特許第6355909号(P6355909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355909
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】検査記録装置及び検査記録評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20180702BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180702BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   G01N21/88 Z
   F02C7/00 D
   F01D25/00 X
   F02C7/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-217748(P2013-217748)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-78964(P2015-78964A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年4月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】立石 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】野村 真澄
(72)【発明者】
【氏名】坂井 達也
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−264882(JP,A)
【文献】 特開2013−002390(JP,A)
【文献】 特開2003−093380(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0013685(US,A1)
【文献】 米国特許第6609050(US,B2)
【文献】 米国特許第8443301(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の画像上に前記検査対象物の損傷状態に関する情報を展開した検査記録画面を表示する表示部と、
前記検査対象物に関する画像情報と前記損傷状態に関する情報とを対応付けて構成され、前記検査対象物の点検及び検査の業務ごとに記録される複数の検査記録データと、
前記損傷状態に関する情報並びに前記損傷状態に関する情報に対する確認が行われたか否かを示す確認状況の情報を含み、前記検査記録データごとに記録される複数の損傷状態確認状況データと
を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記検査記録データを読み込んで、前記検査記録画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示されている前記検査記録画面上の前記損傷状態に関する情報に対する操作を検出する検出部と、
前記検出部により前記操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況の情報を確認済みの状態に更新する保存部と、
前記検出部により前記操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報の表示態様を変更する変更部と
を有し、
前記保存部は、前記表示部に表示されている前記検査記録画面上の全ての前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況の情報が確認済みの状態に更新されていることを条件として、前記検査記録画面上の全ての前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況の情報を前記損傷状態確認状況データとして最終保存し、
前記表示制御部は、
前記検査記録画面を前記表示部に表示させる際に、前記損傷状態に関する情報と前記確認状況の情報とが対応付けられた一覧情報を、前記表示部にさらに表示させ、
前記検出部により前記一覧情報に対する操作が検出された場合に、検出された操作に対応する前記損傷状態に関する情報を取り囲む最小の矩形を、前記検査記録画面上に表示される前記損傷状態に関する情報の中から切り出して所定の倍率で拡大して強調表示することを特徴とする検査記録装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記損傷状態に関する情報の表示色を、前記検出部により前記操作が検出されていない前記損傷状態に関する情報の表示色とは異なる色に変更することを特徴とする請求項1に記載の検査記録装置。
【請求項3】
前記保存部は、前記損傷状態に関する情報が複数ある場合、前記検出部による前記操作の検出に応じて、前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況の情報を確認済みの状態にそれぞれ更新する請求項1又は2に記載の検査記録装置。
【請求項4】
検査対象物の画像上に前記検査対象物の損傷状態に関する情報を展開した検査記録画面を表示する表示部と、
前記検査対象物に関する画像情報と前記損傷状態に関する情報とを対応付けて構成され、前記検査対象物の点検及び検査の業務ごとに記録される複数の検査記録データと、
前記損傷状態に関する情報並びに前記損傷状態に関する情報に対する確認が行われたか否かを示す確認状況を含み、前記検査記録データごとに記録される複数の損傷状態確認状況データと、を記憶する記憶部とを有する検査記録装置に実行させる検査記録方法であって、
前記検査記録データを記憶部から読み込んで、前記検査記録画面を前記表示部に表示させるステップと、
前記損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況を確認済みの状態に更新するステップと、
前記損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報の表示態様を変更するステップと
を含み、
前記更新するステップは、前記表示部に表示されている前記検査記録画面上の全ての前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況が確認済みの状態に更新されていることを条件として、前記検査記録画面上の全ての前記損傷状態に関する情報に対応付けられている前記確認状況を前記損傷状況確認状況データとして最終保存し、
前記表示させるステップは、
前記検査記録画面を前記表示部に表示させる際に、前記損傷状態に関する情報と前記確認状況の情報とが対応付けられた一覧情報を、前記表示部にさらに表示させ、
前記検出部により前記一覧情報に対する操作が検出された場合に、検出された操作に対応する前記損傷状態に関する情報を取り囲む最小の矩形を、前記検査記録画面上に表示される前記損傷状態に関する情報の中から切り出して所定の倍率で拡大して強調表示することを特徴とする検査記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査記録装置及び検査記録評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査業務において、検査対象物の確認箇所について確認漏れがないかを徹底する取り組みが行われている。例えば、特許文献1では、検査対象となる画像の確認作業の時間を計測し、計測した時間が一定時間を超過しているかを判定することにより、確認抜けを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4538790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記検査業務の対象となる検査対象物によっては、確認箇所が膨大となる場合もある。このため、上記特許文献1に開示されている技術のように、計測した確認作業の時間が一定時間を超過したかを判定するという単純な方法では、確認箇所が膨大となる検査対象物の検査業務において確認漏れが発生する恐れもある。
【0005】
本発明は、検査業務において確認漏れが発生することを防止することができる検査記録装置及び検査記録評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る検査記録装置は、1つの態様として、表示部と、検査対象物に関する画像情報と前記検査対象物の損傷状態に関する情報と対応付けて構成される検査記録データ、及び前記損傷状態に関する情報が確認済みの状態であるか否かを示す情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記検査記録データを読み込んで、前記画像情報に対応する画像上に前記損傷状態に関する情報を展開して前記表示部に表示させる表示制御部と、前記表示部に表示された前記損傷状態に関する情報に対する操作を検出する検出部と、前記検出部により前記操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報に対応付けて、当該損傷状態に関する情報が確認済みであることを示す情報を前記記憶部に保存する保存部と、前記検出部により前記操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報の表示態様を変更する変更部とを有することを特徴とする。
【0007】
この検査記録装置では、検査対象物に関する画像上に展開された損傷状態に関する情報のうち、利用者により操作された情報の表示態様を変更するので、検査対象物の損傷のうち確認済みであるものを容易に確認させることができる。
【0008】
また、本発明の望ましい態様としては、前記変更部は、前記損傷状態に関する情報の表示色を、前記画像情報の表示色とは異なる色に変更することが望ましい。
【0009】
この態様では、検査対象物に関する画像上に展開された損傷状態に関する情報のうち、利用者により操作された情報の表示色を、利用者により操作されていない情報の表示色とは異なる色に変更するので、確認済みの情報を利用者に容易に視認させることができる。
【0010】
また、本発明の望ましい態様としては、前記損傷状態に関する情報と前記確認済みであることを示す情報とが対応付けられた一覧情報を、前記表示部にさらに表示させることが望ましい。
【0011】
この態様では、検査対象物に関する画像上に展開された損傷状態に関する情報を表示させる際に、損傷情報が確認済みの状態であるか否かをリストとしてさらに表示するので、損傷情報が確認済みの状態であるか否かを利用者に容易に確認させることができる。
【0012】
また、本発明の望ましい態様としては、前記検出部は、前記一覧情報に対する操作を検出し、前記表示制御部は、前記検出部により前記一覧情報に対する操作が検出された場合に、前記画像上に展開された前記損傷状態に関する情報の対応箇所を強調表示することが望ましい。
【0013】
この態様では、リスト内で損傷情報が確認済みであるか否かを利用者に確認させつつ、検査対象物の損傷状態を確認する利用者の利便性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の望ましい態様としては、前記保存部は、前記損傷状態に関する情報が複数ある場合、複数の前記損傷状態に関する情報のそれぞれに対して前記検出部により前記操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報に対応付けて、当該損傷状態に関する情報が確認済みであることを示す情報を前記記憶部に保存することが望ましい。
【0015】
この態様では、検査対象物の損傷状態を全て確認するという作業を利用者に徹底させることができる。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、検査記録装置に実行させる検査記録方法であって、検査対象物に関する画像情報と前記検査対象物の損傷状態に関する情報と対応付けて構成される検査記録データを記憶部から読み込んで、前記画像情報に対応する画像上に前記損傷状態に関する情報を展開して表示させるステップと、前記損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合に、前記損傷状態に関する情報に対応付けて、当該損傷状態に関する情報が確認済みであることを示す情報を記憶部に保存し、前記損傷状態に関する情報の表示態様を変更するステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
この検査記録方法は、検査対象物に関する画像上に展開された損傷状態に関する情報のうち、利用者により操作された情報の表示態様を変更するので、検査対象物の損傷のうち確認済みであるものを容易に確認させる方法を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る検査記録装置および検査記録評価方法は、検査対象物の検査業務において確認漏れを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施例に係る概念的な構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施例に係る検査記録装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、管理データのデータ構成の一例を示す図である。
図4図4は、損傷状態確認状況データのデータ構成の一例を示す図である。
図5図5は、色属性決定テーブルのテーブル構成の一例を示す図である。
図6図6は、色属性決定テーブルのテーブル構成の他の例を示す図である。
図7図7は、実施例1に係る検査記録装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、検査記録画面の構成例を示す図である。
図9図9は、図7に示す処理における損傷状態に関する情報の遷移例を示す図である。
図10図10は、図7に示す処理における検査記録画面の遷移例を示す図である。
図11図11は、図7に示す処理における検査記録画面の遷移例を示す図である。
図12図12は、実施例2に係る検査記録装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、実施例2に係る検査記録画面に表示される情報の一例を示す図である。
図14図14は、実施例3に係る検査記録装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、図14に示す処理における検査記録画面の遷移例を示す図である。
図16図16は、実施例3に係る強調表示処理の流れを示すフローチャートである。
図17図17は、実施例3に係る強調表示処理の説明に用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る検査記録装置及び検査記録評価方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。さらに、この実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の実施例では、ガスタービンについて実施される点検及び検査の業務内容を確認する検査記録装置にて実行される処理の一例について説明する。本発明に係る検査記録装置及び検査記録評価方法は、ガスタービンに限らず、検査対象となるあらゆる製品の検査業務の内容を確認する作業について適用できる。
【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例に係る概念的な構成の一例を示す図である。作業員は、図1に示す点検用端末10を携帯し、ガスタービンの点検及び検査の業務を実施する。点検用端末10には、作業員によりガスタービンの点検及び検査に関する検査入力業務が行われ、検査記録データとして記録される。検査記録装置100は、点検用端末10から検査記録データを取得して、検査記録データの確認業務に関する処理を実行する。
【0022】
[検査記録装置の構成]
図2は、実施例1に係る検査記録装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、検査記録装置100は、表示部110と、入力部120と、通信部130と、媒体読取部140と、制御部150と、記憶部160とを備える。
【0023】
表示部110は、液晶パネルまたは有機EL(Organic Electro‐Luminescence)パネル等の表示装置を有し、制御部150から送信される制御信号に基づいて、文字、記号、および図形等の各種情報を表示する。入力部120は、キーボードやマウス等の入力装置を有し、利用者が入力装置に対して行った操作に対応する信号(表示部110に表示されるポインタの位置など)を制御部150へ出力する。通信部130は、所定の通信プロトコルに基づいて、他の装置との間での情報の送受信を制御する。媒体読取部140は、光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード等の可搬の非一過的(non‐transitory)な記憶媒体からプログラムやデータを読み取る。
【0024】
制御部150は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)151と、記憶装置であるメモリ152とを備え、これらのハードウェア資源を用いてプログラムを実行することによって各種の機能を実現する。具体的には、制御部150は、記憶部160に記憶されているプログラム(例えば、制御プログラム161)を読み出してメモリ152に展開し、メモリ152に展開されたプログラムに含まれる命令をCPU151に実行させる。そして、制御部150は、CPU151による命令の実行結果に応じて、メモリ152および記憶部160に対してデータの読み書きを行ったり、表示部110への情報の出力及び通信部130による通信等の動作を制御したりする。
【0025】
記憶部160は、磁気記憶装置または半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置を備え、各種のプログラムおよびデータを記憶する。記憶部160に記憶されるプログラムには、制御プログラム161が含まれる。記憶部160に記憶されるデータには、点検用端末10から取得した検査記録データ162、管理データ163、損傷状態確認状況データ164及び色属性決定テーブル165が含まれる。記憶部160は、記憶部の一例である。
【0026】
図2において記憶部160が記憶するプログラム又はデータの全体または一部は、媒体読取部140が読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。あるいは、図2において記憶部160が記憶するプログラム又はデータの全体または一部は、通信部130による通信によって他の装置から取得されてもよい。例えば、実施例1において、検査記録装置100は、点検用端末10に記憶されている検査記録データが書き込まれた記憶媒体を、媒体読取部140により読み取ってもよい。あるいは、検査記録装置100は、通信部130による通信によって、点検用端末10から検査記録データを取得してもよい。
【0027】
検査記録データ162は、検査対象となるガスタービンの画像情報と、ガスタービンの損傷に関する情報とを含んで構成される。検査記録データ162は、例えば、検査対象となるガスタービンについて行われた点検及び検査の業務ごとに記録された複数の単位データで構成される。単位データには、それぞれ一意なシリアルNoが識別情報として付与される。
【0028】
管理データ163は、損傷状態確認状況データ164を効率的に管理及び検索するためのデータである。図3は、管理データのデータ構成の一例を示す図である。管理データ163は、図3に示すように、シリアルNo、チェック実施状況、及び損傷データNoを対応付けて記憶する。シリアルNoは、検査記録データ162を構成する各単位データに付与されているデータに対応する。チェック実施状況は、各データごとに確認作業が完了しているかを示す情報である。損傷データNoは、損傷状態確認状況データ164ごとに一意に付与される識別情報である。図3に示す例では、シリアルNo:「0001」に対応付けて、チェック実施状況:「未実施」及び損傷データNo:「D001」が記憶されている。
【0029】
損傷状態確認状況データ164は、ガスタービンの損傷に関する情報の確認状況を示すデータである。損傷状態確認状況データ164は、例えば、検査対象となるガスタービンについて行われた点検及び検査の業務ごとに記録された各記録データに対応する複数の単位データで構成される。図4は、損傷状態確認状況データのデータ構成の一例を示す図である。図4では、単位データとして、損傷データNo:D001を例に挙げて説明する。損傷状態確認状況データ164は、図4に示すように、損傷番号、領域、損傷種類、サイズ、確認状況、及び色属性を対応付けて記憶する。損傷番号は、単位データに含まれる損傷ごとに付与される識別情報である。領域は、ガスタービンの損傷箇所を示す情報である。損傷種類は、損傷の種類を示す情報である。サイズは、損傷の程度を示す情報である。確認状況は、該当の単位データにおける損傷の確認が行われたか否かを示す情報である。色属性は、ガスタービンの検査記録データについての確認業務において、損傷状態に関する情報の表示色を示す情報である。図4に示す例では、例えば、損傷番号:「1」に対応付けて、領域:「翼面」、損傷種類:「き裂」、サイズ:「長さ5mm」、状態:「未確認」、色属性:「黒」が記憶されている。
【0030】
色属性決定テーブル165は、ガスタービンの損傷に関する情報の表示色の変更を行う場合に参照されるデータである。図5は、色属性決定テーブルのテーブル構成の一例を示す図である。色属性決定テーブル165は、図5に示すように、損傷種類、確認状況、及び色属性を対応付けて記憶する。図5に示す例では、例えば、損傷種類:「コーティング剥離面積S(mm)」に対応付けて、確認状況:「確認済み」、色属性:「赤」が記憶されている。あるいは、図5に示す例では、例えば、損傷種類:「コーティング剥離面積S(mm)」に対応付けて、確認状況:「未確認」、色属性:「黒」が記憶されている。
【0031】
色属性決定テーブル165のデータ構成は、図5に示す例に限られない。図6は、色属性決定テーブルのテーブル構成の他の例を示す図である。色属性決定テーブル165は、図6に示すように、損傷種類、確認済みである場合の色属性及び未確認である場合の色属性を対応付けて記憶するとともに、確認済みで色属性を損傷の程度に応じて異ならせるようにしてもよい。図6に示す例では、例えば、損傷種類:「コーティング剥離面積S(mm)」に対応付けて、確認済み+損傷の程度(サイズ):「0≦S<20」、色属性:「緑」が記憶されている。また、図6に示す例では、例えば、損傷種類:「コーティング剥離面積S(mm)」に対応付けて、確認済み+損傷の程度(サイズ):「20≦S<40」、色属性:「黄」が記憶されている。また、図6に示す例では、例えば、損傷種類:「コーティング剥離面積S(mm)」に対応付けて、確認済み+損傷の程度(サイズ):「40≦S」、色属性:「赤」が記憶されている。また、図6に示す例では、例えば、損傷種類:「コーティング剥離面積S(mm)」に対応付けて、未確認+色属性:「黒」が記憶されている。以下の説明では、図5に示す色属性決定テーブル165を用いる場合について説明する。
【0032】
制御プログラム161は、ガスタービンの検査記録データについての確認業務において、ガスタービンの損傷のうち確認済みであるものを容易に確認させるための各種機能を提供する。例えば、制御プログラム161には、図2に示すように、表示制御部161a、検出部161b、保存部161c及び変更部161dが含まれる。
【0033】
表示制御部161aは、検査記録データ162を読み込んで、検査記録データ162に含まれる画像情報に対応する画像上に損傷状態に関する情報を展開して表示部110に表示させる機能を提供する。表示制御部161aは、表示制御部の一例である。
【0034】
検出部161bは、検査記録画面に表示されている損傷状態に関する情報に対する操作を検出する機能を提供する。検出部161bは、検出部の一例である。
【0035】
保存部161cは、検出部161bにより損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合に、損傷状態に関する情報に対応付けて、当該損傷状態に関する情報が確認済みであることを示す情報を記憶部160に保存する機能を提供する。保存部161cは、保存部の一例である。
【0036】
変更部161dは、検出部161bにより損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合に、損傷状態に関する情報の表示態様を変更する機能を提供する。変更部161dは、変更部の一例である。
【0037】
[検査記録装置による処理]
図7図11を用いて、実施例1に係る検査記録装置により実行される処理について説明する。図7は、実施例1に係る検査記録装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図7に示す処理は、制御部150が、記憶部160に記憶されている制御プログラム161などを読み込むことにより実行される。
【0038】
図7に示すように、制御部150は、利用者からの要求に応じて、記憶部160から検査記録データ162を読み込み、読み込んだ検査記録データ162に基づいて、検査記録画面を表示部110に表示する(ステップS101)。
【0039】
図8は、検査記録画面の構成例を示す図である。検査記録画面50は、図8に示すように、チェック実施状況表示領域51、シリアルNo表示領域52、画面操作ボタン群53、及び検査記録表示領域54で構成される。制御部150は、検査記録データ162の中から、検査記録表示領域54に展開するデータのシリアルNoに基づいて、管理データ163に含まれるチェック実施状況のデータを取得し、チェック実施状況表示領域51に表示させる。制御部150は、検査記録データ162の中から、検査記録表示領域54に展開するデータのシリアルNoのデータをシリアルNo表示領域52に表示させる。検査記録画面50の画面操作ボタン群53には、「登録ボタン」、「仮登(録)ボタン」、「閉じるボタン」、「前へボタン」、「次へボタン」が含まれる。「登録ボタン」は、検査記録画面50での確認作業を最終的に保存する操作を受け付ける。「仮登(録)ボタン」は、検査記録画面50での確認作業を一時的に保存する操作を受け付ける。「閉じるボタン」は、検査記録画面50での確認作業を終了する操作を受け付ける。「前へボタン」は、検査記録画面50に1つ前のシリアルNoのデータを表示させる操作を受け付ける。「次へボタン」は、検査記録画面50に1つ後ろのシリアルNoのデータを表示させる操作を受け付ける。図8に示す例では、「登録ボタン」がグレーアウトした状態で表示されている例を示しているが、これは検査記録画面50の表示されているデータ(損傷状態に関する情報)に対する確認作業を最終的に保存する操作を受け付けることができない状態であることを示している。同様に、図8に示す例において、「前へボタン」がグレーアウトした状態で表示されている例を示しているが、現在検査記録画面50に表示中のデータ(損傷状態に関する情報)が最小のシリアルNoに対応するデータであるので、検査記録画面50に1つ前のシリアルNoのデータを表示させる操作を受け付けることができない状態であることを示している。
【0040】
また、図8に示すように、制御部150は、検査記録データ162の中から、検査記録表示領域54に展開するデータに含まれる画像情報に対応する画像54a(ガスタービンの画像)上に損傷状態に関する情報54b−1〜54b−3を検査記録画面50の検査記録表示領域54に展開して表示させる。損傷状態に関する情報は、例えば、損傷種類を示すコメント、損傷状態を示す画像、コメントと画像とを接続する矢印で構成される。図8に示す例では、損傷状態に関する情報として、3つの情報(54b−1〜54b−3)が表示されている。損傷状態に関する情報である3つの情報54b−1〜54b−3は、それぞれ、損傷種類を示すコメントd1、損傷状態を示す画像d2、コメントd1と画像d2を接続する矢印d3で構成されている。損傷状態に関する情報54b−1には、損傷種類を示すコメントd1として、「き裂長さ5mm」が表示されている。損傷状態に関する情報54b−2には、損傷種類を示すコメントd1として、「減肉深さ2mm」が表示されている。損傷状態に関する情報54b−3には、損傷種類を示すコメントd1として、「コーティング剥離面積50mm」が表示されている。
【0041】
なお、制御部150は、検査記録データ162の中から、最小のシリアルNoに対応するデータを検査記録表示領域54に展開する。制御部150は、検査記録データ162の中から、検査記録表示領域54に展開するデータのシリアルNoの選択を利用者から予め受け付けるようにしてもよい。
【0042】
図7の説明に戻り、制御部150は、検査記録画面50を表示部110に表示させた後、検査記録画面50における入力操作があったかを判定する(ステップS102)。例えば、制御部150は、入力部120から取得する信号に基づいて、入力操作があったかを判定する。
【0043】
制御部150は、判定の結果、検査記録画面50における入力操作があった場合には(ステップS102,Yes)、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されたかを判定する(ステップS103)。例えば、制御部150は、入力部120から取得する検査記録画面50におけるポインタの位置と、検査記録画面50に表示される損傷状態に関する情報(図8に示す54b−1〜54b−3など)との位置関係に基づいて、損傷状態に関する情報に対する操作を検出する。
【0044】
制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合には(ステップS103,Yes)、続いて、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態かを判定する(ステップS104)。例えば、制御部150は、ステップS103において操作が検出された損傷状態に関する情報について、記憶部160に記憶されている損傷状態確認状況データ164を参照し、確認済みの状態であるかを判定する。
【0045】
制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態ではない場合には(ステップS104,No)、該当の損傷状態に関する情報の確認状況を確認済みに更新する(ステップS105)。具体的には、制御部150は、ステップS103において操作が検出された損傷状態に関する情報に対応する確認状況を、「未確認」から「確認済み」に更新する。
【0046】
続いて、制御部150は、色属性決定テーブル165を参照して、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報のうち、該当の損傷状態に関する情報の表示色を変更する(ステップS106)。実施例1において、例えば、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の表示色を、「黒」から「赤」に変更する。なお、制御部150は、損傷状態に関する情報の表示色を変更する代わりに、損傷状態に関する情報に含まれるコメント部分(例えば、図8に示すd1)の字体を変更するなど、操作が検出されたことがわかるような任意の強調表示の方法を適用できる。
【0047】
続いて、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の色属性をS106の表示色に更新する(ステップS107)。実施例1において、例えば、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の表示色を、「黒」から「赤」に更新する。
【0048】
図9は、図7に示す処理における損傷状態に関する情報の遷移例を示す図である。操作が検出された損傷状態に関する情報(例えば、図8に示す54b−3)が確認済みの状態ではないと判定された場合、図9のステップS11からステップS12に示すように、操作が検出された損傷状態に関する情報に対応する確認状況が、制御部150によって「未確認」から「確認済み」に更新される。続いて、操作が検出された損傷状態に関する情報の表示色の変更が実行された場合、図9のステップS12からステップS13に示すように、操作が検出された損傷状態に関する情報に対応する色属性が、制御部150によって「黒」から「赤」に更新される。
【0049】
図7の説明に戻り、制御部150は、続いて、現在の検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態かを判定する(ステップS108)。
【0050】
制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態である場合には(ステップS108,Yes)、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様をグレーアウトした状態から操作可能な状態に変更する(ステップS109)。図10は、図7に示す処理における検査記録画面の遷移例を示す図である。損傷状態に関する情報の全て(例えば、図8に示す54b−1〜54b−3)が確認済みの状態である場合、図10のステップS21〜ステップS22に示すように、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様が、制御部150によりグレーアウトした状態から操作可能な状態に変更される。
【0051】
続いて、制御部150は、検査記録画面50に表示されている「閉じるボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS110)。
【0052】
制御部150は、判定の結果、「閉じるボタン」に対する操作があった場合には(ステップS110,Yes)、図7に示す処理を終了する。
【0053】
一方、制御部150は、判定の結果、「閉じるボタン」に対する操作がない場合には(ステップS110,No)、検査記録画面50に表示されている「仮登(録)ボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS111)。
【0054】
制御部150は、判定の結果、「仮登(録)ボタン」に対する操作があった場合には(ステップS111,Yes)、該当の損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)を保存して(ステップS112)、図7に示す処理を終了する。すなわち、ステップS111において、「仮登(録)ボタン」に対する操作があった場合、制御部150は、検査記録画面50に表示されているシリアルNo(例えば、0001)に対応する損傷状態に関する情報(例えば、D001)のうち、現時点までに確認済みのものを一旦保存する。作業員が、検査記録画面50に表示されているシリアルNo(例えば、0001)に対応する損傷状態に関する情報の確認作業を一時的に中断する場合に対応する。
【0055】
一方、制御部150は、判定の結果、「仮登(録)ボタン」に対する操作がない場合には(ステップS111,No)、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS113)。
【0056】
制御部150は、判定の結果、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があった場合には(ステップS113,Yes)、全ての損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)を保存して、チェック実施状況を更新し(ステップS114)、図7に示す処理を終了する。すなわち、ステップS113において、「登録ボタン」に対する操作があった場合、制御部150は、検査記録画面50に表示されているシリアルNo(例えば、0001)に対応する損傷状態に関する情報(例えば、D001)の全てを確認済みとして保存する。作業員が、検査記録画面50に表示されているシリアルNo(例えば、0001)に対応する損傷状態に関する情報の確認作業を完了する場合に対応する。図11は、図7に示す処理における検査記録画面の遷移例を示す図である。検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があった場合、図11のステップS31からステップS32に示すように、検査記録画面50に表示されているチェック実施状況の欄が、制御部150により「未実施」から「実施」に更新される。制御部150は、記憶部160に記憶されている管理データ163のチェック実施状況のデータも、「未実施」から「実施」に更新して保存する。
【0057】
一方、制御部150は、判定の結果、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作がない場合には(ステップS113,No)、上記ステップS102に戻る。
【0058】
上記ステップS108において、制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態ではない場合には(ステップS108,No)、上記ステップS109のように、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様をグレーアウトした状態から操作可能な状態には変更せずに、上記ステップS110に移る。
【0059】
上記ステップS104において、制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合には(ステップS104,Yes)、上記ステップS110に移る。
【0060】
上記ステップS103において、制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されない場合には(ステップS103,No)、上記ステップS110に移る。
【0061】
上記ステップS102において、制御部150は、判定の結果、検査記録画面50における入力操作がない場合には(ステップS102,No)、上記ステップS110に移る。
【0062】
上記図7に示す処理において、制御部150は、「仮登(録)ボタン」に対する操作があった場合、それまでに実行された損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)をキャッシュなどに一時的に格納し、「登録ボタン」に対する操作があるまでは、記憶部160に格納されないようにしてもよい。
【0063】
上記図7に示す処理では、制御部150は、検査記録画面50に表示されているシリアルNoに対応する損傷状態に関する情報の確認が完了した段階で、損傷状態に関する情報の更新を記憶部160に保存可能な状態とする例を説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、全てのシリアルNoに対応する損傷状態に関する情報の確認作業が完了するまで、損傷状態に関する情報の更新を記憶部160に保存できないようにしてもよい。
【0064】
上述してきたように、実施例1では、検査記録装置100は、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報のうち、利用者により操作された情報の表示態様を変更するので、損傷状態に関する情報のうち確認済みであるものを容易に確認させることができる。このため、実施例1によれば、検査業務において確認漏れが発生することを防止することができる。
【0065】
また、実施例1では、検査記録装置100は、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報が全て確認されるまでは、損傷状態に関する情報に対する更新を保存しないので、損傷状態を全て確認するという作業を利用者に徹底させることができる。このため、実施例1によれば、検査業務において確認漏れが発生することを防止することができる。
【実施例2】
【0066】
以下の実施例2では、損傷状態に関する情報とともに、損傷状態に関する情報をリスト化した一覧情報を検査記録画面50にさらに表示させる場合の検査記録装置50による処理を説明する。
【0067】
図12及び図13を用いて、実施例2に係る検査記録装置100による処理について説明する。図12は、実施例2に係る検査記録装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図12に示す処理は、制御部150が、記憶部160に記憶されている制御プログラム161などを読み込むことにより実行される。図12に示す処理は、ステップS201、ステップS215〜ステップS220の処理が実施例1とは異なる。
【0068】
図12に示すように、制御部150は、利用者からの要求に応じて、記憶部160から検査記録データ162を読み込み、読み込んだ検査記録データ162に基づいて、損傷一覧を含む検査記録画面50を表示部110に表示する(ステップS201)。図13は、実施例2に係る検査記録画面に表示される情報の一例を示す図である。図13に示すように、制御部150は、損傷状態に関する情報がリスト化された損傷一覧55を含む検査記録画面50を表示部110に表示させる。
【0069】
続いて、制御部150は、検査記録画面50における入力操作があったかを判定する(ステップS202)。
【0070】
制御部150は、判定の結果、検査記録画面50における入力操作があった場合には(ステップS202,Yes)、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されたかを判定する(ステップS203)。
【0071】
制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合には(ステップS203,Yes)、続いて、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態かを判定する(ステップS204)。
【0072】
制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態ではない場合には(ステップS204,No)、該当の損傷状態に関する情報の確認状況を確認済みに更新する(ステップS205)。
【0073】
続いて、制御部150は、色属性決定テーブル165を参照して、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報のうち、該当の損傷状態に関する情報の表示色を変更し(ステップS206)、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の色属性をS206の表示色に更新する(ステップS207)。
【0074】
続いて、制御部150は、現在の検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態かを判定する(ステップS208)。
【0075】
制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態である場合には(ステップS208,Yes)、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様をグレーアウトした状態から操作可能な状態に変更する(ステップS209)。
【0076】
続いて、制御部150は、検査記録画面50に表示されている「閉じるボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS210)。
【0077】
制御部150は、判定の結果、「閉じるボタン」に対する操作があった場合には(ステップS210,Yes)、図12に示す処理を終了する。
【0078】
一方、制御部150は、判定の結果、「閉じるボタン」に対する操作がない場合には(ステップS210,No)、検査記録画面50に表示されている「仮登(録)ボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS211)。
【0079】
制御部150は、判定の結果、「仮登(録)ボタン」に対する操作があった場合には(ステップS211,Yes)、該当の損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)を保存して(ステップS212)、図12に示す処理を終了する。
【0080】
一方、制御部150は、判定の結果、「仮登(録)ボタン」に対する操作がない場合には(ステップS211,No)、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS213)。
【0081】
制御部150は、判定の結果、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があった場合には(ステップS213,Yes)、全ての損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)を保存して、チェック実施状況を更新し(ステップS214)、図12に示す処理を終了する。
【0082】
一方、制御部150は、判定の結果、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作がない場合には(ステップS213,No)、上記ステップS202に戻る。
【0083】
上記ステップS208において、制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態ではない場合には(ステップS208,No)、上記ステップS209のように、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様をグレーアウトした状態から操作可能な状態には変更せずに、上記ステップS210に移る。
【0084】
上記ステップS204において、制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合には(ステップS204,Yes)、上記ステップS208に移る。なお、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合に、制御部150が上記ステップS210に移る処理手順としてもよい。
【0085】
上記ステップS203において、制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されない場合には(ステップS203,No)、上記ステップS208に移る。なお、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されない場合に、制御部150が上記ステップS210に移る処理手順としてもよい。
【0086】
上記ステップS202において、制御部150は、判定の結果、検査記録画面50における入力操作がない場合には(ステップS202,No)、続いて、損傷一覧55に対する操作が検出されたかを判定する(ステップS215)。
【0087】
制御部150は、判定の結果、損傷一覧55に対する操作が検出された場合には(ステップS215,Yes)、操作が検出された損傷状態に関する情報が確認済みの状態かを判定する(ステップS216)。
【0088】
制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態ではない場合には(ステップS216,No)、損傷一覧55に表示される情報のうち、該当する損傷状態に関する情報の表示態様を確認済みの状態に変更する(ステップS217)。具体的には、制御部150は、例えば、図13に示す損傷一覧55のうち、「損傷:コーティング剥離」の行に対する操作が検出された場合には、「損傷:コーティング剥離」の行に対応する「済」の箇所が選択された状態であることが分かるように、「損傷:コーティング剥離」の行に対応する表示態様を変更する。「損傷:コーティング剥離」の行に対応する「未済」、「済」及び「保留」の箇所は、例えば、ラジオボタンのような表示態様で構成されており、利用者により操作された箇所が選択された状態にあることが分かるように、利用者により操作された箇所の画像とそれ以外の箇所の画像とを異ならせる。
【0089】
続いて、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の確認状況を確認済みに更新する(ステップS218)。続いて、制御部150は、色属性決定テーブル165を参照して、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報のうち、該当の損傷状態に関する情報の表示色を変更する(ステップS219)。図13に示すように、損傷一覧55に表示される情報のうち、操作が検出された損傷状態に関する情報(例えば、54b−3)の表示色を変更する。
【0090】
続いて、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の色属性をS219の表示色に更新した後(ステップS220)、上記ステップS208に移る。
【0091】
上記ステップS216において、制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合には(ステップS216,Yes)、上記ステップS210に移る。
【0092】
上記ステップS215において、制御部150は、判定の結果、損傷一覧55に対する操作が検出されない場合には(ステップS215,No)、上記ステップS210に移る。
【0093】
実施例2では、検査記録装置100は、検査記録画面50の検査記録表示領域54に、損傷状態に関する情報を表示する例を説明したが、損傷状態に関する情報をリスト化した損傷一覧55を検査記録画面50にさらに表示させるので、損傷情報が確認済みの状態であるか否かを利用者に容易に確認させることができる。このため、実施例2によれば、検査業務において確認漏れが発生することを防止することができる。
【実施例3】
【0094】
以下の実施例3では、検査記録画面50に表示する損傷一覧55において操作が検出された箇所を、検査記録画面50の検査記録表示領域54に強調表示させる場合の検査記録装置50の処理を説明する。強調表示とは、点滅表示、拡大表示、縮小表示、表示色の変更などが該当する。
【0095】
図14図17を用いて、実施例3に係る検査記録装置100による処理について説明する。図14は、実施例3に係る検査記録装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図14に示す処理は、制御部150が、記憶部160に記憶されている制御プログラム161などを読み込むことにより実行される。図14に示す処理は、ステップS316及びステップS322の処理が実施例2とは異なる。
【0096】
図14に示すように、制御部150は、利用者からの要求に応じて、記憶部160から検査記録データ162を読み込み、読み込んだ検査記録データ162に基づいて、損傷一覧55を含む検査記録画面50(図13参照)を表示部110に表示する(ステップS301)。
【0097】
続いて、制御部150は、検査記録画面50における入力操作があったかを判定する(ステップS302)。
【0098】
制御部150は、判定の結果、検査記録画面50における入力操作があった場合には(ステップS302,Yes)、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されたかを判定する(ステップS303)。
【0099】
制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出された場合には(ステップS303,Yes)、続いて、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態かを判定する(ステップS304)。
【0100】
制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態ではない場合には(ステップS304,No)、該当の損傷状態に関する情報の確認状況を確認済みに更新する(ステップS305)。
【0101】
続いて、制御部150は、色属性決定テーブル165を参照して、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報のうち、該当の損傷状態に関する情報の表示色を変更し(ステップS306)、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の色属性をS306の表示色に更新する(ステップS307)。
【0102】
続いて、制御部150は、現在の検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態かを判定する(ステップS308)。
【0103】
制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態である場合には(ステップS308,Yes)、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様をグレーアウトした状態から操作可能な状態に変更する(ステップS309)。
【0104】
続いて、制御部150は、検査記録画面50に表示されている「閉じるボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS310)。
【0105】
制御部150は、判定の結果、「閉じるボタン」に対する操作があった場合には(ステップS310,Yes)、図14に示す処理を終了する。
【0106】
一方、制御部150は、判定の結果、「閉じるボタン」に対する操作がない場合には(ステップS310,No)、検査記録画面50に表示されている「仮登(録)ボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS311)。
【0107】
制御部150は、判定の結果、「仮登(録)ボタン」に対する操作があった場合には(ステップS311,Yes)、該当の損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)を保存して(ステップS312)、図14に示す処理を終了する。
【0108】
一方、制御部150は、判定の結果、「仮登(録)ボタン」に対する操作がない場合には(ステップS311,No)、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があったかを判定する(ステップS313)。
【0109】
制御部150は、判定の結果、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作があった場合には(ステップS313,Yes)、全ての損傷状態に関する情報に対する更新(確認状況及び色属性)を保存して、チェック実施状況を更新し(ステップS314)、図14に示す処理を終了する。
【0110】
一方、制御部150は、判定の結果、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」に対する操作がない場合には(ステップS313,No)、上記ステップS302に戻る。
【0111】
上記ステップS308において、制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報の全てが確認済みの状態ではない場合には(ステップS308,No)、上記ステップS309のように、検査記録画面50に表示されている「登録ボタン」の表示態様をグレーアウトした状態から操作可能な状態には変更せずに、上記ステップS310に移る。
【0112】
上記ステップS304において、制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合には(ステップS304,Yes)、上記ステップS308に移る。なお、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合に、制御部150が上記ステップS310に移る処理手順としてもよい。
【0113】
上記ステップS303において、制御部150は、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されない場合には(ステップS303,No)、上記ステップS308に移る。なお、判定の結果、損傷状態に関する情報に対する操作が検出されない場合に、制御部150が上記ステップS310に移る処理手順としてもよい。
【0114】
上記ステップS302において、制御部150は、判定の結果、検査記録画面50における入力操作がない場合には(ステップS302,No)、続いて、損傷一覧55に対する操作が検出されたかを判定する(ステップS315)。
【0115】
制御部150は、判定の結果、損傷一覧55に対する操作が検出された場合には(ステップS315,Yes)、検査記録画面50に表示される「選択ボタン」に対する操作であるかを判定する(ステップS316)。
【0116】
制御部150は、判定の結果、「選択ボタン」に対する操作ではない場合には(ステップS316,No)、損傷一覧55の損傷状態に関する情報に対する操作であると判断し、操作が検出された損傷状態に関する情報が確認済みの状態かを判定する(ステップS317)。
【0117】
制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態ではない場合には(ステップS317,No)、損傷一覧55に表示される情報のうち、該当する損傷状態に関する情報の表示態様を確認済みの状態に変更する(ステップS318)。
【0118】
続いて、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の確認状況を確認済みに更新する(ステップS319)。続いて、制御部150は、色属性決定テーブル165を参照して、検査記録画面50に表示されている損傷状態に関する情報のうち、該当の損傷状態に関する情報の表示色を変更する(ステップS320)。
【0119】
続いて、制御部150は、該当の損傷状態に関する情報の色属性をS320の表示色に更新した後(ステップS321)、上記ステップS308に移る。
【0120】
上記ステップS316において、制御部150は、判定の結果、「選択ボタン」に対する操作である場合には(ステップS316,Yes)、強調表示処理を実行し(ステップS322)、上記ステップS310に移る。図15は、図14に示す処理における検査記録画面の遷移例を示す図である。図15のステップS41からステップS42に示すように、検査記録画面50に表示される「選択ボタン55a」に対する操作が検出された場合、「選択ボタン55a」に対応する行の情報が、制御部150により検査記録表示領域54に、図15に示す例では、拡大表示される。
【0121】
上記ステップS317において、制御部150は、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合には(ステップS317,Yes)、上記ステップS308に移る。なお、判定の結果、該当の損傷状態に関する情報が確認済みの状態である場合に、制御部150が上記ステップS310に移る処理手順としてもよい。
【0122】
上記ステップS315において、制御部150は、判定の結果、損傷一覧55に対する操作が検出されない場合には(ステップS315,No)、上記ステップS308に移る。なお、判定の結果、損傷一覧55に対する操作が検出されない場合に、制御部150が上記ステップS310に移る処理手順としてもよい。
【0123】
以下、図14に示すステップS322の強調表示処理について説明する。図16は、実施例3に係る強調表示処理の流れを示すフローチャートである。図16では、強調表示の一例として、検査記録画面50に表示する損傷一覧55において操作が検出された箇所を、検査記録画面50の検査記録表示領域54に拡大表示する場合の処理について説明する。図16に示すように、制御部150は、損傷一覧55において選択指示された損傷に関する情報を取り囲む最小の矩形の重心の座標を算出する(ステップS401)。図17は、実施例3に係る強調表示処理の説明に用いる図である。例えば、損傷一覧55において「損傷:コーティング剥離」の行が操作された場合、図17に示す矩形MKが、損傷一覧55において選択指示された損傷に関する情報を取り囲む最小の矩形となる。
【0124】
続いて、制御部150は、ステップS401の矩形における任意の1つの頂点の座標を算出する(ステップS402)。
【0125】
続いて、制御部150は、ステップS401における矩形の重心のX座標と、ステップS402における矩形の任意の頂点のX座標との差の絶対値である値Aを算出する(ステップS403)。
【0126】
続いて、制御部150は、ステップS401における矩形の重心のY座標と、ステップS402における矩形の任意の頂点のY座標との差の絶対値である値Bを算出する(ステップS404)。
【0127】
続いて、制御部150は、検査記録表示領域54のX方向(図17に示すX軸方向)の幅を(2−α)で除算した値Cを算出する(ステップS405)。なお、αは、所定のマージンであり、予め設定されるものとする。
【0128】
続いて、制御部150は、検査記録表示領域54のY方向(図17に示すY軸方向)の幅を(2−β)で除算した値Dを算出する(ステップS406)。なお、βは、所定のマージンであり、予め設定されるものとする。
【0129】
続いて、制御部150は、ステップS405で算出した値CをステップS403で算出した値Aで除算した値Eを算出する(ステップS407)。
【0130】
続いて、制御部150は、ステップS406で算出した値DをステップS404で算出した値Bで除算した値Fを算出する(ステップS408)。
【0131】
続いて、制御部150は、ステップS401の重心の座標と、検査記録表示領域54の中心の座標とが一致するように、検査表示領域54に表示されている画像等を移動させる(ステップS409)。
【0132】
続いて、制御部150は、ステップS407で算出した値Eが、ステップS408で算出した値Fよりも小さいかを判定する(ステップS410)。
【0133】
制御部150は、判定の結果、ステップS407で算出した値Eが、ステップS408で算出した値Fよりも小さい場合には(ステップS410,Yes)、検査記録表示領域54に表示されている画像等を値E倍の倍率で拡大し(ステップS411)、図16に示す処理を終了する。
【0134】
一方、制御部150は、判定の結果、ステップS407で算出した値Eが、ステップS408で算出した値Fよりも小さくない場合には(ステップS410,No)、検査記録表示領域54に表示されている画像等を値F倍の倍率で拡大し(ステップS412)、図16に示す処理を終了する。
【0135】
上記ステップS405で算出される値C、及び上記ステップS406で算出される値Dは、予め算出された状態で検査記録装置100に格納されていてもよい。
【0136】
実施例3では、検査記録装置100は、検査記録画面50に表示する損傷一覧55において操作が検出された箇所を、検査記録画面50の検査記録表示領域54に拡大表示させるので、損傷状態を確認する利用者の利便性を向上させることができる。このため、実施例3によれば、検査業務において確認漏れが発生することを防止することができる。
【0137】
なお、上記の実施例で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、上記の実施例で示した制御プログラム161は、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと統合されていてもよい。
【符号の説明】
【0138】
10 点検用端末
100 検査記録装置
110 表示部
120 入力部
130 通信部
140 媒体読取部
150 制御部
160 記憶部
161 制御プログラム
162 検査記録データ
163 管理データ
164 損傷状態確認状況データ
165 色属性決定テーブル
図1
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