(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後段検出器及び前記前段検出器を第1後段検出器及び第1前段検出器とし、前記他の検出器を第2後段検出器とする場合、前記第2後段検出器より前段で前記第2後段検出器より視野サイズが小さく、前記X線を検出する第2前段検出器をさらに有し、
前記支持部は、前記第2X線源と、前記第2後段及び前段検出器を支持する、
請求項7に記載のX線診断装置。
前記切替手段は、前記操作部によって使用検出器が前記第2後段検出器から前記第2前段検出器に、又は、前記第2前段検出器から前記第2後段検出器に切り替えられる際、切替前の検出器の使用状態における前記被移動体の少なくとも1の位置情報を前記記憶部に記憶させると共に、切替後の検出器に対応する位置情報が前記記憶部に記憶されている場合、前記切替後の検出器に対応する位置情報を前記記憶部から取得し、
前記制御手段は、前記機構部を介して、前記取得された位置情報まで前記被移動体の少なくとも1を移動させた後、前記切替後の検出器を使用するように制御する、
請求項8に記載のX線診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のX線診断装置について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のX線診断装置の構成を示す概略図である。
【0013】
図1は、本実施形態のX線診断装置1を示す。X線診断装置1は、大きくは、X線発生部2、X線検出部3、機構部4、高電圧発生部5、Cアーム(支持部)6、天板(載置部)7、画像処理部8、表示部9、操作部10、記憶部11、IF(interface)12、及びシステム制御部13を備える。以下、
図1に示すように、床置き式Cアーム(アンダーチューブタイプ)のみを備えるX線診断装置1を用いて説明する。なお、本発明に係るX線診断装置は、床置き式Cアームのみの他、天井走行式Ωアーム及び床置き式Cアームや、天井走行式Cアームのみ、天井走行式Ωアームのみを備えるX線診断装置であってもよい。また、本発明に係るX線診断装置は、オーバーチューブタイプのCアームを備えるX線診断装置であってもよい。
【0014】
X線発生部2は、天板7上の被検体(撮影部位)Sに照射するX線を発生する装置である。X線発生部2は、高電圧発生部5から供給される高電圧を用いてX線を発生するX線源(X線管)21と、X線管21が発生したX線の一部を遮蔽することによって照射野を制御するX線絞り器22とを設ける。なお、X線管21の前面に、X線管21によって発生されたX線の線質を調整する線質調整フィルタ(図示しない)を備えてもよい。
【0015】
X線検出部3は、被検体Sを透過したX線を検出して画像データを生成する装置である。X線検出部3は、被検体Sを撮影する場合に通常用いられる平面検出器である第1検出器(後段検出器)31aと、第1検出器31aより前段で第1検出器31aより視野サイズが小さく、小視野高精細で病変部等の詳細観察に用いられる第2検出器(前段検出器)31bと、第1検出器31aから電荷を取り出すゲートドライバ32と、第1検出器31aによって検出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器33と、電荷・電圧変換器33により変換された電圧をデジタル値に変換するA/D変換器34とを設ける。
【0016】
機構部4は、被移動体としての検出器31a,31b、Cアーム6、及び天板7を移動させる装置である。機構部4は、検出器31a,31bのスライド動を行なう検出器移動機構41と、Cアーム6の回動動・円弧動やスライド動を行なうCアーム移動機構42と、天板7のスライド動を行なう天板移動機構43と、システム制御部13の指示に基づいて検出器移動機構41、Cアーム移動機構42、及び天板移動機構43を制御する機構制御部44とを設ける。なお、図示しないが、機構部4は、X線絞り器22の絞り羽(図示しない)を移動させる装置でもある。
【0017】
高電圧発生部5は、X線発生部2がX線の発生に必要とする高電圧を供給する装置である。高電圧発生部5は、システム制御部13の指示に基づいて高電圧の発生を制御してX線の発生を制御するX線制御部51と、高電圧を発生する高電圧発生器52とを設ける。
【0018】
Cアーム6は、X線発生部2及び検出器31a,31bを保持するアームである。
【0019】
天板7は、被検体Sを載置可能な構造を有する。
【0020】
画像処理部8は、X線検出部3により生成された画像データを処理する処理部である。画像処理部8は、再構成演算やサブトラクション演算等を行なう画像演算回路81と、画像演算回路81によって生成された画像データを記憶する画像データ記憶回路82とを設ける。
【0021】
表示部9は、画像処理部8の画像データ記憶回路82に記憶された画像を表示する装置である。表示部9は、モニタ92への表示を制御する表示制御部91と、画像を表示するモニタ92と、ポインティングデバイス93(
図2に図示)とを設ける。
【0022】
操作部10は、術者や助手等の操作者による操作を受け付けるスイッチ等を含むコンソールである。操作部10は、操作者が検出器31a,31bの切替操作を行なうための切替ボタン101を含む。
【0023】
記憶部11は、HDD(hard disk drive)やメモリによって構成される。記憶部11は、操作部10の切替ボタン101の押下によって検出器31a,31bの切替操作が行なわれると、切替直前の検出器の使用状態における被移動体の最終位置情報を適宜記憶する。記憶部11は、第1検出器31a用の記憶エリア(記憶部)と、第2検出器31b用の記憶エリア(記憶部)を有する。記憶部11への記憶の詳細については、
図7を用いて後述する。
【0024】
ここで、被移動体とは、機構部4によって移動されるものであり、検出器31a,31b、Cアーム6、及び天板7のうち少なくとも1を含む。被移動体としての検出器31a,31bの位置情報は、SID(source−image distance)変更のための検出器31a,31bの進退動方向の座標を含む。被移動体としてのCアーム6の位置情報は、Cアーム6のスライド動方向の座標、回転動方向の角度、円弧動方向の角度のうち少なくとも1を含む。また、被移動体としての天板7の位置情報は、スライド動方向(上下、左右、及び前後)の座標、クレイドル角度、チルト角度のうち少なくとも1を含む。また、被移動体としてX線絞り器22を含む場合、X線絞り器22の位置情報が、FOV(field of view)変更のためのX線絞り器22の絞り羽(図示しない)の座標(開度)を含んでもよい。
【0025】
IF12は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。IF12は、各規格に応じた通信制御を行ない、ネットワークNに接続することができる機能を有しており、これにより、X線診断装置1をネットワークN網に接続させる。
【0026】
システム制御部13は、図示しないCPU(central processing unit)及びメモリを含んでいる。システム制御部13は、操作者による操作に基づいてX線診断装置1全体を制御する。
【0027】
次に、第2検出器31bを用いた撮影について説明する。
【0028】
図2は、第2検出器31bを用いた撮影に関連する構成を示す図である。
【0029】
図2に示すように、機構制御部44は、第1検出器31a用の第1検出器制御部44aと、第2検出器31b用の第2検出器制御部44bとによって構成される。モニタ92は、第1検出器31a用の第1モニタ92aと、第2検出器31b用の第2モニタ92bとによって構成される。
【0030】
表示制御部91は、第1モニタ92aに被検体Sの画像を表示させる。そして、表示制御部91は、表示された被検体Sの画像に対してマウス等のポインティングデバイス93を介して操作者によって指定された領域を、第2検出器31bの撮影領域として設定する。
【0031】
図3は、第2検出器31bの撮影領域の設定方法を説明するための図である。
【0032】
図3に示すように、第1モニタ92a(
図2に図示)に表示された、第1検出器31aによる画像Ia上で、ポインティングデバイス93を介して操作者によって矩形Rが移動されることで、画像Ia上で第2検出器31bの撮影領域Aが設定される。
【0033】
図2の説明に戻って、システム制御部13は、表示制御部91が受け付けた撮影領域A(
図3に図示)を撮影できる位置に第2検出器31bを移動するように機構制御部44の第2検出器制御部44bに指示する。具体的には、システム制御部13は、第1モニタ92a上で設定された撮影領域A(
図3に図示)の画面座標系における座標を第2検出器31bの物理座標系における座標に変換し、第2検出器制御部44bに第2検出器31bの移動を指示する。そして、第2検出器制御部44bは、検出器移動機構41(
図1に図示)を制御して第2検出器31bを移動させる。
【0034】
図4は、第2検出器31bの移動機構の一例を示す図である。
【0035】
図4の上段は、第2検出器31bの移動機構の側面(Y−Z面)を、
図4の下段は、第2検出器31bの移動機構の上面(X−Z面)をそれぞれ示す。検出器移動機構41(
図1に図示)には、第2検出器31bの移動機構として、第2検出器31bを第1検出器31aに対してZ方向(d1方向)に移動させるX方向駆動機構41aと、X方向(d2方向)にする移動させるX方向駆動機構41bとが備えられる。
【0036】
図2の説明に戻って、第1モニタ92a上で操作者によって指定された撮影領域A(
図3に図示)を撮影できる位置に第2検出器31bが移動されると、表示制御部91は、X線検出器31bが検出したX線に基づいて生成された画像信号を受け取る。そして、表示制御部91は、画像信号に基づく画像を、第1モニタ92a上で操作者によって設定された撮影領域Aに表示する。
【0037】
図5は、第2検出器31bによる画像の第1モニタ92a上での表示方法を説明するための図である。
【0038】
図5に示すように、第2検出器31bによる画像Ibと、第2検出器31bの容器部分の画像Icとが、第1検出器31aによる画像Ia上で操作者によって指定された撮影領域Aにオーバーラップされて表示される。
【0039】
このように、システム制御部13が、第1モニタ92a上で設定された撮影領域Aの画面座標系における座標を物理座標系における座標に変換し、第2検出器制御部44bに第2検出器31bの移動を指示することによって、第2検出器制御部44bは、検出器移動機構41を制御して第2検出器31bを移動することによって、術者は病変部等を簡単な操作で高精細表示することができる。
【0040】
また、表示制御部91が、第2検出器31bによる画像Ibを、第1検出器31aによる画像Ia上で操作者によって指定された撮影領域Aにオーバーラップして表示することによって、操作者は、病変部等を周辺領域と比較しながら詳細に観察することができる。
【0041】
なお、ここでは、第1検出器31aによる画像Iaは、第2検出器31bが移動する直前の撮影画像(1ショット画像)であるが、第1検出器31aによる画像Iaとして第1検出器31aによる透視画像(リアルタイム画像)を表示することもできる。また、第2検出器31bによる画像Ibとしては、撮影画像とすることも透視画像とすることもできる。
【0042】
図6は、使用検出器を切り替える場面を説明するための図である。
【0043】
脳動脈瘤患者に対して頭部血管内治療が行なわれる場合、天板7上に載置された脳動脈瘤患者に対して治療が開始される。まず、広い視野サイズを有する第1検出器31aを使用した視野Faで画像を表示して治療が進められる。そして、脳動脈瘤患者にコイリング治療が施される場合、第1検出器31aを使用した視野Faで画像を見ながらカテーテルが動脈瘤(患部)まで到達される。さらに動脈瘤に1個目のコイルが留置される。この時の視野Faの位置は瘤を捉えながら手前の血管をも捉えてカテーテルの状況などを観察できるように選択されている。
【0044】
続いて、1個目のコイルの粗密状態を観察して2個目のコイルを挿入するための戦略を立てるために、使用検出器が第1検出器31aから、より高位置分解能の第2検出器31b(視野Fb)に切り替えられる。
【0045】
図7は、本実施形態のX線診断装置1の機能を示すブロック図である。
【0046】
図1に示すシステム制御部13がプログラムを実行することによって、
図7に示すようにX線診断装置1は、位置合わせ手段131、透視・撮影制御手段132、切替操作受付手段133、切替手段134、及び移動制御手段135として機能する。なお、システム制御部13の機能としての各手段131乃至135の一部又は全部は、X線診断装置1にハードウェアとして備えられるものであってもよい。
【0047】
位置合わせ手段131は、被検体Sが天板7(
図1に図示)に載置された後、第1検出器31aで収集して再構成された3次元画像、又はX線CT装置等の画像診断装置(モダリティ)で収集されてIF12(
図1に図示)を介して送信された3次元画像を用いて、操作部10による操作に従って機構部4を制御して、天板7上の被検体Sに対して被移動体をポジショニングする。
【0048】
透視・撮影制御手段132は、操作部10による操作に従ってX線発生部2、X線検出部3、機構部4、高電圧発生部5、画像処理部8、表示部9、及び記憶部11を制御して、天板7上の被検体Sの透視及び撮影を制御する機能を有する。透視・撮影制御手段132は、透視及び撮影によって得られた画像を表示部9を介して表示させたり、記憶部11に記憶させたりする。
【0049】
切替操作受付手段133は、透視・撮影制御手段132による透視中又は撮影中、操作部10の切替ボタン101(
図1に図示)からの、使用検出器の切替操作を受け付ける機能を有する。
【0050】
切替手段134は、切替操作受付手段133によって切替操作が受け付けられる場合、機構部4を制御して、
図2等を用いて説明したように、使用検出器を第1検出器31aから第2検出器31bに切り替え、又は、第2検出器31bから第1検出器31aに切り替える機能を有する。そして、切替手段134は、切替直前の検出器の使用状態における被移動体の最終位置情報を記憶部11に記憶させると共に、切替直後の検出器と同一検出器に対応する、被移動体の最終位置情報を記憶部11から取得する(読み出す)機能を有する。
【0051】
切替手段134は、切替ボタン101の押下によって第1検出器31aから第2検出器31bへの切替操作が行なわれると、切替直前の第1検出器31aの使用状態における被移動体の最終位置情報を第1検出器31a用の記憶エリアに記憶させると共に、切替直後の第2検出器31bに対応する、被移動体の最終位置情報を第2検出器31b用の記憶エリアから取得する。同様に、切替手段134は、切替ボタン101の押下によって第2検出器31bから第1検出器31aへの切替操作が行なわれると、切替直前の第2検出器31bの使用状態における被移動体の最終位置情報を第2検出器31b用の記憶エリアに記憶させると共に、切替直後の第1検出器31aに対応する、被移動体の最終位置情報を第1検出器31a用の記憶エリアから取得する。記憶部11に、第1検出器31aに対応する複数の最終位置情報が記憶されている場合、切替手段134は、第1検出器31aに対応する複数の最終位置情報のうち、最新の最終位置情報を取得すればよい。記憶部11に、第2検出器31bに対応する複数の最終位置情報が記憶されている場合も同様である。
【0052】
移動制御手段135は、機構部4を制御して、切替手段134によって取得された、被移動体の最終位置情報に従って被移動体を移動させ、操作部10からの操作に基づいて機構部4を制御して、第1検出器31a又は第2検出器31b使用中に被移動体を移動させる機能を有する。
【0053】
図8乃至
図11は、記憶部11に記憶される最終位置情報と、記憶部11から取得される最終位置情報とを説明するための図である。
【0054】
図8に示すように、第1検出器31a使用中に被移動体としての天板7の位置情報(スライド動方向のZ軸座標)が変更される。そして、切替タイミングT1で第1検出器31aから第2検出器31bへの切替操作が行なわれると、切替手段134(
図7に図示)は、切替タイミングT1における天板7の位置座標Z1を、切替直前の第1検出器31aに対応する最終位置情報として記憶部11(
図7に図示)に記憶させる。
【0055】
また、
図9に示すように、切替タイミングT1における第1検出器31aから第2検出器31bへの切替操作の後、第2検出器31b使用中に被移動体としての天板7の位置情報(スライド動方向のZ軸座標)が変更される。そして、切替タイミングT2で第2検出器31bから第1検出器31aへの切替操作が行なわれると、切替手段134(
図7に図示)は、切替タイミングT2における天板7の位置座標Z2を、切替直前の第2検出器31bに対応する最終位置情報として記憶部11(
図7に図示)に記憶させる一方、第1検出器31aに対応する天板7の最終位置座標Z1を記憶部11(
図7に図示)から取得する。
【0056】
さらに、第1検出器31aに対応する天板7の最終位置座標Z1が記憶部11(
図7に図示)から取得されると、
図10に示すように、移動制御手段135(
図7に図示)は、天板7を第1検出器31aに対応する最終位置座標Z1まで移動させてセットした後、操作部10を介した操作に従って第1検出器31a使用中に天板7の位置情報を変更する。
【0057】
また、
図11に示すように、切替タイミングT3で第1検出器31aから第2検出器31bへの切替操作が行なわれると、切替手段134(
図7に図示)は、切替タイミングT3における天板7の位置情報(スライド動方向のZ軸座標)Z3を、切替直前の第1検出器31aに対応する最終位置情報として記憶部11(
図7に図示)に記憶させる一方、第2検出器31bに対応する天板7の最終位置座標Z2を記憶部11(
図7に図示)から取得する。そして、移動制御手段135(
図7に図示)は、天板7を第1検出器31aに対応する最終位置座標Z2まで移動させてセットした後、操作部10を介した操作に従って第2検出器31b使用中に天板7の位置情報を変更する。
【0058】
なお、
図8乃至
図11では、被移動体の位置情報として天板7のZ軸座標について説明したが、X軸座標及びY軸座標についても同様である。また、他の被移動体の位置情報についても同様である。さらに、切替手段134(
図7に図示)は、切替直前の検出器31a,31bの使用中における停止時間最大の天板7の位置情報(
図8に示す位置座標Z1´や
図9に示す位置座標Z2´)を、切替直前の検出器31a,31bに対応する最終位置情報と共に又は代替して記憶部11(
図7に図示)に記憶させてもよい。
【0059】
さらに、
図1乃至
図11を用いて本実施形態のX線診断装置1がシングルプレーンタイプである場合を例にとって説明したが、X線診断装置1はバイプレーンタイプであってもよい。X線診断装置1がバイプレーンタイプである場合、X線診断装置1は、検出器31a,31bとは異なる他の1の検出器を備えたり、検出器31a,31bとは異なる他の2の第1検出器及び第2検出器を備えたりする。
【0060】
図12は、バイプレーンタイプのX線診断装置1の第1例の外観を示す図である。
【0061】
図12は、バイプレーンタイプのX線診断装置1を示す。X線診断装置1は、X線発生部2とは異なり、X線を発するX線発生部2´と、X線検出部3とは異なり、X線発生部2´のX線を検出するX線検出部3´と、Cアーム6とは異なり、X線発生部2´及びX線検出部3´を支持するΩアーム(支持部)6´とをさらに備える。X線検出部3´は、検出器31a,31bとは異なり、X線発生部2´のX線を検出する1の検出器31cを備える。なお、第2検出器31bの移動機構の図示は省略する。
【0062】
図13は、バイプレーンタイプのX線診断装置1の第2例の外観を示す図である。
【0063】
図13は、バイプレーンタイプのX線診断装置1を示す。X線診断装置1は、X線発生部2とは異なり、X線を発するX線発生部2´と、X線検出部3とは異なり、X線発生部2´のX線を検出するX線検出部3´と、Cアーム6とは異なり、X線発生部2´及びX線検出部3´を支持するΩアーム(支持部)6´とをさらに備える。X線検出部3´は、検出器31a,31bとは異なり、X線発生部2´のX線を検出する第1検出器31cと、第1検出器31cより前段で第1検出器31cより視野サイズが小さく、X線を検出する第2検出器31dとをさらに備える。なお、第2検出器31b,31dの移動機構の図示は省略する。
【0064】
図13に示すバイプレーンタイプのX線診断装置1の場合、記憶部11(
図1に図示)は、操作部10の切替ボタン101(
図1に図示、検出器31a,31b用と区別してもよい)の押下によって検出器31c,31dの切替操作が行なわれると、切替直前の検出器の使用状態における被移動体の最終位置情報を適宜記憶する。記憶部11(
図1に図示)は、第1検出器31a用の記憶エリア(記憶部)と、第2検出器31b用の記憶エリア(記憶部)とに加え、第1検出器31c用の記憶エリア(記憶部)と、第2検出器31d用の記憶エリア(記憶部)を有する。そして、検出器が切り替えられると、切替前の検出器が使用されている状態での被移動体の最終位置情報を記憶する。
【0065】
そして、切替手段134(
図7に図示)は、切替操作受付手段133(
図7に図示)によって切替操作が受け付けられる場合、機構部4(
図7に図示)を制御して、使用検出器を第1検出器31cから第2検出器31dに切り替え、又は、第2検出器31dから第1検出器31cに切り替える。そして、切替手段134(
図7に図示)は、切替直前の検出器の使用状態における被移動体の最終位置情報を記憶部11(
図7に図示)に記憶させると共に、切替直後の検出器と同一検出器に対応する、被移動体の最終位置情報を記憶部11(
図7に図示)から取得する(読み出す)。
【0066】
図14及び
図15は、本実施形態のX線診断装置1の動作を示すフローチャートである。
【0067】
図14を説明すると、X線診断装置1は、操作部10による操作に従って機構部4が制御されて天板7上の被検体Sに対して被移動体がポジショニングされた後、操作部10による操作に従ってX線発生部2、X線検出部3、機構部4、高電圧発生部5、画像処理部8、表示部9、及び記憶部11を制御して、天板7上の被検体Sの透視及び撮影を開始する(ステップST1)。X線診断装置1は、透視及び撮影によって得られた画像を表示部9を介して表示させたり、記憶部11に記憶させたりする。
【0068】
X線診断装置1は、ステップST1による透視中又は撮影中、操作部10の切替ボタン101から使用検出器の切替操作が受け付けられたか否かを判断する(ステップST2)。ステップST2の判断にてYES、すなわち、ステップST1による透視中又は撮影中、操作部10の切替ボタン101から使用検出器の切替操作が受け付けられたと判断される場合、X線診断装置1は、切替前の検出器が第1検出器31aであるか否かを判断する(ステップST3)。ステップST3の判断にてYES、すなわち、切替前の検出器が第1検出器31aであると判断される場合、X線診断装置1は、記憶部11に、切替前の第1検出器31aに対応する被移動系の最終位置情報を記憶させる(ステップST4)。そして、X線診断装置1は、第2検出器31bに対応する被移動体の最終位置情報が記憶部11に記憶されているか否かを判断する(ステップST5)。
【0069】
ステップST5の判断にてYES、すなわち、第2検出器31bに対応する被移動体の最終位置情報が記憶部11に記憶されていると判断される場合、X線診断装置1は、第2検出器31bに対応する被移動体の最終位置情報を記憶部11から取得する(ステップST6)。記憶部11に、第2検出器31bに対応する複数の最終位置情報が記憶されている場合、X線診断装置1は、第2検出器31bに対応する複数の最終位置情報のうち、最新の最終位置情報を取得すればよい。X線診断装置1は、機構部4を制御して、ステップST6によって取得された第2検出器31bに対応する最終位置情報まで被移動体を移動させてセットし、使用検出器を第1検出器31aから第2検出器31bに切り替える(ステップST7)。
【0070】
一方、ステップST5の判断にてNO、すなわち、第2検出器31bに対応する被移動体の最終位置情報が記憶部11に記憶されていないと判断される場合、被移動体を移動させずに使用検出器を第1検出器31aから第2検出器31bに切り替える(ステップST8)。
【0071】
また、ステップST3の判断にてNO、すなわち、切替前の検出器が第2検出器31bであると判断される場合、
図15の説明に進んで、X線診断装置1は、記憶部11に、切替前の第2検出器31bに対応する被移動系の最終位置情報を記憶させる(ステップST9)。そして、X線診断装置1は、第1検出器31aに対応する被移動体の最終位置情報が記憶部11に記憶されているか否かを判断する(ステップST10)。
【0072】
ステップST10の判断にてYES、すなわち、第1検出器31aに対応する被移動体の最終位置情報が記憶部11に記憶されていると判断される場合、X線診断装置1は、第1検出器31aに対応する被移動体の最終位置情報を記憶部11から取得する(ステップST11)。記憶部11に、第1検出器31aに対応する複数の最終位置情報が記憶されている場合、X線診断装置1は、第1検出器31aに対応する複数の最終位置情報のうち、最新の最終位置情報を取得すればよい。X線診断装置1は、機構部4を制御して、ステップST11によって取得された第1検出器31aに対応する最終位置情報まで被移動体を移動させてセットし、使用検出器を第2検出器31bから第1検出器31aに切り替える(ステップST12)。
【0073】
一方、ステップST10の判断にてNO、すなわち、第1検出器31aに対応する被移動体の最終位置情報が記憶部11に記憶されていないと判断される場合、被移動体を移動させずに使用検出器を第2検出器31bから第1検出器31aに切り替える(ステップST13)。
【0074】
図14の説明に戻って、X線診断装置1は、ステップST2の判断にてNO、すなわち、ステップST1による透視中又は撮影中、操作部10の切替ボタン101からの使用検出器の切替操作が受け付けられてないと判断される場合、加えて、ステップST7,ST8,ST12(
図15に図示),ST13(
図15に図示)に続いて、天板7上の被検体Sの透視及び撮影を終了する否かを判断する(ステップST14)。ステップST14の判断にてYES、すなわち、天板7上の被検体Sの透視及び撮影を終了すると判断される場合、X線診断装置1は、動作を終了する。一方、ステップST14の判断にてNO、すなわち、天板7上の被検体Sの透視及び撮影を終了しないと判断される場合、X線診断装置1は、ステップST2に戻る。
【0075】
本実施形態のX線診断装置1によると、検出器31a,31bでそれぞれ適した観察位置を切替時に自動的に再現させることで、操作者が都度手動で位置合わせを行なう手間を省くことで効率的に検査を遂行させることができ、その結果、検査時間の短縮効果が得られる。また、手動での位置合わせに伴う被検体Sの被曝も低減できる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。