料噴射システム(10)用の弁装置(24)。
【請求項2】
前記弁軸部(52)は、前記弁プレート(56)にねじ結合部(80)を介して固定されており、ねじエレメント(82)は、前記第1の弁プレート側(84)で前記弁プレート(56)に載置され、前記弁プレート(56)を貫通することを特徴とする、請求項1記載の弁装置(24)。
【請求項3】
前記弁軸部(52)は、溶接結合部(86)を介して前記弁プレート(56)に固定されており、前記溶接結合部(86)の溶接シーム(88)は、前記第2の弁ディスク側(76)に向けられた第2の弁プレート側(90)に配置されており、前記溶接シームは、前記弁開口(54)が開放したままになるように該溶接シームが前記弁プレート(56)に圧力を作用させるように形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の弁装置。
【請求項4】
前記弁プレート(56)には、スリーブ状の収容エレメント(92)が配置されており、該収容エレメント(92)は、前記弁軸部(52)に係合しており、
前記収容エレメント(92)は、前記弁軸部(52)に圧着されているか、
前記収容エレメント(92)は、スナップリング(104)によって形成されているか、
前記収容エレメント(92)は、前記第2の弁ディスク側(76)とは反対に向けられた第1の弁プレート側(84)に背後から係合するクリップエレメント(106)により形成されているか、または
前記収容エレメント(92)は、前記弁プレート(56)の弁プレート開口(98)の開口壁(100)により形成されている
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁装置(24)。
【請求項5】
前記弁プレート(56)は、前記弁軸部(52)の、前記第1の弁ディスク側(60)に向けられた端部(79)に統合されて形成されているか、または
前記弁プレート(56)は、係合軸部(108)を有しており、該係合軸部(108)は、前記弁開口(54)を貫通して前記弁軸部(52)の切欠き(110)に係合し、前記係合軸部(108)は、前記弁プレート(56)を貫通して、溶接結合部(86)を介して、前記第1の弁プレート側(84)では第1の弁プレート表面(112)で、かつ前記第2の弁プレート側(90)では第2の弁プレート表面(114)で前記弁プレート(56)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1記載の弁装置(24)。
【請求項6】
前記ばね力は、前記弁装置(24)の運転中の前記第1の弁プレート側(84)での最大の液圧的な力に相当する予め規定された力よりも大きいことを特徴とする、請求項記載の弁装置(24)。
【請求項7】
前記弁プレート(56)は、前記弁ディスク(55)に少なくとも部分的に固定されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁装置(24)。
【請求項8】
前記運動作動装置(72)は、固定された磁極片(46)を有する電磁アクチュエータ(44)と、前記弁軸部(52)に結合された、作動エレメントとしてのアーマチュア(48)とを備え、前記アーマチュア(48)および前記磁極片(46)は、前記弁装置(24)の全ての運転位置において互いに間隔を空けて配置されており、前記弁プレート(56)によって形成されたばねエレメント(70)が設けられており、該ばねエレメント(70)は、前記アーマチュア(48)に、前記磁極片(46)に対して最大の間隔(64)を有する静止位置に向かって予荷重をかけていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁装置(24)。
【請求項9】
内燃機関の燃料噴射システム(10)用の高圧ポンプ(18)であって、該高圧ポンプ(18)は、燃料(12)に高圧を加えるための圧力室(32)と、前記燃料(12)を前記圧力室(32)内に流入させるための流入弁(28)と、を備え、
前記流入弁(28)が、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁装置(24)によって形成されており、前記圧力室(32)は、前記第1の弁ディスク側(60)に形成されていることを特徴とする、内燃機関の燃料噴射システム(10)用の高圧ポンプ(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料噴射システム用の弁装置と、そのような弁装置を有するそのような燃料噴射システム用の高圧ポンプとに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料噴射システムでは、噴射したい燃料に高い圧力を加える高圧ポンプを使用することが知られている。このような高い圧力を加えられた燃料は、次いでインジェクタを介して内燃機関の燃焼室内に噴射される。燃料における高い圧力は、内燃機関のエミッション値、特にたとえばCO2エミッションにポジティブに作用する。このことから、ガソリンを燃料として使用する内燃機関では、燃料内で200バールから300バールの範囲の圧力を達成するように努められる一方で、ディーゼル内燃機関では、燃料内で2000バールから3000バールもの圧力範囲を達成するように努められる。
【0003】
燃料に所望の圧力を加えるために、高圧ポンプは、大抵の場合プランジャを有している。プランジャは、圧力室の容積を拡大かつ縮小し、この縮小時に、燃料の所望の圧力を達成すべくこの燃料を圧縮する。圧力室には、複数の弁が配置されている。すなわち、一方では、燃料が圧縮される前に燃料を圧力室内に流入させる流入弁が配置され、他方では、圧縮された燃料を圧力室から管路内へと流出させる流出弁が配置されている。管路は、燃料を次いでたとえばコモンレールを介してインジェクタへと案内する。
【0004】
高圧ポンプによって達成することができる高い圧力のために、上述の弁の閉鎖エレメントはしばしば中実に形成されており、実施可能である2つの中実の実施形態を挙げるためだけに云えば、たとえばボール弁またはきのこ形弁体として形成されている。
【0005】
このような弁エレメントは、高圧ポンプ内に形成された圧力に対して極めて頑丈であるが、弁エレメントに作用する力に対して比較的緩慢にしか反応しない。
【0006】
高圧ポンプは、しばしば1分間に数千回のストロークの範囲で作動するので、迅速に開閉可能な、特に圧力室内への燃料の流入のために比較的迅速に切り換わる弁を提供することが望まれている。
【0007】
したがって、たとえば、ボール弁または中実なきのこ形の閉鎖エレメントの代わりに、線条加工した弁プレートを使用することが知られている。この弁プレートは変形可能であり、その変形によって各弁を開閉することができる。このような装置は、たとえば欧州特許出願公開第1724467号明細書に記載されている。
【0008】
欧州特許出願公開第1724467号明細書に記載されている弁プレートは、高圧ポンプの圧力室内にある燃料の差圧に基づいて開閉する。圧力室内の圧力が、圧力室に対して上流側に配置された吸込み領域内の圧力よりも大きな場合に、弁プレートは閉鎖し、これに対して、吸込み領域の圧力が圧力室内の圧力よりも大きな場合に、弁プレートは開放する。弁プレートを意図的に開放したままにすることができるように、弁プレートは、弁軸部によって、吸込み領域内の圧力よりも高い圧力室内の圧力に抗して開放位置へと押圧される。これによって、高圧ポンプの吐出出力を調節することができる。吐出出力に手動で影響が与えられないと、弁軸部は戻るように走行して弁プレートに接触しなくなるので、この弁プレートは圧力室内に占めている圧力に基づいて閉じることができる。
【0009】
全ての公知の装置は、その装置の運転が、切換時に高い騒音発生の原因となるという欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、この問題を克服した弁装置および高圧ポンプを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する弁装置によって解決される。
【0012】
このような弁装置を有する高圧弁は、別の独立請求項に記載されている。
【0013】
本発明の有利な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【0014】
内燃機関の燃料噴射システム用の弁装置は、弁ディスクに配置された少なくとも1つの弁開口を有している。弁開口は、弁ディスクによって互いに分離されている第1の弁ディスク側と、第1の弁ディスク側とは反対の側に位置する第2の弁ディスク側とを互いに流体接続する。さらに弁装置は、弁開口を開閉するための、所定の運動方向に沿って可動な変形可能な弁プレートを有している。この弁プレートは、弁開口を閉鎖するために、第1の弁ディスク側で弁ディスク表面に当て付けられるようになっている。加えて、運動方向に沿った弁プレートの運動を作動するための運動作動装置が設けられている。運動作動装置は、弁プレートに固定されている弁軸部を有している。
【0015】
上記の弁装置は、弁プレートが弁ディスク表面に当て付けられると、弁軸部の運動長さが弁プレートによって制限される、という利点を有している。これによって、弁軸部が運転中に、たとえば弁軸部の運動を作動させる弁装置の領域に衝突することが阻止される。これは、運転時の弁装置の騒音発生を減少させる。加えて、弁装置の、さもなければ互いに当接する構成要素の表面を保護するコーティングまたは手間のかかる加工を回避することができる。
【0016】
この弁装置はさらに、たとえば圧力室の中心への弁プレートの吸込みを阻止するためのストッパまたは弁ディスクへの直接的な弁プレートの取付け部のような、弁プレートを所定の位置に保持するための付加的な保持手段がもはや不要である、という利点を有している。
【0017】
弁軸部が弁開口を貫通していると特に有利であり、これによって弁軸部を弁プレートに特に簡単に結合させることができる。さらに、弁軸部が弁プレートの中心領域に固定されていると有利であり、これにより、弁軸部から弁プレートへの力導入を有利には対称的に実現することができる。
【0018】
弁ディスクが複数の開口を有していると有利である。弁プレートは、この弁プレートが閉鎖位置で全ての弁開口を同時に閉鎖することができるように形成されている。弁プレートは、円形または角形に形成されていてよく、弁プレートが弁ディスク表面に当て付けられている場合に、弁プレートが全ての弁開口を閉鎖すると有利である。切欠きを有するように弁プレートを構成することも可能であり、これによって、弁プレートをさらに強く変形可能にすることができる。この場合、複数の弁開口のために、有利には、これら複数の弁開口を閉鎖することができる、対応する複数の弁プレート領域が設けられていることが望ましい。
【0019】
弁軸部がねじ結合部を介して弁プレートに固定されていると有利であり、この場合、ねじエレメントは、特に第2の弁ディスク側とは反対に向けられた第1の弁プレート側で弁プレートに載置して、この弁プレートを貫通する。構成要素のねじ結合部は、圧力室の高い圧力負荷によって結合部に作用する高い負荷に十分に耐えることができる。加えて、ねじエレメントが弁プレートに載置されていると有利であり、たとえば弁プレートに載置され、これにより弁プレートをその運動中に支持するねじ頭を有していると有利である。これにより、線条加工された弁プレート全体を同様に有利には頑丈に構成することができる。
【0020】
追加的にまたは代替的に、溶接結合部を介して弁軸部が弁プレートに固定されていることも考えられる。溶接結合部も高い安定性を提供し、したがって有利には、結合部の継続的な強度のために貢献する。圧力室から弁プレートに作用する力に抗して溶接結合部が弁プレートに予荷重を加えることができるように、つまり、圧力室の方向に向かう圧力を弁プレートに作用させることができるように、このような溶接結合部が配置されていると、特に有利である。これによって、弁プレートの開放位置が高圧ポンプの圧送行程の間に付加的に支援される。
【0021】
追加的にまたは代替的に、弁軸部に係合しているスリーブ状の収容エレメントが弁プレートに配置されている。これによって、弁プレートと弁軸部との間で有利な形状接続部を提供することができる。この形状接続部は、やはり結合部の継続的な強度のために貢献することができる。
【0022】
この場合、たとえば収容エレメントは、弁軸部との形状接続部、つまり形状に基づく嵌合を形成するために圧着されていてよい。この場合に形成された縁曲げ箇所は、結合部の特に有利な密閉性のために作用する。
【0023】
しかし、弁軸部に係合しているスナップリングを設けることも可能である。
【0024】
さらに、代替的に、収容エレメントがクリップエレメントによって形成されていてもよい。クリップエレメントは弁プレートに背後から係合し、これにより弁プレートと弁軸部との間の確実な結合を保証する。
【0025】
収容エレメントを、弁プレートに配置されかつ開口壁を有する弁開口によって形成することも可能である。開口壁は、弁軸部に係合する。この実施の形態は特に簡単に製造することができる。
【0026】
しかし、代替的に、弁プレートは、弁軸部の、第1の弁ディスク側に向けられた端部に統合されて形成されていてもよい。このことは、結合部の潜在的な破損箇所が回避され得るという利点を有している。
【0027】
しかし、代替的に、弁プレートが係合軸部を有していてもよい。係合軸部は、弁開口を貫通して、弁軸部に設けられた切欠きに係合し、これによって、弁軸部の端部との形状接続部を介して頑丈な結合部を形成することができる。係合軸部が、弁プレートをも貫通し、さらに有利には溶接結合部を介して弁プレートに取り付けられていると特に有利である。この場合、唯1つの溶接結合部のみが弁プレートに設けられているのではなく、2つの弁プレート表面においてそれぞれ1つの溶接結合部が弁プレートを係合軸部に結合していると特に有利である。このことは、係合軸部、弁プレート、ひいては弁軸部の特に確実かつ堅固な結合を保証する。
【0028】
弁プレートがばねエレメントとして形成されていると有利である。ばねエレメントのばね力は、第1の弁プレート面から弁プレートに作用する力とは反対に向けられている。たとえば、弁プレートは、皿ばねまたは板ばねとして形成されていてよい。弁プレートを、少なくとも1つの弁開口を閉鎖することができる閉鎖エレメントを有するコイルばねまたは円錐ばねとして形成することも可能である。
【0029】
この場合、有利には、弁プレートのばね力は、弁装置の運転中の第1の弁プレート側での最大の液圧的な力に相当する予め規定された力よりも大きい。つまり、高圧ポンプが燃料を圧送する場合、弁プレートは、圧力を加えられた燃料によって形成される力に十分に抵抗することができ、これにより、開放位置に留まることができる。この予め規定された力は、ポンププランジャによって燃料が最大限に圧縮されている場合に燃料によって作用される力に相当していてよい。これによって、弁軸部の破損時に弁プレートが弁開口を閉鎖することを阻止できると有利であり、これによって高圧ポンプはもはや完全圧送状態になり得ない。この実施の形態では、弁軸部が弁プレートを閉鎖位置へ移動するために設けられていると、つまり、弁装置が弁プレートの作動なしに開放されていると、特に有利である。
【0030】
有利には、弁プレートは少なくとも部分的に弁ディスクに固定されている。これによって、たとえばばねエレメントとして形成された弁プレートを特に簡単に弁ディスクにおいて支持することができる。弁ディスクにおける弁プレートの固定は、弁プレートの領域における高い圧力に耐え得る、たとえば溶接および/または加硫および/または接着または類似の結合法によって実現することができる。
【0031】
有利な態様では、運動作動装置は、固定された磁極片と、弁軸部に結合された、作動エレメントとしてのアーマチュアとを有する電磁アクチュエータを備えている。弁軸部は、この場合アーマチュアに結合されており、特にアーマチュアに統合されて形成されている。電磁アクチュエータは、通電時にアーマチュアと、このアーマチュアに取り付けられた弁軸部とを、弁プレートの運動方向に沿って移動させる。これによって、同時に弁プレートを開放位置から閉鎖位置へ、かつ閉鎖位置から開放位置へと走行させる。この装置は、弁プレートが通電時に閉鎖されるように形成されていてよいが、弁プレートが通電時に開放するように形成されていてもよい。運動作動装置は、弁装置の全ての運転位置において、アーマチュアと磁極片とが互いに対して間隔を空けて配置されるように形成されている。このことは、弁装置の切換え時に、アーマチュアと磁極片とがもはや接触せず、これにより弁装置の騒音放出を著しく減じることができるという利点を有している。
【0032】
この場合、アーマチュアと磁極片とを互いに間隔を空けて保持するばねエレメントが設けられていると有利である。ばねエレメントは、特に有利には、弁プレートにより形成されている。特に有利な態様、つまり通電していない場合に開放する弁装置の実施の形態では、弁プレートがそのばね力によって、磁極片から最大の間隔を空けた静止位置にアーマチュアを保持する。
【0033】
内燃機関の燃料噴射システム用の高圧ポンプは、燃料に高圧を加えるための圧力室と、圧力室内に燃料を流入させるための流入弁とを有している。流入弁は、上述のような弁装置によって構成される。圧力室は、第1の弁ディスク側に形成される。
【0034】
本発明の有利な態様を、添付の図面に基づき以下で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】高圧ポンプと該高圧ポンプに配置された弁装置とを備える、内燃機関の燃料噴射システムの概略図である。
図2図1に示した高圧ポンプおよび該高圧ポンプに配置された弁装置の縦断面図である。
図3図2に示した高圧ポンプの縦断面を、弁装置が完全に開放した状態で示す第1の概略図である。
図4図2に示した高圧ポンプの縦断面を、弁装置が完全に開放した状態で示す第2の概略図である。
図5図2に示した高圧ポンプの縦断面を、弁装置が完全に閉鎖した状態で示す第3の概略図である。
図6図3から図5に示した弁装置の縦断面図の第1の詳細図である。
図7図3から図5に示した弁装置の縦断面図の第2の詳細図である。
図8図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第1の結合可能性を示す概略図である。
図9図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第2の結合可能性を示す概略図である。
図10図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第3の結合可能性を示す概略図である。
図11図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第4の結合可能性を示す概略図である。
図12図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第5の結合可能性を示す概略図である。
図13図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第6の結合可能性を示す概略図である。
図14図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第7の結合可能性を示す概略図である。
図15図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第8の結合可能性を示す概略図である。
図16図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第9の結合可能性を示す概略図である。
図17図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第10の結合可能性を示す概略図である。
図18図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第11の結合可能性を示す概略図である。
図19図6および図7に示した弁装置の弁プレートと、弁装置の弁軸部との第12の結合可能性を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、内燃機関の燃料噴射システム10の概略図を示している。燃料噴射システム10は、燃料12をタンク14から一次供給ポンプ16、高圧ポンプ18および燃料高圧アキュムレータ20を介して複数のインジェクタ22へと搬送する。これらのインジェクタ22は、次いで燃料12を内燃機関の燃焼室内に噴射する。
【0037】
燃料12は、弁装置24を介して高圧ポンプ18内に導入され、別の弁26を介して加圧されたまま高圧ポンプ18から出される。
【0038】
図2は、流入弁28としての弁装置24および流出弁30としての弁26を備えた高圧ポンプ18の縦断面を示している。流入弁28としての弁装置24および流出弁30としての弁26は、高圧ポンプ18の圧力室32に配置されている。高圧ポンプ18の運転中に、並進運動を実施するプランジャ34は、圧力室32の容積を周期的に変化させる。プランジャ34は、カムシャフト36により駆動される。本実施の形態では、カムシャフト36は、タペット38を介してプランジャ34に作用するように接触している。
【0039】
図3から図5は、高圧ポンプ18の運転中のプランジャ34および流入弁28の種々異なる運転状態を、高圧ポンプ18の縦断面で概略的に示している。
【0040】
流出弁30は、本実施の形態では単純な逆止弁40として形成されている。逆止弁40は、圧力室32内で優勢となる圧力に基づいて受動的に開放し、その圧力が下方に圧力降下した場合に自動的に再び閉鎖する。
【0041】
本実施の形態では、流入弁28は、能動的な電磁弁42として形成されている。電磁弁42は、固定された磁極片46と、作動エレメント50としての可動のアーマチュア48とを有する電磁アクチュエータ44を備えている。アーマチュア48には、弁軸部52が取り付けられている。弁軸部52は弁ディスク55の弁開口54を貫通しており、弁軸部52には弁プレート56が取り付けられている。弁プレート56は、磁極片46に向かう方向に移動させられると、弁ディスク55の第1の弁ディスク側60で弁ディスク表面58に当て付けられて、これにより弁開口54を閉鎖することができる。本実施の形態では、流入弁28は、通電なしに開放される流入弁28である、つまり、電磁弁42に通電されていない場合、磁極片46とアーマチュア48とは、ばね62によって互いに対して最大の間隔64を空けて配置されているので、弁プレート56は開放位置に位置している。同時に、プランジャ34は、矢印Pで示唆されているように、その下死点に向かう途中に位置している。プランジャ34の運動と、弁プレート56の開放位置とによって、矢印Pで示されているように、燃料12が高圧ポンプ18の圧力室32内に流入する。流出弁30はその閉鎖位置にある。
【0042】
図4には、プランジャ34がその上死点に向かってどのように接近するかが、縦断面で概略的に図示されている。弁プレート56は、圧縮ばね62のばね力に基づいて、引き続き開放位置に留まっている。なぜならば、プランジャ34によって圧力室32内に構築された圧力がいまだに圧縮ばね62のばね力に打ち勝ち、弁プレート56を閉鎖するには十分ではないからである。流出弁30も、いまだにその閉鎖位置に位置している。弁プレート56の開放位置により、燃料12は再び流入弁28を通じて圧力室32から流出する。
【0043】
図5では、プランジャ34がその上死点の直前に位置していて、圧力室32内でプランジャ34の運動によって形成されている圧力は、弁プレート56を閉鎖するために十分である。同時に、この圧力は、流出弁30を開放するためにも十分である。
【0044】
圧縮ばね62のばね力によって、高圧ポンプ18が完全圧送状態で作動することは回避される、つまり、弁プレート56の即座の閉鎖によって、圧力室32内に流入した全ての燃料12に圧力が加えられ、これにより、圧力室32の下流側に続く全ての構成要素が負荷されることが回避される。
【0045】
弁プレート56は、弁プレート56が変形可能であるように薄く形成されている。さらに、弁プレート56は、弁開口54を閉鎖するために、弁軸部52の長手方向軸線に沿って配向されている所定の運動方向57に沿って運動する。
【0046】
図6および図7は、互いに異なる2つの実施の形態の、流入弁28として形成された弁装置24の縦断面を示している。
【0047】
図6は、圧縮ばね62を有している装置を示しているのに対して、図7では、弁プレート56自体がばねエレメント70として形成されているので、圧縮ばね62を省略することができる。
【0048】
電磁弁42の構成要素、すなわち磁極片46およびアーマチュア48、ならびに弁軸部52は、共に運動作動装置72を形成している。この運動作動装置72は、弁プレート56を能動的に移動させることができる。弁装置24が開放した弁として実装されている場合、運動作動装置72は、通電時に弁プレート56を閉鎖位置へと移動させる。しかし、弁装置24が通電なしで閉鎖する弁として実装されている場合、運動作動装置72は、弁プレート56を通電時に開放位置へと移動させる。圧力室32を吸込み管路74から分離するために、弁ディスク55が設けられている。この弁ディスク55は、圧力室32の側の第1の弁ディスク側60を、吸込み管路74側の第2の弁ディスク側76から分離している。両方の弁ディスク側60,76は、弁開口54によって互いに流体接続されている。この流体接続を遮断するために、弁プレート56が設けられている。弁プレート56は変形可能に形成されており、第1の弁ディスク側60で弁ディスク表面に密着することができ、これによって、弁開口54を密に閉鎖することができる。
【0049】
弁軸部52および弁プレート56が互いに堅固に取り付けられていることによって、磁極片56と、弁軸部52に結合されているアーマチュア48とは、弁装置24の全ての運転位置において互いに対して間隔を空けている。弁プレート56による弁開口54の完全な閉鎖時に、弁軸部52に取り付けられているアーマチュア48が磁極片46に衝突しないように、弁軸部52が短く形成されている場合、両構成エレメント、すなわち磁極片46とアーマチュア48との間で常に間隔64が達成される。これによって、弁装置24の運転中のうるさい衝突音を回避することができる。
【0050】
図6および図7には、弁装置が通電なしで開放している弁として実装されている実施形態がそれぞれ示されている。図6では、圧縮ばね62が、弁装置24の静止位置でアーマチュア48を磁極片46に対して最大の間隔64を空けるように保持していて、ひいては弁プレート56を開放位置に留めている。
【0051】
これに対して図7では、圧縮ばね62が設けられているのではなく、弁プレート56自体がばねエレメント70として形成されている。ばねエレメント70のばね力は、圧力室32から弁プレート56に作用する力に抗して作用し、ひいてはそれ自体で開放した状態に保っている。これによって、アーマチュア48と磁極片46との間の圧縮ばね62を省略することができる。
【0052】
弁プレート56が弁軸部52に結合されておらず、弁プレート56がばねエレメント70として形成されていない場合には、後続の構成要素の上述した負荷軽減は、たとえば弁軸部52が破損することによる機能不全を有するまでの間しか機能しない。弁軸部52が弁プレート56に結合されていないので、破損によって、弁軸部52は、弁プレート56を開放位置に保持することができなくなり、弁プレート56は、圧力室32内で小さな圧力が構築されただけで即座に閉鎖されるであろう。これによって、高圧ポンプ18は完全圧送状態となる。このことは、通常、高圧ポンプ18の完全圧送時に後続の構成要素を負荷軽減する安全弁を設けることを必要とする。
【0053】
しかし今、弁軸部52を弁プレート56に結合し、弁プレート56をばねエレメント70として形成することが規定されている。今や、弁軸部52が破損した場合に、弁装置24は持続的に開放された状態に留まるので、圧力室32の下流の後続の構成要素において過大な圧力が生じることはない。
【0054】
高圧ポンプ18は、もはや完全圧送状態にならず、弁プレート56は持続的に開放位置に留まるので、圧力を加えられた燃料12は再び吸込み管路74へと戻るように流れることができ、燃料噴射システム10の、高圧ポンプ18の下流側に続く構成要素は負荷されない。
【0055】
これにより、高圧ポンプ18の完全圧送時にシステムを負荷軽減するための付加的な安全弁を省略することができる。
【0056】
加えて、弁装置24からの燃料の流出時に、ばねエレメント70のばね力は、弁軸部52があまり高速で弁ディスク55に衝突しないように作用する。というのは、衝突速度、ひいてはエネルギが小さくなるからである。このことも弁装置24の騒音発生の減少に貢献する。
【0057】
弁装置24の上述の機能形式を弁軸部52の機能損失時にも保証することができるように、弁プレート56のばね力が、以下のように設計されていると有利である。すなわち、弁プレート56のばね力は、加圧された燃料12によって弁プレート56に作用する最大の液圧的な力よりも大きいようにされる。これによって、弁プレート56は、運動作動装置72によって移動されなくても持続的に開放位置に留まるので、高圧ポンプ18の完全圧送状態は生じ得ない。これによって、弁軸部52の破損時でさえも弁プレート56は開放位置に留まるので、たとえば別の安全弁も省略することができる。
【0058】
弁プレート56は、安定化のために、有利には少なくとも部分的に、周縁部78において弁ディスク55に結合されていてよい。
【0059】
図8から図18までは、弁軸部52の、弁プレート56における固定がどのように実施されているのかの種々異なる実施の形態を概略的に示している。
【0060】
全ての実施の形態において、弁軸部52の、第1の弁ディスク側60に向けられた端部79が、弁プレート56の中心領域81に配置されるように、弁軸部52が弁プレート56に結合されていると有利である。
【0061】
図8は、ねじ結合部80を示している。ねじ結合部80では、ねじエレメント82が、弁プレート56を、第2の弁ディスク側76とは反対に向けられた第1の弁プレート側84から貫通して、弁プレート56に載置している。ねじエレメント82は、次いで弁軸部52内にねじ込まれている。
【0062】
図9は、弁軸部52が、溶接結合部86を介して弁プレート56に結合されている実施の形態を示している。この場合、溶接結合部86の溶接シーム88は、この溶接シーム88が、第1の弁プレート側84とは反対の側に位置する第2の弁プレート側90に位置していて、かつ溶接シーム88が、弁プレート56によって閉鎖されるであろう弁開口54が開放したままであるように、弁プレート56に圧力を作用させるように、配置されている。
【0063】
弁軸部52の端部79が、弁プレート56の中心領域81に配置されていることによって、かつ溶接シーム88が弁プレート56に圧力を作用させることによって、弁プレート56には予荷重が加えられており、ばねエレメント70として、第1の弁プレート側84から弁プレート56に作用する力に抗して作用する。
【0064】
図10から図16は、弁軸部52を弁プレート56に結合するために使用されるスリーブ状の収容エレメント92を備えた実施の形態を概略的に示している。
【0065】
図10では、スリーブ状の収容エレメント92がスリーブ94によって形成されている。スリーブ94は、第1の弁プレート側84に取り付けられている。図11は、スリーブ状の収容エレメント92として弁プレート56に配置された縁曲げ箇所96を示している。縁曲げ箇所96では、弁軸部52が収容エレメント92に圧着されて、したがって形状接続によって結合されている。図12に示すように、単に弁プレート開口98を弁プレート56の中心領域81に設けることも可能であり、この場合、弁軸部52は弁プレート開口98の開口壁100に係合している。図13は、スリーブ状の収容エレメント92として、打抜き屈曲部102が弁プレート56に形成されている実施の形態を示している。図14では、スリーブ状の収容エレメント92として、スナップリング104が使用されている。スナップリング104は、弁軸部52に係合している。図15は、スリーブ状の収容エレメント92として、追加的なクリップエレメント106が使用されている装置を示している。クリップエレメント106は、弁プレート56の中心領域81の弁プレート開口98内にクリップ結合されており、クリップエレメント106内には弁軸部52が挿入されている。図16は、弁プレート56に溶接されているスリーブ状の収容エレメント92を示している。弁ディスク55は角度を付けて形成されているので、弁プレート56に予荷重を加える必要なしに、変形可能な弁プレート56のばね力が自動的に生じる。図17および図18は、それぞれ弁軸部52に統合されて形成されている弁プレート56を示している。図19では、弁プレート56は、この弁プレート56に溶接された係合軸部108を有している。該係合軸部108は、弁開口54を貫通し、弁軸部52の切欠き110内に係合する。係合軸部108は、弁プレート56を貫通して、第1の弁プレート表面112だけでなく第2の弁プレート表面114でも弁プレート56に取り付けられていると有利である。
【0066】
上述の弁装置24により、幾つかの実施の形態において構成部分コストを削減することができる。なぜならば、圧縮ばね62が省略され、かつたとえば弁プレート56のための保持部も省略できるからである。したがって、通常、高圧ポンプ18の故障リスクが低減する。加えて、加工コストも削減され得る。なぜならば、たとえば磁極片46とアーマチュア48との間の持続的な間隔64のおかげで、両構成要素はクロムコーティングおよび表面加工をもはや必要としないからである。弁装置24の運転中の騒音発生も全体的に著しく減じることができる。運転中の出力消費量を比較的小さくすることが可能であるので、切換時間が最適化され、車両の較正の最適化も達成することができる。全体的に、弁装置24の頑丈さ、ひいては高圧ポンプ18の頑丈さも向上する。低圧領域における液圧的な脈動も減じられ、通常は存在する安全弁も省略することができる。出力消費量を小さくすることも達成される。なぜならば、弁装置24は、もはや完全に切り換えられる必要がなく、実施の形態においてばねエレメント70としての弁プレート56の使用により、行程が著しく小さくなるからである。これにより、磁極片46にアーマチュア48が衝突する電流経過の時点で車両較正が行われる必要がなく、単に、弁プレート56が完全にその閉鎖位置に位置している時点で較正が行われる。磁極片46およびアーマチュア48のクロム層を省略できるので、ここでも摩耗は生じない。さらに、圧縮ばね62、またはかつて固定されていない弁プレート56のためのストッパとして作用していた保持エレメントにおける故障は、もはや生じ得ない。安全弁は、完全に省略されるか、または頑丈さに関して設計される必要はない。なぜならば、安全弁は、高圧ポンプ18の、いわゆるホットソークのような特別な場合のためだけに設計されればよいからである。低圧領域の脈動は著しく減じられる。なぜならば、磁極片46およびアーマチュア48は、もはや切換時に互いに衝突せず、したがってその間に位置する媒体はもはやゼロにまで押し退けられる必要がないからである。
【0067】
製造時に、弁軸部52を予め完全な弁装置構成要素に組み込むことが可能である。この場合、弁プレート56は、組み付けられた弁軸部52と共に、弁ディスク55を貫通して移動される。この装置は、次いで、高圧ポンプ18のポンプケーシング内に全体エレメントとして嵌め込むことができる。
【0068】
さらに、弁ディスク55を、ハウジング構成部分として固定的に形成加工することも可能である。これにより、圧力室の高い圧力に対してより頑丈となる。この場合、弁プレート56と、弁プレート56に組み付けられている弁軸部52とは、高圧側、つまり圧力室32から一緒に導入され、弁装置24の残りのエレメントは、別の側、つまり吸込み管路74から導入される。
【0069】
3つめの可能性として、弁ディスク55は、弁軸部52および弁プレート56から成る予め組み付けられた構成群と一緒に、構造空間に導入されてよく、次いで、支持リングが押し込まれてよい。この支持リングは、溶接シームによって固定される。
【0070】
弁プレート56が、通電されていない状態ではもはや面状ではなく、凹状の内部応力、つまりばね力を有していると特に有利である。この内部応力は、有利には、圧送段階に逆流する媒体が、弁プレート56を押し戻すことができない大きさであると有利である。この予荷重は、部分圧送時に、逆流する媒体のための流れ横断面を空けたままにすることを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19