(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属酸化物化合物は、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム酸化物、アルミニウムスズ酸化物(ATO)、フッ素をドープしたスズ酸化物(FTO)、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、又はこれらの組み合わせを含み、
前記金属硫化物は、硫化亜鉛(ZnS)を含み、
前記有機物は、アミン誘導体を含むことを特徴とする請求項7に記載の透光性電極。
前記金属酸化物化合物は、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム酸化物、アルミニウムスズ酸化物(ATO)、フッ素をドープしたスズ酸化物(FTO)、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、又はこれらの組み合わせを含み、
前記金属硫化物は、硫化亜鉛(ZnS)を含み、
前記有機物は、アミン誘導体を含むことを特徴とする請求項15に記載の有機光電素子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で具現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0017】
先ず、本発明の一実施形態による透光性電極について説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による透光性電極は、金属及びこの金属よりも少ない含量の金属酸化物を含む透光層を備える。
【0019】
金属は透光層にホストとして含まれ、金属酸化物は透光層にドーパントとして含まれる。
【0020】
金属は、薄い厚さで半透過特性を有する金属であれば特に制限はなく、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、及びこれらの合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0021】
金属酸化物は、透光性を有する金属酸化物であれば特に制限はなく、例えば、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、インジウム酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。
【0022】
金属及び金属酸化物は、約99.9:0.1〜約60:40の重量比で含まれる。金属及び金属酸化物がこの含量比で含まれることにより、透光性の改善効果が得られながらも導電性が大きく低下しないため、電気的特性が確保可能になる。金属及び金属酸化物は、約99.0:1.0〜約80:20の重量比で含まれることが好ましい。
【0023】
透光層は、例えば熱蒸着法により形成可能であり、例えば金属ボート及び金属酸化物ボートを用いた共蒸着法により形成可能である。
【0024】
透光層は、約1nm〜50nmの厚さを有する。この範囲の厚さを有することにより、透光性及び電気的特性を両立させることができる。透光層は、約3nm〜30nmの厚さを有することが好ましい。
【0025】
透光層は、約1kΩ/sq.以下の面抵抗及び約540nmの波長において50%よりも高い透光率を有する。面抵抗は、例えば約20Ω/sq.〜800Ω/sq.であり、約540nmの波長における透光率は、例えば約50%よりも高くて約95%よりも低い。
【0026】
透光性電極は、透光層の片面に位置する透光補助層を更に備える。
【0027】
透光補助層は、光が入射する側に配設され、入射光の反射度を下げて吸光度を更に改善することができる。
【0028】
透光補助層は、例えば約1.6〜2.5の屈折率を有する物質からなり、例えば、この範囲の屈折率を有する金属酸化物化合物、金属硫化物、及び有機物のうちの少なくとも一種を含む。
【0029】
金属酸化物化合物は、例えば、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム酸化物、アルミニウムスズ酸化物(ATO)、フッ素をドープしたスズ酸化物(FTO)、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、又はこれらの組み合わせを含み、金属硫化物は、例えば硫化亜鉛(ZnS)を含み、有機物は、例えばアミン誘導体である。
【0030】
透光性電極は、透光性電極が用いられるあらゆる電子素子に適用可能であり、例えば、太陽電池、イメージセンサー、光検出器、光センサー、及び有機発光ダイオードなどの光の出入りに関する電子素子に適用可能である。
【0031】
以下、図面を参照して、上述した透光性電極を備える電子素子について説明する。
【0032】
図中、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示す。明細書全般に亘って、類似する部分に対しては同じ図面符号を付する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとしたとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、これらの間に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとしたときには、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0033】
図中、本発明の実施形態について明確に説明するために、説明とは無関係な部分についての説明は省略し、明細書全般に亘って、同じ又は類似する構成要素に対しては同じ図面符号を付する。
【0034】
以下、本発明の一実施形態による有機光電素子について説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態による有機光電素子を示す断面図である。
【0036】
図1を参照すると、本実施形態による有機光電素子100aは、対向する第1の電極10及び第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に位置する活性層30と、を備える。
【0037】
第1の電極10及び第2の電極20のうちの一方はアノードであり、他方はカソードである。
【0038】
第1の電極10及び第2の電極20のうちの少なくとも一方は、透光性電極である。即ち、第1の電極10及び第2の電極20のうちのいずれか一方が透光性電極であり、他方は不透明電極である。或いは、第1の電極10及び第2の電極20が両方とも透光性電極であり得る。透光性電極については、後述する。
【0039】
活性層30は、p型半導体物質及びn型半導体物質が混合されてpn接合を形成する層であり、外部から光を受光してエキシトンを生成した後、生成されたエキシトンを正孔及び電子に分離する層である。活性層30は、p型半導体及びn型半導体を両方とも含む真性層を備え、例えば共蒸着法などにより形成可能である。或いは、活性層30は、真性層に加えてp型層及びn型層のうちの少なくとも一方を更に備えることができ、ここで、p型層はp型半導体を含み、n型層はn型半導体を含む。
【0040】
p型半導体は、例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(N,N’−dimethylquinacridone;NNQA)、ジインデノペリレン(diindenoperylene)、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン(dibenzo{[f,f’]−4,4’,7,7’−tetraphenyl}diindeno[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]perylene)などの化合物を含むが、これらに限定されるものではない。n型半導体は、例えば、ジシアノビニル−テルチオフェン(dicyanovinyl−terthiophene;DCV3T)、フラーレン、フラーレン誘導体、ペリレンジイミドなどの化合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0041】
上述したように、第1の電極10及び第2の電極20のうちの少なくとも一方は、透光性電極である。透光性電極は、光が入射する側に配設され、例えば、光が第1の電極10側に入射する場合に第1の電極10が透光性電極であり、光が第2の電極20側に入射する場合には第2の電極20が透光性電極である。或いは、光が第1の電極10又は第2の電極20側に入射して第2の電極20又は第1の電極10を通って出射することが必要である場合、第1の電極10及び第2の電極20は両方とも透光性電極である。
【0042】
ここでは、説明の便宜上、第2の電極20が透光性電極である場合を例にとって説明する。
【0043】
第2の電極20は、金属及びこの金属よりも少ない含量の金属酸化物を含む。金属は第2の電極20にホストとして含まれ、金属酸化物は第2の電極20にドーパントとして含まれる。
【0044】
金属は、薄い厚さで半透過特性を有する金属であれば特に制限はなく、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、及びこれらの合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。例えば、アルミニウム(Al)は、例えば、約30nm以下の厚さを有し、また該範囲内で約20nm以下の厚さを有する。
【0045】
金属酸化物は、透光性を有する金属酸化物であれば特に制限はなく、例えば、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、インジウム酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。
【0046】
金属酸化物は、上記金属の酸化物であり、また他の金属の酸化物であり得る。例えば、金属が銅(Cu)であり、金属酸化物が銅酸化物であり、また金属が銀(Ag)であり、金属酸化物がモリブデン酸化物である。
【0047】
第2の電極20は、例えば熱蒸着法により形成可能であり、例えば金属ボート及び金属酸化物ボートを用いた共蒸着法により形成可能である。このように熱蒸着法を用いることにより、スパッタリングなどの物理的な蒸着時に発生するプラズマによって活性層30の有機物が損傷されることが防止され、活性層30が工程中に劣化することが防止される。
【0048】
金属及び金属酸化物は、約99.9:0.1〜約60:40の重量比で含まれる。金属及び金属酸化物がこの含量比で含まれることにより、透光性の改善効果が得られながらも導電性が大きく低下しないため、電気的特性が確保可能になる。金属及び金属酸化物は、約99.0:1.0〜約80:20の重量比で含まれることが好ましい。
【0049】
第2の電極20は、約1nm〜50nmの厚さを有する。この範囲の厚さを有することにより、透光性及び電気的特性が確保される。第2の電極20は、約3nm〜30nmの厚さを有することが好ましい。
【0050】
第2の電極20は、約1kΩ/sq.以下の面抵抗及び540nmの波長において50%よりも高い透光率を有する。面抵抗は、例えば約20Ω/sq.〜800Ω/sq.であり、透光率は、例えば約50%よりも高くて約95%よりも低い。
【0051】
第1の電極10が不透明電極である場合、第1の電極10は、例えばアルミニウム(Al)などの不透明導電体で作成される。第1の電極10が透光性電極である場合、第1の電極10は、上述した金属及び金属酸化物を含む透光性電極であり、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの公知の透光性電極である。
【0052】
有機光電素子100aは、第1の電極10及び/又は第2の電極20側から光が入射して活性層30が所定の波長領域の光を吸収すると、内部でエキシトンが生成される。エキシトンは活性層30で正孔及び電子に分離され、分離された正孔はアノード側に移動し、分離された電子はカソード側に移動して、有機光電素子に電流が流れる。
【0053】
以下、
図2に基づき、本発明の他の実施形態による有機光電素子について説明する。
【0054】
図2は、本発明の他の実施形態による有機光電素子を示す断面図である。
【0055】
図2を参照すると、本実施形態による有機光電素子100bは、上述した実施形態と同様に、対向する第1の電極10及び第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に位置する活性層30と、を備える。
【0056】
しかし、本実施形態による有機光電素子100bは、上述した実施形態とは異なり、第1の電極10と活性層30との間及び第2の電極20と活性層30との間に、それぞれ電荷補助層15、25を更に備える。電荷補助層15、25は、活性層30で分離された正孔及び電子の移動を促して効率を高める。
【0057】
電荷補助層15、25は、正孔を注入し易くする正孔注入層(hole injecting layer;HIL)、正孔を輸送し易くする正孔輸送層(hole transporting layer;HTL)、電子の移動を阻止する電子遮断層(electron blocking layer;EBL)、電子を注入し易くする電子注入層(electron injecting layer;EIL)、電子を輸送し易くする電子輸送層(electron transporting layer;ETL)、及び正孔の移動を阻止する正孔遮断層(hole blocking layer;HBL)よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0058】
例えば、第1の電極10がアノードであり、第2の電極20がカソードである場合、電荷補助層15は、正孔注入層、正孔輸送層、及び/又は電子遮断層であり、電荷補助層25は、電子注入層、電子輸送層、及び/又は正孔遮断層である。
【0059】
例えば、第1の電極10がカソードであり、第2の電極20がアノードである場合、電荷補助層15は、電子注入層、電子輸送層、及び/又は正孔遮断層であり、電荷補助層25は、正孔注入層、正孔輸送層、及び/又は電子遮断層である。
【0060】
正孔輸送層(HTL)は、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate);PEDOT:PSS)、ポリアリールアミン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(poly(N−vinylcarbazole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ベンジジン(N,N,N’,N’−tetrakis(4−methoxyphenyl)−benzidine;TPD)、4−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(4−bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl−amino]biphenyl;α−NPD)、m−MTDATA、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)−triphenylamine;TCTA)、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物などの金属酸化物、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されるものではない。
【0061】
電子遮断層(EBL)は、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate);PEDOT:PSS)、ポリアリールアミン、ポリ(N−ビニルカーバゾール)(poly(N−vinylcarbazole)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ベンジジン(N,N,N’,N’−tetrakis(4−methoxyphenyl)−benzidine;TPD)、4−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(4−bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl−amino]biphenyl;α−NPD)、m−MTDATA、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)−triphenylamine;TCTA)、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物などの金属酸化物、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されるものではない。
【0062】
電子輸送層(ETL)は、例えば、ジシアノビニル−テルチオフェン(DCV3T)、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボキシリックジアンハイドライド(1,4,5,8−naphthalene−tetracarboxylic dianhydride;NTCDA)、バトクプロイン(bathocuproine;BCP)、LiF、Alq
3、Gaq
3、Inq
3、Znq
2、Zn(BTZ)
2、BeBq
2、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されるものではない。
【0063】
正孔遮断層(HBL)は、例えば、ジシアノビニル−テルチオフェン(DCV3T)、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボキシリックジアンハイドライド(1,4,5,8−naphthalene−tetracarboxylic dianhydride;NTCDA)、バトクプロイン(BCP)、LiF、Alq
3、Gaq
3、Inq
3、Znq
2、Zn(BTZ)
2、BeBq
2、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一種を含むが、これらに限定されるものではない。
【0064】
以下、
図3に基づき、本発明の更に他の実施形態による有機光電素子について説明する。
【0065】
図3は、本発明の更に他の実施形態による有機光電素子を示す断面図である。
【0066】
図3を参照すると、本実施形態による有機光電素子100cは、上述した実施形態と同様に、対向する第1の電極10及び第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に位置する活性層30と、を備える。
【0067】
しかし、本実施形態による有機光電素子100cは、上述した実施形態とは異なり、透光性電極である第2の電極20が二重層で形成される。
【0068】
本実施形態によると、第2の電極20は、上述した金属及びこの金属よりも少ない含量の金属酸化物を含む透光層20aに加えて、透光層20aの片面に位置する透光補助層20bを更に備える。
【0069】
透光補助層20bは、光が入射する側に配設されて入射光の反射度を下げることにより吸光度を更に改善する。
【0070】
透光補助層20bは、例えば約1.6〜2.5の屈折率を有する物質からなり、例えば、この範囲の屈折率を有する金属酸化物化合物、金属硫化物、及び有機物のうちの少なくとも一種を含む。透光補助層20bは、例えば、約20nm〜60nmの厚さを有する。
【0071】
金属酸化物化合物は、例えば、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム酸化物、アルミニウムスズ酸化物(ATO)、フッ素をドープしたスズ酸化物(FTO)、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、クロム酸化物、又はこれらの組み合わせを含み、金属硫化物は、例えば硫化亜鉛(ZnS)を含み、有機物は、例えばアミン誘導体である。
【0072】
透光補助層20bは、透光層20aの片面に位置し、活性層30に直接接触しないため、熱蒸着法の他に、スパッタリングなどの物理的な蒸着法によって形成することもできる。
【0073】
本実施形態においては、説明の便宜上、第2の電極20が透光性電極である場合を例にとって説明したが、本発明は、これに何ら限定されるものではなく、第1の電極10にも同様に適用可能である。
【0074】
以下、
図4に基づき、本発明の更に他の実施形態による有機光電素子について説明する。
【0075】
図4は、本発明の更に他の実施形態による有機光電素子を示す断面図である。
【0076】
図4を参照すると、本実施形態による有機光電素子100dは、上述した実施形態と同様に、対向する第1の電極10及び第2の電極20と、第1の電極10と第2の電極20との間に位置する活性層30と、を備える。
【0077】
また、第2の電極20は、透光層20a及び透光補助層20bを備える。
【0078】
しかし、本実施形態による有機光電素子100dは、上述した実施形態とは異なり、第1の電極10と活性層30との間及び第2の電極20と活性層30との間に、それぞれ電荷補助層15、25を更に備える。電荷補助層15、25は、活性層30で分離された正孔及び電子を移動し易くして効率を高めるものであり、上述した通りである。
【0079】
有機光電素子は、太陽電池、イメージセンサー、光検出器、光センサー、及び有機発光ダイオードなどに適用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
以下、図面に基づき、有機光電素子を備えるイメージセンサーの一例について説明する。ここでは、イメージセンサーの一例としての有機CMOSイメージセンサーについて説明する。
【0081】
図5A〜
図5Eは、それぞれ本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサーを示す断面図である。
【0082】
図5A〜
図5Eでは、隣り合う青色画素、緑色画素、及び赤色画素を例にとって説明するが、これに限定されるものではない。以下、「B」付き図面符号の構成要素は青色画素に含まれる構成要素であり、「G」付き図面符号の構成要素は緑色画素に含まれる構成要素であり、「R」付き図面符号の構成要素は赤色画素に含まれる構成要素である。
【0083】
図5Aを参照すると、本実施形態による有機CMOSイメージセンサー200Aは、光感知素子50及び伝送トランジスター(図示せず)が集積された半導体基板110、下絶縁層60、カラーフィルター(70B、70R)、上絶縁層80、及び有機光電素子100を備える。
【0084】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子50及び伝送トランジスター(図示せず)が集積される。光感知素子50は、フォトダイオードである。光感知素子50及び伝送トランジスターは画素毎に集積され、図示の通り、光感知素子50は、青色画素の光感知素子50B、緑色画素の光感知素子50G、及び赤色画素の光感知素子50Rを備える。光感知素子50は光を感知し、光感知素子50によって感知された情報は伝送トランジスターによって伝送される。
【0085】
また、半導体基板110上には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。金属配線及びパッドは、信号遅延を低減するために、低い抵抗率を有する金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(g)、及びこれらの合金で作成されるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
金属配線及びパッドの上には、下絶縁層60が形成される。下絶縁層60は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率物質で作成される。
【0087】
下絶縁層60は、各画素の光感知素子50B、50G、50Rをそれぞれ露出させるトレンチ(図示せず)を有する。トレンチは、充填剤によって充填される。
【0088】
下絶縁層60の上には、カラーフィルター70が形成される。カラーフィルター70は、青色画素に形成される青色フィルター70Bと、赤色画素に形成される赤色フィルター70Rと、を備える。本実施形態においては、緑色フィルターを備えない場合を例にとって説明するが、緑色フィルターを備えてもよい。
【0089】
カラーフィルター70の上には、上絶縁層80が形成される。上絶縁層80は、カラーフィルター50による段差を除去して平坦化させる。上絶縁層80及び下絶縁層60は、パッドを露出させるコンタクト孔(図示せず)と、緑色画素の光感知素子50Gを露出させる貫通口85と、を有する。
【0090】
上絶縁層80の上には、上述した有機光電素子100が形成される。有機光電素子100は、上述した
図1の有機光電素子100aであり得、第1の電極10、活性層30、及び第2の電極20を備える。また、
図5Eに示すように、一実施形態によるイメージセンサー200Eは、有機光電素子100の上部に積層される絶縁層90及びレンズ95を更に備えることができる。絶縁層90は、絶縁物質、反射防止コーティング層、及び/又は赤外線フィルターを備える。例えば、絶縁層90は、シリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物を備えるが、これに限定されるものではない。レンズ95は、各画素の光感知素子50B、50G、50Rに対応する位置に配列される。
【0091】
また、有機光電素子100は、上述した
図2〜
図4の有機光電素子100b、100c、100dであり得る。例えば、
図5Bを参照すると、一実施形態によるイメージセンサー200Bは、
図2の有機光電素子200bのような有機光電素子100′を備え、この場合、第2の電極20は、透光層20aの一面に形成された透光補助層20bを有する2層の透光性電極である。
【0092】
図5A及び
図5Bを参照すると、第1の電極10及び第2の電極20は、両方とも透光性電極であり、活性層30は、例えば緑色波長領域の光を主として吸収する有機物質を含む。活性層30は、緑色画素のカラーフィルターを代替する。光感知素子50は、青色画素の光感知素子50B、緑色画素の光感知素子50G、及び赤色画素の光感知素子50Rを含む。
【0093】
第2の電極20側から入射した光は、活性層30に緑色波長領域の光が主として吸収されて光電変換され、残りの波長領域の光は、第1の電極10を通過して光感知素子50によって感知される。
【0094】
本実施形態による有機CMOSイメージセンサー200A、200Bは、上述したように、透光度及び電気的特性を両立することができる透光性電極を備える有機光電素子100を備えることにより、活性層30に入射する光の量が増えて光電変換効率(EQE)が改善される。
【0095】
図5A及び
図5Bは、青色画素、緑色画素、及び赤色画素のみを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図5Cに示すように、一実施形態によるイメージセンサー200Cは、上述した実施形態とは異なり、カラーフィルター70′、活性層30′、及び光感知素子50′を備えることができる。
【0096】
図5Cにおいて、本実施形態によるイメージセンサー200Cは、上述した実施形態の青色画素、緑色画素、及び赤色画素の代わりに、シアン画素C、イエロー画素Y、及びマゼンタ画素Mを有する。カラーフィルター70′は、下絶縁層60の上に形成され、シアンフィルター70C及びマゼンタフィルター70Mを含み、イエローフィルターを含まないこともあるが、これに限定されず、イエローフィルターを更に含むこともできる。活性層30′は、例えば、イエローフィルターを代替し得る。
【0097】
図5Cに示していないが、有機光電素子100″は、上述した
図2と同様に、第1の電極10と活性層30′との間及び第2の電極20と活性層30′との間に、それぞれ又はこれらのうちの一つに電荷補助層15、25を更に含むことができる。また、第2の電極20は、透光層20aの一面に形成された透光補助層20bを有する2層の透光性電極である。
【0098】
図5Dを参照すると、本実施形態によるイメージセンサー200Dは、絶縁層及びカラーフィルターの位置を除いては、上述した
図5Aに示したイメージセンサー200Aと同一である。
【0099】
図5Dを参照すると、青色フィルター70B及び赤色フィルター70Rは、光感知素子50B、50Rの上に直接形成される。また、
図5Aの下絶縁層60及び上絶縁層80の代わりに、単一層の絶縁層65が形成される。単一層の絶縁層65は、例えばシリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物のような無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFのような低誘電物質(low K)で作られる。
【0100】
以下、本発明の一実施形態による有機発光ダイオードについて説明する。
【0101】
図12A及び
図12Bは、それぞれ本発明の一実施形態による有機発光ダイオードを示す断面図である。
【0102】
図12Aを参照すると、本実施形態による有機発光ダイオードは、基板1205、下部電極1210、電子輸送層(ETL)1215、活性層1230、正孔注入層(HIL)1225、及び透光層1220aを含む。
【0103】
基板1205は、例えばガラスであり、下部電極1210は、例えばITOのような透明導電酸化物であり、電子輸送層(ETL)1215は、例えばジシアノビニル−テルチオフェン(DCV3T)であり、活性層1230は、例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(NNQA)とジシアノビニル−テルチオフェン(DCV3T)とを含み、正孔注入層(HIL)1225は、例えばモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を含み、透光層1220aは、例えば銀(Ag)とモリブデン酸化物を含む。
【0104】
しかし、これに限定されず、基板1205、下部電極1210、電子輸送層1215、活性層1230、正孔注入層1225、及び透光層1220aは、多様な物質で作られる。
【0105】
基板1205は、例えばシリコンのような半導体で作られ、下部電極1210は、例えばアルミニウム、銀、銅、又は金のような金属で作られ、電子輸送層1215及び正孔注入層1225は、上述した電荷補助層として使用可能な物質で作られ、活性層1230は、上述した活性層30として使用可能な物質で作られ、透光層1220aは、上述した第2の電極20として使用可能な物質で作られる。
【0106】
図12Bを参照すると、本実施形態による有機発光ダイオードは、透光層1220aの上に透光補助層1220bを更に含むことを除いては、上述した実施形態と同一である。透光補助層1220bは、モリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)又は後述する化学式Aで表わされるトリフェニルアミン誘導体を含む。しかし、これに限定されず、透光補助層1220bは、多様な物質を含むことができる。
【0107】
以下、実施例を挙げて上述した本発明の実施形態について詳述する。但し、下記の実施例は単なる説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0109】
[実施例1]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を99:1(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0110】
[実施例2]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を95:5(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0111】
[実施例3]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を90:10(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0112】
[実施例4]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を80:20(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0113】
[実施例5]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を60:40(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0114】
[比較例1]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を50:50(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0115】
[評価1]
実施例1〜5及び比較例1による透光性電極の面抵抗を評価した。
面抵抗は、四探針法により評価し、CMT−SR2000N(Changmin Tech Co.)使用した。
【0118】
表1より、実施例1〜5による透光性電極は約1kΩ/sq.以下の面抵抗を有するのに対し、比較例1による透光性電極は約2kΩ/sq.の高い面抵抗を有するということを確認することができた。
【0120】
[実施例6]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を90:10(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0121】
[実施例7]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を90:10(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光層と、モリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)(屈折率=1.8)を熱蒸着した30nmの厚さの透光補助層と、を備える透光性電極を準備した。
【0122】
[実施例8]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を90:10(w/w)の割合で熱蒸着した15nmの厚さの透光層と、下記の化学式Aで表わされるトリフェニルアミン誘導体(屈折率=1.9)を熱蒸着した30nmの厚さの透光補助層と、を備える透光性電極を準備した。
【0124】
[比較例2]
銀(Ag)を単独で熱蒸着して15nmの厚さの透光性電極を準備した。
【0125】
[比較例3]
銀(Ag)を単独で熱蒸着した15nmの厚さの透光層と、モリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を熱蒸着した30nmの厚さの透光補助層と、を備える透光性電極を準備した。
【0126】
<評価2>
実施例6〜8及び比較例2、3による透光性電極の透光度を評価した。
透光度は、紫外可視分光光度計を用いて測定し、UV−240(Shimadzu)を使用した。
【0127】
その結果について、
図6及び表2に基づいて説明する。
【0128】
図6は、実施例6〜8及び比較例2、3による透光性電極の波長対透光度を示すグラフである。
【0130】
表2及び
図6より、実施例6〜8による透光性電極は、約540nmの波長において50%よりも高い透光度を示すのに対し、比較例2、3による透光性電極は、約540nmの波長領域において低い透光度を示すことが分かった。なお、実施例6〜8による透光性電極は、約400nm〜780nmの可視光線の全領域に亘って約40%よりも高い透光度を示すことを確認することができた。
【0132】
[実施例9]
ガラス基板の上にITOをスパッタリングにより積層して約100nmの厚さの電極を形成した。次いで、電極の上に電子輸送層(ETL)としてのDCV3Tを蒸着した後、電子輸送層(ETL)の上に、p型半導体物質としてのN,N’−ジメチルキナクリドン(N,N’−dimethylquinacridone;NNQA)と、n型半導体物質としてのジシアノビニル−テルチオフェン(DCV3T)を1:1(wt/wt)の割合で共蒸着して70nmの厚さの活性層を形成した。次いで、活性層の上に正孔注入層(HIL)としてのモリブデン酸化物を蒸着した。次いで、正孔注入層(HIL)の上に、銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を90:10(w/w)の割合で熱蒸着して15nmの厚さの透光層を形成して有機光電素子を製作した。
【0133】
[実施例10]
透光層の上にモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を熱蒸着して30nmの厚さの透光補助層を更に形成したことを除いては、実施例9の方法と同様にして有機光電素子を製作した。
【0134】
[実施例11]
透光層の上に化学式Aで表わされるトリフェニルアミン誘導体を熱蒸着して30nmの厚さの透光補助層を更に形成したことを除いては、実施例9の方法と同様にして有機光電素子を製作した。
【0135】
[比較例4]
銀(Ag)及びモリブデン酸化物(MoOx、0<x≦3)を90:10(w/w)の割合で熱蒸着する代わりに銀(Ag)を単独で熱蒸着して、15nmの厚さの透光層を形成したことを除いては、実施例9の方法と同様にして有機光電素子を製作した。
【0136】
<評価3>
実施例9〜11及び比較例4による有機光電素子に様々な電圧を印加しながら、波長に対する外部量子効率(External Quantum Efficiency;EQE)を評価した。外部量子効率(EQE)は、K3100 Spectral IPCE Measurement System McScienceを使用して評価した。
【0137】
その結果について、
図7〜
図10に基づいて説明する。
【0138】
図7は、実施例9による有機光電素子の波長対外部量子効率(EQE)を示すグラフであり、
図8は、実施例10による有機光電素子の波長対外部量子効率(EQE)を示すグラフであり、
図9は、実施例11による有機光電素子の波長対外部量子効率(EQE)を示すグラフであり、
図10は、比較例4による有機光電素子の波長対外部量子効率(EQE)を示すグラフである。
【0139】
図7〜
図10を参照すると、同じ電圧を基準として比較したとき、実施例9〜11による有機光電素子は、比較例4による有機光電素子に比べて外部量子効率(EQE)が改善されていることを確認することができた。
【0140】
<評価4>
実施例9による有機光電素子及び比較例4による有機光電素子に様々なバイアスを印加しながら、暗電流密度を評価した。
【0141】
図11は、実施例9による有機光電素子及び比較例4による有機光電素子の電圧対暗電流密度を示すグラフである。
【0142】
図11を参照すると、実施例9による有機光電素子は、比較例4による有機光電素子に比べて、正電圧方向及び逆電圧方向の両方において略同じ暗電流密度を示すことが分かった。これより、実施例9による有機光電素子は、比較例4による有機光電素子よりも漏れ電流が大きくないということを確認することができた。
【0143】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。