(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記屋根構造体構築工程において前記中央部分を除いた前記屋根構造体を構築した際に、前記ステージから手の届く範囲に各前記ワイヤ毎に前記ワイヤの長さ調整機構を設けておき、
前記上昇工程において前記屋根構造体が前記周壁の上端を通過する際に、前記ステージ上において作業員により、前記長さ調整機構を介して前記各ワイヤの長さが調整され、前記屋根構造体を水平にする前記屋根構造体の姿勢調整作業が行われる、
ことを特徴とする請求項2記載のドーム状の屋根構造体の構築工法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図9(A)、(B)に示すように、農業用水用タンク10のドーム状の屋根構造体の構築に本発明が適用されている。
農業用水用タンク10は、床面Fの周囲から起立する筒状の周壁12と、その周壁12の上端フランジ1202で囲まれた開口を閉塞するドーム状の屋根構造体14とを含んで構成されている。
床面Fは地盤G上に設けられ、コンクリート製であり遮水構造とされている。
周壁12は、従来公知の様々な構築方法により水密に構築され、例えば、円弧板状の金属製の板材が溶着されることで、あるいは、円弧板状の鉄筋コンクリート製の板材が接合されることで構成されている。
【0009】
なお、本実施の形態では、農業用水用タンク10のドーム状の屋根構造体14に本発明が適用されているため、周壁12は円形の筒状を呈しているが、周壁12は、矩形の筒状や多角形の筒状であってもよく、あるいは、構造物によっては、周壁12は、柱のみにより構築される場合もあり、それらの場合にも本発明は適用される。
ドーム状の屋根構造体14は、従来公知の様々な部材により組み付けられ多数の開口を有する骨組み1402と、骨組み1402の開口に貼り付けられる従来公知の様々な部材からなる板材1404とを含んで構成されている。
本実施の形態では、骨組み1402と板材1404は、共にアルミ合金製であり、軽量化が図られている。
【0010】
農業用水用タンク10は、まず、床面Fと周壁12が構築され、その後、本発明によりドーム状の屋根構造体14が構築される。
図2〜
図7に示すように、本発明では、昇降装置16が用いられるので、まず、昇降装置16から説明する。
昇降装置16は、ステージ1602と、ジャッキ機構1604と、ワイヤ1606とを含んで構成されている。
ステージ1602は、塔体18の周囲に沿って延在し作業員が塔体18の周囲を移動できる大きさの環板状を呈している。ステージ1602は、例えば、塔体18の平面視形状に対応した多角形(正六角形)の枠状に組まれたH型鋼と、そのH形鋼の上下に取着された足場用の板とで構成され、本実施の形態では鋼製架台として構成されている。
ジャッキ機構1604は、ステージ1602の周方向に間隔をおいた複数箇所にそれぞれ設けられている。
ジャッキ機構1604は、塔体18を構成する鋼管からなる反力ロッド1802(
図1(B)、
図2(B)に係脱可能に結合する油圧式の上下のチャック機構と、上下方向に延在しそれら上下のチャック機構を連結する油圧式のシリンダとで構成されている。
ジャッキ機構1604は、例えば、ステージ1602の下方に配設され、上チャック機構とステージ1602の下面とが上下方向に一体に移動できるように連結されている。
ワイヤ1606は、構築された屋根構造体14の外周部の周方向に間隔をおいた複数箇所とステージ1602とを連結している。
【0011】
昇降装置16の上昇は、例えば、上チャック機構による反力ロッド1802の結合を解除し、下チャック機構を反力ロッド1802に結合させた状態で、シリンダを伸長してステージ1602を上昇させる。次に、下チャック機構による反力ロッド1802の結合を解除し、上チャック機構を反力ロッド1802に結合させた状態で、シリンダを縮小して下チャック機構を上昇させる。次に、上チャック機構による反力ロッド1802の結合を解除し、下チャック機構を反力ロッド1802に結合させた状態で、シリンダを伸長してステージ1602を上昇させる。このような動作を繰り返して行なうことで昇降装置16の上昇がなされる。
また、昇降装置16の下降は、例えば、上チャック機構による反力ロッド1802の結合を解除し、下チャック機構を反力ロッド1802に結合させた状態で、シリンダを縮小してステージ1602を下降させる。次に、下チャック機構による反力ロッド1802の結合を解除し、上チャック機構を反力ロッド1802に結合させた状態で、シリンダを伸長して下チャック機構を下降させる。次に、上チャック機構による反力ロッド1802の結合を解除し、下チャック機構を反力ロッド1802に結合させた状態で、シリンダを縮小してステージ1602を下降させる。このような動作を繰り返して行なうことで昇降装置16の下降がなされる。
ステージ1602は、ワイヤ1606を介して屋根構造体14に連結されているため、ステージ1602の昇降と一体に屋根構造体14も昇降する。
【0012】
なお、昇降装置16として、上下のステージや結合手段、ジャッキ機構を用いた特許第3317528号や特許第3561758号などの従来公知の様々な昇降装置が採用可能である。
また、ジャッキ機構1604を用いずに、昇降装置16を、塔体18の上端に配置した滑車と、床面Fに配置したウインチと、前記滑車を介してステージ1602と前記ウインチとに架け渡されたワイヤとにより構成することも可能である。
さらに、ジャッキ機構1604を用いずに、昇降装置16を、塔体18頂部に固定した巻き上げ装置と、下端がステージ1602に連結され前記巻き上げ装置により巻き上げられ繰り出されるワイヤとにより構成することも可能である。
しかしながら、実施の形態のようにステージ1602やジャッキ機構1604を用いて昇降装置16を構成すると、昇降装置16が塔体18の限られた上下方向の領域に位置し、しかもその領域は塔体18に沿って移動するため、滑車、ウィンチ、ワイヤを用いた昇降装置に比べ、床面Fおよび塔体18の周辺に場所を取ることなく昇降装置16を配設できる。
そのため、床面F上に、また、塔体18の外側、内側に広い空間を確保する上で有利となり、ステージ1602上から、あるいは、塔体18の内部から各種の作業を効率良く行なう上で有利となる。
【0013】
次に本発明の各工程について説明する。
[塔体構築工程]
ドーム状の屋根構造体14を構築するに際して、まず、塔体構築工程が行われる。
図1(A)、(B)に示すように、塔体構築工程では、周壁12で囲まれた床面Fの中央位置から鉛直方向上方に塔体18を構築する。
塔体18は、平面視、多角形を呈し、
図1(B)、
図2(B)、
図6(B)、
図7(B)に示すように、上下に延在する複数の反力ロッド1802と、それら反力ロッド1802を連結する座屈防止材1804とを含んで構成されている。なお、塔体18の平面視形状は多角形に限らず任意である。
塔体18は、その内部で作業員が上下に行き来できる大きさで形成され、内部には不図示の階段などの昇降手段が適宜設けられ、塔体18の解体時に、その解体作業が内部から行なえるように図られている。すなわち、
図8に示すように、屋根構造体14の周囲を周壁12の上端フランジ1202に接合する接合工程後に、屋根構造体14から上方に突出した塔体18の部分の解体を、何ら足場を設けることなく塔体18の内部から行なえ、また、周壁12に設置され完成した屋根構造体14の下方において、屋根構造体14の下方に残った塔体18の部分の解体を、何ら足場を設けることなく塔体18の内部から行なえるようにし、塔体の解体作業の効率化が図られている。
【0014】
塔体18は、
図6(B)、
図7(B)に示すように、最終的には、完成した農業用水用タンク10の屋根構造体14よりも大きい高さで構築される。
本実施の形態では、塔体構築工程では、塔体18が、構築すべき高さの中間の高さまで構築され、塔体18は、後述する屋根構造体構築工程が行なわれている間に構築すべき高さまで構築される。
また、
図5(B)、
図6(B)、
図7(B)に示すように、塔体18が予め定められた高さまで構築された段階で、必要に応じて塔体18の上端の周方向に間隔をおいた複数箇所がワイヤ(支線)20を介して周壁12の上端フランジ1202の箇所に連結され、これにより塔体18の安定化、すなわち、構築途中の屋根構造体14の支持構造の安定化が図られている。
【0015】
[屋根構造体構築工程]
図2(A)、(B)に示すように、塔体18が、構築すべき高さの中間の高さまで構築されたならば、屋根構造体構築工程が行われる。
屋根構造体構築工程では、周壁12の内側の床面F上で、塔体18を挿通させる中央部分を除いた屋根構造体14を内周部側から外周部側に向けて段階的に構築されると共に、段階的に構築される毎に構築された屋根構造体14の部分を昇降装置16により塔体18に沿って上昇させていくことが行なわれる。
屋根構造体14は、骨組み1402と、骨組み1402に貼り付けられる板材1404とを含んで構成され、中央部分は、屋根構造体構築工程で組まれた骨組み1402の内側の開口1410である。
【0016】
詳細には、
図2(B)に示すように、床面F上で塔体18の周囲において屋根構造体14の最も内周部側に位置する第1の環状部分14−1が構築される。
この場合、塔体18に昇降装置16が組み付けられ、第1の環状部分14−1の外周の周方向に間隔をおいた複数箇所と、昇降装置16のステージ1602とがワイヤ1606により連結される。
そして、昇降装置16により第1の環状部分14−1が予め決められた高さに上昇される。ここで、予め決められた高さとは、次に構築する第2の環状部分14−2を、床面F上で構築できる高さである。
【0017】
次に、
図3(A)、(B)に示すように、床面F上で塔体18の周囲において第1の環状部分14−1の外側に第2の環状部分14−2が構築される。
この場合、第2の環状部分14−2の外周の周方向に間隔をおいた複数箇所と、昇降装置16のステージ1602とがワイヤ1606により連結され、第1の環状部分14−1の外周と昇降装置16のステージ1602とを連結するワイヤ1606が切り離される。
図3(A)、
図4(A)、
図5(A)、
図6(A)、
図7(A)において黒丸は、構築された屋根構造体14の部分とワイヤ1606との連結箇所を示している。
そして、昇降装置16により第2の環状部分14−2が予め決められた高さに上昇され、これにより第1の環状部分14−1と第2の環状部分14−2とが共に上昇される。
このように屋根構造体構築工程における段階的に構築毎に構築された屋根構造体14の部分の上昇は、最も外側に構築された屋根構造体14の部分とステージ1602とを連結するワイヤ1606を介して行われる。
このようにして屋根構造体構築工程では、
図4(A)、(B)、
図5(A)、(B)に示すように、屋根構造体14を内周部側から外周部側に向けて段階的に構築しては昇降装置16により塔体18に沿って上昇させていくことが行なわれる。
なお、
図3(B)、
図4(B)、
図5(B)に示すように、段階的に構築毎にワイヤ1606が連結される屋根構造体14の箇所は半径方向外側に移動し、ワイヤ1606は次第に長くなる。この場合、ワイヤ1606をステージ1602側あるいは屋根構造体14側で継ぎ足してもよく、あるいは長いものに交換するなど任意である。
【0018】
[上昇工程]
中央部分を除いた屋根構造体14が完成されたならば、
図6、
図7に示すように、昇降装置16により塔体18に沿って屋根構造体14を上昇させ、屋根構造体14の外周を周壁12の上端フランジ1202よりも上方に上昇させる上昇工程が行なわれる。
この場合、本実施の形態では、屋根構造体14の外径と上端フランジ1202の内径との差が僅かであり、屋根構造体14が水平面に対して傾斜していると、屋根構造体14が上端フランジ1202に当たるため、屋根構造体14を水平にする屋根構造体14の姿勢調整作業が行われる。
【0019】
[屋根構造体の姿勢調整作業]
この屋根構造体14の姿勢調整作業は次のように行なわれる。
図6(B)、
図7(B)に示すように、屋根構造体構築工程において中央部分を除いた屋根構造体14を構築した際に、ステージ1602上に位置した作業員から手の届く範囲に各ワイヤ1606毎に、ターンバックル、レバーブロック(登録商標)などのような従来公知のワイヤの長さ調整機構Tを設けておく。
そして上昇工程において屋根構造体14が周壁12の上端フランジ1202を通過する際に、より詳細には、
図6(B)に示すように、屋根構造体14が周壁12の上端フランジ1202の下方に近接した状態で、ステージ1602上において作業員により、長さ調整機構Tを介して各ワイヤ1602の長さが調整され、屋根構造体14が水平される。
本実施の形態では、屋根構造体14の中央の上方のステージ1602上に位置する作業員がこの作業を行なうため、床面Fに位置する作業員が屋根構造体14の姿勢調整作業を行なう場合に比べ、大型な屋根構造体14の全体および上端フランジ1202の内周全周を目視しながら長さ調整機構Tを介して各ワイヤ1602の長さの微調整を行なえるなど、屋根構造体14の姿勢調整作業を効率的に行なう上で有利となっている。
そして、屋根構造体14を水平にしたならば、
図7に示すように、昇降装置16により屋根構造体14を周壁12の上端フランジ1202の内側を通過させ、上端フランジ1202よりも上方に上昇させる。
【0020】
[接合部材取り付け工程]
次に、
図7(B)に示すように、屋根構造体14の外周または周壁12の上端フランジ1202の少なくとも一方に接合部材1420を取り付ける接合部材取り付け工程が行なわれる。
この接合部材取り付け工程は、周壁12の上端フランジ1202上で作業員により行われ、本実施の形態では、屋根構造体14の外周に接合部材1420を取り付けることがなされる。
【0021】
[接合工程]
次に、
図8に示すように、屋根構造体14を昇降装置16により下降させ、接合部材1420を介して屋根構造体14の周囲を周壁12の上端フランジ1202に接合する接合工程が行なわれる。
この接合工程は、周壁12の上端フランジ1202上で作業員により行われ、屋根構造体14の周壁12への設置がなされる。
【0022】
[中央部分構築工程]
接合工程が完了したならば、屋根構造体14の中央部分から突出する塔体18の部分を解体撤去し、屋根構造体14の中央部分を構築する中央部分構築工程が行なわれる。
中央部分構築工程における塔体18の部分の解体撤去では、昇降装置16を屋根構造体14の中央部分の下方に下降させると共に塔体18と周壁12を連結するワイヤ20を外して屋根構造体14の中央部分から突出する塔体18の部分を解体撤去し、塔体18の高さを、屋根構造体14の中央部分よりも低い高さにする。
この場合、解体された塔体18は、例えば、周壁12の外側からクレーンにより撤去される。
【0023】
また、必要に応じ、塔体18の安定化を図るため、屋根構造体14の中央部分の下方に位置する塔体18の複数箇所と、フロアFの外周の複数箇所とをワイヤ21により連結する。あるいは、昇降装置16を屋根構造体14の中央部分の下方に位置させた場合には、ステージ1602の複数箇所と、フロアFの外周の複数箇所とをワイヤ21により連結する。
そして、
図8(B)に示すように、塔体18の上部を足場として、あるいは、昇降装置16を屋根構造体14の中央部分の下方に位置させた場合にはステージ1602を足場として、骨組み1402の内側に板材1404Aを貼り付け、開口1410を閉塞することが行なわれる。
なお、中央部分構築工程では、骨組み1402を組み付ける作業と、板材1404Aを貼り付ける作業の双方を行なってもよいが、本実施の形態では、開口1410の内側に板材1404Aを貼り付ける作業のみが行なわれ、高所作業の軽減化が図られている。
【0024】
[塔体撤去工程]
次に、構築された中央部分の下方に位置する塔体18の部分を解体撤去する塔体撤去工程が行なわれる。
塔体撤去工程では、昇降装置16は床面Fまで下降させ、塔体18から取り外され、また、ワイヤ21が取り外され、塔体18の解体は、何ら足場を要せず、塔体18の内部から行われる。
塔体18から外された昇降装置16と、解体された塔体18は、例えば、屋根構造体14の周壁12寄りの箇所に予め撤去用の開口を形成しておき、周壁12の外側からクレーンにより撤去用の開口を介して撤去し、次いで骨組み1402の内側に板材1404を貼り付けて撤去用の開口を閉塞してもよい。
なお、体育館などのように水密性が不要な建築物の場合は、周壁12に予め撤去用の開口部を設けておき、この開口部から塔体18から外された昇降装置16や解体された塔体18を撤去するようにしてもよい。
塔体18と昇降装置16が撤去されることにより、
図9(A)、(B)に示すように、農業用水用タンク10が完成する。
【0025】
以上説明したように本実施の形態によれば、屋根構造体14を内周部側から外周部側に向けて段階的に構築しては昇降装置16により塔体18に沿って上昇させ、中央部分を除いた屋根構造体14の全体を構築したならば、昇降装置16により塔体18に沿って屋根構造体14を設置すべき所定の高さに上昇させて、屋根構造体14の周囲を周壁12の上端フランジ1202に接合し、塔体18を解体撤去しつつ屋根構造体14の中央部分を構築するようにした。
したがって、本発明によれば、中央部分を除いた全ての屋根構造体14部分を床面F上で構築できるため、高所作業が、接合部材取り付け工程において屋根構造体14の外周に接合部材1420を取り付ける作業と、接合工程において、屋根構造体14の周囲を周壁12の上端フランジ1202に接合する作業と、中央部分構築工程において骨組み1402の内側に板材1404Aを貼り付ける作業とに限られる。そのため、作業員に負担がかかる高所作業を大幅に削減する上で有利となる。
また、中央部分を除いた全ての屋根構造体14部分を床面F上で構築できるため、屋根構造体14に対応した高さ、大きさの大掛かりな足場が不要となり、コスト削減および工期短縮を図る上で有利となる。
【0026】
また、本実施の形態では、塔体構築工程では、塔体18が、構築すべき高さの中間の高さまで構築され、塔体18は、屋根構造体構築工程が行なわれている間に構築すべき高さまで構築されるようにしたので、塔体構築工程と屋根構造体構築工程とを並行して行なうことができる。
したがって、工期の短縮化を図る上で有利となる。
なお、予め構築すべき高さまで塔体18を構築したのち、屋根構造体構築工程を行なうようにしてもよいが、工期の短縮化を図る上では、実施の形態のようにした方が有利となる。
【0027】
また、本実施の形態では、昇降装置16を、ステージ1602とジャッキ機構1604とワイヤ1606とを含んで構成したので、塔体18の周辺に場所を取ることなく昇降装置16を配設でき、塔体18の外側、内側に広い空間を確保する上で有利となる。
したがって、ステージ1602上から、また、塔体18の内部から、各種の作業を効率良く行なう上で有利となる。
【0028】
また、本実施の形態では、屋根構造体14の外径と上端フランジ1202の内径との差が僅かであるため、上昇工程において、屋根構造体14の外周が上端フランジ1202の下方に近づいたならば、屋根構造体14を水平にする屋根構造体14の姿勢調整作業が行われる。
この場合、本実施の形態では、屋根構造体14の中央の上方のステージ1602から作業員がこの作業を行なうため、作業員が床面Fから姿勢調整作業を行なう場合に比べ、大型な屋根構造体14の全体および上端フランジ1202の内周全周を目視しながら微調整を行なえ、屋根構造体14の姿勢調整作業を効率的に行なう上で有利となる。
【0029】
また、本実施の形態では、屋根構造体構築工程における段階的に構築毎の屋根構造体14の上昇は、段階的に構築された状態の屋根構造体14の外周部の周方向に間隔をおいた複数箇所とステージ1602とを連結する複数のワイヤ1606を介して行われるので、屋根構造体14を安定した状態で確実に上昇する上で有利となる。
【0030】
また、本実施の形態では、中央部分構築工程では、骨組み1402を組み付ける工程がなく、開口1410の内側に板材1404を貼り付けることのみが行なわれるため、高所作業の簡素化を図り、作業員の負担を軽減する上で有利となる。
【0031】
なお、本発明では、ドーム状の屋根構造体14の平面視形状は円形に限定されず、楕円、矩形、多角形などであってもよく、平面視形状は限定されない。
また、本発明は、ドーム状の屋根構造体14の構築方法に係る発明であり、ドーム状の屋根構造体14が設けられる構造物は、農業用水用タンク10に限定されず、水道水用水容器、燃料備蓄用容器、体育館、倉庫、あるいは、周壁が複数の柱だけからなる構造物など様々な構造部に適用可能であり、様々な構造物にドーム状の屋根構造体14を構築する場合に広く適用される。