(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355826
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】燃料ポンプユニット及び該燃料ポンプユニットを運転する方法
(51)【国際特許分類】
F02M 37/10 20060101AFI20180702BHJP
F02M 37/22 20060101ALI20180702BHJP
F02M 37/20 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
F02M37/10 A
F02M37/22 D
F02M37/20 G
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-510734(P2017-510734)
(86)(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公表番号】特表2017-515050(P2017-515050A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015054886
(87)【国際公開番号】WO2015169480
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】102014208646.9
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シアメンド フロー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ニッチェ
(72)【発明者】
【氏名】トアステン アルガイアー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グッチャー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア クルッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター モイラー
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−345937(JP,A)
【文献】
特開2011−069246(JP,A)
【文献】
米国特許第06189513(US,B1)
【文献】
実開昭63−177661(JP,U)
【文献】
特表2003−536005(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/150397(WO,A2)
【文献】
特表2012−522174(JP,A)
【文献】
特開2008−045463(JP,A)
【文献】
特開平09−004528(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0299052(US,A1)
【文献】
実開昭54−88415(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/10
F02M 37/20
F02M 37/22
F02M 31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケーシング(22)のケーシング領域(21)に配置された、発熱するアクチュエータ(20)を有する燃料ポンプ(2)を有する燃料ポンプユニットであって、
第1の燃料収容室(31)に通じる燃料入口(30)と、第1の流出開口(32)と、を有し、前記第1の燃料収容室(31)内に前記ポンプケーシング(22)の前記ケーシング領域(21)が配置されている第1のケーシング(3)と、
前記第1のケーシング(3)を包囲し、該第1のケーシング(3)と共に接続開口(40)を画定している、第2のケーシング(4)であって、該接続開口(40)は、前記第1の燃料収容室(31)を、前記第2のケーシング(4)の第2の燃料収容室(41)に接続しており、該第2の燃料収容室(41)は更に、前記燃料ポンプ(2)の流入通路(23)と流体接続している、第2のケーシング(4)と、
を備え、
前記アクチュエータ(20)は、前記ケーシング領域(21)を介して、熱を、前記第1の燃料収容室(31)内の燃料に供給することを特徴とする、燃料ポンプユニット。
【請求項2】
前記第1の流出開口(32)と前記接続開口(40)との間に、前記第2のケーシング(4)の第3の燃料収容室(42)が配置されている、請求項1記載の燃料ポンプユニット。
【請求項3】
前記発熱するアクチュエータ(20)は、電磁コイルである、請求項1又は2記載の燃料ポンプユニット。
【請求項4】
前記接続開口(40)は、環状に周方向に延在する開口である、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料ポンプユニット。
【請求項5】
前記第1のケーシング(3)は完全に、前記第2のケーシング(4)内に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料ポンプユニット。
【請求項6】
前記第1のケーシング(3)及び/又は前記第2のケーシング(4)は、鉢状に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料ポンプユニット。
【請求項7】
前記第2のケーシング(4)には、燃料冷却用の熱交換器が備えられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料ポンプユニット。
【請求項8】
前記熱交換器には、前記第2のケーシング(4)の壁(44)が含まれている、請求項7記載の燃料ポンプユニット。
【請求項9】
当該燃料ポンプユニット(1)は、燃料タンク(8)内に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の燃料ポンプユニット。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料ポンプユニット(1)を有することを特徴とする、燃料タンク。
【請求項11】
請求項10記載の燃料タンク(8)を有することを特徴とする、自動車。
【請求項12】
燃料ポンプ(2)を備えた燃料ポンプユニット(1)を運転する方法であって、
燃料を、燃料タンク(8)から燃料入口(30)を介して第1のケーシング(3)の第1の燃料収容室(31)に供給するステップと、
燃料の易揮発性成分を分離除去するために燃料を加熱し、このとき燃料を、前記第1の燃料収容室(31)内に配置された、前記燃料ポンプ(2)の発熱するアクチュエータ(20)の傍らを通るように案内するステップと、
燃料を、前記第1の燃料収容室(31)から、接続開口(40)を介して前記第1の燃料収容室(31)に接続された、第2のケーシング(4)の第2の燃料収容室(41)に供給するステップと、
燃料を、前記第2のケーシング(4)に設けられた熱交換器を介して冷却するステップと、
冷却された燃料を、前記第2の燃料収容室(41)から前記燃料ポンプ(2)の流入通路(23)に供給するステップと、
前記燃料ポンプ(2)により燃料を圧送するステップと、
を有することを特徴とする、燃料ポンプ(2)を備えた燃料ポンプユニット(1)を運転する方法。
【請求項13】
前記熱交換器は、熱を、前記燃料タンク(8)内の燃料に伝達する、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、自動車、特にオートバイ用の燃料ポンプユニット、及び該燃料ポンプユニットを運転する方法に関する。更に本発明は、前記のような燃料ポンプユニットを有する燃料タンク、及びこのような燃料タンクを有する自動車に関する。
【0002】
前記のような燃料ポンプユニット及び前記のような方法は、例えば英国特許出願公開第2478876号明細書から公知である。この場合は、入口及び出口を備えた燃料ポンプ、特にマグネットピストンポンプであり、入口は燃料タンク内に配置されていて、出口は燃料タンク外に配置されている。燃料は、燃料タンクから入口を通って燃料ポンプに吸い込まれ、出口を通って内燃機関へ圧送される。このような燃料ポンプユニットを、高温の燃料で以て運転する場合には、圧送量が低下するか、又はそれどころか少なくとも部分的に、すっかり落ち込む恐れがある。その理由は、沸点付近の高温の燃料を吸い込む場合には、燃料ポンプの入口における圧力損失に基づき、吸い込まれる燃料の蒸気圧を下回る可能性がある、という点にある。これにより、燃料の一部が気化することがある、若しくは燃料中に溶解した空気の一部が解放されることがある。その結果、燃料ポンプには液状の燃料だけでなく、ガス状の燃料‐空気混合物も充填されることになる。このこともやはり、引き続く圧送段階において、ガス状の燃料‐空気混合物の圧縮性及び部分的な再凝縮に基づき、前記混合物の一部しか吐出され得ない、ということにつながる。
【0003】
発明の開示
これに対して請求項1記載の特徴を有する、本発明による燃料ポンプユニットは、沸点付近の高温の燃料で以て運転する場合の燃料ポンプの圧送特性を改良することができ、延いては従来技術の欠点を回避することができる、という利点を有している。このことは本発明に基づき、燃料が、互いに内外に配置された2つのケーシングを通って案内され、この場合、燃料は、該燃料が燃料ポンプに到達する前に加熱されるようになっていることにより、達成される。燃料の加熱により、燃料の易揮発性成分を気化させて分離除去することができる。今や燃料は別の組成を有していて、より高い沸点を有している。更に、加熱された燃料を再冷却することができるようになっており、冷却された燃料は、元の燃料よりも低い蒸気圧を有している。燃料の、より低い蒸気圧及びより高い沸点は、吸込み時に気化する燃料を減少させ、このこともやはり結果的に、より多くの圧送量を供与可能にする。この場合、燃料ポンプユニットには、ポンプケーシングのケーシング領域に配置された、発熱するアクチュエータを有する燃料ポンプと、第1のケーシングと、第2のケーシングとが含まれる。第1のケーシングは、内部にポンプケーシングのケーシング領域が配置された第1の燃料収容室に通じる燃料入口と、第1の流出開口とを有しており、この場合、アクチュエータは、第1の燃料収容室内の燃料に熱を供給する。第2のケーシングは第1のケーシングを包囲していて、第1のケーシングと共に接続開口を画定しており、該接続開口は、第1の燃料収容室を、第2のケーシングの第2の燃料収容室に接続しており、第2の燃料収容室は、燃料ポンプの流入通路と流体接続している。
【0004】
本発明の好適な改良は、従属請求項に記載されている。
【0005】
好適には、第1の流出開口と接続開口との間に、第2のケーシングの第3の燃料収容室が配置されていてもよい。これにより、より大量の燃料を収容若しくは加熱することができるようになっている。
【0006】
本発明の更に別の択一的な構成では、発熱するアクチュエータは、電磁コイルであってもよい。これにより、燃料ポンプの確実且つ正確な作動が保証され得る。好適には、燃料ポンプユニットは、マグネットピストンポンプである。これにより、能率的な燃料圧送を可能にすることができる。第1の燃料収容室内の燃料の加熱に電磁コイルを使用することにより、燃料ポンプの既存の熱源をガス放出用に利用し、延いては追加的な加熱装置を省くことができる。更に、燃料を、燃料ポンプ流入前に冷却することができ、このことは、燃料ポンプの機能が故障しないことにつながる。
【0007】
更に好適には、第1及び第2のケーシング間の接続開口は、環状に周方向に延在する開口であってもよい。接続開口のこの形態に基づき、燃料を、第2の燃料収容室に均等に供給することができる。
【0008】
好適には、第1のケーシングは完全に、第2のケーシング内に配置されていてもよい。これによりスペースを節約することができる、若しくはコンパクトな燃料ポンプユニットを提供することができる。これにより、本発明による燃料ポンプユニットが使用され得る自動車の大型化、又は運転者若しくは同乗者用に供与可能なフリースペースの縮小を回避することができる。このことは特に、オートバイの場合に重要である。
【0009】
更に好適には、第1のケーシング及び/又は第2のケーシングは、鉢状に形成されていてもよい。これにより、一様な熱伝達を保証することができると共に、ガス放出された燃料成分が、タンクに簡単に供給され得る。
【0010】
更に好適には、第2のケーシングには、燃料冷却用の熱交換器が備えられていてもよい。これにより、発熱するアクチュエータによって加熱された燃料を冷却することができるので、該燃料の蒸気圧をも低下させることができる。
【0011】
好適には、熱交換器には、第2のケーシングの壁が含まれていてもよい。これにより、熱交換器用の追加的な構成部材を省くことができ、このことは、省コスト及び省スペースにつなげられる。
【0012】
更に好適には、熱交換器は、燃料タンク内の燃料に熱を伝達することができ、燃料ポンプユニットは、燃料タンク内に配置されていてもよい。これにより熱を、燃料タンク内の燃料に伝達することができ、このことは、燃料ポンプユニット内の加熱された燃料が燃料ポンプに供給される前に冷却される、ということを保証することができる。他方では、燃料タンク内の燃料を、燃料ポンプユニットの燃料入口に供給する前に予熱することができ、このことは、燃料の易揮発性成分の気化を、後で容易にすることができる。更にこのような配置形式は、本発明による燃料ポンプユニットが、自動車内に追加的な構成空間を全く必要としない、という利点を提供する。これにより、本発明による燃料ポンプユニットは、多くの自動車において、そのデザイン及び供与可能な自由構成空間に関係無く使用可能である。
【0013】
好適には、第2のケーシングは、空気若しくは蒸気エリアに接続している第2の流出開口を有している。これにより、燃料の易揮発性成分の気化により発生する気泡を導出することができるようになっている。
【0014】
更に本発明は、本発明による燃料ポンプユニットを有する燃料タンクに関する。更に本発明は、本発明による燃料ポンプユニットを備えた燃料タンクを有する車両、特にオートバイに関する。
【0015】
更に本発明は、請求項12記載の特徴を有する、燃料ポンプを備えた燃料ポンプユニットを運転する方法に関する。この場合、この方法には、燃料を、燃料タンクから燃料入口を介して第1のケーシングの第1の燃料収容室に供給するステップと、燃料の易揮発性成分を分離除去するために燃料を加熱し、このとき燃料を、第1の燃料収容室内に配置された、燃料ポンプの発熱するアクチュエータの傍らを通るように案内するステップと、燃料を、第1の燃料収容室から、接続開口を介して第1の燃料収容室に接続された、第2のケーシングの第2の燃料収容室に供給するステップと、燃料を、第2のケーシングに設けられた熱交換器を介して冷却するステップと、冷却された燃料を、第2の燃料収容室から燃料ポンプの流入通路に供給するステップと、燃料ポンプにより燃料を圧送するステップとが含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に、本発明の1つの好適な実施例を添付の図面につき詳しく説明する。
【
図1】本発明の1つの実施例による燃料ポンプユニットの概略的な断面図であって、この場合、燃料ポンプユニットの本発明による運転方法の各ステップも矢印で示されている。
【0017】
発明の実施形態
以下に、本発明の1つの好適な実施例による燃料ポンプユニット1を、
図1につき詳しく説明する。
【0018】
唯一の図面から判るように、本発明による燃料ポンプユニット1は、燃料ポンプ2と、第1のケーシング3と、第2のケーシング4とを有している。更に、燃料ポンプユニット1は、車両(図示せず)の燃料タンク8内に配置されている。燃料タンク8は、燃料エリア80(この場合、燃料レベルはライン81で示されている)と、空気若しくは蒸気エリア82とを有している。
【0019】
マグネットピストンポンプである燃料ポンプ2は、流入通路23及び流出通路24を備えたポンプケーシング22と、圧送室25と、シリンダ室27内で可動のピストン26と、発熱するアクチュエータ20と、ばね部材28とを有している。燃料ポンプ2は、該燃料ポンプ2が部分的には第1のケーシング3内に配置されていると共に、部分的には第2のケーシング4内に配置されているように、配置されている。特に、電磁コイルである発熱するアクチュエータ20は、ポンプケーシング22のケーシング領域21に位置している。
【0020】
第1のケーシング3は、燃料入口30と、第1の燃料収容室31と、第1の流出開口32とを有している。特に、第1のケーシング3は鉢状に形成されており、この場合、第1の流出開口32は、蓋等は有していない。円筒状の開口の形態で形成された燃料入口30は、燃料タンク8の燃料エリア80に接続されており、且つ第1のケーシング3の第1の燃料収容室31に通じている。
【0021】
第2のケーシング4は第1のケーシング3を包囲しており、この場合、第1のケーシング3は完全に第2のケーシング4内の中心に配置されている。この配置形式に基づいて、環状に周方向に延在する接続開口40が形成されており、この接続開口40は、第1のケーシング3の第1の燃料収容室31を、第2のケーシング4の第2の燃料収容室41に接続している。第2の燃料収容室41は更に、燃料ポンプ2の流入通路23に接続している。
【0022】
更に、第1のケーシング3の第1の流出開口32と、接続開口40との間には、第2のケーシング4の第3の燃料収容室42が配置されており、第3の燃料収容室42は、第2のケーシング4の第2の流出開口43を介して、燃料タンク8の空気若しくは蒸気エリア82に連通している。第2の流出開口43は、第2のケーシング4も壁44を有する開いた鉢の形態で形成されているように、形成されている。
【0023】
この実施例では2つの部分から形成されている壁44は、上側の壁領域44aと、下側の壁領域44bとを有している。上側の壁領域44aは、燃料タンク8の空気若しくは蒸気エリア82内へ延びている。
【0024】
燃料ポンプユニット1は、タンク8と共に一種の連通管を形成しており、このことは共通の燃料レベルによっても示唆されている(
図1のライン81)。
【0025】
次に、上述した構成を有する燃料ポンプユニット1の本発明による運転方法を、
図1につき説明する。
【0026】
燃料タンク8の燃料エリア80内に存在する、第1の温度T1を有する燃料は、燃料入口30を介して第1の燃料収容室31に導入される(矢印A)。このとき燃料は、ポンプケーシング22のケーシング領域21を介して燃料に熱を供給する(太矢印Q1で図示)、発熱するアクチュエータ20の傍らを通って案内される(矢印B)。発熱するアクチュエータ20の放熱により燃料が加熱され、これにより、燃料の少なくとも一部の易揮発性成分が気化する。発生した気泡50は分離除去され、最初に第3の燃料収容室42を経由してから、第2の流出開口43を経由して燃料タンク8の空気若しくは蒸気エリア82に到達する(矢印C)。加熱された燃料は、第3の燃料収容領域42に流入する(矢印D)。
【0027】
そこから加熱された燃料の一部は、その易揮発性成分が気化するまで、第3の燃料収容室42と第1の燃料収容室31との間を再循環する(矢印E)。この段階中に、第3の燃料収容室42内の燃料から、壁44の上側の壁領域44aを介して、燃料タンク8の燃料エリア80内の燃料に、熱が伝達される(太矢印Q2)。
【0028】
燃料が第3の燃料収容室42から流出すると、この燃料は、T1よりも高い温度T2を有することになり、且つ燃料タンク8内の元の燃料よりも高い沸点を有することになる。この燃料を今、接続開口40を介して第2の燃料収容室41に供給する(矢印F)。
【0029】
第2の燃料収容室41に向かう途中で、熱は、壁44の下側の壁領域44bを介して、燃料タンク8の燃料エリア80内の燃料に伝達される(太矢印Q3で図示)。これにより燃料は冷却され、T1とT2との間に位置する第3の温度T3を有することになる。また、この冷却された燃料は、燃料タンク8内の元の燃料より低い蒸気圧をも有することになる。次いで冷却された燃料は、燃料ポンプ2の流入通路23に吸い込まれ(矢印G)、流出部を通って引き続き圧送される(矢印H)。
【0030】
燃料ポンプ2を用いた燃料の圧送は、シリンダ室27内のピストン26の運動によって行われる。この場合、発熱するアクチュエータ20(電磁コイル)は、ケーシング領域21を介して、熱を、第1の燃料収容室31内の燃料に供給する。この場合、この熱はガス放出過程に用いられる。
【0031】
引き続いて燃料ポンプの次の行程を行って、燃料ポンプユニットの前記運転方法を繰り返してもよい。
【0032】
指摘しておくと、例えば燃料の流速、第1のケーシング3及び第2のケーシング4の大きさ等のようなパラメータは、発熱するアクチュエータ20からの、第1の燃料収容室31内の燃料に対する適当な熱伝達率、若しくは第2の燃料収容室41内の加熱された燃料からの、燃料タンク8内の燃料に対する適当な熱伝達率が達成され得るように選択される。
【0033】
更に指摘しておくと、上述した実施例は本発明を理解するために役立つものであり、限定的なものとは見なされない。つまり例えば、第1のケーシング及び第2のケーシングに関しては、別の形態及び配置形式も可能である。
【0034】
よって、燃料タンクから燃料ポンプユニット1へ燃料を案内するための本発明による方法に関連した、本発明による燃料ポンプユニットは、燃料タンク8から燃料ポンプ2に到る途中で燃料の沸点が変化させられることにより、結果として改良された圧送特性を有している。これにより、吸込み時の燃料圧送量は、圧力損失若しくはガス放出に基づきあまり減少しないので、車両の内燃機関の改良された機能を保証することができるようになっている。