特許第6355798号(P6355798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355798
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】耕耘装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20180702BHJP
   A01B 33/12 20060101ALI20180702BHJP
   A01B 33/08 20060101ALI20180702BHJP
   A01B 13/02 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A01B35/04 D
   A01B33/12 B
   A01B33/08 Q
   A01B13/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-115796(P2017-115796)
(22)【出願日】2017年6月13日
(62)【分割の表示】特願2016-153814(P2016-153814)の分割
【原出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-176191(P2017-176191A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安原 拓人
(72)【発明者】
【氏名】山中 貞雄
(72)【発明者】
【氏名】渡 剛
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊平
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−060935(JP,A)
【文献】 特開2011−200129(JP,A)
【文献】 特開2011−062178(JP,A)
【文献】 実開平05−009202(JP,U)
【文献】 特開2012−029608(JP,A)
【文献】 実開昭49−051714(JP,U)
【文献】 特開2012−249534(JP,A)
【文献】 特開2010−200704(JP,A)
【文献】 実開昭61−002005(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第01593837(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 3/00−25/00
A01B 27/00−31/00
A01B 33/00−33/16
A01B 35/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕起ロータと、
前記耕起ロータの上部を覆うカバーと、
可撓性を有すると共に、前記耕起ロータの後部に垂れ下がるように前記カバーの後端部に連結され、耕起された土を押圧して畝の側部を形成する平板体と、
前記平板体の後方側に配置され、前記平板体の後方側への移動を規制して、畝の側部形成時の前記平板体の折れ曲がり線を規定する第1部材と、
前記平板体の後方側に配置され、前記第1部材を前記平板体の厚み方向に沿う軸心周りで揺動可能な状態で支持する第2部材と、が備えられ、
前記第1部材の前記軸心周りの揺動によって、前記第1部材の前記第2部材からの左右方向への突出幅が変化することで、前記折れ曲がり線の位置が変更される耕耘装置。
【請求項2】
前記第1部材の姿勢を保持する保持機構が備えられている請求項1に記載の耕耘装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕起ロータと、その耕起ロータにて耕起された土を押圧して畝を成形する平板体とが備えられた耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような耕耘装置では、耕起ロータの上部を覆うカバーが備えられ、そのカバーの後端部に平板体を耕起ロータの後部に垂れ下がるように連結している。そして、平板体は、可撓性を有するゴム体等により構成されており、耕起ロータにて耕起された土を平板体にて受け止めて、平板体がその土を押圧して畝を成形している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載の耕耘装置では、平板体が、上辺及び下辺の長さが左辺及び右辺の長さよりも大きい長方形状に形成されている。そして、平板体の上端部における左半部の中途部から右半部の中途部までの部分を上中央部固定部材にてカバーの後端部に固定し、平板体の左上端部を左固定ネジにてカバーの後左端部に固定自在とし、平板体の右上端部を右固定ネジにてカバーの後右端部に固定自在としている。また、畝立て作業を行う場合には、平板体の後部に尾輪を支持する上部アーム部材を位置させ、その上部アーム部材が平板体の左右方向の中央部に当接して、平板体の後方側への移動を規制している。これにより、平板体の上端部における支持箇所の左右両端部の2点、及び、平板体の下端部における左右中央部の当接支持箇所の1点の3つの点を頂点とする三角形の外側となる部分が、後方側に弾性変形しながら、耕起された土を押圧して畝を成形するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−62178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば、どんな作物を作るか等、各種の条件に応じて、畝の形状を変えることが求められている。そこで、上記特許文献1に記載の耕耘装置では、カバーに対する平板体の上端部における左右両端部の固定点を平板体の横幅方向で変更することで、畝における溝の幅を調整するようにしている。上記特許文献1に記載の耕耘装置では、左固定ネジ及び右固定ネジを取り付けることで、カバーに対する平板体の上端部の固定点を平板体の横幅方向の左端部と右端部として、溝幅が大きな畝を成形している。また、左固定ネジ及び右固定ネジを取り外すことで、カバーに対する平板体の上端部の固定点を平板体の左半部の中途部と右半部の中途部として、溝幅が小さな畝を成形している。
【0006】
【0007】
本発明は、簡単な操作で畝の形状を変更することができる耕耘装置を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、
耕起ロータと
前記耕起ロータの上部を覆うカバーと
可撓性を有すると共に、前記耕起ロータの後部に垂れ下がるように前記カバーの後端部に連結され、耕起された土を押圧して畝の側部を形成する平板体と、
前記平板体の後方側に配置され、前記平板体の後方側への移動を規制して、畝の側部形成時の前記平板体の折れ曲がり線を規定する第1部材と、
前記平板体の後方側に配置され、前記第1部材を前記平板体の厚み方向に沿う軸心周りで揺動可能な状態で支持する第2部材と、が備えられ、
前記第1部材の前記軸心周りの揺動によって、前記第1部材の前記第2部材からの左右方向への突出幅が変化することで、前記折れ曲がり線の位置が変更されることにある。
【0009】
さらに、本発明において、前記第1部材の姿勢を保持する保持機構が備えられていると好適である。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】歩行型作業機の全体側面図
図2】歩行型作業機の全体平面図
図3】耕耘装置の縦断側面図
図4】耕耘装置の背面図
図5】畝立て作業時の耕耘装置の背面図
図6】耕耘装置の要部の縦断側面図
図7】第2実施形態における耕耘装置の背面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る耕耘装置を歩行型作業機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示すように、歩行型作業機は、ミッションケース1の下部の右及び左側部に車軸2が備えられ、右及び左の車軸2に走行用の車輪3が連結されており、ミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4にエンジン5が支持されて構成されている。
【0020】
ミッションケース1の上部から斜め後方下方に伝動ケース6が延出されて、伝動ケース6から斜め後方上方に操縦ハンドル7が延出されており、伝動ケース6の後部に耕耘装置8が備えられている。
【0021】
図1及び図3に示すように、耕耘装置8は、伝動ケース6の下部から右及び左側に延出された駆動軸9に固定された複数の正逆転爪10(耕起ロータに相当する)と、その正逆転爪10の上方を覆うカバー11と、抵抗体12と、平板体19とを備えている。右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10は、通常は正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動されるが、逆転方向(図3の矢印A2の方向)にも回転駆動可能となっている。
【0022】
図2及び図3に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aと、その天井部11aの右及び左側部に連結された扇形状の横壁部11bとが備えられ、伝動ケース6の上方、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10の上方を覆うように構成されている。カバー11の支持については、伝動ケース6のブラケット(図示省略)にカバー11の天井部11aが連結されている。
【0023】
図3に示すように、伝動ケース6には、後方に延出された第1ブラケット13が固定されており、その第1ブラケット13の後端部に縦向き姿勢の第2ブラケット14が固定されている。第2ブラケット14は、幅狭の角パイプ状に形成されており、天井部11aの開口部から上方に突出するように配設されている。第2ブラケット14の上部には、横方向に延びる平面視コ字状の第3ブラケット15が固定されている。抵抗体12は、縦向き姿勢の第2ブラケット14を貫通する状態でカバー11よりも上方側から下方側に亘って延びるように備えられている。そして、図2及び図3に示すように、抵抗体12を第2ブラケット14に固定するためのL字状の固定ピン16が、第3ブラケット15にスライド自在及び回転自在に支持されている。第3ブラケット15には、固定ピン16を第2ブラケット14の開口部から挿入側に付勢するバネ17が備えられている。
【0024】
図3に示すように、抵抗体12は細長い棒状に構成されている。抵抗体12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12aが開口されている。また、抵抗体12の下端には、板状の基板18が、抵抗体12の延伸方向と直交する姿勢で、機体の後方側に張り出すようにして設けられている。
【0025】
図3では、抵抗体12が第2ブラケット14に挿入されて、固定ピン16が抵抗体12の固定孔12aの一つに挿入され、抵抗体12が第2ブラケット14に固定された状態を示している。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗体12が位置しており、カバー11の天井部11aの後端部分の横方向中央部の下方に基板18が位置している。
【0026】
抵抗体12は、圃場面(地面)に接地して耕耘装置8の圃場面に対する高さを設定する。即ち、抵抗体12の下端が圃場面に接地することにより、耕耘装置8の圃場面に対する高さが決められる。
【0027】
耕耘装置8の圃場面に対する高さは、種々に変更することができる。例えば、耕耘装置8の圃場面に対する高さをより低く設定したい場合には、固定ピン16を抵抗体12の固定孔12aから引き抜き、約90度回転させて、第3ブラケット15の上部の折り曲げ部に掛けて引き抜き状態に保持する。そして、抵抗体12を上方向に移動させ、固定ピン16を引き抜いた固定孔12aよりも下方に位置する別の固定孔12aに再び挿入して抵抗体12を固定する。これにより、耕耘装置8に対する抵抗体12の高さがより高い位置に変更されるため、耕耘装置8の圃場面に対する高さがより低く設定される。一方、耕耘装置8の圃場面に対する高さをより高く設定したい場合には、上述の動作と逆に、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗体12を下方向に移動させ、引き抜いた固定孔12aより上方に位置する別の固定孔12aに再び挿入して抵抗体12を固定する。
【0028】
図4に示すように、平板体19は、長方形状の可撓性を有するゴム板等により構成されており、その横幅がカバー11の横幅と略同じ大きさに設定されている。そして、平板体19は、正逆転爪10の後部に垂れ下がるようにカバー11の後端部に連結されている。平板体19の連結については、ヒンジ部材20によってカバー11の天井部11aの後端部に上下揺動自在に連結されている。
【0029】
ヒンジ部材20は、平板体19の横幅方向の中央部を中心として左右対称となる位置に左右一対配置されている。左右一対のヒンジ部材20は、カバー11側に固定する第1ヒンジ部21と、平板体19側に固定する第2ヒンジ部22とを備えており、第2ヒンジ部22は、第1ヒンジ部21に対して揺動自在に枢支連結されている。図4及び図6に示すように、第1ヒンジ部21は、カバー11と第1固定部材23とで挟み込まれた状態で、固定用の第1挿通孔を挿通させた第1ボルトとナットNの締結により、カバー11の裏面側(前方側)に固定されている。第1固定部材23は、板状の板金部材にて構成されており、カバー11の横幅方向で左右の第1ヒンジ部21に亘るように備えられている。そして、第1ヒンジ部21と第1固定部材23は共締めにより固定されている。第2ヒンジ部22は、平板体19とで第2固定部材24を挟み込む状態で、固定用の第2挿通孔を挿通された第1ボルトとナットNの締結により、平板体19の後方側(後面部)に固定されている。第2固定部材24は、板状の板金にて構成されており、平板体19の横幅方向で左右の第2ヒンジ部22に亘るように備えられている。
【0030】
このように、平板体19をカバー11の後端部に揺動自在に連結するに当たり、第1固定部材23及び第2固定部材24を備えることで、連結部分の補強を行うことができる。また、第2固定部材24は、ヒンジ部材20によってカバー11の後端部に連結されているので、第2固定部材24によって平板体19の上端部で横幅方向中央部が後方側に移動するのを規制することができる。
【0031】
図4に示すように、平板体19の後方側で左右方向中央部には、その上端側における上端側支持点S1とその下端側における下端側支持点S2とに亘って配置され、平板体19の後方側への移動を規制する左右一対の第1支持体25(本発明の「第1部材」に相当する)が備えられている。左右一対の第1支持体25は、平板体19の横幅方向に幅を有する板金の板状体にて構成されており、上端側支持点S1と下端側支持点S2とを一直線上に結ぶ直線状に形成されている。
【0032】
また、平板体19の後方側には、左右一対の第1支持体25に加えて、第2支持体26(本発明の「第2部材」に相当する)が備えられている。第2支持体26は、平板体19の横幅方向に幅を有する板金の板状体にて構成されている。第2支持体26は、平板体19の横幅方向の中央部で、平板体19の上端部から下端部に亘って配置されている。第2支持体26は、その上端部から下方側に延びる幅狭部位26aと、その幅狭部位26aから下端部まで延びる幅広部位26bと備えており、幅狭部位26a及び幅広部位26bの横幅方向の中央が平板体19の横幅方向の中央と同一位置として、左右対称となるように備えられている。幅広部位26bの横幅方向の両端部は、下方側ほど幅狭となる傾斜状に形成されている。
【0033】
このようにして、平板体19の後面部(後方側)には、その横幅方向の中央部において、平板体19の上端部に、左右一対の第2ヒンジ部22、及び、第2固定部材24が備えられている。また、平板体19の上端部から下端部に亘って左右一対の第1支持体25が備えられ、左右一対の第1支持体25の間に平板体19の上端部から下端部に亘って第2支持体26が備えられている。第2支持体26は、幅狭部位26aが第2固定部材24に後方側から当接する状態で備えられ、左右一対の第1支持体25の夫々は、第2固定部材24及び第2支持体26の幅広部位26bに後方側から当接する状態で備えられている。そして、第2固定部材24の横幅と第2支持体26における幅広部位26bの横幅とは略同じ大きさに設定されている。
【0034】
ここで、本実施形態では、第2固定部材24と第2支持体26を別々の板金部材にて構成しているが、例えば、第2固定部材24と第2支持体26を1つの板金部材にて構成することもできる。また、第2支持体26については、幅狭部位26aと幅広部位26bとを備えた1つの板金部材にて構成されているが、幅狭部位26aと幅広部位26bとを別々の板金部材にて構成することもできる。そして、第2支持体26の形状については、平板体19の横幅方向中央部で上端部から下端部に亘るものであればよく、例えば、上端部から下端部に亘って幅広部位とする形状にしてもよい。
【0035】
左右一対の第1支持体25の夫々は、その下端部が平板体19の厚み方向(前後方向)に沿う軸心周りで揺動自在に平板体19の下端部に連結され、且つ、その上端部が平板体19の上端部に固定されている。図4及び図6に示すように、第1支持体25の下端部の連結について説明すると、左右一対の第1支持体25の夫々における下端部、第2支持体26における幅広部位26b、平板体19を挿通する揺動軸部27が備えられ、その揺動軸部27とナットNの締結により第1支持体25と第2支持体26を共締めしており、第1支持体25の下端部が揺動軸部27周りで揺動自在に平板体19の下端部に連結されている。第1支持体25の上端部の連結について説明すると、左右一対の第1支持体25の上端部位に、その長手方向に沿って長尺状の長孔部28が形成され、その長孔部28及び平板体19を挿通させた第2ボルトB2をナットNにて締結することで、第1支持体25の上端部が平板体19の上端部に固定されている。
【0036】
このように、第1支持体25の上端部は平板体19の上端部に固定されるのであるが、この平板体19の上端部と第1支持体25の上端部との固定点を平板体19の横幅方向に位置変更自在としている。これにより、左右一対の第1支持体25の夫々は、平板体19の上端側支持点S1を平板体19の横幅方向に位置変更自在に構成されている。つまり、平板体19の上端部と第1支持体25の上端部との固定点が、上端側支持点S1となっており、その固定点を平板体19の横幅方向に位置変更自在としている。
【0037】
上端側支持点S1を平板体19の横幅方向に位置変更させるために、平板体19の上端部には、横幅方向に間隔を隔てて複数の位置変更用孔部29a〜29eが形成されている。そして、複数の位置変更用孔部29a〜29eの夫々に対して、第2ボルトB2が挿脱自在に構成されており、第2ボルトB2を挿通させる位置変更用孔部29a〜29eを変更することで、上端側支持点S1を平板体19の横幅方向に位置変更させるようにしている。尚、長孔部28、第2ボルトB2、複数の位置変更用孔部29a〜29eは、本発明に係る「保持機構」を構成している。
ここで、位置変更用孔部については、平板体19の横幅方向でどのような間隔でどのような位置に備えるかについては適宜変更が可能である。図4に示すものでは、例えば、平板体19の横幅方向で最も中央部に位置する位置変更用孔部29aが、平板体19に使用しない非作業時等に用いられるものである。この位置変更用孔部29aを用いて、第1支持体25の上端部を平板体19の上端部に固定した場合を図4に示している。また、この位置変更用孔部29aは、第2固定部材24の両端部に相当する位置に形成されており、第2固定部材24の後方側に第1支持体25が位置することになる。
【0038】
本実施形態では、図6に示すように、抵抗体12と平板体19とを連結自在な連結部材30が備えられている。この連結部材30は、平板体19の下端部から下方側に延びるように備えられたピン部材31と、抵抗体12から後方側に延びる基板18に形成されて、ピン部材31を挿脱自在なピン孔部32とを備えた係合式にて構成されている。ピン部材31は、第2支持体26における幅広部位26bの下端部から下方側に延びる円柱状に形成されており、ピン孔部32は、大径の円弧状開口部を前方側に位置させ、小径の円弧状開口部を後方側に位置させ、それら2つの円弧状開口部にて前後方向に連続して開口するように形成されている。そして、ピン部材31をピン孔部32に挿通させて、抵抗体12と平板体19とを連結することで、平板体19及び第2支持体26が後方側に移動するのを規制している。
【0039】
(畝立て作業)
以下、図5に基づいて、畝立て作業について説明する。図5は、畝立て作業での平板体19が後方側に折れ曲がった状態を示している。
まず、この畝立て作業を行う場合には、平板体19のピン部材31を抵抗体12における基板18のピン孔部32に挿通させ、抵抗体12と平板体19とを連結して平板体19及び第2支持体26の後方側への移動を規制している。
【0040】
機体の前進に伴って、正逆転爪10の正転方向(図3の矢印A1の方向)の回転駆動によって耕起された土が平板体19により受け止められる。このとき、平板体19の後方側に備えられた左右一対の第1支持体25及び第2支持体26によって平板体19の後方側への移動が規制されている。これにより、平板体19において、左右一対の第1支持体25及び第2支持体26にて後方側への移動が規制されていない、左右一対の第1支持体25よりも横幅方向で外側に位置する左右の側部部位が後方側に移動することになる。つまり、上端側支持点S1と下端側支持点S2とを結ぶ第1支持体25の外端部に相当する仮想線T(図4参照)を折れ曲がり線として、平板体19の一方及び他方の側部部位が斜め後方に折れ曲がる状態となって後方側に弾性変形している。よって、平板体19の下辺部の横幅方向中央部とその後方側に備えられた第2支持体26の幅広部位26bの下辺部によって耕起された土が押し固められて畝Cの底部C1が成形されるとともに、左右一対の第1支持体25の外端部によって耕起された土が押し固められて畝Cの側部C2が成形されることになる。ここで、畝Cの側部C2については、上端側支持点S1と下端側支持点S2とに亘って左右一対の第1支持体25が存在することで、その第1支持体25にて平板体19に後方側から当接して強固に受け止めることができ、受け止められた平板体19にて耕起された土をしっかり押し固めて畝Cの側部C2を綺麗に成形することができる。
【0041】
ここで、どんな作物を作るか等、各種の条件に応じて、畝Cの形状を変えることが求められていることから、本実施形態では、成形する畝Cの側部C2における傾斜角度を変更可能に構成されている。つまり、平板体19の上端部と第1支持体25の上端部との固定点である上端側支持点S1を平板体19の横幅方向に位置変更することで、揺動軸部27周りでの左右一対の第1支持体25の位置を変更させ、成形する畝Cの側部C2における傾斜角度を変更している。
【0042】
上端側支持点S1を平板体19の横幅方向で位置変更する場合には、まず、第2ボルトB2に締結したナットNを取り外し、現在の上端側支持点S1となる位置変更用孔部29a〜29eの何れかから第2ボルトB2を取り外して固定を解除する。例えば、図5では、実線にて示すように、現在の上端側支持点S1が横幅方向の最も外側に位置する位置変更用孔部29eであるので、その位置変更用孔部29eから第2ボルトB2を取り外して固定を解除する。このように固定を解除することで、左右一対の第1支持体25の夫々は、その下端部の揺動軸部27周りで揺動自在となるので、図5の一点鎖線で示すように、第1支持体25をその下端部の揺動軸部27周りに揺動させることで、第1支持体25の上端部を位置変更させたい上端側支持点S1となる位置変更用孔部29a〜29eの何れかに合わせる。そして、その合わせた位置変更用孔部29a〜29eの何れかに第2ボルトB2を挿通させてナットNにて締結固定してその締結固定した位置変更用孔部29a〜29eの何れかを上端側支持点S1としている。このとき、上端側支持点S1をどの位置変更用孔部29a〜29eに変更させる場合であっても、第2ボルトB2を長孔部28に沿って移動させることで、第1支持体25における第2ボルトB2の位置をその長手方向で変更することができ、位置変更用孔部29a〜29eに対して適切に第2ボルトB2を挿通させて締結固定することができる。
【0043】
そして、位置変更用孔部29a〜29eは、平板体19の横幅方向でその両端部よりも内側範囲内に配設するようにしており、平板体19の横幅方向で上端側支持点S1の位置変更可能な範囲を、両横端部まで延ばさずに、横幅方向中央側に片寄った範囲としている。これにより、左右一対の第1支持体25の夫々における上端側支持点S1を、平板体19の横幅方向で最も外側に位置変更させても、平板体19においてその上端部で横幅方向の両端部が後方側に折れ曲がるようにしている。
【0044】
また、畝Cの底部C1については、第2支持体26における幅広部位26bの横幅が一定であることから、成形される底部C1の横幅を一定とすることができる。したがって、一定の横幅を有する底部C1でありながら、その側部C2の傾斜角度を必要に応じて変更できる畝Cを成形することができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、左右一対の第1支持体25の夫々における上端部を平板体19の上端部に固定している。この第2実施形態では、これに代えて、図7に示すように、左右一対の第1支持体25の夫々における上端部をカバー11の後端部に固定している。つまり、左右一対の第1支持体25の夫々は、上記第1実施形態と同様に、その下端部が平板体19の厚み方向に沿う軸心周りで揺動自在に平板体19の下端部に連結されているが、その上端部については、上記第1実施形態と異なり、カバー11に固定されており、カバー11と第1支持体25の上端部との固定点を平板体19の横幅方向に位置変更自在に構成されている。
【0046】
このように、カバー11と第1支持体25の上端部との固定点を平板体19の横幅方向に位置変更させるために、カバー11の後端部には、横幅方向に間隔を隔てて複数の位置変更用孔部33a〜33eが形成されている。そして、複数の位置変更用孔部33a〜33eの夫々に対して、第2ボルトB2が挿脱自在に構成されており、第2ボルトB2を挿通させる位置変更用孔部33a〜33eを変更することで、上端側支持点S1を平板体19の横幅方向に位置変更させるようにしている。ここで、位置変更用孔部33a〜33eについては、カバー11の横幅方向でどのような間隔でどのような位置に備えるかについては適宜変更が可能である。
【0047】
この第2実施形態では、カバー11と第1支持体25の上端部とを固定するために、上記第1実施形態と比べて、第1支持体25の長さを長くするようにしているが、その他の構成については上記第1実施形態と同様であり、第2ボルトB2を位置変更用孔部33a〜33eの何れかに挿通させてナットNとの締結により、第1支持体25の上端部をカバー11の後端部に固定している。この第2実施形態では、第1支持体25の上端部と平板体19の上端部とは固定されていないので、平板体19の上端部に対して第1支持体25が後方側から当接支持する位置が上端側支持点S1となる。
【0048】
〔別実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態では、平板体19をカバー11の後端部に揺動自在に連結しているが、例えば、カバー11の後端部にボルト締結等により平板体19を直接固定することもでき、カバー11の後端部に対してどのように平板体19を連結するかは適宜変更が可能である。
【0049】
(2)上記第1及び第2実施形態では、抵抗体12と平板体19とを連結自在な連結部材30が備えられているが、この連結部材30を備えなくてもよい。
【0050】
(3)上記第1及び第2実施形態では、第2支持体26を備えているが、この第2支持体26を備えなくてもよい。
【0051】
(4)上記第1及び第2実施形態では、抵抗体12として棒状体を例示しているが、例えば、抵抗体12として、地面に接地自在で回転自在な尾輪を備えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、耕起ロータと、その耕起ロータにて耕起された土を押圧して畝を成形する平板体とを備え、畝の形状を変更することができながら、畝の側部も適切に成形することができる各種の耕耘装置に適応可能である。
【符号の説明】
【0053】
8 耕耘装置
10 正逆転爪(耕起ロータ)
11 カバー
19 平板体
25 第1支持体(第1部材)
26 第2支持体(第2部材)
T 仮想線(折れ曲がり線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7