特許第6355918号(P6355918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355918
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】低位前方切除術の90度の器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   A61B17/068
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-259795(P2013-259795)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-121603(P2014-121603A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】13/719,607
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト アラーニ
(72)【発明者】
【氏名】スタニスロウ コスツルゼウスキー
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−112820(JP,A)
【文献】 特表2010−540041(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0065549(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0153124(US,A1)
【文献】 特開2007−216012(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0180585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00−17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節運動する外科手術器具であって、該関節運動する外科手術器具は、
エンドエフェクターと、
該エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリと
を含み、該駆動アセンブリは、
第1の軸を規定する第1の駆動シャフトと、
第2の駆動シャフトとを含み、該第2の駆動シャフトは、該第1の駆動シャフトと動作可能に係合し、該第1の駆動シャフトから離れるほうに延び、該第2の駆動シャフトは、該エンドエフェクターと動作可能に連結され、該第2の駆動シャフトは、第2の軸を規定し、該第2の軸は該第1の軸と異なり、
該駆動アセンブリは、該第1の駆動シャフトにおける回転運動を、該第2の駆動シャフトにおける回転運動に伝えるように構成されており、
該第1の駆動シャフトと該第2の駆動シャフトとは、旋回可能に配置され、該第1の駆動シャフトおよび該第2の駆動シャフトは、第1の実質的にまっすぐな配置と、第2の実質的に直角の配置との間で推移するように構成されており、
該第2の実質的に直角の配置において、該第1の駆動シャフトと該第2の駆動シャフトとは、近位から遠位へ、1対の相互係合するかさ歯車、駆動ピン、および摩擦歯車アセンブリによって相互接続されており、該第1の実質的にまっすぐな配置において、該かさ歯車は互いから係合解除される、関節運動する外科手術器具。
【請求項2】
前記第1の実質的にまっすぐな配置において、前記第2の駆動シャフトは、前記第1の駆動シャフトから側方にずれている、請求項1に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項3】
前記第1および第2の駆動シャフトの各々は、かさ歯車を組み込んでいる、請求項1に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項4】
前記駆動アセンブリは、前記第2の駆動シャフトを周囲に係合するように構成されている摩擦歯車を組み込んでいる、請求項1に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項5】
前記第1の駆動ハウジングと前記第2の駆動ハウジングとは、ピンおよびスロット構成で旋回可能に配置されている、請求項1に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項6】
前記摩擦歯車アセンブリは、摩擦歯車と摩擦ピニオンとを含む、請求項7に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項7】
前記第1の駆動シャフトは、第1の長手方向の長さを規定し、前記第2の駆動シャフトは、第2の異なる長手方向の長さを規定する、請求項1に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項8】
前記第2の駆動シャフトは、前記第1の駆動シャフトよりも長い、請求項10に記載の関節運動する外科手術器具。
【請求項9】
前記エンドエフェクターは、前記第1の軸に対する選択的な半径方向の配向のために構成されている、請求項1に記載の関節運動する外科手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.技術分野
本開示は、内視鏡外科手術手順を実施するための外科手術装置、デバイス、および/またはシステム、ならびにその使用方法に関する。より詳しくは、本開示は、外科手術器具とともに使用するための駆動アセンブリに関し、このアセンブリは、様々なタイプの外科手術手順中に使用を容易にするために、異なる配置間で推移するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
2.関連分野の背景
組織を外科手術により接合するために使用される種々のタイプの外科手術器具は、当該分野において公知であり、例えば、処置(transaction)、切除、吻合において組織または器官を閉じるために、胸および腹部の手順において器官を閉塞するために、ならびに組織を電気外科的に融合または密封するために一般的に使用される。
【0003】
1つのそのような外科手術器具は、外科手術ステープル留め器具であり、それは、アンビルアセンブリと外科手術ステープルの並びを支持するためのカートリッジアセンブリとを含むツールアセンブリと、カートリッジおよびアンビルアセンブリを接近させるための接近メカニズムと、カートリッジアセンブリから外科手術ステープルを射出するための発射メカニズムとを含み得る。
【0004】
最小限に侵襲性の外科手術手順(例えば、腹腔鏡手順および/または内視鏡手順)において、手順は、小切開を通して、または患者における小さい入り口の創傷もしくは天然に存在するオリフィスを通して挿入された細いカニューレを通して実施される。患者の外傷の低減、患者の回復期間の短縮、および全体の費用の実質的な低減に起因して、最小限に侵襲性の手順は、慣例の開腹手順よりも好ましい。いくつかの最小限に侵襲性の外科手術手順において、切開もしくは天然に存在するオリフィスの箇所から離して間隔が空けられた場所にアクセスすることが望ましい。従って、ツールアセンブリを駆動アセンブリに対して、ずれた位置に維持するために、関節運動メカニズムを提供することが望ましい。従って、外科医が多様な構成にあるツール部材を操作することを可能にする改善された関節運動および/または旋回するメカニズムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明の例示的実施形態のさらなる詳細および局面は、添付の図面を参照して、より詳細に下に記載される。
【0006】
関節運動する外科手術器具が開示され、関節運動する外科手術器具は、エンドエフェクターと、エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリとを含む。駆動アセンブリは、第1の軸を規定する第1の駆動シャフトと、第2の駆動シャフトとを含み、第2の駆動シャフトは、第1の駆動シャフトと動作可能に係合し、第1の駆動シャフトから離れるほうに延びている。第2の駆動シャフトは、エンドエフェクターと動作可能に連結され、第2の軸を規定し、第2の軸は第1の軸と異なる。第1の駆動シャフトと第2の駆動シャフトとは、旋回可能に配置され、第1の駆動シャフトおよび第2の駆動シャフトは、第1の実質的にまっすぐな配置と、第2の実質的に直角の配置との間で推移するように構成されている。1つの実施形態に従って、第2の駆動シャフトは、第1の駆動シャフトから側方にずれている。別の実施形態に従って、第1および第2の駆動シャフトの各々は、かさ歯車を組み込んでいる。第1の駆動シャフトのかさ歯車と第2の駆動シャフトのかさ歯車とは、相互係合するように構成されている。
【0007】
本開示の別の局面に従って、駆動アセンブリは、第2の駆動シャフトを周囲に係合するように構成されている摩擦歯車を組み込む。本開示のさらなる局面に従って、第1および第2の駆動ハウジングは、旋回可能に配置されている。
【0008】
本開示のさらなる局面に従って、第1の駆動シャフトと第2の駆動シャフトとは、近位から遠位へ、1対の相互係合するかさ歯車、駆動ピン、および摩擦歯車アセンブリによって相互接続されている。摩擦歯車アセンブリは、摩擦歯車と摩擦ピニオンとを含み得る。本開示の別の局面に従って、駆動アセンブリは、第1の駆動シャフトにおける回転運動を、第2の駆動シャフトにおける回転運動に伝えるように構成されている。本開示のさらに別の局面において、第1の駆動シャフトは、第1の長手方向の長さを規定し、第2の駆動シャフトは、第2の異なる長手方向の長さを規定する。第2の駆動シャフトは、第1の駆動シャフトよりも長いものであり得る。本開示の別の局面において、エンドエフェクターは、第1の軸に対する選択的な半径方向の配向のために構成されている。
【0009】
関節運動する外科手術器具を使用する方法も開示され、この方法は、エンドエフェクターを提供することと、エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリを提供することとを含む。駆動アセンブリは、第1の駆動シャフトと、第1の駆動シャフトと旋回可能および動作可能に連結されている第2の駆動シャフトとを含む。第2の駆動シャフトは、第1の駆動シャフトと平行な関係で、第1の駆動シャフトから側方にずれて延びている。上記方法は、第2の駆動シャフトが第1の駆動シャフトに対して180度以外の角度で配置されるように第2の駆動シャフトを旋回させることをさらに含む。本開示の別の局面において、上記方法は、駆動アセンブリを提供することが第1および第2の駆動シャフトの各々において、かさ歯車を提供することを含むことを含む。本開示のさらに別の局面において、上記方法は、駆動アセンブリを提供することが第2の駆動シャフトを周囲に係合している摩擦歯車を提供することを含むことを含む。本開示の別の局面において、上記方法は、第2の駆動シャフトが、第1の駆動シャフトに対して180度以外の角度で配置されているままでエンドエフェクターを作動させることを含む。本開示のさらに別の局面において、上記方法は、エンドエフェクターを、選択された半径方向の配向に配置することを含む。
【0010】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
関節運動する外科手術器具であって、該関節運動する外科手術器具は、
エンドエフェクターと、
該エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリと
を含み、該エンドエフェクターは、
第1の軸を規定する第1の駆動シャフトと、
第2の駆動シャフトとを含み、該第2の駆動シャフトは、該第1の駆動シャフトと動作可能に係合し、該第1の駆動シャフトから離れるほうに延び、該第2の駆動シャフトは、該エンドエフェクターと動作可能に連結され、該第2の駆動シャフトは、第2の軸を規定し、該第2の軸は該第1の軸と異なり、
該第1の駆動シャフトと該第2の駆動シャフトとは、旋回可能に配置され、該第1の駆動シャフトおよび該第2の駆動シャフトは、第1の実質的にまっすぐな配置と、第2の実質的に直角の配置との間で推移するように構成されている、関節運動する外科手術器具。
(項目2)
上記第2の駆動シャフトは、上記第1の駆動シャフトから側方にずれている、上記項目に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目3)
上記第1および第2の駆動シャフトの各々は、かさ歯車を組み込んでいる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目4)
上記第1の駆動シャフトのかさ歯車と上記第2の駆動シャフトのかさ歯車とは、相互係合するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目5)
上記駆動アセンブリは、上記第2の駆動シャフトを周囲に係合するように構成されている摩擦歯車を組み込んでいる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目6)
上記第1の駆動ハウジングと上記第2の駆動ハウジングとは、ピンおよびスロット構成で旋回可能に配置されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目7)
上記第1の駆動シャフトと上記第2の駆動シャフトとは、近位から遠位へ、1対の相互係合するかさ歯車、駆動ピン、および摩擦歯車アセンブリによって相互接続されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目8)
上記摩擦歯車アセンブリは、摩擦歯車と摩擦ピニオンとを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目9)
上記駆動アセンブリは、上記第1の駆動シャフトにおける回転運動を、上記第2の駆動シャフトにおける回転運動に伝えるように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目10)
上記第1の駆動シャフトは、第1の長手方向の長さを規定し、上記第2の駆動シャフトは、第2の異なる長手方向の長さを規定する、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目11)
上記第2の駆動シャフトは、上記第1の駆動シャフトよりも長い、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目12)
上記エンドエフェクターは、上記第1の軸に対する選択的な半径方向の配向のために構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目13)
関節運動する外科手術器具であって、該関節運動する外科手術器具は、
エンドエフェクターと、
該エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリと
を含み、該駆動アセンブリは、
第1の駆動シャフトと、
該第1の駆動シャフトと旋回可能および動作可能に連結されている第2の駆動シャフトと
を含み、該第2の駆動シャフトは、該第1の駆動シャフトと平行な関係で、該第1の駆動シャフトから側方にずれて延び、
該第2の駆動シャフトは、該第2の駆動シャフトが該第1の駆動シャフトに対して180度以外の角度で配置されるように、旋回させられるように構成されている、関節運動する外科手術器具。
(項目14)
上記駆動アセンブリは、上記第1および第2の駆動シャフトの各々において、かさ歯車を含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目15)
上記駆動アセンブリは、上記第2の駆動シャフトを周囲に係合している摩擦歯車を含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目16)
上記エンドエフェクターは、上記第2の駆動シャフトが、上記第1の駆動シャフトに対して180度以外の角度で配置されているままで作動させられるように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目17)
上記エンドエフェクターは、選択された半径方向の配向で配置されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目1A)
関節運動する外科手術器具であって、該関節運動する外科手術器具は、
エンドエフェクターと、
該エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリと
を含み、該エンドエフェクターは、
第1の軸を規定する第1の駆動シャフトと、
第2の駆動シャフトとを含み、該第2の駆動シャフトは、該第1の駆動シャフトと動作可能に係合し、該第1の駆動シャフトから離れるほうに延び、該第2の駆動シャフトは、該エンドエフェクターと動作可能に連結され、該第2の駆動シャフトは、第2の軸を規定し、該第2の軸は該第1の軸と異なり、
該第1の駆動シャフトと該第2の駆動シャフトとは、旋回可能に配置され、該第1の駆動シャフトおよび該第2の駆動シャフトは、第1の実質的にまっすぐな配置と、第2の実質的に直角の配置との間で推移するように構成されている、関節運動する外科手術器具。
(項目2A)
上記第2の駆動シャフトは、上記第1の駆動シャフトから側方にずれている、上記項目に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目3A)
上記第1および第2の駆動シャフトの各々は、かさ歯車を組み込んでいる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目4A)
上記第1の駆動シャフトのかさ歯車と上記第2の駆動シャフトのかさ歯車とは、相互係合するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目5A)
上記駆動アセンブリは、上記第2の駆動シャフトを周囲に係合するように構成されている摩擦歯車を組み込んでいる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目6A)
上記第1の駆動ハウジングと上記第2の駆動ハウジングとは、ピンおよびスロット構成で旋回可能に配置されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目7A)
上記第1の駆動シャフトと上記第2の駆動シャフトとは、近位から遠位へ、1対の相互係合するかさ歯車、駆動ピン、および摩擦歯車アセンブリによって相互接続されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目8A)
上記摩擦歯車アセンブリは、摩擦歯車と摩擦ピニオンとを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目9A)
上記駆動アセンブリは、上記第1の駆動シャフトにおける回転運動を、上記第2の駆動シャフトにおける回転運動に伝えるように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目10A)
上記第1の駆動シャフトは、第1の長手方向の長さを規定し、上記第2の駆動シャフトは、第2の異なる長手方向の長さを規定する、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目11A)
上記第2の駆動シャフトは、上記第1の駆動シャフトよりも長い、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目12A)
上記エンドエフェクターは、上記第1の軸に対する選択的な半径方向の配向のために構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の関節運動する外科手術器具。
(項目13A)
関節運動する外科手術器具を使用する方法であって、該方法は、
エンドエフェクターを提供することと、
該エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリを提供することであって、該駆動アセンブリは、
第1の駆動シャフトと、
該第1の駆動シャフトと旋回可能および動作可能に連結されている第2の駆動シャフトと
を含み、該第2の駆動シャフトは、該第1の駆動シャフトと平行な関係で、該第1の駆動シャフトから側方にずれて延びている、駆動アセンブリを提供することと、
該第2の駆動シャフトが該第1の駆動シャフトに対して180度以外の角度で配置されるように該第2の駆動シャフトを旋回させることと
を含む、方法。
(項目14A)
駆動アセンブリを提供することは、上記第1および第2の駆動シャフトの各々において、かさ歯車を提供することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目15A)
駆動アセンブリを提供することは、上記第2の駆動シャフトを周囲に係合している摩擦歯車を提供することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目16A)
上記第2の駆動シャフトが、上記第1の駆動シャフトに対して180度以外の角度で配置されているままで上記エンドエフェクターを作動させることをさらに含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目17A)
上記エンドエフェクターを、選択された半径方向の配向に配置することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
【0011】
(摘要)
関節運動する外科手術器具が開示され、関節運動する外科手術器具は、エンドエフェクターと、エンドエフェクターと動作可能に連結されている駆動アセンブリとを含む。エンドエフェクターは、第1の軸を規定する第1の駆動シャフトと第2の駆動シャフトとを含み、第2の駆動シャフトは、第1の駆動シャフトと動作可能に係合し、第1の駆動シャフトから離れるほうに延びている。第2の駆動シャフトは、エンドエフェクターと動作可能に連結され、第2の軸を規定し、第2の軸は第1の軸と異なる。第1の駆動シャフトと第2の駆動シャフトとは、旋回可能に配置され、第1の駆動シャフトおよび第2の駆動シャフトは、第1の実質的にまっすぐな配置と、第2の実質的に直角の配置との間で推移するように構成されている。
【0012】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、駆動アセンブリとエンドエフェクターとを含む外科手術関節運動装置の斜視図である。
図2図2は、図1のセクション線2−2に沿って得られた、駆動アセンブリの側面断面図である。
図3図3は、エンドエフェクターなしの駆動アセンブリの斜視図である。
図4図4は、組み立てられた駆動アセンブリの内部構成要素の斜視図である。
図5図5は、駆動アセンブリの後方斜視図である。
図6図6は、駆動アセンブリの内部構成要素を例示している後方斜視図である。
図7図7は、組み立てられた駆動アセンブリの部分の動作中の斜視図である。
図8図8は、組み立てられた駆動アセンブリの部分の動作中の側面図である。
図9図9は、駆動アセンブリの、部品が分離された図である。
図10図10は、エンドエフェクターおよび駆動アセンブリの部分の、部品が分離された図である。
図11図11は、組み立てられた駆動アセンブリの部分の動作中の斜視図である。
図12図12は、エンドエフェクターが回転させられている外科手術関節運動装置の斜視図である。
図13図13は、代替の構成における駆動アセンブリの斜視図である。
図14図14は、代替の構成における駆動アセンブリの部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の詳細な説明
本開示の外科手術関節運動装置の実施形態は、図面を参照して詳細に記載され、図面において、類似の参照番号は、数枚の図の各々において、同一の要素または対応する要素を表す。本明細書中で用いられる場合、用語「遠位」は、使用者からより遠い、外科手術関節運動装置の部分またはその構成要素を指し、用語「近位」は、使用者により近い、外科手術関節運動装置の部分またはその構成要素を指す。
【0015】
最初に図1を参照すると、外科手術関節運動装置1000は、エンドエフェクター400に動作的に接続されている駆動アセンブリ100を含む。エンドエフェクター400および駆動アセンブリ100は、手動または電力式の外科手術器具による作動および操作のために構成されている。1つのそのような適切な外科手術器具は、WO 2009/039506として公開された、国際出願第PCT/US2008/077249号、および米国特許出願公開第2011/0121049号として公開された、米国特許出願第12/622,827号に対して開示され、それらの各々の開示全体は、本明細書中で参考として援用される。実施形態において、駆動アセンブリ100およびエンドエフェクター400は、互いから分離可能であり、その結果、駆動アセンブリ100は、複数の異なるエンドエフェクターのうちの任意の1つとの選択的接続のために構成される。例えば、低位前方切除術(「LAR」)または他の結腸直腸手術中、特定のタイプの外科手術手順を実施することを容易にするために、エンドエフェクターが湾曲した顎部材を含み得ることが想定される。
【0016】
エンドエフェクター400は、1対の顎部材を含み、1対の顎部材は、カートリッジアセンブリ432とアンビル434とを含む。カートリッジアセンブリ432は、その中に配置されている1つ以上の締め具433(図10)を収容し、外科手術関節運動装置1000の発射の際に、締め具433を配備するように構成されている。アンビル434は、エンドエフェクター400に移動可能に(例えば、旋回可能に)取り付けられ、組織を締付けるために、カートリッジアセンブリ432から離して間隔が空けられた開口位置と、アンビル434がカートリッジアセンブリ432と近接して協働して整列している閉鎖した位置との間を移動可能である。エンドエフェクター400は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100を通した機械的な力の伝達を介して動作させられる。
【0017】
駆動アセンブリ100は、示されるように、長手方向軸「A」を規定する近位部分200と、遠位部分300とを含む。駆動アセンブリ100の近位部分200と遠位部分300とは、下にさらに記載されるように、旋回可能に取り付けられる。
【0018】
一時的に図9に目を向けると、駆動アセンブリ100の構成要素が、部品が分離された図で示されている。駆動アセンブリ100の近位部分200は、上に記載されるように、ハウジング210を含む。ハウジング210は、実質的に円筒形のピースであり、それを通る通路212を規定する。通路212は、示されるように、組み立てのために、駆動アセンブリ100の近位部分200の他の構成要素を挿入することを容易にするために、不規則な構成(例えば、θ形)を有し得る。1対の長手方向に延びているスロット214は、下にさらに記載されるように、ハウジング210の正反対に対向する外側表面に沿って規定され、駆動アセンブリ100の遠位部分300の旋回を容易にするように構成されている。ハウジング210の遠位部分は、凹部216を規定し、凹部216は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の種々の構成要素を収容するような寸法、ならびに駆動アセンブリ100の近位部分200および遠位部分300の相対的な旋回を容易にするような寸法にされている。
【0019】
駆動アセンブリ100の近位部分200は、駆動シャフト220と、カラー230と、取り付けブレース240と、キャップ部材250と、かさ歯車260と、駆動アダプター270とをさらに含む。上に開示される駆動アセンブリ100の近位部分200の特定の部分は、駆動アセンブリの遠位部分300内に物理的に位置していると記載されるが、これらの部分は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の近位部分200と機能的に関連付けられていることが理解される。
【0020】
駆動シャフト220は、示されるように、実質的にまっすぐな細長い部材であり、長手方向軸A(図1)と同軸に配置されている。駆動シャフト220は、複数の交差する平面側面(例えば、六角形構成)によって規定される構成を有する遠位部分222を含む。駆動シャフト220の遠位部分222は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の他の部分を相互係合するように構成されている。従って、駆動シャフト220は、実質的に剛体部材であり、それに沿って回転力を伝達するように構成されている。実施形態において、駆動シャフト220は、例えば、金属材料または複合材料から形成され得る。
【0021】
カラー230は、下にさらに記載されるように、実質的にまっすぐな管状部材であり、駆動シャフト220の一部分を受け取るための、それを通る通路232を規定し、取り付けブレース240の一部分と整列および隣接するような寸法にされている。カラー230は、下にさらに記載されるように、実質的に平滑な構成を有し、その動作中に、ハウジング210の通路212の内壁から駆動シャフト220を分離するような構成にされている。
【0022】
取り付けブレース240は、ブリッジ部分242を含み、ブリッジ部分242は、駆動シャフト220の一部分を受け取るための、それを通るアパーチャ243を規定する。ブリッジ部分242は、長手方向軸A(図1)に対して垂直に配向されるように構成されている。1対の平行アーム244は、ブリッジ部材240の両側から遠位方向に延び、平行アーム244の各々は、下にさらに記載されるように、1対のペグ246のうちの1つを受け取るためにアパーチャを規定する。
【0023】
キャップ部材250は、示されるように、駆動シャフト220の一部分を受け取るための中央アパーチャ252と、1対の側方アパーチャ254とを規定する実質的に平らな部材である。キャップ部材250は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の近位部分200と遠位部分300とを連結するように構成されている。
【0024】
かさ歯車260は、実質的に円形の部材であり、それを通るアパーチャ262を規定する。アパーチャ262は、下にさらに記載されるように、駆動アダプター270の一部分を係合するように構成されている平面263を含む。複数の歯264は、かさ歯車260の遠位部分の周囲に配置され、アパーチャ262に対して傾斜した関係で配置されている。
【0025】
駆動アダプター270は、かさ歯車260の遠位方向に配置され、連結部分272と、フランジ275によって分離されているシャフト部分278とを含む。連結部分272は、実質的に円形の構成を有し、その外側表面上に形成される平面273を含む。連結部分272は、下にさらに記載されるように、連結部分272の平面273がかさ歯車260のアパーチャ262内の平面263を係合するように、かさ歯車260のアパーチャ262内に嵌め入るように構成されている。連結部分272はまた、下にさらに記載されるように、それを通るアパーチャ274を規定し、アパーチャ274は、駆動シャフト220の遠位部分222を係合するために実質的に六角形の構成を有する。駆動アダプター270のシャフト部分278の遠位部分はまた、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の遠位部分300の一部分を係合するように構成されている平面279を規定する。
【0026】
次に駆動アセンブリ100の遠位部分300に焦点を当てると、遠位部分300は、かさ歯車320と、駆動ピン330と、配向メカニズム340と、ネック350と、ブレース360と、摩擦歯車アセンブリ370と、駆動シャフト380と、駆動ハウジング390とを含む。
【0027】
かさ歯車320は、上に記載される駆動アセンブリ100の近位部分200のかさ歯車260と実質的に同様の構成を有する。従って、かさ歯車320は、実質的に円形の部材であり、それを通るアパーチャ322を規定する。アパーチャ322は、下にさらに記載されるように、駆動ピン330を係合するように構成されている平面323を含む。複数の歯324は、かさ歯車320の近位部分の周囲に配置され、かさ歯車320のアパーチャ322に対して傾斜した関係で配置されている。駆動アセンブリ100の1つの配向において、アパーチャ322は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の近位部分200の駆動アダプター270の一部分を受け取るように構成されている。
【0028】
駆動ピン330は、示されるように、近位部分332と遠位部分336とを有する実質的に円形の細長い部材であり、近位部分332および遠位部分336は、円形のフランジ335によって分離されている。近位部分332は、かさ歯車320において規定されるアパーチャ322を通って嵌まるような寸法にされ、アパーチャ322の平面323を係合するように構成されている平面333を含む。駆動ピン330の遠位部分336はまた、下にさらに記載されるように、摩擦歯車アセンブリ370を係合するための平面337を含む。
【0029】
配向メカニズム340は、1対のラチェットプレート342を含み、各々は、駆動ピン330の一部分の通行のための、それを通るアパーチャ344を規定し、各々は、その上に形成される溝のある表面346を有する。ラチェットプレート342は、例えば、正面歯車として構成され得る。従って、ラチェットプレート342の各々の溝のある表面346は、アパーチャ344から外方方向に延びている一連の放射状に延びている隆起部として構成され得る。ラチェットプレート342は、下にさらに記載されるように、各それぞれのラチェットプレート342の溝のある表面346が対向し、相互係合するように構成されているように配置されている。配向メカニズム340はまた、ばね348を含み、ばね348は、駆動ピン330の一部分を収容するために、それを通るアパーチャ349を有する。ばね348は、遠位ラチェットプレート342に隣接するように構成されている。
【0030】
ネック350は、示されるように、実質的に円筒形の部材であり、駆動ピン330の一部分を受け取るために、それを通るチャネル352を規定する。ネック350はまた、下にさらに記載されるように、外科手術関節運動装置1000の1つの配置において、駆動アダプター270の挿入を収容するために、その後方表面上のアパーチャ354(図5)を規定する。1対の正反対に対向するスロット356は、上に記載される取り付けブレース240と関連付けられるペグ246を受け取るために、ネック350の外側表面上に形成されている。ネック350はまた、キャップ部材250を受け取るために、その外側表面上に凹部358を規定する。ネック350のチャネル352は、下にさらに記載されるように、駆動アセンブリ100の遠位部分300の種々の構成要素を収容するように構成されている。
【0031】
ブレース360は、実質的に円筒形の部材であり、駆動ピン330の一部分を受け取るために、それを通るチャネル362を規定する。ブレース360は、ネック350のチャネル352内に嵌め入るように構成されている近位カラー364と、中央部分364と、中央部分364から延びている1対のアーム366とを含む。アーム366は、下にさらに記載されるように、中央部分364の正反対に対向する部分から延び、各々は、外側スロット367を規定し、外側スロット367は、駆動ハウジング390の一部分を係合するように構成され、各アーム366は、エンドエフェクター400(図1)の一部分を収容するために、半径方向に内方の座部368を規定する。
【0032】
摩擦歯車アセンブリ370は、示されるように、摩擦歯車372と摩擦ピニオン374とを含む。摩擦歯車372は、下にさらに記載されるように、駆動ピン330の平面333を係合するための平面372bを有するアパーチャ372aを含む。摩擦歯車372はまた、摩擦ピニオン374の一部分を摩擦により係合するように構成されている外側摩擦表面372cを含む。従って、摩擦歯車372の摩擦表面372cは、摩擦が強化された材料、例えば、ポリマー材料から形成され得る。
【0033】
摩擦ピニオン374は、駆動シャフト380の一部分を受け取るために、それを通るアパーチャ374aを規定し、摩擦ピニオン374は、摩擦歯車372の外側摩擦表面372cを摩擦により係合するように構成されている外側摩擦表面374bを有する。従って、摩擦ピニオン374の摩擦表面374bはまた、摩擦が強化された材料、例えば、ポリマー材料から形成され得る。
【0034】
駆動シャフト380は、長手方向軸A(図1)に対する垂直軸「B」を規定し、近位連結部分382と中央のねじ切りされた部分384と遠位連結部分386とを有する細長い部材として構成されている。近位連結部分382は、摩擦ピニオン374のアパーチャ374aの中に固定して配置される(例えば、プレスばめ、または締りばめ)ように構成されている。駆動シャフト380は、駆動シャフト220に比べて、同様の構成だが異なる長さを有し得、例えば、駆動シャフト380は、駆動シャフト220よりも長いものであり得る。駆動シャフト380は、下にさらに記載されるように、それに沿って回転力を伝達するように構成されている。実施形態において、駆動シャフト220は、例えば、金属材料または複合材料から形成され得る。
【0035】
駆動ハウジング390は、その中にチャネル392を規定する細長い部材である。チャネル392は、下にさらに記載されるように、スロット394を含み、スロット394は、駆動シャフト380、ならびにエンドエフェクター400の一部分を支持するように構成されている。駆動ハウジング390はまた、ブレース360の外側スロット368を係合するように構成されている1対のタブ394を含む。
【0036】
図2図6に目を向けると、組み立てられた、断面図および斜視図での駆動アセンブリ100が示されている。駆動アセンブリ100の近位部分200を最初に参照すると、カラー230および取り付けブレース240は、ハウジング210の通路212内に配置されている。駆動シャフト220の近位部分222は、カラー230の通路232、および取り付けブレース240のアパーチャ243を通って挿入されている。ペグ246は、取り付けブレース230を適所に固定するために、平行アーム244中のアパーチャを通ってネック350(図5に最も良好に示される)のスロット356の中へ挿入される。カラー230は、取り付けブレース240のブリッジ部分242上に近位に置かれるので、カラー230は、ハウジング210の通路212内に維持される。キャップ部材250は、ネック350の凹部358内に設置され、凹部358の中にプレスばめされ得るか、またはネック350の側方アパーチャ354を通って締め具(図9)で固定され得る。駆動シャフト220の遠位部分224は、示されるように、駆動アダプター270の連結部分272の内部表面を係合するために、キャップ部材250の中央アパーチャ252を通って挿入されている。駆動シャフト220の遠位部分224は、この態様において、駆動アダプター270と固定して連結され得る(例えば、プレスばめ、ろう付け、および溶接、など)。駆動アダプター270は、ネック350のチャネル352内に垂直な配向で置かれるので、駆動アダプターは、カラー230と、取り付けブレース240と、ハウジング210のチャネル212内の駆動シャフト220とを支持する。
【0037】
駆動アセンブリ100の遠位部分300を参照すると、ネック350のチャネル352内に取り付けられている駆動ピン330が示されている。ネック350のチャネル352は、駆動ピン330がチャネル352内で、実質的に静止した位置に維持されるような寸法であり得る。駆動ピン330の近位部分332は、かさ歯車320のアパーチャ322を通って挿入され、従って、それは、ネック350のチャネル352内に支持される。かさ歯車320は、かさ歯車320の歯324が、かさ歯車260の歯264(図2)と係合して保持されるように、駆動ピン330上に配置されている。
【0038】
示されるように、ブレース360の近位カラー364は、ブレース360がネック350によって支持されるように、ネック350のチャネル352内に嵌め入れられている。ブレース360のアーム366は、中央部分364から延び、各アーム366上に形成されているスロット367を介して、駆動ハウジング390と係合している。
【0039】
配向メカニズム340は、示されるように、ネック350とブレース360の中央部分364との間に規定される内部チャンバー内に配置され、駆動ピン330の一部分は、ブレース360の近位カラー364を通って延びている。配向メカニズム340は、囲まれた空間内に配置されているので、ばね348は、各ラチェットプレートの溝のある表面346(図9)が予め規定された圧縮力「F」で相互係合するように、ラチェットプレート342を摩擦係合状態へ付勢する。
【0040】
摩擦歯車アセンブリ370はまた、示されるように、ブレース360の内部部分内に支持されている。摩擦歯車372は、駆動ピン330の遠位部分336上の平面337を受け取る(図9)。摩擦ピニオン374は、摩擦歯車372の遠位に下方で隣接する関係で配置され、アパーチャ374aを通して、駆動シャフト380の近位連結部分382を受け取る(図2)。この態様において、摩擦歯車372は、駆動シャフト380を周囲に係合する。駆動シャフト380は、駆動シャフト380がブレース360および駆動ハウジング390によって支持されているように駆動ハウジング390のチャネル392(図2)を通って延びている。この態様において、駆動シャフト380は、駆動アセンブリ100の近位部分200の駆動シャフト220と動作可能に係合させられ、駆動アセンブリ100の近位部分200の駆動シャフト220から離れるほうへ延びている。さらに、駆動アセンブリ100の遠位部分300の駆動シャフト380は、駆動アセンブリ100の近位部分200の駆動シャフト220に対して側方にずれている。
【0041】
次に、駆動アセンブリ100の動作が記載される。図7および図8に目を向けると、動作中の駆動アセンブリ100の内部構成要素が示される。示されるように、駆動シャフト220が回転させられる場合、駆動アダプター270の連結部分272(図9)と係合されている駆動シャフト220の遠位部分222は、その周りに配置されているかさ歯車260を回転させる。駆動アセンブリ100の遠位部分300のかさ歯車320は、駆動アセンブリの近位部分100のかさ歯車260と動作的に係合して保持される(すなわち、それぞれのかさ歯車260、320の歯264、324は、相互係合している)ので、かさ歯車260の回転は、かさ歯車320の回転をもたらす。かさ歯車320の回転は、駆動ピン330の平面333と、かさ歯車320のアパーチャ322における平面323との係合に起因して、駆動ピン330を回転させる(図9)。この態様において、駆動ピン330の平面333と、かさ歯車320のアパーチャ322の平面323との相互係合は、駆動ピン330に対するかさ歯車320の回転を妨げ、駆動ピン330およびかさ歯車320が一致して回転することを確実にする。駆動ピン330の回転は、次に摩擦歯車372の回転をもたらす。摩擦歯車372は、摩擦ピニオン374(図2)との摩擦の隣接した関係で保持されるので、摩擦歯車372の回転は、摩擦ピニオン374の回転をもたらす。駆動シャフト380は、摩擦ピニオン374のアパーチャ374aを通って固定して挿入されているので、駆動シャフト380も、摩擦ピニオン374の回転とともに回転する。この態様において、駆動アセンブリ100の近位部分200の駆動シャフト220の回転運動が、駆動アセンブリ100の遠位部分300の駆動シャフト380における回転運動に伝えられるように、駆動シャフト220の回転は、駆動アセンブリ100内の垂直な経路に沿って力を伝達する。従って、エンドエフェクター400(図1)は、駆動シャフト380が、駆動シャフト220との垂直な関係で配置されたままで作動させられ得る。
【0042】
図10図12に目を向けると、駆動ハウジング390のチャネル392は、複数の外科手術締め具433および複数の対応するエゼクターまたはプッシャー437を含むカートリッジアセンブリ432を支持する。エンドエフェクター400は、より詳細に下に記載されるように、直立したカムウェッジ444を有する作動そり440を含み、このカムウェッジ444は、締め具駆動力をプッシャー437に働かせるように構成され、プッシャー437は、締め具433をカートリッジアセンブリ432から駆動する。これらの構造は、駆動ハウジング390のチャネル392内でのカートリッジアセンブリ432の側方移動、長手方向移動、および上方移動を制限するために役に立つ。
【0043】
間隔が空けられた複数の長手方向スロット(示されない)が、カートリッジアセンブリ432を通して延びており、作動そり440の直立したカムウェッジ444を収容する。スロットは、複数のポケットと通じており、これらのポケット内で複数の締め具433およびプッシャー437がそれぞれ支持される。プッシャー437は、カートリッジアセンブリ432の下に配置さるプッシャー保持装置(示されない)によって固定され、このプッシャー保持装置は、作動そり440によるプッシャー437の係合の前に、プッシャー437を支持し、整列させる。動作中、作動そり440がカートリッジアセンブリ432を通って並進する場合、カムウェッジ444の角度を付けたリーディングエッジは、続いてプッシャー437と接触し、スロット446内でプッシャーを垂直に並進させ、そこから締め具434を押し出す。カートリッジアセンブリ432はまた、長手方向スロット485を含み、それを通ってナイフ刃474を移動させる。
【0044】
引き続き図10図12を参照すると、エンドエフェクター400は、アンビル434を覆って配置されるアンビルカバー435を含む。アンビルカバー435は、アンビル434の外部に沿って移動する部品から組織を保護する。アンビルカバー435は、アンビル434を係合するような寸法および構成にされている対向する取り付けウイング450および452を含む。取り付けウイング450および452は、閉じる間、アンビル434をカートリッジアセンブリ432と整列させるように機能する。
【0045】
図10図12を確認参照すると、エンドエフェクター400は、駆動ハウジング390内に配置される駆動梁462をさらに含む。駆動梁462は、垂直支持支柱472と、作動そり440の中央支持ウェッジ445を係合する隣接表面476とを含む。駆動梁462はまた、垂直支持支柱472の頂部上に配置されているカム部材480を含む。カム部材480は、発射中に身体組織に対してアンビル434を次第に締付けるために、アンビル434の外部カム作用表面482に対して係合および並進するような寸法および構成にされている。
【0046】
長手方向スロット484が、垂直な支柱472の並進を収容するために、アンビル434を通って延びている。これは、カム部材480が、発射中にカバー435とアンビル434との間を移動することを可能にする。実施形態において、アンビルカバー435も、その下側に形成される対応する長手方向スロット(示されない)を含み得、アンビルカバー435は、アンビル434の上部表面に固定されて、その間にチャネルを形成する。
【0047】
駆動梁462は、遠位保持足488aと近位保持足488bとを含み、各々は、それらを通って規定されるボア489aおよび489bを有する。ボア489aおよび489bは、それらを通過する駆動ねじ460に沿って移動することを提供するために、ねじ切りされ得るか、または平滑であり得る。移動ナット490を通るねじ切りされたボア490aを有する移動ナット490は、遠位保持足488aと近位保持足488bとの間に配置される。駆動シャフト380が回転させられる場合、移動ナット490が、駆動シャフト380によって規定される長手方向軸に沿って長手方向に移動するように、駆動アセンブリ100の遠位部分300の駆動シャフト380(図9)は、ボア490aを通って移動ナット490に螺合可能に連結され、また、足488aおよび488bを係合する(示されない)。
【0048】
使用において、駆動ねじ460が時計回りの方向に回転させられる場合、移動ナット490および駆動梁462は、遠位方向に移動し、カム部材480がそのカム作用表面482を押し下げるにつれて、アンビル434を閉じる。駆動梁462はまた、そり440を遠位方向に押し、そり440は次に締め具433を射出するために、カムウェッジ444を介してプッシャー437を係合する。駆動梁462は、任意の適切な第1の材料から作製され得、それには、プラスチック、金属、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。移動ナット490は、任意の適切な第2の材料から作製され得、それにはまた、プラスチック、金属、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1および第2の材料は、同じであるか、異なるかのいずれかであり得る。実施形態において、駆動梁462は、単一の保持足を含み得、この保持足は、それを通って規定されるねじ切りされたボアを有し、駆動シャフト380に螺合可能に連結される。
【0049】
図11および図12に目を向け、そして図9をさらに参照すると、配向メカニズム340の動作が記載される。上に記載されるように、ラチェットプレート342は、それぞれの溝のある表面346が互いに向かい合い、ばね348によって一緒に圧縮されるように配置されている。ばね348は、溝のある表面346の相互係合が実質的に一定の半径方向の配向で維持されるように、遠位ラチェットプレート342に所定の力を及ぼす。しかし、ばね348によって維持される摩擦力を上回る、ラチェットプレート342に及ぼされる回転力は、遠位ラチェットプレート342を、近位ラチェットプレート342に対して回転させる。この態様において、遠位ラチェットプレート342の溝のある表面346は、近位ラチェットプレート342の溝のある表面346にわたってカム作用するか、または「ラチェットで動く(ratchet)」。配向メカニズム340が、ネック350とブレース360(図2に最も良好に示される)との間に規定されるチャンバー中に配置されているので、ブレース360は、ネック350に対して回転させられ得る。特に、ブレース360の近位カラー364は、ネック350のチャネル352内で回転する。エンドエフェクター400がブレース360によって支持されているので、この態様におけるブレース360の回転は、横軸Bに対してエンドエフェクター400の選択的な半径方向の配向を可能にする。
【0050】
駆動アセンブリ100およびエンドエフェクター400は、駆動アセンブリ100の近位部分200が、駆動アセンブリ100の遠位部分300およびそこに取り付けられているエンドエフェクター400に対して垂直に配置されている垂直(すなわち90度)の配置で本明細書中で議論されてきた。図12および図13に目を向けると、駆動アセンブリ100の、90度の配置(本明細書中で「第2の配置」)から第1の実質的に線形(すなわち180度)の配置への推移が記載される。
【0051】
上に記載されるように、駆動アセンブリ100の近位部分200の駆動シャフト220は、ハウジング210内で、カラー230および取り付けブレース240に対してスライド可能に配置されるように構成されている。駆動シャフト220は、例えば、関連付けられた外科手術器具のハンドル部分を駆動アセンブリ100から近位方向に離して引き込めることによって、ハウジング210の通路212を通って近位方向に引き込まれ得る。従って、駆動シャフトの遠位222は、かさ歯車260およびキャップ部材250から係合解除され、そこから間隔を空けて離される。駆動アセンブリ100の遠位部分300は、次に駆動アセンブリ100の近位部分200から離れるように回転させられ得る。特に、取り付けブレース240のアーム244中のアパーチャを通って、ネック350のスロット356の中に延びているペグ246は、旋回点を提供し、その周りを、駆動アセンブリ100の遠位部分300が回転する。
【0052】
駆動アセンブリ100の近位部分200および遠位部分300は、そのとき、第1の配置、例えば、180度の配置で配置されており、駆動シャフト220および駆動アダプター270は、かさ歯車320を直接係合するために、ハウジング210の通路212を遠位方向に通って挿入され得、すなわち、駆動アダプター270のシャフト部分278の遠位部分上の平面279は、駆動シャフト220の回転が、上に記載される態様でかさ歯車320の回転およびその後の駆動シャフト380の回転をもたらすように、かさ歯車320のアパーチャ322(図2)の中に挿入される。第1の配置と第2の配置との間の駆動アセンブリ100の推移は、実質的に逆の順番で起こり、すなわち、駆動シャフト220および駆動アダプター270は、かさ歯車320から係合解除され、近位方向に引っ込められ、駆動アセンブリ100の遠位部分300は、駆動アセンブリ100の第1の部分200に対して90度の配置へ旋回させられ、駆動シャフト220および駆動アダプター270は次に、かさ歯車260がかさ歯車320(図4を参照のこと)を係合するように、キャップ部材250中の中央アパーチャ252を通って挿入される。
【0053】
本明細書中に開示される実施形態に対して、種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、上の記載は、限定するものと解釈されるべきではなく、単に、好ましい実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0054】
400 エンドエフェクター
100 駆動アセンブリ
220、380 駆動シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14