(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
移動体通信により電話網やインターネットに接続可能な携帯型の電子機器(以下、「通信装置」と称する。)は、音声通話を可能とするだけでなく、ネットワーク上のコンピュータシステムを操作したり、様々な情報を持ち歩いて利用したりすることができ高い利便性を有する。それ故、企業などの組織において、外出して業務に従事する者に携帯端末等の通信装置を携行させ、業務で必要な通信連絡や、企業の社内システム等へのアクセスや、情報閲覧に通信装置を利用させることが行われている。
【0003】
例えば、警備会社では、顧客の建物等に設置された警備装置が異常を検知した場合などに、警備員がその監視エリアに急行して状況の確認等の対処を行う。警備員は携行した通信装置から警備装置4にアクセスして警備装置4の警備モードを監視モードから対処モードに設定する。また、顧客の建物の警備状況を遠隔の監視センタにアクセスして通知したり、対処終了通知を行ったりする。また、警備員が携行した当該通信装置には警備員が担当する顧客の所在地などの情報が記憶されている。
【0004】
通信装置は、利便性の反面、警備員に携行されて公衆の中に持ち出されて利用されるので建物の中で利用される端末に比べてセキュリティの確保が難しい。例えば、通信装置の置き忘れや紛失・盗難により、部外者がこの通信装置を利用して組織のコンピュータシステムに不正にアクセスしたり、通信装置に保存された組織や顧客などに関する秘密情報が漏洩したりする危険性が高くなる。
【0005】
そこで、通信装置に暗証番号・パスワードや指紋などによる認証を行わなければ操作ができなくするロック機能を設けることでセキュリティの確保を図ることが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、通信装置の所持者を脅迫する者がいることも想定され、脅迫者を前にして所持者が身の安全を確保するには、通信装置のロックを解除することもやむを得ない。とはいえ、ロックを解除すれば、例えば上述の警備会社の例では、脅迫者は顧客の警備装置を対処モードに設定して建物に不法に侵入し、さらに窃盗などの犯罪行為に及んだり、通信装置に保存された秘密情報を盗み見たり、また、通信装置から警備会社のコンピュータシステムにアクセスして秘密情報の閲覧、重要情報の改竄などを行ったりするおそれがある。
【0008】
本願発明は、通信装置の所持者の安全確保を図りつつ、ロック解除後の通信装置の不正使用に伴い生じ得る被害を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る通信装置は、移動体通信を行う通信部を備えた通信装置であって、使用者により指示された指示動作が保護対象である場合に当該指示動作の実行を制限する動作制限部と、前記使用者により入力された認証情報に基づいて認証を行う認証部と、前記認証がされた場合に前記動作制限部による動作制限を解除する動作制限解除部と、非常時に、マイクロフォンにて音声を取得し、予め設定されたセンタ装置へ当該音声を前記移動体通信により送信する音声送信動作を行う非常時処理部と、を有し、前記認証部は、入力された前記認証情報が通常用認証情報又は非常用認証情報である場合に前記認証を行い、前記非常時処理部は、前記非常用認証情報が入力された場合を前記非常時とし、前記指示動作の実行と共に前記音声送信動作を行う。
【0010】
他の本発明に係る通信装置においては、前記非常時処理部が、当該通信装置をミュート状態にして前記音声送信動作を行う。
【0011】
さらに他の本発明に係る通信装置においては、前記非常時処理部が、前記マイクロフォンの感度を設定可能な最大値にして前記音声送信動作を行う。
【0012】
別の本発明に係る通信装置においては、前記通信部が、前記移動体通信の圏内か圏外かを判定し、前記認証部が、前記圏内においてのみ前記認証を行う。
【0013】
さらに別の本発明に係る通信装置においては、前記通信部が、前記移動体通信の圏内か圏外かを判定し、前記非常時処理部が、前記圏外においては前記音声を録音し、前記圏内において前記音声送信動作を行う。
【0014】
本発明に係るプログラムは、移動体通信を行う通信部を備えた通信装置に内蔵されたコンピュータを、使用者により指示された指示動作が保護対象である場合に当該指示動作の実行を制限する動作制限手段、前記使用者により入力された認証情報に基づいて認証を行う認証手段、前記認証がされた場合に前記動作制限手段による動作制限を解除する動作制限解除手段、及び、非常時に、マイクロフォンにて音声を取得し、予め設定されたセンタ装置へ当該音声を前記移動体通信により送信する音声送信動作を行う非常時処理手段、として機能させ、前記認証手段が、入力された前記認証情報が通常用認証情報又は非常用認証情報である場合に前記認証を行い、前記非常時処理手段が、前記非常用認証情報が入力された場合を前記非常時とし、前記指示動作の実行と共に前記音声送信動作を行うプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信装置の所持者を脅迫する者が存在する異常事態に対して、脅迫者の要求に応じて通信装置のロックを解除することで当該所持者の安全確保が図れると共に、センタ装置へ当該異常事態での音声を送信することでセンタ装置やそれを監視する者が、ロック解除後の通信装置の不正使用に伴い生じ得る被害への対処を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0018】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態である警備システムの概略の構成を示す模式図である。当該警備システムは、通信装置2、警備装置4、センタ装置6及び通信網8を含んで構成される。通信装置2は警備会社の警備員10により携行される。警備装置4は警備対象の建物12に設置される。また、センタ装置6は、警備会社の監視センタに設置される。
【0019】
通信装置2は移動体通信機能を有する。例えば、通信装置2はスマートフォン、タブレット型コンピュータや携帯電話である。通信装置2はその近傍の移動体通信基地局16と無線接続され、移動体通信基地局16及び通信網8を介して監視センタ14(センタ装置6を含む。)などと通信することができる。
【0020】
警備装置4は建物12に設置された侵入検知センサ(不図示)や扉の電気錠(不図示)などと有線又は無線で接続され、また、通信網8を介して遠隔の監視センタ14と接続される。警備装置4は警備モードを監視モード、監視解除モード及び対処モードに設定可能であり、監視モードではセンサからの異常通報信号や画像などを監視センタ14へ中継する。一方、監視解除モードではセンサから異常通報信号を受けても、監視センタ14への中継は行わない。警備装置4の顧客は、監視モードと監視解除モードとを切り替えることができる。対処モードは警備員用の警備状態であり、警備員が異常通報などを受け建物12内を点検する際に設定することができるモードである。
【0021】
警備員10は通信装置2を用いて対処モードへの切り替えを行うことができる。例えば、警備員10は通信装置2から監視センタ14にアクセスし、警備装置4を遠隔で監視、制御する監視センタ14の装置に警備装置4を対処モードに切り替えさせたり、通信装置2から警備装置4にアクセスして対処モードとしたりするように構成されている。
【0022】
図2は、通信装置2の概略の構成を示すブロック図である。通信装置2は、制御部20、記憶部22の他、無線部24、操作部26、カメラ28、マイクロフォン30、スピーカー32、表示部34を含んで構成される。
【0023】
無線部24は基地局通信部及びGPS受信部を含んで構成される。基地局通信部は、移動体通信基地局16との間で無線通信を行う移動体通信部であり、通信装置2は基地局通信部により移動体通信基地局16及び通信網8を介して監視センタ14と通信を行うことができる。GPS受信部はGPS衛星からGPS信号を受信して、自己の現在位置に応じたGPS情報を取得する。
【0024】
操作部26はユーザが通信装置2の動作を選択したり制御部20に指示を与えたりするための入力手段であり、例えば、各種ボタンスイッチやタッチパネルなどから構成される。
【0025】
カメラ28は人物や風景等の被写体を撮像する撮像部である。マイクロフォン30は、音声通信時等にユーザの声等を集音する集音部である。スピーカー32は、音声通信時において通話相手側の音声を出力したり、着信があった場合や電子メールを受信した場合に、呼び出し音を出力したりする音声出力部である。表示部34は液晶ディスプレイ等の画像表示手段である。
【0026】
無線部24、操作部26、カメラ28、マイクロフォン30、スピーカー32及び表示部34は制御部20に接続され、制御部20からの信号を受けて動作したり、制御部20へ信号を出力したりする。
【0027】
制御部20は、マイクロプロセッサ等を用いて構成され、実行されるプログラムに応じて各種の処理を行う。例えば、制御部20は、通信制御部40、動作制限部42、認証部44、動作制限解除部46及び非常時処理部48として機能する。
【0028】
通信制御部40は、無線部24と共に音声通信機能を担う通信部を構成する。具体的には、通話相手端末との間の回線接続が確立され、マイクロフォン30にて電気信号に変換された音声信号が通信制御部40を経由して無線部24に入力され、無線部24にて無線信号に変換され移動体通信基地局16へ送信される。また、移動体通信基地局16から受信した無線信号は無線部24にて検波され、取り出された音声信号は通信制御部40や音声出力回路を経由してスピーカー32に入力される。通信制御部40は、移動体通信基地局16からの受信信号の信号強度に基づいて、通信装置2が移動体通信の圏内か圏外かを判定する。
【0029】
動作制限部42は、ユーザにより指示された指示動作が保護対象である場合に当該指示動作の実行を制限する。ユーザは操作部26を操作することで制御部20に対し動作指示を与えることができる。動作制限部42は指示された動作が、予め定められた保護対象動作であるか否かを調べ、保護対象動作でなければ、当該動作を実行するプログラムの起動を許可する。一方、保護対象動作である場合には、動作制限部42は、ユーザが当該動作を実行させることができる者であるかについての認証処理を起動する。例えば、携帯電話機能の発信動作や記憶部22に保存されたデータの閲覧が保護対象動作とされる。
【0030】
認証部44は、指示動作が保護対象動作である場合の認証処理を行う。認証部44はユーザに認証情報の入力を要求し、入力された情報が真正であるか否かを判定する。後述するように真正なユーザである警備員10は通常時と非常時とで異なる認証情報を入力する。認証部44は通常時用認証情報及び非常時用認証情報のいずれについても真正であると判定し認証を与える。本発明の第1の実施形態では、認証部44は通信装置2が移動体通信の圏内にある場合においてのみ当該認証を行う。すなわち、入力された認証情報が通常時用認証情報及び非常時用認証情報のいずれであっても、通信装置2が圏外にある場合には認証を与えない。その際、認証部44は圏外なので認証ができない旨を画像表示や音声で通知する。
【0031】
例えば、認証情報は暗証番号やパスワードとすることができ、認証部44は、暗証番号やパスワードをタッチパネルから入力するよう表示部34に表示する。ちなみに、タッチパネルから数字や文字を入力するだけの操作は保護対象動作とはされない。また、指紋などの生体情報を認証情報として用いることもできる。例えば、指紋を認証情報として用いる場合、警備員10の異なる指の指紋を通常時用認証情報と非常時用認証情報として用いることができる。
【0032】
ユーザが入力した認証情報が真正か否かの判定は、例えば、認証情報が暗証番号やパスワードである場合には、記憶部22に予め真正な認証情報を登録しておき、認証部44がユーザにより入力された認証情報と、記憶部22から読み出した認証情報とを照合することで行うことができる。照合した結果、両認証情報が一致した場合は、ユーザ(又は当該ユーザによる指示動作)は正当性を有するとして認証し、逆に不一致性の場合は認証を与えない。この判定において、認証部44は入力された認証情報が通常時用認証情報であるか、非常時用認証情報であるか、またはそれらのいずれでも無いかを判別することができる。
【0033】
動作制限解除部46は、認証部44により認証がされた場合に動作制限部42による動作制限を解除する。すなわち、入力された認証情報が通常時用認証情報及び非常時用認証情報のいずれの場合であっても動作制限は解除される。
【0034】
非常時処理部48は、入力された認証情報が非常時用認証情報であった場合、非常時に対応した処理として、マイクロフォン30にて音声を取得し、センタ装置6へ当該音声を移動体通信により送信する音声送信動作を行う。つまり、入力された認証情報が非常時用認証情報であった場合には、動作制限解除部46により指示動作に対する制限が解除され、制御部20は当該指示動作を実行すると共に、非常時処理部48の音声送信動作も行う。なお、非常時処理部48は音声送信動作と並行して録音を行ってもよい。一方、入力された認証情報が通常時用認証情報であった場合には、指示動作は実行されるが、非常時処理部48による音声送信動作は行われない。
【0035】
記憶部22はROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置で実現され、制御部20にて実行される各種プログラムやそれに必要なデータを格納する。特に、記憶部22は、通常時用認証情報50、非常時用認証情報52及び、センタ装置6の電話番号又はIPアドレスを予め登録されている。また、非常時処理部48が録音を行う場合には記憶部22にはその録音データファイル54が格納される。
【0036】
次に、第1の実施形態においてユーザが通信装置2に対し指示動作を行った場合の制御部20の処理を、
図3に示す概略の処理フロー図を用いて説明する。制御部20は、通信装置2の操作部26への操作を検知すると動作制限部42により、当該操作により指示される通信装置2の動作が保護対象であるか否かを判定する(S60)。保護対象動作は例えば、記憶部22に予め登録されており、動作制限部42は指示動作が記憶部22に保護対象動作として登録されているか否かを検索し、登録されている場合は保護対象動作と判断する。保護対象動作であると判断された場合、その指示動作の実行は制限される。すなわち、動作制限部42が指示動作の実行を留保する。
【0037】
指示動作が保護対象動作である場合(ステップS60にて「Yes」の場合)、認証部44は例えば、認証情報の入力をユーザに要求する画面を表示部34に表示し、認証情報の入力を待つ(S62)。
【0038】
警備員10は何事もなければ通常時用認証情報を入力する。一方、例えば、近くに脅迫者が居て指示動作を強要され身の危険を感じている場合などに非常時用認証情報を入力する。
【0039】
認証情報が入力されると、認証部44は通信制御部40が圏内と判定しているかを調べ(S64)、圏内であれば認証処理を実行する。具体的には、認証部44は、ユーザが入力した認証情報が通常時用認証情報50と一致するか否か(S66)、及び非常時用認証情報52と一致するか否か(S68)を調べる。
【0040】
通常時用認証情報50と一致した場合(ステップS66にて「Yes」の場合)は、動作制限解除部46が指示動作に対する制限を解除する(S80)。これにより制御部20は指示動作を実行する。
【0041】
非常時用認証情報52と一致した場合(ステップS68にて「Yes」の場合)は、非常時処理部48がセンタ装置6への音声送信を開始し(S76)、しかる後、動作制限解除部46が指示動作に対する制限を解除する(S80)。これにより制御部20はセンタ装置6へ音声を送信すると共に、指示動作を実行する。
【0042】
音声送信の開始に際して、非常時処理部48はマイクロフォン30の感度を設定可能な最大値にする(S70)。例えば、通信装置2はマイクロフォン30の感度を“高/中/低”3段階に切り替え可能に構成され、ユーザは携帯電話機能の使用状況に応じて当該感度を切り替えて使用する。例えば、マイクロフォン30の感度を“高”に設定することで、ハンズフリーでの通話が可能となる。非常時処理部48は非常時における音声送信を行う間、自動的に感度を“高”に切り替え、当該音声送信動作を終了する際にはユーザが設定していた感度に戻す。このように非常時の音声送信動作にてマイクロフォン30の感度を高く設定することで、広い範囲の音を捉えることができ、監視センタ14にて通信装置2の周囲の状況を把握し易くなる。
【0043】
監視センタ14への音声送信は脅迫者等に気づかれないように行うのがよい。そこで、非常時処理部48は、センタ装置6からの受信音声などがスピーカー32から出力されないようにするために、音声出力回路を制御して通信装置2をミュート状態とする(S72)。
【0044】
非常時処理部48は、マイクロフォン30の感度切り替え及びミュート設定を行った後、センタ装置6との通信接続を行い(S74)、音声送信を開始する(S76)。
【0045】
なお、入力された認証情報が通常時用認証情報50及び非常時用認証情報52のいずれとも一致しない場合(ステップS66及びS68にて共に「No」の場合)認証は与えられない。また、通信装置2が圏外の場合(ステップS64にて「No」の場合)、認証部44は圏外では認証不可である旨を表示部34に表示するなどして通知し(S82)、認証は行わない。これらの場合は、指示動作の動作制限は解除されず、指示動作は実行されない。
【0046】
上述の構成のように、通常時用認証情報と非常時用認証情報とを区別せずに、いずれの場合でも圏内であることを認証の要件とすることで、端から見て非常時の警備員10の通信装置操作の挙動が通常時の挙動と区別しにくくなる。つまり、通信装置2が非常時に通常時と異なる動作を行うことが気づかれにくくなる。
【0047】
ここで、通信装置2が圏内であることを認証の要件とするのは、基本的には非常時において音声送信を行うためである。つまり、本実施形態では認証情報の照合自体は通信装置2単体で行われ、外部装置との通信を必要としないので、通常時は圏外であっても認証を行う構成とすることも可能である。
【0048】
ちなみに、指示動作が保護対象動作ではない場合(ステップS60にて「No」の場合)、当該指示動作は動作制限部42による留保を受けないので、認証処理を要さず実行される。
【0049】
図4はセンタ装置6の概略のブロック構成図である。センタ装置6は、警備会社などが監視区域を監視するために運営する監視センタに設置される。この他、センタ装置は警備員を派遣する警備本部、警備員に遠隔から指示を出すための指令本部、大型ビル内の防災センターに設けられた防災本部など、警備員の管理を行う施設に設置されてよい。センタ装置6は通信部90、制御部92、記憶部94、アラーム96及びスピーカー98を含んで構成される。
【0050】
通信部90は通信網8に接続され、通信装置2との通信を行う。ここで、非常時に通信装置2が接続するセンタ装置6の電話番号やIPアドレスを、非常時の音声送信専用としたり、通信装置2が非常時の音声送信であることを示すデータ等を自動送信したりすることで、センタ装置6は接続してきた通信装置2について非常時であることを把握することができる。
【0051】
制御部92は通信装置2との接続が確立されると、当該通信装置2の識別情報や接続確立の時間などを記憶部94に記録する。例えば、センタ装置6と通信装置2とが電話回線で接続される場合、制御部20は発呼者番号を記憶部94に記録する。また、通信装置2は非常時の音声送信動作の開始に際して、自己の識別データをセンタ装置6に送るように構成してもよく、その場合、センタ装置6は当該識別データを記憶部94に記録する。
【0052】
制御部92は通信装置2からの非常時の接続を受けると、アラーム96を起動し、監視センタ14の監視員に報知する。また、通信装置2から受信した音声をスピーカー98から出力したり、音声データを記憶部94に記録したりする。
【0053】
監視センタ14の監視員は、スピーカー98から出力される音声に基づいて、通信装置2の周囲の非常事態を把握し、当該非常事態への対処を講じることができる。また、録音データに残された脅迫者の声から脅迫者を特定する手がかりを得ることも可能である。
【0054】
通信装置2は音声に加えて、GPS受信部により取得したGPS情報をセンタ装置6へ送信してもよく、監視センタ14では当該GPS情報に基づいて非常事態に迅速に対処することができる。
【0055】
[実施形態2]
本発明の第2の実施形態である警備システムのシステム全体、通信装置2及びセンタ装置6の概略構成は上記第1の実施形態の警備システムと同様であり、その説明で用いた
図1、
図2、
図4を本実施形態の説明に援用する。
【0056】
第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、ユーザが通信装置2に対し指示動作を行った場合の制御部20の処理にある。
図5は第2の実施形態における当該処理の概略のフロー図である。
図5において
図3と同様の処理には同じ符号を付して以下の説明を簡潔にしている。
【0057】
指示動作が保護対象動作である場合(ステップS60にて「Yes」の場合)、動作制限部42は当該指示動作の実行を留保し、認証部44は認証情報の入力をユーザに要求する(S62)。
【0058】
警備員10は何事もなければ通常時用認証情報を入力し、非常時には非常時用認証情報を入力する。
【0059】
入力された認証情報が通常時用認証情報50と一致した場合(ステップS66にて「Yes」の場合)には、動作制限解除部46が指示動作に対する制限を解除する(S80)。
【0060】
入力された認証情報が非常時用認証情報52と一致した場合(ステップS68にて「Yes」の場合)には、非常時処理部48は、マイクロフォン30の感度切り替え(S70)及びミュート設定(S72)を行った後、通信制御部40が圏内であるかを調べる(S84)。
【0061】
圏内であれば(ステップS84にて「Yes」)、センタ装置6との通信接続を行い(S74)、音声送信を開始する(S76)。
【0062】
一方、圏外であれば(ステップS84にて「No」)、非常時処理部48はマイクロフォン30から入力された音声の録音を開始する(S86)。
【0063】
動作制限解除部46は、音声送信(S76)又は録音(S86)が開始されると、指示動作に対する制限を解除する(S80)。
【0064】
本実施形態では、圏内であることを認証の要件としない。つまり、圏外でも保護対象の指示動作に対して認証がされ当該動作が実行される点で利便性が高い。また、圏外では、監視センタ14で非常事態を迅速に検知して対処することはできないが、録音した音声を事後にて脅迫者の特定に利用することができる。