(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板のフラックス塗布面側を下方にして基板が搬送され、搬送されてきた前記基板のフラックス塗布面に前記基板の下方よりフラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、
前記基板の平面方向および当該平面方向に直交する方向の少なくも一方に移動可能に設けられたノズル部と、
前記フラックスが収容されるタンク内に加圧空気を供給することで前記フラックスを前記ノズル部に搬送する加圧空気供給部と、
前記ノズル部からのフラックスの塗布幅を設定するための塗布幅設定部と、
前記ノズル部から塗布される前記フラックスの流量を設定するための流量設定部と、
前記設定部で設定された前記流量により前記ノズル部に供給される前記フラックスの流量を測定する流量測定部と、
前記測定部により測定された前記フラックスの現在流量を予め設定された基準流量に調整するための加圧補正量を算出する制御部と、
前記加圧空気供給部からの前記加圧空気を前記制御部から供給される加圧補正量に応じて調整して前記タンクに供給する圧力調整部と、を備え、
前記塗布幅設定部は、フラックスの塗布幅の基準となる塗布幅確認マークが形成されたガラス板に対して前記ノズル部により塗布された前記フラックスの塗布幅が前記塗布幅確認マークの範囲内となるように調整可能に構成されている
ことを特徴とするフラックス塗布装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。 [フラックス塗布装置の構成例]
図1はフラックス塗布装置100の構成例を示す平面図であり、
図2は
図1に示すフラックス塗布装置100のA−A線に沿った断面図である。
図3、フラックス塗布装置100の構成例を示す斜視図である。なお、
図1〜
図3において、移動部14等の詳細な説明は便宜上省略している。
【0015】
図1〜
図3に示すように、フラックス塗布装置100は、フラクサタンク10とノズル部30と搬送部18とフラックス空吹き部20とを備えている。フラクサタンク10は、自動はんだ付け装置の入口付近に設置され、その内部には後述するフラックスFxが収容された加圧タンク62や制御装置50等が配設されると共に、その上面部にはノズル部30等が配設される開口部12が形成されている。
【0016】
ノズル部30は、フラクサタンク10の開口部12に、移動部14(
図5参照)によりX−Y−Z方向に移動可能に支持されている。本例では、2個のノズル部30が設置されており、搬送方向D1に1個のパレット上にプリント基板が2枚載置されて搬送されてきたときに、パレットに保持されている各基板に対して同時にそれぞれ予め設定された所定の正規位置(ホームポジション)からフラックスFxの塗布動作が行えるように構成されている。もちろん、1個のパレット上にプリント基板が1枚載置される場合には、ノズル部30を1個で構成することもできる。このように生産の形態によってノズルの個数、配置の変更は種々自由自在に行うことができる。
【0017】
搬送部18は、基板の搬送方向D1に沿って延在した一対のレールから構成され、自動はんだ付け装置の入口から搬入される基板をフラックスFxの塗布位置まで搬送し、フラックスFxの塗布が終了したらその基板を次工程のプリヒータ部に搬送する。
【0018】
フラックス空吹き部20は、フラックス流量確認部の一例であり、上述した所定の正規位置(ホームポジション)とは異なる位置に設置されており、一例としてパレットが搬送されてきたときに、パレットに保持されている基板の位置から外れた位置に設けられており、後述する操作表示部70で設定された流量によりフラックスFxが基板に塗布されているか否かを確認する流量確認動作や塗布補正動作時に使用されるものである。ここで、流量確認動作とは、フラックス空吹き部20にフラックスFxを塗布することでフラックスFxの現在流量を確認するときや、塗布補正動作時の加圧補正量を算出する際に使用される係数を取得するときに実行する制御動作である。塗布補正動作とは、フラックス空吹き部20にフラックスFxを塗布して現在流量を取得し、この現在流量と予め設定された基準流量とに基づいて流量が正常範囲となるような加圧補正量を算出し、この算出した加圧補正量にタンク加圧を変更した後、再度フラックスFxをフラックス空吹き部20に塗布してこのときのフラックスFxの流量を確認するための制御動作である。
【0019】
フラックス空吹き部20は、水平部20aと垂直部20bとを有する逆L字状に折り曲げられた平板部材により構成され、垂直部20bの下端に連設された取り付け部20cを介してフラクサタンク10に着脱可能に取り付けられている。フラックス空吹き部20には、例えば樹脂材料や金属材料が用いられる。フラックス空吹き部20は、その長手方向が開口部12の端縁12a,12bのそれぞれに沿うようにして設置され、フラックスFxの塗布位置に搬送される基板とは重ならない外側の領域に設けられる。
【0020】
フラックス空吹き部20の水平部20aは、開口部12を臨むようにして開口部12の上方に延出しており、水平部20aのノズル部30との対向側が流量確認動作時や塗布補正動作時にフラックスFxが塗布される被塗布面20dとなっている。この被塗布面20dには、塗布されたフラックスFxが容易に垂れないようにするための例えばメッシュ構造のフィルタ部材24が貼り付けられている。フィルタ部材24には例えばフラックスにより腐食したり容易に劣化しにくいニッケル等の金属材料が用いられ、被塗布面20dに対して交換可能に取り付けられている。フラックス空吹き部20の構造や材質は本例に限定されるものではない。
【0021】
フラックス空吹き部20の長手方向の長さL1は、ノズル部30を走査しながらフラックスFxの塗布が安定して開始される距離を有するように選定され、短手方向の長さL2は、理想とされるフラックスFxの塗布幅よりも若干広くなるように選定される。本例の場合、長手方向の長さL1は200mmに設定され、また、短手方向の長さL2は20mmに設定されている。ノズル部30の先端とフラックス空吹き部20の被塗布面20dとの間隔W1は例えば10mmに選定される。このように構成することで、ノズル部30が塗布位置PA,PBに移動したときに丁度上方にフラックス空吹き部20の被塗布面20dが位置して塗布できるようになる。
【0022】
また、フラックスFxの塗布幅は、本例の場合、8mm〜10mmに設定される。この塗布幅の設定は、実際の基板と同じサイズのダミーのガラス板G(
図3及び
図4参照)を使用して行われる。具体的には、基準となる所定の塗布幅確認マーク(M1=8mm、M2=10mm)が印刷されたガラス板Gの下方の正規位置(ホームポジション)に位置しているノズル部30からフラックスFxを予め設定された加圧値で塗布し、所定の塗布幅となるように、ノズル部30の先端部分に設けられ図示しないフラックスFxの塗布幅を設定するための塗布幅設定部として機能する調整部を調整することによって塗布幅の設定がなされる。このときの予め設定された加圧値が基準加圧値となり、設定された塗布幅が基準塗布幅となる。本例の場合、基準加圧値は0.08Pa、基準塗布幅は8mm〜10mmに設定される。この予め設定された基準加圧値および基準塗布幅の状態でフラックスFxの塗布を行った場合におけるフラックスFxの流量が、以下で説明するフラックスの流量を制御するための基準流量(正常流量)となる。上記のフラックス空吹き部20の長手方向の長さL1、短手方向の長さL2、フラックスFxの塗布幅基準加圧値、基準塗布幅等のパラメータの数値は適宜決定され得る値である。
【0023】
[ラックス塗布装置のブロック構成例]
図5は、本発明の一実施形態に係るフラックス塗布装置100の機能構成の一例を示している。
図5に示すように、フラックス塗布装置100は、ノズル部30と移動部14と駆動部52と流量計60と加圧タンク62と電空レギュレータ66とエア供給部68と電磁弁64と操作表示部70とを備えている。
【0024】
制御装置50は、例えばプログラマブルロジックコントローラから構成され、ROMやRAM等のメモリ50aを有している。制御装置50は、操作表示部70等の入力機器からの指令信号に基づいてどの出力機器を動作・停止させるか等のプログラムをメモリ50aに記憶し、各入力機器から指令信号が入力されたときにプログラムをメモリ50aから読み出して出力機器の動作を制御する。また、制御装置50は、塗布補正動作時において、流量計60により測定されたフラックスFxの現在流量と予め設定されている上述した塗布幅の設定時の流量を基準とした基準流量(正常流量)との差分から、フラックスFxの流量を正常流量に補正するための加圧補正量(加圧タンク62の加圧量)を算出し、算出した加圧補正量を電空レギュレータ66に供給する。なお、加圧補正量の算出方法については後述する。
【0025】
エア供給部68は、加圧空気供給の一例であり、例えばコンプレッサ等から構成されている。エア供給部68は、制御装置50からの指令信号Saに基づいて空気を圧縮した加圧エアを生成し、生成した加圧エアを配管H1を介して一定の加圧値にて、電空レギュレータ66に供給する。本例の場合、エア供給部68から基準加圧値の0.08Paが、供給されている。
【0026】
電空レギュレータ66は、電磁弁64とエア供給部68との間に設置され、制御装置50から出力される指令信号Srに基づいて内部に設けられた弁等を制御することで、エア供給部68から供給される加圧エアを指令信号Srに応じた圧力に調整して加圧タンク62に出力する。指令信号Srは、流量計60により測定された現在流量測定値Dfに基づいてフラックスFxの温度変化により変化した流量を正常流量に補正するために、流量計60の測定結果に基づいて制御装置50で算出された加圧タンク62の加圧補正量である。
【0027】
電磁弁64は、加圧タンク62と電空レギュレータ66との間に設置され、制御装置50から供給される指令信号Sbに基づいて開閉することで加圧タンク62への加圧エアの供給を制御する。例えば、塗布補正動作時に電磁弁64が開くと、電空レギュレータ66によって圧力補正された加圧エアが配管H2を介して加圧タンク62に供給される。
【0028】
加圧タンク62は密閉型の容器であって、内部には所定量のフラックスFxが収容されている。フラックスFxには、有機溶剤が使用され、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)等が使用される。このフラックスFxは、加圧タンク62内に設置された図示しないフラックスFxの量を検知するセンサの出力に応じて図示しないフラックス缶から供給される。エア供給部68から配管H2を介して加圧タンク62に加圧エアが供給されると、内部のフラックスFxが加圧エアの圧力によりノズル部30に搬送される。
【0029】
流量計60は、計測部の一例であり、加圧タンク62とノズル部30との間の配管H3に設置されている。流量計60は、加圧タンク62とノズル部30との間の配管H3に流れるフラックスFxの現在流量を測定し、測定により得られた現在流量測定値Df(アナログ電圧)を制御装置50に供給する。
【0030】
ノズル部30は、配管H3を介して加圧タンク62に接続され、加圧タンク62から供給されるフラックスFxをノズル部30から塗布する。駆動部52は、例えばステッピングモータやサーボモータ等から構成され、制御装置50から出力される指令信号Skに基づいて駆動して移動部14をX方向、Y方向またはZ方向に移動させる。本例では、X方向は基板の搬送方向D1に相当し、Y方向は搬送方向D1に直交する直交方向D2に相当している。移動部14は、例えば3次元に移動可能なXYZステージから構成され、駆動部52の駆動によりノズル部30をX方向、Y方向またはZ方向に移動させる。もちろん、2次元に移動可能なXYステージを用いても良い。
【0031】
操作表示部70は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等のタッチパネルから構成され、例えば自動はんだ付け装置の正面部に設置されている。操作表示部70は、ユーザの入力操作に基づく入力情報を検知して操作信号Soを制御装置50に供給すると共に、種々の情報の入力機能の他に入力された情報等の表示も行う。例えば、操作表示部70は、塗布補正動作の開始情報や、予め設定される係数(式(1),式(2)参照)等の入力を受け付けたり、上述した基準加圧値および基準塗布幅の状態で得られたフラックスFxの基準流量の設定を受け付ける流量設定部(設定部)としても機能し、この受け付けた設定に基づく操作信号を制御装置50に供給する。なお、この基準流量は、制御装置50によって自動的に設定するようにしても良い。
【0032】
[加圧補正量の算出例]
次に、塗布補正動作時に算出される加圧補正量について説明する。加圧補正量は、エア供給部68から供給される加圧エアの基準加力値を電空レギュレータ66で調整することで、温度変化により変化したフラックスFxの流量を正常な基準流量範囲に戻すための加圧値であり、塗布補正動作において下記式(1)および式(2)により算出される。
【0033】
流量差=基準流量−現在流量 ・・・(1)
加圧補正量=流量差×係数 ・・・(2)
上記式(1)において、基準流量とは、上述のように予め設定された基準加圧値および基準塗布幅の状態でフラックスFxの塗布を行った場合におけるフラックスFxの流量で
ある。本例では、基準加圧値が0.08Pa、基準塗布幅が8mm〜10mmの範囲で塗布を行った場合の基準流量750μl/min.を示している。基準流量、基準加圧値および基準塗布幅の情報は、制御装置50のメモリ50aに予め記憶される。現在流量とは、流量計60によって測定された配管H3を通過する現在のフラックスFxの流量である。
【0034】
続けて、上記式(2)の係数の算出方法の一例について説明する。
図6は、フラックスFxの流量と加圧エアとの関係の一例を示すグラフである。本例において係数は、流量計60により取得したフラックスFxの現在流量測定値Dfを加圧値に変換する際に用いられる変換係数であり、例えば流量確認動作時に算出される。係数の算出では、
図6に示すように、加圧P1を0.05MPaとしたときのフラックスFxの流量F
2を流量計60により測定する。このときのフラックスFxの流量F
2を500μl/minとする。さらに、加圧P2を0.1MPaとしたときのフラックスFxの流量F
1を流量計60により測定する。このときの流量F
1を1000μl/minとする。係数は、このような流量確認動作を行って得た、2点の加圧P1,P2と、これらの加圧P1,P2におけるフラックスFxの各流量F1,F2とを下記の式(3)に代入することにより算出される。
係数=(加圧P2−加圧P1)/(流量F
1−流量F
2) ・・・(3)
上記式(3)により算出された係数は、制御装置50のメモリ50aに保存され、塗布補正時に制御装置50によって読み出されて使用される。
【0035】
[操作表示部の画面の構成例]
図7は、操作表示部70に表示されるフラクサ塗布補正画面70aの一例を示している。
図7に示すように、フラクサ塗布補正画面70aの中央部右側には、塗布補正動作を開始する場合に押下する補正ボタン700が表示される。補正ボタン700が押下されると塗布補正動作が開始される。塗布補正動作は、タイマ設定によって自動的に開始するようにしても良い。
【0036】
フラクサ塗布補正画面70aの中央部左側には、上記式(1)の数式+数値を示す式情報702が表示され、その上方には上記式(2)の数式+数値を示す式情報704が表示される。塗布補正動作が開始されると、流量計60により取得された現在流量が式情報702に表示されると共に、制御装置50により算出された加圧補正量等の数値が式情報702,704のそれぞれに表示される。自動運転中に塗布補正動作が行われる場合にはフラクサ補正中のアイコン706が点滅表示される。フラクサ塗布補正画面70aの下部右側には、塗布補正動作により得られる加圧量の補正結果708が表示されると共にその下方に流量の補正結果710に表示される。補正結果708、710の数値が目標値に対して例えば±10%を越える値となった場合には、「ERROR」が表示される。「ERROR」が表示された場合には、補正ボタン700を押下し、再度、塗布補正動作を開始する。
【0037】
フラクサ塗布補正画面70aの下部右側には、流量確認動作を行う場合に加圧の設定を入力するための加圧入力欄712と、入力を確定するための変更ボタン714とが表示される。加圧入力欄712で圧力を入力し、変更ボタン714を押下することで、加圧が確定される。フラクサ塗布補正画面70aの上部右側には、現在の加圧を示す現在加圧値716が表示される。変更ボタン714の右側には、確認流量720が表示され、その上方には確認流量720を確定するための確認ボタン718が表示される。さらに、フラックスFxの塗布を開始してから流量が安定するまでは所定の時間を要するため遅延時間を設定・表示する開始遅延時間ボタン722が設けられている。
【0038】
[基準流量の設定例]
図8は、後述するフラックス塗布装置100の塗布補正動作を行うに際して、事前に基準加圧値、基準塗布幅、及び、基準流量を設定する動作の一例を示すフローチャートである。基準流量の設定について説明する。このフローにおいては、先ず、ノズル部30は正規位置(ホームポジション)に位置している(ステップS10)と共にノズル部30の上方にはダミーのガラス板Gが位置している。この状態でガラス板Gの下方からノズル部30によってフラックスを正規位置(ホームポジション)から予め設定された加圧値(基準加圧値)でガラス板Gに塗布する(ステップS20)。
【0039】
ガラス板Gの塗布幅確認マークM1、M2で基準塗布幅の範囲でフラックスが塗布されているかどうかを確認する(ステップS30)。基準塗布幅の範囲内で塗布されている場合には、その時に計測された(ステップS40)フラックスの流量が基準流量として設定される(ステップS50)。また、ステップS30でフラックスの塗布幅が基準塗布幅の範囲にない場合には、ノズル部30の図示しない塗布幅設定部としての調整部を周知の方法で調整する(ステップS60)。調整後は、再度、ステップS20、S30でフラックスの塗布幅が基準塗布幅の範囲にあるかどうかを確認する。
【0040】
このようなステップを経て、予め設定された基準加圧値および基準塗布幅の状態でフラックスFxの塗布を行った場合におけるフラックスFxの流量が、以下で説明するフラックスの流量を制御するための基準流量(正常流量)として操作表示部70により設定される。本例の場合、基準加圧値0.08Pa、基準塗布幅8mm〜10mm、基準流量750μl/min.がそれぞれ基準として設定される。
【0041】
[フラックス塗布装置の塗布補正動作例]
図9は、フラックス塗布装置100の塗布補正動作を行う場合における制御装置50の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、
図1中の一方のフラックス空吹き部20を用いてフラックス塗布補正動作を行う場合について説明する。
【0042】
このフローでは、
図8で示すフローで設定された基準加圧値、基準塗布幅を基に設定された基準流量を一定値に維持する制御がなされる。
【0043】
先ず、
図9に示すように、ステップS100で制御装置50は、塗布補正動作を開始するか否かを判断する。塗布補正動作を開始するかは、例えば30分に1回、塗布補正動作を行うタイマ設定となっている場合には前回の塗布補正動作から30分が経過したか否かにより判断し、タイマ設定となっていない場合にはフラクサ塗布補正画面70aの補正ボタン700が押されたか否かを判断する。このとき、基板へのフラックスFxの塗布動作を実際に行っている場合には、パレットが次工程のプリヒータに移動するまで待機状態とすると共に、フラックス塗布装置100にパレットを搬送しないよう制御を行う。一方、塗布補正動作が開始されないと判断した場合には待機状態となる。
【0044】
ステップS110で制御装置50は、運転モードが塗布補正動作に移行すると、駆動部52を駆動してノズル部30を塗布位置PAに移動させる(
図1参照)。塗布位置PAとは、フラックス空吹き部20の長手方向の一端部(
図1中手前側)の位置を意味している。
【0045】
ステップS120で制御装置50は、電磁弁64を開状態として加圧エアを加圧タンク62に供給することでノズル部30からフラックスFxをフラックス空吹き部20に塗布させる。このとき、加圧は例えば基準加圧値の0.08MPaに設定されている。なお、このステップS120では、ノズル部30からフラックスを吐出させたフラックス塗布開始状態となるが、ノズル部30の塗布位置PAからPBへの移動(走査)は、ステップS130の遅延時間経過後に開始される。これは、フラックスFxの塗布を開始してから流量が安定するまでは所定の時間を要するからである。制御装置50は、ステップS130で遅延時間が経過したか否かを判断する。遅延時間が経過したと判断した場合にはステップS140に進み、遅延時間が経過していないと判断した場合には遅延時間が経過するまで待機する。遅延時間経過後は、ステップS140で、ノズル部30を塗布位置PAから塗布位置PBへ移動(走査)させる。なお、塗布位置PBとは、フラックス空吹き部20の長手方向の他端部(
図1中奥側)の位置を意味している。
【0046】
ステップS150で制御装置50は、ノズル部30が塗布位置PAから塗布位置PBへ移動(走査)する際のフラックス流量を取得する。具体的には、流量計60により測定された加圧タンク62からノズル部30に供給されたフラックスFxの現在流量を取得して
図7で示す操作表示部70のフラクサ塗布補正画面70aに表示させる。この現在流量の取得はステップS110〜ステップS140を複数回行い、平均流量を現在流量としても良い。
【0047】
ステップS160で制御装置50は、取得したフラックスFxの現在流量に基づいて加圧補正量を算出する。制御装置50は、上記式(1)を用いて基準流量から現在流量を減算して流量差を算出し、上記式(2)を用いて流量差に係数を乗算することで加圧補正量を算出する。
ステップS170で制御装置50は、ノズル部30が塗布位置PBに到達したら、電磁弁64を閉状態としてノズル部30からのフラックスFxの塗布を停止させる。
【0048】
ステップS180で制御装置50は、基準加圧値に算出した加圧補正量を加味してタンク加圧を変更する。制御装置50は、変更した加圧補正量に基づく指令信号Srを電空レギュレータ66に供給する。これにより、電空レギュレータ66は、フラックスFxの温度変化等により変化したフラックスFxの流量を基準流量に戻すような圧力に、エア供給部68から供給される圧力を調整して加圧タンク62に供給する。
【0049】
ステップS190で制御装置50は、加圧を変更したら、電磁弁64を開状態として加圧エアを加圧タンク62に供給することでノズル部30からフラックスFxをフラックス空吹き部20に塗布させる。このときの加圧は、制御装置50によってフィードバックされた加圧補正量に応じた加圧値である。なお、このステップS190では、ノズル部30からフラックスを吐出させたフラックス塗布開始状態となるが、ノズル部30の塗布位置PBからPAへの移動(走査)は、ステップS200の遅延時間経過後に開始される。これは、フラックスFxの塗布を開始してから流量が安定するまでは所定の時間を要するからである。
【0050】
制御装置50は、ステップS200で遅延時間が経過したか否かを判断する。遅延時間が経過したと判断した場合にはステップS210に進み、遅延時間が経過していないと判断した場合には遅延時間が経過するまで待機する。遅延時間経過後は、ステップS210で、ノズル部30を塗布位置PBから塗布位置PAへ移動させながら、ノズル部30からフラックスFxをフラックス空吹き部20に塗布させる。
【0051】
ステップS220で制御装置50は、ノズル部30が塗布位置PBから塗布位置PAへ移動(走査)する際のフラックス流量を取得する。具体的には流量計60により測定された加圧タンク62からノズル部30に供給されたフラックスFxの現在流量を取得する。取得した現在流量は、フラクサ塗布補正画面70aの流量の補正結果710に補正後流量として表示されるので、ユーザはフラックスFxの流量が塗布補正動作により正常範囲に戻ったか否かを容易に確認することができる。
【0052】
ステップS230で制御装置50は、ノズル部30が塗布位置PAに到達したら、駆動部52を駆動してノズル部30をホームポジションに移動させる。このような一連の動作によりフラックス塗布補正動作が行われ、所定時間毎やユーザの入力開始操作に繰り返し実行される。
【0053】
[フラックス塗布装置の流量確認動作例]
図10は、フラックス塗布装置100の流量確認動作を行う場合における制御装置50の動作の一例を示すフローチャートである。なお、上述した塗布補正動作と共通する動作については説明を簡略化する。この流量確認動作は
図7で示すフラクサ塗布補正画面70aの確認ボタン718の操作により実行される。
【0054】
図8に示すように、ステップS300で制御装置50は、流量確認動作を開始するか否かを判断する。制御装置50は、流量確認動作を開始すると判断した場合にはステップS310に進み、流量確認動作を開始しないと判断した場合には流量確認動作が開始されるまで待機する。
【0055】
ステップS310で制御装置50は、運転モードが流量確認動作に移行すると、駆動部52を駆動してノズル部30を塗布位置PAに移動させる。
ステップS320で制御装置50は、ノズル部30からフラックスFxをフラックス空吹き部20に塗布させる。このステップS320では、ノズル部30からフラックスを吐出させたフラックス塗布開始状態となるが、ノズル部30の塗布位置PAからPBへの移動(走査)は、ステップS330の遅延時間経過後に開始される。ステップS330で制御装置50は、遅延時間が経過したか否かを判断する。制御装置50は、遅延時間が経過したと判断した場合にはステップS340に進み、遅延時間が経過していないと判断した場合には遅延時間が経過するまで待機する。
【0056】
遅延時間経過後は、ステップS340で、ノズル部30を塗布位置Pから塗布位置PBへ移動(走査)させる。
【0057】
ステップS350で制御装置50は、ノズル部30が塗布位置PAから塗布位置PBへ移動(走査)する際のフラックス流量を取得する。具体的には流量計60により測定された加圧タンク62からノズル部30に供給されたフラックスFxの現在流量を取得して
図7で示す操作表示部70のフラクサ塗布補正画面70aの確認流量720に表示させる。
【0058】
ステップS360で制御装置50は、ノズル部30が塗布位置PBに到達したら、ノズル部30からのフラックスFxの塗布を停止させる。そして、駆動部52を駆動してノズル部30をホームポジションに移動させる。このような一連の動作により流量確認動作が実行される。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、フラックスFxを塗布するための専用のフラックス空吹き部20を、通常のフラクサ塗布工程で塗布される基板とは別に設けている。そのため、流量確認動作や塗布補正動作時において、設定した流量でフラックスFxが塗布されているか否かを、フラックス空吹き部20への塗布中に取得したフラックスFxの流量や、被塗布面20dに塗布された実際のフラックスFxの塗布幅等により確認することができる。また、この確認をフラックス空吹き部20で行うので、塗布確認用の基板を使用することなくフラックスFxの流量を確認できる。これにより、設定した流量が正常範囲であるか否かを簡易かつ低コストに確認することができ、環境温度等の変化によりフラックスFxの流量が変化した場合でも、より高精度にフラックスFxの流量を制御することができる。
【0060】
また、フラックス空吹き部20の被塗布面20dにフィルタ部材24を取り付けているので、フラックスFxの基板やフラクサタンク10への垂れを防止できる。また、フラックス空吹き部20は、フラクサタンク10から取り外すことができるので、一定期間が経過したらフラックス空吹き部20を取り外して新しいフィルタ部材24に交換することで、フラックスFxの垂れを確実に回避することができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、フラックスFxの温度変化等により生じた流量の変化をフラックスFxの現在流量を流量計60により測定し、この現在流量と基準流量との差分から加圧補正量を算出し、この算出した加圧補正量を電空レギュレータ66にフィードバックするので、使用環境の変化によりフラックスFxの温度が変化した場合でも、フラックスFxの流量を一定に保つことができる。
【0062】
さらに、本実施の形態に係る塗布補正動作によれば、フラックス空吹き部20の塗布位置PAから塗布位置PBへの行きの経路でフラックスFxの流量変化に応じた加圧補正量を算出し、塗布位置PBから塗布位置PAへの帰りの経路でフィードバックした加圧補正量に基づくフラックスFxの流量を確認することができる。これにより、効率的に流量の補正と確認とを行うことができる。
【0063】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上記実施の形態では、フラックス空吹き部20をフラクサタンク10の両端部のそれぞれに設けたが、一方の端部にのみ設けても良い。