(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0011】
〔アルミニウム顔料組成物〕
本実施形態に係るアルミニウム顔料組成物は、
鱗片状アルミニウム粉と、
空気中での熱分解開始温度が200℃以上であり、かつ常温で液体である有機化合物と、を含有し、
揮発性有機化合物の含有量が2質量%以下である。
【0012】
このようなアルミニウム顔料組成物を用いることにより、成形時の気体の発生がほとんどなく、成形品中の気泡や筋の発生がほとんどなくなる。また、空気中での熱分解開始温度が200℃以上であり、かつ常温で液体である有機化合物を含有しているので、鱗片状アルミニウム粉と熱可塑性樹脂との相溶性がよくなり、アルミニウム顔料が凝集することなく、熱可塑性樹脂中に一様に分散するため、光輝性や成形性に優れた樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0013】
〔鱗片状アルミニウム粉〕
本実施形態に用いるアルミニウム顔料としては、表面光沢性、白度、光輝性等のメタリック用顔料に要求される性質を発揮しうる形状、平均粒径、平均厚み、平均アスペクト比、及び表面性状を有するものが好ましい。このような観点より本実施形態では鱗片状アルミニウム粉を用いる。
【0014】
鱗片状アルミニウム粉の平均粒径(d50)は、2〜40μmの範囲であることが好ましく、3〜30μmの範囲であることがより好ましい。平均粒径(d50)は、レーザ回析式粒度分布測定装置 SALD−2200により測定できる。測定溶剤としては、ミネラルスピリットを使用できる。測定は機器取扱説明書に従い実施するが、留意事項として、試料となる鱗片状アルミニウム粉は、前処理として2分間の超音波分散を行い、分散槽の中に投入し適正濃度になったのを確認後、測定を開始する。測定終了後、d50は自動的にレーザ回析式粒度分布測定装置 SALD−2200の表示部に表示される。
【0015】
さらに、鱗片状アルミニウム粉の平均厚み(t)は0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜2μmの範囲であることがより好ましい。平均厚み(t)は以下のようにして測定することができる。まず、鱗片状アルミニウム粉1gに、5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液を1〜2mL加えて予備分散した後、石油ベンジン50mLを加えて混合し、40〜45℃で2時間加温後、フィルターで吸引濾過し、パウダー化したもので、水面拡散面積(WCA)を測定する。この測定値から、下記の式に従って平均厚み(t)を算出する。
t(μm)=0.4/WCA(m
2/g)
【0016】
なお、水面拡散被覆面積(WCA)は、前処理としてアセトンで洗浄後に乾燥させたアルミニウム顔料試料の重量w(g)と、前記試料を水面に均一に浮かべたときの被覆面積A(m
2)を測定し、下記式から計算して求めた。
WCA(m
2/g)=A(m
2)/w(g)
【0017】
またさらに、鱗片状アルミニウム粉の平均アスペクト比は1〜2500の範囲であることが好ましく、10〜300の範囲であることがより好ましい。ここで、「平均アスペクト比」とは、鱗片状アルミニウム粉の平均粒径(d50)を平均厚み(t)で割った値をいう。また、鱗片状アルミニウム粉の表面性状としては、平滑が好ましい。具体的には、上記平均アスペクト比は、下記式により求められる。
平均アスペクト比=平均粒径(d50)(μm)/平均厚み(t)(μm)
【0018】
〔高熱分解温度かつ常温で液体である有機化合物〕
本実施形態のアルミニウム顔料組成物は、空気中での熱分解開始温度が200℃以上であり、かつ、常温(25℃)で液体である有機化合物を含む。
【0019】
空気中での熱分解開始温度が200℃以上の、常温で液体である有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、ナフテン系炭化水素オイル、パラフィン系炭化水素オイル、イソパラフィン系炭化水素オイル、流動パラフィン、液状ポリエチレンワックス、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウリレート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコールの脂肪酸エステル又はその誘導体;ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサンなどのシリコーンオイルが用いられる。
【0020】
熱分解開始温度は、200℃以上であり、好ましくは230℃以上であり、より好ましくは250℃以上である。熱分解開始温度が200℃以上であることにより、成形時における有機化合物の分解による気体の発生がほとんどなくなるため、成形性や安定性がより向上する。
【0021】
空気中での熱分解開始温度が200℃以上であり、かつ、常温で液体である有機化合物の含有量は、アルミニウム顔料組成物100質量%に対して、1質量%以上、60質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上、40質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上、30質量%以下である。有機化合物の含有量が1質量%以上であることにより、樹脂組成物中における鱗片状アルミニウム粉の配向性が向上し、光輝性が寄り向上する傾向にある。また、有機化合物の含有量が60質量%以下であることにより、固液分離が起こらず、均一なアルミニウム顔料組成物が得られる傾向にある。
【0022】
〔揮発性有機化合物〕
本実施形態に係るアルミニウム顔料組成物は、揮発性有機化合物を含む。揮発性有機化合物の含有量は、2質量%以下であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。揮発性有機化合物の含有量が上記範囲内にあることにより、成形性がより向上する。なお、揮発性有機化合物の含有量は実施例に記載の方法により測定することができる。
【0023】
ここで「揮発性有機化合物」とは、沸点が50℃以上、260℃以下の有機化合物のことをいう。揮発性有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、鱗片状アルミニウム粉の製造に用いられる、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等の低粘度の有機溶剤が挙げられる。
【0024】
〔アルミニウム顔料組成物の製造方法〕
本実施形態に係るアルミニウム顔料組成物は、原料アルミニウム粉と、揮発性有機化合物となりうる溶剤と、粉砕助剤と、を混合し、酸素を供給しながら粉砕したものであることが好ましい。なお、粉砕には媒体攪拌ミル、ボールミル、又は、アトライター等を用いることができる。また、原料アルミニウム粉は溶剤中に分散された状態であってもよい。
【0025】
(原料アルミニウム粉)
原料アルミニウム粉としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム以外の不純物の少ない物が好ましい。原料アルミウム粉の純度は、好ましくは99.5質量%以上であり、より好ましくは99.7質量%以上であり、さらに好ましくは99.8質量%以上である。原料アルミニウム粉の平均粒径は、2〜20μmが好ましく、3〜12μmがより好ましい。また、原料アルミニウム粉の製造方法は、特に限定されないが、アトマイズ法が好ましい。
【0026】
(粉砕時の溶剤)
粉砕時に用いる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、従来から使用されているミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤;アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等の低粘度の有機溶剤が挙げられる。なお、粉砕時に用いる溶剤は、アルミニウム顔料組成物における揮発性有機化合物となりうる。
【0027】
(粉砕助剤)
本実施形態で用いられる粉砕助剤としては、特に限定されないが、ドデシル(ラウリル)アミン、テトラデシル(ミリスチル)アミン、ヘキサデシル(パルミチル)アミン、オクタデシル(ステアリル)アミン、エイコシル(アラキル)アミン、ドコシル(ベヘル)アミン、オレイルアミン、ステアリルアミン等の脂肪族アミン;ドデシル(ラウリル)酸、テトラデシル(ミリスチル)酸、ヘキサデシル(パルミチル)酸、オクタデシル(ステアリン)酸、エイコシル(アラキル)酸、ドコシル(ベヘル)酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;他にはステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級アミド類などが挙げられる。
【0028】
これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの粉砕助剤は、原料アルミニウム粉100質量部に対して0.3〜10質量部用いることが好ましく、0.5〜8質量部用いることがより好ましい。
【0029】
(揮発性有機化合物の除去)
粉砕後のアルミニウム顔料は上述した揮発性有機化合物(粉砕時の溶剤)を含む。従って揮発性有機化合物を、2%以下に除去する必要がある。揮発性有機化合物の除去方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、揮発性有機化合物を多く含んだアルミニウム顔料組成物を減圧下で加熱し、揮発性有機化合物を蒸発させる方法が挙げられる。
【0030】
有機化合物の添加方法については、特に限定されないが、例えば、揮発性有機化合物を除去した後、有機化合物を添加し、ミキサーなどの公知の混合器でよく混合してもよい。また、揮発性有機化合物を含んだ状態のまま、有機化合物を添加し、減圧下で加熱して揮発性有機化合物のみ蒸発させてもよい。
【0031】
〔樹脂組成物〕
本実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、上述したアルミニウム顔料組成物と、を含む。
【0032】
(熱可塑性樹脂)
本実施形態に用いる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂であれば、特に限定されない。このような熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン樹脂(AES樹脂)など等のゴム強化樹脂;ポリスチレン(PS樹脂)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体などのスチレン系(共)重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に成形温度の高い、ポリカーボネート樹脂や、ポリエステル系樹脂、およびそれらと他の熱可塑性樹脂との混合物が、成形性、安定性の点で好ましい。
【0033】
本実施形態に係る樹脂組成物に含有されるアルミニウム顔料組成物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.05〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。アルミニウム顔料組成物の含有量が0.05質量部以上であることにより、光輝性がより優れる傾向にある。一方、アルミニウム顔料組成物の含有量が20質量部以下であることにより、成形性がより向上する傾向にある。
【0034】
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、アルミニウム顔料とを、混合することで得ることができる。混合方法としては、特に限定されないが、例えば、一般にバンバリーミキサーや一軸、二軸の押出機、ベント付押出機、ニーダー、ロール、フィーダールーダーなどによって溶融混練する方法が挙げられる。これにより、均一な樹脂組成物を得ることができる。なお、混練温度は、熱可塑性樹脂の種類により適宜選択すればよい。
【0035】
熱可塑性樹脂と鱗片状アルミニウム粉との混合性、分散性をよくするため、鱗片状アルミニウム粉の割合の多い(例えば、30質量%〜70質量%)樹脂組成物を、中間体(マスターバッチ)として作製してもよい。この中間体と熱可塑性樹脂とをさらに混合し、上記範囲内の鱗片状アルミニウム粉を含有したメタリック樹脂組成物を製造することもできる。
【0036】
〔その他の添加剤〕
本実施形態に係る樹脂組成物は、目的に応じて、添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、マイカ、着色顔料、蓄光顔料、着色染料、蛍光染料などの着色剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤、防汚剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、潤滑剤、界面活性剤、難燃剤、蛍光増白剤、光拡散剤、結晶核剤、流動改質剤、衝撃改質剤、顔料分散剤などが挙げられる。
【0037】
〔成形品〕
本実施形態に係る成形品は、樹脂組成物からなる。本実施形態に係る成形品は、上記樹脂組成物から公知の方法で、例えば射出成形機を用いて作製することができる。このような成形品は、光輝性を有する成形品、積層体、例えば、ノートパソコンや携帯電話などの電子機器の筐体に好適に用いることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されない。なお、製造例、実施例及び比較例中で用いた各種物性の測定方法は以下の通りである。
【0039】
(揮発性有機化合物含有量の測定方法)
揮発性有機化合物含有量は、JIS K 5906にて規定されている加熱残分測定方法により測定した。具体的には、アルミニウム顔料組成物5gを蒸発皿に採り、105℃×3時間加熱後の残存質量と、5gとの割合から加熱残分を算出し、100%から加熱残分を引くことで、アルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量(質量%)を算出した。
【0040】
(アルミニウム顔料組成物の平均粒径の測定方法)
アルミニウム顔料組成物の平均粒径は、レーザ回析式粒度分布測定装置 SALD−2200により測定した。測定溶剤としては、ミネラルスピリットを使用した。測定は機器取扱説明書に従い実施した。試料は、前処理として2分間の超音波分散を行い、分散槽の中に投入し適正濃度になったのを確認後、測定に供した。
【0041】
(1)光輝性:
実施例及び比較例で製造した樹脂組成物のペレットを用いて長さ50mm、幅40mm、厚さ3mmの試験片を成形し、下記評価基準にて目視判定した。
(評価基準)
◎:光輝性が非常に優れていた。
○:光輝性が優れていた。
△:光輝性が低かった。
×:光輝性がほとんどなかった。
【0042】
(2)成形性(外観):
幅150mm、長さ200mm、厚さ3mmの箱型の成形品用金型の一側面に設けた2か所のゲートから、実施例及び比較例で製造した樹脂組成物のペレットを射出成形して得た成形品を用い、下記評価基準にて目視判定した。
(評価基準)
○:気泡や筋が全く見えなかった。
△:気泡や筋が少し見えた。
×:気泡や筋が明確に見えた。
【0043】
(3)平均粒径
アルミニウム顔料の平均粒径(d50)は、レーザ回析式粒度分布測定装置 SALD−2200により測定した。
【0044】
(熱可塑性樹脂)
実施例及び比較例で用いた熱可塑性樹脂を以下に示す。
a)ポリプロピレン:(株)プライムポリマー製 プライムポリプロJ106G
b)ポリメチルメタクリレート(PMMA):旭化成ケミカルズ(株)製 デルペット60N
c)ポリスチレン:PSジャパン(株)製 PSJ−ポリスチレンGPPS HF77
d)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS):旭化成ケミカルズ(株)製 スタイラック321
e)ポリアミド66:旭化成ケミカルズ(株)製 レオナ1300S
f)ポリアセタール:旭化成ケミカルズ(株)製 テナックC 4520
g)ポリカーボネート:帝人化成(株)製 パンライトL−1225L
h)ポリブチレンテレフタレート(PBT):東レ(株)製 トレコン1401−X06
【0045】
(アルミニウム顔料)
(製造例1)
りんぺん状で平均粒径30μmの、アトマイズ法で製造された原料アルミニウム粉(ミナルコ社製、製品名 #350M)100g、ステアリルアミン3g、ミネラルスピリット(JX日鉱日石エネルギー株式会社製、製品名カクタスソルベント、沸点150~200℃)500mLを原料として、これを3.2φのベアリングボール5kgと共に内容積5000mLのボールミル内に仕込み、毎分60回転の速度で7時間粉砕を行った。またこの間毎分100mLの空気をコンプレッサーによりボールミル内に送った。粉砕終了後スラリーを37μmの篩にかけて粗粒子を取り除いた後、フィルタープレスにより余分の溶剤を除去して加熱残分82%のケーキを得た。
【0046】
このケーキを縦型ミキサーに移し、11gのアジピン酸ジオクチル((株)ジェイ・プラス製 空気中での分解開始温度>250℃)を加えたのち、撹拌しながら温度80℃、気圧1kPaに8時間保持して、ミネラルスピリットを揮発させた。
【0047】
得られたアルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量は1.3質量%で、平均粒径は20μmであった。
【0048】
(製造例2)
製造例1のステアリルアミン3gの代わりにオレイン酸3gを用いたことと、アジピン酸ジオクチルのかわりに、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウリレート(花王製 エキセパールBP−DL 空気中での分解開始温度220℃)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法によりアルミニウム顔料を製造した。得られアルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量は0.7%で、平均粒径は21μmであった。
【0049】
(製造例3)
製造例1のステアリルアミン3gの代わりにオレイン酸3gを用いたことと、アジピン酸ジオクチルのかわりに、SUNPURE NX−90(ナフテン系炭化水素オイル 日本サン石油製 空気中での分解開始温度230℃)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法によりアルミニウム顔料を製造した。得られアルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量は0.7%で、平均粒径は21μmであった。
【0050】
(製造例4)
製造例1のステアリルアミン3gの代わりにオレイン酸3gを用いたことと、アジピン酸ジオクチルのかわりに、VERSA−FLOW EV(液状ポリエチレンワックス Shamrock Technologies製 空気中での分解開始温度240℃)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法によりアルミニウム顔料を製造した。得られアルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量は0.7%で、平均粒径は21μmであった。
【0051】
(製造例5)
製造例1のステアリルアミン3gの代わりにオレイン酸3gを用いたことと、アジピン酸ジオクチルのかわりに、NAソルベント(イソパラフィン系炭化水素オイル 日油製 空気中での分解開始温度210℃)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法によりアルミニウム顔料を製造した。得られアルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量は0.7%で、平均粒径は21μmであった。
【0052】
(製造例6)
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズ法で製造された原料アルミニウム粉(平均粒径20μm、ミナルコ社製、製品名#400)600g、ミネラルスピリット1.2kg、及び、ステアリン酸6gを充填し、直径4.8mmのスチールボール(比重7.8)18kgを用い、60rpmで5時間粉砕した。粉砕終了後、ボールミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルタープレスで濾過、濃縮し、加熱残分87%のケーキを得た。得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のソルベントナフサ(東燃ゼネラル石油社製、製品名ソルベッソ100、空気中での分解開始温度180℃)を加え、15分混合し、加熱残分75%のアルミニウム顔料組成物を得た。平均粒径は15μmで、揮発性有機化合物含有量は、25%であった。
【0053】
(製造例7)
製造例1のアジピン酸ジオクチルのかわりに、ポリエチレングリコールPEG#200(日油(株)製、空気中での分解開始温度170℃)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法によりアルミニウム顔料を製造した。得られアルミニウム顔料組成物中の揮発性有機化合物含有量は0.8%で、平均粒径は20μmであった。
【0054】
〔実施例1〜12、比較例1〜2〕
熱可塑性樹脂と製造例1〜7により製造されたアルミニウム顔料とを、表1に示す割合で混合し、20mmφ2軸押出機を用い、樹脂温度は200℃〜300℃、樹脂に応じて適宜調整した条件下で、溶融混合して押出すことで、両者を混合した樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを、射出成形機を用いて成形し、光輝性と成形性を目視で評価した。その結果を表1に示す。比較例1は成形品に気泡や筋だけでなく、鱗片状アルミニウム粉の凝集物が多数みられた。
【0055】
【表1】