(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
X線管と、前記X線管を駆動する駆動回路と、前記X線管に印加する電子加速電圧を生成する電圧発生回路と、前記駆動回路と通信する制御部と、を有し、少なくとも、前記X線管と、前記駆動回路と、前記電圧発生回路とが、絶縁油が充填された収納容器内に配されたX線発生装置であって、
前記駆動回路と前記制御部とを接続する経路の少なくとも一部が、前記収納容器内に配された光ファイバケーブルにより構成されており、
前記光ファイバケーブルは、前記駆動回路と前記制御部との間の電位差によって発生する電界が、前記光ファイバケーブルの長さ方向に沿って局所的に集中することを抑制するための電界緩和手段を有する
ことを特徴とするX線発生装置。
前記開口部は、前記光ファイバケーブル内の気体の排出と、前記光ファイバケーブル内への前記絶縁油の滲入とを促進するように構成されており、前記光ファイバケーブル内の気体が前記絶縁油に置換されている
ことを特徴とする請求項2記載のX線発生装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるX線発生装置について、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態によるX線発生装置の概略構成を示すブロック図である。
図2は、制御回路と電子銃駆動回路とを接続する光ファイバケーブルの接続部分の構造を示す図である。
図3は、光ファイバケーブル内の残留気体の影響を説明する図である。
図4は、本実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブルの構造を示す概略図である。
【0011】
はじめに、本実施形態によるX線発生装置の構造について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0012】
本実施形態によるX線発生装置100は、
図1に示すように、X線管20と、高電圧発生回路30と、電子銃駆動回路40と、制御部50とを有している。これらのうち、少なくともX線管20、高電圧発生回路30及び電子銃駆動回路40は、収納容器10内に配置されている。収納容器10には、その中に配された各部間の絶縁耐圧を確保するために、絶縁油80が充填されている。絶縁油80としては、鉱油、シリコーン油、フッ素系油などの電気絶縁油が好ましい。定格の管電圧が100kV程度のX線管20を用いたX線発生装置には、取扱いが易しい鉱油が好ましく適用される。
【0013】
X線管20は、電子源22と、グリッド電極26と、陽極28とを含む。電子源22及びグリッド電極26は、電子銃駆動回路40に接続され、それぞれ所望の制御電圧が印加される。陽極28は、グラウンド電位に保持された収納容器10に接続されている。陽極28には、電子線の照射によりX線を発生するターゲット(図示せず)が設けられている。なお、
図1にはグリッド電極26を1つだけ示しているが、典型的には複数のグリッド電極26が設けられる。
【0014】
電子源22は、特に限定されるものではないが、例えば、タングステンフィラメントや含浸型カソードのような熱陰極、カーボンナノチューブ等の冷陰極を適用することができる。ターゲットを構成する材料は、融点が高くX線発生効率の高い材料が好ましく、例えば、タングステン、タンタル、モリブデン及びそれらの合金等を適用することができる。なお、本明細書では、電子源22とグリッド電極26とを一括して「電子銃」と表記することがある。
【0015】
電子源22から放出された電子を陽極28との間の高電圧で加速して陽極28に設けられたターゲットに衝突させることにより、ターゲットからX線が放射される。ターゲットから放射されるX線量は、ターゲットに照射する電子線量、つまり熱陰極型の電子源22の場合にあっては供給する電流によって、制御することができる。ターゲットに照射する電子線の軌道は、グリッド電極26に印加するグリッド電圧によって制御することができる。この意味で、電子源22及びグリッド電極26は、電子銃から放出される電子線を制御する制御機構である。
【0016】
高電圧発生回路30は、昇圧トランス32と、昇圧回路34とを含む。昇圧回路34は、例えば、コッククロフト回路である。高電圧発生回路30は、グラウンド電位に保持されている収納容器10に対して負の高電圧を生成する。高電圧発生回路30は、電子銃駆動回路40に接続されている。高電圧発生回路30により生成された負の高電圧は、電子銃駆動回路40に印加される。
【0017】
電子銃駆動回路40は、整流回路42と、ロジック回路44と、電子源駆動回路46と、グリッド電圧制御回路48とを含む。整流回路42は、ロジック回路44、電子源駆動回路46及びグリッド電圧制御回路48に接続されている。これにより、高絶縁トランス36を介して整流回路42に供給される電圧を整流し、ロジック回路44、電子源駆動回路46及びグリッド電圧制御回路48へと供給できるようになっている。整流回路42の入力端子の一方は、高電圧発生回路30の出力端子に接続されている。すなわち、電子銃駆動回路40の各回路においては、高電圧発生回路30から供給される負電位が、電子銃駆動回路40の基準電位となる。
【0018】
電子源駆動回路46は、制御回路52からロジック回路44を介して供給される制御信号に応じて、電子源22に供給する電圧或いは電流を制御する。グリッド電圧制御回路48は、制御回路52からロジック回路44を介して供給される制御信号に応じて、グリッド電極26へ印加するグリッド電圧を制御する。
【0019】
制御部50は、制御回路52と、インバータ回路54とを含む。制御回路52は、電子銃駆動回路40及びインバータ回路54に接続されている。インバータ回路54は、収納容器10内に配された昇圧トランス32に接続されたインバータ56と、収納容器10内に配された高絶縁トランス36に接続されたインバータ58とを含む。制御回路52は、電子銃駆動回路40及びインバータ回路54に、所定の制御信号を供給する。インバータ回路54は、制御回路52から供給される制御信号に応じてインバータ56,58を制御し、昇圧トランス32及び高絶縁トランス36に、所定の駆動電圧を供給する。制御回路52は、高電圧発生回路30の出力電圧をモニタし、高電圧発生回路30の出力電圧が所定の電圧となるように、インバータ回路54に供給する制御信号によって昇圧トランス32の駆動電圧を調整する。
【0020】
図1に示すように、制御部50と高電圧発生回路30とは、昇圧トランス32を介して接続、すなわち絶縁されている。同様に、制御部50と電子銃駆動回路40とは、高絶縁トランス36を介して接続、すなわち絶縁されている。一例では、制御部50は、グラウンド電位に接続されている。また、電子銃駆動回路40は、高電圧発生回路30に接続されている。よって、制御部50と電子銃駆動回路40との間には、昇圧トランス32を介して高電圧発生回路30で生成した負の高電圧分の電位差が発生する。すなわち、制御部50と電子銃駆動回路40との間には、電界が発生する。
【0021】
制御回路52と電子銃駆動回路40との間の相互の通信を司る経路のうち、少なくとも収納容器10内の一部の経路は、電気的絶縁を保つために、光ファイバケーブル60により構成されている。これにより、グラウンド電位を基準電位として動作する制御回路52からの制御信号によって、高電圧発生回路30から供給される負の電位を基準電位として動作する電子銃駆動回路40内の電子源駆動回路46及びグリッド電圧制御回路48を制御できるようになっている。光ファイバケーブル60は、光電変換素子74を介して、制御回路52及びロジック回路44に接続されている。なお、基準電位とは、各回路において基準として扱われる電位である。
【0022】
ここで、本実施形態によるX線発生装置100は、光ファイバケーブル60が、その長さ方向に沿った電界の局所的な集中を抑制するための電界緩和手段を有している。なお、ここで言う電界緩和とは、電界強度の緩和を意味する。
【0023】
光ファイバケーブル60は、例えば
図2(a)に示すように、端部に光コネクタ62を備えており、回路基板70上に設けられた光コネクタ72に光学的に接続される。回路基板70上に設けられた光コネクタ72は、光電変換素子74を備えており、電気信号を光信号に変換して光ファイバケーブル60に出力し、或いは、光ファイバケーブル60からの光信号を電気信号に変換する。
【0024】
本実施形態では、光ファイバケーブル60に設けられた光コネクタ62と回路基板70上に設けられた光コネクタ72との接続部分を密閉するように、封止構造体76を設けている。封止構造体76は、光ファイバケーブル60と光電変換素子74との間の光学的接続部分や、光ファイバケーブル60の被覆の内側に絶縁油が滲入するのを防止するためのものである。このように設けられた封止構造体76が、本実施形態の光ファイバケーブル60における電界緩和手段に相当する。封止構造体76は、例えば、光コネクタ62と光コネクタ72とを接続した後、エポキシ樹脂等の樹脂材料を塗布し硬化させることにより、形成することができる。
【0025】
本実施形態の光ファイバケーブル60において電界緩和手段としての封止構造体76を設けている理由について、以下に説明する。
【0026】
前述のように、X線発生装置の小型化や印加電圧の高電圧化の進展とともに、制御回路52により電子源駆動回路46やグリッド電圧制御回路48を制御する制御系の誤動作が顕在化してきた。本発明者等の検討により、この誤動作の原因は、光ファイバケーブル60の内部において、光ファイバケーブル60の長さ方向に沿って電界の急激な変化が生じるためであることが判明した。
【0027】
典型的な光ファイバケーブルは、コア及びクラッドのみからなる光ファイバの外周に被覆が設けられた構造を有している。このような構造の光ファイバケーブルにおいて、光ファイバと被覆との間に気体が存在していることがある。例えば、ガラス繊維からなる一次被覆と樹脂系材料からなる二次被覆(外皮)との二層構造の被覆を有する光ファイバケーブルでは、一次被覆中に気体が存在している。このような構造の光ファイバケーブル60では、光コネクタ62と光コネクタ72との接続部分が密閉されていないと、光ファイバケーブル60の被覆の内側に絶縁油80が滲入し、光ファイバケーブル60内に局所的に気体が残留することがある。光ファイバケーブル60内にこのような残留気体が存在すると、その部分に電界が集中して部分放電が発生し、急激な容量変化に追従する高周波の電流が、接地電位側の回路基板70を通じて制御回路52に流れ、制御系の誤動作を引き起こす。
【0028】
図3は、光ファイバケーブル60内に局所的に残留気体が存在しているときの、光ファイバケーブル60の長さ方向に沿った電界分布を模式的に示した図である。
図3(a)は、光ファイバケーブル60の光ファイバ64と被覆66との間に絶縁油80が滲入しており、一部に気体82が残留している状態を示している。
図3(b)は、このときの等価回路を示している。
【0029】
絶縁油80の比誘電率(ε
r2=2〜3程度)は、気体82の比誘電率(ε
r1=1)の2倍〜3倍程度である。そのため、光ファイバケーブル60の両端に電位差(図では100kVを想定)が存在したときの光ファイバケーブル60の長さ方向に沿った等電位面(図中、点線で示す)の間隔は、絶縁油80の部分よりも気体82の部分において狭くなる。すなわち、気体82の部分に電界が集中する。その結果、気体82の部分において局所的に放電が発生し、放電電流I
cに伴う制御系の高周波電流が誤動作の原因となる。気体82の部分における放電は、光ファイバケーブル60が短くなるほど、また、電位差が大きくなるほど、起こりやすくなる。つまり、取り扱いの容易さや高透過力のためにX線発生装置の小型化や高電圧化を図ることで顕在化する。
【0030】
このような観点から、本実施形態によるX線発生装置では、光ファイバケーブル60に設けられた光コネクタ62と回路基板70上に設けられた光コネクタ72との接続部分を密閉するように、封止構造体76を設けている。このように構成することで、例えば
図4に示すように、光ファイバケーブル60内に絶縁油80が滲入することがなくなり、光ファイバケーブル60内に絶縁油80を介して局所的に気体82が残留するのを防止することができる。これにより、光ファイバケーブル60の長さ方向に沿った電界の急激な変化を抑制し、制御系の誤動作を防止することができる。
【0031】
なお、光コネクタ62と光コネクタ72との接続部分に封止構造体76を設けることには、光ファイバケーブル60内への絶縁油80の滲入防止に加え、光ファイバと光電変換素子との間の光学的な結合部への絶縁油80の影響を抑制する効果もある。
【0032】
光ファイバケーブル60の被覆(外皮)及び封止構造体76を構成する材料は、光ファイバケーブル60内への絶縁油80の滲入を継続的に防止する観点から、絶縁油80内で高電圧が加わっても変質しない材料であることが望ましい。絶縁油80内で高電圧が加わっても変質しない材料としては、例えば、可塑剤を含まない樹脂材料、例えばエポキシ樹脂やポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0033】
このように、本実施形態によれば、光コネクタ62と光コネクタ72との接続部分に封止構造体76を設けるので、光ファイバケーブル60の長さ方向に沿った電界の局所的な集中を抑制し、制御系の誤動作を低減することができる。これにより、X線発生装置の更なる小型化及び印加電圧の高電圧化が可能となる。
【0034】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態によるX線発生装置について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブルの構造を示す概略図である。
【0035】
第1実施形態では光ファイバケーブル60内への絶縁油80の滲入を防止するように光ファイバケーブル60を構成したが、光ファイバケーブル60内の気体を積極的に絶縁油80に置き換えるように構成することによっても、局所的な電界の集中を抑制することができる。
【0036】
すなわち、本実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブル60は、例えば
図5に示すように、被覆66に、気体の排出と絶縁油80の滲入との役割を担う開口部68が設けられている。このように設けられた開口部68が、本実施形態の光ファイバケーブル60における電界緩和手段に相当する。
【0037】
光ファイバケーブル60の被覆66に開口部68を設けることにより、光ファイバケーブル60内の気体の排出と、光ファイバケーブル60内への絶縁油80の滲入とを促進し、光ファイバケーブル60内に気体が残留するのを抑制することができる。光ファイバケーブル60内における電界集中は局所的に気体が残留することに起因するため、光ファイバケーブル60内の残留気体を低減することにより、光ファイバケーブル60内における電界集中を抑制し、ひいては制御系の誤動作を防止することができる。
【0038】
開口部68の配置場所は、光ファイバケーブル60内の気体の排出と、光ファイバケーブル60内への絶縁油80の滲入とが可能な場所であれば、特に限定されるものではない。例えば、光ファイバケーブル60の途中に配置してもよいし、光ファイバケーブル60と光コネクタ62との接続部の近傍に配置してもよい。また、開口部68の数や大きさは、光ファイバケーブル60に必要な強度を損なわない範囲で、光ファイバケーブル60内の気体が速やかに排出され、絶縁油80が容易に滲入できるように、適宜選択することができる。また、開口部68は、必ずしも光ファイバケーブル60の一部分に設けられている必要はなく、光ファイバ64の全体を露出するように設けられていてもよい。すなわち、光ファイバケーブル60の被覆66は、なくてもよい。
【0039】
光ファイバケーブル60内への絶縁油80の滲入を効果的に実現するため、収納容器10内への絶縁油80の充填には、収納容器10内を真空に引いた後に絶縁油80を注入する真空含浸法を適用することが好ましい。真空含浸法を用いることにより、光ファイバケーブル60内の気体を容易且つ確実に絶縁油80へと置換することができる。
【0040】
開口部68の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、カッターにより被覆66に切れ込みを入れる等の一般的な方法により実施することができる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、光ファイバケーブル60の被覆66に気体の排出と絶縁油80の滲入との役割を担う開口部68を設けるので、光ファイバケーブル60の長さ方向に沿った電界の局所的な集中を抑制し、制御系の誤動作を低減することができる。これにより、X線発生装置の更なる小型化及び印加電圧の高電圧化が可能となる。
【0042】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるX線発生装置について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブルの構造を示す概略図である。
【0043】
本実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブル60は、
図6に示すように、光ファイバケーブル60の被覆(被覆66a)が、高抵抗材料により構成されている。光ファイバケーブル60の被覆66aを高抵抗材料により形成することにより、その被覆を流れる電流によって形成される電界によって光ファイバケーブル60の長さ方向の電界の均一化を図ることが可能となる。高抵抗材料からなる被覆66aが、本実施形態の光ファイバケーブル60における電界緩和手段に相当する。
【0044】
被覆66aを高抵抗材料により構成することで、被覆66aに電子線の加速電圧を被覆66aの抵抗値で除した値に相当する電流を流すことができ、これによって光ファイバケーブル60の長さ方向の電界の均一化を図ることが可能となる。この目的のもと、被覆66aを構成する材料の抵抗値は、電位規定及び消費電力からその望ましい範囲に設定される。被覆66aのシート抵抗は、電位規定の観点からすると、10
14Ω/□以下が好ましく、10
12Ω/□以下であることがより好ましく、10
11Ω/□以下であることが最も好ましい。被覆66aのシート抵抗の下限は、加速電圧及び光ファイバケーブル60の長さにより左右されるが、消費電力を抑制するために、10
5Ω/□以上であることが好ましく、10
7Ω/□以上であることがより好ましい。
【0045】
例えば、直径2mm、長さ300mmの光ファイバケーブル60を用いた場合には、被覆66aのシート抵抗を5×10
10Ω/□程度に設定することができる。この場合、加速電圧が100kVのときに流れる電流が1μA程度となり、電位規定、消費電力の点からも適当である。
【0046】
高抵抗材料からなる被覆66aは、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック等のカーボン系材料を練り込んだ樹脂材料が挙げられる。この例では、カーボン系材料の添加量により、抵抗値の調整が可能である。
【0047】
このように、本実施形態によれば、光ファイバケーブル60の被覆66aを高抵抗材料により構成するので、光ファイバケーブル60の長さ方向に沿った電界の局所的な集中を抑制し、制御系の誤動作を低減することができる。これにより、X線発生装置の更なる小型化及び印加電圧の高電圧化が可能となる。
【0048】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態によるX線撮影システムについて、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態によるX線撮影システムの概略構成を示すブロック図である。
【0049】
本実施形態では、第1乃至第3実施形態によるX線発生装置を用いたX線撮影システムを示す。
【0050】
本実施形態によるX線撮影システム200は、
図7に示すように、X線発生装置100と、X線検出装置110と、システム制御装置120と、表示装置130とを含む。
【0051】
X線発生装置100は、第1乃至第3実施形態のいずれかのX線発生装置であり、X線管20と、X線管駆動回路102とを含む。X線管駆動回路102は、第1乃至第3実施形態のX線発生装置における高電圧発生回路30、電子銃駆動回路40、制御部50等を含む。X線検出装置110は、X線検出器112と、信号処理部114を含む。システム制御装置120は、X線発生装置100及びX線検出装置110を含むシステム全体の制御を司る。表示装置130は、システム制御装置120で処理された画像信号をスクリーンに表示する。
【0052】
X線発生装置100のX線管駆動回路102は、システム制御装置120による制御の下に、X線管20に各種の制御信号を出力する。システム制御装置120から出力された制御信号により、X線発生装置100から放出されるX線の放出状態が制御される。
【0053】
X線発生装置100から放出されたX線104は、被検体106を透過してX線検出器112で検出される。X線検出器112は、不図示の検出素子を複数備えており、透過X線像を取得する。X線検出器112は、取得した透過X線像を画像信号に変換して信号処理部114に出力する。X線管20と被検体106との間には、不要なX線の照射を抑制するために、不図示のスリット、コリメータ等を配置してもよい。
【0054】
信号処理部114は、システム制御装置120による制御の下に、画像信号に所定の信号処理を施し、処理された画像信号をシステム制御装置120に出力する。システム制御装置120は、処理された画像信号に基づいて、表示装置130に画像を表示させるために表示信号を表示装置130に出力する。表示装置130は、表示信号に基づく被検体106の撮影画像をスクリーンに表示する。
【0055】
このように、本実施形態によれば、小型でかつ放電耐圧特性に優れた第1乃至第3実施形態によるX線発生装置100を用いることにより、安定して撮影画像を取得することが可能な、信頼性の高いX線撮影システム200を実現することができる。
【0056】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0057】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。例えば、第1又は第2実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブル60の被覆66を、第3実施形態の被覆66aにより構成するようにしてもよい。また、第3実施形態によるX線発生装置の光ファイバケーブル60の被覆66aに、第2実施形態の開口部68を設けるようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、X線管20の接地方式を陽極接地方式としたが、X線管20の接地方式は陽極接地方式に限定されるものではない。例えば、X線管の陽極と陰極とにそれぞれ正、負の高電圧を印加する中性点接地方式としてもよい。本発明は、制御信号の伝搬経路の一部に光ファイバケーブルを含み、この光ファイバケーブルの両端部の電位差が大きい構成のX線発生装置に広く適用可能である。
【0059】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
X線管と、X線を駆動する駆動回路と、X線管に印加する電子加速電圧を生成する電圧発生回路と、駆動回路と通信する制御部と、を有し、少なくとも、X線管と、駆動回路と、電圧発生回路とが、絶縁油が充填された収納容器内に配されたX線発生装置であって、駆動回路と制御部とを接続する経路の少なくとも一部が、収納容器内に配された光ファイバケーブルにより構成されており、光ファイバケーブルは、駆動回路と制御部との間の電位差によって発生する電界が、光ファイバケーブルの長さ方向に沿って局所的に集中することを抑制するための電界緩和手段を有する。